まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機を正面から見た正面図である。図2は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。尚、以下において、図1の手前側をパチンコ遊技機1の前方(前面、正面)側、奥側を背面(後方)側として説明する。尚、本実施例におけるパチンコ遊技機1の前面とは、該パチンコ遊技機1にて遊技を行う遊技者と対向する対向面である。
図1は、本実施例におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤2(ゲージ盤2ともいう)と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠3とから構成されている。遊技盤2には、外レール2b及び内レール2c(図3参照)によって囲まれた正面視略円形状の遊技領域10が形成されている。この遊技領域10には、遊技媒体としての遊技球Pが、後述する発射装置400(打球発射装置ともいう)から発射されて打ち込まれる。
また、遊技機用枠3には、透明板を有する上部扉枠50と、上部扉枠50の下方に設けられる下部扉枠51とが左側辺を中心として回動可能に設けられている。上部扉枠50は、遊技機用枠3における遊技盤2に対応する部分を開閉できるようになっており、上部扉枠50を閉鎖したときに透明板を通して遊技領域10を透視できるようになっている。また、下部扉枠51は、遊技機用枠3における遊技盤2の下方領域に対応する部分を開閉できるようになっている。
図1及び図3に示すように、遊技盤2は、ベニヤ板等の非透光性部材にて正面視略四角形状に構成される盤面板を有し、該盤面板の前面である遊技盤面に取付けられた外レール2bにより囲まれた正面視略円形状の領域が遊技領域10とされている。尚、本実施例では、遊技盤2はベニヤ板にて構成されていたが、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂等の透明な合成樹脂材にて形成され、前面である遊技盤面に障害釘(図示略)等が植設される盤面板(図示略)と、該盤面板の背面側に一体的に取付けられるスペーサ部材(図示略)と、から構成されていてもよい。
遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域10の右側下部位置)には、第1特別図柄表示器4Aと、第2特別図柄表示器4Bとが設けられている。第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはそれぞれ、変動表示ゲームの一例となる特図ゲームにおいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(特別識別情報)である特別図柄(「特図」ともいう)が、変動可能に表示(変動表示または可変表示ともいう)される。以下では、第1特別図柄表示器4Aにおいて変動表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示器4Bにおいて変動表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。
遊技盤2における遊技領域10の中央付近には、演出表示装置5が設けられている。演出表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。演出表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示器4Aによる第1特図の変動表示や第2特別図柄表示器4Bによる第2特図の変動表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の変動表示部となる演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である演出図柄が変動表示される。この演出図柄の変動表示も、変動表示ゲームに含まれる。
遊技盤2における遊技領域10の中央付近には、演出表示装置5が設けられている。演出表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。演出表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示器4Aによる第1特図の変動表示や第2特別図柄表示器4Bによる第2特図の変動表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の変動表示部となる演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である演出図柄が変動表示される。この演出図柄の変動表示も、変動表示ゲームに含まれる。
このように、演出表示装置5の表示領域では、第1特別図柄表示器4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム、または、第2特別図柄表示器4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームと同期して、各々が識別可能な複数種類の演出図柄の変動表示を行い、変動表示結果となる確定演出図柄(最終停止図柄)を導出表示する。
演出表示装置5は、遊技盤2よりも背面側に配設され、該遊技盤2に形成された開口2dを通して視認できるようになっている。尚、遊技盤2における開口2dには枠状のセンター飾り枠52が設けられている。
演出表示装置5の表示領域の下部の左右2箇所には、第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uが設定されている。第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uでは、特図ゲームに対応した変動表示の保留記憶数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。
ここで、特図ゲームに対応した変動表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を、遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生する。すなわち、特図ゲームや演出図柄の変動表示といった変動表示ゲームを実行するための始動条件(「実行条件」ともいう)は成立したが、先に成立した開始条件に基づく変動表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていることなどにより、変動表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する変動表示の保留が行われる。
図1に示す例では、第1特別図柄表示器4A及び第2特別図柄表示器4Bの上方位置に、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示する。第2保留表示器25Bは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。
演出表示装置5の下方には、普通入賞球装置6Aと、普通可変入賞球装置6Bとが設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば所定の球受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、図2に示す普通電動役物用となるソレノイド81によって、垂直位置となる通常開放状態と傾動位置となる拡大開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する電動チューリップ型役物(普通電動役物)を備え、始動領域(第2始動領域)としての第2始動入賞口を形成する。
普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図2に示す第1始動口スイッチ22Aによって検出される。普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図2に示す第2始動口スイッチ22Bによって検出される。第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第1始動条件が成立する。第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第2特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第2始動条件が成立する。
普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bの下方位置には、特別可変入賞球装置7が設けられている。特別可変入賞球装置7は、図2に示す大入賞口扉用となるソレノイド82によって開閉駆動される大入賞口扉を備え、その大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成する。このように、特定領域としての大入賞口は、遊技球が通過(進入)しやすく遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過(進入)できない(または通過(進入)しにくい)遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する。
大入賞口を通過(進入)した遊技球が図2に示すカウントスイッチ23によって検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。従って、特別可変入賞球装置7において大入賞口が開放状態となれば、その大入賞口に遊技球が進入可能となり、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置7において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることが不可能または困難になり、遊技者にとって不利な第2状態となる。
第2保留表示器25Bの上方位置には、普通図柄表示器20が設けられている。一例として、普通図柄表示器20は、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bと同様に7セグメントやドットマトリクスのLED等から構成され、特別図柄とは異なる複数種類の識別情報である普通図柄(「普図」あるいは「普通図」ともいう)を変動可能に表示(変動表示)する。このような普通図柄の変動表示は、普図ゲーム(「普通図ゲーム」ともいう)と称される。
普通図柄表示器20の上方には、普図保留表示器25Cが設けられている。普図保留表示器25Cは、例えば4個のLEDを含んで構成され、通過ゲート41を通過した有効通過球数としての普図保留記憶数を表示する。
尚、通過ゲート41の下方には、一般入賞口29a、29bが設けられている。これら一般入賞口29a,29bに入賞した遊技球は、例えば、図2に示す一般入賞スイッチ30にて検出される。一般入賞スイッチ30にて遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば10個)の遊技球が賞球として払い出される。
遊技盤2の表面には、上記の構成以外にも、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車及び多数の障害釘が設けられている。遊技領域の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取込まれるアウト口が設けられている。
遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L,8Rが設けられており、更に遊技領域周辺部には、遊技効果LED9が設けられている。パチンコ遊技機1の遊技領域における各構造物(例えば普通入賞球装置6A、普通可変入賞球装置6B、特別可変入賞球装置7等)の周囲には、装飾用LEDが配置されていてもよい。遊技機用枠3の右下部位置には、遊技媒体としての遊技球を遊技領域に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル60(操作ノブ)が設けられている。例えば、打球操作ハンドル60は、遊技者等による操作量(回転量)に応じて遊技球の弾発力を調整する。打球操作ハンドル60には、発射装置400が備える発射モータの駆動を停止させるための単発発射スイッチや、打球操作ハンドル60に手が接触していることを検出するタッチリング(タッチセンサ)等が設けられていればよい。
遊技領域10の下方における遊技機用枠3の所定位置には、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、発射装置400へと供給可能に保持(貯留)する上皿70(打球供給皿)が設けられている。遊技機用枠3の下部には、上皿70から溢れた余剰球や、発射装置400により打ち出されたが遊技領域10に到達しなかったファール球としての遊技球などを、パチンコ遊技機1の外部へと排出可能に保持(貯留)する下皿71が設けられている。
