JP6672792B2 - ε−カプロラクタムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアミドの原料となるε−カプロラクタムの製造方法に関する。
ε−カプロラクタムは、ナイロンなどの原料となる重要な化学原料であり、世界中で工業的に生産され、そのほとんどがポリアミドであるナイロン6の原料として使用されている。
ε−カプロラクタムの工業的製法の例としては、シクロヘキサノンオキシムから発煙硫酸によるベックマン転位反応を用いる製造方法が広く採用されている。しかしながら、ベックマン転位反応における中和工程で大量の硫酸アンモニウムが副生するという問題がある。一方、硫酸アンモニウムを副生しないε−カプロラクタムの製造方法として、シクロヘキサノンからアンモキシメーションと気相ベックマン転位反応を組み合わせて用いる方法(非特許文献1)や、ε−カプロラクトンをアンモニアの存在下、触媒と接触させて反応させる方法(特許文献1)が提案されている。
上記のカプロラクタムの製造方法は、いずれも原油が大元の原料であるが、将来的な化石資源の枯渇懸念や、化石資源の採掘と使用により排出される温室効果ガスによる地球温暖化の問題から、代替の原料を使用するカプロラクタムの製造方法の開発が必要である。なかでも、再生可能資源であるバイオマス、あるいはバイオマス資源から誘導可能な物質からカプロラクタムを製造する方法の開発が求められている。
バイオマス資源から誘導可能な物質からε−カプロラクタムを製造する方法がいくつか報告されている。例えば、特許文献2には、5−ヒドロキシメチルフルフラールを原料として、ε−カプロラクトンを経由してε−カプロラクタムを製造する方法が開示されている。特許文献3には、アジピン酸を原料として水素およびアンモニアと反応させてε−カプロラクタムを製造する方法が開示されている。特許文献4には、ムコン酸を原料として水素およびアンモニアと反応させてε−カプロラクタムを製造する方法が開示されている。
特許第4164603号公報 国際公開第2011/149339号 国際公開第2013/126250号 国際公開第2012/141997号
Applied Catalysis A: General,vol.221,359−366(2001)
特許文献2の方法は、5−ヒドロキジメチルフルフラールの水素化、2,5−ジメチルヒドロキシメチルテトラヒドロフランの水素添加分解、1,2,6−ヘキサンジオールの分子内脱水縮合、(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メタノールの水素化開環、1,6−ヘキサンジオールの分子内閉環、ε−カプロラクトンのアミド化、という多段階の反応工程により、ε−カプロラクタムを合成する方法であり、工業的に望ましくない。
特許文献3の方法は、バイオマス資源から誘導可能なアジピン酸を原料とし、一段階の反応工程によりε−カプロラクタムを合成することができる。しかしながら、ε−カプロラクタムの収率が低く、ヘキサメチレンイミン、6−アミノカプロン酸等の副産物が生成するという課題がある。
特許文献4の方法では、バイオマス資源から誘導可能なムコン酸を原料とし、一段階の反応工程によりε−カプロラクタムを合成することができる。しかしながら、特許文献3に開示されている方法と同様にε−カプロラクタムの収率が低く、ヘキサメチレンイミン、ヘキサンアミド等の副産物が生成するという課題がある。さらに、ムコン酸には、その2つの二重結合により、3つの幾何異性体(シス−シス体、トランス−トランス体、シス−トランス体)が存在するが、それぞれ異性体の反応性が異なるため、ε−カプロラクタムを収率よく合成するためにはまず、ムコン酸を反応性が高いトランス−トランス体にあらかじめ異性化させる必要があった。
本発明は、バイオマス資源から誘導可能な物質を原料とし、短い反応工程で、硫酸アンモニウムを副生せず、副産物の生成を抑制しつつ、ε−カプロラクタムを選択的に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、バイオマス資源から誘導可能な物質である一般式(I)または(II)で表される化合物を原料として水素およびアンモニアと反応させることで、硫安を副生せず、副産物の生成を抑制したε−カプロラクタムの製造方法を見出し、発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(10)から構成される。
(1)一般式(I)または(II)
