JP6677569B2 - ピボットヒンジ及び建具 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の建具(開口部装置)において、可動障子(戸体)は、中空状の形材でそれぞれ構成された戸尻側縦框、一対の横框(下框及び上框)、及び戸先側縦框と、これらの框部材に支持されるガラス等の面材とを備える。また、ピボットヒンジは、戸尻側縦框の下部に内蔵された下側ピボットヒンジ(軸受け側部材)と、戸尻側縦框の上部に内蔵された上側ピボットヒンジ(ピボット軸側部材)とを備える。そして、下側ピボットヒンジ(軸受け側部材)は、下枠に設けられたピボット軸側部材に係合する。また、上側ピボットヒンジ(ピボット軸側部材)は、上枠に設けられた軸受け側部材に係合する。これにより、可動障子は、鉛直軸を中心として、枠体に対して回動自在となる。
そして、このような構造では、戸尻側縦框及び横框(下框及び上框)の接合部分に応力が集中し、当該接合部分が変形してしまう恐れがある、という問題がある。
したがって、本発明に係るピボットヒンジによれば、戸尻側縦框と横框との接合部分の変形を抑制することができる、という効果を奏する。
また、係合部は、戸尻側縦框の端部に位置する。このため、例えば、係合部を横框に対向する位置(下框の下方、上框の上方)に設けた構成と比較して、可動障子の回動時に生じる戸尻側縦枠と戸尻側縦框との隙間の変動を低減することができる。
本発明では、係合部は、戸尻側縦框の端部において、第1空間側に位置する。このため、可動障子の回動時に生じる戸尻側縦枠と戸尻側縦枠との隙間の変動を最小限に留めることができる。
本発明では、ピボットヒンジ本体は、上述した縦框挿入部を備える。このため、例えば横框に対して横框挿入部を固定して当該横框の長手軸を中心とする当該横框の回転に伴って当該ピボットヒンジも回転するように構成しておけば、当該回転は、縦框挿入部が保持溝の内面に当接することにより規制される。したがって、戸尻側縦框に対する横框の上述した回転(横框の転び)を回避することができる。
そして、ピボットヒンジにより横框の転びを規制することができるため、例えば、横框の内部に当該横框の長手軸に沿って延在するビスホールを1つのみ設け、戸尻側縦框を介して、当該ビスホールに框固定ネジを螺合することによって、戸尻側縦框及び横框を接合する構造を採用することができる。すなわち、1つのみのビスホール及び框固定ネジを利用して戸尻側縦框及び横框を接合しても、ピボットヒンジにより横框の転びを規制することができる。したがって、横框の内部に複数のビスホールを設ける必要がなく、横框を細くすることが可能となる。また、例えば、縦框挿入部を戸尻側縦框の端部から当該戸尻側縦框の内部に挿入する構造を採用した場合には、戸尻側縦框を細くすることが難しいところ、縦框挿入部を保持溝に挿入する構造を採用することで、戸尻側縦框も細くすることが可能となる。
本発明では、横框挿入部は、横框に対して固定される。このため、横框から戸尻側縦框に加わる荷重をピボットヒンジに効果的に分散することができる。したがって、戸尻側縦框と横框との接合部分の変形を抑制することができる、という効果を好適に実現することができる。
本発明では、ピボットヒンジ本体は、上述した閉塞部を備える。このため、戸尻側縦框の端部の小口を閉塞するキャップとしての機能をピボットヒンジに持たせることができ、例えば、ピボットヒンジとは別にキャップを設ける構成と比較して、構造の簡素化を図ることができる。
本発明に係る建具は、上述したピボットヒンジを備えるため、上述したピボットヒンジと同様の作用及び効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態に係る浴室用建具1を浴室側から見た図である。
浴室用建具1は、浴室(本発明に係る第1空間に相当)及び脱衣室(本発明に係る第2空間に相当)の間の開口部Opに設置され、FIX窓(固定障子4)と、浴室ドア(可動障子5)とを連窓形式で併設した建具である。この浴室用建具1は、図1に示すように、枠体2と、方立3と、固定障子4と、可動障子5とを備える。
ここで、具体的な図示は省略したが、浴室には、ユニットバスが設置されている。ユニットバスは、床面となる防水パンの周囲に側壁パネルを有し、側壁パネルの上端部間に天井パネルを有したもので、側壁パネルにおいて出入口となる部分にのみ開口部Opを有している。
