以下、パチンコ遊技機の一実施形態について説明する。
本明細書における上、下、左、右、前(表)、及び後(裏)は、遊技者から見たときの各方向を示すものとする。
図1に示すように、遊技機としてのパチンコ遊技機10は、遊技枠体11を備えている。遊技枠体11は、外枠体20と、中枠体30と、前枠体40と、を備えている。
外枠体20について説明する。
外枠体20は、遊技店などの島設備に固定される固定用の枠体である。外枠体20は、天板21、底板22、左側板23、及び右側板24を備えており、正面視において、開口部20aを有する縦長の四角枠状である。本実施形態において、外枠体20は、パチンコ遊技機10の外郭をなしている。例えば、外枠体20の天板21及び底板22は、ベニヤ板などのように釘打ちが可能な木製であり、左側板23及び右側板24は、アルミニウムなどの金属製であるとよい。
中枠体30について説明する。
中枠体30は、他の部材を搭載するための枠体である。以下の説明では、遊技枠体11に搭載されている部材を搭載部材と示す。中枠体30は、正面視において、縦長の四角枠状である。中枠体30は、開口部20aの前面側において、外枠体20に対して相対的に開放及び閉鎖が可能となるように、外枠体20の左側板23に軸支されている。
図2(a)及び図3に示すように、中枠体30は、金属製の中ベース板部材31を備えている。例えば、中ベース板部材31は、鋼鈑をプレス加工することにより形成されている。なお、中ベース板部材31は、一体に形成されていてもよく、複数の部品を組み合わせて形成されていてもよい。中枠体30の中ベース板部材31には、複数の搭載部材が組み付けられ、固定されている。ここでは、中枠体30の搭載部材の概略について説明し、主に遊技球の流通に関する具体的な構成については後述する。
図2及び図3に示すように、中枠体30は、搭載部材の1つとして、中ベース板部材31の前面側における中央部に組み付けられた遊技盤60を備えている。遊技盤60は、前面側に、遊技媒体としての遊技球が流下する遊技領域61を備えている。中枠体30は、搭載部材の1つとして、中ベース板部材31の前面側における下部に組み付けられた発射装置32を備えている。発射装置32は、遊技球を発射する発射部に相当する。中枠体30は、図示しない払出装置から払い出された遊技球を送出する枠内払出口33を備えている。中枠体30は、枠内払出口33より下流側の通路から溢れた遊技球(以下、溢れ球と示す)を払い出す枠内溢れ球口34を備えている。枠内払出口33及び枠内溢れ球口34は、中枠体30の前面側に開口している。図2に示すように、中枠体30は、搭載部材の1つとして、遊技球を所定数ずつ発射装置32に供給する供給部としての球送りユニット70を備えている。
前枠体40について説明する。
図1及び図2に示すように、前枠体40は、他の部材を搭載するための枠体である。前枠体40は、正面視において、開口部40aを有する縦長の四角枠状である。前枠体40は、中枠体30の前面側において、外枠体20及び中枠体30対して相対的に開放及び閉鎖が可能となるように、外枠体20の左側板23に軸支されている。本実施形態において、枠体30,40は、外枠体20に対して相対的に開放及び閉鎖が可能であり、前枠体40は、中枠体30に対して相対的に開放及び閉鎖が可能である。なお、枠体30,40は、外枠体20の右側板24に軸支されていてもよい。
前枠体40は、前ベース板部材41を備えている。前ベース板部材41は、開口部41aを有する縦長の四角枠状である。本実施形態において、ベース板部材41は、金属製である。例えば、前ベース板部材41は、鋼鈑をプレス加工することにより形成されている。なお、前ベース板部材41は、一体に形成されていてもよく、複数の部品を組み合わせて形成されていてもよい。前枠体40の前ベース板部材41には、複数の搭載部材が組み付けられ、固定されている。ここでは、前枠体40の搭載部材の概略について説明し、主に遊技球の流通に関する具体的な構成については後述する。
前枠体40は、搭載部材の1つとして、前ベース板部材41の前面側における上部に組み付けられた上部パネルユニット42を備えている。前枠体40は、搭載部材の1つとして、前ベース板部材41の前面における下部に組み付けられた下部パネルユニット43を備えている。例えば、パネルユニット42,43は、電球やLEDなどように、図示しない発光体を内蔵している。パネルユニット42,43は、演出の1つとして、内蔵された発光体を点灯、点滅、及び消灯させることで所定の演出(以下、発光演出と示す)を実行する。
下部パネルユニット43は、前枠体40の開口部40aの下方において、前方に向かって膨らむように突出した形状である。下部パネルユニット43は、上面側に、演出ボタン431aを備えている。下部パネルユニット43は、上面側に、玉抜きボタン431bを備えている。下部パネルユニット43は、遊技球を貯留する上球皿432を備えている。上球皿432は、遊技球が貯留される貯留空間432aを形成している。下部パネルユニット43は、上球皿432の貯留空間432aに開口している上払出口432bを備えている。上球皿432は、遊技球の貯留部に相当する。
下部パネルユニット43は、上球皿432にある遊技球を前枠体40の後面側へと案内する案内通路433を備えている。案内通路433は、前枠体40の表面側から後面に貫通している。下部パネルユニット43は、前枠体40の後面側に、案内通路433の開口部である送出口433aを備えている(図2に示す)。
下部パネルユニット43は、遊技球を貯留する下球皿435を備えている。下球皿435は、遊技球が貯留される貯留空間435aを形成している。下部パネルユニット43は、下球皿435の貯留空間435aに開口している第1下払出口435bを備えている。下部パネルユニット43は、下球皿435の貯留空間435aに開口している第2下払出口435cを備えている。下部パネルユニット43は、前枠体40の後面側に開口している被排出口436を備えている。下部パネルユニット43は、被排出口436から受け入れた遊技球を下球皿435(第2下払出口435c)に案内する図示しない球通路を備えている。下部パネルユニット43は、前枠体40の後面側に開口している機構孔437を備えている。
前枠体40は、搭載部材の1つとして、前ベース板部材41の前面側における左上部に組み付けられた左スピーカユニット45と、前ベース板部材41の前面側における右上部に組み付けられた右スピーカユニット46と、を備えている。スピーカユニット45,46は、演出の1つとして、人や動物の声、効果音、及び楽曲などの音声を出力する演出(以下、音声演出と示す)を実行する。
前枠体40は、搭載部材の1つとして、前ベース板部材41の前面側における右下部に組み付けられた発射ハンドルユニット48を備えている。発射ハンドルユニット48は、発射ハンドル481を備えている。パチンコ遊技機10では、発射ハンドル481の操作量(回動量)に応じた強度にて、遊技球が発射装置32から遊技領域61に向かって発射される。
前枠体40は、搭載部材の1つとして、前ベース板部材41の後面側に組み付けられた保護ガラスユニット49を備えている(図1に示す)。保護ガラスユニット49は、前枠体40の開口部40aを覆っているガラス板49aを備えている。ガラス板49aは、中枠体30に搭載された遊技盤60の遊技領域61を保護している。
図2(a)及び(b)に示すように、前枠体40は、搭載部材の1つとして、前ベース板部材41の後面における左下部に組み付けられた球通路ユニット50を備えている。詳しくは後述するが、球通路ユニット50は、内部に複数の球通路を備えている。
次に、遊技盤60について説明する。
図1及び図2(a)に示すように、遊技盤60は、前面側に、正面視において略円形である遊技領域61を備えている。遊技領域61は、遊技盤60の前面側を、外側レール611及び内側レール612によって区画することにより形成されている。遊技盤60は、発射装置32から発射された遊技球を遊技領域61に向かって案内する案内通路62を備えている。案内通路62は、レール611,612の間に形成されている。内側レール612は、先端部に、遊技球が遊技領域61から案内通路62に逆流することを防止する逆流防止弁612aを備えている。
パチンコ遊技機10は、特別図柄表示部63を備えている。例えば、特別図柄表示部63は、遊技盤60において、遊技者が視認可能な位置に設けるとよい。特別図柄表示部63は、所定の図柄を変動表示させるとともに、最終的に特別図柄を確定停止表示させる特別図柄変動ゲームを表示する。特別図柄は、パチンコ遊技機10において、内部的に行われる大当り抽選の結果を報知するための図柄である。大当り抽選に当選した場合には、特別図柄変動ゲームにおいて大当り図柄が導出され、その後に大当り遊技が付与される。その一方で、大当り抽選に当選しなかった場合には、特別図柄変動ゲームにおいてはずれ図柄が導出される。なお、パチンコ遊技機10は、複数の特別図柄表示部63を備え、各別に特別図柄変動ゲームを表示可能であってもよい。
パチンコ遊技機10は、遊技領域61の略中央に、各種の装飾が施されたセンター枠64を備えている。センター枠64は、開口部64aを備えている。パチンコ遊技機10は、演出表示ディスプレイ65を備えている。例えば、演出表示ディスプレイ65は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置であってもよく、プロジェクタとスクリーンとを含んで構成された表示装置であってもよい。演出表示ディスプレイ65は、画像が表示される表示領域65rを備えている。演出表示ディスプレイ65は、センター枠64の開口部64aを介して、遊技者が表示領域65rを視認可能となるように、遊技盤60に組み付けられている。演出表示ディスプレイ65は、演出の1つとして、所定のキャラクタや文字を模した画像(絵柄)を表示する演出(以下、表示演出と示す)を実行する。
