以下、本発明に係る遊技機の実施形態として、遊技場等に設置されるパチンコ機を図面に沿って説明する。なお、後述する各実施の形態では、本発明の遊技機を所謂第1種特別電動役物を使用したパチンコ機として述べるが、本発明はこれに限らず、所謂第2種特別電動役物や所謂第3種特別電動役物等を使用したパチンコ機にも適用可能であることは勿論である。
図1は、本発明に係る実施の形態におけるパチンコ機1の外部構造を示す正面図である。本パチンコ機(遊技機)1は、同図に示すように、発射ハンドル9の操作による発射装置72(図3参照)の作動で遊技球(所謂パチンコ玉)を遊技盤7の遊技領域7aに向かって打ち出しつつ遊技を行うもので、所謂確率変動等の大当たりが発生した状態でアタッカー17に入球した遊技球に対応する数の遊技球を払い出すように構成されている。上記確率変動当たり(「確変当たり」とも言う)とは、抽選の結果、確変モードの大当たりが当選したとき、少なくとも当該確変モードによる遊技状態において次なる大当たりを引くまでの間、遊技者に有利な付加価値を付与し得る特殊状態を意味する。これに対し、当該特殊状態にならない大当たりとして「通常当たり」がある。
図1に示すように、本実施形態におけるパチンコ機1は、開口を有する枠体状の筐体2と、この筐体2に開閉可能に装着された前扉3とを有しており、前扉3の前面には、透明ガラス6を有するガラス枠5が開閉可能に取り付けられている。透明ガラス6の奥側には、遊技盤7が配設されている。前扉3における遊技盤7の左右及び上部には演出用照明装置23が配設されており、前扉3における上部左右には夫々スピーカ(図示せず)を有する放音装置8が配設されている。また、ガラス枠5における右側部には、前扉3を筐体2側に施錠又は解放するための施錠装置4が配設されている。
そして、前扉3における下部中央には皿ユニット13が設けられており、皿ユニット13における右上部には、賞球及び貸球を含む遊技球が供給される球供給口18が設けられ、皿ユニット13における右上部には、球貸ボタン14a及びプリペイドカード返却ボタン14bが設けられている。皿ユニット13の中央部には、該皿ユニット13上の遊技球を球発射装置(図示せず)付近から皿ユニット下部の球排出口(図示せず)を通して下方に排出するための第1球抜きボタン20aと、皿ユニット13上の遊技球を球供給口18付近から上記球排出口を通して下方に排出するための第2球抜きボタン20bとが配置されている。
また、前扉3における皿ユニット13の右側下方には、上記球発射装置を操作して遊技球を遊技盤7に向けて打ち出すための発射ハンドル9が設けられ、皿ユニット13の左側下方には灰皿24が配設されている。なお、図1中の符号10は、発射ハンドル9の操作で発射された遊技球を遊技領域7aに導くガイドレールを示し、符号22はアウト口を示している。また、本パチンコ機1には、遊技中に遊技領域7aにて入賞することなく落下してアウト口22に入り込んだ遊技球をパチンコ機背面側に導くアウト球通路(図示せず)が設けられている。
遊技領域7aには、遊技球ステージ(ステージ部)Sを有するセンター飾り(ユニット役物)12が中央部分に配設されている。センター飾り12の中央には開口部11が形成されており、遊技盤7には、開口部11から画面31aを露出させた状態の図柄表示装置31が遊技盤裏面から装着されている。センター飾り12の下部左方には、大当たり抽選に寄与しない一般の入賞が行われる入賞口29,30が配設されており、センター飾り12の下方には、入賞口としての始動チャッカー16と、アタッカー17とが順次配設されている。
始動チャッカー16は、大当たり抽選実行の契機となり得る入賞が行われるものであり、開放位置と閉止位置とに開閉動作するように始動チャッカー開閉ソレノイド70(図5参照)によって作動させられる。始動チャッカー16の直上方には、所謂命釘としての一対の障害釘82が打ち込まれている。
アタッカー17は、大当たり発生時に開放され、遊技領域7aに打ち出されて転動落下する遊技球を入賞させるものであり、大当たり発生中、例えば、1回の開放で10個の入球を完了した時点で閉じ、当該開閉動作を15回繰り返すように構成される。なお、これらの入球数並びに開閉動作の回数は、10個や15回に限定されることはなく、必要に応じて適宜設定され得るものである。
