JP6669491B2 - グラフト共重合体、二次電池用バインダ組成物、二次電池用セパレータ、二次電池およびグラフト共重合体の製造方法 - Google Patents

グラフト共重合体、二次電池用バインダ組成物、二次電池用セパレータ、二次電池およびグラフト共重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、グラフト共重合体、二次電池用バインダ組成物、二次電池用セパレータ、二次電池およびグラフト共重合体の製造方法に関する。
近年、各種電子機器の小型化と軽量化が進むにつれ、これらの電子機器の電源用として使用する二次電池は高容量化、小型化および軽量化などの各種性能が要求されてきている。リチウムイオン(lithium ion)二次電池は、高い電圧、長い寿命、高いエネルギー(energy)密度などの長所を有するため、広く利用されている。
これらリチウムイオン二次電池の性能向上を目的としてリチウムイオン二次電池を構成する各構成材料の研究が活発に行われている。このうち、セパレータ(separator)材料に関しては、ポリオレフィン(polyolefin)基材上に機能層を設けることで耐熱性や強度を向上させる提案がなされている。例えば、多孔質ポリエチレン基材上にセラミック(ceramic)粒子とバインダ(binder)樹脂からなる多孔質層(セパレータコーティング(separator coating)層)を形成することが提案されている。このような構成により、ポリエチレン(polyethylene:PE)の溶融温度以上の高温となってもセパレータの体積変化が抑制され、電池の短絡が防止される。
このようなセパレータへのコーティング層付与による電池の高機能化においては、コーティング層の構成材料となるバインダ樹脂によって付与される特性が大きく異なる。代表的なバインダ樹脂としては、ビニリデンジフルオリドとフッ素系モノマーから主に構成されるフッ化ビニリデン(vinylidene fluoride)系高分子(PVDF系高分子)とアクリルモノマーから構成されるアクリレート(acrylate)系高分子とに大別される。PVDF系高分子は、電気化学的安定性やイオン伝導性に優れるものの、アクリレート系高分子と比較して極性官能基の含有量が低いためセラミック粒子間の結着力およびセパレータ基材への接着力に劣る欠点がある。一方、アクリレート系高分子はセラミック粒子間の結着力は十分であるが、PVDF系高分子と比較して極性官能基を多く有するため、電気化学的安定性が低く電池の内部環境において分解されやすいという問題がある。
これらの問題を解決する方法としてはPVDF系高分子とアクリレート系高分子の複合化が考えられる。その一つとして、特許文献1では、PVDF系高分子とアクリレート系高分子の間で相互侵入網目構造(IPN(interpenetrating polymer network)構造)を形成させる手法が提案されている。また、特許文献2および特許文献3では、PVDF系高分子鎖からアクリレート系モノマー(monomer)を原子移動ラジカル(radical)重合させることで、PVDF系高分子からアクリレート系高分子をグラフト化(grafting)させる手法が提案されている。
特開2014−89970号公報 特開2015−106564号公報 特開2014−186895号公報
しかしながら、特許文献1で提案されるIPN構造を有する複合化高分子は、純粋なPVDF系高分子と比較して融点が著しく低下したり、場合によっては結晶性を失っていることが多い。また、このような複合化高分子は、PVDF系ポリマーの結晶性に由来する耐酸化性や耐熱性といった特徴が損なわれる懸念が高い。
また、特許文献2および特許文献3に記載される高分子は、PVDF系高分子が主鎖骨格となるためPVDF系高分子の特徴の一つである結晶性が保持される。したがって、これらの文献に記載される高分子は、理論上は、耐熱性や電気化学的安定性の観点で理想的なバインダ材料だと考えられる。
しかしながら、本発明者らが検討した結果、アクリレート系単位の数平均重合度が30を超えるほどの長鎖のグラフト鎖をPVDF系高分子から生長させることは困難であることがわかった。グラフト化されるアクリレート系高分子の鎖長が短い場合、主鎖のPVDF系高分子の機械特性は、大幅には改善されず、高分子全体の柔軟性や結着剤としての接着性を大きく向上させることも難しい。
また、特許文献2および特許文献3に記載の高分子は、以下に説明するように製造法に起因した問題により、十分にその特性を発揮することができない。
まず、同文献に記載の製造方法においては、電気化学的安定性の低いアクリレート系高分子の単独鎖の副生が懸念される。同文献に記載の手法では、ラジカル開始能の低いPVDF系高分子鎖中のC−Cl結合から重合を開始させるために80℃以上の高温で重合反応を実施する必要があり、この結果、熱によってアクリレートモノマーの単独重合が生じる可能性が高い。
次に、同文献に記載の製造方法においては、重合触媒として金属ハライド(halide)を使用する。また特に、特許文献2に記載の製造方法においては、主鎖に塩素、臭素またはヨウ素が置換されたPVDF系高分子を使用する。この場合、原子移動ラジカル重合の結果、アクリレートグラフト鎖の末端にC−ClもしくはC−Br結合が生成することを免れない。これにより、得られた高分子の電気化学的安定性が低下する。
さらに、得られた重合生成物から、重合触媒の遷移金属(例えば、銅、鉄)を完全に除去することが困難である。電池の構成部材に常磁性の金属である銅および鉄が残存すると、電池長期使用時の信頼性が損なわれる。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、強い接着力および高い電気化学的安定性を有する、新規かつ改良されたグラフト共重合体、二次電池用バインダ組成物、前記グラフト共重合体を用いた二次電池用セパレータおよび二次電池、ならびに前記グラフト共重合体の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、主鎖に、下記式(I)で表される繰り返し単位と、下記式(II)で表される繰り返し単位とを含む、グラフト共重合体が提供される。
式中、
Gは、下記式(a)で表されるグラフト鎖であり、
およびRは、独立して、水素原子または炭素数の1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル(alkyl)基もしくはフルオロアルキル(fluoroalkyl)基であり、
およびRは、独立して、水素原子、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、ヒドロキシアルキル(hydroxyalkyl)基、フルオロアルキル基もしくはエポキシアルキル(epoxyalkyl)基、またはポリアルキレンオキシド(polyalkylene oxide)鎖であり、
は、前記グラフト鎖の末端基であり、
mは、任意の自然数である。
この観点によるグラフト共重合体は、強い接着力および高い電気化学的安定性を有する。
ここで、グラフト共重合体は、さらに、下記(III)で表される繰り返し単位を含んでもよい。
上記式中、
は、水素原子、フッ素原子、フルオロアルキル基またはトリフルオロメトキシ基である。
この観点によるグラフト共重合体は、強い接着力および高い電気化学的安定性を有する。
さらに、グラフト共重合体は、下前記グラフト共重合体に対し、10〜70質量%の前記グラフト鎖を含んでもよい。
この観点によるグラフト共重合体は、強い接着力および高い電気化学的安定性を有する。
また、グラフト共重合体は、グラフト鎖における繰り返し単位の数平均重合度は、30以上であってもよい。
この観点によるグラフト共重合体は、より一層強い接着力を有する。
またグラフト共重合体は、前記式(I)で表される繰り返し単位と前記式(II)で表される繰り返し単位とを含んで構成される主鎖の数平均重合度が1000以上であってもよい。
この観点によるグラフト共重合体は、より一層高い電気化学的安定性を有する。
またグラフト共重合体は、臭素原子または塩素原子と炭素原子との結合を有さなくてもよい。
この観点によるグラフト共重合体は、より一層高い電気化学的安定性を有する。
本発明の他の観点によれば、上記グラフト共重合体を含む二次電池用バインダが提供される。
この観点による二次電池用バインダは、強い接着力および高い電気化学的安定性を有する。
本発明の他の観点によれば、上記グラフト共重合体を含む二次電池用セパレータが提供される。
この観点による二次電池用セパレータは、高い電気化学的安定性及び強い接着力を有するグラフト共重合体を用いて作製されている。したがって、このセパレータを用いて二次電池を作製することで、二次電池の耐久性を向上させることができる。
ここで、二次電池用セパレータは、無機粒子をさらに含んでいてもよい。
この観点による二次電池用セパレータは、無機粒子を含む。したがって、このセパレータを用いて二次電池を作製することで、二次電池の耐久性をさらに向上させることができる。
本発明の他の観点によれば、上記のセパレータを備えることを特徴とする、二次電池が提供される。
この観点による二次電池は、高い耐久性を有する。
本発明の他の観点によれば、上記のグラフト共重合体を製造する方法であって、