本実施形態において、演出表示ディスプレイ65が実行可能な表示演出には、演出図柄を複数列で変動表示させるとともに、最終的に演出図柄の組み合わせを導出させる演出図柄変動ゲームがある。演出図柄は、キャラクタや模様等の装飾が施された図柄(飾り図柄)であって、表示演出を多様化させるためのものである。
パチンコ遊技機10は、遊技領域61に開口している2つの始動入賞口66を備えている。本実施形態では、2つの始動入賞口66の何れかに入球した遊技球が、図示しないセンサで検知されると、特別図柄変動ゲームの始動条件が成立し得るとともに、賞球の払出条件が成立する。なお、始動入賞口66は、1つであってもよい。また、パチンコ遊技機10は、一部の始動入賞口66を開閉する開閉部材を備えていてもよい。パチンコ遊技機10は、遊技領域61に開口している大入賞口67を備えている。本実施形態では、大入賞口67に入球した遊技球が図示しないセンサで検知されると、賞球の払出条件が成立する。パチンコ遊技機10は、遊技領域61において、大入賞口67を開閉する可変部材67aを備えている。
パチンコ遊技機10は、アウト口68を備えている。例えば、アウト口68は、遊技領域61の下端部において、遊技領域61に開口している。例えば、パチンコ遊技機10は、複数のアウト口を備えていてもよい。パチンコ遊技機10は、上述した入賞口66,67とは異なる入賞口を備えていてもよい。本明細書において、「入賞」は、遊技球が入賞口に入球することである。また、パチンコ遊技機10は、釘や風車など、遊技領域61を流下する遊技球の挙動に変化を与えるための部材を備えている。
以下、本実施形態のパチンコ遊技機10について、遊技球の流通に関する具体的な構造について詳細に説明する。
次に、中枠体30の発射装置32について説明する。
図4に示すように、発射装置32は、左右方向に沿って延びている長方形板状のベース部321を備えている。発射装置32は、ベース部321の前面から前方に向かって突出しており、且つ、ベース部321の略中央部分から左上方へ向かって相互に平行となるように延びている壁として、上ガイド壁322と下ガイド壁323とを備えている。下ガイド壁323は、位置を変更不能となるようにベース部321に固定されている固定壁部323aと、位置を変更可能となるようにベース部321に支持されている調節壁部323bと、を備えている。調節壁部323bは、上ガイド壁322に近接する方向と上ガイド壁322から離間する方向とに位置を変更できる。
本実施形態において、2つのガイド壁322,323に挟まれた部分は、ベース部321の前面側において、ベース部321の略中央部分から左上方へ向かって延びている発射通路324となる。発射装置32の単体においては、発射通路324は、前方に開放された通路である。発射通路324を挟んで対向しているガイド壁322,323の離間距離は、好ましくは遊技球の直径の1倍を超えて2倍未満の長さであり、より好ましくは遊技球の直径よりも僅かに大きい長さである。
上ガイド壁322は、基端部(右下端部)に、上ガイド壁322から下方に向かって突出している球止め片322aを備えている。球止め片322aと、下ガイド壁323の基端部(右下端部)とは離間しているとともに、その離間距離は、遊技球の直径の1倍未満である。したがって、発射通路324において、遊技球は、球止め片322aによって下方への移動が規制されている。発射通路324のうち、球止め片322aがある基端部側の空間は、遊技球が打撃される球打部324aとなる。本実施形態において、発射通路324のうち、球止め片322aがある基端部(球打部324a)の前方部分は、球送りユニット70から遊技球が供給される被供給口325である。
発射装置32は、遊技球を打撃するハンマー部材326を備えている。ハンマー部材326は、上下方向に沿って延びている棒状の部材であり、一方の端部(本実施形態では下端部)に、遊技球を打撃する打撃部326aを備えている。ハンマー部材326は、ベース部321の前面に沿った平面内において、軸部326bまわりで回動可能となるように軸支されている。ハンマー部材326は、打撃部326aが、球止め片322aと下ガイド壁323との隙間から発射通路324内に突出している打撃姿勢P2aと、球止め片322aと下ガイド壁323との隙間から発射通路324内に突出していない初期姿勢P2bと、に動作(回動)が可能である。発射装置32は、バネなどの図示しない付勢手段を備えており、外力が与えられていない状態において、ハンマー部材326は、付勢手段の付勢力により初期姿勢P2bに維持される。
発射装置32は、アクチュエータとしてモータ327を備えている。モータ327の出力軸は、ハンマー部材326の軸部326bに連結されている。例えば、モータ327は、ロータリーソレノイドであってもよく、プランジャー式ソレノイドであってもよく、ステッピングモータであってもよい。モータ327は、ハンマー部材326を打撃姿勢P2aと初期姿勢P2bとの間で回動(動作)させる。
発射装置32において、被供給口325から発射通路324内に受け入れられた遊技球は、重力によって球打部324aに保持される。そして、図中において矢印Y1に示すように、球打部324aにある遊技球は、ハンマー部材326が打撃姿勢P2aに動作されることに伴って、球打部324a内に突出する打撃部326aによって打撃され、案内通路62(遊技領域61)へ向かって打ち出される。発射通路324は、発射装置32によって発射された遊技球を遊技領域61へ案内する。
図3に示すように、本実施形態において、発射装置32の下ガイド壁323の上端部と、外側レール611の下端部とは、離間している。したがって、発射装置32によって打ち出されたが、発射強度が不足していることによって、逆流防止弁612aを通過できなかった遊技球は、図中において矢印Y2で示すように、下ガイド壁323の上端部と、外側レール611の下端部との間から下方に向かって流下(落下)する。以下の説明では、下ガイド壁323の上端部と、外側レール611の下端部との隙間を、落下領域63aと示す。また、以下の説明では、発射装置32によって打ち出されたが遊技領域61に到達しなかった遊技球をファール球と示す場合がある。
次に、中枠体30の球送りユニット70について説明する。
球送りユニット70は、発射装置32の前面側に対して、所定の固定手段を用いて着脱が可能に組み付けられている。例えば、所定の固定手段としては、ネジ、フック、又はワンタッチリベットなどを採用できる。また、球送りユニット70は、発射装置32の前面側に対して着脱が可能に構成されていることに加えて、又は代えて、発射装置32の前面側に対して開閉が可能に組み付けられていてもよい。
図5及び図6に示すように、球送りユニット70は、全体として左右方向に沿って延びている四角箱状である。球送りユニット70は、球送りベース部材71と、球送りベース部材71の前面側を覆っているカバー部材85と、を備えている。カバー部材85は、球送りベース部材71に対して、所定の固定手段を用いて着脱が可能に組み付けられている。例えば、所定の固定手段としては、ネジやフックなどを採用できる。なお、カバー部材85と球送りベース部材71とは、相互に分離が不能に組み付けられていてもよい。
図7及び図6に示すように、球送りベース部材71は、左右方向に沿って延びている長方形の板状である球送りベース部72を備えている。球送りベース部材71は、球送りベース部72を前後方向に貫通し、且つ、球送りベース部材71の後方に開口している供給口82を備えている。供給口82は、遊技球を発射装置32の被供給口325へ供給するための開口部である。供給口82は、上縁部82a、下縁部82b、右縁部82c、及び左縁部82dを有しており、正面視において略四角形である。上縁部82aが延びている方向と、左縁部82dが延びている方向とは、ベース交差部82eにおいて交差している(図6に示す)。
図7に示すように、球送りベース部材71には、球送りベース部72の前面から前方に向かって突出する壁によって、前方に開放されており、且つ、遊技球が一列に並んで流通する球通路が形成されている。球送りベース部材71は、球送りベース部72の右上部から左下方へ、左下がりで緩やかに傾斜している第1供給通路73を備えている。球送りベース部材71は、分岐部76からさらに左方へ向かって延びており、且つ、供給口82に繋がっている第2供給通路74を備えている。球送りベース部材71は、分岐部76からさらに下方へ向かって延びている排出通路75を備えている。通路73,74は、球送りベース部72と、それぞれの通路を挟んで対向している壁と、によって前方に開放された状態にて形成されている。通路73,74を挟んで対向している壁同士の離間距離は、好ましくは遊技球の直径の1倍を超えて2倍未満であり、より好ましくは遊技球の直径より僅かに大きい。
球送りユニット70は、球切り機構77を備えている。球切り機構77は、第1供給通路73において一列に並んでいる遊技球の列から、所定数としての1球の遊技球を切り出すとともに、供給口82から送出させるための機構である。球切り機構77は、球送りベース部材71の前面側に設けられている。
球切り機構77は、球切り部材78を備えている。球切り部材78は、正面視において、全体として左右逆転した逆コ字型の部材である。球切り部材78において、前後方向に沿った長さ(厚さ)は、遊技球の直径の1倍を超えて2倍未満である。球切り部材78は、該球切り部材78を、右端部から左端部側へ向かって四角形に切り欠くようにして形成された球切り収容部781を備えている。球切り収容部781は、1球の遊技球を収容可能な球切り収容空間781aを形成している。球切り収容空間781aの底面781bは、後下がりで傾斜している。
