JP6748467B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

本発明は、遊技機に関し、詳しくは、発射装置によって発射された遊技球を、遊技盤に形成された遊技領域へ案内可能な遊技機に関するものである。
従来、この種の遊技機として、遊技球が流下可能な遊技領域が形成された遊技盤を備え、この遊技領域に、遊技球が入球することで賞球や大当たりの抽選の権利等を得ることができる入賞口(一般入賞口、始動入賞口等)が設けられたパチンコ機が知られている。このパチンコ機においては、各入賞口へ入球した遊技球を検出する球検出センサが設けられており、一般入賞口に設けられた球検出センサが遊技球を検出した場合には、賞球として所定数の遊技球を払い出し、始動入賞口に設けられた球検出センサが遊技球を検出した場合には、この検出タイミングで大当たりの抽選を行うとともに、賞球として所定数の遊技球を払い出すようになっている。
ところで、このようなパチンコ機において、遊技球に釣り糸等の糸部材の一端部を接着剤等で固定した状態で発射する不正行為がある。この不正行為は、上述の糸部材が付いた遊技球を遊技領域へ打ち出し、糸部材の他端部をパチンコ機の上皿に残した上で、この糸部材の他端部を操作することにより遊技球の動きを操るものである。たとえば、糸部材が固定された遊技球を球検出センサの検出位置を境界として、その上流側と下流側とを行き来させると、入賞口に遊技球が受け入れられていないにもかかわらず球検出センサが遊技球を検出してしまい、これにより不正に大当たりの抽選や賞球の払い出しが行われることとなる。
このような不正行為に対処すべく、従来にあっては、遊技球を発射する発射装置の球発射端部上に上述の糸部材を挟み込むための挟み込み部を設け、糸部材が固定された遊技球が発射装置から発射された際に、この挟み込み部で糸部材を挟み込むことで遊技球の操作を不可能とする、すなわち、糸部材自体が遊技球の移動軌跡上で遊技球の流れを阻む構成とするパチンコ機が考案されている(特許文献1参照)。
特開2014−188072号公報
近年では、2個の遊技球を糸部材で繋いだものを用いて新たな不正行為が行われるようになっている。この不正行為においては、2個の遊技球のうち一方(1個目)の遊技球を遊技領域に届かない弱い力で発射させて下皿等に戻させた後、糸部材の繋がれた他方(2個目)の遊技球を遊技領域へ送り込み、下皿等に戻された遊技球に繋がっている糸部材を操作することで不正に遊技球を入賞口へ入球させるようなことが行われる。
この新たな不正行為では、一方(1個目)の遊技球は弱い力で発射させることから、この遊技球を発射した際には繋がれた糸部材へ十分な張力が加わらず、上述のようなパチンコ機における挟み込み部では糸部材を挟み込むことが困難となる。また、他方(2個目)の遊技球を発射した際には、一方の遊技球は下皿等に戻っていることから遊技球に繋がれた糸部材への張力の加わり方が従来の不正行為と異なり、この糸部材は上述の挟み込み部を回避して遊技領域へ到達可能となる。
このように、上述のようなパチンコ機では、2個の遊技球を糸部材で繋いだものを用いた新たな不正行為を防止することができないとの問題が生じていた。
そこで、本発明は、上述した事情によりなされたものであり、新たな不正行為を防止可能な遊技機の提供を目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明は次のように構成されている。
以下、本発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて説明する。なお、下記の符号及び記載は、本発明の構成に相当する発明の実施の形態における構成の符号及び名称を示したものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(1)本発明は、遊技球が流下する遊技領域120が設けられた遊技盤100と、遊技球を貯留する発射球貯留部60と、前記発射球貯留部60に貯留された遊技球を発射する発射装置50と、を備え、前記発射装置50によって所定の発射強度以上で発射された遊技球が、前記遊技領域120へ到達可能に形成されている遊技機(パチンコ機P)であって、前記発射球貯留部60に連通し、前記発射装置50によって発射された遊技球が前記遊技領域120の方向へ移動可能であり、かつ前記発射装置50によって発射された遊技球のうち前記遊技領域120へ到達しなかった遊技球が前記遊技領域120の方向と異なる所定方向へ移動可能な球誘導部70と、前記球誘導部に連通し、前記遊技領域へ到達しなかった遊技球を当該球誘導部を介して遊技機の外部へ至らせる球出口と、遊技球に一端が固着された糸部材を挟み込むことが可能な糸部材挟み部10と、を備え、前記糸部材挟み部10は、前記球誘導部70内における前記発射装置から発射された遊技球が前記遊技領域へ至るまでの間には通過しないものの、前記遊技領域へ至らずに前記球出口に至るまでの間において通過する経路中であって、糸部材の一端が固着された遊技球が前記発射球貯留部に貯留され、かつ当該糸部材の他端を前記球誘導部を介して前記球出口まで至らせた状態で当該遊技球を前記遊技領域へ向けて発射した際に、当該遊技球の移動に追従する糸部材を挟み込むことが可能な位置に設けられていることを特徴とする。
本発明に係る遊技機においては、発射装置50によって発射された遊技球は、遊技領域120へ到達可能な発射強度で発射された場合及び遊技領域120へ到達できない発射強度で発射された場合のいずれであっても、球誘導部70内を移動する。そして、糸部材挟み部10は、球誘導部70内における、遊技球に固着された糸部材が当該遊技球の移動に追従して通過可能な位置に設けられているため、球誘導部70内を遊技球が移動する際に、当該遊技球に繋がれた糸部材が糸部材挟み部10に挟み込まれることとなる。
