JP5671843B2 - ドライエッチング用のトレーとそれを用いたドライエッチング方法とトレーの製造方法およびモールドの製造方法 - Google Patents
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Description
上記のナノインプリント技術として、光インプリント法や熱インプリント法が知られている。光インプリント法では、例えば、基板表面に被加工物として光硬化性の樹脂層を形成し、この樹脂層に所望の凹凸構造を有するモールドを押し当てる。そして、この状態でモールド側から樹脂層に光を照射して樹脂層を硬化させ、その後、モールドを樹脂層から引き離す。これにより、モールドが有する凹凸が反転した凹凸構造(凹凸パターン)を被加工物である樹脂層に形成することができる(特許文献2)。また、熱インプリント法では、加熱により軟化させた状態で樹脂層にモールドを押し当て、冷却して樹脂層を硬化させた後にモールドと樹脂層との離型が行われる。
また、このように作製されたコピーモールドは、ナノインプリントで微細パターンを転写すべきパターニング材料が付着しやすいので、これを防止するために、フッ素系樹脂等の離型剤を表面に塗布する必要がある。しかし、離型剤が均一に塗布されず、安定した離型性が得られないという問題があった。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、ナノインプリント技術に用いるモールドを高い精度で製造する方法と、このモールドの製造を簡便に行うことができるドライエッチング用のトレーとその製造方法、および、このトレーを用いたドライエッチング方法を提供することを目的とする。
本発明の他の態様として、前記開口面積率調整層がドライエッチング可能な材質であり、かつ、そのエッチングレートは前記被エッチング体のエッチングレートと同じであるような構成とし、また、前記開口面積率調整層の材質は、前記被エッチング体の材質と同じであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記開口面積率調整層は、前記凹部を囲むような環状であるような構成とし、また、2以上の前記開口面積率調整層が同心となるように位置するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記開口面積率調整層は、前記凹部を囲むように不連続で、かつ、等間隔に位置する同一形状の複数個の開口面積率調整層からなるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記トレーは、前記基体がドライエッチング可能な材質であり、かつ、そのエッチングレートを前記被エッチング体のエッチングレートと同じものとするような構成とし、また、前記基体の材質を、前記被エッチング体の材質と同じものとするような構成とした。
本発明の他の態様として、前記トレーは、前記開口面積率調整層がドライエッチング可能な材質であり、かつ、そのエッチングレートを前記被エッチング体のエッチングレートと同じものとするような構成とし、また、前記開口面積率調整層の材質を、前記被エッチング体の材質と同じものとするような構成とした。
本発明の他の態様として、前記トレーの前記開口面積率調整層を、前記凹部を囲むような環状とするような構成とし、また、2以上の前記開口面積率調整層を同心となるように位置させるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記開口面積率調整層を、前記凹部を囲むように不連続で、かつ、等間隔に位置する同一形状の複数個の開口面積率調整層からなるようにするような構成とした。
本発明の他の態様として、前記第1開口面積率調整部材および前記第2開口面積率調整部材は、マスターモールド用の基材あるいはコピーモールド用の基材の外形に対応した開口部を有する環状部材であり、該環状部材と前記開口面積率調整層は、一方がドライエッチング可能な材質であり、他方がドライエッチングされない材質であるような構成とした。
[ドライエッチング用のトレー]
図1は、本発明のドライエッチング用のトレーの一実施形態を示す平面図であり、図2は、図1に示されるドライエッチング用のトレーのI−I線における断面図である。図1および図2において、本発明のドライエッチング用のトレー1は、基体2と、この基体2の一つの面2aに位置する被エッチング体嵌合用の凹部3と、この凹部3の周囲に位置する面2aである開口面積率調整面4と、この開口面積率調整面4を0〜100%の範囲で被覆する開口面積率調整層5と、を備えている。