球切り部材78は、上端部に、磁性体である金属片783を備えている。球切り部材78は、前後方向に沿って延びている球切り軸部782を備えている。球切り部材78は、球切り軸部782を中心として、上下方向に沿って回動が可能となるように、球送りベース部72に組み付けられている。
球切り部材78は、供給姿勢P3aと、停止姿勢P3bと、に動作が可能である。供給姿勢P3aは、球切り部材78が下方へ向かって回動した状態であって、正面視において、球切り収容空間781aと供給口82とが整合一致した状態である。したがって、球切り収容空間781aに収容されている遊技球は、球切り部材78が供給姿勢P3aになると、供給口82から送出される。このとき、球切り収容部781の上端部は、分岐部76に臨むようになっており、遊技球が第1供給通路73から第2供給通路74に流入することを規制している。
一方、停止姿勢P3bは、球切り部材78が上方へ向かって回動した状態であって、正面視において、球切り収容空間781aと供給口82とが整合一致しない状態である。したがって、停止姿勢P3bにおいて、球切り収容空間781aに収容されている遊技球は、供給口82から送出されない。このとき、球切り収容空間781aは、右方において分岐部76と連通する。このため、球切り収容部781に遊技球が収容されていない場合、第1供給通路73内の遊技球は、球切り収容空間781aに流入する。このように、球切り部材78は、第2供給通路74における遊技球の流通を制御している。
球切り機構77は、球切り部材78を供給姿勢P3aと停止姿勢P3bとに動作させるためのアクチュエータとして、電磁石79を備えている。なお、電磁石79は、ソレノイドやモータに変更してもよい。電磁石79は、通電状態とされることで磁力を発生し、該磁力によって金属片783を引きあげ、これに伴って球切り部材78を停止姿勢P3bに動作させる。電磁石79は、非通電状態とされることで磁力が消失され、球切り部材78及び遊技球の自重によって、球切り部材78を供給姿勢P3aに動作させる。
球送りユニット70は、球抜き部材81を備えている。球抜き部材81は、左右方向に沿って延びている略四角箱状の本体部811と、本体部811の前面から前方に向かって延びている棒状の操作部812と、を備えている。球抜き部材81は、本体部811の右端部に接続され、且つ、右方向に向かって延びているバネ813と、本体部811の左端部から左方に向かって延びている板状の規制部814と、を備えている。
球送りベース部材71は、球抜き部材81を収容し、且つ、左右方向に沿ってスライド可能に支持する収容部80を備えている。収容部80と分岐部76とは連通しており、該連通している部分において、球抜き部材81の規制部814は、分岐部76に対して出没が可能である。
球抜き部材81は、球送り位置P4aと、玉抜き位置P4bと、に動作が可能である。球送り位置P4aは、規制部814が分岐部76に突出しており、第1供給通路73から分岐部76に流入した遊技球が、第2供給通路74に流入するように案内するとともに、排出通路75に流入しないように規制している状態である。球抜き部材81は、外力が与えられていない状態においては、バネ813の付勢力によって、球送り位置P4aに維持される。玉抜き位置P4bは、規制部814が分岐部76に突出しておらず、第1供給通路73から分岐部76に流入した遊技球が、排出通路75に流入するように案内する一方で、第2供給通路74に流入しない状態である。
カバー部材85は、後方に開口している四角箱状の部材である。カバー部材85は、右上部において、前方に開口し、且つ、前枠体40側の送出口433aから遊技球を受け入れるための受入口851を備えている。カバー部材85は、下部において、前方に開口し、且つ、球送りユニット70(第1供給通路73,分岐部76)内にある遊技球を排出するための排出口852を備えている。カバー部材85は、排出口852の右方に、前後方向に貫通し、且つ、左右方向に沿って延びている挿通孔856を備えている。
球送りベース部材71とカバー部材85とを組み付けた状態では、正面視において、カバー部材85の受入口851と、第1供給通路73の右上端部と、が整合一致している。球送りベース部材71とカバー部材85とを組み付けた状態では、正面視において、カバー部材85の排出口852と、排出通路75の下端部と、が整合一致している。
球送りベース部材71の第1供給通路73、第2供給通路74、排出通路75、及び分岐部76は、カバー部材85によって前方が閉鎖される。したがって、本実施形態において、第1供給通路73、第2供給通路74、排出通路75、及び分岐部76は、球送りベース部72を後方の壁とし、カバー部材85を前方の壁として形成されているともいえる。球送りベース部材71とカバー部材85とを組み付けた状態では、球抜き部材81の操作部812がカバー部材85の挿通孔856から前方に突出している。球抜き部材81の操作部812は、挿通孔856に沿って、左右方向に移動が可能である。
球送りユニット70が発射装置32の前面側に対して取り付けられている状態では、正面視において、発射装置32の被供給口325と、球送りユニット70の供給口82とが整合一致している。即ち、本実施形態では、球送りユニット70が中枠体30側に取り付けられた状態において、供給口82と被供給口325とは、遊技球が通過できるように配置されるようになっている。また、球送りユニット70(球送りベース部72)の後面のうち、供給口82の左上の領域71bは、図中において矢印Y1に示す方向に沿って延びている発射通路324の前方を塞いでいる壁として兼用されている(図6に示す)。
前枠体40が中枠体30に対して閉じられている状態では、正面視において、前枠体40側にある送出口433aと、球送りユニット70の受入口851とが整合一致している。即ち、本実施形態では、前枠体40が中枠体30に対して閉じられた状態において、受入口851と送出口433aとは、遊技球が通過できるように配置される。
したがって、本実施形態では、貯留空間432aから案内通路433に受け入れられた遊技球は、案内通路433によって前枠体40の後面側へと案内されるとともに、送出口433aから送出される。送出口433aから送出された遊技球は、球送りユニット70の受入口851によって受け入れられ、球送りユニット70の第1供給通路73において、一列に整列する。球送りユニット70において、第1供給通路73内に1列に整列された遊技球は、球切り機構77の動作によって、所定数としての1球ずつ切り出すようにして、球送りユニット70の供給口82から供給(送出)される。球送りユニット70の供給口82から供給された遊技球は、発射装置32の被供給口325によって受け入れられ、球打部324aに至る。その後、発射装置32の球打部324aにおいて、遊技球は、ハンマー部材326によって打撃され、遊技領域61へ向かって発射されるようになっている。
前枠体40が中枠体30に対して閉鎖された状態において、球抜き部材81の操作部812は、前枠体40側の機構孔437に挿入されている。この状態において、球抜き部材81の操作部812は、玉抜きボタン431bに連結された図示しない機構部材に接触している。そして、玉抜きボタン431bが押し込まれていない状態において、球抜き部材81は、球送り位置P4aに位置する。球抜き部材81は、玉抜きボタン431bが押し込まれると、操作部812が上記機構部材によって右方へ移動されることによって、玉抜き位置P4bへと動作するようになっている。
前枠体40が中枠体30に対して閉鎖された状態では、正面視において、球送りユニット70の排出口852と、前枠体40側の被排出口436とが整合一致している。したがって、本実施形態では、玉抜きボタン431bの操作に伴って、球抜き部材81が球送り位置P4aから玉抜き位置P4bへと動作されると、第1供給通路73及び分岐部76にある遊技球が排出口852から排出される。そして、排出口852から排出された遊技球は、被排出口436によって受け入れられ、図示しない球通路を通過して、第2下払出口435cから下球皿435に返却される。
図6(a)〜(c)に示すように、球送りユニット70は、糸状体を切断可能な第1糸切部C1を備えている。以下、第1糸切部C1の構造を詳しく説明する。
球送りユニット70は、第1糸切部材86を備えている。第1糸切部材86は、1枚の金属板をプレス加工して形成されている。第1糸切部材86は、上流側縁部861と、反対側の下流側縁部862と、を備えている。上流側縁部861は、図中において矢印Y1に示すように、発射通路324内での遊技球の進行方向における上流側の縁部であり、下流側縁部862は、発射通路324内での遊技球の進行方向における下流側の縁部である。上流側縁部861は、左右方向に沿って延びている第1縁部861aと、上下方向に沿って延びている第2縁部861bと、を備えている。正面視において、第1縁部861aが延びる方向と第2縁部861bが延びる方向とは、交差部861cにおいて交差している。また、縁部861a,861bは、正面視において、略V字型となるように、発射通路324内での遊技球の進行方向に沿って傾斜している。
第1糸切部材86は、上流側縁部861から下流側縁部862側へ向かって延びている線状の切れ込み863を備えている。したがって、切れ込み863は、発射通路324における遊技球の進行方向に沿って延びている。好ましくは、切れ込み863は、上流側縁部861のうち交差部861cを含む部分から延びている。