したがって、本発明に係る遊技機によれば、糸部材で繋いだ2個の遊技球の一方を下皿等に戻させた後、他方の遊技球を遊技領域120へ送り込むという新たな不正行為が行われる場合にも、糸部材が糸部材挟み部10に挟み込まれ、遊技球の操作を不可能となるため、上述のような新たな不正行為を防止することができるのである。
本発明によれば、新たな不正行為を防止可能な遊技機を提供することができる。
本発明の第一の実施の形態であって、パチンコ機の外観斜視図である。 本発明の第一の実施の形態であって、パチンコ機の前扉を開いた状態の外観斜視図である。 本発明の第一の実施の形態であって、機枠及び本体枠の外観斜視図である。 本発明の第一の実施の形態であって、本体枠の部分斜視図及び糸部材挟み部の拡大斜視図である。 本発明の第一の実施の形態であって、糸部材挟み部の分解斜視図である。 本発明の第一の実施の形態であって、遊技球及び糸部材の移動経路の説明図である。 本発明の第一の実施の形態であって、遊技球及び糸部材の移動経路の説明図である。 本発明の第二の実施の形態であって、本体枠の部分斜視図である。 本発明の第二の実施の形態であって、糸部材挟み部の平面図である。 本発明の第二の実施の形態であって、ベースガイド部材及び糸部材挟み部の分解斜視図である。 本発明の第二の実施の形態であって、遊技球及び糸部材の移動経路の説明図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を、第一の実施の形態及び第二の実施の形態に分けて、図面を参照しつつ説明する。
なお、本明細書において、パチンコ機Pに設けられた各構成部品についての、前後(正面背面)、左右(側面)、上下(平面底面)の方向は、各構成部品をパチンコ機Pに固定した状態でパチンコ機Pを正面視したときの方向を示すものとする。
(第一の実施の形態)
(パチンコ機Pの外部構成)
本発明の実施の形態に係る遊技機は、遊技媒体として遊技球を使用するパチンコ機Pである。特に図示していないが、一般的に、パチンコ機Pが設置される遊技場においては、島と呼ばれる遊技機の設置領域に、複数台のパチンコ機Pが並べて配設されるとともに、遊技球を貸し出すための遊技球貸出装置(特に図示しておらず)が各パチンコ機Pに隣接して設置される。また、各パチンコ機Pは対応する遊技球貸出装置に接続されている。
遊技球貸出装置は、紙幣の投入や遊技球の貸し出しに必要な価値情報が記憶される記憶媒体(カード)の挿入が可能となっている。そして、遊技球貸出装置に紙幣を投入(又は、カードを挿入)した上で、パチンコ機Pに対して所定の操作を行うことにより、遊技球貸出装置から遊技球の貸し出しを受けることができるようになっている。
本実施の形態に係るパチンコ機Pは、図1及び図2に示すように、島に固定される四角形状の枠体であって中空部を有する機枠F1と、この機枠F1にヒンジ機構(特に図示しておらず)により開閉自在に取り付けられる四角形状の枠体であって、中空部(図2、図3参照)を有する本体枠F2と、この本体枠F2にヒンジ機構(特に図示しておらず)により開閉自在に取り付けられ、正面に開口部(特に図示しておらず)が形成された前扉Dと、を備えている。
また、図1に示すように、前扉Dには、開口部を覆う透明板400と、透明板400の下方に位置し遊技球を受容可能な上皿600及び下皿700と、下皿700の右方に取り付けられ遊技球の発射操作を行うための操作ハンドルHDと、左右上部に位置する上スピーカSP1と、が設けられている。
このパチンコ機Pでは、機枠F1に対して本体枠F2を閉じ、さらに、前扉Dを閉じると、遊技盤110の前方に透明板400が位置することとなる。これにより、透明板400を介して、後方に位置する遊技盤100を視認することができるようになっている。
上皿600には、遊技球貸出装置から貸し出される遊技球や、パチンコ機Pから払い出される賞球が導かれるようになっている。上皿600が遊技球で満杯になった場合には、パチンコ機Pから払い出される賞球は下皿700に導かれる。下皿700には開閉レバー800が設けられており、開閉レバー800を操作することにより下皿700の底部に設けられた排出口を開いて、下皿700に溜まった遊技球を下皿700の外に排出できるようになっている。
操作ハンドルHDは、本体枠F2の正面側に設けられた遊技球を打ち出すためのハンドルであり、遊技者が回転操作可能に形成されている。
本体枠F2の中空部には、図2に示すように、遊技盤100が嵌め込まれるとともに、中空部(図3参照)の右下方には、遊技球を発射するための発射装置50が設けられている。また、本体枠F2の左下方には、下スピーカSP2が設けられている。
発射装置50は、図3及び図4に示すように、駆動装置51と、駆動装置51に連結されたハンマー52とを少なくとも備えている。ハンマー52は、後述する本体枠F2に設けられた発射球貯留部60に貯留されている遊技球を1個ずつ打ち出すためのものであり、駆動装置51はハンマー52を回転駆動させるためのモータ又はソレノイドである。
さらに、本体枠F2の下部には、上皿600に連通する球供給路(特に図示しておらず)から供給される遊技球を貯留する発射球貯留部60と、発射球貯留部60に連通する球誘導部70とが設けられており、発射装置50から発射される遊技球は球誘導部70を経て、後述する遊技盤100の発射通路110や遊技領域120へと到達するようになっている。そして、この球誘導部70の途中には、2個の遊技球のそれぞれにその端部が固定された糸部材を切断するための糸部材挟み部10が設けられているが、これについては後述する。