下皿71を形成する部材には、例えば下皿71本体の上面における手前側の所定位置(例えば下皿71の中央部分)などに、遊技者が把持して傾倒操作が可能なスティックコントローラ31Aが取付けられている。また、スティックコントローラ31Aの下部における下皿71の本体内部などには、操作桿に対する傾倒操作を検出するコントローラセンサユニット35Aが設けられていればよい。
上皿70を形成する部材には、例えば上皿70本体の上面における手前側の所定位置(例えばスティックコントローラ31Aの上方)などに、遊技者が押下動作などにより所定の指示操作を可能なプッシュボタン31Bが設けられている。プッシュボタン31Bの設置位置における上皿70の本体内部などには、プッシュボタン31Bに対してなされた遊技者による押下動作を検出するプッシュセンサ35Bが設けられていればよい。尚、本実施例では、上皿70や下皿71などを形成する部材は下部扉枠51に設けられており、下部扉枠51を開放することによって、後述する発射装置400や後述する通路ユニット600を開放させることができるようになっている。
次に、パチンコ遊技機1の回路構成について説明する。パチンコ遊技機1には、例えば図2に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、LED制御基板14、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板15、発射装置400や遊技球を払い出す球払出装置97などに接続された払出制御基板37、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板などといった、各種の基板が配置されている。
主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板11は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板12などからなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能などを備えている。また、主基板11は、第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bを構成する各LED(例えばセグメントLED)などの点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の変動表示を制御することや、普通図柄表示器20の点灯/消灯/発色制御などを行って普通図柄表示器20による普通図柄の変動表示を制御することといった、所定の表示図柄の変動表示を制御する機能も備えている。また、主基板11には、例えば遊技制御用マイクロコンピュータ100や、スイッチ回路110、ソレノイド回路111などが搭載されている。
図2に示すように、主基板11には、通過ゲート41を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23からの検出信号を伝送する配線が接続されている。また、第1特別図柄表示器4A、第2特別図柄表示器4B、普通図柄表示器20、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普図保留表示器25Cなどの表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されている。
主基板11から演出制御基板12に向けて伝送される制御信号は、例えば電気信号として送受信される演出制御コマンドである。演出制御コマンドには、例えば、演出図柄の変動時間及びリーチ演出の種類や擬似連の有無等の変動態様を示す変動パターンを示す変動パターン指定コマンド等が含まれている。
主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM101(ReadOnlyMemory101)と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM102(RandomAccessMemory102)と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU103(CentralProcessingUnit103)と、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路104と、I/O105(Input/Outputport105)と、を備えて構成される。一例として、遊技制御用マイクロコンピュータ100では、CPU103がROM101から読み出したプログラムを実行することにより、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。
図2に示すように、演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、演出表示装置5、スピーカ8L,8R、遊技効果LED9、演出用モータ308L,308R、下方位置検出スイッチ313L,313R、中間位置検出スイッチ314L,314R、上方位置検出スイッチ315L,315R、演出用ソレノイド318L,318Rといった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路や、スティックコントローラ31A、プッシュボタン31Bといった電気部品の動作を検出するための各種回路が搭載されている。
演出制御基板12には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120と、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM121と、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122と、演出表示装置5における表示動作の制御内容を決定するための処理などを実行する表示制御部123と、演出制御用CPU120とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路124と、I/O125とが搭載されている。一例として、演出制御基板12では、演出制御用CPU120がROM121から読み出した演出制御用のプログラムを実行することにより、演出用の電気部品による演出動作を制御するための処理が実行される。また、ROM121には、演出制御用のプログラムの他にも、演出動作を制御するために用いられる各種のデータテーブルなどが格納されている。
次に、パチンコ遊技機1における遊技の進行を概略的に説明する。パチンコ遊技機1では、遊技領域10に設けられた通過ゲート41を遊技球が通過したことに基づいて、普通図柄表示器20による普図ゲームが開始される。普通図柄の変動を開始させた後、普図変動時間となる所定時間が経過し、普図当り図柄以外の普通図柄が停止表示されれば、普通図柄の変動表示結果が「普図はずれ」となる。特定の普通図柄(普図当り図柄)が停止表示されれば、普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となり、普通可変入賞球装置6Bの可動板が遊技領域10から退避する開放制御が行われ、所定時間が経過すると遊技領域10に突出する閉鎖位置に戻る通常開放制御が行われる。
遊技球が第1始動入賞口に入賞したことなどにより第1始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第1開始条件が成立したことに基づいて、第1特別図柄表示器4Aによる特図ゲームが開始される。また、遊技球が第2始動入賞口に入賞したことなどにより第2始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第2開始条件が成立したことに基づいて、第2特別図柄表示器4Bによる特図ゲームが開始される。
特図ゲームでは、特別図柄の変動表示を開始させた後、変動表示時間が経過すると確定特別図柄(特図表示結果)を導出表示する。このとき、特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示されれば、特定表示結果としての「大当り」となり、大当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「はずれ」となる。特図ゲームでの変動表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。
大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置7の大入賞口扉が、所定の上限時間(例えば29秒間や0.1秒間)が経過するまでの期間あるいは所定個数(例えば9個)の入賞球が発生するまでの期間にて、大入賞口を開放状態とする。これにより、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって有利な第1の状態(開放状態)とするラウンドが実行される。
ラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤2の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって不利な第2の状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。大入賞口の開放サイクルであるラウンドは、その実行回数が所定の上限回数(例えば「16」など)に達するまで、繰り返し実行可能となっている。
演出表示装置5の演出図柄表示エリア5L,5C,5Rでは、特図ゲームが開始されることに対応して、演出図柄の変動表示が開始される。そして、演出図柄の変動表示が開始されてから変動表示が終了するまでの期間では、演出図柄の変動表示状態が所定のリーチ状態となることがある。リーチ状態とは、演出表示装置5の表示領域にて停止表示された演出図柄が大当り組合せの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない演出図柄については変動が継続している表示状態、あるいは、全部または一部の演出図柄が大当り組合せの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。
特図ゲームにおける確定特別図柄として、複数種類の大当り組合せのうち、所定の通常大当り組合せ(「非確変大当り組合せ」ともいう)となる確定演出図柄が停止表示され、変動表示結果が「非確変大当り」となった場合は大当り状態に制御され、その終了後には、時間短縮制御(時短制御)が行われる。時短制御が行われることにより、特図ゲームにおける特別図柄の変動表示時間(特図変動時間)は、通常状態に比べて短縮される。尚、時短制御では、普通図柄の当選頻度が高められて、普通可変入賞球装置6Bへの入賞頻度が高められる、いわゆる電チューサポートが実施される。時短制御は、大当り遊技状態の終了後に所定回数(例えば100回)の特図ゲームが実行されることと、変動表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに、終了すればよい。
特図ゲームにおける確定特別図柄として、複数種類の大当り組合せのうち、所定の確変大当り組合せ(「確変大当り組合せ」ともいう)となる確定演出図柄が停止表示され、変動表示結果が「確変大当り」となった場合は大当り状態に制御され、その終了後には、時短制御とともに確率変動制御(確変制御)が行われる。この確変制御が行われることにより、各回の特図ゲームにおいて変動表示結果が「大当り」となる確率は、通常状態に比べて高くなるように向上する。確変制御は、大当り遊技状態の終了後に変動表示結果が「大当り」となって再び大当り遊技状態に制御されるという条件が成立したとき、大当り遊技状態の終了後に所定回数(例えば時短回数と同じ100回)の特図ゲームが実行されたとき、大当り遊技状態の終了後に特図ゲームが開始されるごとに実行される確変転落抽選にて確変制御を終了させる「確変転落あり」の決定がなされたとき、などに終了すればよい。
時短制御が行われるときには、普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、変動表示結果が「普図当り」となったことに基づく普通可変入賞球装置6Bにおける可動板の移動制御を行う移動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その移動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御(電チューサポート制御、高開放制御)が行われる。これにより、第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に変動表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。
次に、本実施例におけるパチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。主基板11では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ100が起動し、CPU103によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理において遊技制御用タイマ割込み処理を開始すると、スイッチ処理、メイン側エラー処理、情報出力処理、遊技用乱数更新処理、特別図柄プロセス処理、普通図柄プロセス処理、コマンド制御処理を実行する。