図6(b)及び(c)に示すように、第1糸切部材86は、切れ込み863の両側に設けられた切断刃864を備えている。切断刃864は、切れ込み863の一方の縁部に設けられた第1切断刃864aと、切れ込み863の他方の縁部に設けられた第2切断刃864bと、を備えている。第2切断刃864bは、切れ込み863を挟んで第1切断刃864aとは反対側にある。切断刃864a,864bは、発射通路324における遊技球の進行方向に沿って延びている。また、切断刃864a,864bの先端部(刃先)同士の離間距離は、縁部861から縁部862側へ向かって小さくなっている。切断刃864a,864bは、切れ込み863における下流側縁部862よりの端部において繋がっている。したがって、切断刃864は、発射通路324内での遊技球の進行方向における上流から下流側へ向かうほど、切断刃864a,864bの先端部(刃先)同士が接近する先細りのV字型である。
第2切断刃864bは、後方に向かって屈曲する屈曲部865を備えている。屈曲部865は、第2縁部861bに沿って延びている。したがって、第1糸切部材86は、第1切断刃864a及び第2切断刃864bのうち、一方である第2切断刃864bを他方の切断刃の板面と直交する方向に沿って曲げることで形成されている。なお、第1糸切部材86は、第1切断刃864aを曲げて形成されていてもよく、切断刃864a,864bの両方を曲げて形成されていてもよい。
また、球送りベース部72は、供給口82の縁部から左上方に向かって切り欠くようにして形成されたスリット72aを備えている。したがって、スリット72aは、発射通路324における遊技球の進行方向に沿って延びている。好ましくは、スリット72aは、縁部82a〜82dのうちベース交差部82eを含む角部分から延びている。本実施形態において、縁部82a,82dは、正面視において、略V字型となるように、発射通路324内での遊技球の進行方向に沿って傾斜している。
切れ込み863が延びている方向と、スリット72aが延びている方向とは、相互に平行又は略平行である。そして、正面視において、スリット72aの幅方向に沿った長さは、正面視における切断刃864a,864bの先端部(刃先)同士の離間距離に比して、長い。正面視において、スリット72aの長さは、切れ込み863の長さに比して、長い。したがって、正面視において、切れ込み863は、スリット72aに重なっている。
以上のように、本実施形態において第1糸切部C1は、第1糸切部材86、球送りベース部72のうち供給口82の縁部82a,82d、及びスリット72aによって構成されている。本実施形態のパチンコ遊技機10において、糸状体ITが接続されている遊技球YKが発射装置32によって発射された場合には、図中において矢印Y1に示すように、遊技球YKによって牽引されることに伴って、糸状体が切断刃864a,864bの間に入り込む。そして、遊技球が十分な発射強度にて発射された場合には、糸状体が切断刃864a,864bによって切断される。その一方で、遊技球が十分な発射強度にて発射されなかった場合には、糸状体が切断刃864a,864bによって切断されないことも生じ得る。
次に、前枠体40の球通路ユニット50について説明する。
最初に、球通路ユニット50の概略について説明する。
図8〜図10に示すように、球通路ユニット50は、第1通路部材55と、第2通路部材56と、を備えている。第1通路部材55と第2通路部材56とは、所定の固定手段を用いて、相互に着脱が可能に組み付けられている。例えば、所定の固定手段としては、ネジやフックなどを採用できる。なお、第1通路部材55と第2通路部材56とは、相互に分離が不能に組み付けられていてもよい。本実施形態において、第2通路部材56は、第1通路部材55の後方に配置されている。
球通路ユニット50は、図示しない払出装置から払い出された遊技球を枠内払出口33から受け入れるための受入口として、払出し球受入口51aを備えている。払出し球受入口51aは、後方に向かって開口している。中枠体30に対して前枠体40が閉じられている状態では、正面視において、払出し球受入口51aと枠内払出口33とは、遊技球が通過可能となるように整合一致している。
球通路ユニット50は、溢れ球を枠内溢れ球口34から受け入れるための受入口として、溢れ球受入口52aを備えている。溢れ球受入口52aは、後方に向かって開口している。中枠体30に対して前枠体40が閉じられている状態では、正面視において、溢れ球受入口52aと枠内溢れ球口34とは、遊技球が通過可能となるように整合一致している。
球通路ユニット50は、ファール球を受け入れるための受入口として、ファール球受入口53aを備えている。ファール球受入口53aは、上方に向かって開口している。中枠体30に対して前枠体40が閉じられている状態では、ファール球受入口53aは、落下領域63aの直下に位置し、且つ、平面視において、ファール球受入口53aと落下領域63aとは、遊技球が通過可能となるように整合一致している。即ち、落下領域63aから落下した遊技球は、ファール球受入口53aによって受け入れられる。
球通路ユニット50は、遊技球を上払出口432bに送出するための上球送出口51bを備えている。上球送出口51bは、前方に向かって開口している。前枠体40に対して球通路ユニット50を組み付けた状態では、正面視において、上球送出口51bと上払出口432bとは、遊技球が通過可能となるように整合一致している。
球通路ユニット50は、遊技球を第1下払出口435bに送出するための下球送出口52bを備えている。下球送出口52bは、前方に向かって開口している。前枠体40に対して球通路ユニット50を組み付けた状態では、正面視において、下球送出口52bと第1下払出口435bとは、遊技球が通過可能となるように整合一致している。
球通路ユニット50には、第1通路部材55と第2通路部材56とを組み合わせることによって、払出し球通路51、溢れ球通路52、及びファール球通路53が設けられている。払出し球通路51は、払出し球受入口51aと上球送出口51bとを繋いでいる通路である。球通路ユニット50において、払出し球受入口51aによって受け入れられた遊技球は、払出し球通路51を通過し、上球送出口51bから上球皿432(上払出口432b)に到達する。
溢れ球通路52は、溢れ球受入口52aと下球送出口52bとを繋いでいる通路である。球通路ユニット50において、溢れ球受入口52aによって受け入れられた遊技球は、溢れ球通路52を通過し、下球送出口52bから下球皿435(下払出口435b)に到達する。
ファール球通路53は、ファール球受入口53aと下球送出口52bとに繋がっている通路である。即ち、本実施形態において、ファール球通路53は、発射通路324と下球皿435とに繋がっており、遊技領域61に到達しなかった遊技球をファール球として下球皿435に返却するための通路である。即ち、本実施形態のファール球通路53は、球送りユニット70と下球皿435とに繋がっている特定の球通路に相当する。球通路ユニット50において、ファール球受入口53aによって受け入れられた遊技球は、ファール球通路53を通過し、下球送出口52bから下球皿435(下払出口435b)に到達する。本実施形態において、溢れ球通路52とファール球通路53とは、下球送出口52bに至る迄の下流側において共通化されている。
以下、球通路ユニット50を詳細に説明する。
最初に、溢れ球通路52に関する構造について説明する。
図11及び図12に示すように、第1通路部材55は、左右方向に沿って延びている略四角板状の後壁551を備えている。第1通路部材55は、後壁551の前面から前方に向かって突出している下壁552を備えている。下壁552は、全体として後壁551の左上縁部から右下縁部へ向かって、右下がりで緩やかに下るように延びている。第1通路部材55は、下壁552の上方において、後壁551の前面から前方に向かって突出している上壁553を備えている。上壁553は、全体として後壁551の左上縁部から右下縁部へ向かって、右下がりで緩やかに下るように延びている。上壁553と下壁552とは、相互に平行又は略平行である。後壁551は、上壁553及び下壁552の右端部側において、前方へ向かって湾曲している湾曲部551aを備えている。
図13及び図14に示すように、第2通路部材56は、左右方向に沿って延びている板状の前壁561を備えている。第2通路部材56は、前壁561の右下部に、前壁561を前後方向に貫通しており、且つ、前方に向かって開口している下球送出口52bを備えている。
図8〜図14に示すように、溢れ球通路52は、第1通路部材55の後壁551、第1通路部材55の下壁552、第1通路部材55の上壁553、及び第2通路部材56の前壁561によって囲まれた空間として、球通路ユニット50の左上端部から右下端部へ延びており、且つ、右下がりで緩やかに傾斜している通路として形成されている。図11において矢印Y4a〜Y4cに示すように、溢れ球受入口52aから受け入れられた遊技球は、右下方へ向かって流下するとともに、湾曲部551aによって、進行方向が前方へ向かう方向に変更される。そして、遊技球は、図13において矢印Y4dに示すように、下球送出口52bから送出される。
次に、払出し球通路51に関する構造について説明する。
図11及び図12に示すように、第1通路部材55の上壁553は、左上端部に、前方傾斜部553aを備えている。前方傾斜部553aの上面は、前下がりで緩やかに下るように延びている前方傾斜面553bである。上壁553は、前方傾斜面553bの右端部において、上方に向かって延びている内壁553cを備えている。
図13及び図14に示すように、第2通路部材56は、前壁561の左上端部において、前壁561を前後方向に貫通している上球送出口51bを備えている。第2通路部材56は、上球送出口51bの上方において、前壁561から後方に向かって延びている天壁562を備えている。第2通路部材56は、上球送出口51bの右方において、前壁561から後方に向かって延びている右壁563を備えている。第1通路部材55と第2通路部材56とを組み付けた状態において、右壁563は、内壁553cよりも右側(外側)に配置される。第2通路部材56は、左右方向における天壁562のほぼ中央であって、天壁562の下面から下方に向かって延びている仕切り壁564を備えている(図14に示す)。