ここで、本発明における開口面積率とは、被エッチング体のドライエッチングを受ける面の面積をSwとし、この面においてエッチングマスク等のドライエッチングされない材質で被覆されていない部位の面積(ドライエッチングの対象となる面積)をSeとしたときに、(Se/Sw)×100で算出される値である。
ドライエッチング可能な材質としては、被エッチング体と同じ材質が好ましい。また、所望のドライエッチング条件における被エッチング体のエッチングレートとの差が5%以下、好ましくは3%以下であるようなエッチングレートを有する材質も好適に使用することができる。両者のエッチングレートの差が5%を超えると、開口面積率調整面4を被覆する開口面積率調整層5の被覆率を調整することによる開口面積率の調整でドライエッチングの加工結果を制御することが困難となり好ましくない。尚、本発明におけるエッチングレートは、例えば、トレー1の基体2と開口面積率調整層5との段差を触針式段差計を用いて計測し、エッチングによる段差の増加量から算出する。
一方、ドライエッチングされない材質としては、所望のドライエッチング条件において耐エッチング性(エッチングレート=0)を有する材質であり、また、被エッチング体のエッチングレートに対して、10%以下、好ましくは3%以下の低いエッチングレートを有する材質も含まれる。ドライエッチングされない材質のエッチングレートが上記の範囲よりも高く、耐エッチング性が不十分な場合、開口面積率調整面4を被覆する開口面積率調整層5の被覆率を調整することによる開口面積率の調整でドライエッチングの加工結果を制御することが困難となり好ましくない。
基体2の厚みは、基体2の強度、取り扱い適性、被加工物の材質等、および、凹部3の深さ等を考慮して設定することができ、例えば、0.5〜30mm程度の範囲で適宜設定することができる。
トレー1を構成する凹部3は、被エッチング体を嵌合して保持するためのものであり、凹部3の開口形状、開口寸法、深さは被エッチング体の形状を考慮して適宜設定することができる。また、凹部3は、ドライエッチングの加工結果の制御の精度を高めるために、基体2の中央部に位置(凹部3の周囲に開口面積率調整面4が均等に存在)することが好ましい。
トレー1を構成する開口面積率調整層5は、開口面積率調整面4を0〜100%の範囲で被覆することにより、被エッチング体を嵌合保持した状態でのトレー1と被エッチング体全体における開口面積率を調整するためのものである。そして、本発明では、この目的を達するために、開口面積率調整面4に開口面積率調整層5が存在しない場合(0%被覆)、開口面積率調整面4の全域に開口面積率調整層5が存在する場合(100%被覆)も含まれる。また、開口面積率調整層5は、上記のように、基体2(開口面積率調整面4)がドライエッチング可能な材質の場合、ドライエッチングされない材質からなり、基体2(開口面積率調整面4)がドライエッチングされない材質の場合、ドライエッチング可能な材質からなる。
このような開口面積率調整層5は、凹部3の周囲の開口面積率調整面4に均等に存在することが好ましく、図示例では、凹部3を囲むような環状となっている。また、本発明のトレー1では、図3に示されるように、複数の環状の開口面積率調整層5(図示例では内径の大きい開口面積率調整層5aと内径の小さい開口面積率調整層5bの2個)が同心となるように開口面積率調整面4に位置するものであってもよい。さらに、図4に示されるように、開口面積率調整層5は、凹部3を囲むように不連続で、かつ、等間隔に位置する同形状の複数個(図示例では6個)の開口面積率調整層5cからなるものであってもよい。
上述の本発明のドライエッチング用のトレーの実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図5に示されるように、基体2の外形形状が円形であり、被エッチング体を嵌合するための凹部3の開口形状が正方形であるもの、図6に示されるように、基体2の外形形状が正方形であり、被エッチング体を嵌合するための凹部3の開口形状も正方形であるもの、図7に示されるように、基体2の外形形状が正方形であり、被エッチング体を嵌合するための凹部3の開口形状が円形であるような実施形態も可能である。
図8及び図9は、本発明のドライエッチング方法の一実施形態を説明するための工程図である。本発明のドライエッチング方法は、基材上にエッチングマスクを形成した被エッチング体であって、露出する基材面積が異なる2種以上の被エッチング体に対して、同じドライエッチング条件でドライエッチングする方法であり、上述の本発明のドライエッチング用のトレーを用いるものであり、図8、図9では、上述のトレー1を用いた例を示している。