また、球誘導部70の左下部には、本体枠F2の表側から裏側に遊技球を誘導する球入口71が設けられているとともに、球入口71の右下方には、球入口71に誘導された遊技球を本体枠F2の裏側から表側に誘導する球出口72が設けられている。そして、球出口72から誘導された遊技球は、球排出路73を経て、前扉Dの裏側から下皿700へと排出される。
なお、球誘導部70は、図2及び図3に示すように、蓋部材80によって正面側から覆われている。蓋部材80は、図4に示すように、図示しないヒンジ機構によって、本体枠F2に前後方向に回動可能に取り付けられており、蓋部材80が閉じた状態(球誘導部70を覆った状態)で、本体枠F2の正面と蓋部材80の裏面との間に形成される空間部が、球誘導部70となっている。
また、発射球貯留部60には、上皿600に連通する球供給路(特に図示しておらず)から供給される遊技球が貯留されるようになっており、上皿600の遊技球が球供給路から発射球貯留部60に供給された状態で遊技者が操作ハンドルHDを回転させて発射操作を行うと、当該操作ハンドルHDの回転角度に応じた強度で遊技球が発射される。
そして、発射装置50によって発射されたものの、発射強度が足りずに遊技盤100の発射通路110や遊技領域120へと到達しなかった遊技球は、球入口71によって受け入れられる。球入口71に受け入れられた遊技球は本体枠F2の裏側を通って球出口72から出て、下皿700に到達する。下皿700に到達した遊技球をファール球という。
遊技盤100は、透明なアクリル板であり、遊技盤100の盤面には、図2及び図4に示すように、金属製の外レールR1及び内レールR2からなるガイドレールRが設けられている。そしてこのガイドレールRによって略円形状に仕切られた領域が、遊技領域120を形成する。また、遊技領域120の左側方の領域において、外レールR1と内レールR2との間には、球誘導部70に連通する遊技球の発射通路110が形成されており、発射装置50から発射された遊技球は、発射強度が十分な場合に発射通路110内を上り、左上部から遊技領域120内に放出される。
遊技領域120内には、図示しないが、遊技球の流下方向を不規則にするための風車及び多数の釘や、遊技球が入球可能な一般入賞口、始動入賞口、大入賞口などの複数の入賞口や、遊技球を遊技領域120外へ導くアウト口などが設けられている。そして、一般入賞口に遊技球が入球すると、所定の賞球が払い出される。始動入賞口へ入球すると、所定個数の賞球が払い出されるとともに、特別遊技を実行するか否かの大当たりの抽選が行われる。大当たりの抽選に当選すると、大入賞口が開放される特別遊技が実行される。上記した入賞口のいずれにも入球しなかった遊技球は、アウト口から遊技盤100の裏面側に回収される。遊技領域120の中央部には、遊技盤100に固定された液晶表示装置210の表示画面が位置しており、透明な遊技盤100を透して表示画面を視認可能となっている。
(糸部材挟み部10)
次に、糸部材挟み部10について説明する。ここで、本実施の形態における糸部材挟み部10は、遊技球に釣り糸等の糸部材を接着剤等で固定し、該遊技球を遊技領域120へ打ち出す不正行為に対処するためのものである。特に、本発明は、糸部材の一端部に一の遊技球を固定し、他端部に他の遊技球を固定して、糸部材によって2個連結された遊技球を遊技領域120へ打ち出して行われる不正行為の場合に適したものである。
具体的には、糸部材挟み部10は、球誘導部70の途中であって球入口71の右上方(すなわち、球入口71の上流側)に設けられており(図4参照)、糸部材を挟み込んで切断するためのカッター部材30と、カッター部材30を本体枠F2に取り付けるためのベースガイド部材20及び取り付けガイド部材40と、を備えている(図4及び図5参照)。
カッター部材30は、図5に示すように、金属製の略長方形状の薄板(プレート)であって、長手方向の一方の端部には切り込み部33が設けられているとともに、この切り込み部33を挟んで2つの挟み片31,32が設けられている。すなわち、カッター部材30における長手方向の一方の端部は、切り込み部33を挟んで挟み片31,32が隣接することにより二股形状となっている(図5参照)。
また、隣接する2つの挟み片における一方の挟み片32は、カッター部材30の表面から下方(カッター部材30の表面と直交する方向)に折り曲げられており、挟み片32の先端は、他方の挟み片31の先端よりも下側に位置するようになっている(図5参照)。
このカッター部材30において、糸部材が切り込み部33へ入り込んだ場合には、この糸部材は挟み片31,32に挟み込まれた状態で切り込み部33の内奥部へ向けて進行可能となる。そして、糸部材は、切り込み部33の内奥部へ向けて進行するにつれて挟み片31,32との接触により摩耗し、ひいては切断されることとなる。なお、切り込み部33へ入り込んだ糸部材は、材質や張力の強度等により切断されない場合であっても、挟み片31,32により挟み込まれた状態(保持された状態)となることで、少なくとも切り込み部33の内奥部よりも先への進行が妨げられることとなる。
取り付けガイド部材40は、本体枠F2の表面に取り付けられる板状部材であり、図4及び図5に示すように、本体枠F2に取り付けた状態で、本体枠F2の表面から突設し、かつ遊技盤100における発射通路110の下端近傍から右下方(発射球貯留部60の方向)へ向けて下り傾斜する略長方形板状の傾斜部40aを備えている。