図8〜図14に示すように、払出し球通路51は、第1通路部材55の前方傾斜部553a、第1通路部材55の内壁553c、第2通路部材56の天壁562、及び第2通路部材56の仕切り壁564によって囲まれた空間として、前後方向に沿って延びており、且つ、前下がりで緩やかに傾斜している通路として形成されている。払出し球受入口51aは、第1通路部材55の前方傾斜部553a、第1通路部材55の内壁553c、第2通路部材56の天壁562、及び第2通路部材56の仕切り壁564によって囲まれるようにして形成されている。図8〜図10において矢印Y5a,Y5bに示すように、払出し球受入口51aから受け入れられた遊技球は、前方へ向かって流下するとともに、上球送出口51bから送出される。
次に、ファール球通路53に関する構造について説明する。
ここで、ファール球通路53の概略について説明する。
図11及び図14に示すように、本実施形態において、ファール球通路53は、第1通路部材55と第2通路部材56とに跨るように形成されており、全体として、下方へ下りながら、右回りで略螺旋状に延びている通路である。ファール球通路53は、第1通路部材55側に形成されている部分であって、ファール球受入口53aから最初に遊技球を受け入れる第1通路部531を備えている。第1通路部531は、左右方向に沿って延びているとともに、底面531aが右下がり且つ前下がりで緩やかに傾斜している通路である。第1通路部531は、受け入れた遊技球を右下方に向かって案内する。
ファール球通路53は、第2通路部材56側に形成されている部分であって、第1通路部531から遊技球が流入可能に構成された第2通路部532を備えている。第2通路部532は、第1通路部531の前方において、左右方向に沿って延びているとともに、底面532aが左下がりで緩やかに傾斜している通路である。第2通路部532は、第1通路部531から受け入れた遊技球を左下方に向かって案内する。
ファール球通路53は、第2通路部材56側に形成されている部分であって、第2通路部532から遊技球が流入可能に構成された第3通路部533を備えている。第3通路部533は、後方に向かって屈曲しているとともに、底面533bが後下がりで緩やかに傾斜している通路である。第3通路部533は、第2通路部532から受け入れた遊技球を後方に向かって案内する。
第3通路部533は、該第3通路部533の後端部において、溢れ球通路52に開口している。溢れ球通路52における第3通路部533の開口部を、連結口533aと示す。本実施形態の球通路ユニット50において、第3通路部533を通過した遊技球は、溢れ球通路52に流入するようになっている。
したがって、溢れ球通路52のうち連結口533aよりも下流側は、第1通路部材55側に形成されている部分であって、第3通路部533から遊技球が流入可能に構成された第4通路部534として兼用されている。第4通路部534は、連結口533aから右方向に向かって延びているとともに、底面534aが右下がりで緩やかに傾斜している通路である。第4通路部534は、第3通路部533から受け入れた遊技球を右方に向かって案内する。
また、溢れ球通路52のうち連結口533aよりも下流側は、第1通路部材55側に形成されている部分であって、第4通路部534から遊技球が流入可能に構成された第5通路部535として兼用されている。第5通路部535は、前方に向かって屈曲しているとともに、底面535aが前下がりで緩やかに傾斜している通路である。第5通路部535は、第4通路部534から受け入れた遊技球を前方に向かって案内する。第5通路部535は、該第5通路部535の前端部において、球通路ユニット50(第2通路部材56)の前面側に下球送出口52bとして開口している。
次に、ファール球通路53に関する構造について説明する。
第1通路部531に関する構造について説明する。
図11に示すように、第1通路部材55の上壁553は、左右方向に沿って延びており、且つ下方に向かって湾曲している湾曲部553dを備えている。湾曲部553dの上面は、下方に向かって湾曲している湾曲面である。第1通路部材55の上壁553は、湾曲部553dの右端部に繋がっている部分であって、右前下がりで傾斜している平板状の傾斜部553eを備えている。傾斜部553eの上面は、右前下がりで傾斜している傾斜面である。傾斜部553eは、前端部から後方に向かって切り欠くように形成された凹部553fを備えている。球通路ユニット50は、上壁553の右端部から上方に向かって延びている右壁553gを備えている。右壁553gの後端部と後壁551とは繋がっている。
本実施形態において、第1通路部531は、後壁551、上壁553の湾曲部553d、上壁553の傾斜部553e、及び右壁553gによって囲まれた空間として、左右方向に沿って延びており、且つ右前下がりで緩やかに傾斜している部分として形成されている。即ち、第1通路部531の底面531aは、湾曲部553dの上面、及び傾斜部553eの上面によって形成されている。第1通路部531は、第1通路部531の右端部において、右壁553gによって前方に屈曲している。また、第1通路部531は、前方に壁となる部分が存在しておらず、前方に向かって開放されている。
第2通路部532及び第3通路部533に関する構造について説明する。
図14に示すように、第2通路部材56は、下球送出口52bの上部において、前壁561から前方に向かって膨らむように突出している膨出部565を備えている。膨出部565は、前壁565a、上壁565b、下壁565c、右壁565d、及び左壁565eを備えており、全体として左右方向に沿って延びている四角箱状の部分である。下壁565cの上面は、全体として左下がりで緩やかに傾斜しているとともに、左壁565eと繋がっている左端部においては、後下がりで緩やかに傾斜している。
第2通路部532は、膨出部565によって囲まれた空間として、左右方向に沿って延びており、且つ、左下がりで緩やかに傾斜している部分として形成されている。即ち、第2通路部532の底面532aは、下壁565cの上面によって形成されている。また、第2通路部532は、後方に壁となる部分が存在しておらず、後方に向かって開放されている。即ち、第1通路部531の前端と第2通路部532の後端とは、左右方向における略全体にわたって、前後方向に相互に連通している。
図15及び図16に示すように、上下方向において、下壁565cの上面のうち右端部は、傾斜部553eの上面のうち右端部と同じ又は略同じ高さにある。その一方で、下壁565cの上面と傾斜部553eの上面とは、下壁565cが左下がりで傾斜し、且つ傾斜部553eが左上がりで傾斜していることに伴って、左方へ向かうほど相互に離間し、段差が生じるようになっている。したがって、傾斜部553eの前端部(面)は、第2通路部532に流入した遊技球が第1通路部531へ逆流しないようにガイドするガイド部として把握することができる。
また、正面視(背面視)において、第2通路部材56側の膨出部565における下壁565cの上面と、第1通路部材55側の上壁553における傾斜部553eの下面とは、左端部において上下方向に最も離間し、右方に向かうほど近接している。即ち、本実施形態では、膨出部565における下壁565cと、傾斜部553eと、の間には、左方に向かって開口するとともに右方へ向かって延びている隙間57が形成されている。
図15及び図16において矢印Y4bや矢印Y7eに示すように、第4通路部534(溢れ球通路52)において、遊技球は、右方へ向かって流下することから、隙間57は、第4通路部534における遊技球の進行方向に沿って延びているといえる。そして、隙間57は、上流から下流側へ向かうほど、幅が狭くなっている先細りのV字型である。
また、図14に示すように、第3通路部533は、膨出部565によって囲まれた空間として、後方に向かって屈曲しており、且つ、後下がりで緩やかに傾斜している部分として形成されている。即ち、第3通路部533の底面533bは、下壁565cの上面のうち左端部によって形成されている。第2通路部532の左端と第3通路部533の右端とは、左右方向に相互に連通している。また、第3通路部533は、後方に壁となる部分が存在しておらず、連結口533aとして溢れ球通路52に開口している。また、連結口533aは、第4通路部534(溢れ球通路52)の底面534aから上方に離間した位置に設けられている。
第4通路部534に関する構造について説明する。
第4通路部534は、第1通路部材55の後壁551、第1通路部材55側の上壁553における傾斜部553e、第1通路部材55側の下壁552、及び第2通路部材56の前壁561によって囲まれた空間として、左右方向に沿って延びており、且つ、右下がりで緩やかに傾斜している部分として形成されている。即ち、第4通路部534の底面534aは、第1通路部材55側の下壁552の上面によって形成されている。第4通路部534の左上端部における前端と、第3通路部533の後端(連結口533a)とは、前後方向に相互に連通している。
第5通路部535に関する構造について説明する。
第5通路部535は、第1通路部材55側の後壁551における湾曲部551a、第1通路部材55側の上壁553における傾斜部553e、及び第1通路部材55側の下壁552によって囲まれた空間として、前方へ向かって屈曲しており、且つ、前下がりで緩やかに傾斜している部分として形成されている。即ち、第5通路部535の底面535aは、第1通路部材55側の下壁552の上面によって形成されている。第5通路部535の左端と、第4通路部534の右端とは、左右方向に相互に連通している。
球通路ユニット50は、糸状体を切断可能な第2糸切部C2を備えている。