Figure 0006672792
[式中、R、RおよびRは、それぞれ独立にO 表し、Rは、それぞれ独立にH、炭素数1〜5アルキルを表し、Xは、−CH(OH)CHCH−、CHCH(OH)CHまたは−CH=CHCH−を表す。]
で示される化合物、またはこれら化合物の塩を、水素およびアンモニアと反応させる工程を含む、ε−カプロラクタムの製造方法。
(2)一般式(I)または(II)で示される化合物が、一般式(I)で示される化合物であり、該化合物が、α−ヒドロムコン酸もしくは3−ヒドロキシアジピン酸またはこれら化合物の炭素数1〜5アルキルエステルである、(1)に記載の方法。
(3)一般式(I)で示される化合物が、α−ヒドロムコン酸又はその炭素数1〜5アルキルエステルである(2)に記載の方法。
(4)一般式(I)で示される化合物が、3−ヒドロキシアジピン酸又はその炭素数1〜5アルキルエステルである(2)に記載の方法。
(5)一般式(I)または(II)で示される化合物が、一般式(II)で示される化合物であり、該化合物が、3−ヒドロキシアジピン酸−3,6−ラクトン又はその炭素数1〜5アルキルエステルである(1)に記載の方法。
(6)前記工程を触媒の存在下で行う、(1)から(5)のいずれか1項に記載の方法。
(7)前記触媒が、パラジウム、白金、金、銅、ルテニウム、ロジウム、コバルト、レニウムおよびニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上である、(6)に記載の方法。
(8)前記触媒が、パラジウム、白金、金、ルテニウム、ロジウム、コバルト、レニウムおよびニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上である、(7)に記載の方法。
(9)前記触媒が、パラジウムである(8)記載の方法。
(10)前記工程の反応開始時における水素の圧力が、常温、ゲージ圧で0.5MPa以上10MPa以下である、(1)から(9)のいずれか1項に記載の方法。
本発明により、副産物の生成が抑制され、選択性高くε−カプロラクタムを得ることが出来る。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明において、バイオマス資源とは、再生可能な生物由来の有機性資源を意味し、植物が太陽エネルギーを用いて二酸化炭素を固定化して生成した有機物からなる資源を指す。具体的には、トウモロコシ、サトウキビ、イモ類、小麦、米、大豆、パルプ、ケナフ、稲わら、麦わら、バガス、コーンストーバー、スイッチグラス、雑草、古紙、木材、木炭、天然ゴム、綿花、大豆油、パーム油、サフラワー油、ヒマシ油などが挙げられる。
本発明において、バイオマス資源から誘導可能な物質とは、上記のバイオマス資源から発酵や化学変換等により誘導される物質、誘導され得る物質又は誘導された物質を意味する。
本発明では、一般式(I)または(II)で示される化合物、またはこれら化合物の塩を原料として用いる。
一般式(I)または(II)中、R、RおよびRは、それぞれ独立にORまたはNRを表し、Rは、それぞれ独立にH、炭素数1〜5アルキル、アルカリ金属またはNHを表し、Rは、それぞれ独立にHまたは炭素数1〜5アルキルを表し、Xは、−CH(OH)CHCH−、CHCH(OH)CH−、−CH=CHCH−または−CHCH=CH−を表す。
本発明の方法においては、一般式(I)または(II)で表される化合物のうち、単一の化合物を原料として用いても、複数化合物の混合物を原料として用いてもよい。
本発明で用いられる一般式(I)または(II)で表される化合物は、原料の入手や合成の容易さの観点から、R、RおよびRは、ORが好ましく、RがHまたは炭素数1〜5のアルキルのものがより好ましく、特にOH、OMe、OEtが好ましい。
本発明で用いられる一般式(I)または(II)で表される化合物として、具体的には、下記の式(I−1)から式(I−5)または式(II−1)から式(II−2)で表される化合物が好ましい。これらの中でも、式(I−1)で表されるα−ヒドロムコン酸、式(I−2)で表される3−ヒドロキシアジピン酸、式(II−1)で表される3−ヒドロキシアジピン酸−3,6−ラクトンがより好ましい。
Figure 0006672792
式(I−1)で表されるα−ヒドロムコン酸は、2−ヘキセンジカルボン酸とも呼ばれる有機化合物であり、カルボニル炭素のα位に二重結合を1つ持つ炭素数が6のジカルボン酸である。α−ヒドロムコン酸には分子内に二重結合が存在するため、シス体およびトランス体の幾何異性体が存在するが、本発明の製造方法においては、シス体、トランス体、またはシス体およびトランス体の混合物のいずれも原料として使用できる。