特別図柄プロセス処理では、遊技制御フラグ設定部(図示略)に設けられた特図プロセスフラグの値をパチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて更新し、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bにおける表示動作の制御や、特別可変入賞球装置7における大入賞口の開閉動作設定などを、所定の手順で行うために各種の処理が選択されて実行される。
特別図柄プロセス処理において、CPU103は、まず、第1始動入賞や第2始動入賞があったか否かを判定し、入賞があった場合には、特図表示結果判定用、大当り種別判定用、変動パターン判定用などの乱数値をそれぞれ抽出して、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部における空きエントリの最上位に格納(記憶)する始動入賞処理を実行する。
また、CPU103は、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部に記憶されている保留データの有無などに基づいて特図ゲームを開始するか否かの判定や、特図表示結果判定用の乱数値を示す数値データに基づき、特別図柄や演出図柄の変動表示結果を「大当り」とするか否かを、その変動表示結果が導出表示される前に決定(事前決定)する特別図柄通常処理を実行する。つまり、CPU103は、特図ゲームの変動表示を開始するときに、始動入賞が発生したときに記憶した乱数値に基づいて、当該変動表示の表示結果として大当り表示結果を導出表示するか否かを決定(抽選)する処理を実行する。
次いで、変動パターンを複数種類のいずれかに決定する変動パターン設定処理、特別図柄を変動させるための設定や特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理を行う特別図柄変動処理、特別図柄の変動を停止させて確定特別図柄を停止表示(導出)させるための設定を行う特別図柄停止処理を行う。また、変動表示結果が「大当り」となった場合は、大当り遊技状態において大入賞口を開閉させる処理を行う大当り開放前処理、大当り開放中処理、大当り開放後処理、大当り終了処理を行う。
次に、演出制御基板12の動作を説明する。先ず、演出制御用CPU120は、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理においてタイマ割込が発生すると、コマンド解析処理、演出制御プロセス処理、演出用乱数更新処理を実行する。
演出制御プロセス処理では、演出表示装置5の第1保留記憶表示エリア5D及び第2保留記憶表示エリア5Uでの保留記憶表示を、保留記憶バッファの記憶内容に応じた表示に更新する保留表示更新処理を実行する。次いで、演出制御プロセスフラグの値に応じて、遊技制御用マイクロコンピュータ100から変動パターン指定コマンドを受信しているか否か確認する変動パターン指定コマンド受信待ち処理、演出図柄の変動が開始されるように制御する演出図柄変動開始処理、演出図柄変動開始処理にてセットされたプロセスデータに応じて変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替タイミング等の制御や変動時間の終了を監視するとともに、演出表示装置5の表示制御、スピーカ8L,8Rからの音出力、遊技効果LED9の発光及び演出ユニット300の駆動制御等を行う演出図柄変動中処理、演出図柄の変動を停止し表示結果(停止図柄)を導出表示する制御を行う演出図柄変動停止処理を行う。
大当り表示処理においては、変動時間の終了後、演出表示装置5に大当りの発生を報知するための画面を表示する制御を行う。大当り遊技中処理においては、大当り遊技中の制御を行う。大当り終了演出処理においては、演出表示装置5において、大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を行う。
このように演出制御用CPU120は、遊技制御用マイクロコンピュータ100から送信された演出制御コマンド(制御情報)に基づいて、演出図柄の変動表示制御や予告演出といった遊技に関連する各種演出を実行可能とされている。
尚、演出制御用CPU120が演出図柄の変動表示中において実行する予告演出としては、例えば、大当りの可能性を示唆する大当り予告演出や、リーチになるか否かを示唆するリーチ予告、停止図柄を予告する停止図柄予告、遊技状態が確率変動状態であるか否か(潜伏しているか否か)を予告する潜伏予告といったように、変動表示開始時やリーチ成立時において実行される複数の予告を含む。
次に、パチンコ遊技機1における遊技球の通路構成について、図3及び図4に基づいて説明する。図3は、パチンコ遊技機における遊技球の通路構成を示す概略図である。図4は、(A)は発射装置によって発射され遊技領域に到達する遊技球の流れを示す概略図、(B)は発射装置によって発射されたが遊技領域に到達せずにファール球として下皿に返却される遊技球の流れを示す概略図である。
図3に示すように、パチンコ遊技機1は、遊技店に設置された遊技島(図示略)に固定される四角枠状の外枠(図示略)の左側辺を中心として開閉可能に設けられており、遊技機用枠3の背面上辺部には、遊技島(図示略)から供給される遊技球を貯留可能な球タンク61が配設されており、球タンク61に貯留された遊技球は、球タンク61から左側に向けて延設された後に下方に屈曲する供給通路62を流下して払出装置63に誘導される。
払出装置63の下方には、該払出装置63から払い出された遊技球(賞球)を上皿70や下皿71に振り分け可能な遊技球経路ユニット200が設けられている。
上皿70は、上方に開口する皿状をなし、遊技球を投入及び取出し可能とされている。上皿70に投入された遊技球は、下部扉枠51の内部に取込まれて遊技者が取出し不能となった後、遊技機用枠3の下部に取付けられる発射装置400の内部に流入し、上皿70から発射装置400の内部まで延設される待機通路405に待機するようになっている。待機通路405にて待機している遊技球は、打球操作ハンドル60が操作されたことに応じて発射装置400が駆動することにより、遊技領域10へ向けて1球ずつ発射される。また、上皿70に設けられた返却レバー(図示略)を操作することで、待機通路405に待機している遊技球を下皿71に返却することができるようになっている。
図4(A)に示すように、発射装置400から発射された遊技球Pは、発射レール430及び遊技盤2の前面である遊技盤面に設けられた外レール2b及び内レール2cにより形成された発射球誘導通路407により左斜め上方へ向けて誘導された後、遊技盤2の左上部から遊技領域10へ進入する。
また、図4(B)に示すように、発射装置400から発射されたが、打ち出しが弱く遊技領域10へ到達しなかった遊技球P(以下、ファール球という)は、発射球誘導通路407を構成する外レール2bにより誘導された後、発射装置400まで戻ることなく、後述するファール球通路331に進入し、該ファール球通路331を流下して下皿71へ返却される。
次に、発射装置400の構造について、図5〜図7に基づいて説明する。図5は、(A)は発射装置の正面図、(B)は発射装置のA−A断面図である。図6は、(A)はベース部材を示す正面図、(B)は(A)のB−B断面図である。図7は、(A)はカバー部材の要部を示す背面図、(B)は移動規制部材を示す斜視図である。
図5〜図7に示すように、発射装置400は、金属材にて形成されるベース部材401と、該ベース部材401の前面を被覆するカバー部材402とを備え、遊技機用枠3の前面下部位置に取付けられている。ベース部材401は、背面に設けられたロータリーソレノイド420と、該ベース部材401の前面側に突出されたロータリーソレノイド420の回動軸431に固定され該回動軸431を中心として打撃位置(図6中実線位置参照)と該打撃位置から退避した退避位置(図6中2点鎖線位置参照)との間で回動可能に設けられた打球ハンマ432と、打球ハンマ432を打撃位置にて回動規制する第1規制部材433と、打球ハンマ432を退避位置にて回動規制する第2規制部材434と、打球ハンマ432にて打ち出された遊技球Pを遊技領域10へ向けて案内する発射レール430と、を主に有する。
カバー部材402は、透光性を有する合成樹脂材にて構成される第1カバー部材440と、第1カバー部材440の前面側に取付けられ透光性を有する合成樹脂材にて構成される第2カバー部材441と、から主に構成される。第1カバー部材440は、発射レール430の前面を被覆するように配置され、該第1カバー部材440とベース部材401との間に発射球誘導通路407を形成する。第2カバー部材441は、該第2カバー部材441と第1カバー部材440との間に待機通路405を形成する。
待機通路405の下流側には、前後方向を向く回動軸を中心として、回動可能に設けられた球送出部材447と、球送出部材447を回動させる球送出用ソレノイド448と、が設けられている。球送出用ソレノイド448は、電源オフ状態において球送出部材447を第1位置(図5(A)において点線で示す位置)に保持し、電源オン状態において球送出部材447を第1位置の下方の第2位置へ移動させる。球送出部材447は、第1位置において待機通路405に待機している遊技球Pに当接して流下を規制し、第2位置において遊技球Pを1球ずつ受け入れ可能とする。
このように、球送出部材447が第1位置にあるときには、待機通路405に待機している遊技球Pに当接して流下を規制し、第1位置から第2位置へ回動したときには、待機通路405に待機している遊技球Pが1球のみ流入し、第1カバー部材440の背面に形成された供給口449を通過して発射球誘導通路407に誘導される。また、第1カバー部材440の背面における供給口449の上部位置には、後述する移動規制部材461が取付けられている。つまり、球送出部材447及び球送出用ソレノイド448は、待機通路405に待機している遊技球を1球ずつ発射球誘導通路407へ供給する供給手段を構成している。
図5に示すように、第1カバー部材440における待機通路405の右端部に対応する位置には、上皿70からの遊技球Pが流入される流入口450aが形成されている。また、第1カバー部材440における待機通路405の左端部に対応する位置には、待機通路405内に待機している遊技球Pを抜き取るための流出口450bが形成されており、上皿70に設けられた返却レバー(図示略)を介して、待機通路405の底面の一部を構成する球抜き部材445をスライドさせることにより、待機通路405内に待機している遊技球Pを流出口450bから流出させて下皿71へ返却させることができるようになっている。
図6(A)に示すように、発射球誘導通路407は、ベース部材401の下部位置から左側に向けて上方に傾斜するように延設される発射レール430と、該発射レール430から上方に離れた位置に転動板部430aに対し略平行に配設される上壁456と、後側のベース部材401及び前側の第1カバー部材440からなる前後壁と、により形成される。また、発射レール430の傾斜下位側の端部上方位置にはストッパ壁457が設けられており、供給口449から発射レール430におけるストッパ壁457よりも傾斜上位側に落下され流下してきた遊技球Pがストッパ壁457に当接することで、打球ハンマ432により打ち出される発射位置に保持されるようになっている。そして、打球ハンマ432が退避位置から発射位置まで回動してハンマ432aが発射レール430とストッパ壁457との間に挿入され遊技球Pに衝突することで、発射位置に保持されている遊技球Pが左斜め上方に向けて打ち出されるようになっている。
図6(B)に示すように、発射レール430は、金属板を屈曲することにより断面見略M字形に形成され、断面視略V字形をなし左斜め上方に向けて延設される転動板部430aと、転動板部430aの前後辺から垂下される取付板部430b,430cとを有し、ベース部材401に取付けられる。また、取付板部430b,430cの間における長手方向の略中央位置から上部にかけて合成樹脂材からなるレールガード460が設けられており、金属製のレールと金属製の遊技球Pとの接触により生じる音や振動等が抑制されている。
転動板部430aは、図6(B)に示すように、断面視略V字形をなす転動面430dを有し、遊技球Pの周面における前後の2箇所にそれぞれ接触して該遊技球Pを転動により上方へ案内するようになっている。転動板部430a及び転動面430dは、図6(A)に示すように、左斜め下方に膨出するように緩やかに湾曲して形成されている。つまり、転動面430dは、遊技球Pの移動方向に向けて上方に湾曲する湾曲面とされている。
詳しくは、発射レール430は、打球ハンマ432の回動中心である回動軸431を中心とし発射レール430における発射位置を通過する円の円弧Cにおける発射レール430との交点CP(交点CPと回動軸431とを結ぶ直線上に発射位置がある)の接線TL(尚、接線TLは、ハンマ432aにおける遊技球Pの打出し面の法線に対し平行な線である)に対し、遊技球Pの打ち出し方向に向けて漸次離れるように緩やかに湾曲している。
