JP2004012940A - マスク - Google Patents
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Abstract
【課題】作成が比較的容易で、3次元形状を感光性材料に良好に形成可能なマスクを提供する。
【解決手段】投影露光方法によって基板上に感光性材料の三次元形状を形成するのに使用されるマスクであって、直交する二方向に解像不可能なピッチで開口又は遮光のドットパターンを配置し、ピッチとドットサイズを少なくとも複数の領域毎に変えて領域毎の開口部が占める面積の比率である開口率に違いを持たせたことを特徴とするマスクを提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】投影露光方法によって基板上に感光性材料の三次元形状を形成するのに使用されるマスクであって、直交する二方向に解像不可能なピッチで開口又は遮光のドットパターンを配置し、ピッチとドットサイズを少なくとも複数の領域毎に変えて領域毎の開口部が占める面積の比率である開口率に違いを持たせたことを特徴とするマスクを提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般には半導体ウェハ用の単結晶基板、液晶ディスプレイ(LCD)用のガラス基板などの露光に係り、特に、露光に使用されるフォトマスクに関する。本発明は、例えば、感光性材料に三次元形状を形成するためのマスクに好適である。
【0002】
【従来の技術】
一般に、リソグラフィー技術を用いて作製される半導体素子の回路パターンは、マスクに形成された開口と遮光部の組合せにより設計され、感光性材料にマスクを透過した露光光を照射することによって転写される。感光性材料の代表例であるレジストにはポジ型とネガ型とがあり、工程毎の状況をみて適宜選択されるのが普通である。また、回路パターンは厚み方向を考慮しないのが一般的である。
【0003】
近年は更なる微細化の目的で部分的な露光量を調整することによって、より微細なパターンを形成する手法が検討されている。そして、高さ方向の形状も部分的な露光量の調整によって制御しようとする提案もなされており、例えば、公開特許昭和63年第289817号公報は、フォトレジストに三次元形状を形成する方法を開示している。以下、図9を参照して同公報について説明する。
【0004】
図9(a)は、ポジ型フォトレジストの特性曲線(感光曲線)を示す。図9(a)に示すように、ポジ型フォトレジストの特性曲線を予め実験的に得ることによって、入射する露光エネルギーと現像後の残留レジスト比との関係を求めることができる。図9(b)に示すように、微小面積を最小単位として、3x3の9個を一かたまりとして考えてみる。図9(b)においては52が遮光部で51が開口である。9個のうち遮光部52の個数を変化させ、図9(c)に示すように、開口部51のみからなる領域53、遮光部52が1個である領域54、遮光部52が2個である領域55、遮光部52が4個である領域56、遮光部52が5個である領域57、遮光部52のみからなる領域57を形成する。この開口密度分布、即ち、透過率分布によって発生する強度分布は、図9(d)に示すように、ポジ型レジストの感度特性によりレジストの膜厚変化に変換される。同公報は、かかるマスクを利用してポジ型レジストに3次元形状を形成することを提案している。
【0005】
また更なる微細構造をパターニングするために各種の改良がマスクに加えられている。その中の一つにハーフトーンマスクを用いた手法がある。これは本来形成したいパターン付近で到達光量を調整することでレジストに形成するパターンサイズを微細化する。
【0006】
また、近年では光学素子の屈折面や反射面に、球面や非球面等に代表される特殊な面形状が使用されるようになってきている。更に、液晶表示素子や液晶プロジェクター等に関連して、マイクロレンズ等にも特殊な面形状が求められている。屈折面や反射面を型成形や研磨によらずに形成する方法として、光学基板の表面にフォトレジストの層を形成し、このフォトレジスト層に対して二次元的な透過率分布を有する露光用マスクを介して露光し、フォトレジストの現像によりフォトレジストの表面形状として凸面形状もしくは凹面形状を得る方法が知られている。その後、フォトレジストと光学基板とに対して異方性エッチングを行い、フォトレジストの表面形状を光学基板に彫り写して転写する。転写の結果、光学基板の表面に所望の三次元構造の屈折面や反射面の形状を得ることができる。
【0007】
このような三次元形状をレジストに形成する技術としては公開特許平成5年第224398号公報に開示された方法がある。図10及び図11を参照して同公報の実施形態を説明する。同公報では解像しない一定ピッチの開口71を並べたパターンを解像可能な周期Pで開口部の面積を変動させている。これによりレジストに露光光を照射した際はここの開口パターンは解像することなく、開口率の変化だけが光量の分布としてあらわれる。開口率は露光量に対する残膜特性から設計されており、発生した光量分布によって感光したレジストパターンは光量分布を残膜量に変換した形状を有している。またここで開口の形状は直線的だけでなく、矩形の解像しない一定周期の開口で形成する手法も開示されている(図11)。さらにマスクに作製する開口サイズによっては投影光学系のフォーカス面を極端にデフォーカス(結像面をレジストが塗布された面とは反対側にする等)させて解像力を調整する手法も開示されている。
【0008】
また別の透過率を調整するマスクとしては光学濃度を制御して透過率の変化を発生されるマスクがある。このようなマスクの一例としては表面にAgアルカリハライドドープ層が形成されたいわゆるHEBS(High Energy Beam Sensitive)ガラスを基板に用いて作製されたものがある。Agアルカリハライドドープ層は、通常のクラウンガラスをAg+イオン交換反応にさらすことにより、ガラス表面に均一に形成される。例えば、Ag+イオンのドープ層は3μm程度の厚さとされている。そして、グレースケールマスクのガラス表面に均一に形成されたドープ層に電子線ビームが照射されて、Ag+イオンからAgになる。そして、Agの部分では紫外線に対して吸収を示す。このようなことから、Agとされた部分に分布をもたせることにより、ドープ層内において紫外線の吸収について異なる分布が形成されるので、グレースケールマスクは、透過される紫外線量を異なるものとすることができる。
【0009】
具体的にはグレースケールマスクは紫外線の透過量について、中間値を有する階調の分布をなすように形成されることで紫外線の透過量分布が連続的に変化するようになされている。例えば、Ag部分がドープ層にある分布を持つようにするためには、電子線照射量、電子線の加速電圧、ビーム電流、ビーム径が制御された電子線ビームを照射することにより可能とされる。
【0010】
また、このような三次元形状をレジストに形成する技術としては上記の公開特許平成5年第224398号公報に開示された方法がある。本方法では投影露光方式でレジストパターンを形成する際にフォーカス面をレジスト膜面上からずらすことによって解像力の調整を行っている。前記公報の第三の実施例において0.9um高さのパターンを作製する際に、フォーカス面を基板側に100umずらしている。つまり、フォーカス面を極端にずらすことで解像力を調整し、透過率制御のためのマスクパターンが作製する三次元形状に現れないようにしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術は以下のような課題を有していた。
【0012】
公開特許昭和63年第289817号公報は、複数の微小単位からなるブロック中の微小単位を遮光部とする数を各領域ごとに変化させ、マスクを透過する光の強度をその各領域ごとに制御している。
しかし、このように遮光部の数を変えるだけの方法ではブロックを構成する微小単位の個数分しかその透過強度の種類(階調)がない。また、微小単位もマスクを製造する装置の性能によりある程度までしか小さくできず、逆に大きすぎると解像してしまい、その微小単位の大きさの変化量(ステップ)もマスク製造装置の性能により制限がかかるため、微小単位の大きさの種類も多くとることができない。以上より、この従来技術では、透過強度の種類(階調)を多くすることはできないという課題があった。
【0013】
また、公開特許平成5年第224398号公報は、マスクに解像しないピッチで開口パターンを並べ、その開口の大きさを徐々に変化させることでそのマスクの透過率を変化させているが、この方法だとそのマスクの各部分の透過率を予測することが難しく、マスクの設計が容易でないという課題があった。
【0014】
また光学濃度を変化させるマスクを用いた方法においてはAg+イオン交換反応にさらしたクラウンガラスを用いるなど、一般的なリソグラフィーに用いられるマスク製造方法とは異なっており、コストがかかる。
【0015】