α−ヒドロムコン酸(I−1)は、バイオマス資源から誘導して得ることができる。例えば、天然に、または遺伝子組換え操作などの人為的に改良したα−ヒドロムコン酸生産能を有する、Cupriavidus属微生物、Acinetobacter属微生物、Delftia属微生物、Shimwellia属微生物、Escherichia属微生物、Psudomonas属微生物などの微生物を用いて、グルコースやキシロース、グリセロールなどのバイオマス資源から誘導可能な炭素源を原料として発酵生産する方法が挙げられる。また、後記のように、バイオマス資源から誘導される3−ヒドロキシアジピン酸を分子内脱水することにより合成することもできる。
式(I−2)で表される3−ヒドロキシアジピン酸は、3−ヒドロキシヘキサンジカルボン酸とも呼ばれる有機化合物であり、カルボニル炭素のβ位に水酸基を1つ持つ炭素数が6のジカルボン酸である。
3−ヒドロキシアジピン酸(I−2)は、バイオマス資源から誘導して得ることができる。例えば、天然に、または遺伝子組換え操作などの人為的に改良した3−ヒドロキシアジピン酸生産能を有する、Cupriavidus属微生物、Acinetobacter属微生物、Delftia属微生物、Shimwellia属微生物、Escherichia属微生物、Psudomonas属微生物などの微生物を用いて、グルコースやキシロース、グリセロールなどのバイオマス資源から誘導可能な炭素源を原料として発酵生産する方法が挙げられる。また、後記するようにしてバイオマス資源から誘導される、βケトアジピン酸を水素還元することにより3−ヒドロキシアジピン酸を合成することもできる。
3−ヒドロキシアジピン酸−3,6−ラクトン(II−1)は、バイオマス資源から誘導して得ることができる。例えば、スキーム1に示すように、3−ヒドロキシアジピン酸−3,6−ラクトンはβ−ケトアジピン酸から誘導することができる。β−ケトアジピン酸は、プロトカテキュ酸、カテコール等の芳香族化合物の代謝過程(β−ketoadipate pathway)で生合成される化合物である。この経路を利用するβ−ケトアジピン酸の製造方法として、例えば、特開2012−59号公報に、遺伝子組換したシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)を用いて、プロトカテキュ酸からβ−ケトアジピン酸を発酵生産する方法が開示されている。ここで、プロトカテキュ酸やカテコールは糖を炭素源とする微生物発酵により生産することができるバイオマス資源由来物質である。例えば、プロトカテキュ酸およびカテコールを、グルコースを単一炭素源として発酵生産する方法が米国特許第5272073号明細書に開示されている。したがって、3−ヒドロキシアジピン酸−3,6−ラクトンはバイオマス資源から誘導可能な物質といえる。
本発明のε−カプロラクタムの製造方法は、一般式(I)または(II)で表される化合物のうち、特に、バイオマス資源から誘導可能な、例えばα−ヒドロムコン酸(I−1)、3−ヒドロキシアジピン酸(I−2)、3−ヒドロキシアジピン酸−3,6−ラクトン(II−1)を原料として用いることができることを特徴とするが、当然、石油等の化石資源に由来する一般式(I)または(II)で表される化合物を原料として用いることができる。
Figure 0006672792
本発明の製造方法で用いられる原料としては、一般式(I)または(II)で表される化合物のフリー体、塩のいずれでも使用できる。あるいは、フリー体と塩の混合物でも使用できる。塩としては1価の塩でも2価の塩でもよく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩を用いることができる。
具体的には、一般式(I)または(II)で表される化合物の1価の塩としては、それぞれモノアンモニウム塩、モノリチウム塩、モノナトリウム塩、モノカリウム塩などが挙げられ、また2価の塩としては、それぞれジアンモニウム塩、ジリチウム塩、ジナトリウム塩、ジカリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ジアンモニウム塩などが挙げられる。これらの異なる塩の混合物であっても原料として使用できる。
[触媒]
