JP6676997B2 - 三次元形状物の製造方法と階調露光用マスクおよびモールド - Google Patents
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Description
階調露光に使用する階調マスクとして、例えば、露光装置の解像限界を超える小さい領域を配列し、各領域内に設定する光透過部と遮光部の面積比を調整することにより、細かい階調を表現した2値化パターンのグレートーンマスクが提案されている(特許文献1)。
しかしながら、マイクロレンズのように三次元的に連続して高さが変化する場合、ディザ法では、ドットの遮光パターンを円形状に配置することが難しく、また、誤差拡散法では、拡散方向に非対称性が生じる。このため、形成されたマイクロレンズの表面形状は回転対称とはならず、光学特性に支障を生じる場合があった。
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、エネルギーを階調で供給することを利用して三次元形状物を高い精度で簡便に製造する方法と、この製造方法に使用することができる階調露光用マスクと、寸法精度が高い三次元形状を製造するためのモールドを提供することを目的とする。
本発明の他の態様として、前記エネルギーは、エネルギー線を照射することにより供給され、前記グリッド毎に、所定面積のスポット形状の前記エネルギー線を走査して、前記グリッドの境界に平行なライン形状となるように前記エネルギー感応型レジストに前記エネルギー線を照射するような構成とした。
また、本発明の階調露光用マスクは、少ないデータ量による細かい階調露光が可能である。
また、本発明のモールドは、具備する凹凸構造の壁面の寸法精度が高く、これにより、高い精度の三次元形状物を製造することができる。
尚、図面は模式的または概念的なものであり、各部材の寸法、部材間の大きさの比等は、必ずしも現実のものと同一とは限らず、また、同じ部材等を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。
本発明の三次元形状物の製造方法は、エネルギー感応型レジストの所望のエネルギー供給領域に対してエネルギーを階調で供給する工程を有している。図1は、三次元形状物を製造するためのエネルギー感応型レジストを備えた基板を示す部分平面図である。この図1の例では、基板1上にエネルギー感応型レジスト5が設けられ、エネルギー感応型レジスト5にはエネルギー供給領域11が画定されている。そして、このエネルギー供給領域11に、矢印で示す所定方向aに沿って一定のピッチPで複数のグリッド21が設定されている。尚、図1では、エネルギー供給領域11の外郭形状を実線で示し、また、各グリッド21の境界を実線で示しており、エネルギー供給領域11の外郭形状、グリッド21の数は便宜的に記載したものである。
エネルギー感応型レジスト5は、紫外線感応型、電子線感応型等、公知のエネルギー感応型レジストを使用することができ、特に制限はない。また、ピッチPは使用するエネルギー感応型レジスト5の解像限界よりも小さい寸法とする。
上記のようなエネルギーの階調供給は、例えば、フォトマスクを使用した階調露光により行うことができ、また、エネルギー線を走査して照射する描画によっても行うことができる。
次に、エネルギー線の描画によるライン形状でのエネルギー供給について説明する。エネルギー線としては、電子線、レーザ光等の荷電粒子、または光等を使用することができる。ライン形状でのエネルギー供給は、所定のスポット径でエネルギー線をライン形状に走査して描画することにより行うことができる。エネルギー線の出力、スポット径、走査速度を一定として、エネルギー照射密度と、エネルギー感応型レジストの現像後のレジスト残膜量との関係を予め求めておくことにより、グリッド21毎のエネルギーの階調供給を行うことができる。例えば、図10に示すように、予めエネルギー照射密度とレジスト残膜量の関係を求め、このエネルギー照射密度とレジスト残膜量との関係から、X軸、Y軸を変換して、エネルギー照射密度関数を図11に示すように求める。一方、目的の三次元形状物の厚みのプロファイル、例えば、上述の図8に示すようなプリズム形状の厚みのプロファイルを得る。この三次元形状物の厚みのプロファイルと、図11に示されるエネルギー照射密度関数から、図12に実線で示すような、プリズム形状の三次元形状物に必要な厚みを得るためのエネルギー照射密度の分布を求める。そして、エネルギー供給領域11におけるエネルギー照射密度が、図12に示されるエネルギー照射密度の分布となるように、グリッド21毎のエネルギー供給部位25のライン形状の幅を設定して描画することにより、エネルギーの階調供給を行うことができる。例えば、グリッド21におけるエネルギー照射密度を高くするためには、エネルギー供給部位25のライン形状の幅が大きいものとなる。
