JP6674035B2 - 組成物、硬化膜、カラーフィルタ、固体撮像素子、赤外線センサ、近赤外線センサ、及び、近接センサ - Google Patents

組成物、硬化膜、カラーフィルタ、固体撮像素子、赤外線センサ、近赤外線センサ、及び、近接センサ Download PDF

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Description

本発明は、組成物、硬化膜、カラーフィルタ、固体撮像素子、赤外線センサ、近赤外線センサ、及び、近接センサに関する。
従来から、黒色組成物としては、チタン窒化物を含有する組成物が知られている。チタン窒化物を含有する組成物は、種々の用途に用いられ、例えば液晶表示装置及び固体撮像装置等に設けられた硬化膜の作製に使用されてきた。
具体的には、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタには着色画素間の光を遮蔽し、コントラストを向上させる等の目的で、ブラックマトリクスと呼ばれる硬化膜が備えられている。
また、固体撮像素子においてもノイズ発生防止、画質の向上等を目的として硬化膜が設けられている。現在、携帯電話及びPDA(Personal Digital Assistant)等の電子機器の携帯端末には、小型で薄型な固体撮像装置が搭載されている。このような固体撮像装置は、一般に、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ及びCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の固体撮像素子と、固体撮像素子上に被写体像を形成するためのレンズと、を備えている。
チタン窒化物を含有する組成物として、例えば、特許文献1には、「少なくとも遮光材、樹脂及び溶媒を含み、遮光材として少なくともチタン窒化物粒子を含有する黒色樹脂組成物であって、CuKα線をX線源とした場合のチタン窒化物粒子の(200)面に由来するピークの回折角2θが42.5°以上42.8°以下である黒色樹脂組成物。」が記載されている。
国際公開第2008/123097号
本発明者らは、特許文献1に記載された黒色樹脂組成物を用いて作製した膜について検討したところ、電気特性が、昨今要求される水準に達していない問題があることを知見した。
そこで、本発明は、優れた電気特性を有する硬化膜を作製することができる(以下、「本発明の効果を有する」ともいう。)組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、硬化膜、カラーフィルタ、固体撮像素子、赤外線センサ、近赤外線センサ、及び、近接センサを提供することも課題とする。
なお、本明細書において電気特性とは、実施例に記載された方法により測定される電気特性を意図する。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] チタン窒化物含有粒子と、樹脂と、を含有する組成物であって、波長400〜1200nmにおける、チタン窒化物含有粒子の複素誘電率εを下記式(1)で表すとき、ε’の最小値が0未満である、組成物。
式(1) ε=ε’+ε”j
なお、上記式(1)中、ε’は複素誘電率εの実数部、ε”は複素誘電率εの虚数部、jは虚数単位を表す。
[2] チタン窒化物含有粒子の密度が3.0g/cm3以上、5.0g/cm3未満である、[1]に記載の組成物。
[3] チタン窒化物含有粒子が、チタン原子、及び、窒素原子を含有し、チタン窒化物含有粒子中におけるチタン原子の含有量に対する、窒素原子の含有量の比Xが、0を超え、1未満である、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4] 比Xが、0.40を超え、0.95未満である、[3]に記載の組成物。
[5] チタン窒化物含有粒子が、更に酸素原子を含有し、チタン窒化物含有粒子中におけるチタン原子の含有量にする、酸素原子の含有量の比Yと、比Xとが、以下の式(4)を満たす、[3]又は[4]に記載の組成物。
式(4)X+Y<0.93
[6] チタン窒化物含有粒子が、更に塩素原子を含有し、チタン窒化物含有粒子中における塩素原子の含有量が、800〜3000質量ppmである、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] 樹脂が、アルカリ可溶性樹脂を含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物。
[8] アルカリ可溶性樹脂が、ポリイミド樹脂、及び、ポリイミド前駆体からなる群から選択される少なくとも1種である、[7]に記載の組成物。
[9] 樹脂が、分散剤を含有する、[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物。
[10] 更に、重合性化合物を含有する、[1]〜[9]のいずれかに記載の組成物。
[11] 更に、重合開始剤を含有する、[1]〜[10]のいずれかに記載の組成物。
[12] 重合開始剤が、光重合開始剤を含有する、[11]に記載の組成物。
[13] 光重合開始剤がオキシム化合物である、[12]に記載の組成物。
[14] [1]〜[13]のいずれかに記載の組成物を硬化して得られる、硬化膜。
[15] [14]に記載の硬化膜を含有するカラーフィルタ。
[16] [14]に記載の硬化膜を含有する、固体撮像素子。
[17] [14]に記載の硬化膜を含有する、赤外線センサ。
[18] [14]に記載の硬化膜を含有する、近赤外線センサ。
[19] [14]に記載の硬化膜を含有する、近接センサ。
本発明によれば、優れた電気特性を有する硬化膜を作製することができる組成物を提供することができる。また、本発明によれば、硬化膜、カラーフィルタ、固体撮像素子、赤外線センサ、近赤外線センサ、及び、近接センサを提供することができる。
固体撮像装置の構成例を示す概略断面図である。 図1の撮像部を拡大して示す概略断面図である。 赤外線センサの構成例を示す概略断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を含有しないものと共に置換基を含有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を含有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を含有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
また、本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、及びエキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV:Extreme ultraviolet lithography光)、X線、並びに電子線等を意味する。また本明細書において光とは、活性光線及び放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、及びエキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、並びにEUV光等による露光のみならず、電子線及びイオンビーム等の粒子線による描画も包含する。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタアクリレートを表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタアクリルを表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルを表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド及びメタアクリルアミドを表す。また、本明細書中において、「単量体」と「モノマー」とは同義である。単量体は、オリゴマー及びポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。本明細書中において、重合性化合物とは、重合性基を含有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性基とは、重合反応に関与する基をいう。
[組成物]
上記組成物は、チタン窒化物含有粒子と、樹脂と、を含有し、チタン窒化物含有粒子の複素誘電率εをε=ε’+ε”jで表すとき、波長400〜1200nmにおける、ε’の最小値が0未満であることを特徴とする。なお、ε’は複素誘電率εの実数部、ε”は複素誘電率εの虚数部、jは虚数単位を表す。
本明細書において、複素誘電率の実数部ε’の最小値とは、400〜1200nmの各波長に対応する複素誘電率の実数部ε’のうちの最小となる値を意図する。
複素誘電率の実数部ε’の値は、400〜1200nmにおける最小値が0未満であれば、特に制限されないが、組成物がより優れた本発明の効果を有する点で、400〜1200nmにおける複素誘電率の実数部ε’の最小値は−0.5以下であることが好ましい。なお、上記最小値の下限値は特に制限されないが、−20程度の場合が多い。
本明細書において、複素誘電率の実数部ε’は、以下の方法により測定した値を意図する。まず、シリコンウェハ上に組成物を用いて0.3μmの厚みの膜を形成する。
その後、形成した膜について、分光エリプソメトリーを用いて、実施例に記載した方法により複素誘電率を測定する。
なお、膜を形成する際、組成物が重合性化合物を含む組成物である場合、シリコンウェハ上に形成した塗膜に対して硬化処理を施して、測定対象となる膜を形成する。
上記の特性を有する本発明の実施形態に係る組成物が本発明の効果を有する機序は必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のとおり推測している。なお、以下に説明する機序により、本発明の効果を有する機序が制限されるものではない、言い換えれば、以下の機序以外の機序により、本発明の効果が得られる場合も本発明の範囲に含まれる。
上記特許文献1に記載された黒色樹脂組成物を用いて作製した膜は、後述する電気特性の評価試験において、膜を、温度25℃、湿度65%RH(relative humidity)の環境下で3ヶ月保存した後に、RC(resistor capacitor)値が上昇し易かった。
本発明者らは、上記RC値の上昇は、3ヶ月保存する間に、上記黒色樹脂組成物が含有するチタン窒化物粒子が変質することに起因すると推測した。鋭意検討を続けた結果、本発明者らは、ε’の最小値が0未満となるチタン窒化物含有粒子を含有する組成物が、上記変質を抑制できることを見出した。また、本発明者らは、組成物が樹脂を含有することにより、チタン窒化物含有粒子の凝集が抑制され、上記組成物を硬化させた硬化膜中において、チタン窒化物含有粒子が凝集して生ずる局所的なRC値の上昇を抑制することができることを見出した。以上の知見を得たことにより、本発明に至った。以下では、本発明の実施形態に係る組成物に含有される各成分ごとに、その形態を説明する。
〔チタン窒化物含有粒子〕
上記組成物は、チタン窒化物含有粒子を含有する。チタン窒化物含有粒子としては、チタン窒化物を含有し、上記複素誘電率の関係を満たせば特に制限されない。
上記組成物中におけるチタン窒化物含有粒子の含有量としては特に制限されないが、より優れた遮光性を有する硬化膜が得られる点で、組成物の全固形分に対して、29〜70質量%が好ましく、45〜60質量%がより好ましい。
なお、チタン窒化物含有粒子は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の粒子を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
上記組成物中におけるチタン窒化物含有粒子の含有量と、後述する分散剤の含有量としては特に制限されないが、組成物がより優れた経時安定性を有する点で、組成物中におけるチタン窒化物含有粒子の含有量に対する、分散剤の含有量の含有質量比(以下「D/P」ともいう。)が、0.1〜0.5が好ましい。
チタン窒化物含有粒子の密度については特に制限されないが、組成物がより優れた電気特性、及び、より優れた経時安定性を有する点で、2.5〜6.0g/cmが好ましく、3.0g/cm以上がより好ましく、5.0g/cm未満が好ましい。
なかでも、チタン窒化物含有粒子の密度が、3.0g/cm以上であると、組成物はより優れた経時安定性を有し、5.0g/cm未満であると、組成物により得られた硬化膜はより優れた耐湿試験後の外観を有する。
なお、本明細書において、チタン窒化物含有粒子の密度は、以下の方法により測定した密度を意図する。すなわち、チタン窒化物含有粒子は、真空乾燥機を用いて乾燥させ、その後、乾式密度計(例えば、アキュピックII1340(島津製作所))を用いて、実施例に記載した条件で、密度を測定する。
なお、組成物からチタン窒化物含有粒子を分離する方法としては、以下の方法を用いることができる。まず、組成物にクロロホルムを含有する有機溶剤を添加し、チタン窒化物含有粒子以外の成分を溶解させて、溶解液を得る。上記溶解液を遠心分離して、沈殿物を得る。次に、上記沈殿物を加熱して、濃縮し、チタン窒化物含有粒子を得る。
チタン窒化物含有粒子の平均一次粒径としては特に制限されないが、一般に1〜200nmが好ましく、10〜50nmがより好ましい。なお、本明細書において平均一次粒径とは、以下の方法により測定した粒子の平均一次粒径を意図する。平均一次粒径の測定には、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)を用いて測定できる。透過型電子顕微鏡としては、例えば、日立ハイテクノロジーズ社製の透過型顕微鏡HT7700を用いることができる。
試料:組成物(例えば、実施例に記載の組成物)をPGMEA(propyleneglycol monomethyl ether acetate)で希釈(例えば、実施例に記載の組成物であれば100倍)したのち、カーボン箔上に滴下し、乾燥させたもの。
上記試料を、透過型電子顕微鏡を用いて倍率2万倍で観察して像を得る。得られた像のなかのチタン窒化物含有粒子の面積を画像処理により算出する。次に、得られた面積を円に換算した場合の直径を算出し、粒子400個について評価した円換算の直径を算術平均して求める。
チタン窒化物含有粒子は、その表面に、ケイ素を含有する化合物(以下「含ケイ素化合物」という。)の層を含有してもよい。すなわち、チタン窒化物を含ケイ素化合物で被覆し、チタン窒化物含有粒子としてもよい。
チタン窒化物を被覆する方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いることができ、例えば、特開昭53−33228号公報の2頁右下〜4頁右上に記載された方法(チタン酸化物に代えて、チタン窒化物を用いる)、特開2008−69193の段落0015〜0043段落に記載された方法(微粒子二酸化チタンに代えて、チタン窒化物を用いる)、特開2016−74870号公報の0020段落、及び、0124〜0138段落に記載された方法(金属酸化物微粒子に代えて、チタン窒化物を用いる)が挙げられ、上記の内容は本明細書に組み込まれる。
チタン窒化物含有粒子は、チタン窒化物を含有する。また、チタン窒化物含有粒子は、チタン原子(Ti)、及び、窒素原子(N)を含有する。
チタン窒化物含有粒子としては、例えば、TiN、TiO、Ti2n−1(1≦n≦20)で表せる低次酸化チタン;TiN(0<x<2.0,0.01<y<2.0)で表せる酸窒化チタン;TiNで表される窒化チタン;等を含有する粒子が挙げられる。
なお、チタン窒化物含有粒子中におけるチタン原子の含有量に対する、窒素原子の含有量の比X(窒素原子の含有原子数比X)としては特に制限されないが、下限値としては、0を超え、0.4を超えることが好ましい。上限値としては、2以下が好ましく、1未満がより好ましく、0.95未満が更に好ましい。
比X(以下、単に「X」ともいう。)が、0を超え、1未満であると、組成物は、より優れた経時安定性を有する。また、Xが、0.40を超えると、組成物は更に優れた経時安定性を有し、Xが0.95未満であると、組成物は、更に優れたパターニング性を有する。
また、組成物がより優れた本発明の効果を有する点で、Xは0.64以下がより好ましく、0.62以下が更に好ましく、0.57以下が特に好ましい。
また、組成物がより優れた本発明の効果を有する点で、Xは0.44以上が好ましく、0.45以上がより好ましい。
なお、チタン窒化物含有粒子中におけるチタン原子の含有量は、組成物中のチタン窒化物含有粒子を分離し、分離したチタン窒化物含有粒子について、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法を用いて測定でき、チタン窒化物含有粒子中における酸素原子、及び、窒素原子の含有量は、不活性ガス融解−熱伝導度法を用いて測定できる。なお、組成物中のチタン窒化物含有粒子を分離する方法としては既に説明したとおりである。
なお、本明細書において、Xを「N/Ti」と表すことがある。
チタン窒化物含有粒子中におけるチタン原子の含有量に対する酸素原子の含有量の比Y(酸素原子の含有原子数比Y)としては特に制限されないが、0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。
比Y(以下、単に「Y」ともいう。)が0.001〜0.2であると、組成物はより優れた経時安定性を有する。
なお、本明細書において、Yを「O/Ti」と表すことがある。
チタン窒化物含有粒子中、チタン原子の含有量に対する窒素原子の含有量の比Xと、チタン原子の含有量に対する酸素原子の含有量の比Yとの和((N+O)/Ti)については特に制限されないが、一般に、1.5以下が好ましい。なかでも、X+Yは、以下の式(4)を満たすことが好ましい。
式(4)X+Y<0.93
X+Yが上記範囲内であると、組成物を用いて形成された膜は、より優れた遮光性を有する。なお、X+Yの下限値としては特に制限されないが、一般に0.2超が好ましい。
なかでも、組成物がより優れた本発明の効果を有する点で、X+Yとしては、0.85以下がより好ましく、0.70以下が更に好ましい。また、X+Yとしては、0.40超がより好ましい。
チタン窒化物含有粒子は、塩素原子を含有することが好ましい。チタン窒化物含有粒子中に含有される塩素原子の含有量としては特に制限されないが、チタン窒化物含有粒子の全質量に対して、一般に300〜5000質量ppmが好ましく、800〜3000質量ppmがより好ましく、1200〜3000質量ppmが更に好ましく、1500〜2700質量ppmが特に好ましい。チタン窒化物含有粒子中における塩素原子の含有量が800〜3000質量ppmであると、組成物により得られた硬化膜はより優れた電気特性を有する。
なお、チタン窒化物含有粒子中における塩素原子の含有量は、以下の方法により測定した塩素原子の含有量を意図する。
チタン窒化物含有粒子を助剤とともに1000℃で燃焼し、発生させた塩素ガスを吸収液に捕集し、イオンクロマトグラフィー装置を用いて分析する。なお、組成物中からチタン窒化物含有粒子を分離する方法としては、既に説明したとおりである。
チタン窒化物含有粒子はCuKα線をX線源とした場合のチタン窒化物の(200)面に由来するピークの回折角2θは、一般に42.5°〜43.5°が好ましく、より優れた遮光性を有する硬化膜を得ることができる組成物が得られ易い点で、42.5°〜42.8°であることがより好ましく、42.5〜42.7°であることが更に好ましい。
CuKα線をX線源としてチタン窒化物含有粒子のX線回折スペクトルを測定した場合において、最も強度の強いピークとしてTiNは(200)面に由来するピークが2θ=42.5°近傍に、TiOは(200)面に由来するピークが2θ=43.4°近傍に観測される。一方、最も強度の強いピークではないがアナターゼ型TiOは(200)面に由来するピークは2θ=48.1°近傍に、ルチル型TiOは(200)面に由来するピークは2θ=39.2°近傍に観測される。よって、チタン窒化物含有粒子が酸素原子を多く含有するほどピーク位置は42.5°に対して高角度側にシフトする。
チタン窒化物含有粒子の(200)面に由来するピークの回折角2θは、42.5°以上43.5°以下であることが好ましく、42.5°以上42.8以下がより好ましく、42.5°以上42.7°以下が更に好ましい。