尚、被エッチング体11のエッチングマスク13と、トレー1Aの開口面積率調整層5とが同じ材料である場合、トレー1Aの凹部3に被エッチング体11を嵌合した状態で、エッチングマスク13と開口面積率調整層5とを同一工程で成膜、パターニングしてもよい。また、被エッチング体21のエッチングマスク23と、トレー1Bの開口面積率調整層5とが同じ材料である場合、トレー1Bの凹部3に被エッチング体21を嵌合した状態で、エッチングマスク23と開口面積率調整層5とを同一工程で成膜、パターニングしてもよい。
尚、上記の例では、トレー1A,1Bは、基体2が、被エッチング体11,21の基材12,22をエッチングするガスによりドライエッチング可能な材質からなり、開口面積率調整層5はドライエッチングされない材質からなる場合であるが、基体2がドライエッチングされない材質からなり、開口面積率調整層5がドライエッチング可能な材質からなる場合であっても、同様に、開口面積率R1と開口面積率R2との差が±10%以下となるように開口面積率調整面4を被覆する開口面積率調整層5の被覆率を調整することができる。
上述の本発明のドライエッチング方法の実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
図10は、本発明のドライエッチング用のトレーの製造方法の一実施形態を説明するための工程図である。
本発明は、ドライエッチング時に被エッチング体を保持するためのドライエッチング用のトレーを製造するための方法であり、まず、基体2の一つの面2aに被エッチング体嵌合用の凹部3を形成するとともに、この凹部3の周囲の面2aを開口面積率調整面4とする(図10(A))。
使用する基体2は、後工程で形成する開口面積率調整層5との関係が、一方がドライエッチング可能な材質であり、他方がドライエッチングされない材質となるものである。したがって、(1)基体2がドライエッチング可能な材質の場合、開口面積率調整層5はドライエッチングされない材質であり、(2)開口面積率調整層5がドライエッチング可能な材質の場合、基体2はドライエッチングされない材質となる。尚、ドライエッチング可能な材質、および、ドライエッチングされない材質については、上述の本発明のドライエッチング用のトレーでの説明と同様であるので、説明を省略する。
次に、ドライエッチングの対象となる被エッチング体と同形状のダミー部材7を凹部3に嵌着する(図10(B))。ダミー部材7は、後工程で開口面積率調整面4上に開口面積率調整層5を形成する際の耐性を有する材質であれば特に制限はない。
次いで、上記の基体2がドライエッチング可能な材質からなる場合には、開口面積率調整面4とダミー部材7とを被覆するように、ドライエッチングされない材質からなる耐エッチング層5′を形成し、また、上記の基体2がドライエッチングされない材質からなる場合には、開口面積率調整面4とダミー部材7とを被覆するように、ドライエッチング可能な材質からなるエッチング層5′を形成する(図10(C))。このような耐エッチング層5′、あるいは、エッチング層5′は、所望の塗布液をスピンコート法等により塗布する方法、あるいは、スパッタリング法等の真空成膜法により形成することができる。尚、ドライエッチング可能な材質、および、ドライエッチングされない材質については、上述の本発明のドライエッチング用のトレーでの説明と同様であるので、説明を省略する。
次に、耐エッチング層5′、あるいは、エッチング層5′をパターニングして開口面積率調整面4上に開口面積率調整層5を形成する(図10(D))。耐エッチング層5′、あるいは、エッチング層5′のパターニングは、例えば、フォトリソグラフィー法を用いたウエットエッチング法、またはドライエッチング法等により行うことができる。
この開口面積率調整層5の形成では、対象となる被エッチング体のドライエッチングを受ける面側の面積と開口面積率調整面4の面積との合計面積をSwとし、被エッチング体のドライエッチングの対象となる面積と開口面積率調整面4におけるドライエッチング可能な面積(耐エッチング層5′のパターンで被覆されていない面積、あるいは、エッチング層5′のパターンで被覆されている面積)の合計面積をSeとしたときに、開口面積率[(Se/Sw)×100]が45〜55%の範囲内となるように、開口面積率調整層5による開口面積率調整面4の被覆率を0〜100%の範囲で設定する。