下記式(I)で表される繰り返し単位と下記式(IV)で表される繰り返し単位とを含む共重合体に対し、下記式(V)で表される化合物をカップリング反応によりグラフト重合させる工程を有する、グラフト共重合体の製造方法が提供される。
上記式中、
およびRは、独立して、水素原子または炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基もしくはフルオロアルキル基であり、
およびRは、水素原子、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、フルオロアルキル基もしくはエポキシアルキル基、またはポリアルキレンオキシド鎖であり、
は、前記グラフト鎖の末端基であり、
Aは、水素原子または一価の有機もしくは無機カチオン(cation)であり、
Xは、Cl、BrまたはIであり、
mは、任意の自然数である。
以上説明したように本発明によれば、強い接着力および高い電気化学的安定性を有するグラフト共重合体、二次電池用バインダ組成物、前記グラフト共重合体を用いた二次電池用セパレータおよび二次電池、ならびに前記グラフト共重合体の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係るリチウムイオン二次電池の構成を示す側断面図である。 二次電池のセパレータの熱収縮評価において用いられるサンプルを示す模式図である。 本発明の実施形態に係るグラフト共重合体の一例の示差走査熱量分析結果を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.グラフト共重合体>
まず、本実施形態に係るグラフト共重合体について説明する。
本実施形態に係るグラフト共重合体は、主鎖に、下記式(I)で表される繰り返し単位と、下記式(II)で表される繰り返し単位とを含む。
式中、
Gは、下記式(a)で表されるグラフト鎖であり、
およびRは、独立して、水素原子または炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基もしくはフルオロアルキル基であり、
およびRは、独立して、水素原子、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、フルオロアルキル基もしくはエポキシアルキル基、またはポリアルキレンオキシド鎖であり、
は、前記グラフト鎖の末端基であり、
mは、任意の自然数である。
上記グラフト共重合体は、フッ化ビニリデン骨格を主鎖に有するため、電気化学的安定性やイオン伝導性に優れる。一方で、上記グラフト共重合体は、グラフト鎖としてアクリレート系の側鎖を有するため、セラミック粒子間の結着力およびセパレータ基材への接着力も優れている。さらに、上記グラフト共重合体は、後述する方法によって製造することができ、グラフト重合時にハロゲン原子や遷移金属元素を用いる必要がない。このため、グラフト共重合体中においては、C−Cl、C−Br、C−Iといった結合が好適に排除されている。また、得られたグラフト共重合体を含む組成物中に触媒由来の遷移金属元素が含まれない。したがって、上記グラフト共重合体は、フッ化ビニリデン骨格およびアクリレート系の側鎖の特性が十分に発揮されるものとなる。この結果、このようなグラフト共重合体を、二次電池用バインダとしてセパレータ等に用いた場合、適用された部材、例えばセパレータの耐熱性および密着性が向上するとともに、二次電池の安全性が向上し、高電圧下における二次電池の寿命が長くなる。
およびRにおいて、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル(methyl)基、エチル(ethyl)基、n−プロピル(propyl)基、n−ブチル(n−butyl)基、n−ペンチル(n−pentyl)基、n−ヘキシル(n−hexyl)基、n−ヘプチル(n−heptyl)基、n−オクチル(n−octyl)基、n−ノニル(n−nonyl)基、n−デシル(n−decyl)基、n−ウンデシル(n−undecyl)基、n−ドデシル(n−dodecyl)基、n−トリデシル(n−tridecyl)基、n−テトラデシル(n−tetradecyl)基、n−ペンタデシル(n−pentadecyl)基、n−ヘキサデシル(n−hexadecyl)基、n−ヘプタデシル(n−heptadecyl)基、n−オクタデシル(n−octadecyl)基、n−ノナデシル(n−nonadecyl)基、n−イコシル(n−icosyl)基等の直鎖アルキル基およびイソプロピル(isopropyl)基、イソブチル(isobutyl)基、sec−ブチル(sec−butyl)基、tert−ブチル(tert−butyl)基、1−メチルブチル(1−methylbutyl)基、2−メチルブチル(2−methylbutyl)基、3−メチルブチル(3−methylbutyl)基、1,1−ジメチルプロピル(1,1−dimethylpropyl)基、1,2−ジメチルプロピル(1,2−dimethylpropyl)基、1−エチルプロピル(1−ethylpropyl)基、1−メチルペンチル(1−methylpentyl)基、2−メチルペンチル(2−methylpentyl)基、3−メチルペンチル(3−methylpentyl)基、4−メチルペンチル(4−methylpentyl)基、1,1−ジメチルブチル(1,1−dimethylbutyl)基、1,2−ジメチルブチル(1,2−dimethylbutyl)基、2,2−ジメチルブチル(2,2−dimethylbutyl)基、2,3−ジメチルブチル(2,3−dimethylbutyl)基、3,3−ジメチルブチル(3,3−dimethylbutyl)基、1−メチル−1−エチルプロピル(1−methyl−1−ethylpropyl)基、2−メチル−1−エチルプロピル(2−methyl−1−ethylpropyl)基、1−メチル−2−エチルプロピル(1−methyl−2−ethylpropyl)基、1,1,2−トリメチルプロピル(1,1,2−trimethylpropyl)基、1,2,2−トリメチルプロピル(1,2,2−trimethylpropyl)基等の分岐状アルキル基が挙げられる。
また、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状のフルオロアルキル基としては、上述したアルキル基の1以上の水素原子がフッ素原子に置換したものが挙げられる。炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状のフルオロアルキル基としては、より具体的には、モノ、ジまたはパーフルオロメチル(mono,di or perfluoromethyl)基、モノ、ジ、トリ、テトラまたはパーフルオロエチル(mono,di,tri,tetra or perfluoroethyl)基、モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサまたはパーフルオロプロピル(mono,di,tri,tetra,penta,hexa or perfluoropropyl)基等の直鎖状フルオロアルキル基や、モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサまたはパーフルオロイソプロピル(mono,di,tri,tetra,penta,hexa or perfluoroisopropyl)基、モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタまたはパーフルオロイソブチル(mono,di,tri,tetra,penta,hexa,hepta,octa or perfluoroisobutyl)基、モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタまたはパーフルオロ−sec−ブチル(mono,di,tri,tetra,penta,hexa,hepta,octa or perfluoro−sec−butyl)基、モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタまたはパーフルオロ−tert−ブチル(mono,di,tri,tetra,penta,hexa,hepta,octa or perfluoro−tert−butyl)基等の分岐状フルオロアルキル基が挙げられる。
また、上述したアルキル基およびフルオロアルキル基の炭素数は、上述した範囲内であればよいが、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3である。
およびRは、上述した基であれば、特に限定されないが、独立して、水素原子または炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐状のアルキル基もしくはフルオロアルキル基であることが好ましく、水素原子または炭素数1〜5の直鎖アルキル基もしくはフルオロアルキル基であることがより好ましく、水素原子あるいはメチル基またはトリフルオロメチル基であることがさらに好ましく、水素原子またはメチル基であることがより一層好ましい。