チタン窒化物含有粒子が、酸化チタンTiOを含有する場合、最も強度の強いピークとしてアナターゼ型TiO(101)に由来するピークが2θ=25.3°近傍に、ルチル型TiO(110)に由来するピークが2θ=27.4°近傍に見られる。しかし、TiOは白色であり、組成物を硬化して得られる硬化膜の遮光性を低下させる要因となるため、ピークとして観察されない程度に低減されていることが好ましい。
上記のX線回折スペクトルの測定により得られたピークの半値幅から、チタン窒化物含有粒子を構成する結晶子サイズを求めることができる。結晶子サイズは、シェラーの式を用いて算出できる。
チタン窒化物含有粒子を構成する結晶子サイズとしては、50nm以下が好ましく、20nm以上が好ましく、20〜50nmがより好ましい。結晶子サイズが20〜50nmであると、組成物を用いて形成される硬化膜は、紫外線(特にi線(365nm))透過率がより高くなりやすく、より感光性が高い組成物が得られる。
チタン窒化物含有粒子の比表面積については特に制限されないが、BET(Brunauer,Emmett,Teller)法により求めることができる。チタン窒化物含有粒子の比表面積は、5〜100m/gが好ましく、10〜60m/gがより好ましい。
また、チタン窒化物含有粒子は、他の金属微粒子と複合化していてもよい。
本明細書において、複合化とは、チタン窒化物と金属微粒子が複合化しているか、高度に分散した状態にある粒子のことをいう。ここで、「複合化している」とは、チタン窒化物と他の金属の両成分によって粒子が構成されていることを意味し、「高度に分散した状態」とは、チタン窒化物と他の金属がそれぞれ個別で存在し、他の金属の粒子が凝集せず均一、一様に分散していることを意味する。
金属微粒子の材料としては特に限定されず、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、カルシウム、チタン、ビスマス、アンチモン及び鉛、並びにこれらの合金、から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。なかでも、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム及びイリジウム、並びにこれらの合金から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、銅、銀、金、白金及び錫、並びにこれらの合金から選ばれる少なくとも一種であることがより好ましい。耐湿性により優れる観点から、銀であることが好ましい。
チタン窒化物含有粒子における上記金属微粒子の含有量としては、チタン窒化物含有粒子の全質量に対して5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
(チタン窒化物含有粒子の製造方法)
チタン窒化物含有粒子の製造方法としては特に制限されず、公知の方法を用いることができる。チタン窒化物含有粒子の製造方法としては、例えば、気相反応法が挙げられる。気相反応法としては、電気炉法、及び、熱プラズマ法等が挙げられるが、不純物の混入が少なく、粒子径が揃いやすく、また、生産性が高い点で、熱プラズマ法が好ましい。
熱プラズマ法において、熱プラズマを発生させる方法としては、特に制限されず、直流アーク放電、多層アーク放電、高周波(RF)プラズマ、及び、ハイブリッドプラズマ等が挙げられ、電極からの不純物の混入が少ない高周波プラズマが好ましい。
熱プラズマ法によるチタン窒化物含有粒子の具体的な製造方法としては、特に制限されないが、例えば、チタン窒化物の製造方法として、プラズマ炎中で四塩化チタンとアンモニアガスを反応させる方法(特開平2−22110号公報)、チタン粉末を高周波熱プラズマにより蒸発させ窒素をキャリアーガスとして導入し冷却過程にて窒化させ合成する方法(特開昭61−11140号公報)、及び、プラズマの周縁部にアンモニアガスを吹き込む方法(特開昭63−85007号)等が挙げられる。
ただし、チタン窒化物含有粒子の製造方法としては、上記に制限されるものではなく、所望とする物性を有するチタン窒化物含有粒子が得られれば、製造方法は制限されない。
また、熱プラズマ法により、チタン窒化物含有粒子を製造する際、その原料が液体である場合には、プラズマ炎中に所望の流量で原料のガスを導入するため、適宜原料を加熱又は冷却してもよい。
(加熱工程)
チタン窒化物含有粒子の製造方法は、上記の製造方法で作製したチタンの窒化物を含有する粒子を、加熱して、不純物を揮発させ、除去する工程(加熱工程)を更に含有することが好ましい。
上記加熱工程を経て作製されたチタン窒化物含有粒子は、チタン窒化物含有粒子中における不純物、特に、揮発性の不純物の含有量が低下しやすい。
加熱工程を経て作製されたチタン窒化物含有粒子は、400〜1200nmにおける複素誘電率の実数部ε’の最小値が0未満になりやすい。
一方、上記加熱工程を経ずに作製されたチタン窒化物含有粒子は、400〜1200nmにおける複素誘電率の実数部の最小値が0以上になりやすい(例えば、後述する、チタン窒化物含有粒子TiN−Cに該当する)。
上記加熱工程における加熱温度としては特に制限されず、一般に150〜500℃が好ましい。加熱時間としては特に制限されず、一般に1時間〜3日が好ましい。加熱中の雰囲気としては特に制限されないが、酸素が200ppm未満の窒素雰囲気等が好ましい。また、加熱中に減圧してもよい。
〔樹脂〕
上記組成物は樹脂を含有する。樹脂としては特に制限されないが、分散剤、及び、アルカリ可溶性樹脂等が挙げられる。
組成物中における樹脂の含有量としては特に制限されないが、一般に組成物の全固形分に対して0.5〜30質量%が好ましい。
<分散剤>
上記組成物は分散剤(樹脂に該当する)を含有することが好ましい。なお、本明細書において、分散剤とは、後述するアルカリ可溶性樹脂とは異なる化合物を意図する。
組成物中における分散剤の含有量としては特に制限されないが、一般に組成物の全固形分に対して8〜20質量%が好ましい。
分散剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の分散剤を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
分散剤としては、例えば、公知の分散剤を適宜選択して用いることができる。なかでも、高分子化合物が好ましい。
分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、及び、顔料誘導体等を挙げることができる。
高分子化合物は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、及びブロック型高分子に分類することができる。
(高分子化合物)
高分子化合物は、チタン窒化物含有粒子(以下、「顔料」ということがある。)の表面に吸着し、被分散体の再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を含有する、末端変性型高分子、グラフト型高分子、及び、ブロック型高分子が好ましい。
高分子化合物は、グラフト鎖を含有する構造単位を含有することが好ましい。なお、本明細書において、「構造単位」とは「繰り返し単位」と同義である。
このようなグラフト鎖を含有する構造単位を含有する高分子化合物は、グラフト鎖によって溶剤との親和性を有するために、チタン窒化物含有粒子等の分散性、及び、経時後の分散安定性(経時安定性)に優れるものである。また、グラフト鎖の存在により、グラフト鎖を含有する構造単位を含有する高分子化合物は重合性化合物又はその他の併用可能な樹脂等との親和性を有する。結果として、アルカリ現像で残渣を生じにくくなる。
グラフト鎖が長くなると立体反発効果が高くなりチタン窒化物含有粒子等の分散性は向上する。一方、グラフト鎖が長すぎるとチタン窒化物含有粒子等への吸着力が低下して、チタン窒化物含有粒子等の分散性は低下する傾向となる。このため、グラフト鎖は、水素原子を除いた原子数が40〜10000であるものが好ましく、水素原子を除いた原子数が50〜2000であるものがより好ましく、水素原子を除いた原子数が60〜500であるものが更に好ましい。
ここで、グラフト鎖とは、共重合体の主鎖の根元(主鎖から枝分かれしている基において主鎖に結合する原子)から、主鎖から枝分かれしている基の末端までを示す。
グラフト鎖は、ポリマー構造を含有することが好ましく、このようなポリマー構造としては、例えば、ポリ(メタ)アクリレート構造(例えば、ポリ(メタ)アクリル構造)、ポリエステル構造、ポリウレタン構造、ポリウレア構造、ポリアミド構造、及び、ポリエーテル構造等を挙げることができる。
グラフト鎖と溶剤との相互作用性を向上させ、それによりチタン窒化物含有粒子等の分散性を高めるために、グラフト鎖は、ポリエステル構造、ポリエーテル構造及びポリ(メタ)アクリレート構造からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有するグラフト鎖であることが好ましく、ポリエステル構造及びポリエーテル構造の少なくともいずれかを含有するグラフト鎖であることがより好ましい。
このようなグラフト鎖を含有するマクロモノマー(ポリマー構造を有し、共重合体の主鎖に結合してグラフト鎖を構成するモノマー)としては、特に限定されないが、反応性二重結合性基を含有するマクロモノマーを好適に使用することができる。
高分子化合物が含有するグラフト鎖を含有する構造単位に対応し、高分子化合物の合成に好適に用いられる市販のマクロモノマーとしては、AA−6(商品名、東亞合成社製)、AA−10(商品名、東亞合成社製)、AB−6(商品名、東亞合成社製)、AS−6(商品名、東亞合成社製)、AN−6(商品名、東亞合成社製)、AW−6(商品名、東亞合成社製)、AA−714(商品名、東亞合成社製)、AY−707(商品名、東亞合成社製)、AY−714(商品名、東亞合成社製)、AK−5(商品名、東亞合成社製)、AK−30(商品名、東亞合成社製)、AK−32(商品名、東亞合成社製)、ブレンマーPP−100(商品名、日油社製)、ブレンマーPP−500(商品名、日油社製)、ブレンマーPP−800(商品名、日油社製)、ブレンマーPP−1000(商品名、日油社製)、ブレンマー55−PET−800(商品名、日油社製)、ブレンマーPME−4000(商品名、日油社製)、ブレンマーPSE−400(商品名、日油社製)、ブレンマーPSE−1300(商品名、日油社製)、ブレンマー43PAPE−600B(商品名、日油社製)等が用いられる。このなかでも、好ましくは、AA−6(商品名、東亞合成社製)、AA−10(商品名、東亞合成社製)、AB−6(商品名、東亞合成社製)、AS−6(商品名、東亞合成社製)、AN−6(商品名、東亞合成社製)、及び、ブレンマーPME−4000(商品名、日油社製)等が用いられる。
上記分散剤は、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル及び環状又は鎖状のポリエステルからなる群より選択される少なくとも1種の構造を含有することが好ましい。より好ましくは、上記分散剤は、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル及び鎖状のポリエステルからなる群より選択される少なくとも1種の構造を含有する。更に好ましくは、上記分散剤は、ポリアクリル酸メチル構造、ポリメタクリル酸メチル構造、ポリカプロラクトン構造及びポリバレロラクトン構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を含有する。分散剤は、一の分散剤中に上記構造を単独で含有するものであってもよいし、一の分散剤中にこれらの構造を複数含有するものであってもよい。
ここで、ポリカプロラクトン構造とは、ε−カプロラクトンを開環した構造を繰り返し単位として含有するものをいう。ポリバレロラクトン構造とは、δ−バレロラクトンを開環した構造を繰り返し単位として含有するものをいう。
ポリカプロラクトン構造を含有する分散剤の具体例としては、下記式(1)及び下記式(2)におけるj及びkが5であるものが挙げられる。また、ポリバレロラクトン構造を含有する分散剤の具体例としては、下記式(1)及び下記式(2)におけるj及びkが4であるものが挙げられる。
ポリアクリル酸メチル構造を含有する分散剤の具体例としては、下記式(4)におけるXが水素原子であり、Rがメチル基であるものが挙げられる。また、ポリメタクリル酸メチル構造を含有する分散剤の具体例としては、下記式(4)におけるXがメチル基であり、Rがメチル基であるものが挙げられる。
・グラフト鎖を含有する構造単位
高分子化合物は、グラフト鎖を含有する構造単位として、下記式(1)〜式(4)のいずれかで表される構造単位を含有することが好ましく、下記式(1A)、下記式(2A)、下記式(3A)、下記式(3B)、及び下記(4)のいずれかで表される構造単位を含有することがより好ましい。
式(1)〜式(4)において、W、W、W、及びWはそれぞれ独立に酸素原子又はNHを表す。W、W、W、及びWは酸素原子であることが好ましい。
式(1)〜式(4)において、X、X、X、X、及びXは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。X、X、X、X、及びXとしては、合成上の制約の観点からは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数(炭素原子数)1〜12のアルキル基であることが好ましく、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、メチル基が更に好ましい。
式(1)〜式(4)において、Y、Y、Y、及びYは、それぞれ独立に、2価の連結基を表し、連結基は特に構造上制約されない。Y、Y、Y、及びYで表される2価の連結基として、具体的には、下記の(Y−1)〜(Y−21)の連結基等が例として挙げられる。下記に示した構造において、A、Bはそれぞれ、式(1)〜式(4)における左末端基、右末端基との結合部位を意味する。下記に示した構造のうち、合成の簡便性から、(Y−2)又は(Y−13)であることがより好ましい。
式(1)〜式(4)において、Z、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に1価の有機基を表す。有機基の構造は、特に限定されないが、具体的には、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、及びアミノ基等が挙げられる。これらのなかでも、Z、Z、Z、及びZで表される有機基としては、特に分散性向上の観点から、立体反発効果を含有するものが好ましく、各々独立に炭素数5から24のアルキル基又はアルコキシ基がより好ましく、そのなかでも、特に各々独立に炭素数5から24の分岐アルキル基、炭素数5から24の環状アルキル基、又は、炭素数5から24のアルコキシ基が更に好ましい。なお、アルコキシ基中に含まれるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、及び、環状のいずれでもよい。
式(1)〜式(4)において、n、m、p、及びqは、それぞれ独立に、1から500の整数である。
また、式(1)及び式(2)において、j及びkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。式(1)及び式(2)におけるj及びkは、組成物の経時安定性及び現像性の観点から、4〜6の整数が好ましく、5がより好ましい。
式(3)中、Rは分岐鎖状又は直鎖状のアルキレン基を表し、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基がより好ましい。pが2〜500のとき、複数存在するRは互いに同じであっても異なっていてもよい。
式(4)中、Rは水素原子又は1価の有機基を表し、この1価の有機基としては特に構造上限定はされない。Rとして好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、又は、ヘテロアリール基が挙げられ、より好ましくは、水素原子、又はアルキル基である。Rがアルキル基である場合、アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐鎖状アルキル基、又は炭素数5〜20の環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基が更に好ましい。式(4)において、qが2〜500のとき、グラフト共重合体中に複数存在するX及びRは互いに同じであっても異なっていてもよい。
また、高分子化合物は、2種以上の構造が異なる、グラフト鎖を含有する構造単位を含有することができる。即ち、高分子化合物の分子中に、互いに構造の異なる式(1)〜式(4)で示される構造単位を含んでいてもよく、また、式(1)〜式(4)においてn、m、p、及びqがそれぞれ2以上の整数を表す場合、式(1)及び式(2)においては、側鎖中にj及びkが互いに異なる構造を含んでいてもよく、式(3)及び式(4)においては、分子内に複数存在するR、R及びXは互いに同じであっても異なっていてもよい。
式(1)で表される構造単位としては、組成物の経時安定性及び現像性の観点から、下記式(1A)で表される構造単位であることがより好ましい。
また、式(2)で表される構造単位としては、組成物の経時安定性及び現像性の観点から、下記式(2A)で表される構造単位であることがより好ましい。
式(1A)中、X、Y、Z及びnは、式(1)におけるX、Y、Z及びnと同義であり、好ましい範囲も同様である。式(2A)中、X、Y、Z及びmは、式(2)におけるX、Y、Z及びmと同義であり、好ましい範囲も同様である。
また、式(3)で表される構造単位としては、組成物の経時安定性及び現像性の観点から、下記式(3A)又は式(3B)で表される構造単位であることがより好ましい。
式(3A)又は(3B)中、X、Y、Z及びpは、式(3)におけるX、Y、Z及びpと同義であり、好ましい範囲も同様である。
高分子化合物は、グラフト鎖を含有する構造単位として、式(1A)で表される構造単位を含有することがより好ましい。
高分子化合物において、グラフト鎖を含有する構造単位(例えば、上記式(1)〜式(4)で表される構造単位)は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対し2〜90%の範囲で含まれることが好ましく、5〜30%の範囲で含まれることがより好ましい。グラフト鎖を含有する構造単位がこの範囲内で含まれると、チタン窒化物含有粒子の分散性が高く、硬化膜を形成する際の現像性が良好である。
・疎水性構造単位
また、高分子化合物は、グラフト鎖を含有する構造単位とは異なる(すなわち、グラフト鎖を含有する構造単位には相当しない)疎水性構造単位を含有することが好ましい。ただし、本明細書において、疎水性構造単位は、酸基(例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基等)を有さない構造単位である。
疎水性構造単位は、好ましくは、ClogP値が1.2以上の化合物(モノマー)に由来する(対応する)構造単位であり、より好ましくは、ClogP値が1.2〜8の化合物に由来する構造単位である。これにより、本発明の効果をより確実に発現することができる。
ClogP値は、Daylight Chemical Information System, Inc.から入手できるプログラム“CLOGP”で計算された値である。このプログラムは、Hansch, Leoのフラグメントアプローチ(下記文献参照)により算出される“計算logP”の値を提供する。フラグメントアプローチは化合物の化学構造に基づいており、化学構造を部分構造(フラグメント)に分割し、そのフラグメントに対して割り当てられたlogP寄与分を合計することにより化合物のlogP値を推算している。その詳細は以下の文献に記載されている。本発明では、プログラムCLOGP v4.82により計算したClogP値を用いる。
A. J. Leo, Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4, C. Hansch, P. G. Sammnens, J. B. Taylor and C. A. Ramsden, Eds., p.295, Pergamon Press, 1990 C. Hansch & A. J. Leo. SUbstituent Constants For Correlation Analysis in Chemistry and Biology. John Wiley & Sons. A.J. Leo. Calculating logPoct from structure. Chem. Rev., 93, 1281−1306, 1993.