遊技領域7aには、センター飾り12の左右上方に風車75が配設されており、遊技球ステージSの下方における始動チャッカー16の左側には、普通図柄作動ゲート(スルーゲート)84が配設されている。この普通図柄作動ゲート84は、始動チャッカー16を開閉動作させるための抽選の契機となる遊技球通過が行われる役物である。
そして、遊技領域7aにおける普通図柄作動ゲート84、入賞口29,30及び始動チャッカー16等の周囲には、遊技球ステージSから零れた遊技球や、発射されてから遊技球ステージSに関与せずに落下してくる遊技球を適宜散らし、或いは入球に導くようにするための障害釘81を含む多数の障害釘が打ち込まれている。
また、図1において風車75がセンター飾り12の左右上方に配設されているとして説明したが、これは1つの例であり、配設させる位置や数については遊技領域7a内において特に限定されるものではない。また、障害釘、スルーゲート、及び各種入賞口にあっても、配設させる位置や数について遊技領域7a内において特に限定されるものではない。
ついで、本パチンコ機1の背面構造について図2を参照して説明する。同図は、本パチンコ機1の背面構造を示す背面図である。
すなわち、図2に示すように、パチンコ機1の前扉3背面における上部左方には、賞球タンク28が取り付けられており、この賞球タンク28の下方に、サブ制御基板49、主制御基板40、及び払出し制御基板85がこの順に配設されている。このサブ制御基板49には演出制御用のマイクロコンピュータ等が搭載され、主制御基板40には全体制御用のマイクロコンピュータ等が搭載され、払出し制御基板85には遊技球払出制御を行う払出制御用のマイクロコンピュータ等が搭載されている。
また、前扉3背面における上部右方には、外部端子板87が取り付けられており、この外部端子板87の下方に、整列待機通路78、賞球装置79、賞球排出通路80、電源ユニット53、及び発射装置72(図5参照)用の発射制御基板88がこの順に配設されている。パチンコ機1の前扉3背面における左側部には、施錠装置4が配設されている。
次に、センター飾り12について、図3及び図4を参照して詳細に説明する。図3は当該パチンコ機に搭載されたセンター飾り内の可動部材32が閉じた状態を示す正面図、図4は図3の可動部材32が開いた状態を示す正面図である。
すなわち、図3に示すように、センター飾り12は、開口部11を中央部に有する略筒状の前枠体12aから形成されており、該前枠体12aの周囲には、その外方に張り出すようにブラケット部19が形成されている。このブラケット部19には不図示のネジ孔が形成されており、前枠体12aは遊技盤7にその前面側から埋め込まれた形でネジ止めされている。なお、センター飾り12には上記ブラケット部19以外にも複数のブラケット部が形成されているが図示は省略している。
また、センター飾り12には、図5に示す発光ダイオード(以下、LEDという)44が内蔵され、該LED44によって点灯や消灯等の演出を行う発光装置25が上部及び左右側部に配設され、更に、開口部11の下方に位置する遊技球ステージSと、開口部11の右斜め上部に位置する可動部材(立体造形物)32とが配設されている。
遊技球ステージSは、センター飾り12下部で左右幅方向に延在しており、遊技球ステージSの中央部に向かって左右両端からやや下降するような傾斜面41を有し、該傾斜面41は遊技球ステージSの手前側(図3の紙面手前側)にもやや下降するような傾斜を有している。遊技球ステージS左右端部の傾斜面41の上部には、遊技球ステージSの中央部に向かって管状に巻き込む形状のストッパ部材42がそれぞれに設けられている。また、遊技球ステージSの中央部となる傾斜面41の最下部には、緩やかな凹面を描く凹部43が形成され、遊技球ステージSの前面側(図3の紙面手前側)に向かってやや傾斜するように配設されている。従って、遊技球ステージS上に導入された遊技球は、始動チャッカー16(図1参照)の直上方に位置する上記凹部43から落下し、一対の障害釘82(図1参照)の間を通って始動チャッカー16にほぼ確実に(つまり、97〜99%の確率で)入賞するようになっている。