傾斜部40aには、図4及び図5に示すように、略中央から発射球貯留部60側の端部にかけて凹凸が連続するM字状に切り欠かれた切り欠き部47が形成されており、この切り欠き部47は、正面方向(前扉Dの裏面側)を向いた切り欠き面41と、切り欠き面41の下端から奥方向(本体枠F2の表面側)へ向けて下り傾斜した傾斜切り欠き面42とを備えている。
また、取り付けガイド部材40には、ベースガイド部材20と取り付けガイド部材40とをネジ止めするためのネジ孔43が設けられている(図5参照)。
ベースガイド部材20は、取り付けガイド部材40に取り付けられる正面視台形状の部材であり、図4及び図5に示すように、固定板20aと、固定板20aの外縁から突設する傾斜部20bとを備えている。
固定板20aは、図5に示すように、略台形状の板部材であり、ベースガイド部材20と取り付けガイド部材40とをネジ止めするためのネジ孔23が形成されている。そして、固定板20aを取り付けガイド部材40における所定の取り付け位置(特に図示しておらず)に位置させると、固定板20aのネジ孔23と取り付けガイド部材40のネジ孔43とが合致し、ネジ孔23及びネジ孔43にネジVを螺合させることで、ベースガイド部材20と取り付けガイド部材40とがネジ止めされるようになっている。このように、ベースガイド部材20を取り付けガイド部材40に着脱可能としたことで、カッター部材30の交換等を容易に行うことができることとなる。
傾斜部20bは、図4及び図5に示すように、固定板20aの斜辺に相当する外縁から当該固定板20aと直交する方向に突設する板状部材であり、ベースガイド部材20を取り付けガイド部材40に取り付けた状態で、取り付けガイド部材40の傾斜部40aと同斜度で下り傾斜するようになっている。
この傾斜部20bには、図5に示すように、ベースガイド部材20を取り付けガイド部材40に取り付けた状態で、取り付けガイド部材40の切り欠き面41と対向する端面21と、端面21の下端から正面方向へ向けて下り傾斜する傾斜端面22と、端面21の左端に沿って形成され奥方向へ向けて開口する凹溝24と、端面21の上側に位置し奥方向へ突出した保持片25と、が設けられている。
凹溝24には、上述したカッター部材30の側部を嵌め込むことが可能となっている。
そして、凹溝24にカッター部材30を嵌め込むと、カッター部材30の裏面が保持片25の表面に当接するようになっており、カッター部材30がベースガイド部材20(凹溝24及び保持片25)により保持される。
また、保持片25の先端部には、固定板20aを取り付けガイド部材40における上述の取り付け位置に位置させた際に、取り付けガイド部材40に設けられた係止溝(特に図示しておらず)に係止可能な係止爪25aが設けられている。そして、カッター部材30を凹溝24に嵌め込んだ状態で、固定板20aを上述の取り付け位置に位置させると、係止爪25aが係止溝に係止する。これにより、カッター部材30を保持した状態で、ベースガイド部材20が取り付けガイド部材40に取り付けられ、ひいては、カッター部材30が本体枠F2に取り付けられることとなる。
なお、カッター部材30は、若干のガタつき(遊び)を持たせた状態で、ベースガイド部材20及び取り付けガイド部材40により保持されるようにしてもよい。このようにすることで、糸部材がどのような状態で進行した場合であっても挟み片31,32により挟み込まれやすいようにすることができる。
なお、カッター部材30は、挟み片31,32が設けられた端部が右下方を向いた状態で、凹溝24に嵌め込まれるようになっている(図5参照)。
また、上述の如く、ベースガイド部材20の傾斜部20bは、ベースガイド部材20を取り付けガイド部材40に取り付けた状態で、取り付けガイド部材40の傾斜部40aと同斜度で下り傾斜するようになっている。そうすると、ベースガイド部材20の傾斜部20bに設けられた凹溝24及びこの凹溝24に嵌め込まれたカッター部材30も、取り付けガイド部材40の傾斜部40aと同斜度で下り傾斜することとなる(図4及び図5参照)。
ところで、凹溝24にカッター部材30を嵌め込んでベースガイド部材20を取り付けガイド部材40に取り付けると、図4に示すように、取り付けガイド部材40の傾斜部40aに形成された切り欠き部47の切り欠き面41と、ベースガイド部材20の傾斜部20bに設けられた端面21とが、所定幅の間隙を介して対向するとともに、この間隙にカッター部材30の切り込み部33が位置するようになっている。そして、上述の間隙の下端側から奥方向へ向けて、取り付けガイド部材40の傾斜部40aに形成された傾斜切り欠き面42が下り傾斜するとともに、上述の間隙の下端側から正面方向へ向けて、ベースガイド部材20の傾斜部20bに設けられた傾斜端面22が下り傾斜するようになっている(図4参照)。すなわち、傾斜切り欠き面42及び傾斜端面22は、切り込み部33が位置する間隙の方向へ向けて互いに近づくように傾斜しているため、糸部材は、傾斜切り欠き面42及び傾斜端面22に案内されて切り込み部33に容易に進入可能となる。
また、ベースガイド部材20を取り付けガイド部材40に取り付けた状態で蓋部材80を閉じると、蓋部材80の裏面と糸部材挟み部10を構成するベースガイド部材20の傾斜端面22とが当接するとともに、球誘導部70における糸部材挟み部10の右側から上側にかけては、発射球貯留部60に連通し、かつ発射通路110に連通する上側空間部70aが形成され、球誘導部70における糸部材挟み部10の下側から左側にかけては、発射球貯留部60及び上側空間部70aに連通し、かつ球入口71に連通する下側空間部70bが形成される(図4及び図7参照)。