このようなエネルギー感応型レジスト5に対するエネルギーの階調供給を行った後、エネルギー感応型レジスト5を現像することにより、図14に示すように、基板1上に三次元形状物7を形成することができる。
本発明では、基板1上に設けられたエネルギー感応型レジスト5に画定されるエネルギー供給領域の外郭形状は、上述のエネルギー供給領域11のような矩形(図1参照)に限定されるものではない。また、感応型レジスト5に画定されるエネルギー供給領域は2以上であってもよい。
このようなエネルギーの階調供給も、上述の例と同様に、フォトマスクを使用した階調露光により行うことができ、また、エネルギー線を走査して照射する描画により行うことができる。
いる。尚、遮光膜パターン領域114の周囲は適宜設計することができ、図示例では、遮光膜パターン領域114の周囲には遮光膜113が位置しているが、遮光膜パターン領域114の周囲が光透過部であってもよい。
このような階調露光用マスク111を使用し、階調露光用マスク111における共通の頂点114S(図17参照)を、エネルギー供給領域31の頂点31S(図15参照)と一致させ、所定の縮小、例えば、5倍の縮小をかけて露光することにより、図16に示すようなエネルギーの階調供給を行うことができる。
このようなエネルギー感応型レジスト5に対するエネルギーの階調供給を行った後、エネルギー感応型レジスト5を現像することにより、図23に示すように、基板1上にマイクロレンズ形状の三次元形状物8を形成することができる。
上記の図24と図26の対比、図25と図27の対比から明らかなように、本発明の三次元形状物の製造方法は、ディザ法または誤差拡散法を用いた従来のドット状のエネルギー階調供給を行う場合に比べて、エネルギーの階調供給に要するデータ量が少なく、三次元形状物を高い精度で簡便に製造することができる。
また、図16に示される例でも、エネルギー供給部位45は各グリッド41の中央に位置しているが、この場合も、例えば、図29(A)、図29(B)に示すように、エネルギー供給部位45が各グリッド41内で、隣接するグリッド寄りに位置するものであってもよい。したがって、図17、図18に示される階調露光用マスク111においても、各単位領域115の中央にライン形状の光透過部116Tが位置する場合の他に、隣接する単位領域115寄りにライン形状の光透過部116Tが位置するものであってもよい。
図30は、三次元形状物を製造するためのモールドの一例を示す側面図である。図30において、モールド51は、基材52と、この基材52の一方の面52aに位置する凹凸構造53を備えている。
基材52は、モールド51を用いたインプリントに使用する被成形樹脂材料が光硬化性である場合には、これらを硬化させるための照射光が透過可能な材料を用いることができ、例えば、石英ガラス、珪酸系ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、アクリルガラス等のガラス類の他、サファイアや窒化ガリウム、更にはポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル、ポリプロピレン等の樹脂、あるいは、これらの任意の積層材を用いることができる。また、使用する被成形樹脂材料が光硬化性ではない場合には、モールド51は光透過性を具備しなくてもよく、上記の材料以外に、例えば、シリコンやニッケル、チタン、アルミニウム等の金属およびこれらの合金、酸化物、窒化物、あるいは、これらの任意の積層材を用いることができる。
基材52の厚みは、材質の強度、取り扱い適性等を考慮して設定することができ、例えば、300μm〜10mm程度の範囲で適宜設定することができる。尚、基材52の一方の面52a側が2段以上の凸構造、いわゆるメサ構造となっていてもよく、この場合、最上段の面が、凹凸構造53が位置する面52aとなる。
図32は、三次元形状物を製造するためのモールドの他の例を示す側面図である。図32において、モールド61は、基材62と、この基材62の一方の面62aに位置する凹凸構造63を備えている。
基材62は、上述のモールド51の基材52と同様とすることができる。