可動部材32は、卵を模した形状を呈しており、その頭頂部がセンター飾り12の右上部に位置し、可動部材32全体が頭頂部から左斜め下方に向かって約60°傾斜するように配設されている。これにより、可動部材32は、図柄表示装置31の右上部をやや覆った状態で配設されることとなる。この可動部材32の表面には、透明なプラスチック材料にてカバーされた円形状の貫通穴34a,34bが複数設けられている。
また、この可動部材32には、頭頂部から顎部に向かって緩やかな波状の亀裂35が形成されており、この亀裂35を境界として可動部材32は可動片(第1体)32aと可動片(第2体)32bとに接離される。より細かくは、この可動片32aが、後述する可動部材駆動ソレノイド(接離駆動部)36(図5参照)によって、所定の契機で矢印Aに示す方向に離反され、可動片32aと可動片32bとに接離されるものである。
可動片32aは、可動片32bと離反されて開状態となることによって、図4に示すような、センター飾り12の上部方向へと引き上げられる。このとき、可動片32aの貫通穴34aの奥にはLED45(図5参照)が配設されており、可動片32aが上記開状態となった際には図4に示すように点灯発光される。ここで、上記LED45に接続された各ハーネスは、常にセンター飾り12の奥側(図4の奥側)へと不図示の巻き取り装置によって接離動作に抵抗が無い程度に引っ張り付勢されているため、上記開状態となった際にあっても遊技者から視認されることはない。
また、可動片32aが上記開状態となった場合にあっても、可動片32bは元の位置に留まっており、これにより可動片32bの上部は開放された状態となる。従って、可動片32bの右上方端部に位置する案内口91からは、遊技領域7aに打ち出された遊技球が可動片32bの上部、すなわち案内路89内に導入可能となる。この可動片32bの上部には、案内口91から導入した遊技球を案内する案内通路(案内面)90が形成されている。
上記案内通路90上には、導入された遊技球が転動する方向に対して略々垂直な横方向をなす稜線状の起伏90aが形成されており、これによって案内通路90内に導入された遊技球が転動する際の加速が抑制されることとなる。そして、この案内通路90の左下方端部には、導入された遊技球を遊技球ステージSへと解放する放出口92が設けられている。
この可動片32bの貫通穴34bの奥には、可動片32aと同様、LED44(図5参照)が配設されており、上記可動片32bが開状態となった際には図4に示すような点灯発光がなされる。また、案内通路90の床面であって、案内口91の近傍、及び放出口92の近傍には、それぞれ近接センサ95が配設されており、案内通路90内に遊技球が入球していることを検知している間は可動片32a(及び可動片32b)を閉じないように、後述する遊技制御手段59(図5参照)によって制御されている。
また、不図示ではあるが、センター飾り12における右上方側、つまり上記案内口91の周囲及びその上方側にも、遊技球を適宜散らし、或いは入球に導くようにするための多数の障害釘が打ち込まれている。本パチンコ機1では、遊技領域7aに打ち出された遊技球を始動チャッカー16等に、案内通路90から遊技球ステージS等を介して入球させ又は遊技球ステージSを介さず直接入球させ得るように遊技が進められる。なお、一般的なパチンコ機におけるワープ導入路においては、そのワープ導入口付近に入球を拒ませるような障害釘が打ち込まれているが、本実施の形態における上記案内路89の案内口91付近には上記のような障害釘を設けなくともよい。これは、可動部材32が閉状態となることによって、案内通路90への遊技球の導入が適宜に抑制されることによる。
また、上記した「ワープ導入」という語句は、遊技領域7aに打ち出された遊技球を、当該遊技領域7aの比較的下側に位置する不図示の道釘等を経ることなく、始動チャッカー16の上に導くことを意味する概念である。また、上記「道釘」とは、遊技領域7aにおいて始動チャッカー16左右に打ち込まれた複数本の障害釘(図示せず)の列を意味するもので、上方から転動落下してきた遊技球を始動チャッカー16方向に導く役割を担っている。