logPは、分配係数P(Partition Coefficient)の常用対数を意味し、ある有機化合物が油(一般的には1−オクタノール)と水の2相系の平衡でどのように分配されるかを定量的な数値として表す物性値であり、以下の式で示される。
logP=log(Coil/Cwater)
式中、Coilは油相中の化合物のモル濃度を、Cwaterは水相中の化合物のモル濃度を表す。
logPの値が0をはさんでプラスに大きくなると油溶性が増し、マイナスで絶対値が大きくなると水溶性が増すことを意味し、有機化合物の水溶性と負の相関があり、有機化合物の親疎水性を見積るパラメータとして広く利用されている。
高分子化合物は、疎水性構造単位として、下記式(i)〜(iii)で表される単量体に由来の構造単位から選択された1種以上の構造単位を含有することが好ましい。
上記式(i)〜(iii)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、又は炭素数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
、R、及びRは、好ましくは水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又はメチル基である。R及びRは、水素原子であることが更に好ましい。
Xは、酸素原子(−O−)又はイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
Lは、単結合又は2価の連結基である。2価の連結基としては、2価の脂肪族基(例えば、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(例えば、アリーレン基、置換アリーレン基)、2価の複素環基、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ基(−NR31−、ここでR31は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、カルボニル基(−CO−)、及び、これらの組合せ等が挙げられる。
2価の脂肪族基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。脂肪族基は不飽和脂肪族基であっても飽和脂肪族基であってもよいが、飽和脂肪族基であることが好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、芳香族基及び複素環基等が挙げられる。
2価の芳香族基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜10が更に好ましい。また、芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基及び複素環基等が挙げられる。
2価の複素環基は、複素環として5員環又は6員環を含有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R32、ここでR32は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、脂肪族基、芳香族基、又は、複素環基が挙げられる。
Lは、単結合、アルキレン基又はオキシアルキレン構造を含有する2価の連結基であることが好ましい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造であることがより好ましい。また、Lは、オキシアルキレン構造を2以上繰り返して含有するポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造としては、ポリオキシエチレン構造又はポリオキシプロピレン構造が好ましい。ポリオキシエチレン構造は、−(OCHCH)n−で表され、nは、2以上の整数が好ましく、2〜10の整数であることがより好ましい。
Zとしては、脂肪族基(例えば、アルキル基、置換アルキル基、不飽和アルキル基、置換不飽和アルキル基、)、芳香族基(例えば、アリール基、置換アリール基、アリーレン基、置換アリーレン基)、複素環基、又は、これらの組み合わせが挙げられる。これらの基には、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ基(−NR31−、ここでR31は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、又は、カルボニル基(−CO−)が含まれていてもよい。
脂肪族基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。脂肪族基には、更に環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、環集合炭化水素基の例としては、ビシクロヘキシル基、パーヒドロナフタレニル基、ビフェニル基、及び、4−シクロヘキシルフェニル基等が含まれる。架橋環式炭化水素環として、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、ビシクロオクタン環(ビシクロ[2.2.2]オクタン環、及び、ビシクロ[3.2.1]オクタン環等)等の2環式炭化水素環、ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、及び、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環等の3環式炭化水素環、並びに、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、及び、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン環等の4環式炭化水素環等が挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、縮合環式炭化水素環、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、及び、パーヒドロフェナレン環等の5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
脂肪族基は不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、芳香族基及び複素環基が挙げられる。ただし、脂肪族基は、置換基として酸基を有さない。
芳香族基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜10が更に好ましい。また、芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。ただし、芳香族基は、置換基として酸基を有さない。
複素環基は、複素環として5員環又は6員環を含有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R32、ここでR32は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、脂肪族基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。ただし、複素環基は、置換基として酸基を有さない。
上記式(iii)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、炭素数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、Z、又はL−Zを表す。ここでL及びZは、上記におけるものと同義である。R、R、及びRとしては、水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
上記式(i)で表される単量体として、R、R、及びRが水素原子又はメチル基であって、Lが単結合又はアルキレン基もしくはオキシアルキレン構造を含有する2価の連結基であって、Xが酸素原子又はイミノ基であって、Zが脂肪族基、複素環基又は芳香族基である化合物が好ましい。
また、上記式(ii)で表される単量体として、Rが水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zが脂肪族基、複素環基又は芳香族基である化合物が好ましい。また、上記式(iii)で表される単量体として、R、R、及びRが水素原子又はメチル基であって、Zが脂肪族基、複素環基又は芳香族基である化合物が好ましい。
式(i)〜(iii)で表される代表的な化合物の例としては、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、及び、スチレン類等から選ばれるラジカル重合性化合物が挙げられる。
なお、式(i)〜(iii)で表される代表的な化合物の例としては、特開2013−249417号公報の段落0089〜0093に記載の化合物を参照でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
高分子化合物において、疎水性構造単位は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対し10〜90%の範囲で含まれることが好ましく、20〜80%の範囲で含まれることがより好ましい。含有量が上記範囲において十分なパターン形成が得られる。
・チタン窒化物含有粒子等と相互作用を形成しうる官能基
高分子化合物は、チタン窒化物含有粒子等と相互作用を形成しうる官能基を導入することができる。ここで、高分子化合物は、チタン窒化物含有粒子等と相互作用を形成しうる官能基を含有する構造単位を更に含有することが好ましい。
このチタン窒化物含有粒子等と相互作用を形成しうる官能基としては、例えば、酸基、塩基性基、配位性基、及び、反応性を有する官能基等が挙げられる。
高分子化合物が、酸基、塩基性基、配位性基、又は、反応性を有する官能基を含有する場合、それぞれ、酸基を含有する構造単位、塩基性基を含有する構造単位、配位性基を含有する構造単位、又は、反応性を有する構造単位を含有することが好ましい。
特に、高分子化合物が、更に、酸基として、カルボン酸基等のアルカリ可溶性基を含有することで、高分子化合物に、アルカリ現像によるパターン形成のための現像性を付与することができる。
すなわち、高分子化合物にアルカリ可溶性基を導入することで、上記組成物は、チタン窒化物含有粒子等の分散に寄与する分散剤としての高分子化合物がアルカリ可溶性を含有することになる。このような高分子化合物を含有する組成物は、露光部の遮光性に優れたものとなり、且つ、未露光部のアルカリ現像性が向上される。
また、高分子化合物が酸基を含有する構造単位を含有することにより、高分子化合物が溶剤となじみやすくなり、塗布性も向上する傾向となる。
これは、酸基を含有する構造単位における酸基がチタン窒化物含有粒子等と相互作用しやすく、高分子化合物がチタン窒化物含有粒子等を安定的に分散すると共に、チタン窒化物含有粒子等を分散する高分子化合物の粘度が低くなっており、高分子化合物自体も安定的に分散されやすいためであると推測される。
ただし、酸基としてのアルカリ可溶性基を含有する構造単位は、上記のグラフト鎖を含有する構造単位と同一の構造単位であっても、異なる構造単位であってもよいが、酸基としてのアルカリ可溶性基を含有する構造単位は、上記の疎水性構造単位とは異なる構造単位である(すなわち、上記の疎水性構造単位には相当しない)。
チタン窒化物含有粒子等と相互作用を形成しうる官能基である酸基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、又は、フェノール性水酸基等があり、好ましくは、カルボン酸基、スルホン酸基、及び、リン酸基のうち少なくとも1種であり、より好ましいものは、チタン窒化物含有粒子等への吸着力が良好で、且つ、分散性が高い点で、カルボン酸基である。
すなわち、高分子化合物は、カルボン酸基、スルホン酸基、及び、リン酸基のうち少なくとも1種を含有する構造単位を更に含有することが好ましい。
高分子化合物は、酸基を含有する構造単位を1種又は2種以上有してもよい。
高分子化合物は、酸基を含有する構造単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、酸基を含有する構造単位の含有量は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対して、好ましくは5〜80%であり、より好ましくは、アルカリ現像による画像強度のダメージ抑制という観点から、10〜60%である。
チタン窒化物含有粒子等と相互作用を形成しうる官能基である塩基性基としては、例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、N原子を含有するヘテロ環、及び、アミド基等があり、好ましいものは、チタン窒化物含有粒子等への吸着力が良好で、且つ、分散性が高い点で、第3級アミノ基である。高分子化合物は、これらの塩基性基を1種或いは2種以上、含有することができる。
高分子化合物は、塩基性基を含有する構造単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、塩基性基を含有する構造単位の含有量は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対して、好ましくは0.01%以上50%以下であり、より好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、0.01%以上30%以下である。
チタン窒化物含有粒子等と相互作用を形成しうる官能基である配位性基、及び反応性を有する官能基としては、例えば、アセチルアセトキシ基、トリアルコキシシリル基、イソシアネート基、酸無水物、及び、酸塩化物等が挙げられる。好ましいものは、チタン窒化物含有粒子等への吸着力が良好で、チタン窒化物含有粒子等の分散性が高い点で、アセチルアセトキシ基である。高分子化合物は、これらの基を1種又は2種以上有してもよい。
高分子化合物は、配位性基を含有する構造単位、又は、反応性を有する官能基を含有する構造単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、これらの構造単位の含有量は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対して、好ましくは10%以上80%以下であり、より好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、20%以上60%以下である。
上記高分子化合物が、グラフト鎖以外に、チタン窒化物含有粒子等と相互作用を形成しうる官能基を含有する場合、上記の各種のチタン窒化物含有粒子等と相互作用を形成しうる官能基を含有していればよく、これらの官能基がどのように導入されているかは特に限定はされないが、高分子化合物は、下記式(iv)〜(vi)で表される単量体に由来の構造単位から選択された1種以上の構造単位を含有することが好ましい。
式(iv)〜式(vi)中、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、又は炭素数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
式(iv)〜式(vi)中、R11、R12、及びR13は、好ましくは、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基であり、より好ましくは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。一般式(iv)中、R12及びR13は、それぞれ水素原子であることが特に好ましい。
式(iv)中のXは、酸素原子(−O−)又はイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
また、式(v)中のYは、メチン基又は窒素原子を表す。
また、式(iv)〜式(v)中のLは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基の定義は、上述した式(i)中のLで表される2価の連結基の定義と同じである。
は、単結合、アルキレン基又はオキシアルキレン構造を含有する2価の連結基であることが好ましい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造であることがより好ましい。また、Lは、オキシアルキレン構造を2以上繰り返して含有するポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造としては、ポリオキシエチレン構造又はポリオキシプロピレン構造が好ましい。ポリオキシエチレン構造は、−(OCHCH)n−で表され、nは、2以上の整数が好ましく、2〜10の整数であることがより好ましい。
式(iv)〜式(vi)中、Zは、グラフト鎖以外にチタン窒化物含有粒子等と相互作用を形成しうる官能基を表し、カルボン酸基、及び、第三級アミノ基であることが好ましく、カルボン酸基であることがより好ましい。
式(vi)中、R14、R15、及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、炭素数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、−Z、又はL−Zを表す。ここでL及びZは、上記におけるL及びZと同義であり、好ましい例も同様である。R14、R15、及びR16としては、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
式(iv)で表される単量体として、R11、R12、及びR13がそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基又はオキシアルキレン構造を含有する2価の連結基であって、Xが酸素原子又はイミノ基であって、Zがカルボン酸基である化合物が好ましい。
また、式(v)で表される単量体として、R11が水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zがカルボン酸基であって、Yがメチン基である化合物が好ましい。
更に、式(vi)で表される単量体として、R14、R15、及びR16がそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であって、Lが単結合又はアルキレン基であって、Zがカルボン酸基である化合物が好ましい。
以下に、式(iv)〜式(vi)で表される単量体(化合物)の代表的な例を示す。
単量体の例としては、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を含有する化合物(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)とコハク酸無水物との反応物、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を含有する化合物とフタル酸無水物との反応物、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を含有する化合物とテトラヒドロキシフタル酸無水物との反応物、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を含有する化合物と無水トリメリット酸との反応物、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を含有する化合物とピロメリット酸無水物との反応物、アクリル酸、アクリル酸ダイマー、アクリル酸オリゴマー、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、4−ビニル安息香酸、ビニルフェノール、及び、4−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド等が挙げられる。
チタン窒化物含有粒子等と相互作用を形成しうる官能基を含有する構造単位の含有量は、チタン窒化物含有粒子等との相互作用、経時安定性、及び現像液への浸透性の観点から、高分子化合物の全質量に対して、0.05質量%〜90質量%が好ましく、1.0質量%〜80質量%がより好ましく、10質量%〜70質量%が更に好ましい。
・その他の構造単位
更に、高分子化合物は、画像強度等の諸性能を向上する目的で、本発明の効果を損なわない限りにおいて、グラフト鎖を含有する構造単位、疎水性構造単位、及び、チタン窒化物含有粒子等と相互作用を形成しうる官能基を含有する構造単位とは異なる、種々の機能を有する他の構造単位(例えば、分散物に用いられる溶剤との親和性を有する官能基等を含有する構造単位)を更に有していてもよい。
このような、他の構造単位としては、例えば、アクリロニトリル類、及び、メタクリロニトリル類等から選ばれるラジカル重合性化合物に由来の構造単位が挙げられる。
高分子化合物は、これらの他の構造単位を1種或いは2種以上用いることができ、その含有量は、質量換算で、高分子化合物の総質量に対して、好ましくは0%以上80%以下であり、特に好ましくは、10%以上60%以下である。含有量が上記範囲において、十分なパターン形成性が維持される。
・高分子化合物の物性
高分子化合物の酸価は、0mgKOH/g以上250mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下の範囲であり、更に好ましくは20mgKOH/g以上120mgKOH/g以下の範囲である。
高分子化合物の酸価が160mgKOH/g以下であれば、硬化膜を形成する際の現像時におけるパターン剥離がより効果的に抑えられる。また、高分子化合物の酸価が10mgKOH/g以上であればアルカリ現像性がより良好となる。また、高分子化合物の酸価が20mgKOH/g以上であれば、チタン窒化物含有粒子等の沈降をより抑制でき、粗大粒子数をより少なくすることができ、組成物の経時安定性をより向上できる。
高分子化合物の酸価は、例えば、高分子化合物中における酸基の平均含有量から算出することができる。また、高分子化合物の構成成分である酸基を含有する構造単位の含有量を変化させることで所望の酸価を有する樹脂を得ることができる。
高分子化合物の重量平均分子量は、硬化膜を形成する際において、現像時のパターン剥離抑制と現像性の観点から、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲル浸透クロマトグラフィー)法によるポリスチレン換算値として、4,000以上300,000以下であることが好ましく、5,000以上200,000以下であることがより好ましく、6,000以上100,000以下であることが更に好ましく、10,000以上50,000以下であることが特に好ましい。