およびRにおけるアルキル基およびフルオロアルキル基としては、上述したRおよびRにおける基と同様とすることができる。
また、RおよびRにおいて、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状のヒドロキシアルキル基としては、上述したアルキル基の1以上の水素原子が水酸基により置換された基が挙げられる。
このようなヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル(hydroxymethyl)基、1−または2−ヒドロキシエチル(1− or 2−hydroxyethyl)基、1−、2−または3−ヒドロキシ−n−プロピル(1−、2− or 3−hydroxy−n−propyl)基、1−、2−、3−または4−ヒドロキシ−n−ブチル(1−、2−、3− or 4−hydroxy−n−butyl)基、1−、2−、3−、4− or 5−ヒドロキシ−n−ペンチル(1−、2−、3−、4− or 5−hydroxy−n−pentyl)基等の直鎖ヒドロキシアルキル基、および1−または2−ヒドロキシイソプロピル(1− or 2−hydroxyisopropyl)基、1−、2−または3−ヒドロキシイソブチル(1−、2− or 3−hydroxyisobutyl)基、sec−ブチル(1−、2− or 3−hydroxy−sec−butyl)基、1−ヒドロキシメチルプロピル(1−hydroxymethylpropyl)基、1−または2−ヒドロキシ−tert−ブチル(1− or 2−hydroxy−tert−butyl)基等の分岐状ヒドロキシアルキル基が挙げられる。
また、RおよびRにおいて、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状のエポキシアルキル基としては、上述したアルキル基の1以上の水素原子がエポキシ(epoxy)基により置換された基が挙げられる。
このようなエポキシアルキル基としては、例えば、エポキシメチル(epoxymethyl)基(グリシジル(glycidyl)基)、1−または2−エポキシエチル(1− or 2−epoxyethyl)基、1−、2−または3−エポキシ−n−プロピル(1−、2− or 3−epoxy−n−propyl)基、1−、2−、3−または4−エポキシ−n−ブチル(1−、2−、3− or 4−epoxy−n−butyl)基、1−、2−、3−、4− or 5−エポキシ−n−ペンチル(1−、2−、3−、4− or 5−epoxy−n−pentyl)基等の直鎖エポキシアルキル基、および1−または2−エポキシイソプロピル(1− or 2−epoxyisopropyl)基、1−、2−または3−エポキシイソブチル(1−、2− or 3−epoxyisobutyl)基、1−、2−または3−エポキシ−sec−ブチル(1−、2− or 3−epoxy−sec−butyl)基、1−エポキシメチルプロピル(1−epoxymethylpropyl)基、1−または2−エポキシ−tert−ブチル(1− or 2−epoxy−tert−butyl)基等の分岐状エポキシアルキル基が挙げられる。
また、RおよびRにおいて、ポリアルキレンオキシド鎖としては、ポリエチレンオキシド鎖、ポリプロピレンオキシド鎖、およびブチレンオキシド鎖等の無置換ポリアルキレンオキシド鎖、ならびにこれらの1以上の水素原子がアルキル基に置換された置換ポリアルキレンオキシド鎖が挙げられる。
およびRは、上述した基であれば、特に限定されないが、独立して、炭素数1〜10の直鎖または分岐状のアルキル基またはフルオロアルキル基であることが好ましく、水素原子または炭素数1〜10の直鎖または分岐状のアルキル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基またはn−ペンチル基であることがさらに好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基またはn−ペンチル基であることがより一層好ましい。
は、グラフト鎖の末端基である。またRは、グラフト鎖となるアクリレート系重合体の製造工程における末端基に相当するため、重合開始剤に由来する原子団や、重合中の連鎖移動によって生じる水素原子である。
において、重合開始剤に由来する原子団としては、例えば、アルキル基、アルコシキ基、フェニル基、スルホン酸基、イソブチロニトリル基、アルキルイソブチレート基、アルキルカーボネート基、フェニルカーボネート基、2−メチルブタンニトリル基、2,4−ジメチルペンタンニトリル基、4−メトキシ−2,4−ジメチルペンタンニトリル基、シクロヘキサンカルボニトリル基、イソブチルイミダジン基、2−イソプロピル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール基、アルキル−1,1−ジビニルベンゼン基、2,2−ジフェニルアセトニトリル基、ナフタレン基、アルキル2−フェニルアセテート基、アルキルボラン基、アルキル(アルコキシ)−ボラン基等が挙げられる。なお、上記原子団中の「アルキル」基、「アルコキシ」基の炭素数や具体例としては、上述したものが挙げられる。
mは、任意の自然数であれば特に限定されないが、例えば5〜1000、好ましくは15〜500、より好ましくは30〜100である。
また、上記式(a)において、グラフト鎖Gの数平均重合度は、特に限定されないが、例えば、20以上、好ましくは30以上、より好ましくは30〜60であることができる。このようにグラフト鎖Gを比較的長くすることにより、グラフト共重合体によるバインダの部材への接着力、粒子等の結着力をより優れたものとすることができる。
また、上記式(a)で表されるグラフト鎖のアクリル系重合体の重合様式は、特に限定されず、当該アクリル系重合体は、アクリレートモノマーから構成される単独重合体、ランダム共重合体、交互共重合体またはブロック共重合体であることができる。
また、グラフト共重合体は、上述した式(I)で表される繰り返し単位と、式(II)で表される繰り返し単位に加え、他の繰り返し単位を含んでいてもよい。このような繰り返し単位としては、例えば、下記式(III)で表される繰り返し単位が挙げられる。
上記式中、
は、水素原子、フッ素原子、フルオロアルキル基またはトリフルオロメトキシ基である。
は、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐状のフルオロアルキル基またはトリフルオロメトキシ基であることが好ましく、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基であることがより好ましく、トリフルオロメチル基であることがさらに好ましい。
本実施形態に係るグラフト共重合体は、式(I)で表される繰り返し単位と、式(II)で表される繰り返し単位と、下記式(III)で表される繰り返し単位との含有量の合計が、グラフト共重合体に対し、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
特に好ましくは、本実施形態に係るグラフト共重合体は、本質的に式(I)で表される繰り返し単位および式(II)で表される繰り返し単位からなり、または式(I)で表される繰り返し単位および式(II)で表される繰り返し単位からなり、あるいは、本質的に式(I)で表される繰り返し単位、式(II)で表される繰り返し単位および下記式(III)で表される繰り返し単位からなり、または式(I)で表される繰り返し単位、式(II)で表される繰り返し単位および下記式(III)で表される繰り返し単位からなる。
また、グラフト共重合体の式(I)で表される繰り返し単位と式(II)で表される繰り返し単位とを含んで構成される主鎖の数平均重合度は、特に限定されないが、好ましくは、1000以上であり、より好ましくは、1,500〜15,000であり、さらに好ましくは2,000〜13,000である。
また、グラフト共重合体中における式(I)で表される繰り返し単位と式(II)で表される繰り返し単位とのモル比は、特に限定されないが、例えば、99.1:0.9〜90.0:10.0、好ましくは99.5:0.5〜95.0:5.0であることができる。
上記のグラフト共重合体の重合様式は、特に限定されず、例えば、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合であることができる。
また、グラフト共重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは、100,000〜5,000,000であり、さらに好ましくは200,000〜3,000,000である。
また、グラフト共重合体は、当該グラフト共重合体に対し、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは15〜60質量%のグラフト鎖Gを含むことが好ましい。これにより、グラフト鎖Gに起因する部材への接着性、粒子等の結着性を特に優れたものとしつつ、グラフト共重合体の電気化学的安定性を特に優れたものとすることができる。