方立3は、上枠21及び下枠22の間に上下方向に配設され、第1縦枠23との間に第1開口Op1を形成するとともに、第2縦枠24との間に第2開口Op2を形成する。
固定障子4は、上枠21、下枠22、第1縦枠23、及び方立3に対して固定され、第1開口Op1を閉塞する。この固定障子4は、透明樹脂やガラス等の透光性を有する矩形板状の固定側面材41と、固定側面材41の四周にそれぞれ装着される固定側上框42、固定側下框43、固定側第1縦框44、及び固定側第2縦框45とを備える。
なお、可動側上框52及び可動側下框53は、本発明に係る横框56に相当する。
可動側面材51は、本発明に係る面材に相当する部材であり、透明樹脂やガラス等の透光性を有する矩形状に形成されている。この可動側面材51には、可動障子5を開閉するためのハンドル511が固定されている。
各框部材52〜55は、アルミニウム合金によって成形した押し出し形材であり、全長に亘って略一様な断面形状を有し、可動側面材51の四周にそれぞれ装着される。
なお、以下で記載する各框部材52〜55の「長手方向」は、押し出し成形する場合の押し出し方向に一致する。また、以下で記載する「内周側」及び「外周側」は、各框部材52〜55を四周枠組みした場合での当該枠の内周側及び外周側をそれぞれ意味する。
なお、以下で記載する「見込み方向」は、図2の矢印Arで示すように、浴室用建具1の奥行き(可動障子5の厚み)に沿った方向である。見込み方向に沿った平面については、見込み面と称し、見込み方向に直交する平面については見付け面と称する場合がある。
可動側下框53は、図2に示すように、長手方向に延びるホロー53Aを有する角筒状に形成され、当該長手方向が左右方向に向くように配設される。
すなわち、ホロー53Aは、下框凹条溝5311を設けたことにより、当該下框凹条溝5311の下方に位置する部分の高さ寸法(図2中、上下方向の寸法)が他の部分の高さ寸法よりも小さくなっている。以下では、説明の便宜上、ホロー53Aにおける下框凹条溝5311の下方に位置する部分を第1ホロー53A1と記載し、その他の部分を第2ホロー53A2と記載する。
さらに、可動側下框53において、外周側の見込み面を構成する下框第2見込み壁部532には、第2ホロー53A2と可動側下框53の外部とを連通し、2つのヒンジ固定ネジ(本発明に係る固定具に相当)Sc(図5,図6参照)をそれぞれ挿通するための2つの挿通孔5321(図5,図6参照)が可動側下框53の長手方向に沿って並設されている。
なお、可動側上框52は、具体的な図示は省略したが、可動側下框53に対して略上下対称となる形状を有する。
戸尻側縦框54において、内周側の見込み面を構成する縦框第1見込み壁部541の浴室側の位置には、外周側に向けて窪み、当該戸尻側縦框54の長手方向に沿って延在する縦框凹条溝5411が形成されている。この縦框凹条溝5411は、可動側面材51の戸尻側の端部が挿入され、当該可動側面材51を保持する部分である。すなわち、縦框凹条溝5411は、本発明に係る保持溝に相当する部分である。本実施の形態では、縦框凹条溝5411は、その底部分が戸尻側縦框54における外周側の見込み面を構成する縦框第2見込み壁部542となるように形成されている。
また、縦框第1見込み壁部541には、ホロー54Aと戸尻側縦框54の外部とを連通し、框固定ネジ(図示略)を挿通するための挿通孔5412が形成されている。
なお、戸先側縦框55は、具体的な図示は省略したが、戸尻側縦框54に対して略左右対称となる形状を有する。
図3は、ピボットヒンジ6を浴室側でかつ上方側から見た斜視図である。図4は、ピボットヒンジ6を浴室側でかつ下方側から見た斜視図である。図5は、ピボットヒンジ6を可動障子5に取り付けた状態を戸尻側から見た図である。図6は、ピボットヒンジ6を可動障子5に取り付けた状態を浴室側から見た図である。図7は、ピボットヒンジ6を可動障子5に取り付けた状態を上方側から見た図である。
なお、図5ないし図7では、説明の便宜上、適宜、可動側下框53を一点鎖線で示し、戸尻側縦框54を二点鎖線で示している。
ピボットヒンジ6は、戸尻側に位置するピボットヒンジ本体7と、戸先側に位置する横框挿入部8とが一体形成された構成を有する。