また、三次元形状をレジストに形成する方法として公開特許平成5年第224398号公報に開示された従来技術も、作製すべきパターンが極めて滑らかな曲面を有する場合には有効であるが、所望の形状が複雑な場合にはデメリットも無視できない。すなわち、マイクロレンズアレイ(後述する図17のようなもの)において、隙間無くレンズを充填しようとすると、レンズ間のつながり部は曲面ではなく急峻な形状となる。このような形状を再現するためには光学系やリソグラフィーの工程に極めて高い性能が要求される。またレンズアレイの隣接レンズの高さが不連続な場合なども、理想的には垂直な側壁が要求される。この場合にも同様にして装置、プロセスに高い性能が要求される。これに対して従来技術では基本的に露光装置、プロセス共にローパスフィルターとして機能させ、すなわち解像力を積極的に低下させること目的としており、昨今の複雑な微細形状の要求に対して必ずしも十分とは言えない。また本発明者が鋭意検討した結果、マスクでパターニングを行う際は、レジスト表面に結像面を調整すると特徴的な問題が発生することが分かった。本発明ではマスクに複数の領域を設け、その領域ごとに所定のパターンサイズとピッチの開口(若しくは遮光)のパターンを配置している。このときその複数の領域の境界の近傍においては、その開口(若しくは遮光)のパターンを配置するか配置しないかの取捨選択条件を設定しなければならない。一般的には、一定の判断基準を設けて配置、不配置を決める。従って、一定の判断基準によってパターンの有無という設計行為が二値化してしまう。これにより、パターンを配置する領域境界では微妙な解像不可能パターンの粗密がマクロに観察した場合にも認められるという現象が起きる。さらに前記粗密のパターン分布が、投影光学系の結像面をレジスト表面に調整した際に顕著に表面形状に現れる。つまり表面が荒れてしまうのである。
【0016】
そこで、本発明は、上記課題を解決する新規かつ有用なマスク及び三次元形状をレジストに形成する方法を提供することを概括的な目的とする。
【0017】
より特定的には、作成が比較的容易で、3次元形状を感光性材料に良好に形成可能なマスクを提供することを本発明の例示的な目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の別の一側面としてのマスクは、解像不可能なピッチで開口又は遮光のパターンを配置し、該パターンのピッチ及びサイズを少なくとも複数の領域毎に変えて、該領域毎の開口部が占める面積の比率である開口率に違いを持たせたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の別の一側面としてのマスクは、感光性材料に三次元形状を形成するのに使用されるマスクであって、直交する二方向に解像不可能なピッチで開口又は遮光のドットパターンを配置し、該ドットパターンのピッチ及びドットサイズを少なくとも複数の領域毎に変えて、該領域毎の開口部が占める面積の比率である開口率に違いを持たせたことを特徴とする。かかるマスクは、開口率を調整する開口部または遮光部を解像させないために、パターンの配置を直交する二方向において周期性を持たせ、かつ周期性のピッチを解像限界以下としたことを第一の特徴とする。またマスクを複数の領域に分けて、それぞれの領域毎に第一の特徴となる条件を満たす範囲でピッチとパターンサイズを変更して開口率に分布を持たせたことを第二の特徴とする。
【0020】
前記ドットパターンは、二つの座標軸を有する直交座標系上に、各座標軸に平行に配置されていてもよい。かかるマスクは、ドットパターンの配置を直交座標系にて設計することによって簡単に設計可能となる。また、前記直交座標系の原点は前記マスク中心に一致していてもよい。これにより、マスクの設計はより簡単になると共にマスク製造時のデータ作成も簡単になる。前記三次元形状は基本形状を複数並べたアレイ状で、前記直交座標系の原点は基本形状の対称点又は中心に一致していてもよい。かかるマスクは、ドットパターン配置の原点を基本図形の中心と一致させることによって簡単に設計可能となる。
【0021】
代替的に、前記ドットパターンは、極座標系上に、座標原点を通る直線と前記直線と直交し、前記座標原点を中心とする円に沿って配置されていてもよい。かかるマスクは、ドットパターンの配置を極座標系にて設計することによって、特に、露光により点対称な形状を作製するマスクの設計が簡単になる。前記三次元形状は点対称で、前記極座標系の原点は前記点対称形状の対称点にほぼ一致していてもよい。かかるマスクは、ドットパターンを配置する極座標系の原点がマスク中心とほぼ一致させることにより、特に、点対称形状マスクが簡単に設計可能になると共にマスク製造時のデータ作成も簡単になる。前記三次元形状は基本形状を複数並べたアレイ状で、かつ、点対称形状で、前記極座標系の原点は前記基本形状の対称点に一致していてもよい。これにより、特に基本図形が点対称である場合にマスクの設計が簡単になる。
【0022】
本発明の別の側面としてのマスクは、基板上の感光性材料に三次元形状を形成するのに使用されるマスクであって、前記基板の表面を基準平面とし、前記三次元形状の表面に少なくとも複数の等しい高さの等高線を設計し、前記等高線を直下の前記基準平面上に投影した線を設計し、前記投影された線をドットパターンのピッチに等しい間隔で設計し、前記投影された線上に解像限界以下のピッチでドットパターンを配置したことを特徴とする。かかるマスクは、特に、対称性が認められない形状に対してマスクの設計が簡単になる。
【0023】
本発明の更に別の側面としてのマスクは、感光性材料に三次元形状を形成するのに使用されるマスクであって、解像不可能なピッチで開口又は遮光のライン上のパターンを配置し、該パターンのピッチとライン幅を少なくとも複数の領域毎に変えて、該領域毎の開口部が占める面積の比率である開口率に違いを持たせたことを特徴とする。かかるマスクは、開口率を調整する開口部又は遮光部を解像させないために、ライン状のパターンを解像限界以下のピッチで配置したことを第一の特徴とする。またマスクを複数の領域に分けて、それぞれの領域毎に第一の特徴となる条件を満たす範囲でピッチとパターンサイズを変更して開口率に分布を持たせたことを第二の特徴とする。前記ライン状パターンのラインの向きは少なくとも複数の領域毎に異なってよい。かかるマスクは、ライン状の開口が直線で、直線の向きはマスク上に複数あって全ての領域で同じ方向に直線が向いていないことを特徴とし、三次元形状の形と直線の向きによるパターンの偏りを緩和する効果を有する。
【0024】
上述のいずれかのマスクにおける開口率は、例えば、前記感光性材料を露光する露光量と前記感光性材料の残存する膜厚との関係を把握する工程と、前記複数の領域の夫々の領域に対応する前記感光性材料の所望の膜厚を求める工程と、前記関係から前記求めた所望の膜厚に対応する前記露光量を求める工程と、前記複数の領域の前記露光量の相対比率を求める工程からなる設計手順によって求まる相対的な露光量比率に等しくてもよい。これにより、三次元形状を形成するためのマスクを確実に作製することができる。
【0025】
なお、上述のいずれかのマスクを用いて作製された前記感光性材料を有する光学素子も本発明の一側面を構成する。かかる光学素子は、このように、露光及び現像のみで光学素子を得ることができる。また、上述のいずれかのマスクを用いて作製された前記感光性材料をマスクとして使用し、異方性ドライエッチングによって基板に形状転写して作製された光学素子も本発明の一側面を構成する。光学素子として機能する材料が必ずしも感光性特性を有しなくても良くなるために、光学素子の材質、つまりは用途を格段に拡大することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図5を参照して本発明の第一の実施形態を説明する。ここで、図1は、本実施形態により形成しようとする三次元形状を有するマイクロレンズアレイ1の概略部分斜視図である。図2は、図1に示す線A−Aに沿った、等高線とマイクロレンズアレイ1との関係を説明するための部分断面図である。図3は、マイクロレンズアレイ1のサンプリングを説明するための部分拡大断面図である。図4は、ポジ型レジストの感光曲線の一例である。図5は、マイクロレンズアレイ1を構成する一つのレンズ素子としての球面レンズを形成するためのマスク100の平面図である。
【0027】
マイクロレンズアレイ1は、図1に示すように複数の球面レンズ1aから構成されている。このレンズアレイを構成要素のレンズの中心を通る断面で観察したものが図2である。図2において、2は断面図での表面形状、3はサンプリング高さのスライスライン(即ち、サンプリングするために基板を基準に設定した等しい高さの線)、4は形状2とスライスライン3の交点である。スライスライン3によってレンズ1の表面をサンプリングすると実際には基準面からの高さが等しい等高線が得られている。次に、スライスライン3と表面形状2との交点を形状のサンプリング点4(実際には等高線)とする。このサンプリング点4を元に複数の領域を設定する。かかる様子を、図3を参照してより詳細に説明する。
【0028】
図3に示すように、表面形状2上に複数のサンプリング点4が求められる。図3において、6は基準平面、7はサンプリング点からの水平線、8は領域境界からの垂直線と水平線7の交点、9は領域境界点(線)、10、11はそれぞれサンプリング点を基準平面に投影した点である。サンプリング点4を基準平面6に投影した点10及び11で、隣接する投影したサンプリング点の中点を求める。中点は三次元形状を作製する上でマスク開口率を変化させる領域境界9を与える。領域境界9が求まった後は、領域内の高さをサンプリング点4の高さで代表し、領域内部の開口率(各領域内において開口部が占める面積の比率)を決定する。
【0029】