そして、発射装置50から発射された遊技球は、発射強度が十分な場合には、発射球貯留部60から上側空間部70a及び発射通路110を経て遊技領域120へ到達し、発射強度が足りずに発射通路110や遊技領域120へ到達しなかった場合には、発射球貯留部60又は上側空間部70aから下側空間部70bを経て球入口71に到達する。
次に、糸部材によって2個連結された遊技球を用いた不正行為が行われた際における、上述の糸部材挟み部10による糸部材の切断又は挟み込みについて説明する。
この不正行為は、糸部材によって2個連結された遊技球のうち先に発射球貯留部60に供給された遊技球(以下、第1遊技球という)を、発射強度を抑えて打ち出すことによりファール球とし下皿700に排出された状態とした上で、次に発射球貯留部60に供給された遊技球(以下、第2遊技球という)を、遊技領域120へ到達可能な発射強度で打ち出し、遊技領域120に到達した第2遊技球を糸部材により操作することで、始動入賞口等への不正な入球を行うものである。
上述の不正行為を行うに際して、発射球貯留部60から打ち出された第1遊技球は、球誘導部70における上側空間部70a(糸部材挟み部10の右側から上側にかけての空間)を経て発射通路110へ向かうものの、発射通路110や遊技領域120に到達することなく自重により落下し、下側空間部70b(糸部材挟み部10の下側から左側にかけての空間)を経て、球入口71に受け入れられる(図6の経路X及び図7(A)参照)。球入口71に受け入れられた第1遊技球は、本体枠F2の裏側を通って球出口72から本体枠F2の表側に出て(図6の経路Y及び図7(A)参照)、球排出路73を経て下皿700に到達する(図6の経路Z及び図7(A)参照)。
また、第1遊技球と第2遊技球とを繋ぐ糸部材は上述の経路を移動する第1遊技球に追従するため、第1遊技球が下皿700に到達した際、この糸部材は、第2遊技球が位置している上皿600又は発射球貯留部60から球誘導部70における球入口71及び球出口72を介して下皿700まで張り巡らされた状態となる(図7(B)参照)。なお、第1遊技球は、球入口71を介して本体枠F2の表側から裏側へ至った後、球出口72を介して本体枠F2の裏側から表側へ至るため、糸部材は本体枠F2に括り付けられた状態となっている。
そして、上述の状態において第2遊技球が発射球貯留部60から打ち出されると、この第2遊技球は、球誘導部70における上側空間部70aを経て発射通路110に到達し(図6の経路W参照)、この発射通路110内を上っていく。
このとき、糸部材は、第2遊技球に追従し、第2遊技球が発射通路110内を上るに伴って発射通路110の方向へ引っ張られることとなる(図7(c)参照)。そして、この糸部材は、第2遊技球に引っ張られることにより発射通路110の方向へ向けての張力が加えられた状態で、下側空間部70bを経て糸部材挟み部10の傾斜切り欠き面42又は傾斜端面22に当接する。その後、第2遊技球が発射通路110内をさらに上ると、糸部材は、傾斜切り欠き面42又は傾斜端面22に案内されて切り欠き面41と端面21との間に間隙に到達し、さらには、間隙内に位置しているカッター部材30の切り込み部33に入り込むこととなる。そして、上述の如く、糸部材は、カッター部材30の挟み片31,32に挟み込まれた状態で切り込み部33の内奥部へ向けて進行し、切断されるか又は内奥部より先への進行が妨げられることとなる。
以上のように、本形態に係るパチンコ機Pにおいては、発射球貯留部60から打ち出された遊技球が到達可能な球誘導部70と、球誘導部70に連通し球誘導部70へ到達した遊技球を遊技領域120へ誘導可能な発射通路110と、球誘導部70に連通し球誘導部70へ到達した遊技球を下皿700へ誘導可能な球入口71とが設けられているとともに、球入口71から発射通路110へ向かう経路の途中に、遊技球に固定された糸部材を切断するための糸部材挟み部10が設けられている。
これにより、糸部材によって2個連結された遊技球を用いた不正行為が行われる場合において、第1遊技球が下皿700に排出された状態で下皿700から球誘導部70を経て発射球貯留部60まで張り巡らされた糸部材が、発射球貯留部60から打ち出された第2遊技球の進行に伴って発射通路110方向へ引っ張られる際に、糸部材挟み部10を構成するカッター部材30の切り込み部33に入り込むことで、この糸部材は切断されるか又は切り込み部44の内奥部より先への進行が妨げられる。
したがって、糸部材を操作しても、最早、遊技領域120に到達した第2遊技球を始動入賞口等へ入球させることができず、糸部材によって2個連結された遊技球を用いた不正行為を適切に防止することができるのである。
(変形例)
上述の実施の形態では、糸部材挟み部10は、本体枠F2の表面に設けられていたが、これに限定されるものではなく、蓋部材80の裏面に糸部材挟み部10を設け、蓋部材80を閉じると、球誘導部70内に糸部材挟み部10が配設されるようにしてもよい。
また、糸部材挟み部10は、球入口71の上流側に設けるのではなく、球入口71と球出口72の間や、球出口72の下流側に設けてもよい。
また、上述の実施の形態では、カッター部材30における2つの挟み片のうち、一方の挟み片32を、カッター部材30の表面から下方に折り曲げ、挟み片32の先端が他方の挟み片31の先端よりも下側に位置するように形成していたが、これに限定されるものではなく、挟み片31をカッター部材30の表面から下方に折り曲げ、挟み片31の先端が挟み片32の先端よりも下側に位置するように形成してもよい。
また、挟み片31及び挟み片32のいずれか一方をカッター部材30の表面から上方に折り曲げ、一方の先端が他方の先端よりも上側に位置するように形成してもよい。