すなわち、発射位置にてハンマ432aにて打ち出された遊技球Pは、接線TLに沿って移動しようとするが、転動面430dは、遊技球Pの誘導方向に向けて接線TLから漸次上方に離れるように湾曲しているため、遊技球Pは遠心力によって湾曲する転動面430dに押し付けられるように転動または摺動しながら漸次上方に方向変換されていく。よって、接線TLに沿って直線状の転動面を形成した場合に比べて、打ち出された遊技球Pは転動面430dから浮き上がったりすることがなく、転動面430dに押し付けられたまま漸次上向きに方向変換されるため、遊技球Pの打ち出しにばらつきが生じたりすることが抑制される。
詳しくは、例えば、ハンマ432aにおける遊技球Pとの接触面が、製造時における組付精度などにより発射位置においてやや上向きになっていたり、あるいは、ハンマ432aがバネ等にて構成されている場合、打ち出し部が平面ではないことで遊技球Pの打ち出し方向にばらつきが生じやすくなることがある。よって、このようにハンマ432aによる遊技球Pの打ち出しにばらつきが生じても、遊技球Pが転動面430dに押し付けられる方向に打ち出すことで、遊技球Pの打ち出しにばらつきが生じにくくなる。また、発射レール430は、遊技盤2に設けられた外レール2bと同じ方向に湾曲している。
発射レール430を通過した遊技球Pは、図4(A)に示すように、遊技盤2に設けられた外レール2bにより遊技領域10の左斜め上部まで案内された後、遊技領域10内に進入する。本実施例では、発射装置400は、遊技領域10の左右方向の略中央鉛直下方位置に配設され、発射レール430、外レール2b及び内レール2cにて形成される発射球誘導通路407により略円形状の遊技領域10の左外側に沿って周回するように誘導案内されるため、遊技球Pを発射レール430により左斜め上向きに案内することで遊技領域10まで安定して案内される。
また、特に、打ち出し直後の遊技球Pが発射レール430により安定して案内されることで、外レール2bに到達するまでに大きなばらつきが生じにくくなる。更に、転動板部430aが断面視略V字形に形成されていることで、転動面430dに対し遊技球Pの前後の2点が支持されるため、前後方向のぶれも抑制されるため、遊技球Pの打ち出しがより安定する。
このように構成された発射装置400は、待機通路405に遊技球Pが供給されている状態において打球操作ハンドル60の操作が検出されると、CPU103が球送出用ソレノイド448をオン状態とすることで、待機通路405に待機している遊技球Pのうち先頭の1球の遊技球Pが球送出部材447により送出され、供給口449を介して発射球誘導通路407に流入して発射位置にセットされるとともに、ロータリーソレノイド420がオン状態とされて打球ハンマ432が退避位置から発射位置へ回動し、1球の遊技球Pが打ち出される。また、待機通路405に待機している遊技球Pが発射位置へ送出されると球送出用ソレノイド448をオフ状態となり、後続の遊技球Pが流下して供給手段404の上流側で待機する。この動作が繰返し行われることで、遊技球Pが1球ずつ遊技領域10へ打ち出される。
打球ハンマ432により打ち出された遊技球Pは、円弧状の発射レール430により左斜め上方に向けて案内され、発射球誘導通路407及び外レール2bにより遊技領域10の左斜め上部まで案内された後、遊技領域10内に進入する。
図4(A)に示すように、ハンマ432aにて打ち出された遊技球Pは、発射球誘導通路407により遊技領域10の左斜め上部まで案内された後に遊技領域10に進入するが、図4(B)に示すように、打ち出しが弱く遊技領域10まで到達しなかった遊技球Pは、外レール2bと内レール2cとにより形成される発射球誘導通路407を上方へ移動している途中で失速して落下する。落下した遊技球Pは、発射レール430の上端と外レール2bの下端との間に形成された開口630からファール球通路331に進入し、下皿71に返却されるようになっている。
図7に示すように、移動規制部材461は、所定の板厚(例えば、約1mm等)を有する横長の金属板からなり、第1カバー部材440の背面における供給口449の上方位置にネジにより取付けられており、後述する糸付き球を用いた不正行為を抑制するために設けられている。移動規制部材461における供給口449側の縁辺には、切込溝462a,462bが発射レール430に沿うように形成されており、これら切込溝462a,462bとの間には、切込溝462a,462bの基部側から縁辺側に向けて後側に屈曲する屈曲片463が形成されている。これにより、切込溝462a,462bに対応する部分、つまり、移動規制部材461における取付板部461aと屈曲片463との間に略V字形の溝部が形成される。また、第1カバー部材440の背面における切込溝462aに対応する位置には、供給口449の上縁から左斜め上方に延びる長溝449aが、切込溝462aに沿うように形成されている。
次に、図8〜図10に基づいて通路ユニット600について説明する。図8(A)は、ファール球としての遊技球の流路を示す通路ユニット600の横断面図であり、図8(B)は、ファール球としての遊技球の流路を示す通路ユニット600の左側面図であり、図8(C)は、ファール球としての遊技球の流路を示す通路ユニット600の正面図である。図9(A)は、ベース部材610を示す背面斜視図であり、図9(B)は、カバー部材620を示す斜視図である。図10(A)は、図9(B)のC−C断面図であり、図10(B)は、移動規制部材700を示す斜視図であり、図10(C)は、図9(B)のD−D断面図である。
図8(A)〜図8(C)に示すように、遊技盤2の左下方には、ファール球通路331及び球抜き経路65の一部を構成する通路ユニット600が設けられている。通路ユニット600は、遊技機用枠3の左下部に設けられる第1ユニット600Aと、下部扉枠51の左下部に設けられる第2ユニット600Bと、から構成され、下部扉枠51が閉鎖位置にある状態において第1ユニット600A側の通路と第2ユニット600B側の通路とが連通するようになっている。
第1ユニット600Aは、上方に向けて開口する開口630と、該開口630よりも下方位置に配置され前方に向けて開口する接続口632と、を有しており、開口630と接続口632との間にはファール球通路331の上流部が形成されている。ファール球通路331の上流部は、開口630から接続口632へ向けて下方に傾斜しながら前後左右方向へ向けて蛇行するように形成されている。開口630は、発射球誘導通路407における発射レール430と外レール2bとの間に形成される隙間に対応して配置され、外レール2bにより下方に誘導され該隙間から落下するファール球を受け入れ可能に設けられている。
このように、ファール球通路331は、発射球誘導通路407から分岐して形成され、遊技球Pを下部扉枠51の背面側において発射装置400へ戻すことなく、返却口634から下皿71へ返却するための通路である。つまり、ファール球通路331は発射球誘導通路407を介して遊技領域10と下皿71とに連通する通路とされている。
第2ユニット600Bは、後方に向けて開口する接続口633と、該接続口633よりも下方位置に配置され前方に向けて開口する返却口634と、を有しており、開口630と接続口632との間にはファール球通路331の下流部が形成されている。また、第2ユニット600Bは、接続口633よりも左側に配置される接続口635と、該接続口635よりも下方位置に配置され前方に向けて開口する返却口636と、を有しており、開口630と接続口632との間には球抜き経路65の下流部が形成されている。また、第2ユニット600Bに形成されるファール球通路331は、正面視逆くの字形をなすように形成され、右側の屈曲部C1には移動規制部材700が設けられている。
詳しくは、図9(A)、図9(B)及び図10(A)に示すように、第2ユニット600Bは、下部扉枠51の左下部に該下部扉枠51の背面側から取付けられるベース部材610と、該ベース部材610に対して背面側から取付けられるカバー部材620と、を有している。図9(A)及び図10(A)に示すように、ベース部材610には、後方に向けて突出する突出片611が右方に向けて下方に傾斜するように設けられている。突出片611の上面は、後方に向けて下方に傾斜する傾斜面611aに形成されている。また、突出片611の右端部を除く突出片611の後端部からは、後方に向けて閉塞片612が突出形成されている。また、突出片611の右端部には、後方に向けて開口する凹部613が形成されている。この凹部613には、移動規制部材700の前部が収容されている。尚、ベース部材610の下端部には、前述した返却口634,636が形成されている。
図9(B)及び図10(A)に示すように、カバー部材620には、前方に向けて突出する突出片621が右方に向けて下方に傾斜するように設けられている。突出片621の上面は、前方に向けて下方に傾斜する傾斜面621aに形成されている。また、突出片621の右端部には、前方に向けて開口する凹部623が形成されている。この凹部623には、移動規制部材700の後部が収容されている。つまり、突出片611の右端部と突出片621の右端部は、前述した屈曲部C1の一部を構成している。更に、カバー部材620の上部には、前述した接続口633が形成されており、該接続口633の下端部と突出片621の左端部とは連続して形成されている。
図10(A)及び図10(C)に示すように、ベース部材610にカバー部材620が取付けられることによって、閉塞片612の後端部が突出片621の前端部に当接し、突出片611と突出片621との間を、右端部を除き閉塞する。尚、このとき、突出片611の右端部と突出片621の右端部との間には、遊技球Pの直径Rよりも短寸である前後幅寸法L1を有する切込部650が形成される。そして、突出片611と突出片621は、接続口633から第2ユニット600B内に進入した遊技球Pが流下可能な流路として、ファール球通路331の下流部の一部を形成する。尚、突出片611,621上を右方に向けて流下した遊技球Pは、突出片611,621上から落下した後に、ベース部材610の底板614上を流下して返却口634から下皿71に到達する。
このように構成された通路ユニット600は、下部扉枠51が閉鎖位置に移動することで第2ユニット600Bの接続口633が第1ユニット600Aの接続口632に対応する位置に配置されることで、第1ユニット600Aに形成されたファール球通路と第2ユニット600Bに形成されたファール球通路とが連通し、遊技盤2の前面側における外レール2bと発射レール430との間に形成された隙間に配置された開口630から下方に向けて延設されるファール球通路331が形成される。よって、開口630に進入したファール球は、遊技盤2より後方に向けて誘導された後、再び遊技盤2よりも前方に誘導され、接続口632,633を通過して第2ユニット600B側へ流入し、移動規制部材700が設けられる屈曲部C1を通過した後、返却口634から下皿71に返却される。
図10(B)に示すように、移動規制部材700は、所定の板厚(例えば、約1mm等)を有する金属板(基板701)からなり、前部がベース部材610の凹部613内に収容されており、後部がカバー部材620の凹部623内に収容されている。尚、移動規制部材700は、ネジによりベース部材610に取付けられている。
移動規制部材700の右端部における前後幅方向の略中央部には、左右幅方向を向く溝部703が形成されており、基板701における溝部703よりも後部側は下方側に向けて屈曲されている屈曲部701a、基板701における溝部703よりも前部側は屈曲されていない非屈曲部701bにそれぞれ形成されている。このように屈曲部701aが形成されることによって、屈曲部701aと非屈曲部701bとの間に正面視で逆くの字形の溝部703が形成されている。
屈曲部701aの右前端部には、前方に向けて左方に傾斜する傾斜面702aが形成されており、後述するように屈曲部701aにて張力が生じた糸Tを溝部703に向けて案内することが可能となっている。また、非屈曲部701bの右後端部には、後方に向けて左方に傾斜する傾斜面702bが形成されており、後述するように非屈曲部701bにて張力が生じた糸Tを溝部703に向けて案内することが可能となっている。
尚、図10(C)に示すように、移動規制部材700は、屈曲部C1に設けられることによって、溝部703が切込部650を介して露出する一方で、移動規制部材700の前部は凹部613内に収容されており、移動規制部材700の後部は凹部623内に収容されている。このため、第2ユニット600B内を流下する遊技球Pは、移動規制部材700に接触することが不可能となっている。
詳しくは、移動規制部材700は、ファール球通路331における通路底面を形成する突出片611,621の下方位置に、ファール球通路331の幅方向における中央位置に遊技球Pの流下方向へ向けて延設された前後幅寸法L1の切込部650に対応する位置に溝部703が配置されるとともに、屈曲部701aと非屈曲部701bの右端部が突出片611,621の右端部より外側に突出しないように設けられていることで、遊技球Pに接触しないようになっている。
次に、糸付き球を用いた不正行為について、図11及び図12に基づいて説明する。図11は、(A)は糸付き球による不正行為の一例を示す説明図、(B)は(A)の横断面図である。図12は、(A)は糸付き球による不正行為の一例を示す説明図、(B)は(A)の横断面図、(C)は移動規制部材に糸が規制された状態を示す斜視図である。