図20に図3の具体的な構成例を示している。即ち、図20に示す基板200上の感光性材料(レジスト)210に所望の三次元形状を形成するのに上述のマスク100が使用される。220は基準平面である。
【0030】
図4は露光量とレジストの残存膜厚との関係の一例を示している。所望のレジスト高さh1、h2、h3が決まると図4の特性図より必要な露光量D1、D2、D3が求まる。図4に示す別途測定してある感光性材料の露光量と残膜の特性から代表高さに対応する露光量を求める。たとえばサンプリング点のレジスト高h2の場合には露光量D2が求まる。さらに三次元形状でもっとも露光量を必要とする部位の露光量を100%として各領域毎の露光量の最大露光量からの比率をもとめ、開口率を求める。図4において、5は感光性材料であるポジ型レジストの感度特性である。感度特性は、入射エネルギーとしての露光量と、現像後に残留するレジストの膜厚との関係を示している。
【0031】
マスクの開口率を制御して得られる感光性材料の形状はつぎの手順で求められる。それぞれのサンプリング点4において水平に線7を延ばし、かつマスク開口率の領域境界点9から垂直方向に伸ばした線との交点8をもとめる。サンプリング点4を通る直線7は交点8まで伸び、交点8ではそれぞれ隣接する高さまで垂直に結べば設計したマスクによって得られる感光性材料の形状となる。ただし、感光性材料の解像力を含め、プロセス全体の解像力と比較してサンプリングの間隔が十分に密であれば、前記矩形の近似形状ではなく、連続的な滑らかな曲線が得られることが分かっている。
【0032】
次に、求められた開口率をつかってマスク100を設計/製作する。マイクロレンズアレイ1は目的の形状が球面レンズ1aを集めたものなので、図5に示すように、基本となる球面レンズ1aを抜きだして考える。なお、図5において、12は等高線、13、14は直交座標系の二軸にそった配置線、15はドットパターン、16は領域である。基本図形である球面レンズ1aの対称点と基本図形の中心は一致している。同図に示すように、等高線12を用いてマスク領域16を設計すると領域境界はレンズ中心と中心を同一にする同心円となる。ここでは中央部の領域を代表して表している。それぞれの領域毎の開口率に応じてピッチとドットパターンのサイズを変えている。各領域においてピッチとドットパターンのサイズの両方を変化させているので、ピッチの種類とドットパターンのサイズの種類とを掛け合わせただけの種類の開口率に各領域を設定することが可能である。また、領域ごとにピッチとドットパターンのサイズを設定しているため、その領域ごとの透過率を予測することが容易となる。ここでドットパターンは使うレジストによってドットが開口部であってもよいし、ドットが遮光部であってもよい。開口部のドットを配置する場合、ピッチの半分となるサイズのドットパターンを一様に配置すると開口率は25%である。
【0033】
ドットパターンの配置は基本形状の中心、ここでは領域境界の中心と同じ位置を原点として、所望のピッチでます目を描く。前記ます目の交点上にドットパターンを配置して行く。一つ外側の領域においても基本形状の中心を原点としてます目を描き、そのます目の交点にドットパターンを配置する。そして、所望の領域内部にます目の交点が存在する場合のみドットパターンを配置し、ドット配置の点(ます目の交点)が領域を外れた場合にはドットパターンを配置しない。
ここではアレイ形状が目標となる形状であったが、マスク100の中心をドット配置のます目の原点としてもマスク設計は可能である。ただし、アレイ形状の場合はマスク設計データ作成時に基本図形について作成し、基本図形のデータを繰り返す手法が良く使われる。従って、アレイ形状の場合にはドットパターン配置の原点を基本図形の中心に設定すると、マスク設計および製造がより簡単になる。
【0034】
ここで得られた感光性材料でできたレンズアレイはこのまま光学素子として使用することも可能である。本実施形態ではさらに紫外光線で使える光学素子とするために石英ガラスを基板とし、感光性材料に用いたレジストをマスクとして異方性ドライエッチングを行うことで三次元形状を石英基板に転写した。異方性ドライエッチングは平行平板型のRIE(リアクティブイオンエッチング)装置を用いて行った。感光性材料に市販のフォトレジスト材料(クラリアント社製AZ−P4903レジスト(商品名))を用いて形成した三次元形状をエッチング転写したところ良好な性能を示すレンズアレイを作製できた。このように異方性のドライエッチング等を用いて三次元形状の感光性材料をマスクとして基板に形状を転写すると、本発明で提供する三次元形状形成マスクで形状を作製するために必須な感光性という特性と、光学素子自身が持つべき光学特性とを材料が合わせ持つ必要がなくなる。したがって、別材料に転写することで本発明によるマスクによって作製される三次元形状の適用範囲が格段に広がることになる。
【0035】
また、本実施形態ではレンズアレイの基本形状の輪郭は矩形であったが、矩形以外の輪郭であってもマスク設計仕様の違いであって、本発明の効果には影響しない。例えば、公開特許昭和62年第115718号公報に開示された一部の境界が円弧状のレンズアレイであっても、基本形状のマスク部分の境界が直線から一部円弧にするだけで対応することができる。
【0036】
以下、本発明の第二の実施形態を、図6を参照して説明する。ここで、図6は図5に示すマスク100の変形例としてのマスク100Aを示す平面図である。図5は直交平面座標を使用したのに対して図6は極座標を使用している。図6において、17、19はパターン配置の説明用の線、18は領域境界であり、目的とする三次元形状や各領域を設計するところは第一の実施形態と同じである。
【0037】
第一の実施形態では直交座標系にドットパターンを配置するマス目を設計していた。本実施形態では極座標系でドットパターンの配置を設計する。図に示した通り、原点を通る直線上に第一の軸17を考え、これとは直交するように円周上の第二の軸19を考える。ここで第二の軸19の間隔は各領域で必要な開口率から求まるピッチに等しい。円周上の各第二の軸19が求まったところで、軸19に沿ってドットパターンを所望のサイズ、所望のピッチで配置する。このようにして設計/製作されたマスク100Aを用いて露光作業を行ったところ、良好な三次元形状が得られた。
【0038】
ここではレンズアレイを作製しているため、基本図形の中心に座標原点を一致させたが、アレイ構造でない場合にはマスク中心に原点を配置しても構わない。また本実施形態によるマスク設計手法では、極座標原点を対称点とする点対称な構造を有する形状を作製する際に特に有用である。
【0039】
以下、図7を参照して本発明の第三の実施形態について説明する。ここで、図7は、図5及び図6に示すマスク100及び100Aの更なる変形例としてのマスク100Bの概略平面図である。図7において、20は領域境界であり21は領域である。目的とする三次元形状や各領域を設計するところは第一の実施形態と同じである。本実施形態ではライン状のパターンのうち直線パターンを使って開口率を調整している。ピッチの半分の幅のラインパターンを開口とした場合、開口率は50%である。
【0040】
直線の向きはマスク100Bの全面において統一した設計でもよいが、ここでは直交する二種類の方向を設定し、領域毎に繰り返し直線の向きの選択を変えた。直線パターンの向きを複数用意することは露光装置の投影光学系への負担が一箇所へ集中することを避けることができる。このことは露光装置への負担を均一化する方向であり、装置負荷の点で考慮すべき設計要件と考えられる。このようにして設計/製作されたマスク100Bを用いて露光作業を行ったところ、良好な三次元形状が得られた。
【0041】
以下、図8を参照して本発明の第四の実施形態を説明する。ここで、図8は、非対称形状を有するマスク100Cの概略平面図である。22は等高線、23ドットパターンである。図8はマスク100Cの設計例を示し、等高線で示される非対称な形状をパターニングするためのものである。
【0042】
ここで領域境界は第一乃至第三の実施形態と同様に等高線によるサンプリング線の中間の線で定義される。本実施形態では求められた領域内部の開口率を以下のドットパターン配置の方法によって設計する。各領域内部では開口率に対応するピッチに等しい間隔で領域境界と平行に線を求める。前記手法で求めた複数の線上に所望のピッチで所望のサイズのドットパターンを配置して行く。ここではドットパターンの一つ一つは矩形形状からなり、その向きは一定である。領域境界線上は高さがより高い領域に含める。従って、領域境界線上には隣接する2つの領域のうち、目的とする形状の高さが高い領域と同じピッチ/サイズのドットパターンを配置する。このようにして設計/作製したマスク100Cを用いて露光作業を行ったところ、良好な三次元形状が得られた。
【0043】
以下、図12乃至図16を参照して本発明の第四の実施形態を説明する。本発明を実施するにあたり、AZ−P4903(クラリアント社製)ポジ型レジストを20umの膜厚で塗布した。解像限界以下のパターンで透過率を調整したマスクを用いて、結像面をレジスト表面から徐々に離しながらパターニングを実施してみた。その時のSEM写真が図12乃至図16である。