その後、ダミー部材7を凹部3から取り外すことにより、ドライエッチング用のトレー1を得ることができる(図10(D))。凹部3からのダミー部材7の取り外しは、例えば、予め凹部3の側壁面に微細な切欠き部を設けておくこと、あるいは、ダミー部材7にオリフラ部あるいはノッチ部を設けておくことにより、これらをきっかけとして行うことができる。
このような本発明のドライエッチング用のトレーの製造方法は、基体2に形成した被エッチング体嵌合用の凹部3にダミー部材7を嵌着した状態で、開口面積率調整面4上に開口面積率調整層5を形成するので、トレーと被エッチング体の全体における開口面積率が45〜55%の範囲となるような被覆率で開口面積率調整層5を容易に形成することができ、トレーを簡便に製造することができる。
上述の本発明のドライエッチング用のトレーの実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
図11および図12は、本発明のナノインプリント用のモールドの製造方法の一実施形態を説明するための工程図である。この実施形態では、上述の本発明のドライエッチング用のトレーを使用した例を挙げて説明する。
まず、図11を参照してマスターモールド作製工程を説明する。この工程では、マスターモールド用の基材42の被エッチング面42aに所望の開口部43aを有するエッチングマスク43を形成する(図11(A))。マスターモールド用の基材42は、所望の光透過が可能な基材、あるいは、所望の加熱処理に対する耐性を具備している基材を用いることができる。このような基材42の材料としては、例えば、シリコン等の半導体材料、石英ガラス、珪酸系ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、アクリルガラス等、あるいは、これらの任意の積層材を用いることができる。また、基材42の厚みは、基材42の強度、取り扱い適性、被加工物の材質等を考慮して設定することができ、例えば、300μm〜10mm程度の範囲で適宜設定することができる。
その後、エッチングマスク43を除去するとともに、第1開口面積率調整部材101を取り外して、基材42の被エッチング面42aに所望の凹部45を備えたマスターモールド41を得る(図11(D))。
次いで、エッチングマスク材料層61′を、酸素プラズマによる残膜除去によって、凸部62に対応する部位のみを残してエッチングマスク53とする(図12(C))。図15は、このようなエッチングマスク53が形成された基材52の平面図であり、基材52は、エッチングマスク53が形成されているパターン領域54A(図示例では実線のハッチを付して示している)と、その周囲に位置し被エッチング面52aが露出している非パターン領域54Bとからなっている。
その後、エッチングマスク53を除去するとともに、第2開口面積率調整部材111を取り外して、基材52の被エッチング面52aに所望の凸部55を備えたコピーモールド51を得る(図12(F))。
上述の第1開口面積率調整部材101と第2開口面積率調整部材111を用いた例では、基体102,112がドライエッチング可能な材質からなり、開口面積率調整層105,115がドライエッチングされない材質からなるが、材質の関係が逆であってもよい。
図17および図18は、本発明のナノインプリント用のモールドの製造方法の他の実施形態を説明するための図である。
まず、図17では、上述の実施形態と同様(図11(A)参照)に、マスターモールド用の基材42の被エッチング面42aに開口部43aを有するエッチングマスク43を形成する。そして、この基材42を載置盤71に載置し、基材42の周囲に被エッチング面42aと同一方向を向く開口面積率調整面124を備えた第1開口面積率調整部材121を配する(図17(A))。この第1開口面積率調整部材121は、マスターモールド用の基材42の外形に対応した開口部123を有する環状部材122と、開口面積率調整面124を0〜100%の範囲で被覆する開口面積率調整層125を備えている(図17(B))。尚、図17(B)では、開口面積率調整層125に実線のハッチを付して示している。
そして、環状部材122と開口面積率調整層125は、一方がドライエッチング可能な材質であり、他方がドライエッチングされない材質であり、この例では、上記のマスターモールド作製工程(図11参照)に対応して、環状部材122がドライエッチング可能な材質からなり、開口面積率調整層125がドライエッチングされない材質からなる。