閉塞部71は、戸尻側縦框54の端部の小口を閉塞する部分である。より具体的に、閉塞部71は、略平板形状を有し、ピボットヒンジ6が可動障子5に取り付けられた状態で、図6または図7に示すように、一方の板面(上方の板面)が戸尻側縦框54の下端に当接し、戸尻側縦框54の下方の小口を閉塞する。
この閉塞部71には、表裏を貫通する水抜き孔711が形成されている。すなわち、ホロー54Aに浸入した水等は、水抜き孔711を介して、ホロー54Aの外部に排出される。
縦框挿入部73は、閉塞部71の一方の板面(上方の板面)に直交するように当該板面に立設され、戸先側に延在する略角柱形状を有する。この縦框挿入部73において、幅寸法(見込み方向の長さ寸法)は、縦框凹条溝5411の幅寸法よりも若干小さい寸法を有する。また、縦框挿入部73において、戸先側への延在方向の長さ寸法は、縦框凹条溝5411の深さ寸法と略同一の寸法を有する。そして、縦框挿入部73は、ピボットヒンジ6が可動障子5に取り付けられた状態で、図7に示すように、縦框凹条溝5411に挿入される。なお、縦框挿入部73は、ピボットヒンジ6が可動障子5に取り付けられた状態で、図5に示すように、その上端面が下框凹条溝5311の底面と略面一となるように設定されている。
第1挿入部81は、縦框挿入部73における戸先側の側面から戸先側に向けて延在する略角柱形状を有する。この第1挿入部81における縦断面の断面形状は、第1ホロー53A1における縦断面の断面形状と略同一の形状を有する。そして、第1挿入部81は、ピボットヒンジ6が可動障子5に取り付けられた状態で、可動側下框53の端部から第1ホロー53A1に挿入される。
また、第1延在部821において、下方側の面には、可動側下框53の2つの挿通孔5321に対向する位置に、2つのヒンジ固定ネジScがそれぞれ螺合される2つの固定用孔8211がそれぞれ構成されている。
そして、ピボットヒンジ6は、2つの挿通孔5321を介して、2つのヒンジ固定ネジScを2つの固定用孔8211にそれぞれ螺合することで、可動障子5(横框56)に固定される。すなわち、ピボットヒンジ6は、2つのヒンジ固定ネジScにより、横框56のみに固定され、戸尻側縦框54には固定されていない。
先ず、可動側下框53の端部からホロー53Aに横框挿入部8を挿入し、当該端部に縦框挿入部73における戸先側の側面を当接させる。この状態で、2つの挿通孔5321を介して、2つのヒンジ固定ネジScを2つの固定用孔8211にそれぞれ螺合することで、可動側下框53にピボットヒンジ6を固定する。
次に、戸尻側縦框54の縦框凹条溝5411に縦框挿入部73を挿入し、縦框第1見込み壁部541を可動側下框53の端部に当接させる。この状態で、挿通孔5412を介して、1つの框固定ネジ(図示略)をビスホール5312に螺合することで、可動側下框53及び戸尻側縦框54を接合する。
以上のような手順により、ピボットヒンジ6は、可動障子5に取り付けられる。なお、可動側上框52と戸尻側縦框54との接合部分に設けられるピボットヒンジ(図示略)も、上記同様の手順で、可動側上框52及び戸尻側縦框54に対して取り付けられる。
したがって、本実施の形態に係るピボットヒンジ6によれば、戸尻側縦框54と横框56との接合部分の変形を抑制することができる、という効果を奏する。
ところで、係合部72を可動側下框53の下方に位置するように構成した場合には、図8Bに示すように、可動障子5の回動時に生じる第2縦枠24と戸尻側縦框54との隙間Spの変動は、比較的に大きいものとなる。
一方、本実施の形態に係るピボットヒンジ6では、係合部72は、戸尻側縦框53の端部において、可動障子5にて第2開口Opを閉塞した状態で、浴室側に位置するように構成されている。このため、図8Aに示すように、可動障子5の回動時に生じる第2縦枠24と戸尻側縦框54との隙間Spの変動を最小限に留めることができる。
そして、ピボットヒンジ6により横框56の転びを規制することができるため、1つのみのビスホール5312及び框固定ネジ(図示略)を利用して戸尻側縦框54及び横框56を接合しても、ピボットヒンジ6により横框56の転びを規制することができる。したがって、横框56の内部に複数のビスホール5312を設ける必要がなく、横框56を細くすることが可能となる。また、縦框挿入部73を戸尻側縦框54の端部からホロー54Aに挿入する構造を採用した場合には、戸尻側縦框54を細くすることが難しいところ、縦框挿入部73を縦框凹条溝5411に挿入する構造を採用することで、戸尻側縦框54も細くすることが可能となる。