本実施形態において、第2糸切部C2は、糸状体を切断可能な切断部としての第2糸切部材91と、第2糸切部材91を収容している糸切収容部92と、第2糸切部材91を糸切収容部92内に固定する固定部材93と、を備えている。
第2糸切部材91について説明する。
図17(a)及び(b)に示すように、第2糸切部材91は、1枚の金属板をプレス加工して形成されている。第2糸切部材91は、全体として、左右方向に沿って延びている四角板状である。第2糸切部材91は、上流側縁部911と、反対側の下流側縁部912と、を備えている。上流側縁部911は、図中において矢印Y4d,Y7fに示すように、第5通路部535内での遊技球の進行方向における上流側の縁部であり、下流側縁部912は、第5通路部535内での遊技球の進行方向における下流側の縁部である。上流側縁部911は、一方の縁部に相当し、下流側縁部912は、他方の縁部に相当する。
第2糸切部材91は、上流側縁部911から下流側縁部912側へ向かって延びている線状の切れ込み913を備えている。したがって、切れ込み913は、図中において矢印Y4d,Y7fに示すように、第5通路部535内での遊技球の進行方向に沿って延びている。本実施形態において、切れ込み913は、一方の縁部から他方の縁部側へ向かって延びている隙間に相当する。
第2糸切部材91は、切れ込み913の両側に設けられた切断刃914を備えている。切断刃914には、切れ込み913の一方の縁部に設けられた第1切断刃914aと、切れ込み913の他方の縁部に設けられた第2切断刃914bと、がある。第2切断刃914bは、切れ込み913を挟んで第1切断刃914aとは反対側にある。切断刃914a,914bは、第5通路部535内での遊技球の進行方向に沿って延在している。本実施形態において、矢印Y4d,Y7fに示す、第5通路部535内での遊技球の進行方向は、所定の方向に相当する。
切断刃914a,914bの先端部(刃先)同士の離間距離は、遊技球の直径の1倍未満であって、所定の糸状体の直径(太さ)より大きい。また、切断刃914a,914bの先端部(刃先)同士の離間距離は、上流側縁部911から下流側縁部912側へ向かって小さくなっている。切断刃914a,914bは、切れ込み913における下流側縁部912よりの端部において繋がっている。したがって、切断刃914は、第5通路部535内での遊技球の進行方向における上流から下流側へ向かうほど、切断刃914a,914bの先端部(刃先)同士が接近する先細りのV字型である。
第2切断刃914bは、上方に向かって屈曲する屈曲部915を備えている。屈曲部915は、縁部911,912に沿って延びている。したがって、第2糸切部材91は、第1切断刃914a及び第2切断刃914bのうち、一方である第2切断刃914bを他方の切断刃の板面と直交する方向に沿って曲げることで形成されている。なお、第2糸切部材91は、第1切断刃914aを曲げて形成されていてもよく、切断刃914a,914bの両方を曲げて形成されていてもよい。
図18に示すように、第2糸切部材91は、第1切断刃914aにおける上流側縁部911のうち切れ込み913側の角部を、上流側縁部911及び切れ込み913に対して斜めに切り落とすようにして形成された左案内部911aを備えている。第2糸切部材91は、第2切断刃914bにおける上流側縁部911のうち切れ込み913側の角部を、上流側縁部911及び切れ込み913に対して斜めに切り落とすようにして形成された右案内部911bを備えている。
平面視において、左案内部911aが延びている方向と、右案内部911bが延びている方向とは、交差部911cにおいて交差している。正面視において、案内部911a,911bは、第5通路部535内での遊技球の進行方向における上流から下流側へ向かうほど相互に接近する先細りのV字型に配置されている。上述した切れ込み913は、上流側縁部911のうち交差部911cを含む部分から延びているといえる。
糸切収容部92について説明する。
図17(a)及び(b)に示すように、本実施形態の糸切収容部92は、膨出部565の下壁565cと一体に形成されている。膨出部565の下壁565cは、下壁565cの前端部(前端面)565c1に開口し、且つ、下壁565cの内部を、該下壁565cの前端部565c1から後端部565c2側に向かってくり抜くようにして形成された略四角箱状の収容部921を備えている。収容部921は、第2糸切部材91を収容するための収容空間921aを形成している。
図18に示すように、膨出部565の下壁565cは、一方の縁部としての後端部565c2から、他方の縁部としての前端部(前端面)565c1側へ向かって切り欠くようにして形成されたスリット922を備えている。スリット922は、下壁565cのうち、内部に収容部921が形成された部分を厚さ方向に貫通している。ここで、下壁565cの後端部565c2は、図中において矢印Y4d,Y7fに示すように、第5通路部535内での遊技球の進行方向における上流側の端部であり、下壁565cの前端部565c1は、第5通路部535内での遊技球の進行方向における下流側の端部である。したがって、スリット922は、第5通路部535内での遊技球の進行方向に沿って延びている。
スリット922を挟んで相互に向かい合う下壁565cの縁部565c3,565c3の離間距離(スリット922の幅)は、遊技球の直径の1倍未満であって、所定の糸状体の直径(太さ)よりも長い。また、スリット922を挟んで相互に向かい合う下壁565cの縁部565c3,565c3は、第5通路部535内での遊技球の進行方向における上流から下流側へ向かうほど相互に接近する先細りのV字型に配置されている。したがって、本実施形態のスリット922は、第5通路部535内での遊技球の進行方向(所定の方向)における一方の縁部から他方の縁部側に延在している開口部に相当する。
膨出部565の下壁565cは、後端部565c2のうちスリット922の右側部分に、後方に向かって突出している四角板状の突出片565c4を備えている。突出片565c4の左側面と、スリット922における左側の内面(右側の縁部565c3の先端面)とは、連続する平面を形成している。また、膨出部565の下壁565cは、後端部565c2のうちスリット922の左側部分に、当該部分を斜めに切り落とすようにして形成された誘導面565c5を備えている。誘導面565c5は、後下がりに傾斜しており、且つ、右方へ向かうほど後方から前方へ向かうように傾斜している。
収容部921は、該収容部921の底面のうちスリット922の右側部分に、第2糸切部材91のうち第2切断刃914bを支持する支持台部921bを備えている。支持台部921bは、前後方向に沿って延びている壁状の部分であって、収容空間921aに突出している。支持台部921bの上面は、第2切断刃914bの下面と接する支持面であるとともに、該支持面は、前下がりで傾斜している。
本実施形態において、収容部921は、スリット922が下壁565cを貫通していることによって、第4通路部534及び第5通路部535に開口している。このため、第2糸切部材91が収容空間921aに収容されている状態において、切断刃914a,914bは、第4通路部534の下流側の端部であって、且つ、第5通路部535の上流側の端部において、スリット922から、これら通路部534,535に露出している。また、第2糸切部材91が収容空間921aに収容されている状態において、案内部911a,911bは、スリット922から、通路部534,535に露出している。また、第1通路部材55と第2通路部材56とを組み付けた状態において、第2通路部材56側にある突出片565c4は、第1通路部材55側にある傾斜部553eの凹部553fに嵌め込まれている。
固定部材93について説明する。
固定部材93は、糸切収容部92(収容空間921a)に差し込まれた状態において、収容空間921aの底面と固定部材93との間で第2糸切部材91を固定するための部材である。固定部材93は、平面視において略四角形である板状の部材である。固定部材93は、上流側縁部931と、反対側の下流側縁部932と、を備えている。上流側縁部931は、図中において矢印Y4d,Y7fに示すように、第5通路部535内での遊技球の進行方向における上流側の縁部であり、下流側縁部932は、第5通路部535内での遊技球の進行方向における下流側の縁部である。
固定部材93は、上流側縁部931から下流側縁部932側へ向かって延びているとともに、且つ、固定部材93を上下方向(厚さ方向)に貫通しているスリット933を備えている。したがって、スリット933は、第5通路部535内での遊技球の進行方向に沿って延びている。スリット933を挟んで相互に向かい合う縁部933a,933aは、第5通路部535内での遊技球の進行方向における上流から下流側へ向かうほど相互に接近する先細りのV字型に配置されている。固定部材93は、下面のうちスリット933の右側部分に、前下がりで傾斜している傾斜面934を備えている。
固定部材93が糸切収容部92に差し込まれている状態において、第1切断刃914aは、固定部材93の下面のうちスリット933の左側部分と、糸切収容部92における収容空間921aの底面との間に挟まれている。固定部材93が糸切収容部92に差し込まれている状態において、第2切断刃914bは、固定部材93の傾斜面934と、糸切収容部92における支持台部921bの上面(支持面)との間に挟まれている。これにより、本実施形態の第2糸切部材91は、屈曲部915において曲げられた状態を維持したまま、糸切収容部92内に保持されている。