本発明のε−カプロラクタムの製造方法では、触媒の存在下で反応を行うことで、反応を促進することが出来る。触媒は貴金属が好ましく、具体的には、パラジウム、白金、金、銅、ルテニウム、ロジウム、コバルト、レニウム、ニッケルが挙げられ、これらのうちの1種類以上を含む合金であってもよい。
貴金属を触媒としてそのまま使用してもよいが、使用する貴金属量の節約や、触媒表面積の増加の観点から、貴金属を担体に担持してもよい。担体としては、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、二酸化ケイ素、ゼオライト、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化クロムなどの酸化物、シリカアルミナ、シリカジルコニア、シリカチタニア、シリカマグネシア、アルミナジルコニア、アルミナボリア、タングステンアルミナ、タングステンシリカなどの複合酸化物、炭素が挙げられる。貴金属を担体に担持する場合、担持量としては、担体に対して元素換算で通常0.1から10重量パーセントであるが、一般式(I)または(II)で表される化合物またはその塩に対して適宜選択することが出来る。
触媒の存在下で反応を行う場合、添加する触媒量は反応基質である一般式(I)もしくは(II)で表される化合物またはその塩に対して、0.1〜20重量パーセントであればよい。また、触媒は、反応終了後、濾別したものを繰り返し使用してもよい。触媒を繰り返し使用する場合、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下または水素雰囲気下、加熱処理により活性化処理を施してから使用する方がより好ましい。
[水素、アンモニア]
本発明における水素、アンモニアは、反応容器に一括添加(バッチ式)しても逐次添加(連続式)してもよく、水素およびアンモニアをそれぞれ単独で添加してもよいし、混合して添加してもよい。
使用する水素としては、窒素、ヘリウム、アルゴン、水蒸気等との混合ガスを使用してもよい。
水素の圧力は特に限定されないが、低すぎると反応時間が長くなるため、反応開始時において、常温で0.5MPa以上10MPa以下(ゲージ圧)が好ましい。
アンモニアは、気体状態、液体状態のいずれの状態で反応容器に添加してもよい。液体状態で添加する場合は、液体アンモニアや常圧でアンモニアが溶解している溶液を用いることができる。例えば、アンモニア水溶液、アンモニアジオキサン溶液、アンモニアクロロホルム溶液、アンモニアエーテル溶液、アンモニアアルコール溶液等を好ましく使用できる。
アンモニアガスを使用する場合の圧力は特に限定されないが、低すぎると反応時間が長くなるため、反応開始時において、常温で0.1MPa以上5MPa以下(ゲージ圧)が好ましい。
[溶媒]
本発明のε−カプロラクタムの製造方法では、溶媒の存在下で反応を行うことができる。使用される溶媒は限定されないが、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジグリム、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、γブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水などが挙げられ、これらのうち2種類以上の混合溶媒でもよい。好ましくは、ジオキサン、ジグリム、テトラヒドロフラン等の非プロトン性溶媒が使用される。
3−ヒドロキシアジピン酸−3,6−ラクトン(II−1)は、アルコール、γブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水などの極性溶媒や、1,2−ジメトキシエタン、ジグリム、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの非極性溶媒であっても酸素原子を含む溶媒に良好に溶解する。そのため、3−ヒドロキシアジピン酸−3,6−ラクトンを原料として用いる場合は、これらの溶媒を用いると原料を高濃度で仕込むことができ、目的物であるカプロラクタムの生産性を高くすることができる。
[反応温度]
本発明のε−カプロラクタムの製造方法では、加熱条件下で反応を行ってもよい。反応温度は反応容器内温で100℃以上350℃以下が好ましく、より好ましくは、150℃以上300℃以下である。また、反応時間は、反応温度や他の条件に応じて適宜選択されるが、通常、0.5時間〜12時間程度である。
[ε−カプロラクタムの回収]