このように形成した場合であっても、上述の実施の形態と同様の効果を奏することとなる。
また、上述の実施の形態では、糸部材挟み部10は、カッター部材30、取り付けガイド部材40及びベースガイド部材20の3つの別部材により構成されていたが、これに限定されるものでない。たとえば、一体成型を行うことでカッター部材30、取り付けガイド部材40及びベースガイド部材20を一部材として形成し、これにより糸部材挟み部10を構成してもよい。
このように形成した場合には、上述の実施の形態と同様の効果を奏するとともに、本体枠F2への糸部材挟み部10の取り付けが容易となる。
また、上述の実施の形態では、第1遊技球をファール球とすることにより行われる不正行為を防止する糸部材挟み部10のみが設けられていたが、これに限定されるものではなく、上述の糸部材挟み部10に加え、第1遊技球を遊技領域120に到達可能な発射強度で打ち出す(すなわち、第1遊技球を遊技領域120に到達させる)ことにより行われる不正行為を防止する糸部材挟み部も設けるようにしてもよい。たとえば、上述の糸部材挟み部10に加え、発射装置50の球発射端部上に糸部材を挟み込むための糸部材挟み部を設けてもよい。
このように、遊技球を遊技領域120に到達させることにより行われる不正行為を防止する第1の糸部材挟み部と、遊技球を遊技領域120に到達させないことにより行われる不正行為を防止する第2の糸部材挟み部とを、遊技球が移動可能な経路上に設けることで、種々の不正行為を適切に防止することができるのである。
なお、第1の糸部材挟み部及び第2の糸部材挟み部は、遊技球が移動可能な経路上に設けられていれば、いずれを上流側に配置してもよいが、第1の糸部材挟み部を第2の糸部材挟み部よりも上流側に配置するのが望ましい。
(第二の実施の形態)
次に、第二の実施の形態について説明する。ここでは、主に、第一の実施の形態に係るパチンコ機Pとの相違点について詳細に説明し、第一の実施の形態に係るパチンコ機Pと同一の構成については説明を簡略化又は省略するものとする。なお、カッター部材30、ベースガイド部材20及び取り付けガイド部材40が備える各構成については、第一の実施の形態における各構成と異なる符号を付し、それ以外については第一の実施の形態と同一の符号を付すものとする。
本実施の形態に係るパチンコ機Pの本体枠F2の右下方には、図8に示すように、発射装置50が設けられている。また、発射装置50の右方には、下スピーカSP2が設けられている。さらに、本体枠F2の下部には、発射球貯留部60と、発射球貯留部60に連通する球誘導部70とが設けられており、発射装置50から発射される遊技球は球誘導部70を経て、遊技盤100の発射通路110へと到達するようになっている。
また、図8に示すように、球誘導部70の右下部には、球入口71が設けられているとともに、球入口71の左下方には、球出口72が設けられている。球入口71に受け入れられた遊技球は、本体枠F2の表側から裏側に誘導された後、球出口72に到達し、本体枠F2の裏側から表側へ誘導される(図11参照)。そして、球出口72から誘導された遊技球は、球排出路73を経て、前扉Dの裏側から下皿700へと排出される(図11参照)。
なお、球誘導部70は、図8に示すように、蓋部材80によって正面側から覆われている。蓋部材80は、本体枠F2に着脱自在に取り付けられており、蓋部材80を本体枠F2に取り付けた状態(球誘導部70を覆った状態)で、本体枠F2の正面と蓋部材80の裏面との間に形成される空間部が、球誘導部70となっている。
また、本実施の形態では、蓋部材80の裏面に糸部材挟み部10が設けられており、蓋部材80を本体枠F2に取り付けると、球誘導部70の途中に糸部材挟み部10が配設されるようになっている(図8参照)。
(糸部材挟み部10)
本実施の形態における糸部材挟み部10は、蓋部材80を本体枠F2に取り付けた状態で、球誘導部70の途中であって球入口71の左上方(すなわち、球入口71の上流側)に配設されるようになっている(図8及び図11参照)。また、本実施の形態では、取り付けガイド部材40は蓋部材80の裏面に設けられており、カッター部材30を嵌め込んだ状態のベースガイド部材20を取り付けガイド部材40に取り付けることで蓋部材80の裏面に糸部材挟み部10が設けられ、この蓋部材80を本体枠F2に取り付けることで、糸部材挟み部10が本体枠F2に取り付けられることとなる(図8、図9及び図10参照)。
本実施の形態におけるカッター部材30は、第一の実施の形態とほぼ同様の構成となっている。具体的には、カッター部材30は、図10に示すように、金属製の略長方形状の薄板(プレート)であって、長手方向の一方の端部には切り込み部33aが設けられているとともに、この切り込み部33aを挟んで2つの挟み片31a,32aが設けられている。また、隣接する2つの挟み片における一方の挟み片32aは、カッター部材30の表面から下方に折り曲げられている(図10参照)。
そして、切り込み部33aへ入り込んだ糸部材は、切断されるか又は切り込み部33aの内奥部よりも先への進行が妨げられることとなる。
本実施の形態における取り付けガイド部材40は、蓋部材80の裏面に設けられた板状部材であり、図10(B)及び図11に示すように、蓋部材80の裏面から突設し、かつ蓋部材80を本体枠F2に取り付けた状態で左方(発射球貯留部60と反対の方向)へ延びる延設部40bを備えている。