なお、具体的な図示は省略したが、可動側上框52及び可動側下框53と戸先側縦框55との接合部分には、ピボットヒンジ6に対して係合部72が省略された部材がそれぞれ取り付けられ、当該部材にて戸先側縦框55の上下の各小口が閉塞されている。
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態では、係合部72を略円柱状の軸部で構成し、係合部72を枠体2に設けられた係合凹部(図示略)に挿入することで、係合部72及び係合凹部(図示略)を係合させる構成としていたが、これに限られない。例えば、枠体2に、係合部72と同様の軸部を設ける。一方、ピボットヒンジ6には、当該軸部が挿入される(係合する)凹部または孔等の係合受け部を形成する。このような構成では、当該係合受け部は、本発明に係る係合部に相当する。
上述したように、ピボットヒンジ6は、第1挿入部81における縦断面の断面形状が第1ホロー53A1における縦断面の断面形状と略同一の形状を有し、第1,第2延在部821,822が可動側下框53の下框第2見込み壁部532及び見付け壁部533の各内面にそれぞれ対向するように構成されている。このため、横框56にピボットヒンジ6を固定しない構成を採用した場合であっても、横框56の内面と第1挿入部81や第1,第2延在部821,822との当接、及び縦框挿入部73と縦框凹条溝5411の内面との当接により、戸尻側縦框54に対する横框56の転びを回避することができる。
Claims (6)
- 中空状の形材でそれぞれ構成された戸尻側縦框及び横框を備えた可動障子に設けられ、建物の開口部に設置された枠体に係合して当該枠体に対して当該可動障子を回動自在とするピボットヒンジであって、
前記戸尻側縦框の端部に位置し、前記枠体に係合して鉛直軸を中心とした前記可動障子の回動中心となる係合部を有するピボットヒンジ本体と、
前記ピボットヒンジ本体に接続し、前記横框の端部から当該横框の内部に挿入される横框挿入部とを備え、
前記ピボットヒンジ本体及び前記横框挿入部のうち、前記横框挿入部のみが固定具にて前記可動障子に対して固定される
ことを特徴とするピボットヒンジ。 - 前記可動障子は、
前記開口部を閉塞した状態で当該可動障子にて仕切られる第1空間及び第2空間のうち、当該第1空間側に回動することで前記開口部を開放し、
前記係合部は、
前記戸尻側縦框の端部において、前記可動障子にて前記開口部を閉塞した状態で、前記第1空間側に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載のピボットヒンジ。 - 前記可動障子は、
前記戸尻側縦框及び前記横框にて支持される面材を備え、
前記戸尻側縦框には、
当該戸尻側縦框の長手方向に延び、前記面材の端部が挿入される保持溝が設けられ、
前記ピボットヒンジ本体は、
前記保持溝に挿入される縦框挿入部を備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載のピボットヒンジ。 - 前記横框挿入部は、
前記固定具にて前記横框に対して固定される
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のピボットヒンジ。 - 前記ピボットヒンジ本体は、
前記戸尻側縦框の端部の小口を閉塞する閉塞部を備え、
前記係合部は、
前記閉塞部に設けられている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のピボットヒンジ。 - 建物の開口部に設置された枠体と、
中空状の形材でそれぞれ構成された戸尻側縦框及び横框を有する可動障子と、
前記枠体に係合して当該枠体に対して前記可動障子を回動自在とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のピボットヒンジとを備える
ことを特徴とする建具。
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