また、グラフト共重合体は、好ましくは臭素原子または塩素原子と炭素原子との結合、より好ましくはフッ素原子以外とのハロゲン原子と炭素原子との結合を有さないことが好ましい。これにより、グラフト共重合体の電気化学的安定性を特に優れたものとすることができる。
<2.グラフト共重合体の製造方法>
次に、上述したグラフト共重合体の製造方法について説明する。
本実施形態に係るグラフト共重合体の製造方法は、下記式(I)で表される繰り返し単位と下記式(IV)で表される繰り返し単位とを含む共重合体に対し、下記式(V)で表される化合物をカップリング反応によりグラフト重合させる工程を有する。
上記式中、
〜Rおよびmは、上述した通りであり、
Aは、水素原子または一価の有機もしくは無機カチオンであり、
Xは、Cl、BrまたはIである。
また、Aにおける一価の有機もしくは無機カチオンとしては特に限定されず、例えば、Na、K、Li等の無機カチオンや、アンモニウム、トリエチルアンモニウム等の有機カチオンが挙げられる。
なお、上記式(I)で表される繰り返し単位と上記式(IV)で表される繰り返し単位とを含む共重合体は、他の繰り返し単位、例えば、上記式(III)で表される繰り返し単位を含んでいてもよい。
上記式(I)で表される繰り返し単位と上記式(IV)で表される繰り返し単位とを含む共重合体は、公知の方法、例えば対応する単量体のラジカル重合法により得ることができる。また、式(V)で表される化合物の前駆体も同様に、公知の方法、例えば対応する単量体のラジカル重合法ならびにイオン重合法により得ることができる。なお、いずれの方法においても、適宜共重合体、化合物の修飾を行ってもよい。
上記工程における溶媒としては、各種基質および触媒を溶解可能であれば特に限定されず、適宜公知の溶媒を使用することができる。
また、上記工程におけるカップリング反応のための触媒としては、特に限定されないが、有機アミン化合物を用いることが好ましい。このような有機アミン化合物としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(1,8−Diazabicyclo[5.4.0]−7−undecene)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(1,5−Diazabicyclo[4.3.0]−5−nonene)、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(1,5,7−Triazabicyclo[4.4.0]deca−5−ene)、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。
また、上記工程におけるカップリング反応のための触媒量としては、特に限定されないが、上記式(I)で表される繰り返し単位と上記式(IV)で表される繰り返し単位とを含む共重合体中における式(IV)中のカルボキシル基に対して、好ましくは0.5〜2.0モル等量であり、より好ましくは0.8〜1.2モル等量である。
また、上記工程におけるカップリング反応のための触媒として、遷移金属を含む触媒を用いないことが好ましい。これにより、得られるグラフト共重合体を含む組成物中に遷移金属が残存することが防止され、最終的に製造される二次電池の長期使用における信頼性を高めることができる。
上記工程におけるカップリング反応の反応時間は、特に限定されないが、例えば、30分〜48時間、好ましくは1〜24時間とすることができる。
また、上記工程におけるカップリング反応の反応温度は、特に限定されないが、例えば、10〜80℃、好ましくは20〜60℃とすることができる。
以上説明した本実施形態に係るグラフト共重合体の製造方法によれば、本実施形態に係るグラフト共重合体を効率よく、かつ収率よく製造することができる。また、本実施形態に係るグラフト共重合体の製造方法によって製造されるグラフト共重合体には、フッ素原子以外のハロゲン原子と炭素原子との結合が含まれないものとなる。さらに、本実施形態に係るグラフト共重合体の製造方法では、遷移金属を含む触媒を使用する必要がなく、遷移金属が残存しないグラフト共重合体組成物を製造することができる。したがって、本実施形態に係るグラフト共重合体の製造方法によって得られたグラフト共重合体は、フッ素原子以外のハロゲン原子や遷移金属の存在による二次電池の性能の低下を防止することが可能である。
また、本実施形態に係るグラフト共重合体の製造方法によれば、比較的長鎖のグラフト鎖、例えば、数平均重合度30以上のグラフト鎖を有するグラフト共重合体を製造することができる。したがって、本実施形態に係るグラフト共重合体の製造方法を用いる場合、グラフト共重合体の設計の自由度が高いものとなる。これに対し、特許文献2、3に記載される方法では、このような長鎖のグラフト鎖を導入することが困難であった。
<3.二次電池用バインダ組成物>
次に、本実施形態に係る二次電池用バインダ組成物について説明する。本実施形態に係る二次電池用バインダ組成物は、上述した本実施形態に係るグラフト共重合体を含む。
上述した本実施形態に係るグラフト共重合体は、接着力、結着力および電気安定性に優れている。したがって、本実施形態に係る二次電池用バインダ組成物は、二次電池におけるあらゆるバインダとして使用できる。例えば、二次電池用バインダ組成物は、セパレータ用バインダ、電極用バインダであることができる。
特に二次電池用バインダ組成物をセパレータ用バインダとして用いた場合、上述したグラフト共重合体は、熱に対する収縮、膨潤が抑制され、二次電池用バインダ組成を含むコーティング層のセパレータ基材に対する接着性および電極に対する密着性が特に優れたものとなる。
また、特に二次電池用バインダ組成物を電極用バインダとして用いた場合、電極合剤の集電体およびセパレータに対する優れた密着性および、他の部材の膨張、収縮に追従可能な優れた柔軟性が発揮される。
なお、二次電池用バインダ組成物は、上述したグラフト共重合体に加え、他のバインダを含むこともできる。このようなバインダとしては、後述する正極活物質層22に用いられるバインダや公知の各種バインダが挙げられる。
しかしながら、二次電池用バインダ組成物は、上述した上記グラフト共重合体を主として含むことが好ましく、本質的に上述した上記グラフト共重合体からなることがより好ましく、上述した上記グラフト共重合体からなることがさらに好ましい。これにより、上述した上記グラフト共重合体の特性が製造される二次電池において効果的に発揮される。
より具体的には、二次電池用バインダ組成物は、当該二次電池用バインダ組成物中、上記グラフト共重合体を50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上含む。
<4.二次電池および二次電池用セパレータ>
(リチウムイオン二次電池の構成)
次いで、図1に基づいて、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池10の構成について説明する。図1に示すリチウムイオン二次電池10は、本発明に係る二次電池の一例である。なお、以下、上述したグラフト共重合体がセパレータ40におけるバインダとして使用されるものとして説明する。
リチウムイオン二次電池10は、正極20と、負極30と、セパレータ40と、非水電解液とを備える。リチウムイオン二次電池10の充電到達電圧(酸化還元電位)は、例えば4.3V(vs.Li/Li)以上5.0V以下、特に4.5V以上5.0V以下となる。リチウムイオン二次電池10の形態は、特に限定されない。即ち、リチウムイオン二次電池10は、円筒形、角形、ラミネート(laminate)形、ボタン(button)形等のいずれであってもよい。
正極20は、集電体21と、正極活物質層22とを備える。集電体21は、導電体であればどのようなものでも良く、例えば、アルミニウム(aluminium)、ステンレス(stainless)鋼、及びニッケルメッキ(nickel coated)鋼等で構成される。
正極活物質層22は、少なくとも正極活物質を含み、導電剤と、バインダとをさらに含んでいてもよい。正極活物質は、例えばリチウムを含む固溶体酸化物であるが、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵及び放出することができる物質であれば特に制限されない。固溶体酸化物は、例えば、LiMnCoNi(1.150≦a≦1.430、0.45≦x≦0.6、0.10≦y≦0.15、0.20≦z≦0.28)、LiMnCoNizO(0.3≦x≦0.85、0.10≦y≦0.3、0.10≦z≦0.3)、LiMn1.5Ni0.5となる。
導電剤は、例えばケッチェンブラック(Ketjenblack)、アセチレンブラック(acetylene black)等のカーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛等であるが、正極の導電性を高めるためのものであれば特に制限されない。