また、不図示ではあるが、可動部材32と図柄表示装置31との間には、図柄表示装置31の画面31a全体を覆うようなアクリル樹脂等からなる透明な板部材を配設させることは勿論である。遊技球が、可動片32bの案内通路90を転動している際に脱落したり、遊技球ステージSに落下した際に跳ね返ったりすることによって画面31aに当接し、図柄表示装置31が破損するのを防ぐためである。
次に、本実施形態におけるパチンコ機1の制御系を図5に沿って説明する。図5は本パチンコ機1の全体の制御系を示すブロック図である。
すなわち、本制御系は、遊技制御装置54と、該遊技制御装置54に電気的に接続された、始動チャッカー開閉ソレノイド70、アタッカー開閉ソレノイド71、放音装置8、演出用照明装置23、図柄表示装置31、発射装置72、可動部材駆動ソレノイド36、演出用発光装置25におけるLED44、及びLED45と、を備えている。
遊技制御装置54は、図2に示した主制御基板40やサブ制御基板49等から構成されている。主制御基板40は、本パチンコ機1の動作全体を統括的に管理するものであり、当該パチンコ機1の動作全体を管理するシステムプログラム及び遊技用の実行プログラムが予め記憶されたROM(不図示)や、それらのプログラムを実行するCPU(不図示)等を備えている。サブ制御基板49は、主に画像表示、効果音等の演出、効果光等の表示制御を行うものであり、これらを作動制御するための実行プログラム等が予め記憶されたROM(不図示)や、それらのプログラムを実行するCPU(不図示)等を備えている。
遊技制御装置54は、入賞判定手段55、入賞信号出力手段56、抽選手段57、遊技制御手段59、保留手段60、作動制御手段61、作動判定手段62、作動決定手段63、演出制御手段64、表示制御手段65、及び発射制御手段66を備えている。
入賞判定手段55は、発射ハンドル9の操作で作動する発射装置72によって遊技領域7aに打ち出された遊技球が始動チャッカー16、入賞口29,30、アタッカー17等の何れかに入賞したとき、当該入賞があった旨を判定する。
入賞信号出力手段56は、入賞判定手段55によって入賞が判定されたとき、対応する始動チャッカー16、入賞口29,30、アタッカー17等に入賞した旨の入賞信号を出力する。
抽選手段57は、入賞信号出力手段56からの始動チャッカー16に対応する入賞信号の入力時、最大保留球数(例えば4個)未満での入賞を契機として、次なる大当たりを当選させるまで遊技者に有利な付加価値を付与し得る特殊状態となる確率変動当たり、及び上記特殊状態とならない通常当たりのうちの何れか一方に当選するように、不図示の抽選用メモリから当たり当選乱数値を取得して、大当たり抽選を実行する。
そして、抽選手段57は、大当たり抽選で確変当たりに当選した場合、不図示の演出用メモリに格納された演出乱数値に基づく抽選で、変動の結果、確変当たりに対応する「111」、「333」や「777」等の図柄が図柄表示装置31の大当たり有効ライン上で最終的に揃う旨の変動パターンを決定し、その旨の変動パターン信号を出力する。なお、上記「大当たり有効ライン」は、大当たりを得るため図柄が一列に並ぶべき位置(ライン)を意味する。
抽選手段57はまた、抽選手段57での大当たり抽選で通常当たりが当選した場合、演出乱数値に基づく抽選で、変動の結果、通常当たりに対応する「222」、「444」や「888」等の図柄が大当たり有効ライン上で最終的に揃う旨の変動パターンを決定し、その旨の変動パターン信号を出力する。抽選手段57は更に、抽選手段57での大当たり抽選で外れた場合、演出乱数値に基づく抽選で、変動の結果、外れに対応する「252」、「464」や「838」等の図柄が大当たり有効ライン上で最終的に揃う旨の変動パターンを決定し、その旨の変動パターン信号を出力する。
遊技制御手段59は、予め設定された演出データや、抽選手段57での抽選結果に応じて、放音装置8に放音の演出をさせる契機となる指令を演出制御手段64に送る。また、遊技制御手段59は、予め設定された演出データや、抽選手段57での抽選結果に応じて、演出用照明装置23、演出用発光装置25におけるLED44、LED45にそれぞれ発光の演出をさせる契機となる指令を演出制御手段64に送る。
