JP6675991B2 - 半導体装置 - Google Patents

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本明細書が開示する技術は、半導体装置に関する。
特許文献1は、半導体層の表面を被覆する表面電極の厚みを例えば50μm以上に厚くすることで、表面電極の放熱特性を向上させ、半導体装置の負荷短絡耐量を向上させる技術を開示する。
特許文献2は、半導体層の表面を被覆する表面電極上に正特性サーミスタ層を形成する技術を開示する。正特性サーミスタ層は、キューリー温度を超えたときに抵抗値が急激に増加する材料で形成されている。特許文献2の半導体装置は、負荷短絡時に正特性サーミスタ層の抵抗値の増加を利用して過電流保護装置を動作させ、負荷短絡時の過電流を制限し、半導体層の温度上昇を抑える。
特開2006−319213号公報 特開2001−28437号公報(特に、図5)
特許文献2は、正特性サーミスタ層を表面電極上に配置することによって、負荷短絡時に半導体層内のジュール熱が効率よく正特性サーミスタ層に伝わるようになると説明する。この場合、ジュール熱を正特性サーミスタ層に効率的に伝えるためには、表面電極の厚みを薄くしなければならない。ところが、表面電極の厚みを薄くすると、表面電極の熱容量が減少するため、表面電極の過渡的な放熱特性が悪化してしまう。このため、半導体層の温度上昇を効果的に抑えることが難しくなることから、特許文献2の半導体装置では、高い負荷短絡耐量を有することが難しいという問題がある。本明細書は、高い負荷短絡耐量を有する半導体装置を提供することを目的とする。
本明細書が開示する半導体装置の一実施形態は、半導体層、絶縁ゲート及び積層電極を備えることができる。ここで、半導体装置の一例には、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)又はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が挙げられる。半導体層は、活性領域を含む。絶縁ゲートは、活性領域に対応して配設されている。積層電極は、半導体層の表面の一部を被覆しており、第1金属電極層と正特性サーミスタ層と第2金属電極層が半導体層の表面からこの順に積層している。正特性サーミスタ層は、キューリー温度を超えると抵抗が急激に増加する材料で形成されている。この実施形態の半導体装置では、正特性サーミスタ層が第1金属電極層と第2金属電極層の間に埋設されている。このため、積層電極の厚みを厚くして積層電極の放熱特性を向上させながら、半導体層の表面と正特性サーミスタ層の間の距離を短くすることができる。これにより、負荷短絡時に半導体層内のジュール熱が効率よく正特性サーミスタ層に伝わることができる。この結果、上記実施形態の半導体装置は、高い負荷短絡耐量を有することができる。
上記実施形態の半導体装置では、積層電極が、半導体層の表面に直交する方向から見たときに、活性領域の全範囲を超えて延在することができる。この実施形態の半導体装置では、半導体層の活性領域の全範囲に対応して厚い積層電極が設けられている。このため、この実施形態の半導体装置は、高い負荷短絡耐量を有することができる。
半導体装置の一実施形態の要部断面図を模式的に示す。 半導体装置の活性領域と積層電極の平面レイアウトを示す。 半導体装置の等価回路を示す。 比較例の半導体装置の要部断面図を模式的に示す。
以下、図面を参照して、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である半導体装置1を説明する。なお、図示明瞭化を目的として、共通する構成要素については一部の構成要素のみに符号を付す。図1に示されるように、半導体装置1は、ドレイン電極10、炭化珪素層20、ソース積層電極30、トレンチゲート40及びパッシベーション膜50を備える。炭化珪素層20は活性領域20Aと終端領域20Bに区画されており、終端領域20Bが活性領域20Aの周辺を一巡して取り囲む。図1は、活性領域20Aと終端領域20Bの境界近傍の要部断面図を示す。
ドレイン電極10は、炭化珪素層20の裏面を被膜するように形成されており、炭化珪素層20の裏面にオーミック接触している。ドレイン電極10の材料には、Alが用いられている。この例に代えて、ドレイン電極10の材料には、例えばNi、Ti、Mo又はCoが用いられてもよい。
炭化珪素層20は、n+型の基板21、n-型のドリフト領域22、p型のボディ領域23、n+型のソース領域24、p+型のコンタクト領域25、p+型のガードリング領域26及びn+型の終端コンタクト領域27を有する。n型の基板21は、面方位が[0001]面の炭化珪素基板であり、ドレイン領域とも称される。基板21は、活性領域20Aと終端領域20Bの双方に連続して伸びており、ドレイン電極10にオーミック接触している。
ドリフト領域22は、基板21上に設けられており、活性領域20Aと終端領域20Bの双方に連続して伸びている。ドリフト領域22は、エピタキシャル成長技術を利用して、基板21から結晶成長して形成されている。