このようなモールド61は、上記のモールド51を用いインプリントリソグラフィにより製造することができる。この場合、基材62上に被成形樹脂材料を配設し、この被成形樹脂材料にモールド51を当接させ、被成形樹脂材料を硬化させてエッチングレジストを形成し、このエッチングレジストを介して基材62をエッチングすることによりモールド61を製造することができる。
基材72は、上述のモールド51の基材52と同様とすることができる。
モールド71が備える凹凸構造73は、複数の凸部74を有している。各凸部74は、プリズム形状をなし、これにより、凹凸構造73はプリズムアレイをなしている。図35は、凹凸構造73を構成する凸部74を説明するための図であり、図35(A)は1個の凸部74を示す斜視図である。各凸部74では、凸部側壁面74a,74bの表面形状の輪郭線のなかで、基材72の一方の面72aから最も高い部位である頂部辺75と直交する複数の輪郭線が同じである。図示例では、頂部辺75と直交する3本の輪郭線76を二点鎖線で示している。3本の輪郭線76が同一とは、3本の輪郭線76の形状を対比したときに、図35(B)に鎖線で示す輪郭線76のバラツキの幅Wが、使用する光源の波長の1/4以下、例えば、波長が0.55μmの場合、幅Wが0.137μm以下であること、あるいは、バラツキの幅Wが基材72の一方の面72aから頂部辺75までの高さの5%以下であることを意味する。そして、図示例では、最も高い部位である頂部辺75を通る輪郭線76を便宜的に3本示しているが、頂部辺75と直交するいずれの輪郭線76であっても、バラツキの幅Wが上記の範囲を満足する。尚、凸部側壁面74a,74bの表面形状の輪郭線76は、上記の輪郭線56と同様にして得ることができる。
上述のような本発明のモールドは、具備する凹凸構造の壁面の寸法精度が高く、複数の輪郭線が同じであることにより、壁面に突発的な凹凸の変形がなく、これにより、高い精度の三次元形状物を製造することができる。
上述の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
[実施例1]
開口率が、図36に示すような0/16〜16/16までの17段階となり、したがって透過光によるエネルギー照射密度も17段階となる17種のパターンを備えたテストマスクを準備した。このテストマスクの各パターンにおける1個の光透過部あるいは遮光部となる正方形状のドットの寸法は50nmとした。図36では、光透過部が黒い部位として示されている。
レジスト残膜量4.22nm未満:
y = -0.0015X3 + 0.0364X2 − 0.3187X + 0.9365 式(1)
レジスト残膜量4.22nm以上:
y = -3.8422X2 + 32.374X − 68.072 式(2)
以上から、製造対象となる三次元形状物の厚みプロファイルを基に、上記の開口率関数から光透過部106Tのライン形状の幅を設定することにより、当該三次元形状物を製造するための階調露光用マスクを作製することができ、また、エネルギー照射密度を設定することができることを確認した。
基材として、厚み675μmの石英ガラス(65mm角)を準備し、この基材上にエネルギー感応型レジスト(メルク(株)製 AZ5218)を塗布してレジスト層を形成した。
また、実施例1で得た開口率関数を基にして、階調露光用マスクとして、図4〜図5に示されるように、等ピッチP′で複数の単位領域が設定され、各単位領域にライン状の光透過部が所定のライン幅で設けられた4種の階調露光用マスクM1、M2、M3、M4を作製した。これらの階調露光用マスクM1、M2、M3、M4におけるピッチP′は、100nm、150nm、200nm、250nmとした。
次に、階調露光用マスクM1、M2、M3、M4を用いて、5倍の縮小倍率で上記のレジスト層を階調露光することにより、エネルギーの階調供給を行い、その後、現像し硬化させて、4種のプリズム形状の三次元形状物(試料1〜試料4)を作製した。このように作製した三次元形状物(試料1〜試料4)を、使用した階調露光用マスクと組み合わせて図39に示した。尚、図39では、階調露光用マスクM1、M2、M3、M4の光透過部が白い部位として示されている。
次に、階調露光用マスクM5、M6、M7、M8を用いて、5倍の縮小倍率で上記のレジスト層を階調露光することにより、エネルギーの階調供給を行い、その後、現像し硬化させて、4種のプリズム形状の三次元形状物(試料5〜試料8)を作製した。このように作製した三次元形状物(試料5〜試料8)を、使用した階調露光用マスクと組み合わせて図40に示した。尚、図40では、階調露光用マスクM5、M6、M7、M8の光透過部が白い部位として示されている。