延設部40bは、図10(B)に示すように、上下に配設された一組の略台形状の板部材である上側延設片40c及び下側延設片40dを備えている。また、上側延設片40cには、図10(B)に示すように、奥側端部をL字状に切り欠いた切り欠き部47aが形成されており、この切り欠き部47aは、蓋部材80を本体枠F2に取り付けた状態で奥方向(本体枠F2の表面側)を向く切り欠き面41aと、切り欠き面41aの左端から左手前方向へ傾斜する傾斜切り欠き面42aとを備えている。また、下側延設片40dにも、上述と同様の構成の切り欠き部47bが形成されており、この切り欠き部47bは、上述と同様の構成の切り欠き面41bと傾斜切り欠き面42bとを備えている(図10(B)参照)。また、上側延設片40cと下側延設片40dとの間には、カッター部材30の側部を嵌め込み可能な嵌め込み溝44が形成されている(図10(B)参照)。
また、取り付けガイド部材40には、ベースガイド部材20と取り付けガイド部材40とをネジ止めするためのネジ孔43aが形成されたボス43bが設けられている(図10(B)参照)。
本実施の形態におけるベースガイド部材20は、取り付けガイド部材40に取り付けられる部材であり、図10(B)に示すように、固定板20cと、固定板20cの外縁から突設する延設部20dとを備えている。
固定板20cは、図10(B)に示すように、正面視略L字形状の板部材であり、ベースガイド部材20と取り付けガイド部材40とをネジ止めするためのネジ孔23aが形成されている。そして、固定板20cを取り付けガイド部材40における所定の取り付け位置(特に図示しておらず)に位置させると、固定板20cのネジ孔23aと取り付けガイド部材40のボス43bに形成されたネジ孔43aとが合致し、ネジ孔23a及びネジ孔43aにネジVを螺合させることで、ベースガイド部材20と取り付けガイド部材40とがネジ止めされるようになっている。
延設部20dは、固定板20cの外縁から当該固定板20cと直交する方向に突設する板状部材であり、ベースガイド部材20を取り付けガイド部材40に取り付けた状態で、取り付けガイド部材40の延設部40bと対向するようになっている(図9及び図10(B)参照)。
この延設部20dには、図8〜図10に示すように、ベースガイド部材20を取り付けガイド部材40に取り付けた状態で、取り付けガイド部材40の切り欠き面41aと対向する端面21aと、端面21aの左端から左奥方向へ向けて傾斜する傾斜端面22aと、が設けられている。また、端面21aには、図8〜図10に示すように、ベースガイド部材20を取り付けガイド部材40に取り付けた状態で正面方向へ向けて開口する凹溝24aが形成されている。
凹溝24aには、カッター部材30の側部を嵌め込むことが可能となっており、凹溝24aにカッター部材30aの一方の側部を嵌め込んだ状態で、固定板20cを取り付けガイド部材40における上述の取り付け位置に位置させると、取り付けガイド部材40の嵌め込み溝44にカッター部材30の他方の側部が嵌め込まれることとなる(図9及び図10(B)参照)。そして、ベースガイド部材20と取り付けガイド部材40とをネジ止めすることで蓋部材80の裏面に糸部材挟み部10が設けられ、この蓋部材80を本体枠F2に取り付けることで糸部材挟み部10が本体枠F2に取り付けられることとなり、ひいては、カッター部材30が本体枠F2に取り付けられることとなる。
また、カッター部材30は、ベースガイド部材20を取り付けガイド部材40に取り付けた状態で、挟み片31a,32aが設けられた端部が左方を向いた状態で、凹溝24a及び嵌め込み溝44に嵌め込まれるようになっている(図8〜図10参照)。
また、ベースガイド部材20を取り付けガイド部材40に取り付けると、図9に示すように、取り付けガイド部材40における切り欠き部47aの切り欠き面41aと、ベースガイド部材20における延設部20dの端面21aとが、所定幅の間隙を介して対向するとともに、この間隙に、凹溝24a及び嵌め込み溝44に嵌め込まれたカッター部材30の切り込み部33aが位置するようになっている。
また、ベースガイド部材20を取り付けガイド部材40に取り付けた状態で蓋部材80を本体枠F2に取り付けると、本体枠F2の表面と糸部材挟み部10を構成するベースガイド部材20の固定板20cとが当接するとともに、球誘導部70における糸部材挟み部10の右側から上側を経て左側にかけては、発射球貯留部60に連通し、かつ発射通路110に連通する上側空間部70cが形成され、球誘導部70における糸部材挟み部10の左側から下側にかけては、上側空間部70cに連通し、かつ球入口71に連通する下側空間部70dが形成される(図11参照)。
本実施の形態における下側空間部70dは、第一の実施の形態における下側空間部70bと異なり、発射球貯留部60とは直接連通しておらず、上側空間部70cを介して発射球貯留部60に至るようになっている(図11参照)。
そのため、発射装置50から発射された遊技球は、発射強度が十分な場合には、上側空間部70c及び発射通路110を経て遊技領域120に到達するものの、発射強度が足りずに発射通路110や遊技領域120へ到達しなかった場合には必ず、上側空間部70cから下側空間部70dを経て球入口71に到達する。
次に、糸部材によって2個連結された遊技球を用いた不正行為が行われた際における、本実施の形態の糸部材挟み部10による糸部材の切断又は挟み込みについて説明する。
上述の不正行為を行うに際して、発射球貯留部60から打ち出された第1遊技球は、上側空間部70cにおける糸部材挟み部10の右側及び上側の空間を進行するものの、発射通路110や遊技領域120に到達することなく自重により落下し、上側空間部70cにおける糸部材挟み部10の上側及び左側の空間を経て、下側空間部70dに到達し、さらに、この下側空間部70dを経て糸部材挟み部10の右下方に位置する球入口71に受け入れられる(図11参照)。そして、球入口71に受け入れられた第1遊技球は、本体枠F2の裏側を通って球出口72から本体枠F2の表側に出て、球排出路73を経て下皿700に到達する(図11参照)。