従来、例えば釣り糸等の透明なポリアミド系合成繊維の糸の一端を遊技球や透明な合成樹脂球等に接着し、該糸付き球を発射装置400により遊技領域10へ打ち出し、手元の糸を送出したり引き戻したり操作することにより糸付き球を繰り返し入賞させたり、打ち出した糸付き球を遊技球の流下方向に影響を与えうる箇所(例えばワープ入口や風車等)にかけておく(所謂球かけ)ことで、始動入賞口等に遊技球が誘導されやすくするといった不正行為が行われることがあった(図14参照)。
ここで、糸付き球PTを用いた不正行為の一例を簡単に説明する。まず、例えば、糸Tの一端が接着材等により接着された糸付き球PTを上皿70に投入すると、糸付き球PTは正規な遊技球Pと同じように流下して待機通路405にて待機する。そして、糸Tの他端は送出さずに手前に残したまま打球操作ハンドル60を操作することで、糸付き球PTが供給口449を介して待機通路405から発射球誘導通路407の発射位置へ送出される。このとき、図11(A)に示すように、発射位置は待機通路405より下方位置にあるため、糸付き球PTから引き出された糸Tは待機通路405から下方に垂れ下がるとともに、図11(B)に示すように、発射位置は待機通路405よりも後側にあるため、糸付き球PTから引き出された糸Tは供給口449を介して後側に屈曲する。
次いで、図12(A)(B)に示すように、打球ハンマ432により糸付き球PTが打ち出されると、糸付き球PTは発射レール430に沿って左斜め上方に向けて移動するため、供給口449を介して後側の発射球誘導通路407に入り込んだ糸Tが左斜め上方に向けて引き出されていく。このように、糸Tは、待機通路405から、その下方にある供給口449を通して左斜め上方に折り返されるように引き出されていくため、供給口449の上縁から延設される長溝449aに入り込みやすくなる。
長溝449aに入り込んだ糸Tは、図12(C)に示すように、取付板部461aの縁辺と屈曲片463の縁辺との間に形成されたV字形の溝部の基部側に入り込んでいく。よって、取付板部461aの縁辺と屈曲片463の縁辺との間に挟まれて、摩擦により糸Tが引き出されにくくなる、つまり、糸Tの移動が規制されるため、糸付き球PTが遊技領域10へ進入しにくくなる。また、遊技領域10に進入してしまっても、入賞口等まで到達しにくくなる。そして、取付板部461aの縁辺と屈曲片463の縁辺とに挟まれることにより糸Tが引き出されにくくなった状態で糸付き球PTが移動することで、糸Tが取付板部461aの縁辺または屈曲片463の縁辺により切断されやすくなる。
また、本実施例では、待機通路405の後側に発射球誘導通路407が配設され、移動規制部材461は、待機通路405と発射球誘導通路407との供給口449に設けられている。つまり、待機通路405と後側の発射球誘導通路407との間に形成されるクランク状の屈曲部に設けられることで、糸Tが取付板部461aの縁辺と屈曲片463の縁辺との間に形成される溝部に入りやすくなるため、糸Tの移動を規制しやすくなる。
また、糸付き球PTが遊技領域10へ進入して例えば入賞口29a,29b等に到達した場合でも(図14参照)、糸付き球PTを繰り返し入賞させるために、手元の糸を図12(B)中白矢印で示す方向に手で引き戻す際に糸Tに張力が生じる(図12(B)中2点鎖線参照)ため、糸Tが取付板部461aの縁辺と屈曲片463の縁辺との間に形成される溝部の基部側に食い込みやすくなるとともに、供給口449や待機通路405の流入口450aの角部などに糸Tが接触することで、糸Tが切断されやすくなる。よって、糸付き球PTを遊技領域10へ打ち込むことが困難となるとともに、糸付き球PTが遊技領域10へ打ち込まれても、手元の糸Tを引っ張ったり送出したりすることが困難となるばかりか、切断された場合には糸付き球PTを操作できなくなるため、糸付き球PTを用いた不正行為を抑制できる。
尚、本実施例では、取付板部461aの縁辺と屈曲片463の縁辺との間に糸Tが挟まれて糸付き球PTの移動が規制される一例を説明したが、取付板部461bの縁辺と屈曲片463の縁辺との間に糸Tが挟まれて糸付き球PTの移動が規制されることもある。
このように、移動規制部材461によって発射装置400から打ち出される糸付き球PTに接着された糸Tの移動を規制することで、上皿70側から糸Tを手繰ることによる糸付き球PTを用いた不正行為を抑制できるが、発射装置400に移動規制部材461を設けるだけでは防ぐことができない不正行為について、図13〜図15に基づいて説明する。
尚、図13においては、発射装置400に移動規制部材461は設けられているが、ファール球通路331には移動規制部材が設けられていないパチンコ遊技機における不正行為の一例を説明する。図13は、(A)〜(E)は、従来のパチンコ遊技機にて実行される糸付き球を用いた不正行為の一例を示す説明図である。図14は、(A)は糸の状況を左側方から見た状態を示す説明図、(B)は糸の状況を正面から見た状態を示す説明図である。図15は、(A)〜(C)は移動規制部材付近の糸の状況を示す説明図である。
図11及び図12にて説明した不正行為は、糸Tの一端に接着した1つの糸付き球PTを用いるものであったが、以下に説明する不正行為は、糸Tの一端に遊技球(糸付き球PT1)を接着材等により接着するとともに、糸Tの他端に更に遊技球(糸付き球PT2)を接着材等により接着し、これら2つの糸付き球PT1,PT2を用いるものである。
まず、図13(A)に示すように、糸付き球PT1及び糸付き球PT2を上皿70に投入し、糸付き球PT1のみを正規な遊技球と同じように流下させて待機通路405にて待機させる。また、糸Tは、糸付き球PT1,PT2の一方を上皿70または下皿71に保持したまま、他方を遊技領域10へ進入させ一般入賞口29a,29b等へ入賞させることができるだけの長さを有している。
次いで、糸付き球PT2を待機通路405へ送出せずに上皿70内に残したまま、打球操作ハンドル60を操作する。これにより、糸付き球PT1は供給口449を介して待機通路405から発射球誘導通路407の発射位置へ送出される。
ここで、打球操作ハンドル60を、図13(B)に示すように、打球ハンマ432により打ち出された糸付き球PT1が遊技領域10に到達することなくファール球としてファール球通路331へ進入するように弱めに操作するとともに、糸Tに張力がかからないように余剰の糸Tを送出す。これにより、打球ハンマ432により打ち出された糸付き球PT1が発射レール430に沿って左斜め上方に向けて移動するのに応じて発射球誘導通路407に入り込んだ糸Tが左斜め上方に向けて引き出されていくが、糸Tに張力がかからないように余剰の糸Tを送出すことができるため、糸Tを長溝449aから屈曲片463の縁辺との間に形成されたV字形の溝部に深く入り込ませることなく、糸付き球PT1を発射させることができる。
そして、図13(C)に示すように、糸付き球PT1がファール球としてファール球通路331を流下して下皿71に返却されると、糸Tは、ファール球通路331、発射球誘導通路407、待機通路405を介して上皿70から下皿71に通じている状態となる。
ここで、図13(D)に示すように、上皿70にある糸付き球PT2を流下させて待機通路405にて待機させた後、打球操作ハンドル60を操作することで、糸付き球PT2は供給口449を介して待機通路405から発射球誘導通路407の発射位置へ送出される。つまり、上皿70にあった糸付き球PT2は供給口449を通過するため、糸Tが移動規制部材461にかかる虞がない状態となる。
次いで、打球操作ハンドル60を、打球ハンマ432により打ち出された糸付き球PT1が遊技領域10に到達するように強めに操作することで、図13(E)に示すように、糸付き球PT2を遊技領域10へ向けて打ち出す。打球ハンマ432により打ち出された糸付き球PT2が発射レール430に沿って左斜め上方に向けて移動するのに応じて、ファール球通路331に入り込んだ糸Tが左斜め上方に向けて引き出されていくが、ファール球通路331には移動規制部材が存在しないので、余剰の糸Tの移動が規制されたり切断されたりすることがないため、糸付き球PT2を遊技領域10へ進入させることができる。
そして、図14(A)及び図14(B)に示すように、糸付き球PT2が遊技領域10内に到達したときに、下皿71に引き出された糸Tを掴むなどして送出しを規制することで、糸付き球PT2は、外レール2bの上端部から吊り下げられた状態となる。つまり、糸付き球PT1は下皿71、糸付き球PT2は遊技領域10内にそれぞれ配置され、これら糸付き球PT1と糸付き球PT2とを繋ぐ糸Tは、ファール球通路331と発射球誘導通路407に挿通されているだけで、移動規制部材461がある待機通路405には挿通されていないため、糸Tの移動が規制されたり切断されたりすることはない。
よって、2つの糸付き球PT1,PT2を使えば、移動規制部材461により余剰の糸Tの移動が規制されたり切断されたりすることなく、遊技領域10内に送出したり、糸Tを手繰って下皿71側に引き出したりすることができるため、糸付き球PT2を普通入賞口29a,29bに繰り返し入賞させて不正に賞球を得たり、糸付き球PT2を通過ゲート41に繰り返し通過させることにより不正に普通図柄の変動表示を実行させたり、糸付き球PT2を1始動入賞口や第2始動入賞口に繰り返し入賞させることにより不正に変動表示を実行させることが可能となる。また、糸付き球PT2を障害釘間の間隙に配置した状態で遊技球の打ち出しを行うことにより、これら打ち出した遊技球を、容易に通過ゲート41を通過させたり、容易に普通入賞口29a,29bに入賞させたり、容易に第1始動入賞口や第2始動入賞口に入賞させることが可能となる。
これに対し、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、前述したように、ファール球通路331における屈曲部C1に移動規制部材700が設けられているため、上記のようにファール球通路331を利用した不正行為を行う場合に、ファール球通路331内において糸Tの移動を規制または切断することができるため、上記不正行為を好適に抑制することができる。
詳しくは、図14(A)及び図14(B)に示すように、下皿71に引き出した糸Tの送出しを規制して糸付き球PT2が外レール2bの上端部から吊り下げられた状態であるときに、糸Tを手繰って引き出そうとすると、糸付き球PT2の自重があるため糸Tに張力が生じる。ファール球通路331は、前述したように、前後左右方向に屈曲しているため、ファール球通路331の通路壁における複数の角部に引っ掛かった状態となる。このように、糸Tは、複数の角部に接触した状態となるとともに前後左右に蛇行するように挿通されることで、糸Tを送出したり引き出す際に抵抗が大きくなるため、糸Tの操作を困難化することができる。
また、移動規制部材700が設けられている屈曲部C1においては、切込部650に入り込んだ糸Tは、図15(B)及び図15(C)に示すように、基板701における屈曲部701aと非屈曲部701bとの間に形成されたV字形の溝部703に入り込んでいく。よって、基板701における溝部703の前部側と後部側とで挟まれて、摩擦により糸Tが引き出されにくくなる。つまり、糸Tの移動が規制されるため、糸付き球PT2が遊技領域10内で移動にしにくくなる。そして、基板701における溝部703の前部側と後部側とで挟まれることにより糸Tが引き出されにくくなった状態で糸Tを下皿71側に引き出すことで糸Tが基板701における溝部703の前部側と後部側とで切断されやすくなる。
また、図15(A)及び図15(C)に示すように、突出片611,621におけるファール球通路331の流下底面を形成する上面が、通路の幅方向の中央部へ向けて下方に傾斜しており、流下底面が縦断面視略V字形をなすように形成されていることで、撓んだ糸Tに張力が生じたときに糸Tが切込部650に誘導されやすくなっている。よって、糸Tに張力が生じたときに該糸Tが溝部703に誘導されず、突出片611,621上に配置されたままとなり、糸Tを移動できる状態となることを回避できる。
更に、本実施例では、屈曲部701aに形成された傾斜面702aや非屈曲部701bに形成された傾斜面702bによって張力が生じた糸Tを溝部703に向けて誘導することで糸Tが溝部703に入り込みやすくすることができるので、より確実に溝部703の前部側と後部側とで摩擦により糸Tが引き出されにくくすることができる。
また、本実施例では、移動規制部材700が、ファール球通路331が折り返す突出片611,621の右端部に設けられていることで、該突出片611,621の右端部において糸Tに張力が生じることにより糸Tが基板701における溝部703の前部側と後部側との間に入り込みやすくなっているため、糸Tの移動を規制しやすくなっている。
また、本実施例におけるパチンコ遊技機1に対して実行され得る不正としては、針金等の硬質な糸状部材をファール球通路331及びファール球通路331を介して遊技領域10内に進入させる不正も考えられるが、本実施例ではファール球通路331やファール球通路331が折返しや蛇行を繰り返しているため糸状部材を遊技領域10に到達させることが困難となっているため、糸状部材をファール球通路331及びファール球通路331を介して遊技領域10内に進入させる不正も防止することが可能となっている。特に、本実施例では、突出片611と突出片621との間が閉塞片612により閉塞されているため、糸状部材をファール球通路331及びファール球通路331を介して遊技領域10内に進入させる場合は、糸状部材を開口部617からファール球通路331内を一端右方向に移動させた後に折り返して更に左方向に移動させねばならず、糸状部材をファール球通路331及びファール球通路331を介して遊技領域10内に進入させる不正をより強固に防止することが可能となっている。