また、遊技制御手段59は、予め設定された演出データや、抽選手段57での抽選結果に応じて、図柄表示装置31に表示すべき大当たり抽選に関連した演出内容に関する信号を、表示制御手段65に送信する。
更に、遊技制御手段59は、可動部材32の接離をさせる契機となる指令を演出制御手段64に送る。この場合の契機とは、図柄表示装置31での演出表示が、大当り抽選の表示を行っていない通常状態である場合に、可動部材32を略々一定周期(例えば約5秒間隔)で接離させることで開閉状態に移行させるタイミングをいう。
保留手段60は、抽選手段57から出力された変動パターン信号を入力し、変動パターンを、始動チャッカー16への入賞の都度に行われた抽選の結果となる保留球として順次記憶する。当該記憶状況は、大当たり抽選保留表示装置(図示せず)に、最大4個の保留球として点灯表示される。保留手段60は、例えば保留球数Hが0<H<5であるか否かを常時判定し、保留球数Hが4個表示されている間は、始動チャッカー16への入賞に拘わらず大当たり抽選は行わない。なお、保留球として点灯表示される保留球数は上記「最大4個」に限らず、例えば3個以下、又は5個以上として適宜設定することも可能である。
そして保留手段60は、保留(記憶)している変動パターンに係る信号を順次出力し、その変動パターン信号に基づく演出表示が終了するまでは次の変動パターン信号を出力しないようにするための図柄変動禁止フラグを立てる(オンする)と共に、当該オンした図柄変動禁止フラグを解除する時間を計測するための図柄変動タイマ(図示せず)をセットし、変動パターン信号の出力に応じて保留球数を1デクリメントする。また保留手段60は、保留球の消費に応じて保留球数HがH<4となった場合、抽選手段57で行われる始動チャッカー16への入賞に応答した大当たり抽選の結果を保留球として記憶し、保留球数を1インクリメントする。
作動制御手段61は、作動決定手段63の作動開始決定の旨の信号に基づき、始動チャッカー開閉ソレノイド70に駆動信号を送って該ソレノイド70を作動させ、始動チャッカー16を開放又は閉塞動作させる。更に作動制御手段61は、アタッカー開閉ソレノイド71に駆動信号を送って該ソレノイド71を作動させ、抽選手段57での抽選による大当たり発生時にアタッカー17を開放して所定数入賞が終了する(又は所定時間が経過する)毎に閉塞する動作を所定回数(所定ラウンド)だけ繰り返すように制御する。
作動判定手段62は、始動チャッカー開閉ソレノイド70及びアタッカー開閉ソレノイド71を作動させるための条件を満たすか否かを判定する。つまり、始動チャッカー開閉ソレノイド70にあって、始動チャッカー16の開閉の「条件を満たす」時とは、主制御基板85において抽選手段57の大当たり抽選とは別途行われる抽選で当選した場合である。アタッカー開閉ソレノイド71にあって、アタッカー17の開放の「条件を満たす」時とは、所謂リーチ(所謂スーパーリーチ、ノーマルリーチを含む)の状態から3つの同じ図柄が大当たり有効ライン上で揃って大当たりが発生した場合であり、アタッカー17の閉塞の「条件を満たす」時とは、大当たり発生時における全ての入賞を完了した場合である。
作動決定手段63は、作動判定手段62からの判定信号を受けて、始動チャッカー開閉ソレノイド70、アタッカー開閉ソレノイド71の作動開始をそれぞれに決定する。
演出制御手段64は、遊技制御手段59からの指令に応答して、放音装置8を放音駆動する。また、演出制御手段64は、遊技制御手段59からの指令に応答して、演出用照明装置23、演出用発光装置25におけるLED44、及びLED45を発光駆動し、遊技者の聴覚や視覚に訴える演出を適時に行う。
また、演出制御手段64は、遊技制御手段59からの指令に応答して、可動部材駆動ソレノイド36を駆動制御し、可動部材32を接離し開閉動作させる演出を行う。但し、上記開閉動作による演出中、可動部材32が開状態となった際には、演出制御手段64は案内通路90に配設された近接センサ95からの信号を監視し、案内通路90に導入された遊技球が全て放出口92から放出されたことを検知してから、可動部材32を閉状態へと動作させる。更に、演出制御手段64は、可動部材32が開状態となった際に、貫通穴34a,34bの奥側に配設されたLED45をも発光駆動することにより、遊技者の視覚に訴える演出を行う。