結像面の位置をレジスト表面からの距離で示すと図12からそれぞれ−9um、−6um、0um、6um、9umである。結像面がレジスト表面にある場合に最も表面にパターン配置のマクロな粗密分布がパターンとして発生している。本実施例よりレジスト表面から結像面を離せば、得られる形状の表面は滑らかになることが分かる。また結像面がレジスト内部でも、レジストから離れる位置にあっても同様の効果が得られていることが分かる。ここでどの程度結像面を表面から離すかは、求める表面の精度によって異なる。
以下、図17を参照して本発明の第四の実施形態の変形例を説明する。本変形例では、図17のような円弧状のレンズを重ね合わせたような形状のレンズアレイを作成している。このレンズアレイは公開特許昭和62年第115718号公報に記載されているものである。このレンズアレイにおいては個々のレンズ(円弧状のレンズ)の表面形状は球面の一部であるが、個々のレンズの切り出し形状が特殊であるため、隣接するレンズ同士のつながり部は高さが異なっている(個々のレンズの境界に段差がある)。すなわち設計上は垂直な側壁を有する。このような垂直な側壁を形成するためには露光装置を含むパターニングの工程が極めて高い空間周波数までを再現できる必要がある。そこで垂直側壁が存在する高さ(個々のレンズの境界の段差の部分)に露光装置の結像面を調整することで、高い空間周波数を必要とする形状の位置に最大の解像力が発揮されるようにした。このように装置を含めて工程を調整することで、良好な形状を作製することができた。なお、図17はレンズアレイであったが、表面を反射面とすれば、米国特許番号USP6195201の図4、図5のようなミラーアレイを作ることも同様に可能である。
【0044】
以下、図18、19を参照して本発明の第五の実施形態の変形例を説明する。以下では、特定の開口率の解像可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクを使い露光したレジストの残膜量と、特定の開口率の解像不可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクを使い露光したレジストの残膜量とを比較することにより、解像不可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクの透過率の補正率を求める方法について示す。(解像不可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクを使った場合には、そのマスクの開口部を通過した回折光の一部が露光装置の投影系の絞りによりケラれてしまう場合があるためこのような補正率が必要となる。)
まず、特定の開口率の解像可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクを用意した(STEP1)。さらに、露光装置の光量制御を用いてさまざまな露光量のもと露光を行った(STEP2)。それにより、できあがったレジストパターンはその露光量に応じてレジストの膜厚が減少している。このとき現像条件を統一しておくのは言うまでもない。それぞれを触針式の段差計を用いて測定する(STEP3)。
【0045】
次に、特定の開口率の解像不可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクを用意して(STEP11)、それを用いてレジストを露光し現像する(STEP12)。ここで先ほどと同様にレジストの膜厚減少分を触針式段差計にて測定する(STEP13)。
【0046】
最後に両者の測定結果を比較する(STEP14)ことにより、実効的な露光量が求まり、解像不可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクの透過率の補正率を求めることができる(図18)。
【0047】
図19は、像不解可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクの開口率と透過率との関係を表した図である。実際にマスクを設計する際は、所望の形状を高さに応じてサンプリングする。求められた高さは露光量とレジスト残膜特性を用いて必要な露光量に換算される。さらに求められた露光量は最大露光量で規格化されて透過率に変換される。ここで本発明で提供する補正率を適用してマスクを設計する。つまり、設計された透過率を図19の開口率と実効透過率の対応結果を元に開口率へと変換するのである。このような作業をおこなうことで、マスクパターンの回折現象によって結像に寄与しない光量に配慮して、より精度が高い透過率制御を達成することができ、使用する露光システム全体の特性を包含した補正率を簡便に把握することができ、より精度が高い透過率制御を達成する。
【0048】
以上、上述した実施形態の一又は複数によれば、(1)投影露光方法において開口率を調整している開口及び遮光部を解像することなくマスクを透過する露光光の光量を調整することで露光量分布を発生させ、感光性材料に三次元形状を作製することができる、(2)開口部または遮光部のサイズだけではなく、そのピッチも変化させることで、一般的なマスク製造装置を使って、細かい露光量制御を可能にする、(3)マスクを複数の領域に分け、その領域ごとに開口部または遮光部のサイズ及びそのピッチをほぼ一定(つまり開口率をほぼ一定)としているので、その領域の透過率を予測することが容易となり、しいてはマスクの設計が容易となる、(4)一般的なリソグラフィーで用いられているマスク製造方法で作製できるマスクを用いて三次元形状を作製可能とする、等の作用を奏する。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、作成が比較的容易で、3次元形状を感光性材料に良好に形成可能なマスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態により形成しようとする三次元形状を有するマイクロレンズアレイの概略部分斜視図である。
【図2】図1に示す線A−Aに沿った、等高線とマイクロレンズアレイとの関係を説明するための部分断面図である。
【図3】マイクロレンズアレイのサンプリングを説明するための部分拡大断面図である。
【図4】ポジ型レジストの感光曲線の一例である。
【図5】マイクロレンズアレイを構成する一つのレンズ素子としての球面レンズを形成するためのマスクの概略平面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態としてのマスクの概略平面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態としてのマスクの概略平面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態としての非対称形状を有するマスクの概略平面図である。
【図9】3次元形状を感光性材料に形成するための従来例を説明するための図である。
【図10】従来の別の微細パターン形成技術に使用されるフォトマスクの概略的平面図である。
【図11】従来の更に別の微細パターン形成技術に使用されるフォトマスクの概略的平面図である。
【図12】結像面からレジスト表面までの距離が−9μmの場合のパターン形成結果のSEM写真である。
【図13】結像面からレジスト表面までの距離が−6μmの場合のパターン形成結果のSEM写真である。
【図14】結像面からレジスト表面までの距離が−0μmの場合のパターン形成結果のSEM写真である。
【図15】結像面からレジスト表面までの距離が6μmの場合のパターン形成結果のSEM写真である。
【図16】結像面からレジスト表面までの距離が9μmの場合のパターン形成結果のSEM写真である。
【図17】本発明のマスクによって作成される円弧状のレンズを重ね合わせたような形状のレンズアレイの図である。
【図18】解像不可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクの透過率の補正率を求める方法のチャートである。
【図19】像不解可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクの開口率と透過率との関係を表した図である。
【図20】図3の具体的な構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 マイクロレンズアレイ
2 マイクロレンズアレイ断面の表面
3 サンプリング高さのライン
4 サンプリング点
6 基準平面
15 ドット
16 領域
100−100C マスク
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般には半導体ウェハ用の単結晶基板、液晶ディスプレイ(LCD)用のガラス基板などの露光に係り、特に、露光に使用されるフォトマスクに関する。本発明は、例えば、感光性材料に三次元形状を形成するためのマスクに好適である。
【0002】
【従来の技術】
一般に、リソグラフィー技術を用いて作製される半導体素子の回路パターンは、マスクに形成された開口と遮光部の組合せにより設計され、感光性材料にマスクを透過した露光光を照射することによって転写される。感光性材料の代表例であるレジストにはポジ型とネガ型とがあり、工程毎の状況をみて適宜選択されるのが普通である。また、回路パターンは厚み方向を考慮しないのが一般的である。
【0003】