以上、本実施例におけるパチンコ遊技機1にあっては、ファール球としての遊技媒体を下皿71に案内するためのファール球通路331内に移動規制部材700を設けることによって、図13や図14に示すように下皿71と遊技領域10内が糸Tにより通じてしまったとしても、移動規制部材700の溝部703にファール球通路331内の糸Tを入り込ませることにより、該糸Tの下皿71側への引き出しや、遊技領域10側に向けて送出することが困難となるので、ファール球通路331を通して糸Tを手繰られることによる不正行為を防止することができる。
また、移動規制部材700は、通路が90度以上屈曲する(折り返す)屈曲部C1に設けられていることで、下皿71に引き出された糸Tを手繰ることにより糸Tに張力が生じたときに溝部703に深く入り込むようになるので、糸Tの移動を好適に規制できるとともに、切断されやすくなる。
また、ファール球通路331は、開口630から進入した遊技球を前方、後方、左側方、右側方へ移動させながら返却口634へ誘導する、つまり、複数の曲部を有する非直線状の通路として形成されているため、例えば、糸付き球PT2を、上皿70から投入せずに、返却口634から進入させて開口630から発射装置400へ誘導させることは困難であるため、発射装置400に設けた移動規制部材461を回避して発射装置400へ誘導させる不正行為を抑制できる。
また、ファール球通路331が非直線状の通路として形成されていることで、糸Tが移動規制部材461,700により切断され、糸付き球PT2が自重により落下して糸Tが遊技領域10側へ引っ張られたとしても、ファール球通路331にて糸Tが複数の曲部にて通路壁に接触して摩擦が生じることで糸Tがファール球通路331から引き出されにくくなり、ファール球通路331及び発射球誘導通路407から遊技領域10にかけて糸Tが残り、不正行為が行われた痕跡が残りやすくなるため、不正行為が行われた可能性があることを発見しやすくなる。
また、本実施例では、ファール球通路331内の移動規制部材700に加えて、供給口449の上部位置にも移動規制部材461が設けられているので、移動規制部材700によるファール球通路331を通して糸Tを手繰られることによる不正行為の防止に加え、上皿70から待機通路405や発射球誘導通路407を通して糸Tを手繰られることによる不正行為も防止することができる。
また、本実施例では、ベース部材610にカバー部材620が取付けられた状態では、移動規制部材700は、前部が凹部613に収容され、後部が凹部623に収容されるとともに、溝部703は遊技球の直径Rよりも前後幅寸法が短寸であるL1に形成された切込部650を介して露出するので、移動規制部材700と第2ユニット600B内を流下する遊技球が当接することを防ぎ、これら移動規制部材700や遊技球が傷むことを防止できる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、貯留部である上皿70に貯留されている遊技球を発射装置400に向けて誘導する誘導経路の一例として待機通路405を適用した形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特に上皿70を設けることなく待機通路405が上皿70に相当する位置まで形成されていてもよい。
また、前記実施例では、第2経路としてのファール球通路331を形成する通路ユニット600は、遊技機用枠3側(後側)の第1ユニット600Aと下部扉枠51側(前側)の第2ユニット600Bとに分割され、下部扉枠51を閉鎖したときに第1ユニット600Aと第2ユニット600Bとが当接して一のファール球通路331が形成される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ファール球通路331を形成する通路ユニット600は、遊技機用枠3または下部扉枠51のいずれかに設けられていてもよい。
また、前記実施例では、第2経路としてのファール球通路331を形成する通路ユニット600は、ファール球通路331と球抜き経路65とを形成する通路ユニットとしている形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ファール球通路331のみが形成されていてもよい。
また、前記実施例では、線状の異物の移動を規制する規制部の一例としての移動規制部材700をファール球通路331における屈曲部C1に設けた形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、移動規制部材700は、ファール球通路331における屈曲部C1以外の個所に設けてもよい。
具体的には、移動規制部材700は、例えば、第1ユニット600A側に形成されているファール球通路331における曲部や、第2ユニット600B側に形成されているファール球通路331における屈曲部C1以外の曲部等であってもよい。但し、返却口634の近傍であると、糸Tがかからないように操作されてしまう虞が生じる他、ファール球通路331内からファール球を下皿71に掻き出そうとすることで遊技者が移動規制部材700によって負傷する虞があるため、少なくともファール球通路331の返却口634から一番近い位置にある曲部よりも上流側にある曲部に設けられていれば、糸Tがかからないように操作されにくくすることができるとともに、遊技者が移動規制部材700によって負傷してしまうことも防ぐことができる。
また、本実施例では、ファール球通路331に形成されている複数の曲部のうち、返却口634から一番近い位置にある屈曲部C1に移動規制部材700が設けられていることで、屈曲部C1と返却口634との間において糸Tが屈曲部C1以外の曲部に摺接することによる摩擦力が生じることがない。つまり、屈曲部C1と返却口634との間ではファール球通路331内における糸Tに生じる張力が最も大きくなるため、移動規制部材700を屈曲部C1に設けることによって、移動規制部材700を屈曲部C1以外の曲部に設ける場合よりも糸Tを溝部703に深く入り込ませることができる。
また、移動規制部材700は、ファール球通路331における屈曲部(折り返し部)に設けるものに限定されるものではなく、糸Tに張力が生じたときに溝部703に入り込みうる場所であれば、折り返さないまでも曲る曲部や、湾曲部または直線部に設けてもよい。更に、ファール球通路331の上端である開口630等に設けてもよい。
また、前記実施例では、移動規制部材700は、金属製の板材を屈曲することにより形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも糸Tの移動を規制できるものであれば、素材や形状等は種々に変形可能であり、例えば、糸Tが絡まりやすいコイルスプリングのようなものであってもよいし、糸Tが吸着することにより移動を規制する吸着材のようなものであってもよい。更には、切断部が設けられたカッターなどで糸Tが切断されるようにしてもよい。特に、移動規制部材700に切断部を設ける場合は、糸Tが入り込むことで該糸Tの移動を規制する規制部と切断部とを個別に設けることで、切断部により規制部よりも糸付き球PT1側の糸を切断するとともに、糸付き球PT2側の糸を規制部によって保持することにより、下皿71に引き出された糸Tを手繰ることで糸付き球PT2を用いる不正が行われた証拠が残るようにしてもよい。
また、前記実施例では、移動規制部材700をファール球通路331の1個所にのみ設ける形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、2以上の個所に設けてもよい。
また、前記実施例では、パチンコ遊技機1の背面側に、該払出装置63から払い出された遊技球(賞球)を上皿70や下皿71に振り分け可能な遊技球経路ユニット200を設ける形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技球経路ユニット200内の遊技球が通過する経路を省スペース化してもよい。具体的には、変形例1として図16〜図22に示す。
図16は、パチンコ遊技機1の側面図である。図16に示すように、遊技球経路ユニット200には、払出装置63から払い出された遊技球を上皿70に誘導するための第1経路201と、払出装置63から払い出された遊技球を下皿71に誘導するための第2経路202と、球タンク61及び供給通路62にあり、払出装置63によって誘導される遊技球を、下皿71に誘導する球抜き経路65と、第1経路201及び第2経路202の上流に形成された共通経路204及び放出経路205と、が形成されている。
払出装置63は、略直方体状に形成されるケース体からなる。この払出装置63の内部には、特に詳細な図示はしないが、遊技球を所定球数(例えば、1球)ずつ払い出すためのスプロケット、該スプロケットを回転させるための払出モータ、遊技球の流路を共通経路204または球抜き経路65に切り替え可能な切替弁、該切替弁の切り替え操作を行うための操作レバー等が設けられている。
次に、遊技球経路ユニット200の構造について、図17〜図21に基づいて説明する。図17は、遊技球経路ユニットの斜視図である。図18は、遊技球経路ユニットの分解斜視図である。図19は、カバー体の図示を省略した遊技球経路ユニットの分解斜視図である。図20は、図18中の切断線VIII−VIIIにおける端面図である。図21は、図20中の“IX”で示した部分拡大図であり、(a)は放出経路から第1経路へと流下する遊技球を示した図、(b)は遊技球で満たされた第1経路に向けて遊技球が流下する様子を示した図である。また、図22は、図18中の切断線における端面図であり、(a)は切断線Xa−Xaにおける端面図、(b)は切断線Xb−Xbにおける端面図である。
図17、6に示すように、遊技球経路ユニット200は、ベース体210とカバー体220とが組み合わされて、左方からみて略L字状の外観が概略構成されていている。カバー体220には2つのネジ挿通孔222が形成されている。それぞれのネジ挿通孔222に挿通されたネジ241が、ベース体210に形成されたネジ孔217に締め付けられる。また、カバー体220から下方に突出して形成された係止爪221が、ベース体210に形成された被係止部216に引っ掛けられている。これにより、ベース体210とカバー体220とが組み合わされる。
組み合わされたベース体210とカバー体220との間には、図18に示すように、経路分離体230が設けられている。これらベース体210、カバー体220、及び経路分離体230によって、遊技球経路ユニット200内に第1経路201、第2経路202、球抜き経路65、共通経路204、及び放出経路205が形成されている。尚、本明細書においては、第1経路201、第2経路202、球抜き経路65、共通経路204、及び放出経路205を総称する場合には、「遊技球経路」という用語を用いるものとする。遊技球経路は、遊技球を通過させて所定位置に導くための空間であり、周囲がベース体210等で区画されている。ただし、図16、図18、図19に示すように、遊技球経路を通過する遊技球の軌跡(この場合、遊技球経路が延びる方向と、遊技球の軌跡とが一致)を、遊技球経路として説明する場合があるものとする。
図17に示すように、遊技球経路ユニット200の上方には、払出装置63(図16)から払い出された遊技球が共通経路204に進入するための払出球入口251と、球抜き経路65に進入するための抜き玉入口252とが形成されている。一方、遊技球経路ユニット200の下部であり、L字状に折れ曲がった先端には、第1経路201を通過した遊技球の出口である第1経路出口253と、第2経路202を通過した遊技球の出口である第2経路出口254と、が形成されている。これら払出球入口251等の遊技球の入口の形状、及び第1経路出口253等の遊技球の出口の形状からわかるように、遊技球経路のそれぞれを、遊技球が流下する方向(図18の遊技球の流れを示す矢印の方向)に直交する面で切断すると、概ね矩形の形状をなしている。すなわち、遊技球経路のぞれぞれは、遊技球経路の左側を区画する左壁と、左壁に対向し遊技球経路の右側を区画する右壁と、左壁と右壁とを接続する対面した2つの壁体である対壁とにより区画された空間である。尚、対壁が対面する方向は、遊技球経路の経路上で、上下方向を向いていたり前後方向を向いていたりと様々であり、このように対面方向が変化することで遊技球の流下方向が変化する。
遊技球経路ユニット200内における遊技球経路について、図18〜図21を用いて説明する。
払出球入口251から進入した遊技球は、まず共通経路204を流下する。図18に示すように、共通経路204は、ベース体210に形成された左壁290と、カバー体220に形成された右壁291と、ベース体210に立設された対壁292とにより区画されている。対壁292は、遊技球を下方へと流下させる第1前後壁部292aと、遊技球の流下方向を下方から前方へと変更させる漸変壁部292bと、遊技球を再度下方へと流下させる第2前後壁部292cとから構成されている。このように、対壁292の延設方向を変更することにより、上下方向及び前後方向に平行な第1平面206内において遊技球の流下方向を変更することができる。