ボディ領域23は、ドリフト領域22上に設けられており、活性領域20Aに配置されている。ボディ領域23は、飛程距離を変えた複数回のイオン注入技術を利用して、炭化珪素層20の表面からp型不純物(一例では、アルミニウム)を導入することで形成されている。
ソース領域24は、ボディ領域23上に設けられており、活性領域20Aに配置されている。ソース領域24は、ボディ領域23によってドリフト領域22から隔てられている。ソース領域24は、トレンチゲート40の側面に接している。ソース領域24は、炭化珪素層20の表面に露出しており、ソース積層電極30にオーミック接触している。ソース領域24は、イオン注入技術を利用して、炭化珪素層20の表面からn型不純物(一例では、リン)を導入することで形成されている。
コンタクト領域25は、ボディ領域23上に設けられており、活性領域20Aに配置されている。コンタクト領域25の不純物濃度は、ボディ領域23の不純物濃度よりも濃い。コンタクト領域25は、炭化珪素層20の表面に露出しており、ソース積層電極30にオーミック接触している。コンタクト領域25は、イオン注入技術を利用して、炭化珪素層20の表面からp型不純物(一例では、アルミニウム)を導入することで形成されている。
ガードリング領域26は、ドリフト領域22上に設けられており、終端領域20Bに配置されている。複数のガードリング領域26が終端領域20Bに設けられており、ガードリング領域26の各々が活性領域20Aの周囲を一巡するように配置されている。ガードリング領域26は、半導体装置1オフしたときに終端領域20B内に空乏層を伸展させて耐圧を確保するための終端耐圧構造である。ガードリング領域26は、イオン注入技術を利用して、炭化珪素層20の表面からp型不純物(一例では、アルミニウム)を導入することで形成されている。ガードリング領域26に代えて、他の終端耐圧構造が終端領域20Bに設けられていてもよい。
終端コンタクト領域27は、ドリフト領域22上に設けられており、終端領域20Bに配置されており、炭化珪素層20の周縁部に配置されている。終端コンタクト領域27は、炭化珪素層20の表面に露出しており、ドレイン電極10と同電位に固定されている。終端コンタクト領域27は、イオン注入技術を利用して、炭化珪素層20の表面からn型不純物(一例では、リン)を導入することで形成されている。
ソース積層電極30は、炭化珪素層20の表面の一部を被覆しており、活性領域20Aに配置されており、第1金属電極層32、正特性サーミスタ層34及び第2金属電極層36を有する。第1金属電極層32と正特性サーミスタ層34と第2金属電極層36は、炭化珪素層20の表面からこの順で積層されている。第1金属電極層32及び第2金属電極層36は同一の金属材料であり、その材料にはAlが用いられている。この例に代えて、第1金属電極層32及び第2金属電極層36の材料には、例えばCuが用いられてもよい。正特性サーミスタ層34は、キューリー温度を超えたときに抵抗値が大きく増加する材料であり、例えばチタン酸バリウム化合物、ポリマーに金属微粒子を分散させた有機PTCサーミスタが用いられる。正特性サーミスタ層34のキューリー温度は、半導体装置1の定格温度よりも高く、且つ、第1金属電極層32及び第2金属電極層36の融点よりも低い。
トレンチゲート40は、活性領域20Aに設けられており、ドリフト領域22とソース領域24を隔てる部分のボディ領域23に対向している。トレンチゲート40は、炭化珪素層20の表面からソース領域24及びボディ領域23を貫通してドリフト領域22に達するトレンチ内に設けられているトレンチゲート電極42及びゲート絶縁膜44を含む。トレンチゲート電極42は、CVD技術を利用して、ゲート絶縁膜44で被膜されたトレンチ内に充填して形成される。ゲート絶縁膜44は、CVD技術を利用して、トレンチの内壁を被膜して形成されている。
パッシベーション膜50は、炭化珪素層20の表面の一部を被覆しており、終端領域20Bに配置されている。パッシベーション膜50の材料には、例えば酸化シリコンが用いられる。パッシベーション膜50は、プラズマCVD技術を利用して、炭化珪素層20の表面に成膜される。
上記したように、活性領域20Aにはトレンチゲート40が配設されており、ドリフト領域22とボディ領域23とソース領域24とトレンチゲート40がMOS構造を構成する。換言すると、活性領域20Aは、MOS構造が設けられている領域であり、ドレイン電極10とソース積層電極30の間を流れる電流の経路となる領域である。このため、図1に示されるように、複数のトレンチゲート40のうちの最も外側に位置するトレンチゲート40が、活性領域20Aと終端領域20Bの境界となる。
図2に、半導体装置1を平面視したときのレイアウトを示す。ソース積層電極30は、活性領域20Aの全範囲を覆うとともに活性領域20Aの全範囲を超えて終端領域20Bの一部にまで延在しており、活性領域20Aよりも大きな面積を有する。