また、図18では、上述の実施形態と同様(図12(A)〜図12(C)参照)に、コピーモールド用の基材52の被エッチング面52aにエッチングマスク53を形成する。そして、この基材52を載置盤71に載置し、基材52の周囲に被エッチング面52aと同一方向を向く開口面積率調整面134を備えた第2開口面積率調整部材131を配する(図18(A))。この第2開口面積率調整部材131は、コピーモールド用の基材52の外形に対応した開口部133を有する環状部材132と、開口面積率調整面134を0〜100%の範囲で被覆する開口面積率調整層135(図示例では、開口部133を囲むような環状となっており、実線のハッチを付して示している)を備えている(図18(B))。そして、環状部材132と開口面積率調整層135は、一方がドライエッチング可能な材質であり、他方がドライエッチングされない材質であり、この例では、上記のコピーモールド作製工程(図12参照)に対応して、環状部材132がドライエッチング可能な材質からなり、開口面積率調整層135がドライエッチングされない材質からなる。
そして、載置盤71に載置された状態で、基材52および第2開口面積率調整部材131に対してドライエッチングを行い、その後、エッチングマスク53を除去するとともに、第2開口面積率調整部材131を取り外して、基材52の被エッチング面52aに所望の凸部を備えたコピーモールドを得ることができる。
さらに、上述の第1開口面積率調整部材121と第2開口面積率調整部材131は、環状部材122,132の外形形状、開口部123,133の開口形状が他の形状であってもよい。図23は、このような第2開口面積率調整部材131の例を示す図であり、図23(A)に示されるように、基材52の外形形状が正方形であり、これに対応して開口部133の開口形状が正方形であり、さらに、環状部材132の外形形状も正方形であるもの、図23(B)に示されるように、基材52の外形形状が正方形であり、これに対応して開口部133の開口形状は正方形であるが、環状部材132の外形形状が円形であってもよい。
[実施例]
<ドライエッチング用のトレーの作製>
ドライエッチング可能な材質からなる基体として、円形平板の石英ガラス(直径200mm、厚み1mm)を準備した。
この基体の中央部に切削加工により開口形状が直径150mmの円形であり、深さが0.625mmである凹部を形成した。そして、この凹部の周囲に幅25mmで存在する環状の基板面を開口面積率調整面(面積約13,738mm2)とした。
次に、上記の凹部にシリコンからなる直径150mm、厚み0.625mmの円形平板であるダミー部材を嵌着し、このダミー部材と開口面積率調整面を被覆するようにスパッタリング法によりクロム薄膜を成膜して耐エッチング層を形成した。その後、コンタクトアライナーによるリソグラフィーにより耐エッチング層をパターニングして、開口面積率調整面上に幅2.8mm、内側の開口直径が150mmである環状の開口面積率調整層(厚み300nm)を形成してトレーAとした。このトレーAにおける開口面積率調整層の面積は約1345mm2であり、開口面積率調整面の被覆率は9.8%であった。
また、開口面積率調整面上に幅22.8mm、内側の開口直径が150mmである環状の開口面積率調整層(厚み300nm)を形成した他は、上記と同様にして、トレーBを作製した。このトレーBにおける開口面積率調整層の面積は約12392mm2であり、開口面積率調整面の被覆率は90.2%であった。
マスターモールド用の基材として、円形平板の石英ガラス(直径150mm、厚み0.625mm)を準備した。
この基材の一方の面にポジ型電子線レジスト(日本ゼオン(株)製 ZEP520)をスピンコート法で塗布し、電子線描画により微細な開口部を形成してエッチングマスクを形成した。上記の開口部は、基材の中央の直径100mmの領域(パターン領域)に位置し、各開口部の直径は300nmであり、各開口部の中心が一辺440nmの正三角形をなすように三角格子配列とされたものであった。このようなエッチングマスクを形成した基材の開口面積率は19%であった。
尚、開口面積率とは、ドライエッチングを受ける面の面積をSwとし、エッチングマスク等のドライエッチングされない材質で被覆されていない面積(ドライエッチングの対象となる面積)をSeとしたときに、(Se/Sw)×100で算出される値である。
(ドライエッチングの条件)
・エッチング方式 : RIE
・エッチングガス : CF4
・ガス流量 : 100sccm
・チャンバー圧力 : 3.0Pa
コピーモールド用の基材として、円形平板の石英ガラス(直径150mm、厚み0.625mm)を準備した。