GPC法は、HLC−8020GPC(東ソー製)を用い、カラムとしてTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ2000(東ソー製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる方法に基づく。
高分子化合物は、公知の方法に基づいて合成できる。
高分子化合物の具体例としては、楠本化成社製「DA−7301」、BYKChemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含有する共重合体)、111(リン酸系分散剤)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170、190(高分子共重合体)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)」、EFKA社製「EFKA4047、4050〜4010〜4165(ポリウレタン系)、EFKA4330〜4340(ブロック共重合体)、4400〜4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821、PB822、PB880、PB881」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、日本ルーブリゾール製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、12000、17000、20000、27000(末端部に機能部を含有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト共重合体)」、日光ケミカルズ社製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」、川研ファインケミカル製 ヒノアクトT−8000E等、信越化学工業製、オルガノシロキサンポリマーKP341、裕商製「W001:カチオン系界面活性剤」、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、「W004、W005、W017」等のアニオン系界面活性剤、森下産業製「EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450」、サンノプコ製「ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100」等の高分子分散剤、ADEKA製「アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123」、及び三洋化成製「イオネット(商品名)S−20」等が挙げられる。また、アクリベースFFS−6752、アクリベースFFS−187、アクリキュア−RD−F8、及び、サイクロマーPを用いることもできる。
また、両性樹脂の市販品としては、例えば、ビックケミー社製のDISPERBYK−130、DISPERBYK−140、DISPERBYK−142、DISPERBYK−145、DISPERBYK−180、DISPERBYK−187、DISPERBYK−191、DISPERBYK−2001、DISPERBYK−2010、DISPERBYK−2012、DISPERBYK−2025、BYK−9076、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPB821、アジスパーPB822、及び、アジスパーPB881等が挙げられる。
これらの高分子化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、高分子化合物の具体例の例としては、特開2013−249417号公報の段落0127〜0129に記載の高分子化合物を参照でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、分散剤としては、上記の高分子化合物以外に、特開2010−106268号公報の段落0037〜0115(対応するUS2011/0124824の段落0075〜0133欄)のグラフト共重合体が使用でき、これらの内容は援用でき、本明細書に組み込まれる。
また、上記以外にも、特開2011−153283号公報の段落0028〜0084(対応するUS2011/0279759の段落0075〜0133欄)の酸性基が連結基を介して結合してなる側鎖構造を含有する構成成分を含有する高分子化合物が使用でき、これらの内容は援用でき、本明細書に組み込まれる。
また、分散剤としては、特開2016−109763号公報の0033〜0049段落に記載された樹脂を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。
<アルカリ可溶性樹脂>
上記組成物は、アルカリ可溶性樹脂(樹脂に該当する)を含有することが好ましい。本明細書において、アルカリ可溶性樹脂とは、アルカリ可溶性を促進する基(アルカリ可溶性基)を含有する樹脂を意図し、既に説明した分散剤とは異なる樹脂を意図する。
組成物中におけるアルカリ可溶性樹脂の含有量としては特に制限されないが、一般に組成物の全固形分に対して、0.5〜30質量%が好ましく、組成物がより優れた本発明の効果を有する点で、1〜20質量%が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上のアルカリ可溶性樹脂を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、分子中に少なくとも1つのアルカリ可溶性基を含有する樹脂が挙げられ、例えば、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリシロキサン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、(メタ)アクリル/(メタ)アクリルアミド共重合樹脂、エポキシ系樹脂、及び、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂の具体例としては、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物の共重合体が挙げられる。
不飽和カルボン酸としては特に制限されないが、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、及び、ビニル酢酸等のモノカルボン酸類;イタコン酸、マレイン酸、及び、フマル酸等のジカルボン酸、又は、その酸無水物;フタル酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)等の多価カルボン酸モノエステル類;等が挙げられる。
共重合可能なエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル等が挙げられる。また、特開2010−97210号公報の0027段落、及び、特開2015−68893号公報の0036〜0037段落に記載の化合物を用いることもでき、上記の内容は本明細書に組み込まれる。
また、共重合可能なエチレン性不飽和化合物であって、側鎖にエチレン性不飽和基を含有する化合物を組み合わせて用いてもよい。エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリル酸基が好ましい。側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂は、例えば、カルボン酸基を含有するアクリル樹脂のカルボン酸基に、グリシジル基又は脂環式エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物を付加反応させて得ることができる。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、及び、特開昭59−71048号に記載されている側鎖にカルボン酸基を含有するラジカル重合体;欧州特許第993966号、欧州特許第1204000号、及び、特開2001−318463号等の各公報に記載されているアルカリ可溶性基を含有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダー樹脂;ポリビニルピロリドン;ポリエチレンオキサイド;アルコール可溶性ナイロン、及び、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとの反応物であるポリエーテル等;国際公開第2008/123097号に記載のポリイミド樹脂;等を用いることができる。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、特開2016−75845号公報の0225〜0245段落に記載の化合物を用いることもでき、上記内容は本明細書に組み込まれる。
アルカリ可溶性樹脂としては、ポリイミド前駆体を用いることもできる。ポリイミド前駆体は、酸無水物基を含有する化合物とジアミン化合物とを40〜100℃下において付加重合反応することにより得られる樹脂を意図する。
ポリイミド前駆体としては、例えば、式(1)で表される繰り返し単位を含有する樹脂が挙げられる。ポリイミド前駆体の構造としては、例えば、下記式(2)で示されるアミック酸構造と、アミック酸構造が一部イミド閉環してなる下記式(3)、及び/又は、全てイミド閉環した下記式(4)で示されるイミド構造を含有するものが挙げられる。
なお、本明細書において、アミック酸構造を有するポリイミド前駆体をポリアミック酸ということがある。
上記式(1)〜(4)において、Rは炭素数2〜22の4価の有機基を表し、Rは炭素数1〜22の2価の有機基を表し、nは1又は2を表す。
上記ポリイミド前駆体の具体例としては、例えば、特開2008−106250号公報の0011〜0031段落に記載の化合物、特開2016−122101号公報の0022〜0039段落に記載の化合物、及び、特開2016−68401号公報の0061〜0092段落に記載の化合物等が挙げられ、上記の内容は本明細書に組み込まれる。
アルカリ可溶性樹脂は、組成物を用いて得られるパターン状の硬化膜のパターン形状がより優れる点で、ポリイミド樹脂、及び、ポリイミド前駆体からなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
アルカリ可溶性基を含有するポリイミド樹脂としては、特に制限されず、公知のアルカリ可溶性基を含有するポリイミド樹脂を用いることができる。上記ポリイミド樹脂としては、例えば、特開2014−137523号公報の0050段落に記載された樹脂、特開2015−187676号公報の0058段落に記載された樹脂、及び、特開2014−106326号公報の0012〜0013段落に記載された樹脂等が挙げられ、上記の内容は本明細書に組み込まれる。
〔任意成分〕
上記組成物は、上記以外の任意成分を含有していてもよい。任意成分としては、例えば、重合性化合物、重合開始剤、溶剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、密着改良剤、及び、着色剤、顔料誘導体等が挙げられる。なお、着色剤とは、チタン窒化物含有粒子以外の着色剤を意図する。以下では、各成分について詳述する。
<重合性化合物>
上記組成物は、重合性化合物を含有することが好ましい。本明細書において重合性化合物とは、重合性基を含有する化合物を意図し、分散剤、及び、アルカリ可溶性樹脂とは異なる成分を意図する。
組成物中における重合性化合物の含有量としては特に制限されないが、組成物の全固形分に対して、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
重合性化合物は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の重合性化合物を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を含有する基を1個以上含有する化合物が好ましく、2個以上含有する化合物がより好ましく、3個以上含有することが更に好ましく、5個以上含有することが特に好ましい。上限は、例えば、15個以下である。エチレン性不飽和結合を含有する基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、及び、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
重合性化合物としては、例えば、特開2008−260927号公報の0050段落、及び、特開2015−68893号公報の0040段落に記載されている化合物を用いることができ、上記の内容は本明細書に組み込まれる。
重合性化合物は、例えば、モノマー、プレポリマー、オリゴマー、及び、これらの混合物、並びに、これらの多量体等の化学的形態のいずれであってもよい。
重合性化合物は、3〜15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3〜6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。
重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を含有する基を1個以上含有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つ化合物も好ましい。例えば、特開2013−29760号公報の段落0227、特開2008−292970号公報の段落0254〜0257に記載の化合物を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
重合性化合物は、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としてはKAYARAD D−330;日本化薬社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはKAYARAD D−320;日本化薬社製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D−310;日本化薬社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬社製、A−DPH−12E;新中村化学社製)、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール残基又はプロピレングリコール残基を介している構造(例えば、サートマー社から市販されている、SR454、SR499)が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。また、NKエステルA−TMMT(ペンタエリスリトールテトラアクリレート、新中村化学社製)、及び、KAYARAD RP−1040(日本化薬社製)等を使用することもできる。
以下に好ましい重合性化合物の態様を示す。
重合性化合物は、カルボン酸基、スルホン酸基、及び、リン酸基等の酸基を有していてもよい。酸基を含有する重合性化合物としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましく、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応の水酸基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた重合性化合物がより好ましく、更に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。市販品としては、例えば、東亞合成社製の、アロニックスTO−2349、M−305、M−510、及び、M−520等が挙げられる。
酸基を含有する重合性化合物の好ましい酸価としては、0.1〜40mgKOH/gであり、より好ましくは5〜30mgKOH/gである。重合性化合物の酸価が0.1mgKOH/g以上であれば、現像溶解特性が良好であり、40mgKOH/g以下であれば、製造及び/又は取扱い上、有利である。更には、光重合性能が良好で、硬化性に優れる。
重合性化合物は、カプロラクトン構造を含有する化合物も好ましい態様である。
カプロラクトン構造を含有する化合物としては、分子内にカプロラクトン構造を含有する限り特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸及びε−カプロラクトンとをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。なかでも下記式(Z−1)で表されるカプロラクトン構造を含有する化合物が好ましい。
式(Z−1)中、6個のRは全てが下記式(Z−2)で表される基であるか、又は6個のRのうち1〜5個が下記式(Z−2)で表される基であり、残余が下記式(Z−3)で表される基である。
式(Z−2)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは1又は2の数を示し、「*」は結合手であることを示す。
式(Z−3)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、「*」は結合手であることを示す。)
カプロラクトン構造を含有する重合性化合物は、例えば、日本化薬からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA−20(上記式(Z−1)〜(Z−3)においてm=1、式(Z−2)で表される基の数=2、Rが全て水素原子である化合物)、DPCA−30(同式、m=1、式(Z−2)で表される基の数=3、Rが全て水素原子である化合物)、DPCA−60(同式、m=1、式(Z−2)で表される基の数=6、Rが全て水素原子である化合物)、DPCA−120(同式においてm=2、式(Z−2)で表される基の数=6、Rが全て水素原子である化合物)等が挙げられる。
重合性化合物は、下記式(Z−4)又は(Z−5)で表される化合物を用いることもできる。
式(Z−4)及び(Z−5)中、Eは、各々独立に、−((CHCHO)−、又は((CHCH(CH)O)−を表し、yは、各々独立に0〜10の整数を表し、Xは、各々独立に、(メタ)アクリロイル基、水素原子、又はカルボン酸基を表す。
式(Z−4)中、(メタ)アクリロイル基の合計は3個又は4個であり、mは各々独立に0〜10の整数を表し、各mの合計は0〜40の整数である。
式(Z−5)中、(メタ)アクリロイル基の合計は5個又は6個であり、nは各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は0〜60の整数である。
式(Z−4)中、mは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各mの合計は、2〜40の整数が好ましく、2〜16の整数がより好ましく、4〜8の整数が更に好ましい。
式(Z−5)中、nは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各nの合計は、3〜60の整数が好ましく、3〜24の整数がより好ましく、6〜12の整数が更に好ましい。
また、式(Z−4)又は式(Z−5)中の−((CHCHO)−又は((CHCH(CH)O)−は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。
式(Z−4)又は式(Z−5)で表される化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。特に、式(Z−5)において、6個のX全てがアクリロイル基である形態、式(Z−5)において、6個のX全てがアクリロイル基である化合物と、6個のXのうち、少なくとも1個が水素原子ある化合物との混合物である態様が好ましい。このような構成とすることにより、現像性をより向上できる。
また、式(Z−4)又は式(Z−5)で表される化合物の重合性化合物中における全含有量としては、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
式(Z−4)又は式(Z−5)で表される化合物のなかでも、ペンタエリスリトール誘導体及び/又はジペンタエリスリトール誘導体がより好ましい。
また、重合性化合物は、カルド骨格を含有してもよい。
カルド骨格を含有する重合性化合物としては、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を含有する重合性化合物が好ましい。
カルド骨格を含有する重合性化合物としては、限定されないが、例えば、オンコートEXシリーズ(長瀬産業社製)及びオグソール(大阪ガスケミカル社製)等が挙げられる。
<重合開始剤>
上記組成物は、重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤としては、特に制限されず、公知の重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えば、光重合開始剤、及び、熱重合開始剤等が挙げられ、光重合開始剤が好ましい。なお、重合開始剤としては、いわゆるラジカル重合開始剤が好ましい。
重合開始剤の含有量としては、組成物の全固形分に対して1〜20質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
重合開始剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の重合開始剤を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
熱重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、3−カルボキシプロピオニトリル、アゾビスマレノニトリル、及び、ジメチル−(2,2’)−アゾビス(2−メチルプロピオネート)[V−601]等のアゾ化合物、並びに、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、及び、過硫酸カリウム等の有機過酸化物が挙げられる。
重合開始剤の具体例としては、例えば、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている重合開始剤などを挙げることができる。
(光重合開始剤)