本発明におけるε−カプロラクタムの製造方法では、反応終了後に濾過、抽出、蒸留など通常の分離精製操作によりε−カプロラクタムを回収することができる。水素とアンモニアは反応系にリサイクルしてもよい。また、ε−カプロラクタム以外にアジポアミド(ヘキサン二酸アミド)などの中間体が生成した場合、回収、リサイクルすることでε−カプロラクタムの収率を上げることが出来る。
[ポリアミド重合]
本発明のε−カプロラクタムの製造方法で得られるε−カプロラクタムは、これを原料としてポリアミドの製造に使用することが出来る。該ポリアミドの製造方法としては、ε−カプロラクタムを開環重合させる公知の方法を適用できる(福本修編、「ポリアミド樹脂ハンドブック」日刊工業出版社(1998年1月)参照)。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例において反応成績を下記の式によって定義する。
原料転化率(%)=100×(供給原料(mol)−未反応原料(mol))÷供給原料(mol)
ε−カプロラクタム収率(%)=100×生成ε−カプロラクタム(mol)÷供給原料(mol)
アジポアミド収率(%)=100×生成アジポアミド(mol)÷供給原料(mol)
ヘキサメチレンイミン収率(%)=100×生成ヘキサメチレンイミン(mol)÷供給原料(mol)
モルバランス(%)=100×全反応生成物(mol)÷供給原料(mol)。
参考例1 α−ヒドロムコン酸(I−1)の準備
本発明で使用したα−ヒドロムコン酸は化学合成により準備した。
まず、コハク酸モノメチルエステル13.2g(0.1mol)(和光純薬社製)に超脱水テトラヒドロフラン1.5L(和光純薬社製)を加え、攪拌しながらカルボニルジイミダゾール16.2g(0.1mol)(和光純薬社製)添加し、窒素雰囲気下1時間室温で攪拌した。この懸濁液にマロン酸モノメチルエステルカリウム塩15.6g(0.1mol)および塩化マグネシウム9.5g(0.1mol)を添加し、窒素雰囲気下1時間室温で攪拌した後、40℃で12時間攪拌した。反応終了後、1mol/L塩酸を0.05L加え、酢酸エチルにより抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:5)で分離精製することで、純粋な3−オキソヘキサンジカルボン酸ジメチルエステル13.1gを得た。収率70%。
得られた3−オキソヘキサンジカルボン酸ジメチルエステル10g(0.05mol)にメタノール0.1L(国産化学社製)を加え、攪拌しながら水素化ホウ素ナトリウム2.0g(0.05mol)(和光純薬社製)を添加し、室温で1時間攪拌した。次いで、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液0.02Lを添加し、室温で2時間攪拌した。反応終了後、5mol/Lの塩酸でpH1に調整し、ロータリーエバポレーターで濃縮後、水で再結晶することで、純粋なα−ヒドロムコン酸7.2gを得た。収率95%。
H−NMR(400MHz、CDOD):δ2.48(m、4H)、δ5.84(d、1H)、δ6.96(m、1H)。
参考例2 3−ヒドロキシアジピン(I−2)酸の準備
本発明で使用した3−ヒドロキシアジピン酸は化学合成により準備した。
まず、コハク酸モノメチルエステル13.2g(0.1mol)(和光純薬社製)に超脱水テトラヒドロフラン1.5L(和光純薬社製)を加え、攪拌しながらカルボニルジイミダゾール16.2g(0.1mol)(和光純薬社製)添加し、窒素雰囲気下1時間室温で攪拌した。この懸濁液にマロン酸モノメチルエステルカリウム塩15.6g(0.1mol)および塩化マグネシウム9.5g(0.1mol)を添加し、窒素雰囲気下1時間室温で攪拌した後、40℃で12時間攪拌した。反応終了後、1mol/L塩酸を0.05L加え、酢酸エチルにより抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:5)で分離精製することで、純粋な3−オキソヘキサンジカルボン酸ジメチルエステル13.1gを得た。収率70%。
得られた3−オキソヘキサンジカルボン酸ジメチルエステル10g(0.05mol)にメタノール0.1L(国産化学社製)を加え、攪拌しながら5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液0.02Lを添加し、室温で2時間攪拌した。反応終了後、5mol/Lの塩酸でpH1に調整し、次いで、水素化ホウ素ナトリウム2.0g(0.05mol)(和光純薬社製)を添加し、室温で2時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターで濃縮後、水で再結晶することで、純粋な3−ヒドロキシアジピン酸7.2gを得た。収率95%。