固定部材93が糸切収容部92に差し込まれている状態では、平面視において、糸切収容部92のスリット922と、固定部材93のスリット933とが整合一致している。このため、第2糸切部材91が収容空間921aに収容されており、且つ、固定部材93によって固定されている状態において、第2糸切部材91の切断刃914a,914bは、ファール球通路53の通路部534,535に露出している。また、固定部材93によって固定されている状態において、第2糸切部材91の案内部911a,911bは、ファール球通路53の通路部534,535に露出している。また、第5通路部535内での遊技球の進行方向に沿ったスリット922の長さは、第5通路部535内での遊技球の進行方向に沿った切れ込み913(切断刃914a,914b)の長さよりも長い。したがって、本実施形態では、糸状体を切断可能な部分の全体がファール球通路53の通路部534,535に露出する。また、糸切収容部92(下壁565c)は、第2糸切部材91の一部を被覆する被覆部に相当する。
以上のように、切断刃914(切断刃914a,914b)を有する第2糸切部材91は、ファール球通路53(通路部534,535)に臨むように設けられている。換言すれば、第2糸切部材91は、球送りユニット70から供給され発射装置32から発射された遊技球が遊技領域61に到達することなくファール球として上球皿432へ返却される迄の球通路に臨むように設けられているといえる。
本実施形態の固定部材93は、糸切収容部92に対して挿抜が可能に構成されている。したがって、例えば、第2糸切部材91を交換したり、メンテナンスが容易にできる。なお、固定部材93は、糸切収容部92に対して挿抜が不能に固定されていてもよい。例えば、固定部材93は、糸切収容部92に対して、ネジや接着剤などによって固定されているとよい。
次に、ファール球通路53における遊技球YKの流下態様について説明する。
図11、及び図14〜図16に示すように、ファール球としての遊技球YKは、落下領域63aからファール球受入口53aに流入する(矢印Y2に示す)。ファール球受入口53aから流入した遊技球は、ファール球通路53のうち第1通路部531によって受け入れられるとともに、右下方へ流下する(矢印Y7aに示す)。第1通路部531の右下端部に到達した遊技球は、右壁553gによって前方へ案内され、第2通路部532の右上端部に流入する(矢印Y7bに示す)。第2通路部532の右上端部に流入した遊技球は、第2通路部532内を左下方へと流下し、第3通路部533に流入する(矢印Y7cに示す)。第3通路部533に流入した遊技球は、該第3通路部533によって後方へと案内され、第4通路部534の左上端部に流入する(矢印Y7dに示す)。第3通路部533の連結口533aから第4通路部534へと流入した遊技球は、第4通路部534内を右下方へと流下し、第5通路部535に流入する(矢印Y7eに示す)。第5通路部535に流入した遊技球は、該第5通路部535によって前方へと案内され、下球送出口52bに到達する(矢印Y7fに示す)。このように、遊技領域61に到達しなかった遊技球YKは、ファール球通路53によって下球皿435へ返却されるようになっている。
以上のように、本実施形態のファール球通路53は、所定の軸線としての螺旋軸RCのまわりを旋回しながら下方に向かって延びている螺旋状の通路である。そして、ファール球通路53内において、遊技球は、螺旋軸RCのまわりを旋回しながら下方に向かって流下するようになっている。本実施形態において、第4通路部534及び第5通路部535は、遊技球の進行方向を右方向から前方向へと変更する変更部に相当する。即ち、本実施形態において、右方向が第1方向に相当し、前方向が第2方向に相当する。そして、本実施形態の第2糸切部C2は、螺旋軸RC上、又は螺旋軸RCの近傍に設けられている。即ち、切断刃914a,914bは、螺旋軸RC上、又は螺旋軸RCの近傍に開口しているといえる。
次に、遊技球YKに糸状体ITが接続されている場合であって、該糸状体ITが接続された遊技球YKがファール球通路53を流下するときの、糸状体ITの移動態様について説明する。例えば、糸状体は、天然繊維や合成繊維からなる単糸又は撚糸であってもよく、ピアノ線のような金属線であってもよい。
図19に示すように、ファール球受入口53aに落下した遊技球YKは、ファール球通路53内を位置P7a→P7b→P7c→P7d→P7e→P7fの順に、螺旋状に流下する。なお、位置P7fは、位置P7eの前方にある。図中において矢印Y8aに示すように、糸状体ITは、遊技球YKが第2通路部532を流下することに伴って、傾斜部553eの前方を位置P7bから位置P7cへと、左方に向かって牽引され、移動する。図中において矢印Y8bに示すように、糸状体ITは、遊技球YKが位置P7cからP7dへと、第3通路部533内を後方に向かって流下し、さらに第4通路部534に流入することに伴って、下方へ向かって牽引され、傾斜部553eと下壁565cとの隙間57に入り込む。
図中において矢印Y8cに示すように、糸状体ITは、遊技球YKが位置P7dから位置P7eへと、第4通路部534内を右方に向かって流下することに伴って、右方へ向かって牽引され、第2糸切部C2のうち、切断刃914が露出している部分の近傍へと移動する。このとき、糸状体ITは、遊技球YKが平面視において傾斜部553eの先端部よりも後方に位置していることから、左右方向に沿って延びている傾斜部553eの先端部に沿って、右方へと移動する。即ち、本実施形態の傾斜部553e(前端部)は、遊技球YKに糸状体ITが接続されていると仮定した場合、遊技球がファール球通路53を進行するときに、該遊技球YKに接続された糸状体ITを第2糸切部C2へ案内可能に構成されているといえる。したがって、傾斜部553e(前端部)は、糸状体ITを案内する案内部に相当する。そして、傾斜部553eは、ファール球通路53の壁部の一部であることから、案内部のうち第1案内部に相当する。案内部として機能する傾斜部553eの先端部は、糸状体を螺旋軸RC側に向かって案内しているともいえる。
図18及び図19において、矢印Y8dに示すように、糸状体ITは、遊技球YKが位置P7eから位置P7fへと、第5通路部535内を前方に向かって流下することに伴って、前方に向かって牽引され、第1切断刃914aと第2切断刃914bとの間に入り込む。
詳しく説明すると、図18に示すように、糸状体ITは、まずスリット922,933に入り込む。このとき、糸状体ITは、スリット922の左側にある誘導面565c5によって、スリット922,933へと滑らかに案内される。また、図中において矢印Y8cに示すように、傾斜部553eに沿った糸状体ITの進行方向の前方にある突出片565c4によって、糸状体ITが左方向へとスリット922,933を通り過ぎてしまうことが規制されている。
そして、スリット922,933に入り込んだ糸状体ITは、第1切断刃914aに設けられた左案内部911a、及び第2切断刃914bに設けられた右案内部911bによって、第1切断刃914aと第2切断刃914bの隙間(切れ込み913)に案内される。即ち、案内部911a,911bは、遊技球YKに糸状体ITが接続されていると仮定した場合、遊技球がファール球通路53を進行するときに、該遊技球YKに接続された糸状体ITを第2糸切部C2のなかでも切断刃914a,914bへ案内可能に構成されているといえる。したがって、案内部911a,911bは、糸状体ITを案内する案内部に相当する。そして、案内部911a,911bは、第2糸切部材91の一部であることから、案内部のうち第2案内部に相当する。
そして、糸状体ITは、図中において矢印Y4d,Y7fに示す方向へと遊技球が進行することに伴って、先細りのV字形に配置された切断刃914a,914bの間に深く入り込み、最終的に切断刃914a,914bによって切断される。仮に、遊技球YKによる糸状体ITの牽引だけでは、糸状体ITが切断されなかった場合であっても、不正な遊技者が糸状体を前方に引き寄せたときに、糸状体ITが切断されるようになっている。
次に、パチンコ遊技機10の電気的構成について説明する。
パチンコ遊技機10は、遊技盤60の後側に、図示しない主制御基板を備えている。主制御基板は、演算ユニットとメモリを備えている。主制御基板の演算ユニットは、メモリに記憶されたプログラムを実行することで各種の処理を行い、該処理の結果に応じたコマンド(制御情報)を主制御基板から出力させる。
また、パチンコ遊技機10は、遊技盤60の後側に、副制御基板を備えている。副制御基板は、演算ユニットとメモリを備えている。副制御基板の演算ユニットは、メモリに記憶されたプログラムを実行することで、主制御基板から入力したコマンドに基づいて所定の演出を実行させる制御を行う。例えば、副制御基板の演算ユニットは、パネルユニット42,43による発光演出、スピーカユニット45,46による音声演出、演出表示ディスプレイ65による表示演出を実行させる。
本実施形態において、パネルユニット42,43は、発光演出手段として、スピーカユニット45,46は、音声演出手段として、演出表示ディスプレイ65は、表示演出手段として把握できる。即ち、本実施形態では、パネルユニット42,43、スピーカユニット45,46、及び演出表示ディスプレイ65は、1又は複数の演出手段から構成された演出実行手段として把握できる。
パチンコ遊技機10は、遊技盤60の後側に、発射制御基板69を備えている。発射制御基板69は、発射ハンドル481と接続されている。発射制御基板69は、発射ハンドル481がその操作量に応じて出力する操作信号を入力可能に構成されている。
発射制御基板69は、球送りユニット70の電磁石79と接続されている。発射制御基板69は、電磁石79の通電状態を制御可能に構成されている。発射制御基板69は、発射装置32のモータ327と接続されている。発射制御基板69は、モータ327に対して所定の信号を出力することによって、モータ327を駆動させ、ハンマー部材326を打撃姿勢P2aと初期姿勢P2bとに動作させることが可能である。