上記組成物は光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、重合性化合物の重合を開始することができれば特に制限されず、公知の光重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、例えば、紫外線領域から可視光領域に対して感光性を有するものが好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、重合性化合物の種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、光重合開始剤は、約300nm〜800nm(330nm〜500nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50のモル吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種含有していることが好ましい。
光重合開始剤の含有量としては、組成物の全固形分に対して、1〜20質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
光重合開始剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。光重合開始剤を2種以上併用する場合には、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を含有するもの、オキサジアゾール骨格を含有するもの、等)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、アミノアセトフェノン化合物、及び、ヒドロキシアセトフェノン等が挙げられる。
光重合開始剤の具体例としては、例えば、特開2013−29760号公報の段落0265〜0268を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
光重合開始剤としては、より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、及び特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィン系開始剤も用いることができる。
ヒドロキシアセトフェノン化合物としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959、及びIRGACURE−127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
アミノアセトフェノン化合物としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、又はIRGACURE−379EG(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン化合物としては、365nm又は405nm等の長波光源に吸収波長がマッチングされた特開2009−191179公報に記載の化合物も用いることができる。
アシルホスフィン化合物としては、市販品であるIRGACURE−819、又はIRGACURE−TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
(オキシム化合物)
光重合開始剤として、より好ましくはオキシムエステル系重合開始剤(オキシム化合物)が挙げられる。特にオキシム化合物は高感度で重合効率が高く、組成物中におけるチタン窒化物含有粒子の含有量濃度によらず組成物層を硬化でき、チタン窒化物含有粒子の含有量を高く設計しやすいため好ましい。
オキシム化合物の具体例としては、特開2001−233842号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報記載の化合物、又は特開2006−342166号公報記載の化合物を用いることができる。
オキシム化合物としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
また、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報、及び特開2006−342166号公報の各公報に記載の化合物等も挙げられる。
市販品ではIRGACURE−OXE01(BASF社製)、IRGACURE−OXE02(BASF社製)、IRGACURE−OXE03(BASF社製)、又はIRGACURE−OXE04(BASF社製)も好適に用いられる。また、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカアークルズNCI−831及びアデカアークルズNCI−930(ADEKA社製)、又はN−1919(カルバゾール・オキシムエステル骨格含有光開始剤(ADEKA社製)も用いることができる。
また上記記載以外のオキシム化合物として、カルバゾールN位にオキシムが連結した特表2009−519904号公報に記載の化合物;ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許第7626957号公報に記載の化合物;色素部位にニトロ基が導入された特開2010−15025号公報及び米国特許公開2009−292039号記載の化合物;国際公開特許2009−131189号公報に記載のケトオキシム化合物;トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許7556910号公報に記載の化合物;405nmに極大吸収を有しg線光源に対して良好な感度を有する特開2009−221114号公報記載の化合物;等を用いてもよい。
好ましくは、例えば、特開2013−29760号公報の段落0274〜0275を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
具体的には、オキシム化合物としては、下記式(OX−1)で表される化合物が好ましい。なお、オキシム化合物のN−O結合が(E)体のオキシム化合物であっても、(Z)体のオキシム化合物であっても、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。
式(OX−1)中、R及びBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。
式(OX−1)中、Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、及び、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、更に他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、及び、アリール基等が挙げられる。
式(OX−1)中、Bで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、又は、複素環カルボニル基が好ましい。これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。
式(OX−1)中、Aで表される二価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、又は、アルキニレン基が好ましい。これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。
光重合開始剤として、フッ素原子を含有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を含有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010−262028号公報記載の化合物;特表2014−500852号公報記載の化合物24、36〜40;特開2013−164471号公報記載の化合物(C−3);等が挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれる。
光重合開始剤として、下記一般式(1)〜(4)で表される化合物を用いることもできる。
式(1)において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30のアリール基、又は、炭素数7〜30のアリールアルキル基を表し、R及びRがフェニル基の場合、フェニル基同士が結合してフルオレン基を形成してもよく、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基又は炭素数4〜20の複素環基を表し、Xは、直接結合又はカルボニル基を示す。
式(2)において、R、R、R及びRは、式(1)におけるR、R、R及びRと同義であり、Rは、−R、−OR、−SR、−COR、−CONR、−NRCOR、−OCOR、−COOR、−SCOR、−OCSR、−COSR、−CSOR、−CN、ハロゲン原子又は水酸基を表し、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基又は炭素数4〜20の複素環基を表し、Xは、直接結合又はカルボニル基を表し、aは0〜4の整数を表す。
式(3)において、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30のアリール基、又は、炭素数7〜30のアリールアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基又は炭素数4〜20の複素環基を表し、Xは、直接結合又はカルボニル基を示す。
式(4)において、R、R及びRは、式(3)におけるR、R及びRと同義であり、Rは、−R、−OR、−SR、−COR、−CONR、−NRCOR、−OCOR、−COOR、−SCOR、−OCSR、−COSR、−CSOR、−CN、ハロゲン原子又は水酸基を表し、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基又は炭素数4〜20の複素環基を表し、Xは、直接結合又はカルボニル基を表し、aは0〜4の整数を表す。
上記式(1)及び式(2)において、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、シクロヘキシル基又はフェニル基が好ましい。Rはメチル基、エチル基、フェニル基、トリル基又はキシリル基が好ましい。Rは炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基が好ましい。Rはメチル基、エチル基、フェニル基、トリル基又はナフチル基が好ましい。Xは直接結合が好ましい。
また、上記式(3)及び(4)において、Rは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、シクロヘキシル基又はフェニル基が好ましい。Rはメチル基、エチル基、フェニル基、トリル基又はキシリル基が好ましい。Rは炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基が好ましい。Rはメチル基、エチル基、フェニル基、トリル基又はナフチル基が好ましい。Xは直接結合が好ましい。
式(1)及び式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、特開2014−137466号公報の段落0076〜0079に記載された化合物が挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれることとする。
上記組成物に好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示す。また、オキシム化合物としては、国際公開第2015−036910号のTable1に記載の化合物を用いることもでき、上記の内容は本明細書に組み込まれる。


オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有するものが好ましく、360nm〜480nmの波長領域に極大吸収波長を有するものがより好ましく、365nm及び405nmの吸光度が高いものが更に好ましい。
オキシム化合物の365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000〜300,000であることが好ましく、2,000〜300,000であることがより好ましく、5,000〜200,000であることが更に好ましい。
化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いることができるが、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Cary−5 spctrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
光重合開始剤は、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、光重合開始剤としては、特開第2008−260927号公報の0052段落、特開第201097210号公報の0033〜0037段落、特開第2015−68893号公報の0044段落に記載の化合物を用いることもでき、上記の内容は本明細書に組み込まれる。
<溶剤>
上記組成物は、溶剤を含有することが好ましい。組成物が溶剤を含有する場合、溶剤の含有量としては特に制限されないが、組成物の全固形分が15〜40質量%となるよう調整されることが好ましい。
溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の溶剤を併用する場合には、組成物の全固形分が上記範囲内となるよう調整されることが好ましい。
溶剤の種類としては特に制限されず、公知の溶剤を用いることができる。溶剤としては例えば、水、又は、有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、N−メチル−2−ピロリドン、及び、乳酸エチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
<界面活性剤>
組成物は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤は、組成物の塗布性向上に寄与する。
上記組成物が、界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量としては、組成物の全固形分に対して、0.001〜2.0質量%が好ましい。
界面活性剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。界面活性剤を2種以上併用する場合は、合計量が上記範囲内であることが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
例えば、組成物がフッ素系界面活性剤を含有することで、組成物の液特性(特に、流動性)がより向上する。即ち、フッ素系界面活性剤を含有する組成物を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚さムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3〜40質量%が好適であり、より好ましくは5〜30質量%であり、更に好ましくは7〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性及び/又は省液性の点で効果的であり、組成物中における溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−1068、同SC−381、同SC−383、同S−393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(OMNOVA社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としてブロックポリマーを用いることもでき、具体例としては、例えば特開第2011−89090号公報に記載されたが化合物が挙げられる。
<着色剤>
組成物は、着色剤を含有してもよい。本明細書において、着色剤とはチタン窒化物含有粒子とは異なる化合物を意図する。
着色剤としては、各種公知の顔料(着色顔料)、及び、染料(着色染料)を用いることができる。なお、顔料としては、例えば、無機顔料、及び、有機顔料が挙げられる。
着色剤を含有する場合、その含有量は、硬化して得られる遮光膜の光学特性に応じて決定することができる。また、着色剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(無機顔料)
上記無機顔料としては、特に制限されず、公知の無機顔料を用いることができる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、亜鉛華、鉛白、リトポン、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、沈降性硫酸バリウム及びバライト粉、鉛丹、酸化鉄赤、黄鉛、亜鉛黄(亜鉛黄1種、亜鉛黄2種)、ウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ)ジルコングレー、プラセオジムイエロー、クロムチタンイエロー、クロムグリーン、ピーコック、ビクトリアグリーン、紺青(プルシアンブルーとは無関係)、バナジウムジルコニウム青、クロム錫ピンク、陶試紅、並びに、サーモンピンク等が挙げられる。また、黒色の無機顔料であることが好ましく、無機顔料としては、含有量が少なくとも、高い光学濃度を有する硬化膜を形成することができる組成物が得られる点で、カーボンブラック、チタンブラック、及び金属顔料等(以下、「黒色顔料」ともいう。)が好ましい。金属顔料としては、例えば、Nb、V、Co、Cr、Cu、Mn、Ru、Fe、Ni、Sn、Ti、及びAgからなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属元素を含む金属酸化物又は金属窒素物が挙げられる。
無機顔料としては、銀を含有する金属顔料、錫を含有する金属顔料、並びに、銀及び錫を含有する金属顔料からなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、後述する窒化物又は酸窒化物を含有する顔料から選択される少なくとも1種を含有することがより好ましい。
なお、無機顔料は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
着色剤としては、例えば、特開2014−42375の0027〜0200段落、特開2008−260927号公報の0031段落、及び、特開2015−68893号公報の0015〜0025段落に記載された着色剤を用いることもでき、上記の内容は本明細書に組み込まれる。
着色剤としては、赤外線吸収性を有する顔料を用いることもできる。
赤外線吸収性を有する顔料としては、タングステン化合物、及び金属ホウ化物等が好ましく、なかでも、赤外領域の波長における遮光性に優れる点から、タングステン化合物がより好ましい。特に露光による硬化効率に関わるオキシム系重合開始剤の光吸収波長領域と、可視光領域の透光性に優れる観点からタングステン化合物が好ましい。
これらの顔料は、2種以上併用してもよく、また、後述する染料と併用してもよい。色味を調整するため、及び、所望の波長領域の遮光性を高めるため、例えば、黒色、又は赤外線遮光性を有する顔料に、赤色、緑色、黄色、オレンジ色、紫色、及びブルーなどの有彩色顔料又は後述する染料を混ぜる形態が挙げられる。黒色、又は赤外線遮光性を有する顔料に、赤色顔料若しくは染料、又は、紫色顔料若しくは染料を混合することが好ましく、黒色、又は赤外線遮光性を有する顔料に赤色顔料を混合することがより好ましい。
更に、後述する近赤外線吸収剤、赤外線吸収剤を加えてもよい。
・有機顔料
有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.)ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214等、
C.I.ピグメントオレンジ 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等、
C.I.ピグメントレッド 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279等;
C.I.ピグメントグリーン 7,10,36,37,58,59等;
C.I.ピグメントバイオレット 1,19,23,27,32,37,42等;
C.I.ピグメントブルー 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,80等;
が挙げられる。なお、顔料は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(染料)
染料としては、例えば特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許4808501号明細書、米国特許5667920号明細書、米国特許505950号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、及び、特開平6−194828号公報等に開示されている色素を使用できる。化学構造として区分すると、ピラゾールアゾ化合物、ピロメテン化合物、アニリノアゾ化合物、トリフェニルメタン化合物、アントラキノン化合物、ベンジリデン化合物、オキソノール化合物、ピラゾロトリアゾールアゾ化合物、ピリドンアゾ化合物、シアニン化合物、フェノチアジン化合物、及び、ピロロピラゾールアゾメチン化合物等を使用できる。また、染料としては色素多量体を用いてもよい。色素多量体としては、特開2011−213925号公報、特開2013−041097号公報に記載されている化合物が挙げられる。また、分子内に重合性を有する重合性染料を用いてもよく、市販品としては、例えば、和光純薬株式会社製RDWシリーズが挙げられる。
(赤外線吸収剤)
上記着色剤は、更に赤外線吸収剤を含有してもよい。
赤外線吸収剤は、赤外領域(好ましくは、波長650〜1300nm)の波長領域に吸収を有する化合物を意味する。赤外線吸収剤としては、波長675〜900nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物が好ましい。
このような分光特性を有する着色剤としては、例えば、ピロロピロール化合物、銅化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、イミニウム化合物、チオール錯体系化合物、遷移金属酸化物系化合物、スクアリリウム化合物、ナフタロシアニン化合物、クアテリレン化合物、ジチオール金属錯体系化合物、及び、クロコニウム化合物等が挙げられる。
フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、イミニウム化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物及びクロコニウム化合物は、特開2010−111750号公報の段落0010〜0081に開示の化合物を使用してもよく、この内容は本明細書に組み込まれる。シアニン化合物は、例えば、「機能性色素、大河原信/松岡賢/北尾悌次郎/平嶋恒亮・著、講談社サイエンティフィック」を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
上記分光特性を有する着色剤として、特開平07−164729号公報の段落0004〜0016に開示の化合物及び/又は特開2002−146254号公報の段落0027〜0062に開示の化合物、特開2011−164583号公報の段落0034〜0067に開示のCu及び/又はPを含む酸化物の結晶子からなり数平均凝集粒子径が5〜200nmである近赤外線吸収粒子を使用することもできる。
波長675〜900nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物としては、シアニン化合物、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、及びナフタロシアニン化合物からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
また、赤外線吸収剤は、25℃の水に1質量%以上溶解する化合物であることが好ましく、25℃の水に10質量%以上溶解する化合物がより好ましい。このような化合物を用いることで、耐溶剤性が良化する。
ピロロピロール化合物は、特開2010−222557号公報の段落0049〜0062を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれることとする。シアニン化合物及びスクアリリウム化合物は、国際公開2014/088063号公報の段落0022〜0063、国際公開2014/030628号公報の段落0053〜0118、特開2014−59550号公報の段落0028〜0074、国際公開2012/169447号公報の段落0013〜0091、特開2015−176046号公報の段落0019〜0033、特開2014−63144号公報の段落0053〜0099、特開2014−52431号公報の段落0085〜0150、特開2014−44301号公報の段落0076〜0124、特開2012−8532号公報の段落0045〜0078、特開2015−172102号公報の段落0027〜0067、特開2015−172004号公報の段落0029〜0067、特開2015−40895号公報の段落0029〜0085、特開2014−126642号公報の段落0022〜0036、特開2014−148567号公報の段落0011〜0017、特開2015−157893号公報の段落0010〜0025、特開2014−095007号公報の段落0013〜0026、特開2014−80487号公報の段落0013〜0047、及び特開2013−227403号公報の段落0007〜0028等を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれることとする。
〔組成物の製造方法〕
上記組成物は、上述した各種成分を公知の混合方法(例えば、攪拌機、ホモジナイザー、高圧乳化装置、湿式粉砕機、又は、湿式分散機を用いた混合方法)により混合して調製することができる。
組成物の調製に際しては、各成分を一括配合してもよいし、各成分をそれぞれ、溶剤に溶解又は分散した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序及び作業条件は特に制限されない。
なかでも、より優れた本発明の効果が得られる点で、組成物の製造方法は、以下の工程を含有することが好ましい。
(1)樹脂と、チタン窒化物含有粒子と、を混合して、チタン窒化物含有粒子分散液を得る、チタン窒化物含有粒子分散工程
(2)チタン窒化物含有粒子分散液と、その他の成分とを混合して、組成物を得る、混合工程
上記チタン窒化物含有粒子分散工程は、上記樹脂が、ポリイミド前駆体、及び/又は、ポリイミド樹脂(アルカリ可溶性樹脂に該当する)を含有する場合、チタン窒化物含有粒子と、ポリイミド前駆体、及び/又は、ポリイミド樹脂と、を混合して、チタン窒化物含有粒子分散液を得る工程であることがより好ましい。
組成物は、異物の除去又は欠陥の低減などの目的で、フィルタで濾過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、及び、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂(高密度、超高分子量を含む)等によるフィルタが挙げられる。これら素材のなかでもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)、ナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.1〜7.0μm程度が適しており、好ましくは0.2〜2.5μm程度、より好ましくは0.2〜1.5μm程度、更に好ましくは0.3〜0.7μmである。この範囲とすることにより、顔料のろ過詰まりを抑えつつ、顔料に含まれる不純物及び凝集物など、微細な異物を確実に除去することが可能となる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせてもよい。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上フィルタリングを行う場合は1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が同じ、又は、大きい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。第2のフィルタの孔径は、0.2〜10.0μm程度が適しており、好ましくは0.2〜7.0μm程度、更に好ましくは0.3〜6.0μm程度である。
組成物は、金属、ハロゲンを含む金属塩、酸、アルカリ等の不純物を含まないことが好ましい。これら材料に含まれる不純物の含有量としては、1ppm以下が好ましく、1ppb以下がより好ましく、100ppt以下が更に好ましく、10ppt以下が特に好ましく、実質的に含まないこと(測定装置の検出限界以下であること)が最も好ましい。
なお、上記不純物は、誘導結合プラズマ質量分析装置(横河アナリティカルシステムズ製、Agilent 7500cs型)により測定することができる。
[硬化膜及びその製造方法]
組成物を用いることにより、硬化膜を形成することができる。
硬化膜の厚みは特に制限されないが、0.2〜25μmが好ましい。
上記厚みは平均厚みであり、硬化膜の任意の5点以上の厚みを測定し、それらを算術平均した値である。
硬化膜の製造方法は特に制限されないが、上述した組成物を基板上に塗布して塗膜を形成して、塗膜に対して硬化処理を施し、硬化膜を製造する方法が挙げられる。
硬化処理の方法は特に制限されず、光硬化処理又は熱硬化処理が挙げられ、パターン形成が容易である点から、光硬化処理(特に、活性光線又は放射線を照射することによる硬化処理)が好ましい。
本発明の実施形態に係る硬化膜は、上記組成物を用いて形成された組成物層を硬化して得られた硬化膜である。
硬化膜の製造方法としては特に制限されないが、以下の工程を含有することが好ましい。
・組成物層形成工程
・露光工程
・現像工程
以下、各工程について説明する。
<組成物層形成工程>
組成物層形成工程は、上記組成物を用いて、組成物層を形成する工程である。組成物を用いて、組成物層を形成する工程としては、例えば、基板上に、組成物を塗布して、組成物層を形成する工程が挙げられる。
基板の種類は特に制限されないが、固体撮像素子として用いる場合は、例えば、ケイ素基板が挙げられ、カラーフィルタ(固体撮像素子用カラーフィルタを含む)として用いる場合には、ガラス基板等が挙げられる。
基板上への組成物の塗布方法としては、スピンコート、スリット塗布、インクジェット法、スプレー塗布、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、及び、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
基板上に塗布された組成物は、通常、70〜150℃で1〜4分程度の条件下で乾燥され、組成物層が形成される。
<露光工程>
露光工程では、組成物層形成工程において形成された組成物層に、パターン状の開口部を備えるフォトマスクを介して、活性光線又は放射線を照射して露光し、光照射された組成物層だけを硬化させる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、及び、i線等の紫外線が好ましく用いられ、光源としては高圧水銀灯が好まれる。照射強度は5〜1500mJ/cmが好ましく、10〜1000mJ/cmがより好ましい。
<現像工程>
露光工程に次いで、現像処理(現像工程)を行い、露光工程における光未照射部分を現像液に溶出させる。これにより、光硬化した部分だけが残る。
現像液としては、アルカリ現像液を用いてもよい。その場合は、有機アルカリ現像液を用いことが好ましい。現像温度としては通常20〜40℃が好ましく、現像時間は20〜180秒が好ましい。
アルカリ水溶液(アルカリ現像液)としては、例えば、無機系現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、及び、メタ硅酸ナトリウム等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.005〜0.5質量%となるように溶解したアルカリ水溶液が挙げられる。
また、有機アルカリ現像液としては、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、及び、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.005〜0.5質量%となるように溶解したアルカリ水溶液が挙げられる。
アルカリ水溶液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤、及び/又は、界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、このようなアルカリ水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後に硬化膜を純水で洗浄(リンス)する。
なお、硬化膜の製造方法は、その他の工程を含有してもよい。
その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
その他の工程としては、例えば、基材の表面処理工程、前加熱工程(プリベーク工程)、後加熱工程(ポストベーク工程)等が挙げられる。
上記前加熱工程、及び後加熱工程における加熱温度は、80〜300℃が好ましい。上限は、220℃以下がより好ましい。下限は90℃以上が好ましい。
前加熱工程及び後加熱工程における加熱時間は、30〜300秒が好ましい。
[硬化膜]
・OD(Optical Density)
上記硬化膜は、より優れた遮光性を有する点で、400〜1200nmの波長領域における膜厚1.0μmあたりの光学濃度(OD:Optical Density)が、3.5超であることが好ましく、3.7超がより好ましく、4.0超が更に好ましく、4.2超が特に好ましい。なお、上限値は特に制限されないが、一般に10以下が好ましい。上記硬化膜は、遮光膜として好ましく用いることができる。
なお、本明細書において、光学濃度とは、実施例に記載された方法により測定した光学濃度を意図する。また、本明細書において、400〜1200nmの波長領域における膜厚1.0μmあたりの光学濃度が、3.5超とは、波長400〜1200nmの全域において、膜厚1.0μmあたりの光学濃度が3.5超であることを意図する。
また、上記硬化膜は、表面凹凸構造を有することが好ましい。そうすることで、遮光層の反射率を低減することができる。遮光層そのものの表面に凹凸構造を有するものであっても、遮光層上に別の層を設けて凹凸構造を付与しても良い。表面凹凸構造の形状は特に限定されないが、表面粗さが0.55μm以上1.5μm以下の範囲であることが好ましい。
遮光層の反射率は、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、2%以下であることが特に好ましい。
[固体撮像装置、及び、固体撮像素子]
本発明の実施形態に係る固体撮像装置、及び、固体撮像素子は、上記硬化膜を含有する。固体撮像素子が硬化膜を含有する形態としては特に制限されず、例えば、基板上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる受光素子を有し、支持体の受光素子形成面側(例えば、受光部以外の部分及び/又は色調整用画素等)又は該形成面の反対側に本発明の硬化膜を備えて構成したものが挙げられる。
固体撮像装置は、上記固体撮像素子を含有する。
固体撮像装置、及び、固体撮像素子の構成例を図1〜図2を参照して説明する。なお、図1〜図2では、各部を明確にするため、相互の厚み及び/又は幅の比率は無視して一部誇張して表示している。
図1に示すように、固体撮像装置100は、矩形状の固体撮像素子101と、固体撮像素子101の上方に保持され、この固体撮像素子101を封止する透明なカバーガラス103とを備えている。更に、このカバーガラス103上には、スペーサー104を介してレンズ層111が重ねて設けられている。レンズ層111は、支持体113とレンズ材112とで構成されている。レンズ層111は、支持体113とレンズ材112とが一体成形された構成でもよい。レンズ層111の周縁領域に迷光が入射すると光の拡散によりレンズ材112での集光の効果が弱くなり、撮像部102に届く光が低減する。また、迷光によるノイズの発生も生じる。そのため、このレンズ層111の周縁領域は、硬化膜114が設けられて遮光されている。本発明の実施形態に係る硬化膜は上記硬化膜114としても用いることができる。
固体撮像素子101は、その受光面となる撮像部102結像した光学像を光電変換して、画像信号として出力する。この固体撮像素子101は、2枚の基板を積層した積層基板105を備えている。積層基板105は、同サイズの矩形状のチップ基板106及び回路基板107からなり、チップ基板106の裏面に回路基板107が積層されている。
チップ基板106として用いられる基板の材料としては特に制限されず、公知の材料を用いることができる。
チップ基板106の表面中央部には、撮像部102が設けられている。また、撮像部102の周縁領域に迷光が入射すると、この周縁領域内の回路から暗電流(ノイズ)が発生するため、この周縁領域は、硬化膜115が設けられて遮光されている。本発明の実施形態に係る硬化膜は硬化膜115として用いることもできる。
チップ基板106の表面縁部には、複数の電極パッド108が設けられている。電極パッド108は、チップ基板106の表面に設けられた図示しない信号線(ボンディングワイヤでも可)を介して、撮像部102に電気的に接続されている。
回路基板107の裏面には、各電極パッド108の略下方位置にそれぞれ外部接続端子109が設けられている。各外部接続端子109は、積層基板105を垂直に貫通する貫通電極110を介して、それぞれ電極パッド108に接続されている。また、各外部接続端子109は、図示しない配線を介して、固体撮像素子101の駆動を制御する制御回路、及び固体撮像素子101から出力される撮像信号に画像処理を施す画像処理回路等に接続されている。
図2に示すように、撮像部102は、受光素子201、カラーフィルタ202、マイクロレンズ203等の基板204上に設けられた各部から構成される。カラーフィルタ202は、青色画素205b、赤色画素205r、緑色画素205g、及びブラックマトリクス205bmを有している。本発明の実施形態に係る硬化膜は、ブラックマトリクス205bmとして用いることもできる。
基板204の材料としては、前述のチップ基板106と同様の材料を用いることができる。基板204の表層にはpウェル層206が形成されている。このpウェル層26内には、n型層からなり光電変換により信号電荷を生成して蓄積する受光素子201が正方格子状に配列形成されている。
受光素子201の一方の側方には、pウェル層206の表層の読み出しゲート部207を介して、n型層からなる垂直転送路208が形成されている。また、受光素子201の他方の側方には、p型層からなる素子分離領域209を介して、隣接画素に属する垂直転送路208が形成されている。読み出しゲート部207は、受光素子201に蓄積された信号電荷を垂直転送路208に読み出すためのチャネル領域である。
基板204の表面上には、ONO(Oxide−Nitride−Oxide)膜からなるゲート絶縁膜210が形成されている。このゲート絶縁膜210上には、垂直転送路208、読み出しゲート部207、及び素子分離領域209の略直上を覆うように、ポリシリコン又はアモルファスシリコンからなる垂直転送電極211が形成されている。垂直転送電極211は、垂直転送路208を駆動して電荷転送を行わせる駆動電極と、読み出しゲート部207を駆動して信号電荷読み出しを行わせる読み出し電極として機能する。信号電荷は、垂直転送路208から図示しない水平転送路及び出力部(フローティングディフュージョンアンプ)に順に転送された後、電圧信号として出力される。
垂直転送電極211上には、その表面を覆うように硬化膜212が形成されている。硬化膜212は、受光素子201の直上位置に開口部を有し、それ以外の領域を遮光している。本発明の実施形態に係る硬化膜は、硬化膜212として用いることもできる。
硬化膜212上には、BPSG(borophospho silicate glass)からなる絶縁膜213、P−SiNからなる絶縁膜(パシベーション膜)214、透明樹脂等からなる平坦化膜215からなる透明な中間層が設けられている。カラーフィルタ202は、中間層上に形成されている。
[ブラックマトリクス]
ブラックマトリクスは、本発明の実施形態に係る硬化膜を含有する。ブラックマトリクスは、カラーフィルタ、固体撮像素子、及び、液晶表示装置に含有されることがある。
ブラックマトリクスとしては、上記で既に説明したもの;液晶表示装置等の表示装置の周縁部に設けられた黒色の縁;赤、青、及び、緑の画素間の格子状、及び/又は、ストライプ状の黒色の部分;TFT(thin film transistor)遮光のためのドット状、及び/又は、線状の黒色パターン;等が挙げられる。このブラックマトリクスの定義については、例えば、菅野泰平著、「液晶ディスプレイ製造装置用語辞典」、第2版、日刊工業新聞社、1996年、p.64に記載がある。
ブラックマトリクスは表示コントラストを向上させるため、また薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置の場合には光の電流リークによる画質低下を防止するため、高い遮光性(光学濃度ODで3以上)を有することが好ましい。
ブラックマトリクスの製造方法としては特に制限されないが、上記の硬化膜の製造方法と同様の方法により製造することができる。具体的には、基板に組成物を塗布して、組成物層を形成し、露光、及び、現像してパターン状の硬化膜(ブラックマトリクス)を製造することができる。なお、ブラックマトリクスとして用いられる硬化膜の膜厚としては、0.1〜4.0μmが好ましい。
上記基板の材料としては、特に制限されないが、可視光(波長:400〜800nm)に対して80%以上の透過率を有することが好ましい。このような材料としては、具体的には、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、及び、ホウケイ酸ガラス等のガラス;ポリエステル系樹脂、及び、ポリオレフィン系樹脂などのプラスチック;等が挙げられ、耐薬品性、及び、耐熱性の観点から、無アルカリガラス、又は、石英ガラス等が好ましい。
[カラーフィルタ]
本発明の実施形態に係るカラーフィルタは、硬化膜を含有する。
カラーフィルタが硬化膜を含有する形態としては、特に制限されないが、基板と、上記ブラックマトリクスと、を備えるカラーフィルタが挙げられる。すなわち、基板上に形成された上記ブラックマトリクスの開口部に形成された赤色、緑色、及び、青色の着色画素と、を備えるカラーフィルタが例示できる。
ブラックマトリクス(硬化膜)を含有するカラーフィルタは、例えば、以下の方法により製造することができる。
まず、基板上に形成されたパターン状のブラックマトリクスの開口部に、カラーフィルタの各着色画素に対応する着色剤を含有した樹脂組成物の塗膜(樹脂組成物層)を形成する。なお、各色用樹脂組成物としては特に制限されず、公知の樹脂組成物を用いることができるが、本発明の実施形態に係る組成物において、チタン窒化物含有粒子を、各画素に対応した着色剤に置き換えたものを用いてもよい。
次に、樹脂組成物層に対して、ブラックマトリクスの開口部に対応したパターンを有するフォトマスクを介して露光する。次いで、現像処理により未露光部を除去した後、ベークすることでブラックマトリクスの開口部に着色画素を形成することができる。一連の操作を、例えば、赤色、緑色、及び、青色顔料を含有した各色用樹脂組成物を用いて行うことにより、赤色、緑色、及び、青色画素を有するカラーフィルタを製造することができる。
[液晶表示装置]
本発明の実施形態に係る液晶表示装置は、硬化膜を含有する。液晶表示装置が硬化膜を含有する形態としては特に制限されないが、すでに説明したブラックマトリクス(硬化膜)を含有するカラーフィルタを含有する形態が挙げられる。
本実施形態に係る液晶表示装置としては、例えば、対向して配置された一対の基板と、それらの基板の間に封入されている液晶化合物とを備える形態が挙げられる。上記基板としては、ブラックマトリクス用の基板として既に説明したとおりである。
上記液晶表示装置の具体的な形態としては、例えば、使用者側から、偏光板/基板/カラーフィルタ/透明電極層/配向膜/液晶層/配向膜/透明電極層/TFT(Thin Film Transistor)素子/基板/偏光板/バックライトユニットをこの順に含有する積層体が挙げられる。