表示制御手段65は、遊技制御手段59からの信号に従って、図柄表示装置31に演出による映像データを表示制御することにより、大当たり抽選結果を中心とした内容等の演出を、遊技者の視覚に訴えるように演出表示させる。
発射制御手段66は、発射ハンドル9の操作に応答して発射装置72を作動させ、不図示のハンマーの動作で遊技球を遊技領域7aに向けて順次打ち出させる。
また、始動チャッカー開閉ソレノイド70は、作動制御手段61から送信された駆動信号に応答してプランジャ(図示せず)を進退動作させて、始動チャッカー16を開閉動作させる。アタッカー開閉ソレノイド71は、作動制御手段61から送信された駆動信号に応答してプランジャ(図示せず)を進退動作させて、アタッカー17を開閉動作させる。
放音装置8は、演出制御手段64の制御に従ってスピーカ(図示せず)を駆動させ、演出に応じた音声(例えば、音楽、効果音、人や動物の声)を発する。演出用照明装置23は、演出制御手段64の制御に従ってその内蔵する電飾ランプ(図示せず)を発光駆動(点灯、点滅)させ、演出に応じた照明を行う。図柄表示装置31は、表示制御手段65の表示制御に従って、所定の演出や抽選手段57での抽選結果に応じた映像データを演出表示する。
発射装置72は、発射制御手段66からの発射制御信号に応答して不図示のハンマーを作動させ、遊技球を順次遊技領域7aに打ち出す。
可動部材駆動ソレノイド36は、演出制御手段64からの駆動信号に応答してプランジャ(図示せず)を進退動作させて、可動部材32を接離し開閉動作させる。LED44は、演出制御手段64からの発光駆動信号に応答して発光駆動(点灯、点滅)し、演出用発光装置25を発光演出させる。LED45は、演出制御手段64からの発光駆動信号に応答して発光駆動(点灯、点滅)し、可動部材32における可動片32a,32bを発光演出させる。
次に、本パチンコ機1による作用について、図6のフローチャートを併せて参照しつつ説明する。
すなわち、本パチンコ機1に対面して着座した遊技者が発射ハンドル9を握り、適宜の角度に回動操作すると(ステップS1)、発射制御手段66がその回転角に基づいて発射装置72を制御し、それにより、該発射装置72の作動で遊技球を所定の時間間隔で遊技領域7aに向けて連続的に発射させる。すると、遊技領域7aに打ち出されて転動落下する多数の遊技球は、始動チャッカー16や入賞口29,30に適時入賞し、或いは、これらに関与せずに転動落下して、遊技領域7a最下部のアウト口22から遊技盤7背面側に排出される。
上述したように、始動チャッカー16や入賞口29,30の何れかに遊技球Baが入賞した場合、入賞判定手段55が当該入賞を判定し、且つ入賞信号出力手段56が入賞信号を出力する(ステップS2)。この際、保留手段60は、保留球Hが0<H<5であるか否かを常時判定しており、0<H<5を満たすと判定したときには、保留している変動パターンに係る信号を、遊技制御手段59を介して表示制御手段65に順次送信し、図柄変動禁止フラグをオンすると共に、図柄変動タイマをセットし、変動パターン信号の送信に応じて保留球数を1デクリメントする。また保留手段60は、当該保留球の消費に応じて保留球数HがH<4となった場合、抽選手段57で行われる始動チャッカー16への入賞に応じた大当たり抽選の結果を保留球として記憶し、保留球数を1インクリメントする。
そして、ステップS3にて、大当たり抽選で当選した場合には、抽選手段57が当たりフラグをオンすると、抽選手段57が、演出用メモリに格納された演出乱数値に基づく抽選で、大当たりの種別、つまり確変当たり又は通常当たりに対応する変動パターンを決定する。
これにより、ステップS4において、図柄表示装置31に表示されるべき当たり図柄がセットされ、抽選手段57は、その旨の変動パターン信号を出力すると共に、当該変動パターン信号に基づく演出表示が終了するまでは次の変動パターン信号を送信しないようにするために図柄変動禁止フラグをオンし、当該オンした図柄変動禁止フラグを解除する時間を計測するための図柄変動タイマをセットし、変動パターン信号の送信に応じて保留球数を1デクリメントする。