H−NMR(400MHz、CD3OD):δ1.70(m、1H)、δ1.83(m、1H)、δ2.42(m、4H)、δ4.01(m、1H)。
参考例3 3−ヒドロキシアジピン酸−3,6−ラクトン(II−1)の準備
本発明で使用した3−ヒドロキシアジピン酸−3,6−ラクトンは化学合成により準備した。
まず、コハク酸モノメチルエステル13.2g(0.1mol)(和光純薬社製)に超脱水テトラヒドロフラン1.5L(和光純薬社製)を加え、攪拌しながらカルボニルジイミダゾール16.2g(0.1mol)(和光純薬社製)添加し、窒素雰囲気下1時間室温で攪拌した。この懸濁液にマロン酸モノメチルエステルカリウム塩15.6g(0.1mol)および塩化マグネシウム9.5g(0.1mol)を添加し、窒素雰囲気下1時間室温で攪拌した後、40℃で12時間攪拌した。反応終了後、1mol/L塩酸を0.05L加え、酢酸エチルにより抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:5)で分離精製することで、純粋な3−オキソヘキサンジカルボン酸ジメチルエステル13.1gを得た。収率70%。
得られた3−オキソヘキサンジカルボン酸ジメチルエステル10g(0.05mol)にメタノール0.1L(国産化学社製)を加え、攪拌しながら5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液0.02Lを添加し、室温で2時間攪拌した。反応終了後、5mol/Lの塩酸でpH1に調整し、次いで、水素化ホウ素ナトリウム2.0g(0.05mol)(和光純薬社製)を添加し、室温で2時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターで濃縮後、水で再結晶することで、純粋な3−ヒドロキシアジピン酸7.2gを得た。収率95%。
H−NMR(400MHz、CDOD):δ1.70(m、1H)、δ1.83(m、1H)、δ2.42(m、4H)、δ4.01(m、1H)。
得られた純粋な3−ヒドロキシアジピン酸7.2g(0.044モル)に超純水0.1Lを加え、攪拌しながら1mol/Lの硫酸を0.01Lを添加し、100℃で2時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターで濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)で分離精製することで、純粋な3−ヒドロキシアジピン酸−3,6−ラクトン5.8gを得た。収率90%。
H−NMR(400MHz、DO):δ2.03(m、1H)、δ2.04−2.90(m、5H)、δ5.00(m、1H)。
参考例4 α−ヒドロムコン酸ジメチルエステル(I−3)およびα−ヒドロムコン酸モノメチルエステル(I−4)の準備
本発明で使用したα−ヒドロムコン酸ジメチルエステルおよびα−ヒドロムコン酸モノメチルエステルは化学合成により準備した。
参考例1で得たα−ヒドロムコン酸5.0g(0.035モル)にメタノール0.1L(国産化学社製)を加えて完全に溶解させ、攪拌しながら98%硫酸0.5g(和光純薬社製)を添加し、室温で5時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターでメタノールを留去し、酢酸エチル(和光純薬社製)で抽出操作を行った。次いで、ロータリーエバポレーターにより酢酸エチルを留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で分離精製することで、純粋なα−ヒドロムコン酸ジメチルエステル2.8gおよび、α−ヒドロムコン酸モノメチルエステル1.7gを得た。
α−ヒドロムコン酸ジメチルエステル(I−3)
H−NMR(400MHz、CDCl):δ2.46−2.57(m、4H)、δ3.69(s、3H)、δ3.72(s、3H)、δ5.86(m、1H)、δ6.91−7.02(m、1H)
α−ヒドロムコン酸モノメチルエステル(I−4)
H−NMR(400MHz、CDCl):δ2.54(m、4H)、δ3.73(s、3H)、δ5.88(m、1H)、δ6.91−7.00(m、1H)。
参考例5 3−ヒドロキシアジピン酸メチルエステル−3,6−ラクトン(II−2)の準備