なお、本発明の実施形態に係る液晶表示装置としては、上記に制限されず、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている液晶表示装置が挙げられる。また、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている液晶表示装置が挙げられる。
[赤外線センサ]
本発明の実施形態に係る赤外線センサは、上記硬化膜を含有する。
上記実施形態に係る赤外線センサについて、図3を用いて説明する。図3に示す赤外線センサ300において、図番310は、固体撮像素子である。
固体撮像素子310上に設けられている撮像領域は、赤外線吸収フィルタ311と本発明の実施形態に係るカラーフィルタ312とを組み合せて構成されている。
赤外線吸収フィルタ311は、可視光領域の光(例えば、波長400〜700nmの光)を透過し、赤外領域の光(例えば、波長800〜1300nmの光、好ましくは波長900〜1200nmの光、更に好ましくは波長900〜1000nmの光)を遮蔽する膜であり、着色剤として赤外線吸収剤(赤外線吸収剤の形態としては既に説明したとおりである。)を含有する硬化膜を用いることができる。
カラーフィルタ312は、可視光領域における特定波長の光を透過及び吸収する画素が形成されたカラーフィルタであって、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の画素が形成されたカラーフィルタ等が用いられ、その形態は既に説明したとおりである。 赤外線透過フィルタ313と固体撮像素子310との間には、赤外線透過フィルタ313を透過した波長の光を透過させることができる樹脂膜314(例えば、透明樹脂膜など)が配置されている。
赤外線透過フィルタ313は、可視光線遮蔽性を有し、かつ、特定波長の赤外線を透過させるフィルタであって、可視光領域の光を吸収する着色剤(例えば、ペリレン化合物、及び/又は、ビスベンゾフラノン化合物等)と、赤外線吸収剤(例えば、ピロロピロール化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、及び、ポリメチン化合物等)と、を含有する、本発明の実施形態に係る硬化膜を用いることができる。赤外線透過フィルタ313は、例えば、波長400〜830nmの光を遮光し、波長900〜1300nmの光を透過させることが好ましい。
カラーフィルタ312及び赤外線透過フィルタ313の入射光hν側には、マイクロレンズ315が配置されている。マイクロレンズ315を覆うように平坦化膜316が形成されている。
図3に示す実施形態では、樹脂膜314が配置されているが、樹脂膜314に代えて赤外線透過フィルタ313を形成してもよい。すなわち、固体撮像素子310上に、赤外線透過フィルタ313を形成してもよい。
また、図3に示す実施形態では、カラーフィルタ312の膜厚と、赤外線透過フィルタ313の膜厚が同一であるが、両者の膜厚は異なっていてもよい。
また、図3に示す実施形態では、カラーフィルタ312が、赤外線吸収フィルタ311よりも入射光hν側に設けられているが、赤外線吸収フィルタ311と、カラーフィルタ312との順序を入れ替えて、赤外線吸収フィルタ311を、カラーフィルタ312よりも入射光hν側に設けてもよい。
また、図3に示す実施形態では、赤外線吸収フィルタ311とカラーフィルタ312は隣接して積層しているが、両フィルタは必ずしも隣接している必要はなく、間に他の層が設けられていても良い。本発明の実施形態に係る硬化膜は、赤外線吸収フィルタ311の表面の端部や側面などの遮光膜として用いることができるほか、赤外線センサの装置内壁に用いることで、感度を向上させることができる。
この赤外線センサによれば、画像情報を同時に取り込むことができるため、動きを検知する対象を認識したモーションセンシングなどが可能である。更には、距離情報を取得できるため、3D情報を含んだ画像の撮影等も可能である。
次に、上記赤外線センサを適用した固体撮像装置について説明する。
上記固体撮像装置は、レンズ光学系と、固体撮像素子と、赤外発光ダイオード等を含有する。なお、固体撮像装置の各構成については、特開2011−233983号公報の段落0032〜0036を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
[近赤外線センサ]
本発明の実施形態に係る近赤外線センサについて説明する。
本発明の実施形態に係る近赤外線センサは、既に説明した赤外線センサの赤外線吸収フィルタを近赤外線吸収フィルタに置き換えたものである。
近赤外線吸収フィルタは、波長700nm以上900nm未満に極大吸収波長を有する近赤外線吸収物質を含有し、近赤外線吸収組成物を用いて形成することができる。極大吸収波長は、後述する赤外LED(赤外発光ダイオード)の発光波長とほぼ同じであることが好ましく、それらの差が20nm以内であることが好ましく、10nm以内であることがより好ましい。上記近赤外線吸収物質としては、ピロロピロール化合物が好ましく、特開2015−200878号公報の一般式(1)で表される化合物がより好ましい。
[近接センサ]
本発明の実施形態に係る近接センサについて説明する。
本発明の実施形態に係る近接センサとしては、上記硬化膜を含有していれば特に制限されず、例えば特開2008−83675号公報、及び、特開2015−225423に記載の近接センサが挙げられる。
また、上記硬化膜は、パーソナルコンピュータ、タブレット、携帯電話、スマートフォン及びデジタルカメラなどのポータブル機器;プリンタ複合機及びスキャナなどのOA(Office Automation)機器;監視カメラ、バーコードリーダ、及び現金自動預け払い機(ATM:automated teller machine)、ハイスピードカメラ及び顔画像認証を使用した本人認証などの産業用機器;車載用カメラ機器;内視鏡、カプセル内視鏡及びカテーテルなどの医療用カメラ機器;生体センサ、バイオセンサ、軍事偵察用カメラ、立体地図用カメラ、気象及び海洋観測カメラ、陸地資源探査カメラ、並びに、宇宙の天文及び深宇宙ターゲット用の探査カメラなどの宇宙用機器などに使用される光学フィルタ及びモジュールの遮光部材及び遮光層、更には反射防止部材及び反射防止層に好適である。
上記硬化膜は、マイクロLED(Light Emitting Diode)及びマイクロOLED(Organic Light Emitting Diode)などの用途にも用いることができる。上記硬化膜は、マイクロLED及びマイクロOLEDに使用される光学フィルタ及び光学フィルムのほか、遮光機能又は反射防止機能を付与する部材に対して好適である。
マイクロLED及びマイクロOLEDの例としては、特表2015−500562号及び特表2014−533890に記載されたものが挙げられる。
上記硬化膜は、量子ドットディスプレイに使用される光学及び光学フィルムとして好適である。また、遮光機能及び反射防止機能を付与する部材として好適である。
量子ドットディスプレイの例としては、米国特許出願公開第2013/0335677号、米国特許出願公開第2014/0036536号、米国特許出願公開第2014/0036203号、及び、米国特許出願公開第2014/0035960号に記載されたものが挙げられる。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、特に断らない限り、部、及び、%は質量基準を意図する。
[チタン窒化物含有粒子TiN−1の作製]
以下の方法により、チタン窒化物含有粒子TiN−1を作製した。
特開2005−343784号公報の段落0042、及び、図1に記載された装置を用いて作製した。具体的には、上記公報の図1における、放電容器1をステンレス製の真空チャンバ(福伸工業株式会社製)とした装置(以下、「ナノ粒子製造装置」という。)を用いてチタン窒化物含有粒子を作製した。まず、排気ポンプにより真空チャンバ内の空気を排気した。その後、真空チャンバに、ヘリウム(He)ガス(純度99.99%)を600Torr(79.99kPa)の圧力となるまで供給した。
ナノ粒子製造装置の放電電極としては、長さ500mm、直径12mm、及び、中空口径6mmの中空構造の棒状に成形加工したタングステンを使用した。放電電極の配置は、特開2005−343784号公報の図1と同様にした。具体的には、12個の放電電極を6個ずつ2段に配置した。なお、上段と下段との間の距離は約160mmとした。
中空構造の放電電極は、原料供給装置と接続されており、放電電極の中空部分から原料ガスを真空チャンバ内へと供給できるようにした。
放電は、各放電電極に位相差のある交流(電圧20〜40V、電流70〜100A)を印加しながら、各放電電極の先端を接触させた状態で開始する。アーク放電が発生した後各放電電極の先端を離間させるように外方に向かって移動させ、隣接する放電電極の先端の間の距離が5mm〜10mmとなる位置にセットしてアーク放電を続行する。
アーク放電を15分行った後、原料供給装置の供給タンクを加温して、原料ガスを真空チャンバ内へと導入した。まず、NHガス(液化アンモニウムECOAN、昭和電工社製)を0.5気圧、Hガス(水素ガス、昭和電工ガスプロダクツ)を0.1気圧、Arガス(アルゴンガス、大陽日酸)を0.4気圧で導入した。続いて、供給タンクを210℃に加温し、TiClガス(TLT−1、東邦チタニウム社)製を、放電電極から導入した。TiClガスの導入を1時間行った後、交流電源からの電圧印加を停止し、上記ガスの供給を停止した。その後、真空チャンバの内壁に付着した粒子を回収した。
次に、得られた粒子を、O含有量、及び、水分含有量をそれぞれ100ppm以下に制御した窒素(N)ガスを導入した密閉容器内に入れ、24時間静置した。
(加熱工程)
静置後の粒子を、減圧オーブンVAC−101P(エスペック製)を用いて200℃で2時間加熱して、チタン窒化物含有粒子TiN−1を得た。なお、加熱中の減圧オーブンの内圧は1.0×10Paとした。
(チタン窒化物含有粒子TiN−1中の、Ti、N、O、及び、Cl含有量の測定)
得られたチタン窒化物含有粒子TiN−1について、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法によって、チタン(Ti)原子(酸分解、又は、アルカリ融解による分解後に測定)の含有量(質量%)を測定した。なお、ICP発光分光分析法には、セイコーインスツルメンツ社製のICP発光分光分析装置「SPS3000」(商品名)を用いた。
また、チタン窒化物含有粒子TiN−1中の塩素原子の含有量は、チタン窒化物含有粒子を助剤とともに1000℃で燃焼し、発生させた塩素ガスを吸収液に捕集し、イオンクロマトグラフィー装置を用いて分析した。
また、チタン窒化物含有粒子TiN−1中における窒素原子(N)、及び、酸素原子(O)の含有量(質量%)については、堀場製作所製の酸素・窒素分析装置「EMGA−620W/C」(商品名)を用いて測定し、不活性ガス融解−熱伝導度法により算出した。
上記の結果は、Ti、N、O、及び、Clの含有量(質量%)として、表1に示した。
[チタン窒化物含有粒子TiN−2〜TiN−13の作製]
各原料ガスの流量の体積比率が表1に記載したとおりになるよう、導入するガスの量を調整した以外はチタン窒化物含有粒子TiN−1の作製方法と同様にして、チタン窒化物含有粒子TiN−2〜TiN−13を作製した。
作製した各チタン窒化物含有粒子については、上記と同様の方法により、Ti、N、O、及び、Clの含有量を測定した。結果を表1にまとめて示した。
なお、表1中における各原料ガスの流量の体積比(体積%)は、標準状態換算である。
[チタン窒化物含有粒子TiN−Cの作製]
各原料ガスの流量の体積比率が表1に記載したとおりになるよう、導入するガスの量を調整し、かつ、上記加熱工程を経なかったことを除いては、チタン窒化物含有粒子TiN−1と同様にして、チタン窒化物含有粒子TiN−Cを作製した。
作製したチタン窒化物含有粒子TiN−Cについては、上記と同様の方法により、Ti、N、O、及び、Clの含有量を測定した。結果を表1に示した。
〔チタン窒化物含有粒子の密度〕
各チタン窒化物含有粒子を20g秤量し、真空乾燥機ADP200(ヤマト科学製)を用いて圧力5kPa、温度100℃にて2時間乾燥した後、乾式密度計アキュピックII1340(島津製作所)を用いて、各チタン窒化物含有粒子の密度を評価した。なお、密度の測定条件は以下のとおりである。結果は、表2及び表3に示した。
測定ガス : ヘリウムセル
サイズ : 100cc
フローパージ : 10分
目標圧力 : 17.5PSI(pound−force per square inch、1.0PSIは6894.76Paに対応する。)
測定回数 : 15回
(このうち、最後の3回(第13回〜第15回)の測定で得られた値の算術平均値により、密度を評価した。
<0239>
[実施例1:組成物1の作製]
<チタン窒化物含有粒子分散液1の調製>
まず、チタン窒化物含有粒子TiN−1、分散剤D(分散剤Dの構造については、後述する。)及び、有機溶剤(表2に記載した、PGMEA(プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート)/シクロペンタノン/酢酸ブチル=30/20/22(質量比))を、攪拌機(IKA社製EUROSTAR)によって15分間混合し、分散物を得た。次に、得られた分散物に対して、(株)シンマルエンタープライゼス製のNPM−Pilotを使用して下記条件にて分散処理を行い、チタン窒化物含有粒子分散液1を得た。なお、チタン窒化物含有粒子に対する分散剤の比率(D/P)は、表2に記載したとおりである。
(分散条件)
・ビーズ径:φ0.05mm、(ニッカトー製ジルコニアビーズ、YTZ)
・ビーズ充填率:65体積%
・ミル周速:10m/sec
・セパレータ周速:13m/sec
・分散処理する混合液量:15kg
・循環流量(ポンプ供給量):90kg/hour
・処理液温度:19〜21℃
・冷却水:水
・処理時間:22時間
<組成物1の調製>
次に、上記チタン窒化物含有粒子分散液1、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物、界面活性剤、重合禁止剤、及び、有機溶剤(表2に記載した、PGMEA(プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート)/シクロペンタノン/酢酸ブチル=30/20/22(質量比))を混合し、攪拌して、組成物1を得た。
なお、表2中の含有量欄は、各成分の質量部を表す。
[その他の実施例、及び、比較例の組成物]
各成分の種類、及び、含有量が表2に記載したとおりとなるよう調整した以外は、実施例1と同様にして、各実施例、及び、各比較例の組成物を得た。
なお、表2における、各成分の含有量の数値は質量%を意図する。
なお、表2中における各成分の略号は、それぞれ以下の化合物を表す。
(分散剤)

(アルカリ可溶性樹脂)
・樹脂A:アクリキュアRD−F8(商品名、日本触媒社製)を用いた。以下に樹脂Aの構造を示す。
(重合性化合物)
・M1:日本化薬社製、商品名「KAYARAD DPHA」、下記式参照
・M2:日本化薬社製、商品名「KAYARAD RP−1040」、下記式参照
(重合開始剤)
・OXE−01:IRGACURE OXE01(商品名、BASFジャパン社製、光重合開始剤に該当するオキシム化合物。)
・OXE−02:IRGACURE OXE02(商品名、BASFジャパン社製、光重合開始剤に該当するオキシム化合物。)
・I−1:下記式(I−1)の重合開始剤(光重合開始剤に該当するオキシム化合物。)
・I−2:下記式(I−2)の重合開始剤(商品名「B−CIM」、保土ヶ谷化学工業社製、光重合開始剤に該当する。)
・I−3:下記式(I−3)の重合開始剤(光重合開始剤に該当する)
・I−4:下記式(I−4)の重合開始剤(光重合開始剤に該当するオキシム化合物。)
・I−5:下記式(I−5)の重合開始剤(光重合開始剤に該当するオキシム化合物。)
・NCI−831:アデカアークルズ NCI−831(商品名、アデカ社製、光重合開始剤に該当するオキシム化合物。)
・N−1919:アデカオプトマーN−1919(商品名、アデカ社製、光重合開始剤に該当するオキシム化合物。)

(有機溶剤)
・PGMEA:プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート
・シクロペンタノン
・酢酸ブチル
(界面活性剤)
下記式により表される界面活性剤(重量平均分子量(Mw)=15311)
ただし、下記式において、式中(A)及び(B)で表される構造単位はそれぞれ62モル%、38モル%である。式(B)で表される構造単位中、aは、b、cは、それぞれ、a+c=14、b=17の関係を満たす。
<重合禁止剤>
p−メトキシフェノール
[評価]
各組成物を以下の方法により評価した。各評価結果は、表2及び表3に示した。
〔チタン窒化物含有粒子の複素誘電率〕
8インチのシリコンウェハ上に、各組成物スピンコートして、組成物層を形成した。組成物層の厚みは、得られる硬化膜の膜厚が0.3μmとなるように、スピンコートの回転数を制御して調整した。なお、使用した各組成物は、得られる硬化膜の膜厚を考慮して、適宜PGMEA(プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート)により希釈した。
100℃のホットプレートに、シリコンウェハの、組成物層を形成した側とは反対側の面を向けて載置し、組成物層を2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、2cm×2cmの領域が露光されるレチクルを通して、365nmの波長の光、および、500mJ/cmの露光量で組成物層を露光した。その後、露光された組成物層が形成されたシリコンウェハを、スピン・シャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製、有機アルカリ現像液)を用いて23℃で60秒間パドル現像した。次いで、パドル現像後のシリコンウェハを、真空チャック方式で上記水平回転テーブルに固定し、回転装置によって上記シリコンウェハを回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理した。これにより、基板上に2cm×2cmのパターン状の硬化膜が形成されたシリコンウェハを得た。得られたシリコンウェハをクリーンオーブン(ハイテンプクリーンオーブンCLH−300S、光洋サーモシステム製)を用いて220℃で1時間加熱した。
得られた硬化膜について、分光エリプソメトリー(M−2000XI−210:J.A.Woollam社製分光エリプソメトリー)により波長400〜1200nmにおけるp偏光(平行)とs偏光(垂直)の位相差Δと振幅比Ψのスペクトルを得た。得られた(Δ,Ψ)スペクトルに対し、Bruggemanの有効媒質近似 (EMA;Effective medium approximation)モデルを用いてFitting解析を行い、膜中に含有される真のチタン窒化物含有粒子の誘電率を求めた(EMAモデルで用いたチタン窒化物含有粒子の含有量は、処方値を用いたが、すでに説明した方法により、硬化膜中のチタン窒化物含有粒子を分離し、硬化膜中のチタン窒化物含有粒子の含有量を実測してもよい。)。得られた複素誘電率から、以下の基準の複素誘電率の実数部の評価を行い、表2に示した。
A:複素誘電率の実数部の最小値が−0.5以下だった。
B:複素誘電率の実数部の最小値が−0.5超、0未満だった。
C:複素誘電率の実数部の最小値が0以上だった。
〔硬化膜の電気特性〕
表面に高さ2.0μm、線幅25μmのラインアンドスペースを有するテスト電極パターン(銅)が形成されたシリコンウェハを用意した。その電極パターン上に、得られる硬化膜の膜厚が0.3μmになるように、各組成物をスピンコートして、組成物層を得た。その後、100℃のホットプレートに、シリコンウェハの組成物層を形成した側とは反対側の面を向けて載置し、組成物層を120秒間加熱(プリベーク)した。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、テスト電極パターン部分に硬化膜が形成されるパターンマスクを通して、365nmの波長の光、および、500mJ/cmの露光量で組成物層を露光した。
その後、露光された組成物層を備えたシリコンウェハ基板を、スピン・シャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製、有機アルカリ現像液)を用いて23℃で60秒間パドル現像した。
次いで、パドル現像後のシリコンウェハを、真空チャック方式で上記水平回転テーブルに固定し、回転装置によってシリコンウェハを回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理した。その後220℃のオーブンでシリコンウェハを1時間熱処理することにより、TEG(Test Element Group)パターン付きシリコンウェハを得た。
硬化膜の電気特性は以下の方法により評価した。
マニュアルプローバー(計測器としてネットワークアナライザE5061B−3L5)を用いて、上記TEGパターンの抵抗値×静電容量=RC(resistor capacitor)値(保存前)を測定した。更に、作製したTEGパターン付きシリコンウェハを温度25℃、湿度65%RH(relative humidity)の環境下で3ヶ月保存した後、RC値(保存後)を測定した。RC値(保存前)に対する、RC値(保存後)の比(RC値(保存後)/RC値(保存前))を求め、以下の基準により評価し、表2に示した。実用上、C以上が好ましい。
A:RC値(保存後)/RC値(保存前)が1.00以上1.08未満だった。
B:RC値(保存後)/RC値(保存前)が1.08以上1.16未満だった。
C:RC値(保存後)/RC値(保存前)が1.16以上1.20未満だった。
D:RC値(保存後)/RC値(保存前)が1.20以上だった。
〔組成物中の水分含有量(水分量)〕
各組成物中の水分含有量について、カールフィッシャー法を測定原理とするMKV−710(商品名、京都電子工業社製)により測定した。結果を表2に示した。
〔組成物のろ過性〕
各組成物について、カプセルフィルターDFA(日本ポール社製、ナイロン孔径0.45μm、2inch)を用いて、ろ過性を評価した。なお、組成物16kgを0.05MPaに加圧して送液し、ろ過して、以下の基準により評価を行った。結果を表2に示した。
A:16kgすべてろ過できた。
B:10kg以上、16kg未満ろ過したところで、フィルタに詰まりが発生した。
C:5kg以上、10kg未満ろ過したところで、フィルタに詰まりが発生した。
D:5kg未満ろ過したところで、フィルタにろ過詰まりが発生した。
〔組成物の粘度の経時安定性〕
各組成物を23℃において10日間保存した後、7℃において90日間保存した。
組成物の粘度の経時安定性は、保存前後の各組成物の粘度を比較することにより評価した。