近年は更なる微細化の目的で部分的な露光量を調整することによって、より微細なパターンを形成する手法が検討されている。そして、高さ方向の形状も部分的な露光量の調整によって制御しようとする提案もなされており、例えば、公開特許昭和63年第289817号公報は、フォトレジストに三次元形状を形成する方法を開示している。以下、図9を参照して同公報について説明する。
【0004】
図9(a)は、ポジ型フォトレジストの特性曲線(感光曲線)を示す。図9(a)に示すように、ポジ型フォトレジストの特性曲線を予め実験的に得ることによって、入射する露光エネルギーと現像後の残留レジスト比との関係を求めることができる。図9(b)に示すように、微小面積を最小単位として、3x3の9個を一かたまりとして考えてみる。図9(b)においては52が遮光部で51が開口である。9個のうち遮光部52の個数を変化させ、図9(c)に示すように、開口部51のみからなる領域53、遮光部52が1個である領域54、遮光部52が2個である領域55、遮光部52が4個である領域56、遮光部52が5個である領域57、遮光部52のみからなる領域57を形成する。この開口密度分布、即ち、透過率分布によって発生する強度分布は、図9(d)に示すように、ポジ型レジストの感度特性によりレジストの膜厚変化に変換される。同公報は、かかるマスクを利用してポジ型レジストに3次元形状を形成することを提案している。
【0005】
また更なる微細構造をパターニングするために各種の改良がマスクに加えられている。その中の一つにハーフトーンマスクを用いた手法がある。これは本来形成したいパターン付近で到達光量を調整することでレジストに形成するパターンサイズを微細化する。
【0006】
また、近年では光学素子の屈折面や反射面に、球面や非球面等に代表される特殊な面形状が使用されるようになってきている。更に、液晶表示素子や液晶プロジェクター等に関連して、マイクロレンズ等にも特殊な面形状が求められている。屈折面や反射面を型成形や研磨によらずに形成する方法として、光学基板の表面にフォトレジストの層を形成し、このフォトレジスト層に対して二次元的な透過率分布を有する露光用マスクを介して露光し、フォトレジストの現像によりフォトレジストの表面形状として凸面形状もしくは凹面形状を得る方法が知られている。その後、フォトレジストと光学基板とに対して異方性エッチングを行い、フォトレジストの表面形状を光学基板に彫り写して転写する。転写の結果、光学基板の表面に所望の三次元構造の屈折面や反射面の形状を得ることができる。
【0007】
このような三次元形状をレジストに形成する技術としては公開特許平成5年第224398号公報に開示された方法がある。図10及び図11を参照して同公報の実施形態を説明する。同公報では解像しない一定ピッチの開口71を並べたパターンを解像可能な周期Pで開口部の面積を変動させている。これによりレジストに露光光を照射した際はここの開口パターンは解像することなく、開口率の変化だけが光量の分布としてあらわれる。開口率は露光量に対する残膜特性から設計されており、発生した光量分布によって感光したレジストパターンは光量分布を残膜量に変換した形状を有している。またここで開口の形状は直線的だけでなく、矩形の解像しない一定周期の開口で形成する手法も開示されている(図11)。さらにマスクに作製する開口サイズによっては投影光学系のフォーカス面を極端にデフォーカス(結像面をレジストが塗布された面とは反対側にする等)させて解像力を調整する手法も開示されている。
【0008】
また別の透過率を調整するマスクとしては光学濃度を制御して透過率の変化を発生されるマスクがある。このようなマスクの一例としては表面にAgアルカリハライドドープ層が形成されたいわゆるHEBS(High Energy Beam Sensitive)ガラスを基板に用いて作製されたものがある。Agアルカリハライドドープ層は、通常のクラウンガラスをAg+イオン交換反応にさらすことにより、ガラス表面に均一に形成される。例えば、Ag+イオンのドープ層は3μm程度の厚さとされている。そして、グレースケールマスクのガラス表面に均一に形成されたドープ層に電子線ビームが照射されて、Ag+イオンからAgになる。そして、Agの部分では紫外線に対して吸収を示す。このようなことから、Agとされた部分に分布をもたせることにより、ドープ層内において紫外線の吸収について異なる分布が形成されるので、グレースケールマスクは、透過される紫外線量を異なるものとすることができる。
【0009】
具体的にはグレースケールマスクは紫外線の透過量について、中間値を有する階調の分布をなすように形成されることで紫外線の透過量分布が連続的に変化するようになされている。例えば、Ag部分がドープ層にある分布を持つようにするためには、電子線照射量、電子線の加速電圧、ビーム電流、ビーム径が制御された電子線ビームを照射することにより可能とされる。
【0010】
また、このような三次元形状をレジストに形成する技術としては上記の公開特許平成5年第224398号公報に開示された方法がある。本方法では投影露光方式でレジストパターンを形成する際にフォーカス面をレジスト膜面上からずらすことによって解像力の調整を行っている。前記公報の第三の実施例において0.9um高さのパターンを作製する際に、フォーカス面を基板側に100umずらしている。つまり、フォーカス面を極端にずらすことで解像力を調整し、透過率制御のためのマスクパターンが作製する三次元形状に現れないようにしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術は以下のような課題を有していた。
【0012】
公開特許昭和63年第289817号公報は、複数の微小単位からなるブロック中の微小単位を遮光部とする数を各領域ごとに変化させ、マスクを透過する光の強度をその各領域ごとに制御している。
しかし、このように遮光部の数を変えるだけの方法ではブロックを構成する微小単位の個数分しかその透過強度の種類(階調)がない。また、微小単位もマスクを製造する装置の性能によりある程度までしか小さくできず、逆に大きすぎると解像してしまい、その微小単位の大きさの変化量(ステップ)もマスク製造装置の性能により制限がかかるため、微小単位の大きさの種類も多くとることができない。以上より、この従来技術では、透過強度の種類(階調)を多くすることはできないという課題があった。
【0013】
また、公開特許平成5年第224398号公報は、マスクに解像しないピッチで開口パターンを並べ、その開口の大きさを徐々に変化させることでそのマスクの透過率を変化させているが、この方法だとそのマスクの各部分の透過率を予測することが難しく、マスクの設計が容易でないという課題があった。
【0014】
また光学濃度を変化させるマスクを用いた方法においてはAg+イオン交換反応にさらしたクラウンガラスを用いるなど、一般的なリソグラフィーに用いられるマスク製造方法とは異なっており、コストがかかる。
【0015】
また、三次元形状をレジストに形成する方法として公開特許平成5年第224398号公報に開示された従来技術も、作製すべきパターンが極めて滑らかな曲面を有する場合には有効であるが、所望の形状が複雑な場合にはデメリットも無視できない。すなわち、マイクロレンズアレイ(後述する図17のようなもの)において、隙間無くレンズを充填しようとすると、レンズ間のつながり部は曲面ではなく急峻な形状となる。このような形状を再現するためには光学系やリソグラフィーの工程に極めて高い性能が要求される。またレンズアレイの隣接レンズの高さが不連続な場合なども、理想的には垂直な側壁が要求される。この場合にも同様にして装置、プロセスに高い性能が要求される。これに対して従来技術では基本的に露光装置、プロセス共にローパスフィルターとして機能させ、すなわち解像力を積極的に低下させること目的としており、昨今の複雑な微細形状の要求に対して必ずしも十分とは言えない。また本発明者が鋭意検討した結果、マスクでパターニングを行う際は、レジスト表面に結像面を調整すると特徴的な問題が発生することが分かった。本発明ではマスクに複数の領域を設け、その領域ごとに所定のパターンサイズとピッチの開口(若しくは遮光)のパターンを配置している。このときその複数の領域の境界の近傍においては、その開口(若しくは遮光)のパターンを配置するか配置しないかの取捨選択条件を設定しなければならない。一般的には、一定の判断基準を設けて配置、不配置を決める。従って、一定の判断基準によってパターンの有無という設計行為が二値化してしまう。これにより、パターンを配置する領域境界では微妙な解像不可能パターンの粗密がマクロに観察した場合にも認められるという現象が起きる。さらに前記粗密のパターン分布が、投影光学系の結像面をレジスト表面に調整した際に顕著に表面形状に現れる。つまり表面が荒れてしまうのである。
【0016】
そこで、本発明は、上記課題を解決する新規かつ有用なマスク及び三次元形状をレジストに形成する方法を提供することを概括的な目的とする。
【0017】