バインダは、例えばポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride)、エチレンプロピレンジエン(ethylene−propylene−diene)三元共重合体、スチレンブタジエンゴム(Styrene−butadiene rubber)、アクリロニトリルブタジエンゴム(acrylonitrile−butadiene rubber)、フッ素ゴム(fluororubber)、ポリ酢酸ビニル(polyvinyl acetate)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリエチレン(polyethylene)、ニトロセルロース(cellulose nitrate)等であるが、正極活物質及び導電剤を集電体21上に結着させることができるものであれば、特に制限されない。また、バインダは、上述したグラフト共重合体を含んでいてもよい。
正極活物質層22は、例えば、以下の製法により作製される。すなわち、まず、正極活物質、導電剤、及びバインダを乾式混合することで正極合剤を作製する。ついで、正極合剤を適当な有機溶媒に分散させることで正極合剤スラリー(slurry)を作製し、この正極合剤スラリーを集電体21上に塗工し、乾燥、圧延することで正極活物質層が作製される。
負極30は、集電体31と、負極活物質層32とを含む。集電体31は、導電体であればどのようなものでも良く、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、及びニッケルメッキ鋼等で構成される。負極活物質層32は、リチウムイオン二次電池の負極活物質層として使用されるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、負極活物質層32は、負極活物質を含み、バインダをさらに含んでいてもよい。負極活物質は、例えば、黒鉛活物質(人造黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛と天然黒鉛との混合物、人造黒鉛を被覆した天然黒鉛等)、ケイ素もしくはスズもしくはそれらの酸化物の微粒子と黒鉛活物質との混合物、ケイ素もしくはスズの微粒子、ケイ素もしくはスズを基本材料とした合金、及びLiTi12等の酸化チタン系化合物等が考えられる。ケイ素の酸化物は、SiO(0≦x≦2)で表される。負極活物質としては、これらの他に、例えば金属リチウム等が挙げられる。バインダは、正極活物質層22を構成するバインダと同様のものでもある。正極活物質とバインダとの質量比は特に制限されず、従来のリチウムイオン二次電池で採用される質量比が本実施形態でも適用可能である。
負極活物質層32は、例えば、以下の製法により作製される。すなわち、まず、負極活物質、及びバインダを乾式混合することで負極合剤を作製する。ついで、負極合剤を適当な溶媒に分散させることで負極合剤スラリー(slurry)を作製し、この負極合剤スラリーを集電体31上に塗工し、乾燥、圧延することで負極活物質層32が作製される。
セパレータ(separator)40は、基材40aと、コーティング層40bとを含む。基材40aは、特に制限されず、リチウムイオン二次電池のセパレータとして使用されるものであれば、どのようなものであってもよい。基材40aとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。基材40aを構成する樹脂としては、例えばポリエチレン(polyethylene),ポリプロピレン(polypropylene)等に代表されるポリオレフィン(polyolefin)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate),ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate)等に代表されるポリエステル(Polyester)系樹脂、PVDF、フッ化ビニリデン(VDF)−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル(par fluorovinyl ether)共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン(trifluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン(fluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン(hexafluoroacetone)共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン(ethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン(propylene)共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン(trifluoro propylene)共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)−ヘキサフルオロプロピレン(hexafluoropropylene)共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン(ethylene)−テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)共重合体等を挙げることができる。
コーティング層40bは、無機粒子と、バインダとを含む。本実施形態に係る無機粒子としては、例えば高い耐熱性を有する無機粒子が挙げられる。このような無機粒子の具体例としては、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、チタンの酸化物及びこれらの水酸化物が挙げられる。高い耐熱性を有する無機粒子をセパレータ40に含めることで、リチウムイオン二次電池10のサイクル特性が改善される。無機粒子の粒径は特に制限されず、リチウムイオン二次電池10に使用される無機粒子の粒径であれば特に制限されない。
バインダは、無機粒子をコーティング層40b内、すなわちセパレータ40内に保持するものである。本実施形態のバインダは、上述したような二次電池用バインダ組成物で構成され、より具体的には、本実施形態に係る共重合体を含む。
セパレータ40は、例えば、以下の製法により作製される。すなわち、まず、無機粒子分散液及びバインダ溶液を用意する。無機粒子分散液の溶媒は、無機粒子を分散させることができるものであれば特に制限されない。無機粒子分散液の溶媒は、バインダ溶液の溶媒と同じであることが好ましい。バインダ溶液の溶媒は、バインダを溶解することができれば特に制限されない。このような溶媒としては、例えば、アセトンやN−メチルピロリドン(NMP)等が挙げられる。そして、無機粒子分散液及びバインダ溶液を混合することでスラリーを作製する。スラリーは、バインダ溶液の溶媒と同じものを任意に添加することで、無機粒子及びバインダの濃度を調整してもよい。また、スラリーには、他の種類のバインダ、をさらに添加してもよい。そして、スラリーを基材40a上に展開(例えば塗工)し、乾燥することでコーティング層40bを作製する。基材40aはスラリーに浸漬されてもよい。これらの工程により、セパレータ40を作製する。なお、図1では、コーティング層40bは基材40aの表面にのみ形成されているが、コーティング層40bは、基材40aの細孔内にも形成されていてもよい。
非水電解液は、従来からリチウム二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。非水電解液は、非水溶媒に電解質塩を含有させた組成を有する。非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(propylene carbonate)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate)、ブチレンカーボネート(ethylene carbonate)、クロロエチレンカーボネート(chloroethylene carbonate)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate)等の環状炭酸エステル(ester)類;γ−ブチロラクトン(butyrolactone)、γ−バレロラクトン(valerolactone)等の環状エステル類;ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate)、エチルメチルカーボネート(ethyl methyl carbonate)等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル(methyl formate)、酢酸メチル(methyl acetate)、酪酸メチル(butyric acid methyl)等の鎖状エステル類;テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran)またはその誘導体;1,3−ジオキサン(dioxane)、1,4−ジオキサン(dioxane)、1,2−ジメトキシエタン(dimethoxyethane)、1,4−ジブトキシエタン(dibutoxyethane)、メチルジグライム(methyl