すなわち、保存前後の各組成物の粘度をE型粘度計(東機産業社製、商品名「R85形粘度計」)を用いて回転数10rpm、23℃の条件にて測定し、以下の式から粘度の変化率(%)を算出した。結果については、以下の基準により評価した。結果を表2及び表3に示した。
(式)(粘度の変化率)=((組成物の保存後の粘度)−(組成物の保存前の粘度)/(組成物の保存前の粘度))×100(%)
A:粘度の変化率の絶対値が3.0%以内だった。
B:粘度の変化率の絶対値が3.0%超、5.0%以内だった。
C:粘度の変化率の絶対値が5.0%超、10%以内だった。
D:粘度の変化率の絶対値が10%超だった。
〔パターニング性(現像残渣)〕
上記の〔電気特性〕の評価で作製したのと同様の方法により硬化膜(硬化膜を備えたシリコンウェハ)を作製した。上記のシリコンウェハの、組成物層の露光時にマスクされていた部分(未露光部)に対応する部分を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名「SU8010」)を用いて、2万倍の倍率にて観察し、得られた観察像に確認される粒子状の残渣の個数をカウントし、パターニング性(現像残渣)の評価を以下の基準により行った。結果は表2、及び、表3に示した。
A:未露光部に現像残渣が観察されなかった。
B:未露光部に粒子状の現像残渣が1〜49個観察された。
C:未露光部に粒子状の現像残渣が50〜100個観察された。
D:未露光部に粒子状の現像残渣が101個以上観察された。
〔耐湿試験後の硬化膜の外観〕
上記の〔電気特性〕の評価で作製したのと同様の方法により硬化膜(硬化膜を備えたシリコンウェハ)を作製した。上記のシリコンウェハを、90℃、湿度85%RHの環境下に1000時間曝露した。暴露後のシリコンウェハを、レーザー顕微鏡(オリンパス社製、商品名「LEXT OLS4500」)を用いて観察した。結果は表2、及び、表3に示した。
耐湿試験後の硬化膜の外観変化を観察し、以下の基準により評価した。
A:硬化膜の外観に耐湿試験前後で差異が観察されない、又は、耐湿試験後の硬化膜には凹凸差10nm以下の表面荒れが観察された。
B:耐湿試験後の硬化膜には凹凸差10nm超、50nm以下の表面荒れが観察された。
C:耐湿試験後の硬化膜には凹凸差50nm超、100nm以下の表面荒れが観察された。
D:耐湿試験後の硬化膜には凹凸差100nm超の表面荒れが観察された。
〔硬化膜の遮光性〕
厚さ0.7mm,10cm角のガラス板(EagleXG,Corning)上に、乾燥膜厚が1.0μmとなるよう回転数を調整し、各組成物をスピンコートして組成物層を形成した。100℃のホットプレートに、上記ガラス板の、組成物層を形成した側とは反対側の面を向けて載置し、組成物層を2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長の光、および、500mJ/cmの露光量で、組成物層を露光し、硬化膜を得た。得られた硬化膜のOD(optical density、光学濃度)を分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。
波長400〜1200nmにおけるODの最小値(最小OD)に基づいて、以下の基準により遮光性を評価した。結果は表2、及び、表3に示した。
AA:硬化膜の最小ODが4.2超だった。
A :硬化膜の最小ODが、4.0超、4.2以下だった。
B :硬化膜の最小ODが、3.7超、4.0以下だった。
C :硬化膜の最小ODが、3.5超、3.7以下だった。
D :硬化膜の最小ODが、3.5以下だった。
表2に示した結果から、実施例1〜27の組成物は本発明の効果を有していた。一方、比較例1の組成物は本発明の効果を有していなかった。
また、チタン窒化物含有粒子の密度が3.0g/cm以上、5.0g/cm未満である、実施例2の組成物は、実施例10(上限値超)の組成物と比較して、より優れた経時安定性を有していた。また、実施例1の組成物により得られた硬化膜は、実施例11(下限値未満)の組成物により得られた硬化膜と比較して、より優れた耐湿試験後の外観を有していた。
また、チタン窒化物含有粒子が、チタン原子、及び、窒素原子を含有し、チタン窒化物含有粒子中におけるチタン原子の含有量に対する、窒素原子の含有量の含有原子数比Xが、0を超え、1未満である、実施例2の組成物は、実施例10(上限値超)の組成物と比較して、より優れた経時安定性、及び、より優れたパターニング性を有していた。
また、上記Xが0.40を超え、0.95未満である、実施例2の組成物は、実施例12(上限値超)の組成物と比較して、より優れたパターニング性を有していた。また、実施例2の組成物は、実施例9(下限値未満)の組成物と比較して、より優れた経時安定性を有していた。
また、チタン窒化物含有粒子が、更に酸素原子を含有し、チタン窒化物含有粒子中におけるチタン原子の含有量にする、酸素原子の含有量の含有原子数比Yと、上記Xとが、X+Y<0.93の関係を満たす実施例2の組成物により得られる硬化膜は、実施例1(上限値超)の組成物により得られる硬化膜と比較して、より優れた遮光性を有していた。
チタン窒化物含有粒子が、更に塩素原子を含有し、チタン窒化物含有粒子中における塩素原子の含有量が、800〜3000質量ppmである、実施例2の組成物により得られる硬化膜は、実施例8〜12の組成物により得られる硬化膜と比較して、より優れた電気特性を有していた。
また、実施例17の組成物は、実施例16の組成物と比較してより優れたパターニング性を有しており、また硬化して得られる硬化膜がより優れた遮光性と電気特性を有していた。これは、分散剤Eが分散剤Cと比較して、分子内により少ない酸性基を含有しており、チタン窒化物含有粒子が凝集しにくいためと推測される。
また、実施例17の組成物は、実施例18及び実施例19の組成物と比較して、より優れたパターニング性を有していた。これは分散剤Eがグラフト鎖を含有しているためと推測される。
表2中において、各略号は以下の成分を表す。
・PGMEA:プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート
[実施例22B−1]
重合性化合物M1に代えて東亞合成社製「TO1382」を用い、樹脂Aに代えて下記の樹脂B−1(7.1質量部)を用い、さらに、分散剤Dを用いなかったこと以外は実施例4と同様にして組成物22B−1を作製した。組成物22B−1について、上記と同様の評価を行ったところ、実施例4と同等の評価結果を得た。ただしこの時、表2の溶媒記載と異なり、N−メチル−2−ピロリドンが含有されている。
[実施例22B−2]
重合性化合物M1に代えて東亞合成社製「TO1382」を用い、樹脂Aに代えて下記の樹脂B−2(7.1質量部)を用い、さらに、分散剤Dを用いなかったこと以外は実施例4と同様にして組成物22B−2を作製した。組成物22B−2について、上記と同様の評価を行ったところ、実施例4と同等の評価結果を得た。ただしこの時、表2の溶媒記載と異なり、N−メチル−2−ピロリドンが含有されている。
[実施例22B−3]
重合性化合物M1に代えて東亞合成社製「TO1382」を用い、樹脂Aに代えて下記の樹脂B−3(7.1質量部)を用い、さらに、分散剤Dを用いなかったこと以外は実施例4と同様にして組成物22B−3を作製した。組成物22B−3について、上記と同様の評価を行ったところ、実施例4と同等の評価結果を得た。ただしこの時、表2の溶媒記載と異なり、N−メチル−2−ピロリドンが含有されている。
[実施例22B−4]
重合性化合物M1に代えて東亞合成社製「TO1382」を用い、樹脂Aに代えて下記の樹脂B−1(含有量:2.3質量部)、及び、樹脂B−2(含有量3.5質量部)を用い、さらに、分散剤Dを用いなかったこと以外は実施例4と同様にして組成物22B−4を作製した。組成物22B−4について、上記と同様の評価を行ったところ、実施例4と同等の評価結果を得た。ただしこの時、表2の溶媒記載と異なり、N−メチル−2−ピロリドンが含有されている。
[実施例22B−5]
重合性化合物M1に代えて東亞合成社製「TO1382」を用い、樹脂Aに代えて下記の樹脂B−1(含有量:2.3質量部)、及び、樹脂B−3(含有量3.5質量部)を用い、さらに、分散剤Dを用いなかったこと以外は実施例4と同様にして組成物22B−5を作製した。組成物22B−5について、上記と同様の評価を行ったところ、実施例4と同等の評価結果を得た。ただしこの時、表2の溶媒記載と異なり、N−メチル−2−ピロリドンが含有されている。
〔樹脂B−1の合成〕
4、4’−ジアミノジフェニルエーテル95.1g、及び、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン6.2gを、γ−ブチロラクトン525g、及び、N−メチル−2−ピロリドン220gと混合し、混合液を得た。上記混合液に、3、3’、4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物144.1gを添加し、70℃で3時間反応させた。次いで、反応後の溶液に、無水フタル酸3.0gを添加し、更に70℃で2時間反応させて、25質量%の樹脂B−1溶液(樹脂B−1はポリアミック酸に該当する。)を得た。
〔樹脂B−2の合成〕
4、4’−ジアミノベンズアニリド161.3gを、3−メチル−2−ピロリドン527gと混合し混合液を得た。上記混合液に3、3’、4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物439.1gを添加し、70℃で3時間反応させた。次いで、反応後の溶液に、無水フタル酸 2.2gを添加し、更に70℃で2時間反応させて、20質量%の樹脂B−2溶液(樹脂B−2はポリアミック酸に該当する)を得た。
〔樹脂B−3の合成〕
3’−ジアミノジフェニルスルホン176.7g、及び、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン18.6gをγ−ブチロラクトン2667g、Nメチル−2−ピロリドン527gと混合し、混合液を得た。上記混合液に3、3’、4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物439.1gを添加し、70℃で3時間反応させた。次いで、反応後の溶液に、無水フタル酸2.2gを添加し、更に70℃で2時間反応させて、20質量%の樹脂B−3溶液(樹脂B−3はポリアミック酸に該当する。)を得た。
[実施例23]
重合性化合物M1に代えて下記構造のモノマーと重合性化合物M1との混合モノマー(混合比:50質量%/50質量%)を用いた以外は実施例4と同様にして組成物を作製した。作製した組成物について、上記と同様の評価を行ったところ、実施例4と同等の評価結果を得た。なお、下記モノマーは、特開2009−169049号公報を参照して合成した。
[実施例1−A:カラーフィルタの作製]
組成物1を、乾燥膜厚が1.5μmになるように、無アルカリガラス基板上にスピンコートして、組成物層を得た。その後、組成物層をシリコンウェハごとホットプレート上で加熱した(加熱条件:100℃、2分間)。加熱後の組成物層に対して、20μmのラインアンドスペース状のマスクを介してi線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)で1000mJ/cmの露光量で露光した。その後、シリコンウェハをスピン・シャワー現像機(DW−30型、ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置しCD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を用いて、組成物層を23℃で60秒間パドル現像したこのようにして得られたパターン状の硬化膜(ブラックマトリクス)を200℃、5分間の条件で乾燥した。
次に、上記硬化膜の開口部に、下記赤色(R)用樹脂組成物R−1を用いて、上記で作製したブラックマトリクスと同様の方法で100μmのライン状パターンを有する赤色(R)の着色パターンを形成した。更に、同様にして下記緑色(G)用樹脂組成物G−1を用いて緑色(G)の着色パターンを、及び、青色(B)用樹脂組成物B−1を用いて青色(B)の着色パターンを順次形成してブラックマトリクスを含有するカラーフィルタを作製した。作製したカラーフィルタにITO(Indium Tin Oxide)透明電極、配向膜等の加工を施し、液晶表示装置を設けた。得られた表示装置の画質は良好であった。
<赤色(R)用樹脂組成物、緑色(G)用樹脂組成物、及び、青色(B)用樹脂組成物の作製>
チタン窒化物含有粒子に代えて、以下の顔料を用いたことを除いては組成物1と同様にして、赤色(R)用樹脂組成物R−1、緑色(G)用樹脂組成物G−1、及び、青色(B)用樹脂組成物B−1を作製した。
・赤色(R)用顔料: C.I.ピグメントレッド254
・緑色(G)用顔料: C.I.ピグメントグリーン36とC.I.ピグメントイエロー219との30/70〔質量比〕混合物
・青色(B)用顔料: C.I.ピグメントブルー15:6とC.I.ピグメントバイオレット23との30/70〔質量比〕混合物
[実施例1−B:固体撮像素子の作製]
画素サイズが2.0μm、膜厚1.5μmのカラーフィルタ(1cm四方)、マイクロレンズ、金属配線、及び、フォトダイオードを備えたシリコンウェハのカラーフィルタ周縁部に、組成物1を用いて幅100μm、膜厚1.5μmの硬化膜をフォトリソグラフィ法で形成した。得られたシリコンウェハを用いて固体撮像素子を作成した。得られた固体撮像素子は、高解像度で色分離性に優れていた。
[実施例1−C:赤外線センサの作製]
チタン窒化物含有粒子に代えて以下に示す顔料の混合物を用いたこと以外は組成物1と同様にして組成物IRを作製した。
(顔料の混合物)
・ピロロピロール顔料:下記構造(特開2009−263614号公報に記載の方法で合成した)(波長800〜900nmの範囲に極大吸収を有する赤外線吸収剤)

・PR254 :Pigment Red 254
・PB15:6 :Pigment Blue 15:6
・PY139 :Pigment Yellow 139
・PV23 :Pigment Violet 23
上記の顔料を、以下の質量比で混合した。ピロロピロール顔料/PR254/PB15:6/PY139/PV23=22.7/11.3/22.7/10.3/6.9
シリコンウェハ上に乾燥膜厚が1.5μmになるように、組成物IRをスピンコートし、組成物層IRを形成した。100℃のホットプレート上に上記シリコンウェハを載置して、組成物層IRを120秒間加熱(プリベーク)した。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、1.4μm角の正方形ピクセルパターンが形成されるフォトマスクを通して、最適露光量にて組成物層IRを露光した。最適露光量は、50〜750mJ/cmまで50mJ/cmずつ上昇させて、上記正方形ピクセルパターンを解像する露光量とした。
その後、組成物層IRが露光されたシリコンウェハを、スピン・シャワー現像機の水平回転テーブル上に載置し、CD−2060(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を用いて23℃で60秒間パドル現像した。これによりシリコンウェハ上に着色パターン(硬化膜に該当する。)を形成した。
着色パターンが形成されたシリコンウェハを、純水でリンスし、その後スプレー乾燥した。更に、上記シリコンウェハを200℃のホットプレート上に載置して、着色パターンを300秒間加熱(ポストベーク)した。上記により、赤外線センサ用のカラーフィルタとしての、高解像度な着色パターンを含有するシリコンウェハを得た。カラーフィルタ周縁部に、組成物1を用いて幅100μm、膜厚1.5μmの硬化膜をフォトリソグラフィ法で形成した。得られたカラーフィルタを、公知の方法に従い固体撮像素子に組み込んだ(赤外線センサに該当する)。得られた固体撮像素子にて低照度の環境下(0.001Lux)で発光波長940nmの近赤外LED(light emitting diode)光源を照射し、画像の取り込みを行い、画像性能を比較評価した。可視光線由来のノイズが少ない状態で、発光波長940nmの赤外線を透過し、分光認識が良好であった。
IRGACURE OXE−02(BASF社製)に代えて重合開始剤I−1を用いた以外は実施例2と同様にして、組成物を作製した。作製した組成物について、上記と同様の評価を行ったところ、実施例2と同様の結果が得られた。
IRGACURE OXE−02(BASF社製)に代えて以下の式で表されるPI−04を用いた以外は実施例2と同様にして、組成物を作製した。作製した組成物について、上記と同様の評価を行ったところ、実施例2と同様の結果が得られた。
・PI−04(WO2015/036910 のOE74で表される化合物、光重合開始剤に該当するオキシム化合物。)
界面活性剤を用いなかったこと以外は実施例2と同様にして組成物を作製し、上記と同様の評価を行ったところ、実施例2と同様の結果が得られた。
重合禁止剤を用いなかったこと以外は実施例2と同様にして組成物を作製し、上記と同様の評価を行ったところ、経時安定性がCになった以外は実施例2と同様の結果が得られた。
実施例2において、TiN−2に代えて組成物全体に対する質量比が8:2のTiN−2とカーボンブラック(商品名「カラーブラック S170」、デグサ社製、平均一次粒径17nm、BET比表面積200m/g、ガスブラック方式により製造されたカーボンブラック)を用いた以外は、実施例2と同様にして組成物を作製した。作製した組成物について、上記と同様の評価を行ったところ、実施例2と同等の性能を有することが分かった。
実施例2において、TiN−2に代えて組成物全体に対する質量比が8:2のTiN−2とピグメントイエロー150(Hangzhou Star−up Pigment Co., Ltd.製、商品名6150顔料黄5GN)を用いた以外は、実施例2と同様にして組成物を作製した。作製した組成物について、上記と同様の評価を行ったところ、実施例2と同等の性能を有することが分かった。さらに、黒味の濃い遮光膜が得られることが分かった。この結果から、他の有機顔料、又は、有彩色染料と併用しても所望の効果が得られることが分かった。
100・・・固体撮像装置
101・・・固体撮像素子
102・・・撮像部
103・・・カバーガラス
104・・・スペーサー
105・・・積層基板
106・・・チップ基板
107・・・回路基板
108・・・電極パッド
109・・・外部接続端子
110・・・貫通電極
111・・・レンズ層
112・・・レンズ材
113・・・支持体
114、115・・・硬化膜
201・・・受光素子
202・・・カラーフィルタ
201・・・受光素子
202・・・カラーフィルタ
203・・・マイクロレンズ
204・・・基板
205b・・・青色画素
205r・・・赤色画素
205g・・・緑色画素
205bm・・・ブラックマトリクス
206・・・pウェル層
207・・・読み出しゲート部
208・・・垂直転送路
209・・・素子分離領域
210・・・ゲート絶縁膜
211・・・垂直転送電極
212・・・硬化膜
213、214・・・絶縁膜
215・・・平坦化膜
300・・・赤外線センサ
310・・・固体撮像素子
311・・・赤外線吸収フィルタ
312・・・カラーフィルタ
313・・・赤外線透過フィルタ
314・・・樹脂膜
315・・・マイクロレンズ
316・・・平坦化膜

Claims (18)

  1. チタン窒化物含有粒子と、樹脂と、を含有する組成物であって、
    波長400〜1200nmにおける、前記チタン窒化物含有粒子の複素誘電率εを下記式(1)で表すとき、ε’の最小値が0未満である、組成物であって、
    前記チタン窒化物含有粒子が、チタン原子、及び、窒素原子を含有し、前記チタン窒化物含有粒子中における前記チタン原子の含有量に対する、前記窒素原子の含有量の比Xが、0を超え、1未満であり、
    前記チタン窒化物含有粒子が、更に酸素原子を含有し、
    前記チタン窒化物含有粒子中における前記チタン原子の含有量にする、前記酸素原子の含有量の比Yと、前記比Xとが、以下の式(4)を満たす、組成物。
    式(4)X+Y<0.93
    式(1) ε=ε’+ε”j
    なお、上記式(1)中、ε’は複素誘電率εの実数部、ε”は複素誘電率εの虚数部、jは虚数単位を表す。
  2. 前記チタン窒化物含有粒子の密度が3.0g/cm以上、5.0g/cm未満である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記比Xが、0.40を超え、0.95未満である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記比Xが、0.40を超え、0.64以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記チタン窒化物含有粒子が、更に塩素原子を含有し、前記チタン窒化物含有粒子中における前記塩素原子の含有量が、800〜3000質量ppmである、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記樹脂が、アルカリ可溶性樹脂を含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記アルカリ可溶性樹脂が、ポリイミド樹脂、及び、ポリイミド前駆体からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項に記載の組成物。
  8. 前記樹脂が、分散剤を含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 更に、重合性化合物を含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 更に、重合開始剤を含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 前記重合開始剤が、光重合開始剤を含有する、請求項10に記載の組成物。
  12. 前記光重合開始剤がオキシム化合物である、請求項11に記載の組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物を硬化して得られる、硬化膜。
  14. 請求項13に記載の硬化膜を含有するカラーフィルタ。
  15. 請求項13に記載の硬化膜を含有する、固体撮像素子。
  16. 請求項13に記載の硬化膜を含有する、赤外線センサ。
  17. 請求項13に記載の硬化膜を含有する、近赤外線センサ。
  18. 請求項13に記載の硬化膜を含有する、近接センサ。
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