より特定的には、作成が比較的容易で、3次元形状を感光性材料に良好に形成可能なマスクを提供することを本発明の例示的な目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の別の一側面としてのマスクは、解像不可能なピッチで開口又は遮光のパターンを配置し、該パターンのピッチ及びサイズを少なくとも複数の領域毎に変えて、該領域毎の開口部が占める面積の比率である開口率に違いを持たせたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の別の一側面としてのマスクは、感光性材料に三次元形状を形成するのに使用されるマスクであって、直交する二方向に解像不可能なピッチで開口又は遮光のドットパターンを配置し、該ドットパターンのピッチ及びドットサイズを少なくとも複数の領域毎に変えて、該領域毎の開口部が占める面積の比率である開口率に違いを持たせたことを特徴とする。かかるマスクは、開口率を調整する開口部または遮光部を解像させないために、パターンの配置を直交する二方向において周期性を持たせ、かつ周期性のピッチを解像限界以下としたことを第一の特徴とする。またマスクを複数の領域に分けて、それぞれの領域毎に第一の特徴となる条件を満たす範囲でピッチとパターンサイズを変更して開口率に分布を持たせたことを第二の特徴とする。
【0020】
前記ドットパターンは、二つの座標軸を有する直交座標系上に、各座標軸に平行に配置されていてもよい。かかるマスクは、ドットパターンの配置を直交座標系にて設計することによって簡単に設計可能となる。また、前記直交座標系の原点は前記マスク中心に一致していてもよい。これにより、マスクの設計はより簡単になると共にマスク製造時のデータ作成も簡単になる。前記三次元形状は基本形状を複数並べたアレイ状で、前記直交座標系の原点は基本形状の対称点又は中心に一致していてもよい。かかるマスクは、ドットパターン配置の原点を基本図形の中心と一致させることによって簡単に設計可能となる。
【0021】
代替的に、前記ドットパターンは、極座標系上に、座標原点を通る直線と前記直線と直交し、前記座標原点を中心とする円に沿って配置されていてもよい。かかるマスクは、ドットパターンの配置を極座標系にて設計することによって、特に、露光により点対称な形状を作製するマスクの設計が簡単になる。前記三次元形状は点対称で、前記極座標系の原点は前記点対称形状の対称点にほぼ一致していてもよい。かかるマスクは、ドットパターンを配置する極座標系の原点がマスク中心とほぼ一致させることにより、特に、点対称形状マスクが簡単に設計可能になると共にマスク製造時のデータ作成も簡単になる。前記三次元形状は基本形状を複数並べたアレイ状で、かつ、点対称形状で、前記極座標系の原点は前記基本形状の対称点に一致していてもよい。これにより、特に基本図形が点対称である場合にマスクの設計が簡単になる。
【0022】
本発明の別の側面としてのマスクは、基板上の感光性材料に三次元形状を形成するのに使用されるマスクであって、前記基板の表面を基準平面とし、前記三次元形状の表面に少なくとも複数の等しい高さの等高線を設計し、前記等高線を直下の前記基準平面上に投影した線を設計し、前記投影された線をドットパターンのピッチに等しい間隔で設計し、前記投影された線上に解像限界以下のピッチでドットパターンを配置したことを特徴とする。かかるマスクは、特に、対称性が認められない形状に対してマスクの設計が簡単になる。
【0023】
本発明の更に別の側面としてのマスクは、感光性材料に三次元形状を形成するのに使用されるマスクであって、解像不可能なピッチで開口又は遮光のライン上のパターンを配置し、該パターンのピッチとライン幅を少なくとも複数の領域毎に変えて、該領域毎の開口部が占める面積の比率である開口率に違いを持たせたことを特徴とする。かかるマスクは、開口率を調整する開口部又は遮光部を解像させないために、ライン状のパターンを解像限界以下のピッチで配置したことを第一の特徴とする。またマスクを複数の領域に分けて、それぞれの領域毎に第一の特徴となる条件を満たす範囲でピッチとパターンサイズを変更して開口率に分布を持たせたことを第二の特徴とする。前記ライン状パターンのラインの向きは少なくとも複数の領域毎に異なってよい。かかるマスクは、ライン状の開口が直線で、直線の向きはマスク上に複数あって全ての領域で同じ方向に直線が向いていないことを特徴とし、三次元形状の形と直線の向きによるパターンの偏りを緩和する効果を有する。
【0024】
上述のいずれかのマスクにおける開口率は、例えば、前記感光性材料を露光する露光量と前記感光性材料の残存する膜厚との関係を把握する工程と、前記複数の領域の夫々の領域に対応する前記感光性材料の所望の膜厚を求める工程と、前記関係から前記求めた所望の膜厚に対応する前記露光量を求める工程と、前記複数の領域の前記露光量の相対比率を求める工程からなる設計手順によって求まる相対的な露光量比率に等しくてもよい。これにより、三次元形状を形成するためのマスクを確実に作製することができる。
【0025】
なお、上述のいずれかのマスクを用いて作製された前記感光性材料を有する光学素子も本発明の一側面を構成する。かかる光学素子は、このように、露光及び現像のみで光学素子を得ることができる。また、上述のいずれかのマスクを用いて作製された前記感光性材料をマスクとして使用し、異方性ドライエッチングによって基板に形状転写して作製された光学素子も本発明の一側面を構成する。光学素子として機能する材料が必ずしも感光性特性を有しなくても良くなるために、光学素子の材質、つまりは用途を格段に拡大することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図5を参照して本発明の第一の実施形態を説明する。ここで、図1は、本実施形態により形成しようとする三次元形状を有するマイクロレンズアレイ1の概略部分斜視図である。図2は、図1に示す線A−Aに沿った、等高線とマイクロレンズアレイ1との関係を説明するための部分断面図である。図3は、マイクロレンズアレイ1のサンプリングを説明するための部分拡大断面図である。図4は、ポジ型レジストの感光曲線の一例である。図5は、マイクロレンズアレイ1を構成する一つのレンズ素子としての球面レンズを形成するためのマスク100の平面図である。
【0027】
マイクロレンズアレイ1は、図1に示すように複数の球面レンズ1aから構成されている。このレンズアレイを構成要素のレンズの中心を通る断面で観察したものが図2である。図2において、2は断面図での表面形状、3はサンプリング高さのスライスライン(即ち、サンプリングするために基板を基準に設定した等しい高さの線)、4は形状2とスライスライン3の交点である。スライスライン3によってレンズ1の表面をサンプリングすると実際には基準面からの高さが等しい等高線が得られている。次に、スライスライン3と表面形状2との交点を形状のサンプリング点4(実際には等高線)とする。このサンプリング点4を元に複数の領域を設定する。かかる様子を、図3を参照してより詳細に説明する。
【0028】
図3に示すように、表面形状2上に複数のサンプリング点4が求められる。図3において、6は基準平面、7はサンプリング点からの水平線、8は領域境界からの垂直線と水平線7の交点、9は領域境界点(線)、10、11はそれぞれサンプリング点を基準平面に投影した点である。サンプリング点4を基準平面6に投影した点10及び11で、隣接する投影したサンプリング点の中点を求める。中点は三次元形状を作製する上でマスク開口率を変化させる領域境界9を与える。領域境界9が求まった後は、領域内の高さをサンプリング点4の高さで代表し、領域内部の開口率(各領域内において開口部が占める面積の比率)を決定する。
【0029】
図20に図3の具体的な構成例を示している。即ち、図20に示す基板200上の感光性材料(レジスト)210に所望の三次元形状を形成するのに上述のマスク100が使用される。220は基準平面である。
【0030】
図4は露光量とレジストの残存膜厚との関係の一例を示している。所望のレジスト高さh1、h2、h3が決まると図4の特性図より必要な露光量D1、D2、D3が求まる。図4に示す別途測定してある感光性材料の露光量と残膜の特性から代表高さに対応する露光量を求める。たとえばサンプリング点のレジスト高h2の場合には露光量D2が求まる。さらに三次元形状でもっとも露光量を必要とする部位の露光量を100%として各領域毎の露光量の最大露光量からの比率をもとめ、開口率を求める。図4において、5は感光性材料であるポジ型レジストの感度特性である。感度特性は、入射エネルギーとしての露光量と、現像後に残留するレジストの膜厚との関係を示している。
【0031】
マスクの開口率を制御して得られる感光性材料の形状はつぎの手順で求められる。それぞれのサンプリング点4において水平に線7を延ばし、かつマスク開口率の領域境界点9から垂直方向に伸ばした線との交点8をもとめる。サンプリング点4を通る直線7は交点8まで伸び、交点8ではそれぞれ隣接する高さまで垂直に結べば設計したマスクによって得られる感光性材料の形状となる。ただし、感光性材料の解像力を含め、プロセス全体の解像力と比較してサンプリングの間隔が十分に密であれば、前記矩形の近似形状ではなく、連続的な滑らかな曲線が得られることが分かっている。
【0032】
次に、求められた開口率をつかってマスク100を設計/製作する。マイクロレンズアレイ1は目的の形状が球面レンズ1aを集めたものなので、図5に示すように、基本となる球面レンズ1aを抜きだして考える。なお、図5において、12は等高線、13、14は直交座標系の二軸にそった配置線、15はドットパターン、16は領域である。基本図形である球面レンズ1aの対称点と基本図形の中心は一致している。同図に示すように、等高線12を用いてマスク領域16を設計すると領域境界はレンズ中心と中心を同一にする同心円となる。ここでは中央部の領域を代表して表している。それぞれの領域毎の開口率に応じてピッチとドットパターンのサイズを変えている。各領域においてピッチとドットパターンのサイズの両方を変化させているので、ピッチの種類とドットパターンのサイズの種類とを掛け合わせただけの種類の開口率に各領域を設定することが可能である。また、領域ごとにピッチとドットパターンのサイズを設定しているため、その領域ごとの透過率を予測することが容易となる。ここでドットパターンは使うレジストによってドットが開口部であってもよいし、ドットが遮光部であってもよい。開口部のドットを配置する場合、ピッチの半分となるサイズのドットパターンを一様に配置すると開口率は25%である。