diglyme)等のエーテル(ether)類;アセトニトリル(acetonitrile)、ベンゾニトリル(benzonitrile)等のニトリル(nitrile)類;ジオキソラン(Dioxolane)またはその誘導体;エチレンスルフィド(ethylene sulfide)、スルホラン(sulfolane)、スルトン(sultone)またはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、電解質塩としては、例えば、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF,LiPF6−x(CnF2n+1[但し、1<x<6,n=1または2]、LiSCN、LiBr、LiI、LiSO、Li10Cl10、NaClO、NaI、NaSCN、NaBr、KClO、KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、(CHNBF、(CHNBr、(CNClO、(CNI、(CNBr、(n−CNClO、(n−CNI、(CN−maleate、(CN−ベンゾアート(benzoate)、(CN−フタラート(phthalate)、ステアリルスルホン酸リチウム(stearyl sulfonic acid lithium)、オクチルスルホン酸リチウム(octyl sulfonic acid)、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム(dodecyl benzene sulphonic acid)等の有機イオン塩等が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。なお、電解質塩の濃度は、従来のリチウム二次電池で使用される非水電解液と同様でよく、特に制限はない。本実施形態では、適当なリチウム化合物(電解質塩)を0.8〜1.5mol/L程度の濃度で含有させた非水電解液を使用することができる。
なお、非水電解液には、各種の添加剤を添加してもよい。このような添加剤としては、負極作用添加剤、正極作用添加剤、エステル系の添加剤、炭酸エステル系の添加剤、硫酸エステル系の添加剤、リン酸エステル系の添加剤、ホウ酸エステル系の添加剤、酸無水物系の添加剤、及び電解質系の添加剤等が挙げられる。これらのうちいずれか1種を非水電解液に添加しても良いし、複数種類の添加剤を非水電解液に添加してもよい。
(リチウムイオン二次電池の製造方法)
次に、リチウムイオン二次電池10の製造方法について説明する。正極20は、以下のように作製される。まず、正極活物質、導電剤、及びバインダを混合したものを、溶媒(例えばN−メチル−2−ピロリドン)に分散させることでスラリーを作製する。次いで、スラリーを集電体21上に展開(例えば塗工)し、乾燥させることで、正極活物質層22を作製する。なお、塗工の方法は、特に限定されない。塗工の方法としては、例えば、ナイフコーター(knife coater)法、グラビアコーター(gravure coater)法等が考えられる。以下の各塗工工程も同様の方法により行われる。次いで、プレス(press)機により正極活物質層22をプレスする。これにより、正極20が作製される。
負極30も、正極20と同様に作製される。まず、負極活物質、及びバインダを混合したものを、溶媒(例えばN−メチル−2−ピロリドン、水)に分散させることでスラリーを作製する。次いで、スラリーを集電体31上に展開(例えば塗工)し、乾燥させることで、負極活物質層32を作製する。次いで、プレス機により負極活物質層32をプレスする。これにより、負極30が作製される。
セパレータ40は、例えば、以下の製法により作製される。すなわち、まず、無機粒子分散液及びバインダ溶液を用意する。そして、無機粒子分散液及びバインダ溶液を混合することでスラリーを作製する。スラリーは、バインダ溶液の溶媒と同じものを任意に添加することで、無機粒子及びバインダの濃度を調整してもよい。そして、スラリーを基材40a上に展開(例えば塗工)し、乾燥することでコーティング層40bを作製する。基材40aはスラリーに浸漬されてもよい。これらの工程により、セパレータ40を作製する。
次いで、セパレータ40を正極20及び負極30で挟むことで、電極構造体を作製する。次いで、電極構造体を所望の形態(例えば、円筒形、角形、ラミネート形、ボタン形等)に加工し、当該形態の容器に挿入する。次いで、当該容器内に上記組成の電解液を注入することで、セパレータ内の各気孔に電解液を含浸させる。これにより、リチウムイオン二次電池が作製される。
以下では、実施例および比較例を参照しながら、本発明についてより具体的に説明する。しかしながら、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
<1.バインダ樹脂合成>
[合成例1(実施例1)]
(アクリル酸変性ポリフッ化ビニリデン(PVDF)単独重合体の合成)
2Lの反応容器に純水1kgおよびカルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose):0.35gを入れ、窒素置換を行った。次に、0.5gのアクリル酸と500gのフッ化ビニリデン(VDF)単量体を加えた後、過ピバリン酸t−アミルの75質量%イソドデカン溶液:1.7gを導入して、系内を50℃に昇温した。アクリル酸の2%水溶液を連続して供給しながら、系内圧力を一定に保った状態で、12時間撹拌を継続した。加熱を止めて、大気圧に達するまで放圧した後、反応生成物を水洗、乾燥して、アクリル酸変性PVDF単独重合体を得た。
前記生成物は、以下の組成、重量平均分子量ならびに融点を有していた。
なお、生成物の組成は、H 核磁気共鳴法(H NMR)、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、GPC)により、また、融点は、示差走査熱量測定(DSC)により、得た。他の実施例および比較例についても同様である。
組成:VDF/アクリル酸=98.8/1.2 (モル%)
重量平均分子量:1000,000
融点:165℃
(ポリブチルアクリレート1の合成)
反応容器に、アクリル酸n−ブチル(n−Butyl acrylate):150g、テトラブチルアンモニウムヨージド(tetra butyl ammonium iodide):10.8gおよび2−ヨード−2−メチルプロパンニトリル(2−Iodo−2−methylpropionitrile):5.7gを入れて撹拌し、ゴム隔膜で反応容器を密封した。反応容器の内部を窒素置換した後、110℃に昇温して反応を開始させた。24時間反応させた後、室温に冷却して、反応液にヘキサン(hexane):150gを添加した。生成物を抽出した後、減圧下で溶媒を留去して、停止末端にC−I結合を有するポリブチルアクリレート(polybutyl acrylate)1:130gを得た(数平均分子量=4024、分子量分布=1.27)。
(グラフト共重合体Aの合成)
反応容器に、前記の方法で合成したアクリル酸変性PVDF単独重合体:90g、ポリブチルアクリレート1:82gおよびN−メチル−2−ピロリドン:1410gを入れて、60℃で撹拌した。ポリマーの固体が溶解して均一な溶液となった後、反応容器の内部を窒素置換して、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン:3.3gを加えて、反応を開始させた。12時間反応させた後、室温に冷却した。
得られた反応液の一部(1cc)を希釈してGPC測定を行った所、重量平均分子量50万以上の領域に見られるメインピークの他にはピークが観測されなかったことから、グラフトポリマー合成に用いたポリブチルアクリレートは全てアクリル酸変性PVDF単独重合体と反応しており、生成物中にポリブチルアクリレートの単独鎖は残存していないことを確認した。
反応液をエタノールに滴下することで生じた固体を真空下で乾燥させ、グラフト共重合体A:140gを得た。
生成物のアセトン−d溶液のH NMR測定にて、原料のアクリル酸変性PVDF単独重合体のカルボキシ基プロトンに由来するσ=12.5ppmのピークが消失していること、ならびにσ=4.8ppmにPVDFのアクリル酸とポリブチルアクリレートの停止末端(C−I結合)とのカップリング反応によって生じるエステル基隣接プロトンに由来するピークが観測されたことから、グラフト共重合体の合成を確認した。また、前記グラフト共重合体Aは、以下の組成を有していた。
組成:ポリフッ化ビニリデン/ポリブチルアクリレート=62/38 (質量%)(H NMR)
融点:160℃(DSC)
図3に、原料のアクリル酸変性PVDF単独重合体とカップリング生成物のグラフト共重合体AのDSC曲線を示す。図3において、原料のPVDF単独重合体同様にカップリング後のグラフト共重合体のDSC曲線にも結晶化ならびに結晶融解に伴うピークが確認でき、グラフト後も結晶性を保持していることがわかる。また、グラフト共重合体Aの昇温曲線には、原料のPVDF単独重合体のそれと比較して、−35℃付近に明瞭なガラス転移が見られ、ポリブチルアクリレート鎖がグラフトされていることを示す。
[合成例2(実施例2)]
(ポリブチルアクリレート2の合成)