この基材上に、光硬化性樹脂材料(東洋合成工業(株)製 PAK−01)をスピンコート法で塗布して、エッチングマスク材料層とした。このエッチングマスク材料層に上記のマスターモールドの凹部形成側を押し当て、この状態でマスターモールド側からエッチングマスク材料層に紫外線を照射して硬化させた後、マスターモールドを離型した。これにより、マスターモールドが備える円形凹部に対応した円柱形状の凸部を有するエッチングマスク材料層を形成した。次に、このエッチングマスク材料層を、酸素プラズマによる残膜除去によって、上記の凸部に対応した部位のみを残してエッチングマスクとした。このエッチングマスクは、基材の中央の直径100mmの領域(パターン領域)に高さが330nmの円柱形状の凸部が形成されたものであり、各凸部の直径は300nmであり、各凸部の中心が一辺440nmの正三角形をなすように三角格子配列とされたものであった。このようなエッチングマスクを形成した基材の開口面積率は91%であった。
この状態で、基材およびトレーBに対して、上記と同じ条件でドライエッチングを行い、その後、トレーBから基材を取出し、酸素アッシングを用いてエッチングマスクを除去して、コピーモールドを得た。このコピーモールドは、基材の中央の直径100mmの領域(パターン領域)に、直径が300nm、高さ330nmの円柱形状の凸部が、その中心が一辺440nmの正三角形をなすように三角格子配列されて位置するものであり、マスターモールドの反転形状を高い精度で具備するものであった。
尚、上記のドライエッチング条件におけるトレーBの基板、および、コピーモールド用の基材のエッチングレートを上記と同様に測定した結果、30nm/分であった。また、エッチングマスク、および、トレーBの開口面積率調整層のエッチングレートは、トレーBの基体のエッチングレートと比較してゼロに近似できるものであった。
エッチングマスクを形成したマスターモールド用の基材に対して、トレーAを用いない他は、実施例のマスターモールド作製と同様にして、マスターモールドを得た。このマスターモールドは、基材の中央の直径100mmの領域(パターン領域)に、中心が一辺440nmの正三角形をなすように凹部が三角格子配列されて位置するものであったが、凹部の開口直径は300nm、深さは350nmであり、実施例で作製したマスターモールドに比べて凹部が20nm深い仕上がりであった。
また、このマスターモールドを使用し、トレーBを用いない他は、実施例のコピーモールド作製と同様にして、コピーモールドを得た。このコピーモールドは、基材の中央の直径100mmの領域(パターン領域)に、中心が一辺440nmの正三角形をなすように円柱形状の凸部が三角格子配列されて位置するものであったが、凸部の直径は300nm、高さは310nmであり、マスターモールドの反転形状としては精度が低いものであった。
2…基体
3…凹部
4…開口面積率調整面
5,5a,5b,5c…開口面積率調整層
7…ダミー部材
11,21…被エッチング体
42,52…基材
43,53…エッチングマスク
101,121…第1開口面積率調整部材
111,131…第2開口面積率調整部材
104,114,124,134…開口面積率調整面
105,115,125,135…開口面積率調整層
Claims (21)
- ドライエッチング時に被エッチング体を保持するためのドライエッチング用のトレーにおいて、
基体と、該基体の一つの面に位置する被エッチング体嵌合用の凹部と、該凹部の周囲に位置する開口面積率調整面と、該開口面積率調整面を0〜100%の範囲で被覆する開口面積率調整層と、を備え、前記基体と前記開口面積率調整層は、一方がドライエッチング可能な材質であり、他方がドライエッチングされない材質であり、前記被エッチング体のドライエッチングを受ける面側の面積と前記開口面積率調整面の面積との合計面積をSwとし、前記被エッチング体のドライエッチングの対象となる面積と前記開口面積率調整面におけるドライエッチング可能な面積の合計面積をSeとしたときに、前記被エッチング体と前記開口面積率調整面との全体の開口面積率[(Se/Sw)×100]が45〜55%となるように、前記開口面積率調整面を前記開口面積率調整層が被覆していることを特徴とするドライエッチング用のトレー。 - 前記基体がドライエッチング可能な材質であり、かつ、そのエッチングレートは前記被エッチング体のエッチングレートと同じであることを特徴とする請求項1に記載のドライエッチング用のトレー。
- 前記基体の材質は、前記被エッチング体の材質と同じであることを特徴とする請求項2に記載のドライエッチング用のトレー。
- 前記開口面積率調整層がドライエッチング可能な材質であり、かつ、そのエッチングレートは前記被エッチング体のエッチングレートと同じであることを特徴とする請求項1に記載のドライエッチング用のトレー。