【0033】
ドットパターンの配置は基本形状の中心、ここでは領域境界の中心と同じ位置を原点として、所望のピッチでます目を描く。前記ます目の交点上にドットパターンを配置して行く。一つ外側の領域においても基本形状の中心を原点としてます目を描き、そのます目の交点にドットパターンを配置する。そして、所望の領域内部にます目の交点が存在する場合のみドットパターンを配置し、ドット配置の点(ます目の交点)が領域を外れた場合にはドットパターンを配置しない。
ここではアレイ形状が目標となる形状であったが、マスク100の中心をドット配置のます目の原点としてもマスク設計は可能である。ただし、アレイ形状の場合はマスク設計データ作成時に基本図形について作成し、基本図形のデータを繰り返す手法が良く使われる。従って、アレイ形状の場合にはドットパターン配置の原点を基本図形の中心に設定すると、マスク設計および製造がより簡単になる。
【0034】
ここで得られた感光性材料でできたレンズアレイはこのまま光学素子として使用することも可能である。本実施形態ではさらに紫外光線で使える光学素子とするために石英ガラスを基板とし、感光性材料に用いたレジストをマスクとして異方性ドライエッチングを行うことで三次元形状を石英基板に転写した。異方性ドライエッチングは平行平板型のRIE(リアクティブイオンエッチング)装置を用いて行った。感光性材料に市販のフォトレジスト材料(クラリアント社製AZ−P4903レジスト(商品名))を用いて形成した三次元形状をエッチング転写したところ良好な性能を示すレンズアレイを作製できた。このように異方性のドライエッチング等を用いて三次元形状の感光性材料をマスクとして基板に形状を転写すると、本発明で提供する三次元形状形成マスクで形状を作製するために必須な感光性という特性と、光学素子自身が持つべき光学特性とを材料が合わせ持つ必要がなくなる。したがって、別材料に転写することで本発明によるマスクによって作製される三次元形状の適用範囲が格段に広がることになる。
【0035】
また、本実施形態ではレンズアレイの基本形状の輪郭は矩形であったが、矩形以外の輪郭であってもマスク設計仕様の違いであって、本発明の効果には影響しない。例えば、公開特許昭和62年第115718号公報に開示された一部の境界が円弧状のレンズアレイであっても、基本形状のマスク部分の境界が直線から一部円弧にするだけで対応することができる。
【0036】
以下、本発明の第二の実施形態を、図6を参照して説明する。ここで、図6は図5に示すマスク100の変形例としてのマスク100Aを示す平面図である。図5は直交平面座標を使用したのに対して図6は極座標を使用している。図6において、17、19はパターン配置の説明用の線、18は領域境界であり、目的とする三次元形状や各領域を設計するところは第一の実施形態と同じである。
【0037】
第一の実施形態では直交座標系にドットパターンを配置するマス目を設計していた。本実施形態では極座標系でドットパターンの配置を設計する。図に示した通り、原点を通る直線上に第一の軸17を考え、これとは直交するように円周上の第二の軸19を考える。ここで第二の軸19の間隔は各領域で必要な開口率から求まるピッチに等しい。円周上の各第二の軸19が求まったところで、軸19に沿ってドットパターンを所望のサイズ、所望のピッチで配置する。このようにして設計/製作されたマスク100Aを用いて露光作業を行ったところ、良好な三次元形状が得られた。
【0038】
ここではレンズアレイを作製しているため、基本図形の中心に座標原点を一致させたが、アレイ構造でない場合にはマスク中心に原点を配置しても構わない。また本実施形態によるマスク設計手法では、極座標原点を対称点とする点対称な構造を有する形状を作製する際に特に有用である。
【0039】
以下、図7を参照して本発明の第三の実施形態について説明する。ここで、図7は、図5及び図6に示すマスク100及び100Aの更なる変形例としてのマスク100Bの概略平面図である。図7において、20は領域境界であり21は領域である。目的とする三次元形状や各領域を設計するところは第一の実施形態と同じである。本実施形態ではライン状のパターンのうち直線パターンを使って開口率を調整している。ピッチの半分の幅のラインパターンを開口とした場合、開口率は50%である。
【0040】
直線の向きはマスク100Bの全面において統一した設計でもよいが、ここでは直交する二種類の方向を設定し、領域毎に繰り返し直線の向きの選択を変えた。直線パターンの向きを複数用意することは露光装置の投影光学系への負担が一箇所へ集中することを避けることができる。このことは露光装置への負担を均一化する方向であり、装置負荷の点で考慮すべき設計要件と考えられる。このようにして設計/製作されたマスク100Bを用いて露光作業を行ったところ、良好な三次元形状が得られた。
【0041】
以下、図8を参照して本発明の第四の実施形態を説明する。ここで、図8は、非対称形状を有するマスク100Cの概略平面図である。22は等高線、23ドットパターンである。図8はマスク100Cの設計例を示し、等高線で示される非対称な形状をパターニングするためのものである。
【0042】
ここで領域境界は第一乃至第三の実施形態と同様に等高線によるサンプリング線の中間の線で定義される。本実施形態では求められた領域内部の開口率を以下のドットパターン配置の方法によって設計する。各領域内部では開口率に対応するピッチに等しい間隔で領域境界と平行に線を求める。前記手法で求めた複数の線上に所望のピッチで所望のサイズのドットパターンを配置して行く。ここではドットパターンの一つ一つは矩形形状からなり、その向きは一定である。領域境界線上は高さがより高い領域に含める。従って、領域境界線上には隣接する2つの領域のうち、目的とする形状の高さが高い領域と同じピッチ/サイズのドットパターンを配置する。このようにして設計/作製したマスク100Cを用いて露光作業を行ったところ、良好な三次元形状が得られた。
【0043】
以下、図12乃至図16を参照して本発明の第四の実施形態を説明する。本発明を実施するにあたり、AZ−P4903(クラリアント社製)ポジ型レジストを20umの膜厚で塗布した。解像限界以下のパターンで透過率を調整したマスクを用いて、結像面をレジスト表面から徐々に離しながらパターニングを実施してみた。その時のSEM写真が図12乃至図16である。
結像面の位置をレジスト表面からの距離で示すと図12からそれぞれ−9um、−6um、0um、6um、9umである。結像面がレジスト表面にある場合に最も表面にパターン配置のマクロな粗密分布がパターンとして発生している。本実施例よりレジスト表面から結像面を離せば、得られる形状の表面は滑らかになることが分かる。また結像面がレジスト内部でも、レジストから離れる位置にあっても同様の効果が得られていることが分かる。ここでどの程度結像面を表面から離すかは、求める表面の精度によって異なる。
以下、図17を参照して本発明の第四の実施形態の変形例を説明する。本変形例では、図17のような円弧状のレンズを重ね合わせたような形状のレンズアレイを作成している。このレンズアレイは公開特許昭和62年第115718号公報に記載されているものである。このレンズアレイにおいては個々のレンズ(円弧状のレンズ)の表面形状は球面の一部であるが、個々のレンズの切り出し形状が特殊であるため、隣接するレンズ同士のつながり部は高さが異なっている(個々のレンズの境界に段差がある)。すなわち設計上は垂直な側壁を有する。このような垂直な側壁を形成するためには露光装置を含むパターニングの工程が極めて高い空間周波数までを再現できる必要がある。そこで垂直側壁が存在する高さ(個々のレンズの境界の段差の部分)に露光装置の結像面を調整することで、高い空間周波数を必要とする形状の位置に最大の解像力が発揮されるようにした。このように装置を含めて工程を調整することで、良好な形状を作製することができた。なお、図17はレンズアレイであったが、表面を反射面とすれば、米国特許番号USP6195201の図4、図5のようなミラーアレイを作ることも同様に可能である。
【0044】
以下、図18、19を参照して本発明の第五の実施形態の変形例を説明する。以下では、特定の開口率の解像可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクを使い露光したレジストの残膜量と、特定の開口率の解像不可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクを使い露光したレジストの残膜量とを比較することにより、解像不可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクの透過率の補正率を求める方法について示す。(解像不可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクを使った場合には、そのマスクの開口部を通過した回折光の一部が露光装置の投影系の絞りによりケラれてしまう場合があるためこのような補正率が必要となる。)