一方、左壁290及び右壁291の延設方向を変更することにより、上下方向及び左右方向に平行な第2平面207内において、遊技球の流下方向を変更することできる。図20に示すように、第2平面207に直交する方向から見た場合、共通経路204は、下流に向けて左下方を向いた第1区間204aと、下方を向いた第2区間204bと、下流に向けて右下方を向いた第3区間204cとを有している。このような共通経路204を流下する遊技球は、左方に遠心力を受けて、左壁290に接触しながら流下する。やがて、遊技球は、第3区間204cの左壁290下端から右下方向に放出され、放出経路205に進入する。このように、左壁290の第3区間204cの部分は、遊技球を右下方向に放出して放出経路205に進入させる遊技球放出面290aである。
また、遊技球放出面290aに対向する部分を有するとともに放出経路205の一部を区画する右壁部220aは、遊技球放出面290aと同一の方向に傾斜している。すなわち、右壁部220aは、下流に向かうにつれて右方向に向けて傾斜している。これにより、遊技球放出面290aから右下方向に放出された遊技球が、右壁部220aに接触することを抑制することができ、遊技球をスムーズに第1経路201まで到達させることができる。
放出経路205は、遊技球が遊技球放出面290aから放出されてから第1経路201に到達するまでの、遊技球の移動経路である。遊技球放出面290aが遊技球を右下に放出することにより、第2経路202の右方に位置する放出経路205を流下させることができる。これにより、遊技球は、放出経路205の左方に位置する第2経路202を飛び越え、第1経路201に進入する。
第1経路201は、図18に示すように、下方に向けて延設された後、徐々に前方に方向を変えて前方やや下方に延設された遊技球の流下経路である。第1経路201を流下した遊技球は、第1経路出口253から排出されて上皿70(図16)へと導かれる。
第1経路201は、ベース体210に形成された左壁260及び経路分離体230に形成された左壁262と、カバー体220に形成された右壁261と、対壁とによって区画されている。
尚、本実施例における遊技球経路ユニット200においては、右壁と左壁とを接続する対壁は、右壁から立設されていたり、左壁から立設されていたり、右壁及び左壁から立設されて両者が組み合わされていたりと、その形態は様々である。そのため、右壁と左壁とを接続する対壁については説明を省略する場合があるものとする。しかしながら、対壁に関する説明を省略した遊技球経路であっても、その断面が略矩形状となるように、右壁及び左壁を接続する対壁は設けられている。
図21(a)に示すように、遊技球放出面290aから放出された遊技球が到達する第1経路201を区画する左壁260には、上方から、第1傾斜部260a、第1鉛直部260b、第2傾斜部260c、第2鉛直部260dが形成されている。第1傾斜部260aは、下流に向かうにつれて右方向に向けて傾斜しており、この傾斜方向は遊技球放出面290aの傾斜方向と同じである。第1鉛直部260bは、第1傾斜部260aの下方に接続した鉛直面から構成されている。第2傾斜部260cは、下流に向かうにつれて右方向に向けて傾斜しており、この傾斜方向は第1傾斜部260a及び遊技球放出面290aの傾斜方向と同じである。第2鉛直部260dは、第2傾斜部260cの下方に接続した鉛直面から構成されている。
このように左壁260に第1傾斜部260a及び第2傾斜部260cを設けることにより、放出された遊技球P1を第1経路201にスムーズに進入させ流下させることができる。図21(a)には、第1傾斜部260a及び第2傾斜部260cが設けられていない状態として、第1鉛直部260bを延長した第3鉛直部260e、及び第2鉛直部260dを延長した第4鉛直部260fを二点鎖線で示している。
仮に、第3鉛直部260eが設けられていると、放出経路205を流下する遊技球P2は、第3鉛直部260eの端部に衝突しやすくなる。これにより、遊技球が上方に向けて跳ね返る等、遊技球の第1経路201へのスムーズな進入が阻害されることになる。一方、第1傾斜部260aを設け、第3鉛直部260eを設けないようにすることにより、遊技球P2の衝突が防がれ、遊技球P2を第1経路201へスムーズに進入させることができる。
また、仮に、第4鉛直部260fが設けられていると、第1経路201に進入した遊技球P3は、第4鉛直部260fの端部に衝突しやすくなる。これにより、遊技球が上方に跳ね返る等、遊技球P3の第1経路201へのスムーズな流下が阻害されることになる。一方、第2傾斜部260cを設け、第4鉛直部260fを設けないようにすることにより、遊技球P3の衝突が防がれ、遊技球P3をスムーズに第1経路201に流下させることができる。
また、左壁260には、図18に示すように、下方に向けて直線状に延びた溝部260gが形成されている。遊技球Pが流下する方向(下方)から見た溝部260gの断面は、図22(a)に示すように、円弧状に窪んだ形状をなしている。遊技球放出面290a(図21(a))により放出された遊技球は、空中を流下してきたため、第1経路201に進入した際、壁体との接触によって衝撃を受けぶれやすい。そこで、左壁260に溝部260gを設けることで、遊技球Pの動きを溝部260g内で安定させることができ、流下中のぶれを低減することができる。これにより、遊技球Pをスムーズに第1経路201に流下させることができる。
第1経路201を流下する遊技球Pは、第1経路出口253から排出され上皿70(図16)へと導かれる。遊技球Pが上皿70(図16)から排出されず、遊技球の上皿70(図16)への流入が継続すると、上皿70(図16)は遊技球Pで満たされ、やがて第1経路201には遊技球Pが充満される。これにより、放出経路205を流下した遊技球Pは、第1経路201に進入することができなくなり、第2経路202(図19)へ進入するようになる。
図19に示すように、第2経路202に進入した遊技球は、一端後方へと移動した後、下方に向けて蛇行しながら流下し、その後徐々に流下方向を変更して前方へと流下する。やがて遊技球は、第2経路出口254(図17)から排出されて下皿71(図16)へと導かれる。
第2経路202の左側は、ベース体210に形成された左壁270によって区画されている。また、第2経路202の右側は、カバー体220に形成された右壁271(図18)及び経路分離体230に形成された右壁272(図19)によって区画されている。
図21(b)に示すように、カバー体220は、上下方向に沿って鉛直に立設した鉛直壁220bと、鉛直壁220bの上端に接続した傾斜壁220cとを有している。傾斜壁220cは、上流に向かうにつれて左方向に向けて傾斜している。遊技球が、第1経路201に充満していくと、やがて遊技球P4〜P6に示すように、鉛直壁220bに沿って上下方向に配列される。遊技球P4〜P6が積み重なった状態から、更に上流から遊技球P7が流下していくと、遊技球P8に示すように遊技球P6上に重なる。このように遊技球P6上に重なった遊技球P8は、傾斜壁220cに接触するため、傾斜壁220cの傾斜した分だけ、遊技球P6よりも左方に位置する。そのため、遊技球P8は、遊技球P6上から左下方へと転がり落ちやすい。転がり落ちた遊技球P8は、遊技球P9に示すように、第2経路202を区画する傾斜壁273に到達する。このように、第1経路201に遊技球が充満すると、放出経路205を流下してきた遊技球は第1経路201に進入することなく、第2経路202に進入する。
また、図21(b)に示すように、傾斜壁220cの上流には、段差220dが形成されている。この段差220dを境にして、上流側の壁体は左方に、下流側の壁体は右方に位置している。このような段差220dを形成することにより、積み重なった遊技球P6や、傾斜壁273等に遊技球が衝突して、上方に跳ね返ったとしても、段差220dで跳ね返すことができる。これにより、遊技球の逆流を抑制することができ、遊技球をスムーズに流下させることができる。
遊技球P9(図21(b))が到達する傾斜壁273は、図19に示すように、後方に向かうにつれ下方に傾斜した傾斜面を有している。そのため、傾斜壁273に到達した遊技球P9(図21(b))を、後下方へと流下させることができ、その後下方に向けて流下させることができる。これにより、第2経路202に進入した遊技球をスムーズに下流へと導くことができる。
また、図22(b)に示すように、ベース体210の前壁274と左壁270との交差部には、両壁を接続する断面が三角形状の傾斜部275が形成されている。この傾斜部275は、図19に示す上壁276と傾斜壁273との間の全区間にわたって形成されている。上述したように、上皿70(図16)が遊技球で満たされると、第1経路201の形成方向に沿って遊技球が並んでいく。やがて、第1経路201が遊技球で満たされると、流下する遊技球はやがて第2経路202に進入する。このとき、傾斜部275が形成されていないと、遊技球は前壁274に沿って積み重なっていきやすくなる。これに対し、前壁274と左壁270との交差部に傾斜部275を形成することにより、図22(b)に示すように、遊技球を後方へと移動させて下流へと導くことができる。これにより、第2経路202内での球詰まりを抑制することができるとともに、遊技球をスムーズに流下させることができる。
また、図19に示すように、第2経路202を区画する左壁270には、上下方向に間隔をあけて設けられた、前後方向に延びる二つの突出部270aが形成されている。また、図18に示すように、カバー体220に形成された右壁271には、前後方向に延びる突出部271aが形成されている。カバー体220に形成された突出部271aは、ベース体210に形成された二つの突出部270aの間に位置する。これにより、遊技球は、図19に示すように、蛇行しながら第2経路202を下方に向けて流下する。このように遊技球を蛇行させながら第2経路202を流下させることにより、遊技球が流下する勢いを抑制して、第2経路202における遊技球の流れを安定させることができる。
一方、抜き玉入口252(図17)から進入した遊技球は、図18に示すように、遊技球経路ユニット200及び前記実施例に示した通路ユニット600に形成された球抜き経路65を流下し、返却口636(図8)から排出される。球抜き経路出口255から排出された遊技球は、下皿71(図16)へと導かれる。
球抜き経路65は、図18に示すように、上流側は下方に向けて延設され、やがて徐々に方向を変え、下流側は前方に向けて延設されている。球抜き経路65は、ベース体210に形成された左壁280及び左壁281と、経路分離体230に形成された左壁282と、カバー体220に形成された右壁283とにより区画されている。
ベース体210形成された左壁280には、上下方向に間隔をあけて設けられた、前後方向に延びる複数の突出部280aが形成されている。また、カバー体220に形成された右壁283には、前後方向に延びる複数の突出部283aが形成されている。突出部280aと突出部283aとは、球抜き経路65内で上流から下流に向けて交互に出現するように設けられている。これにより、遊技球は、図18に示すように、球抜き経路65内を蛇行しながら下方へ流下していく。このように遊技球を蛇行させることにより、遊技球が流下する勢いを抑制して、球抜き経路65における遊技球の流れを安定させることができる。
次に、第1経路201、第2経路202、及び球抜き経路65の位置と、遊技球経路ユニット200の外形寸法との関係について説明する。図17に示すように、遊技球経路ユニット200は、鉛直方向(上下方向)に延び全長に亘って一定の幅W1を有する鉛直部200aと、上端の幅W1から下端の幅W2まで下方に向けて徐々に幅が増大する増幅部200bと、水平方向(前後方向)に延び全長に亘って一定の幅W2を有する水平部200cとを有している。
上述したように、第1経路201に進入することがなかった遊技球は、第2経路202に進入し、図18に示す傾斜壁273により後方に転がった後に、下方に向けて蛇行しながら第2経路202を流下する。すなわち、第2経路202は、第1経路201の後方に形成されている。一方、球抜き経路65は、遊技球経路ユニット200の最後方に形成された経路である。これにより、鉛直部200aにおいて、遊技球経路は前後方向に並列するように形成されており、前から第1経路201、第2経路202、球抜き経路65の順に設けられている。これにより、鉛直部200aの幅は全長に亘って変化することがない。また、横方向に遊技球経路を並列した球技球経路ユニットと比べて、左右方向における幅W1はより小さな大きさとなる。
増幅部200bにおいて、第1経路201は、図20に示すように、右下方に延びる傾斜区間201aを有している。このように、第1経路201が傾斜区間201aを有していることにより、遊技球経路ユニット200の幅は徐々に増大し、上端の幅W1から下端の幅W2に増幅する。
水平部200cにおいて、第1経路201、第2経路202、及び球抜き経路65は、延設方向を、左右に変化させることなく下方から前方へと徐々に変化させる。やがて、第1経路201と第2経路202とは、左右に並列した状態で水平方向に延設されている。一方、球抜き経路65は、第1経路201及び第2経路202の下方に延設されている。このように水平部200cにおいては、延接方向を左右に変化させることがないため、遊技球経路ユニット200の左右方向の幅W2は、全長に亘って一定となる。