- 前記開口面積率調整層の材質は、前記被エッチング体の材質と同じであることを特徴とする請求項4に記載のドライエッチング用のトレー。
- 前記開口面積率調整層は、前記凹部を囲むような環状であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のドライエッチング用のトレー。
- 2以上の前記開口面積率調整層が同心となるように位置することを特徴とする請求項6に記載のドライエッチング用のトレー。
- 前記開口面積率調整層は、前記凹部を囲むように不連続で、かつ、等間隔に位置する同一形状の複数個の開口面積率調整層からなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のドライエッチング用のトレー。
- 基材上にエッチングマスクを形成した被エッチング体であって、露出する基材面積が異なる2種以上の被エッチング体に対して、同じドライエッチング条件でドライエッチングする方法において、
ドライエッチングの対象となる面積が異なる各被エッチング体に対応する請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のドライエッチング用のトレーを使用し、該トレーの凹部に被エッチング体を嵌合保持した状態で両者に対してドライエッチングを行うことを特徴とするドライエッチング方法。 - ドライエッチング時に被エッチング体を保持するためのドライエッチング用のトレーの製造方法において、
ドライエッチング可能な材質からなる基体の一つの面に被エッチング体嵌合用の凹部を形成するとともに、該凹部の周囲の前記面を開口面積率調整面とする工程と、ドライエッチングの対象となる被エッチング体と同形状のダミー部材を前記凹部に嵌着する工程と、該ダミー部材と前記開口面積率調整面を被覆するようにドライエッチングされない材質からなる耐エッチング層を形成する工程と、該耐エッチング層をパターニングして前記開口面積率調整面上に開口面積率調整層を形成する工程と、前記ダミー部材を前記凹部から取り外す工程と、を有し、前記開口面積率調整層を形成する工程では、ドライエッチングの対象となる被エッチング体のドライエッチングを受ける面側の面積と前記開口面積率調整面の面積との合計面積をSwとし、被エッチング体のドライエッチングの対象となる面積と前記開口面積率調整面における前記開口面積率調整層で被覆されていないドライエッチング可能な面積の合計面積をSeとしたときに、開口面積率[(Se/Sw)×100]が45〜55%の範囲内となるように、前記開口面積率調整層による開口面積率調整面の被覆率を0〜100%の範囲で設定することを特徴とするドライエッチング用のトレーの製造方法。 - ドライエッチング時に被エッチング体を保持するためのドライエッチング用のトレーの製造方法において、
ドライエッチングされない材質からなる基体の一つの面に被エッチング体嵌合用の凹部を形成するとともに、該凹部の周囲の前記面を開口面積率調整面とする工程と、ドライエッチングの対象となる被エッチング体と同形状のダミー部材を前記凹部に嵌着する工程と、該ダミー部材と前記開口面積率調整面を被覆するようにドライエッチング可能な材質からなるエッチング層を形成する工程と、該エッチング層をパターニングして前記開口面積率調整面上に開口面積率調整層を形成する工程と、前記ダミー部材を前記凹部から取り外す工程と、を有し、前記開口面積率調整層を形成する工程では、ドライエッチングの対象となる被エッチング体のドライエッチングを受ける面側の面積と前記開口面積率調整面の面積との合計面積をSwとし、被エッチング体のドライエッチングの対象となる面積と前記開口面積率調整面における前記開口面積率調整層で被覆されドライエッチング可能な面積の合計面積をSeとしたときに、開口面積率[(Se/Sw)×100]が45〜55%の範囲内となるように、前記開口面積率調整層による開口面積率調整面の被覆率を0〜100%の範囲で設定することを特徴とするドライエッチング用のトレーの製造方法。 - 基材と、該基材の一方の面に位置する凹部と、を備えるナノインプリント用のモールドの製造方法において、
マスターモールド用の基材の被エッチング面に所望の開口部を有するエッチングマスクを形成し、該基材の周囲に前記被エッチング面と同一方向を向く開口面積率調整面を備えた第1開口面積率調整部材を配し、前記基材および前記第1開口面積率調整部材に対してドライエッチングを行い、その後、前記エッチングマスクを除去するとともに、前記第1開口面積率調整部材を取り外して、前記基材の被エッチング面に所望の凹部を備えたマスターモールドを得るマスターモールド作製工程と、