これに対して、図40に示される4種の三次元形状物(試料5〜試料8)は、4種の三次元形状物(試料1〜試料4)に比べて表面形状が粗く、特に、ドット状遮光部の寸法が大きくなると表面形状に突発的な変形が発生し、形状精度が著しく低下するものであった。
また、上記の4種の階調露光用マスクM1、M2、M3、M4を作製するに際してのデータ量、および、上記の3種の階調露光用マスクM5、M6、M7を作製するに際してのデータ量から、製造負荷を求めて下記の表1に示した。尚、製造負荷は、実際に階調露光用マスクを製造したときのマスクパターン描画時間(単位:時間)として求めた。
5…エネルギー感応型レジスト
7,8…三次元形状物
11…エネルギー供給領域
21…グリッド
25…エネルギー供給部位
31,31a,31b,31c,31d,31e,31f,31g,31h…エネルギー供給領域
41…グリッド
45…エネルギー供給部位
51,61,71…モールド
52,62,72…基材
53,63,73…凹凸構造
54,74…凸部
54a,74a,74b…凸部側壁面
64…凹部
64a…凹部内壁面
56,66,76…輪郭線
101,111…階調露光用マスク
102,112…透明基板
103,113…遮光膜
104,114…遮光膜パターン領域
114a,114b,114c,114d,114e,114f,114g,114h…遮光膜パターン領域
105,115…単位領域
106T,116T…光透過部
106B,116B…遮光部
Claims (5)
- エネルギー感応型レジストの所望のエネルギー供給領域に対してエネルギーを階調で供給する工程を有する三次元形状物の製造方法において、
前記エネルギー供給領域に、所定方向に沿って等ピッチで複数のグリッドを設定し、該グリッド毎に前記グリッドの境界線に平行なライン形状でエネルギーを供給し、該エネルギー供給に際して、前記グリッド毎にエネルギー供給部位の前記ライン形状の幅を設定することにより前記エネルギーを階調で供給し、
前記エネルギー供給領域は、三角形状の複数のエネルギー供給領域の集合体であり、
前記三角形状の各エネルギー供給領域は、前記三角形状の1個の頂点を他の前記三角形状のエネルギー供給領域と共有するとともに、該頂点を囲むように隣接して位置し、
前記三角形状の各エネルギー供給領域に、前記頂点から底辺に向かう方向に沿って等ピッチで前記グリッドを設定することを特徴とする三次元形状物の製造方法。 - 前記三次元形状物がマクロレンズであり、
前記三角形状の各エネルギー供給領域に共有される前記頂点が前記マイクロレンズの最大厚みとなる部位に位置することを特徴とする請求項1に記載の三次元形状物の製造方法。 - 前記エネルギーは、フォトマスクを介した露光により供給され、
前記フォトマスクは、透明基板と、該透明基板の一方の面に位置する遮光膜パターンとを備え、
前記透明基板は、前記グリッドに対応するように所定方向に沿って等ピッチで複数の単位領域が画定されており、前記単位領域毎に前記単位領域の境界に平行なライン形状の光透過部を有する遮光膜パターンが位置し、各単位領域における前記光透過部のライン幅を設定することにより各単位領域における開口率が調整されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の三次元形状物の製造方法。 - 前記エネルギーは、エネルギー線を照射することにより供給され、
前記グリッド毎に、所定面積のスポット形状の前記エネルギー線を走査して、前記グリッドの境界に平行なライン形状となるように前記エネルギー感応型レジストに前記エネルギー線を照射することを特徴とする請求項1又は2に記載の三次元形状物の製造方法。 - 透明基板の一方の面に位置する遮光膜パターン領域に遮光膜パターンを備えた階調露光用マスクにおいて、
前記遮光膜パターン領域には、所定方向に沿って等ピッチで複数の単位領域が画定されており、該単位領域の境界に平行なライン形状の光透過部を有する遮光膜パターンが前記単位領域毎に位置し、
各単位領域における開口率は、各単位領域における前記光透過部のライン形状の幅により調整可能であり、
二等辺三角形状の複数の前記遮光膜パターン領域が、前記二等辺三角形状の頂点を一致させ、かつ、前記二等辺三角形状の等辺を一致するように隣接して、共通の前記頂点を囲むように位置し、前記二等辺三角形状の各遮光膜パターン領域における前記単位領域が等ピッチで区画され配列されている方向は、前記頂点から前記二等辺三角形状の底辺に向かう方向であることを特徴とする階調露光用マスク。
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