反応容器に、アクリル酸n−ブチル:150g、テトラブチルアンモニウムヨージド:21.6gおよび2−ヨード−2−メチルプロパンニトリル:11.4gを入れて撹拌し、ゴム隔膜で反応容器を密封した。反応容器の内部を窒素置換した後、110℃に昇温して反応を開始させた。24時間反応させた後、室温に冷却して、反応液にヘキサン:150gを添加した。生成物を抽出した後、減圧下で溶媒を留去して、停止末端にC−I結合を有するポリブチルアクリレート2:125gを得た(数平均分子量=2008、分子量分布=1.40)。
(グラフトポリマーBの合成)
上記の方法で合成したポリブチルアクリレート2をポリブチルアクリレート1の代わりに用いた以外は、実施例1のグラフト共重合体合成と同様の手順で行った。
得られたグラフト共重合体Bは、以下の組成を有していた。
組成:ポリフッ化ビニリデン/ポリブチルアクリレート=81/19 (質量%)(H NMRから算出)
融点:162℃
[合成例3(実施例3)]
(ポリブチルアクリレート3の合成)
反応容器に、アクリル酸n−ブチル:80g、テトラブチルアンモニウムヨージド:21.6gおよび2−ヨード−2−メチルプロパンニトリル:11.4gを入れて撹拌し、ゴム隔膜で反応容器を密封した。反応容器の内部を窒素置換した後、110℃に昇温して反応を開始させた。24時間反応させた後、室温に冷却して、反応液にヘキサン:150gを添加した。生成物を抽出した後、減圧下で溶媒を留去して、ポリブチルアクリレート3:70gを得た(数平均分子量=1200、分子量分布=1.45)。
(グラフト共重合体Cの合成)
前記の方法で合成したポリブチルアクリレート3をポリブチルアクリレート1の代わりに用いた以外は、実施例1のグラフト共重合体合成と同様の手順で行った。
得られたグラフト共重合体Cは、以下の組成を有していた。
組成:ポリフッ化ビニリデン/ポリブチルアクリレート=90/10 (質量%)(H NMRから算出)
融点:163℃
[合成例4(実施例4)]
(ポリブチルアクリレート4の合成)
反応容器に、アクリル酸n−ブチル:150g、テトラブチルアンモニウムヨージド:8.1gおよび2−ヨード−2−メチルプロパンニトリル:2.85gを入れて撹拌し、ゴム隔膜で反応容器を密封した。反応容器の内部を窒素置換した後、110℃に昇温して反応を開始させた。24時間反応させた後、室温に冷却して、反応液にヘキサン:150gを添加した。生成物を抽出した後、減圧下で溶媒を留去して、ポリブチルアクリレート4:125gを得た(数平均分子量=8500、分子量分布=1.20)。
(グラフト共重合体Dの合成)
前記の方法で合成したポリブチルアクリレート3をポリブチルアクリレート1の代わりに用いた以外は、実施例1のグラフト共重合体合成と同様の手順で行った。
得られたグラフト共重合体Dは、以下の組成を有していた。
組成:ポリフッ化ビニリデン/ポリブチルアクリレート=48/52 (重量%)(H NMRから算出)
融点:155℃
[合成例5(実施例5)]
(アクリル酸変性PVDF共重合体の合成)
2Lの反応容器に純水:1kgおよびカルボキシメチルセルロース:0.35gを入れ、窒素置換を行った。次に、0.5gのアクリル酸、485gのVDF単量体ならびに15gのヘキサフルオロプロペン(hexafluoropropene、HFP)単量体を加えた後、過ピバリン酸t-アミルの75質量%イソドデカン溶液:1.7gを導入して、系内を50℃に昇温した。系内圧力が、内温50℃到達後の初期圧力より10バール低下するまで撹拌を継続した後、加熱を止めて、大気圧に達するまで放圧した。反応生成物を水洗、乾燥して、アクリル酸変性PVDF共重合体を得た。
前記生成物は、以下の組成および分子量を有していた。
組成:VDF/HFP/アクリル酸=96/2.8/1.2 (モル%)
分子量:1000,000(重量平均)
融点:150℃
(グラフト共重合体Eの合成)
前記の方法で合成したアクリル酸変性PVDF共重合体をアクリル酸変性PVDF単独重合体の代わりに用いた以外は、実施例1のグラフト共重合体合成と同様にして行った。
得られたグラフト共重合体Eは、以下の組成を有していた。
組成:ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン/アクリル酸=64/36 (質量%)(H NMRから算出)
融点:145℃
[合成例6(実施例6)]
(ポリエチルアクリレートの合成)
反応容器に、アクリル酸エチル:120g、テトラブチルアンモニウムヨージド:10.8gおよび2−ヨード−2−メチルプロパンニトリル:5.7gを入れて撹拌し、ゴム隔膜で反応容器を密封した。反応容器の内部を窒素置換した後、110℃に昇温して反応を開始させた。24時間反応させた後、室温に冷却して、反応液にヘキサン150gを添加した。生成物を抽出した後、減圧下で溶媒を留去して、ポリエチルアクリレート:110gを得た(数平均分子量=5,000、分子量分布=1.30)。
(グラフト共重合体Fの合成)
前記の方法で合成したポリエチルアクリレートをポリブチルアクリレート1の代わりに用いた以外は、実施例1のグラフト共重合体合成と同様の手順で行った。
得られたグラフト共重合体Fは、以下の組成を有していた。
組成:ポリフッ化ビニリデン/ポリエチルアクリレート=72/28 (質量%)(H NMRから算出)
融点:162℃(DSCから算出)
[合成例7(実施例7)]
(ポリブチルアクリレート5の合成)
反応容器にアクリル酸n−ブチル:330g、テトラブチルアンモニウムヨージド:8.1gおよび2−ヨード−2−メチルプロパンニトリル:2.85gを入れて撹拌し、ゴム隔膜で反応容器を密封した。反応容器の内部を窒素置換した後、110℃に昇温して反応を開始させた。36時間反応させた後、室温に冷却して、反応液にヘキサン:300gを添加した。生成物を抽出した後、減圧下で溶媒を留去して、ポリブチルアクリレート4:210gを得た(数平均分子量=25,000、分子量分布=1.20)。
(グラフト共重合体Gの合成)
前記の方法で合成したポリブチルアクリレート5をポリブチルアクリレート1の代わりに用いた以外は、実施例1のグラフト共重合体合成と同様の手順で行った。
得られたグラフト共重合体Gは、以下の組成を有していた。
組成:ポリフッ化ビニリデン/ポリブチルアクリレート=30/70 (質量%)(H NMRから算出)
融点:142℃
[合成例8(比較例1)]
(グラフト共重合体Hの合成)
反応容器に、ポリフッ化ビニリデン−co−クロロトリフルオロエチレン(重量平均分子量=60,0000)のN−メチル−2−ピロリドン溶液:100g(ポリマー固形分量10g)、アクリル酸n−ブチル:50g、ビピリジン30g、Cu(I)Cl:6.33gおよびCu(II)Cl:0.86gを入れて撹拌し、ゴム隔膜で反応容器を密封した。反応容器の内部を窒素置換した後、140℃に昇温して反応を開始させた。24時間反応させた後、室温に冷却した。
得られた反応液の一部(1cc)を希釈してGPC測定を行った所、重量平均分子量50万以上の領域に見られるメインピークの他に、重量平均分子量10万以下の領域にもピークが観測された。よって、前述の反応により目的のグラフト共重合体とは別に、ポリブチルアクリレート単独鎖も副生していることが確認された。
反応液をエタノールに滴下することで生じた固体を真空下で乾燥させ、グラフト共重合体H:105gを得た(ポリフッ化ビニリデン−co−クロロトリフルオロエチレン/ポリブチルアクリレート=95/5(質量%比))。
[合成例9(比較例2)]
(グラフト共重合体Iの合成)
反応容器に、ポリフッ化ビニリデン−co−クロロトリフルオロエチレンのN−メチル−2−ピロリドン溶液:100g(ポリマー固形分量10g)、アクリル酸n−ブチル:100g、N,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン:40g、Cu(I)Cl:9.50gおよびCu(II)Cl:1.30gを入れて撹拌し、ゴム隔膜で反応容器を密封した。反応容器の内部を窒素置換した後、140℃に昇温して反応を開始させた。24時間反応させた後、室温に冷却した。反応液をエタノールに滴下することで生じた固体を真空下で乾燥させ、グラフト共重合体I:109gを得た(ポリフッ化ビニリデン−co−クロロトリフルオロエチレン/ポリブチルアクリレート=93/7(質量%比))。
<2.コーティングセパレータ作製>
アルミナ:75g(α−Al、粒子径0.4μm)、メタクリル酸アルコシキシラン:1g、バインダとしての実施例1〜7ならびに比較例1、2で作製したグラフト共重合体の5重量%アセトン溶液:500gを、ビーズミルで撹拌した。得られた分散液を、グラビアコーターを用いて、ポリエチレン基材(T12−507<SKイノベーション社製>)の両面に塗工乾燥後のコーティング層の厚みが3μmとなるように塗布乾燥し、コーティングセパレータを得た。
また、バインダとして合成例1で得たアクリル酸変性ポリフッ化ビニリデン単独重合体(比較例3)、合成例1で得たアクリル酸変性ポリフッ化ビニリデン単独重合体(80質量%)およびポリブチルアクリレート1(20質量%)の混合物(比較例4)をそれぞれ用い、上記と同様にしてコーティングセパレータを得た。
<3.リチウムイオン二次電池の作製>
(負極作製)