図3に、半導体装置1の等価回路を示す。半導体装置1は、ソース積層電極30が正特性サーミスタ層34を有することを特徴とする。後述するように、正特性サーミスタ層34は、負荷短絡時に抵抗体として機能する。また、半導体装置1のドレイン電極は、負荷2を介して電源3に接続されている。
ここで、図4に比較例の半導体装置100を示す。なお、半導体装置1と共通する構成要素については共通の符号を付す。比較例の半導体装置100は、正特性サーミスタ層が設けられておらず、ソース電極130が単一の金属層として構成されていることを特徴とする。半導体装置100では、負荷が短絡したときに炭化珪素層20の活性領域20Aに過電流が流れる。活性領域20Aに過電流が流れると、活性領域20Aのドリフト領域22においてジュール熱が発生する。このジュール熱は、ソース電極130を介して放熱される。ソース電極130がジュール熱による素子の温度上昇を抑制するためには、ソース電極130の厚みT130が熱拡散長よりも厚く形成されているのが望ましい。ソース電極130の材料がアルミニウムの場合、負荷短絡時間を2μsとすると、ソース電極130の熱拡散長は約30μmとなる。なお、ソース電極130の熱拡散長は、ソース電極130の熱拡散率をD[cm2/s]とし、短絡時間をt[s]とすると、熱拡散率Dと短絡時間tの積の平方根の2倍(2×(D・t)1/2)となる。このため、この例では、ソース電極130の厚みT130が30μmよりも厚く形成されているのが望ましい。ソース電極130の厚み130Tが30μmよりも厚く形成されていると、ドリフト領域22で発生したジュール熱が効率的にソース電極130へ放熱され、ドリフト領域22の温度の上昇速度が低下する。この結果、半導体装置100は、高い負荷短絡耐量(熱破壊に至るまでに加わるエネルギー(電流×電圧の時間積分))を有することができる。
図1に戻る。半導体装置1のソース積層電極30の厚み30Tも30μmよりも厚く形成されている。換言すると、ソース積層電極30の厚み30Tは、第1金属電極層32及び第2金属電極層36の材料及び正特性サーミスタ層34が設けられていないとしたときの短絡時間から見積もられる熱拡散長よりも厚く形成されている。さらに、半導体装置1では、炭化珪素層20の表面から正特性サーミスタ層34と第2金属電極層36の接合面までの厚み34Tがその熱拡散長より薄く形成されている。即ち、厚み34Tが30μmよりも薄く形成されている。前者の関係が成立していると、ソース積層電極30への放熱特性が向上し、半導体装置1は高い負荷短絡耐量を有することができる。また、ソース積層電極30の放熱特性が向上しているので、半導体装置1は、通常動作時の炭化珪素層20の温度の上昇速度が低い。後者の関係が成立していると、負荷短絡時にドリフト領域22において発生するジュール熱が正特性サーミスタ層34に伝わることができる。これにより、負荷短絡時に正特性サーミスタ層34の抵抗が急激に増加する。正特性サーミスタ層34の抵抗が増加すると、第1金属電極層32の電位が上昇し、ゲート・ソース間電圧が低下する。これにより、負荷短絡時に半導体装置1を流れる過電流が制限され、ドリフト領域22の温度の上昇速度が低下する。この点においても、半導体装置1は、高い負荷短絡耐量を有することができる。
半導体装置1はさらに、ソース積層電極30が、炭化珪素層20の平面視したときに、活性領域20Aの全範囲を超えて延在していることを特徴とする。負荷短絡時の過電流は、炭化珪素層20の活性領域20Aを流れる。例えば、ソース積層電極30が活性領域20Aの一部にのみ設けられていると、ソース積層電極30が設けられていない部分の活性領域20Aに電流が集中し、その部分において比較的に短時間で短絡破壊が起きることが懸念される。この場合、負荷短絡耐量が悪化する。一方、半導体装置1は、活性領域20Aの全範囲に対応して厚いソース積層電極30が設けられているので、活性領域20Aの全範囲において短絡破壊が抑えられ、高い負荷短絡耐量を有することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10:ドレイン電極
20:炭化珪素層
21:基板
22:ドリフト領域
23:ボディ領域
24:ソース領域
25:コンタクト領域
26:ガードリング領域
27:終端コンタクト領域
30:ソース積層電極
32:第1金属電極層
34:正特性サーミスタ
36:第2金属電極層
40:トレンチゲート
42:トレンチゲート電極
44:ゲート絶縁膜

Claims (1)

  1. 活性領域を含む半導体層と、
    前記活性領域に対応して配設されているとともに、前記半導体層の一方の主面側に設けられている絶縁ゲートと、
    前記半導体層の前記一方の主面の一部を被覆しており、第1金属電極層と正特性サーミスタ層と第2金属電極層が前記半導体層の前記一方の主面からこの順に積層している積層電極と、を備え、
    前記積層電極は、前記半導体層の前記一方の主面に直交する方向から見たときに、前記活性領域の全範囲を超えて延在している、半導体装置。
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