一方、ステップS3にて、大当たり抽選で外れた場合には、演出用メモリに格納された演出乱数値に基づく抽選で、変動の結果、外れに対応する図柄が最終的に揃う旨の変動パターンが決定される。これにより、図柄表示装置31に表示される外れ図柄がセットされ、抽選手段57は、その旨の変動パターン信号を出力すると共に、図柄変動禁止フラグをオンし、図柄変動タイマをセットし、変動パターン信号の送信に応じて保留球数を1デクリメントする。
以上のようにして、遊技制御手段59が、図柄表示装置31に表示すべき演出内容に関する信号を、表示制御手段65に送信することに基づき、表示制御手段65は、図柄表示装置31を適時に表示制御し、大当たり抽選結果に関する内容等を、遊技者の視覚に訴えるように演出表示することとなる(ステップS5)。
そして、図柄表示装置31の画面上に表れた抽選結果が大当たり決定である場合、作動制御手段61は、作動決定手段63の作動開始決定の旨の信号に基づき、所定のタイミングでアタッカー開閉ソレノイド71に駆動信号を送り、当該ソレノイド71を作動させてアタッカー17を開放し、所定数入賞が終了する(又は所定時間が経過する)毎に閉塞する動作を所定回数(所定ラウンド)だけ繰り返させる。これにより、アタッカー17に入賞した遊技球に対応する多量の遊技球が球供給口18から皿ユニット13に払い出されることとなる(ステップS6)。
一方、上記した遊技の流れとは別に、上記ステップS1における通常の遊技中(大当り抽選の表示中ではない状態)にあっては、可動部材32は、遊技制御手段59からの指令によって約5秒間隔の周期で可動片32aと可動片32bとが接離され、その開閉動作がなされる。
この開閉動作中において、可動部材32が、図3に示したような、図柄表示装置31の右上方の一部を覆った閉状態にある場合には、遊技制御手段59は、表示制御手段65によって図柄表示装置31の露出した領域に適宜な演出表示を行わせることにより、閉状態にある可動部材32と相乗効果が生じるような雰囲気が醸し出される。
また、可動部材32を、図4に示したような開状態とする際には、遊技制御手段59が、その旨の指令を演出制御手段64に送信し、該指令を受信した演出制御手段64が、可動部材駆動ソレノイド36を駆動制御することによって、可動片32aが矢印Aの向きに離反されることとなる。このように、可動片32aが離反された際、閉状態の際に隠れていた図柄表示装置31における右上方の領域が露出し、該領域を使った演出表示、例えば可動部材32であるマスクをかぶっている人間の口元がその間に現れる等、の演出表示が行われる。
なお、上記した以外にも、可動部材32が開状態となった際には、可動部材32が覆っていた図柄表示装置31の右上方の領域に、印象的な演出表示等を行う仕様としてもよい。これにより、可動部材32を備えていない従来のパチンコ機に比して、図柄表示装置31による演出表示を一層引き立たせることが可能となり、遊技者の注目を引く新奇な演出を実現させることができるようになる。
一方、可動部材32が、上記したような開状態となった際には、可動片32aは、センター飾り12の中央上部側へと離反され、演出制御手段64によってLED45が点灯されることによって、可動片32aに配設された貫通穴34aがそれぞれ発光状態とされる。
また、可動片32aがセンター飾り12の中央上部側へと離反することにより、可動片32bの右上方端部、つまり案内口91がセンター飾り12の右上方に向けて開口されることとなる。このとき、遊技領域7aに打ち出された遊技球が案内口91から案内路89内に導入されると、案内通路90に形成されている全体的な傾斜に沿って左下方へと転動する。この案内通路90上には稜線状の起伏90aが横方向(図4の紙面奥行き方向)に形成されており、転動する遊技球はこれら幾つかの凸部を上り下りすることによってその勢いが弱められ、適度な速度で転動を続け、放出口92から放出される。該放出口92から放出された遊技球は、遊技球ステージSに向けて落下当接することによって遊技球ステージSへと到達する。