コピーモールド用の基材の被エッチング面にエッチングマスク材料層を配設し、該エッチングマスク材料層に前記マスターモールドを押し当てて、前記マスターモールドが備える凹部に対応した凸部を前記エッチングマスク材料層に形成し、次いで、前記エッチングマスク材料層の前記凸部を除く部位を除去してエッチングマスクとし、その後、前記基材の周囲に前記被エッチング面と同一方向を向く開口面積率調整面を備えた第2開口面積率調整部材を配し、前記基材および前記第2開口面積率調整部材に対してドライエッチングを行い、その後、前記エッチングマスクを除去するとともに、前記第2開口面積率調整部材を取り外して、前記基材の被エッチング面に所望の凹部を備えたコピーモールドを作製してナノインプリント用のモールドとするコピーモールド作製工程と、を有し、
マスターモールド用の前記基材の前記被エッチング面の面積と前記第1開口面積率調整部材の前記開口面積率調整面の面積との合計面積をSwとし、前記被エッチング面のドライエッチングの対象となる面積と前記第1開口面積率調整部材の前記開口面積率調整面におけるドライエッチング可能な面積の合計面積をSeとして算出した開口面積率R1[(Se/Sw)×100]と、コピーモールド用の前記基材の前記被エッチング面の面積と前記第2開口面積率調整部材の前記開口面積率調整面の面積との合計面積をSwとし、前記被エッチング面のドライエッチングの対象となる面積と前記第2開口面積率調整部材の前記開口面積率調整面におけるドライエッチング可能な面積の合計面積をSeとして算出した開口面積率R2[(Se/Sw)×100]との差(R1−R2)が±10%以下となるように、前記第1開口面積率調整部材および前記第2開口面積率調整部材について、それぞれの前記開口面積率調整面を、ドライエッチング可能な材質からなる開口面積率調整層、あるいは、ドライエッチングができない材質からなる開口面積率調整層によって被覆して調整することを特徴とするナノインプリント用のモールドの製造方法。 - 前記第1開口面積率調整部材および前記第2開口面積率調整部材は、基体と、該基体の一つの面に位置する被エッチング体嵌合用の凹部と、該凹部の周囲に位置する開口面積率調整面と、該開口面積率調整面を0〜100%の範囲で被覆する開口面積率調整層と、を備え、前記基体と前記開口面積率調整層は、一方がドライエッチング可能な材質であり、他方がドライエッチングされない材質であるドライエッチング用のトレーであって、前記トレーの開口面積率調整層による開口面積率調整面の被覆面積を調整したものを使用することを特徴とする請求項12に記載のナノインプリント用のモールドの製造方法。
- 前記トレーは、前記基体がドライエッチング可能な材質であり、かつ、そのエッチングレートを前記被エッチング体のエッチングレートと同じものとすることを特徴とする請求項13に記載のナノインプリント用のモールドの製造方法。
- 前記基体の材質を、前記被エッチング体の材質と同じものとすることを特徴とする請求項14に記載のナノインプリント用のモールドの製造方法。
- 前記トレーは、前記開口面積率調整層がドライエッチング可能な材質であり、かつ、そのエッチングレートを前記被エッチング体のエッチングレートと同じものとすることを特徴とする請求項13に記載のナノインプリント用のモールドの製造方法。
- 前記開口面積率調整層の材質を、前記被エッチング体の材質と同じものとすることを特徴とする請求項16に記載のナノインプリント用のモールドの製造方法。
- 前記トレーの前記開口面積率調整層を、前記凹部を囲むような環状とすることを特徴とする請求項13乃至請求項17のいずれかに記載のナノインプリント用のモールドの製造方法。
- 2以上の前記開口面積率調整層を同心となるように位置させることを特徴とする請求項18に記載のナノインプリント用のモールドの製造方法。
- 前記開口面積率調整層を、前記凹部を囲むように不連続で、かつ、等間隔に位置する同一形状の複数個の開口面積率調整層からなるようにすることを特徴とする請求項13乃至請求項17のいずれかに記載のナノインプリント用のモールドの製造方法。
- 前記第1開口面積率調整部材および前記第2開口面積率調整部材は、マスターモールド用の基材あるいはコピーモールド用の基材の外形に対応した開口部を有する環状部材であり、該環状部材と前記開口面積率調整層は、一方がドライエッチング可能な材質であり、他方がドライエッチングされない材質であることを特徴とする請求項12に記載のナノインプリント用のモールドの製造方法。
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