また、第1遊技球と第2遊技球とを繋ぐ糸部材は、第1遊技球が上述の経路を移動するに伴って、第2遊技球が位置する上皿600又は発射球貯留部60から、上側空間部70cにおける糸部材挟み部10の右側の空間、上側空間部70cにおける糸部材挟み部10の上側の空間、上側空間部70cにおける糸部材挟み部10の左側の空間及び下側空間部70d、球入口71及び球出口72を経て、下皿700まで、第1遊技球によって引っ張られることとなる(図11参照)。
ここで、本実施の形態における糸部材挟み部10は、球誘導部70における球入口71の左上方に位置している。したがって、上述のように第1遊技球によって引っ張られる糸部材は、球入口71の方向へ向けての張力が加えられた状態で、糸部材挟み部10の傾斜切り欠き面42a又は傾斜端面22aに当接した後、傾斜切り欠き面42a又は傾斜端面22aに案内されて切り欠き面41aと端面21aとの間に間隙に到達し、さらには、間隙内に位置しているカッター部材30の切り込み部33aに入り込むこととなる。そして、糸部材は、カッター部材30の挟み片31a,32aに挟み込まれた状態で切り込み部33aの内奥部へ向けて進行し、切断されるか又は内奥部より先への進行が妨げられることとなる。
以上のように、本形態に係るパチンコ機Pによれば、糸部材によって2個連結された遊技球を用いた不正行為が行われる場合において、糸部材が、第1遊技球の移動に伴って球入口71方向へ引っ張られる際に、糸部材挟み部10を構成するカッター部材30の切り込み部33aに入り込むことで、この糸部材は切断されるか又は切り込み部33aの内奥部より先への進行が妨げられる。
したがって、第2遊技球が遊技領域120に到達した後、糸部材を操作しても、最早、第2遊技球を始動入賞口等へ入球させることができず、糸部材によって2個連結された遊技球を用いた不正行為を適切に防止することができるのである。
(変形例)
上述の実施の形態では、糸部材挟み部10は、蓋部材80の裏面に設けられていたが、これに限定されるものではなく、本体枠F2の表面に設けてもよい。
また、糸部材挟み部10は、球入口71の上流側に設けるのではなく、球入口71と球出口72の間や、球出口72の下流側に設けてもよい。
また、カッター部材30の挟み片31a,32aについては、第一の実施の形態の変形例と同様に、挟み片31aをカッター部材30の表面から下方に折り曲げ、挟み片31aの先端が挟み片32aの先端よりも下側に位置するように形成してもよい。また、挟み片31a及び挟み片32aのいずれか一方をカッター部材30の表面から上方に折り曲げ、一方の先端が他方の先端よりも上側に位置するように形成してもよい。
このように形成した場合であっても、上述の実施の形態と同様の効果を奏することとなる。
また、糸部材挟み部10については、第一の実施の形態の変形例と同様に、一体成型を行うことでカッター部材30、取り付けガイド部材40及びベースガイド部材20を一部材として形成し、これにより糸部材挟み部10を構成してもよい。
このように形成した場合には、上述の実施の形態と同様の効果を奏するとともに、蓋部材80への糸部材挟み部10の取り付けが容易となる。
また、第一の実施の形態の変形例と同様に、第1遊技球をファール球とすることにより行われる不正行為を防止する糸部材挟み部10のみならず、上述の糸部材挟み部10に加え、第1遊技球を遊技領域120に到達可能な発射強度で打ち出すことにより行われる不正行為を防止する糸部材挟み部(たとえば、発射装置50の球発射端部上に設けられた糸部材挟み部等)も設けるようにしてもよい。これにより、種々の不正行為を適切に防止可能となる。
P パチンコ機 F2 本体枠
10 糸部材挟み部 20 ベースガイド部材
30 カッター部材 40 取り付けガイド部材
50 発射装置 60 発射球貯留部
70 球誘導部 71 球入口
80 蓋部材
100 遊技盤 110 発射通路
120 遊技領域 600 上皿
700 下皿

Claims (1)

  1. 遊技球が流下する遊技領域が設けられた遊技盤と、
    遊技球を貯留する発射球貯留部と、
    前記発射球貯留部に貯留された遊技球を発射する発射装置と、を備え、
    前記発射装置によって所定の発射強度以上で発射された遊技球が、前記遊技領域へ到達可能に形成されている遊技機であって、
    前記発射球貯留部に連通し、前記発射装置によって発射された遊技球が前記遊技領域の方向へ移動可能であり、かつ前記発射装置によって発射された遊技球のうち前記遊技領域へ到達しなかった遊技球が前記遊技領域の方向と異なる所定方向へ移動可能な球誘導部と、
    前記球誘導部に連通し、前記遊技領域へ到達しなかった遊技球を当該球誘導部を介して遊技機の外部へ至らせる球出口と、
    糸部材を挟み込むことが可能な糸部材挟み部と、を備え、
    前記糸部材挟み部は、前記球誘導部内における前記発射装置から発射された遊技球が前記遊技領域へ至るまでの間には通過しないものの、前記遊技領域へ至らずに前記球出口に至るまでの間において通過する経路中であって、糸部材の一端が固着された遊技球が前記発射球貯留部に貯留され、かつ当該糸部材の他端を前記球誘導部を介して前記球出口まで至らせた状態で当該遊技球を前記遊技領域へ向けて発射した際に、当該遊技球の移動に追従する糸部材を挟み込むことが可能な位置に設けられていることを特徴とする遊技機。
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