発射制御基板69は、発射ハンドル481から操作信号を入力すると、モータ327を制御し、単位時間あたりの発射数が所定数(例えば、100球/分)となるように、ハンマー部材326を打撃姿勢P2aと初期姿勢P2bとに交互に繰り返し動作させる。また、発射制御基板69は、入力した操作信号から特定可能な操作量に対応した強度で遊技球が発射されるように、モータ327を制御する。また、発射制御基板69は、発射ハンドル481から操作信号を入力すると、ハンマー部材326による打撃動作と連動させるように、電磁石79を通電状態と非通電状態とに切り替えるように制御し、遊技球を球送りユニット70から発射装置32へと1球ずつ供給する。発射制御基板69は、発射ハンドル481から操作信号を入力しなくなると、モータ327を制御し、遊技球の発射を停止させる。発射制御基板69は、発射ハンドル481から操作信号を入力しなくなると、電磁石79を制御し、遊技球の供給を停止させる。
したがって、本実施形態のパチンコ遊技機10は、次の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ファール球通路53には、糸状体を切断可能な第2糸切部材91が臨んでおり、さらに、傾斜部553eの先端部は、糸状体が接続された遊技球がファール球通路53内を進行するときに、糸状体を第2糸切部材91へ案内可能に構成されている。したがって、特定の手順を踏むゴト行為が行われたとしても、糸状体を切断することができる。
ここで、特定の手順としては、次のようなことが考えられる。例えば、2つの遊技球を糸状体で接続した状態にて、1つめの遊技球をごく弱く打ち出すことで、意図的にファール球とする。このとき、糸状体は、第1糸切部材86の切断刃864に接触しても切断までは至らず、切断刃864a,864bに挟まった状態となる可能性がある。この状態のまま、2つめの遊技球を打ち出した場合には、2つめの遊技球が遊技領域61に到達したとしても、糸状体は切断刃864からはずれるだけであって、切断されない状況が発生し得る。その後、ゴト行為を行う者は、ファール球として返却された1つめの遊技球から糸状体を回収し、該糸状体を操作することが可能である。
本実施形態では、ファール球通路53に臨んでいる第2糸切部材91と、糸状体を第2糸切部材91へ案内可能な案内部と、を備えることで、糸状体を切断可能である。したがって、本実施形態では、上記のようなゴト行為を抑制できる。
(2)本実施形態によれば、遊技球の進行方向を変更する変更部を構成している第4通路部534に、案内部となる傾斜部553eの先端部を設けてあることから、該変更部において、糸状体を第2糸切部材91へ案内することが可能になる。
(3)本実施形態によれば、第2糸切部材91における切断刃914a,914bの先端部同士の離間距離は、第2糸切部材91の上流側縁部911から下流側縁部912側へ向かって小さくなっていることから、切断刃914a,914bの間に入った糸状体を切断し易くできる。
(4)本実施形態によれば、第2切断刃914bを他方の第1切断刃914aの板面と直交する方向に沿って曲げることにより、第2糸切部材91が形成されていることから、切断刃914a,914bの間に入った糸状体をさらに切断し易くできる。
(5)本実施形態によれば、糸切収容部92(下壁565c)によって、第2糸切部材91が被覆されており、スリット922において切断刃914a,914bが露出していることから、作業者が誤って切断刃914a,914bに触れてしまうことを抑制できる。
(6)本実施形態によれば、傾斜部553eの先端部によって糸状体を第2糸切部材91へと案内し、さらに第2糸切部材91に設けられた案内部911a,911bによって、糸状体を切断刃914a,914bへと案内する。したがって、糸状体を切断し易くできる。
(7)本実施形態によれば、スリット922の長さは切れ込み913(切断刃914a,914b)の長さよりも長いことから、糸状体が糸切収容部92に接触して切断し難くなることを抑制できる。
(8)本実施形態によれば、切断刃914a,914bは、第2糸切部材91が臨むように設けられた部分よりも下流側である第5通路部535内での遊技球の進行方向に沿って延びていることから、切断刃914a,914bの間に入った糸状体を切断し易くできる。
(9)本実施形態によれば、ファール球通路53は螺旋状の通路である。螺旋状の通路を流下する際には、遊技球に接続された糸状体が螺旋軸RC(旋回中心)へと集まり易くなる。そして、この旋回中心となる螺旋軸RCの軸線上、又はその近傍に第2糸切部材91を設けることで、糸状体を容易に切断できる。
(10)本実施形態によれば、ファール球通路53と溢れ球通路52とは一部が兼用されている。したがって、球通路が複雑化することを抑制できる。
(11)本実施形態によれば、第1糸切部C1によって、遊技球の発射時に糸状体を切断できることに加えて、第2糸切部C2によって、ファール球とされた遊技球に接続された糸状体を切断できる。したがって、パチンコ遊技機10に対する不正行為を効果的に抑制できる。
(12)本実施形態によれば、第2糸切部材91は、第1下払出口435bに隣接している第5通路部535に臨むように設けられている。下球皿435に返却された遊技球から糸状体を回収し、該糸状体を牽引して操作しようとする場合、糸状体は、第5通路部535が延びている方向(前後方向)に沿って移動する。前述のように、切断刃914a,914bは、第5通路部535が延びている方向(前後方向)に沿って延びている。したがって、糸状体が牽引された場合にも、効果的に糸状態を切断できる。
(13)本実施形態によれば、スリット922の幅は、遊技球の直径よりも短く、且つ、糸状体の直径(太さ)よりも長い。このため、遊技球がスリット922の中に入り込んで第2糸切部材91に接触することがない。したがって、切断刃914a,914bを保護できる。
(14)本実施形態によれば、切断刃914a,914bの開口部は、遊技球の直径よりも小さく、且つ、糸状体の直径(太さ)よりも大きい。このため、切断刃914a,914bの間に遊技球が入り込むことによって、糸状体が切断できなくなることを抑制することができる。
例えば、上記実施形態は、次のように別の実施形態に変更してもよい。
・糸切部材86,91のうち一方又は両方は、複数の金属板を組み合わせて形成されていてもよい。この場合、糸切部材86,91は、第1切断刃914aを有する第1金属板と、第2切断刃914bを有する第2金属板とを重ね合わせることで形成するとよい。本別例によれば、切断刃を有する金属板を重ね合わせることで、簡便に第1糸切部材86や第2糸切部材91を形成できる。
・糸切部材86,91の形状は適宜変更してもよい。例えば、第2糸切部材91は、第1糸切部材86と同形状であってもよい。
・第2糸切部材91は、その全体がファール球通路53に露出していてもよい。即ち、第2糸切部材91は、被覆部に覆われていなくてもよい。この場合、第2糸切部材91は、第1糸切部材86と同様に、ファール球通路53の内壁面と、ネジなどの固定手段によって固定されているとよい。
・第2糸切部材91の切れ込み913は、線状である必要はなく、所定の幅を有していてもよい。例えば、切断刃914a,914bの先端部同士の離間距離は、遊技球の直径の1倍以上であってもよい。
・糸切部材86,91の一方又は両方は、第1切断刃914a及び第2切断刃914bのうち一方を省略してもよい。この場合であっても、切断刃が十分に鋭利であれば、糸状体を切断できる。
・パチンコ遊技機10は、第1糸切部C1を備えていなくてもよい。また、第1糸切部C1は、発射装置32側に設けられていてもよい。
・第2糸切部C2の配設位置は、ファール球通路53内であれば適宜変更してもよい。即ち、ファール球通路53に第2糸切部材91が臨むように設けられておればよい。
・第2糸切部C2において、案内部911a,911b、突出片565c4、誘導面565c5、及び支持台部921bのうちの一部又は全部は、省略してもよい。
・第2糸切部C2において、固定部材93は、省略してもよい。この場合、第2糸切部材91は、糸切収容部92に対して、ネジや接着剤などによって固定されているとよい。
・ファール球通路53は、螺旋状の通路でなくてもよい。例えば、ファール球通路53は、ファール球受入口53aと、第4通路部534の左端部(上流側端部)とを繋いでいる第6通路部と、上述した通路部534,535と、から構成された通路であってもよい。この場合、ファール球通路53は、全体として略L字型の通路となる。
・パチンコ遊技機10は、落下領域63aとファール球受入口53aとを繋いでいる球通路を備えていてもよい。
・ファール球通路53は、他の球通路と兼用されていなくてもよい。即ち、ファール球通路53は、全体が専用通路であってもよい。
・球通路ユニット50は、払出し球通路51及び溢れ球通路52のうち一方又は両方を備えていなくてもよい。
・球通路ユニット50は、下球皿435に貯留されている遊技球が所定量を超えていることを検知するための満杯センサを備えていてもよい。例えば、満杯センサは、溢れ球通路52に滞留している遊技球の自重によって押し込まれるスイッチであってもよい。
・球通路ユニット50は、中枠体30に取り付けられていてもよい。
・パチンコ遊技機10は、下球皿435を備えていなくてもよい。この場合、ファール球通路53は、上払出口432bに繋がっているとよい。
以下に示す技術的思想は、上記実施形態から把握できる。
(イ)前記切断部は、一方の縁部から他方の縁部側へ向かって延びている隙間を備え、前記切断刃は、前記隙間の一方の縁部に設けられた第1切断刃と、前記隙間の他方の縁部に設けられた第2切断刃と、を含み、前記第1切断刃と前記第2切断刃の先端部同士の離間距離は、前記一方の縁部から他方の縁部側へ向かって小さくなっている。
(ロ)前記特定の球通路は、遊技球の進行方向を第1方向から前記第1方向とは異なる第2方向に変更する変更部を有しており、前記案内部は、前記変更部に設けられている。