以上説明したように、本変形例1においては、遊技球経路ユニット200の鉛直部200a(図17)おいて、第1経路201、第2経路202、及び球抜き経路65を前後方向に並列させた構成としている。そのため、鉛直部200aの左右方向の幅を、従来の遊技球経路ユニットよりも小さな幅W1とすることができ、省スペース化を実現することができる。特に、遊技盤の後方に鉛直部200aが配される場合には、遊技盤後方のスペースを広く確保することができ、より大きな表示装置や演出可動体の設置が可能となる。
また、前記実施例のパチンコ遊技機1において、ドライバ等の工具を用いることなくパチンコ遊技機1に取付けるようにしてもよい。具体的には、変形例2として図23〜図25に示す。
図23は、前面扉体を開放した状態のパチンコ遊技機1を示す斜視図である。図24は、図1中の矢視VVで示したパチンコ遊技機1の断面図であり、(a)は上部扉枠50が閉鎖状態にあり第1装飾体800が保持された状態を示した図、(b)は上部扉枠50が開放状態にあり第1装飾体800が保持されていない状態を示した図である。図25は、図1中の矢視VI−VIで示したパチンコ遊技機1の断面図であり、(a)は上部扉枠50が閉鎖状態にあり第2装飾体900が保持された状態を示した図、(b)は上部扉枠50が開放状態にあり第2装飾体900が保持されていない状態を示した図である。尚、以下の説明においては、図23に示すように、遊技者が位置する側をパチンコ遊技機1の前方とし、その反対の方向を後方とする。また、パチンコ遊技機1の前方に位置する遊技者からみて上下左右の方向を、そのままパチンコ遊技機1の上下左右の方向と定義して説明する。尚、図23において、上部扉枠50は開いた状態にあり、閉じた状態の場合とでは各方向の向きが異なる。そこで、図23においては、閉鎖状態から開放状態になるまでの上部扉枠50の回動に伴って回動させた座標系を併記する。この座標系は、上部扉枠50のみに対応している。また、図4に示す上部扉枠50は、構造の理解を容易なものとするため、装飾の図示は省略している。
図23に示すように、遊技盤2を保持した遊技機用枠3は、パチンコ遊技機1を設置する遊技島(図示略)に固定される四角枠状の外枠1100の左側辺を中心として開閉可能に設けられている。図23に示す遊技機用枠3は、外枠1100の前方を覆った閉鎖状態にある。上部扉枠50は、遊技機用枠3の左側辺を中心として開閉可能に設けられている。図23に示す上部扉枠50は、遊技機用枠3の前方を開放した開放状態にある。尚、以下の説明で用いる遊技機本体という用語は、パチンコ遊技機1のうち装飾体を除いた部分を指す用語として用い、より具体的には、遊技機本体は、例えば、外枠1100、遊技盤2、遊技機用枠3、及び上部扉枠50から構成される。また、回動する上部扉枠50に対する用語として、遊技島(図示略)に対して不動である外枠1100、遊技盤2、及び遊技機用枠3をベース部として記載することがある。
上部扉枠50は、パチンコ遊技機1の前部を構成する部材であり、図23に示す状態から矢印250の方向に回転することにより、遊技機用枠3の前方を覆った閉鎖状態へと変化する。上部扉枠50には、略楕円形の開口50aが形成されており、この開口50aに透明板が嵌められている。透明板は、例えば、アクリル樹脂等の合成樹脂、あるいはガラス板から構成されている。これにより、上部扉枠50が遊技機用枠3を覆い閉鎖状態にある場合、遊技盤2は透明板に覆われ、遊技盤2と透明板との間に遊技球が流下する空間が形成される。また、図1に示すように、上部扉枠50の前面(図1で視認できる面)には、種々の装飾が施されている。この装飾により遊技者を魅了するパチンコ遊技機1の外観を提供することができる。
上部扉枠50の後面には、左右方向に延び、断面が矩形状の第1溝部50bが形成されている。上部扉枠50の左部から右方に向けて延びた第1溝部50bは、上部扉枠50の右端部にまで到達している。そのため、上部扉枠50の右面には、第1溝部50bによる窪みが形成されている。
また、遊技機用枠3の前面には、左右方向に延び、断面が矩形状の第2溝部3aが形成されている。遊技機用枠3の左部から右方に向けて延びた第2溝部3aは、遊技機用枠3の右端部にまで到達している。そのため、遊技機用枠3の右面には、第2溝部3aによる窪みが形成されている。尚、第2溝部3aは、第1溝部50bと同じ高さ位置に形成されている。
第1装飾体800は、キャラクタの頭部を模した装飾体本体810と、装飾体本体810を遊技機本体に取付けるための取付部820とを有している。
装飾体本体810は、例えばABS樹脂等の合成樹脂製であり、キャラクタの目に相当する部分に、例えばアクリル樹脂製の透光板802が嵌めこまれている。透光板802から装飾体本体810の後端にわたって、内部に光ファイバケーブル1000を差し込むための孔が形成された挿入筒801が設けられている。また、キャラクタの口に相当する部分には、前方から後方に向けて貫通した開口803が形成されている。
取付部820は、例えばステンレス等の金属製の板材が折り曲げ加工されて形成されている。取付部820は、装飾体本体810に取付けられた水平部820aと、折り曲げられて水平部820aに対して垂直な垂直部820bと、折り曲げられて垂直部820bに対して垂直な差込部820cとを有している。これにより、取付部820は略J字状の断面を有している。取付部820は、作業者によって容易に折り曲げられて弾性変形が可能な材料及び寸法で形成されている。
図24(a)に示すように、第1装飾体800が遊技機本体に保持された状態にある場合、水平部820aは上部扉枠50の上面に当接した状態にあり、垂直部820bは遊技機用枠3と上部扉枠50とで狭持された状態にあり、差込部820cは上部扉枠50に形成された第1溝部50bに差し込まれた状態にある。このように、水平部820aが上部扉枠50の上面に当接した状態にあるとともに、垂直部820bが遊技機用枠3と上部扉枠50との間で狭持されていることにより、第1装飾体800を安定した状態で遊技機本体に保持させることができる。尚、遊技者は、第1装飾体800によって覆われた上部扉枠50の領域及び遊技機用枠3の領域を視認することはできないが、このような領域にもその周辺の領域と同様の装飾が施されている。これにより、第1装飾体800を取付けない場合にも、一部の領域だけ装飾が異なる等の違和感を覚えさせることを抑制することができる。
遊技機本体に保持された第1装飾体800の挿入筒801には、遊技機用枠3から延びた光ファイバケーブル1000が挿入され固定されている。これにより、光ファイバケーブル1000により導光された光は、透光板802を透過し、第1装飾体800から出射される。これにより、キャラクタを模した装飾体本体810の目の部分から光を出射させることができる。
上部扉枠50に形成されたスピーカ1201及び送風機1202は、遊技機本体に保持された第1装飾体800の開口803内に位置している。これにより、スピーカ1201から発せられた効果音を、開口803内を通して遊技者まで到達させることができる。また、送風機1202で発生させた風を、開口803内を通して遊技者まで到達させることができる。これにより、キャラクタを模した装飾体本体810の口の部分から効果音や風を発することができる。
図24(a)に示す状態から第1装飾体800を取り外す場合、まず、上部扉枠50を回動させて遊技機用枠3から離間させ、上部扉枠50を閉鎖状態から開放状態へと変化させる。これにより、図24(b)に示すように、上部扉枠50と遊技機用枠3とに垂直部820bが狭持された状態が解除される。そして、取付部820を折り曲げて、差込部820cを第1溝部50bから抜き出す。これにより、第1装飾体800を遊技機本体から取り外すことができる。
尚、第1装飾体800を遊技機本体に取付ける場合、図24(b)に示すように、取付部820を折り曲げた状態で、第1装飾体800を上部扉枠50の上面に近づける。そして、取付部820の折り曲げ状態を解除することで、取付部820は弾性回復し、差込部820cが第1溝部50bに差し込まれる。続いて、上部扉枠50を回動させて閉鎖状態とすることで、第1装飾体800を遊技機本体で保持させる。
このように、第1装飾体800を遊技機本体に取付ける際、差込部820cを第1溝部50bに差し込むことにより、第1装飾体800を上部扉枠50に仮止めをすることができる。これにより、第1装飾体800の遊技機本体への取付作業を容易に行うことができる。
第2装飾体900は、蝶を模した装飾体本体910と、装飾体本体910を遊技機本体に取付けるための取付部920とを有している。
装飾体本体910は、例えばABS樹脂等の合成樹脂製であり、蝶の羽部分にあけられた2つの開口のそれぞれには、例えばアクリル樹脂製の透光板911が嵌めこまれている。
取付部920は、例えばステンレス等の金属製の板材が折り曲げ加工されて形成されている。取付部920は、装飾体本体910に取付けられた水平部920aと、折り曲げられて水平部920aに対して垂直な垂直部920bと、折り曲げられて垂直部920bに対して垂直な差込部920cとを有している。取付部920は、作業者により容易に折り曲げられて弾性変形する材料及び寸法で形成されている。
図25(a)に示すように、第2装飾体900が遊技機本体に保持された状態にある場合、水平部920aは上部扉枠50の上面に当接した状態にあり、垂直部920bは遊技機用枠3と上部扉枠50とで狭持された状態にあり、差込部920cは遊技機用枠3に形成された第2溝部3aに差し込まれた状態にある。装飾体本体910は、遊技機本体の一部を覆い、上端から上方に突出するように遊技機本体に取付けられている。また、水平部920aが上部扉枠50の上面に当接した状態にあるとともに、垂直部920bが遊技機用枠3と上部扉枠50との間で狭持されることにより、第2装飾体900は安定した状態で遊技機本体に保持される。尚、遊技者は、第2装飾体900によって覆われた上部扉枠50の領域及び遊技機用枠3の領域を視認することはできないが、このような領域にもその周辺の領域と同様の装飾が施されている。これにより、第2装飾体900を取付けない場合にも、一部の領域だけ装飾が異なる等の違和感を覚えさせることを抑制することができる。
上部扉枠50に形成された装飾用LED1300aは、遊技機本体に保持された第2装飾体900の透光板911の後方に位置している。これにより、装飾用LED1300aから出射された光を、透光板911を透過させ、第2装飾体900から出射させることができる。
図25(a)に示す状態から第2装飾体900を取り外す場合、まず、上部扉枠50を回動させることで遊技機用枠3から離間させ、上部扉枠50を閉鎖状態から開放状態へと変化させる。これにより、図25(b)に示すように、上部扉枠50と遊技機用枠3とにより垂直部920bが狭持された状態が解除される。この状態から装飾体本体910を上方へと持ち上げると、第2溝部3aと差込部920cとの間に形成された隙間と、取付部920の弾性変形とにより、装飾体本体910は上方へと移動する。これにより、装飾体本体910を、回動する上部扉枠50と干渉しない位置へと移動させることができる。更に、上部扉枠50を回動させて、第2装飾体900を遊技機本体から取り外す。
尚、第2装飾体900を遊技機本体に取付ける場合、上部扉枠50を大きく開放した状態で、差込部920cを遊技機用枠3に形成された第2溝部3aに差し込む。そして、上部扉枠50との干渉を回避できる上方の位置まで装飾体本体910を持ち上げた後、上部扉枠50を閉鎖状態まで回動させる。これにより、垂直部920bは狭持され、第2装飾体900は遊技機本体に保持される。そして、取付部920を弾性回復させることで、上方へ持ち上げていた装飾体本体910を図25(a)に示す位置まで移動させる。
このように、第2装飾体900を遊技機本体に取付ける際、差込部920cを第2溝部3aに差し込むことにより、第2装飾体900を遊技機用枠3に仮止めをすることができる。これにより、第2装飾体900の遊技機本体への取付作業を容易に行うことができる。
以上説明したように、変形例2におけるパチンコ遊技機1では、垂直部820b及び垂直部920bを、上部扉枠50と遊技機用枠3との間で狭持することにより、第1装飾体800及び第2装飾体900を遊技機本体で保持する構成としている。垂直部820b及び垂直部920bは板状部分のため、狭持される領域は十分に確保される。これにより、第1装飾体800及び第2装飾体900は、遊技機本体に安定した状態で保持される。また、第1装飾体800及び第2装飾体900を取付けるに際し、特別な工具等を必要としない。これにより、装飾体の取り付け作業を容易なものとすることができる。
また、前記実施例では、パチンコ遊技機1に発射装置400により打ち出すための遊技球を貯留可能な上皿70と、返却されたファール球としての遊技球を貯留可能な下皿71と、を設ける形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、パチンコ遊技機1には上皿70のみを設け、下皿71は設けなくともよい。このようにパチンコ遊技機1に上皿70のみを設け、ファール球を上皿70や該上皿70からオーバーフローした遊技球を排出するための排出口等に返却されるようにした場合、上皿70や排出口等にファール球を返却するための通路に本発明における移動規制部材700を設けてもよい。