本発明で使用した3−ヒドロキシアジピン酸メチルエステル−3,6−ラクトンは化学合成により準備した。
参考例3で得た、3−ヒドロキシアジピン酸−3,6−ラクトン3.0g(0.021モル)にメタノール0.1L(国産化学社製)を加えて完全に溶解させ、攪拌しながら98%硫酸0.5g(和光純薬社製)を添加し、室温で5時間攪拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターでメタノールを留去し、酢酸エチル(和光純薬社製)で抽出操作を行った。次いで、ロータリーエバポレーターにより酢酸エチルを留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で分離精製することで、純粋な3−ヒドロキシアジピン酸メチルエステル−3,6−ラクトン2.6gを得た。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ1.93−1.98(m、1H)、δ2.43−2.84(m、5H)、δ3.70(s、3H)、δ4.88(m、1H)。
実施例1 α−ヒドロムコン酸(I−1)を用いたε−カプロラクタムの製造(条件1)
内容量0.2Lのステンレス製オートクレーブ(耐圧ガラス工業社製)に、参考例1で合成したα−ヒドロムコン酸1.0gとジオキサン0.1L(和光純薬社製)と5重量パーセントパラジウム担持したγアルミナ(Pd/γAl、Alfa aser社製)0.05gを添加した。次いで、オートクレーブにアンモニアガスを添加し、オートクレーブの内圧を0.35MPa(ゲージ圧)となるよう調節した後、1000rpmで30分間室温で攪拌した。次いで、攪拌を継続しながら水素を添加し、オートクレーブの内圧を水素の分圧換算で1.35MPa(ゲージ圧)となるよう調節した(全圧(ゲージ圧):1.7MPa)。次いで、オートクレーブ内の温度を250℃で3時間加熱した。反応終了後、室温まで放冷し、オートクレーブ内のガスを放出して常圧に戻した後、反応溶液を回収した。反応溶液をガスクロマトグラフィーで分析し、ロータリーエバポレーター(東京理化器械社製)で反応溶液を濃縮して得られた固体を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)およびH−NMR(400MHz、日本電子社製)により分析した。結果を表1に示した。なお、ε−カプロラクタムの定量分析は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で、副産物の定量分析はガスクロマトグラフィーで行い、アジポアミドの定量分析はH−NMRで行った。
高速液体クロマトグラフィーによる、ε−カプロラクタムの定量分析
HPLC:Prominence(島津製作所社製)
カラム:Synergi hydro−RP(Phenomenex社製)、長さ250mm、内径4.60mm、粒径4μm
移動相:0.1%リン酸水溶液/アセトニトリル=85/15
流速:1.0mL/分
検出器:UV(210nm)
カラム温度:40℃。
ガスクロマトグラフィーによる、副産物の定量分析
GCMS:GCMS−QP2010Ultra(島津製作所社製)
カラム:DB−5、長さ30m、内径0.25mm、膜厚1.00μm(Agilent Technologies社製)
キャリアガス:ヘリウム, 線速度一定(39.0cm/秒)
スプリット比:10
気化室:280℃
カラムオーブン温度:100℃(4分)→(10℃/分)→320℃(11分)
インターフェイス温度:280℃。
実施例2〜6 ε−カプロラクタムの製造(条件1)
実施例1と同様の方法で、原料として、α−ヒドロムコン酸(I−1)の代わりに、参考例2で合成した3−ヒドロキシアジピン酸(I−2、実施例2)、参考例3で合成した3−ヒドロキシアジピン酸−3,6−ラクトン(II−1、実施例3)、参考例4で合成したα−ヒドロムコン酸ジメチルエステル(I−3、実施例4)、参考例4で合成したα−ヒドロムコン酸モノメチルエステル(I−4、実施例5)、参考例5で合成した3−ヒドロキシアジピン酸メチルエステル−3,6−ラクトン(II−2、実施例6)をそれぞれ使用して、ε−カプロラクタムの製造を行った。各結果を表1に示した。
Figure 0006672792
比較例1
比較例1として、実施例1〜6と同一条件(圧力、温度、時間、触媒、溶媒、濃度)で、トランス−トランスムコン酸(東京化成工業社製)を原料のジカルボン酸として使用した、特許文献に記載の結果も表1に示した。