次いで、遊技球ステージS上へ到達した遊技球は、その到達した際の勢いによって該遊技球ステージSの左右端部のストッパ部材42に当接するなどし、遊技球ステージSの中央部に向かう傾斜を有した傾斜面41上を左右幅方向に揺動する。遊技球は、その揺動する勢いが徐々に弱まってきた際に、遊技球ステージSの中央部へと寄っていき、遊技球ステージSの手前側(図1の紙面手前側)への傾斜を有した凹部43から始動チャッカー16に向けて落下し、該始動チャッカー16に高確率で入賞する。この際、障害釘82への当接状況によっては、始動チャッカー16に入賞できないこともある。一方、凹部43からではなく傾斜面41から直接に落下する遊技球Baは、始動チャッカー16と異なる方向に向かう。この際、当該遊技球Baは、落下方向が、始動チャッカー16上の一対の障害釘82の間を通過して入球し得る方向と異なっても、障害釘82の左右に打ち込まれた所謂ジャンプ釘(図示せず)や、このジャンプ釘から左右方向に配列された道釘(図示せず)で弾き返されることで、障害釘82に絡んでその間を落下して始動チャッカー16に入球することもある。
以上説明した本実施の形態においては、パチンコ機1が、遊技球Baを受ける遊技球ステージSを有したセンター飾り12を備え、該センター飾り12には可動部材32が配設される。この可動部材32は、可動片32aと可動片32bとから構成されており、これら可動片32aと可動片32bとは可動部材駆動ソレノイド36により接離される。そして、この可動部材32が、可動部材駆動ソレノイド36によって可動片32aと可動片32bとに離反された際には、遊技球Baを遊技球ステージSへと案内する案内路89が形成され、遊技者に対してこれまでにない新奇で装飾性の高い演出を提供することができるようになる。
また、センター飾り12内に配設される可動部材32が、遊技球Baを案内する案内路89となり、両者が一体に形成されることによって、センター飾り12内で占有される空間が節約されることとなる。これにより、パチンコ機1を設計する際の仕様の幅を広げることができるようになると共に、その製造時の組み付けに要する手間を省くことができるようになる。
また、センター飾り12が、遊技領域7aの前面に向けて開口した開口部11を有し、該開口部11に配設される図柄表示装置31を備え、センター飾り12が、図柄表示装置31の一部を覆った状態に配設されてなる。これにより、可動部材32の接離される動作や、接離された後の可動片32aと可動片32bとによって形成される案内路89の演出が、図柄表示装置31の前面側で行われることとなり、遊技者の注意を引くと共に遊技者に対してこれまでにない新奇で装飾性の高い演出を提供することができるようになる。また、案内通路90を転動する遊技球Baと図柄表示装置31の演出表示とを連動させるように演出させることができるようになり、遊技者はこれら両者を一時に視界に収めることが可能となる。
また、可動部材32が、案内路89が傾斜方向となるように、かつ可動片32aに対して可動片32bが下方側に配置され、可動片32bは、可動片32aと接離し、かつ遊技球Baが転動する案内通路90を有し、案内通路90は、遊技球Baが転動する方向に対して横方向の稜線状の起伏90aを有するように形成されてなる。これにより、可動片32aもしくは可動片32bに形成される案内通路90上を遊技球Baが転動する際、転動方向に対して略々垂直な横方向をなす稜線状の起伏90aによって遊技球Baの加速が抑えられ、遊技者は遊技球Baが転動する様子を無理なく視認することができるようになる。また、案内通路90上を転動した遊技球Baが、遊技球ステージSに導入される際の速度が抑えられることにより、遊技球ステージSを破損させたりすることなく、適度な速度で演出されるようになる。
なお、以上説明した実施の形態においては、可動部材32がセンター飾り12内に配設されるとして説明を行ったが、センター飾り12内に限らず、遊技領域7a中のいずれの場所に備えられていてよいことは勿論である。
以上、本発明をその好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明の遊技機は、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施した遊技機も、本発明の範囲に含まれる。