まず、特定の開口率の解像可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクを用意した(STEP1)。さらに、露光装置の光量制御を用いてさまざまな露光量のもと露光を行った(STEP2)。それにより、できあがったレジストパターンはその露光量に応じてレジストの膜厚が減少している。このとき現像条件を統一しておくのは言うまでもない。それぞれを触針式の段差計を用いて測定する(STEP3)。
【0045】
次に、特定の開口率の解像不可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクを用意して(STEP11)、それを用いてレジストを露光し現像する(STEP12)。ここで先ほどと同様にレジストの膜厚減少分を触針式段差計にて測定する(STEP13)。
【0046】
最後に両者の測定結果を比較する(STEP14)ことにより、実効的な露光量が求まり、解像不可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクの透過率の補正率を求めることができる(図18)。
【0047】
図19は、像不解可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクの開口率と透過率との関係を表した図である。実際にマスクを設計する際は、所望の形状を高さに応じてサンプリングする。求められた高さは露光量とレジスト残膜特性を用いて必要な露光量に換算される。さらに求められた露光量は最大露光量で規格化されて透過率に変換される。ここで本発明で提供する補正率を適用してマスクを設計する。つまり、設計された透過率を図19の開口率と実効透過率の対応結果を元に開口率へと変換するのである。このような作業をおこなうことで、マスクパターンの回折現象によって結像に寄与しない光量に配慮して、より精度が高い透過率制御を達成することができ、使用する露光システム全体の特性を包含した補正率を簡便に把握することができ、より精度が高い透過率制御を達成する。
【0048】
以上、上述した実施形態の一又は複数によれば、(1)投影露光方法において開口率を調整している開口及び遮光部を解像することなくマスクを透過する露光光の光量を調整することで露光量分布を発生させ、感光性材料に三次元形状を作製することができる、(2)開口部または遮光部のサイズだけではなく、そのピッチも変化させることで、一般的なマスク製造装置を使って、細かい露光量制御を可能にする、(3)マスクを複数の領域に分け、その領域ごとに開口部または遮光部のサイズ及びそのピッチをほぼ一定(つまり開口率をほぼ一定)としているので、その領域の透過率を予測することが容易となり、しいてはマスクの設計が容易となる、(4)一般的なリソグラフィーで用いられているマスク製造方法で作製できるマスクを用いて三次元形状を作製可能とする、等の作用を奏する。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、作成が比較的容易で、3次元形状を感光性材料に良好に形成可能なマスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態により形成しようとする三次元形状を有するマイクロレンズアレイの概略部分斜視図である。
【図2】図1に示す線A−Aに沿った、等高線とマイクロレンズアレイとの関係を説明するための部分断面図である。
【図3】マイクロレンズアレイのサンプリングを説明するための部分拡大断面図である。
【図4】ポジ型レジストの感光曲線の一例である。
【図5】マイクロレンズアレイを構成する一つのレンズ素子としての球面レンズを形成するためのマスクの概略平面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態としてのマスクの概略平面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態としてのマスクの概略平面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態としての非対称形状を有するマスクの概略平面図である。
【図9】3次元形状を感光性材料に形成するための従来例を説明するための図である。
【図10】従来の別の微細パターン形成技術に使用されるフォトマスクの概略的平面図である。
【図11】従来の更に別の微細パターン形成技術に使用されるフォトマスクの概略的平面図である。
【図12】結像面からレジスト表面までの距離が−9μmの場合のパターン形成結果のSEM写真である。
【図13】結像面からレジスト表面までの距離が−6μmの場合のパターン形成結果のSEM写真である。
【図14】結像面からレジスト表面までの距離が−0μmの場合のパターン形成結果のSEM写真である。
【図15】結像面からレジスト表面までの距離が6μmの場合のパターン形成結果のSEM写真である。
【図16】結像面からレジスト表面までの距離が9μmの場合のパターン形成結果のSEM写真である。
【図17】本発明のマスクによって作成される円弧状のレンズを重ね合わせたような形状のレンズアレイの図である。
【図18】解像不可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクの透過率の補正率を求める方法のチャートである。
【図19】像不解可能な開口部(又は遮光部)を有するマスクの開口率と透過率との関係を表した図である。
【図20】図3の具体的な構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 マイクロレンズアレイ
2 マイクロレンズアレイ断面の表面
3 サンプリング高さのライン
4 サンプリング点
6 基準平面
15 ドット
16 領域
100−100C マスク
Claims (13)
- 解像不可能なピッチで開口又は遮光のパターンを配置し、該パターンのピッチ及びサイズを少なくとも複数の領域毎に変えて、該領域毎の開口部が占める面積の比率である開口率に違いを持たせたことを特徴とするマスク。
- 感光性材料に三次元形状を形成するのに使用されるマスクであって、
直交する二方向に解像不可能なピッチで開口又は遮光のドットパターンを配置し、該ドットパターンのピッチ及びドットサイズを少なくとも複数の領域毎に変えて、該領域毎の開口部が占める面積の比率である開口率に違いを持たせたことを特徴とするマスク。 - 前記ドットパターンは、二つの座標軸を有する直交座標系上に、各座標軸に平行に配置されていることを特徴とする請求項2記載のマスク。
- 前記直交座標系の原点は前記マスク中心に一致していることを特徴とする請求項3記載のマスク。
- 前記三次元形状は基本形状を複数並べたアレイ状で、前記直交座標系の原点は基本形状の対称点又は中心にほぼ一致していることを特徴とする請求項3記載のマスク。
- 前記ドットパターンは、極座標系上に、座標原点を通る直線と前記直線と直交し、前記座標原点を中心とする円に沿って配置されていることを特徴とする請求項2記載のマスク。
- 前記三次元形状は点対称で、前記極座標系の原点は前記点対称形状の対称点にほぼ一致していることを特徴とする請求項6記載のマスク。
- 前記三次元形状は基本形状を複数並べたアレイ状で、かつ、点対称形状で、前記極座標系の原点は前記基本形状の対称点に一致していることを特徴とする請求項6記載のマスク。
- 基板上の感光性材料に三次元形状を形成するのに使用されるマスクであって、
前記基板の表面を基準平面とし、前記三次元形状の表面に少なくとも複数の等しい高さの等高線を設計し、前記等高線を直下の前記基準平面上に投影した線を設計し、前記投影された線をドットパターンのピッチに等しい間隔で設計し、前記投影された線上に解像限界以下のピッチでドットパターンを配置したことを特徴とするマスク。 - 感光性材料に三次元形状を形成するのに使用されるマスクであって、
解像不可能なピッチで開口又は遮光のライン状のパターンを配置し、該パターンのピッチとライン幅を少なくとも複数の領域毎に変えて、該領域毎の開口部が占める面積の比率である開口率に違いを持たせたことを特徴とするマスク。 - 前記ライン状パターンのラインの向きは少なくとも複数の領域毎に異なることを特徴とする請求項10記載のマスク。
- 前記マスクにおける開口率は、前記感光性材料を露光する露光量と前記感光性材料の残存する膜厚との関係を把握する工程と、前記複数の領域の夫々の領域に対応する前記感光性材料の所望の膜厚を求める工程と、前記関係から前記求めた所望の膜厚に対応する前記露光量を求める工程と、前記複数の領域の前記露光量の相対比率を求める工程からなる設計手順によって求まる相対的な露光量比率に等しいことを特徴とする請求項1乃至11のうちいずれか一項記載のマスク。
- 請求項1乃至12のうちいずれか一項記載のマスクを用いて作製された前記感光性材料をマスクとして、異方性エッチングにより、基板に前記感光材料の形状を転写することを特徴とする光学素子の製造方法。
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