実施例7〜12 ε−カプロラクタムの製造(条件2)
原料として、α−ヒドロムコン酸(I−1、実施例7)、3−ヒドロキシアジピン酸(I−2、実施例8)、3−ヒドロキシアジピン酸−3,6−ラクトン(II−1、実施例9)、α−ヒドロムコン酸ジメチルエステル(I−3、実施例10)、α−ヒドロムコン酸モノメチルエステル(I−4、実施例11)、3−ヒドロキシアジピン酸メチルエステル−3,6−ラクトン(II−2、実施例12)をそれぞれ使用し、添加したアンモニアガスのオートクレーブの内圧を0.18MPa(ゲージ圧)に変更し、また添加した水素のオートクレーブの内圧を水素の分圧換算で0.72MPa(ゲージ圧)(全圧(ゲージ圧):0.90MPa)に変更した以外は実施例1〜6と同様の条件で、ε−カプロラクタムの製造を行った。各結果を表2に示した。
Figure 0006672792
表1に示すように、比較例1のトランス−トランスムコン酸を原料とする場合は、副産物としてε−カプロラクタムの還元体である、ヘキサメチレンイミンが収率15%で生成し、ヘキサンアミドの生成も認められた。さらに、モルバランスが74%と低いことから不明の副産物も多く生成することが確認された。ε−カプロラクタムを得るためには、分離精製操作が煩雑になると推測される。
一方、実施例1〜6では、副産物はヘキサメチレンイミンのみであり、その生成量も少なかった。アジポアミドが収率45%程度で生成しているが、アジポアミドは反応中間体であり、同様の反応条件に供することにより、目的とするε−カプロラクタムに変換できる。すなわち、アジポアミドを、必要に応じて分離精製して回収し、これを原料としてリサイクルすることで、目的のε−カプロラクタムの収率を極限まで向上させることができる。
反応条件のうち、アンモニア、水素の各分圧を下げて、実用的な条件とした実施例7〜12においても、同様に、副産物の生成が抑制されて、リサイクル可能なアジポアミドの生成と共に、目的のε−カプロラクタムが得られた。
以上のとおり、一般式(I)または(II)で表される化合物を原料として水素およびアンモニアと反応させることで、副産物の生成が抑制され、ε−カプロラクタムが高選択的に得られることが示された。

Claims (10)

  1. 一般式(I)または(II)
    Figure 0006672792
    [式中、R、RおよびRは、それぞれ独立にORを表し、Rは、それぞれ独立にH、炭素数1〜5アルキルを表し、Xは、−CH(OH)CHCH−、−CHCH(OH)CH−または−CH=CHCH−を表す。]
    で示される化合物、またはこれら化合物の塩を、水素およびアンモニアと反応させる工程を含む、ε−カプロラクタムの製造方法。
  2. 一般式(I)または(II)で示される化合物が、一般式(I)で示される化合物であり、該化合物が、α−ヒドロムコン酸もしくは3−ヒドロキシアジピン酸またはこれら化合物の炭素数1〜5アルキルエステルである、請求項1に記載の方法。
  3. 一般式(I)で示される化合物が、α−ヒドロムコン酸又はその炭素数1〜5アルキルエステルである請求項2に記載の方法。
  4. 一般式(I)で示される化合物が、3−ヒドロキシアジピン酸又はその炭素数1〜5アルキルエステルである請求項2に記載の方法。
  5. 一般式(I)または(II)で示される化合物が、一般式(II)で示される化合物であり、該化合物が、3−ヒドロキシアジピン酸−3,6−ラクトン又はその炭素数1〜5アルキルエステルである請求項に記載の方法。
  6. 前記工程を触媒の存在下で行う、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記触媒が、パラジウム、白金、金、銅、ルテニウム、ロジウム、コバルト、レニウムおよびニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記触媒が、パラジウム、白金、金、ルテニウム、ロジウム、コバルト、レニウムおよびニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記触媒が、パラジウムである請求項8記載の方法。
  10. 前記工程の反応開始時における水素の圧力が、常温、ゲージ圧で0.5MPa以上10MPa以下である、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
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