人造黒鉛:96質量%、アセチレンブラック:2質量%、スチレンブタジエン共重合体(SBR)バインダ:1質量%、カルボキシメチルセルロース(CMC):1質量%をプラネタリーミキサーで混合し、更に粘度調整のために水を加えて負極合剤スラリーを作製した。次いで、乾燥後の合剤塗布量(面密度)が9.55mg/cmになるようにスラリーを銅箔上に塗工乾燥させた後、ロールプレス機で合剤層密度が1.65g/ccとなるようにプレスし、負極を作製した。
(正極作製)
LiCo(表面Al処理品):98質量%、アセチレンブラック:1質量%、ポリフッ化ビニリデンの5質量%N−メチル−2−ピロリドン溶液:20質量%ならびに粘度調製希釈用のN−メチル−2−ピロリドンを、プラネタリーミキサーで混合し、正極合剤スラリーを作成した。次いで、乾燥後の合剤塗布量(面密度)が22.7mg/cmになるようにスラリーをアルミニウム集電箔上に塗工乾燥させた後、ロールプレス機で合剤層密度が4.0g/ccとなるようにプレスし、正極を作製した。
(セル作製)
直径2.0cmのステンレス製コイン外装容器内で、直径1.3cmの円形に切断した正極、直径1.8cmの円形に切断したコーティングセパレータ、直径1.55cmの円形に切断した負極、さらにスペーサーとして直径1.5cmの円形に切断した厚さ200μmの銅箔をこの順番に重ね合わせた。ついで、容器に電解液(1.4MのLiPF エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/フルオロエチレンカーボネート=10/70/20混合溶液(体積比))を150μL加えた。ついで、ポリプロピレン製のパッキンを介して、ステンレス製のキャップを容器に被せ、コイン電池作製用のかしめ器で容器を密封した。これにより、リチウムイオン二次電池を作製した。
<基材接着性評価方法>
ステンレス板上に固定したコーティングセパレータに、幅1.5cmの粘着テープ(ニチバン社製セロテープ No.405)を張り付け、剥離試験機(島津製作所社製SHIMAZU EZ−S)にて、180°引き剥がしにおけるピール強度を測定した。評価結果をまとめて表1に示す。
<コーティングセパレータと電極間の密着性評価方法>
5cm×10cmの幅に切り出したコーティングセパレータを、同サイズに切り出した正極と負極で挟み、100℃でヒートプレスをかけた。室温に放冷後、正極ならびに負極をセパレータから剥す際、セパレータ表面に電極が転写されるかを目視で確認し、5cm×10cmのセパレータ面積上における電極転写物の面積割合に基づく以下の基準で密着性を判定した。評価結果をまとめて表1に示す。
A: セパレータ表面全体にわたって電極が転写し、転写物の割合が70%を超える。
B: セパレータ表面への電極転写の割合40〜70%。
C: セパレータ表面への電極転写の割合1〜39%。
D: セパレータ表面への電極転写の割合1%以下で、セパレータ表面はヒートプレス前と変化なし。
評価結果をまとめて表1に示す。
<熱収縮評価方法>
セパレータを図2に示すように、ポリエチレン基材の流れ方向および垂直方向を基準として、垂直方向(TD)×流れ方向(MD)=80mm×80mmとなるように切り出し、TD/MD方向にノギスを用いて50mmの間隔で印を入れたサンプルを作成した。A4用紙の間にはさみ、135℃の恒温槽中に60分静置した。サンプルを取り出した後、TD/MDそれぞれの印の間隔をノギスで読み取り、次式にしたがって熱収縮率を算出した。
収縮率(%)=((50−加熱後の間隔)/50)×100
<サイクル寿命の評価>
前記の方法で作製したリチウムイオン二次電池を25℃、充電終止電圧4.4Vにて0.2Cで5回充放電した後、1.0Cの充放電サイクルを200回繰り返した。1.0Cで200サイクル後の放電容量を1.0Cで1サイクル後の放電容量で除することで、放電容量維持率(百分率)を算出した。容量維持率が大きいほどサイクル寿命が良いことを示す。評価結果をまとめて表1に示す。
<保存試験の評価>
前記の方法で作製したリチウムイオン二次電池を25℃、充電終止電圧4.4Vにて0.2Cで5回充放電した。0.5Cで4.4Vまで充電し、60℃で2週間保存した。室温放冷後、0.5Cで3Vに放電して、4.4Vまで0.5Cで充電した際の充電容量を、60℃保存前の0.5C充電容量で除することで、保存容量(百分率)を算出した。容量維持率が大きいほど高電圧耐性が良いことを示す。評価結果をまとめて表1に示す。
実施例1〜7のグラフト共重合体をコーティング層バインダ樹脂に用いたセパレータは、基材接着性、電極との密着性、耐熱性および高電圧での電池寿命のいずれにおいても、比較例1、2のセパレータと比較して優れていた。一方、比較例1および比較例2のグラフトポリマーは、比較例4の非グラフト重合体(PVDF系重合体)と比較すると、基材接着性と熱収縮で良好であるが、電極への密着性ならびに高電圧でのサイクル特性と保存特性において実施例1〜7に比べると劣る結果であった。本実施例におけるグラフト共重合体は、比較例1および比較例2のグラフト重合体と比較して、グラフト鎖のアクリル系重合体の重合度(および鎖長)が高く、アクリルグラフト鎖の割合を多くすることができるため、電極との高密着性が発現されたと考えられる。さらに、実施例1〜7における本発明に係るグラフト共重合体は、比較例1〜2のPVDF−co−CTFE主鎖骨格からの原子移動ラジカル重合によって合成したグラフト重合体のようにポリマー中にC−Br結合を含まず、また銅触媒不純物を含有しない。このため、実施例1〜7のグラフト共重合体の電気化学的な安定性が高く、高電圧下での分解が抑制されていることが示唆されている。
また、比較例3の共重合体は、基材接着性、密着性と、サイクル特性、保存性との両立ができず、実施例1〜7のグラフト共重合体と比較して基材接着性、密着性に劣っていた。さらに、比較例4のアクリル酸変性PVDFとポリブチルアクリレート1との混合物を用いた場合、実施例1〜7のグラフト共重合体を用いた場合と比較して、着性熱収縮性、サイクル特性、保存性において、劣っており、単純に混合物を用いても十分な性能が得られないことが示された。
以上説明したように本発明に係るグラフト共重合体を二次電池用セパレータを用いることにより当該セパレータの密着性及び耐熱性が向上し、さらに高電圧下での電池寿命も向上する。これにより、熱暴走による発火や爆発等危険を回避する事が可能となり、二次電池の安全性が向上する。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、リチウムイオン二次電池に本実施形態に係る二次電池用バインダ組成物、グラフト共重合体を使用したが、他の種類の二次電池に本実施形態に係る二次電池用バインダ組成物を使用してもよい。
例えば、上記実施形態では、セパレータに対し本実施形態に係る二次電池用バインダ組成物、グラフト共重合体を使用したが、正極、負極等の電極に対しに本実施形態に係る二次電池用バインダ組成物を使用してもよい。
10 リチウムイオン二次電池
20 正極
30 負極
40 セパレータ
40a 基材
40b コーティング層

Claims (12)

  1. 主鎖に、下記式(I)で表される繰り返し単位と、下記式(II)で表される繰り返し単位とを含む、グラフト共重合体。
    式中、
    Gは、下記式(a)で表されるグラフト鎖であり、
    およびRは、独立して、水素原子または炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基もしくはフルオロアルキル基であり
    、水素原子、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、フルオロアルキル基もしくはエポキシアルキル基、またはポリアルキレンオキシド鎖であり、
    は、前記グラフト鎖の末端基であり、水素原子、アルキル基、アルコシキ基、フェニル基、スルホン酸基、イソブチロニトリル基、アルキルイソブチレート基、アルキルカーボネート基、フェニルカーボネート基、2−メチルブタンニトリル基、2,4−ジメチルペンタンニトリル基、4−メトキシ−2,4−ジメチルペンタンニトリル基、シクロヘキサンカルボニトリル基、イソブチルイミダジン基、2−イソプロピル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール基、アルキル−1,1−ジビニルベンゼン基、2,2−ジフェニルアセトニトリル基、ナフタレン基、アルキル2−フェニルアセテート基、アルキルボラン基、又はアルキル(アルコキシ)−ボラン基であり、
    mは、任意の自然数である。
  2. さらに、下記(III)で表される繰り返し単位を含む、請求項1に記載のグラフト共重合体。
    上記式中、
    は、水素原子、フッ素原子、フルオロアルキル基またはトリフルオロメトキシ基である。
  3. 前記グラフト共重合体に対し、10〜70質量%の前記グラフト鎖を含む、請求項1または2に記載のグラフト共重合体。
  4. 前記グラフト鎖における繰り返し単位の数平均重合度は、30以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のグラフト共重合体。
  5. 前記式(I)で表される繰り返し単位と前記式(II)で表される繰り返し単位とを含んで構成される主鎖の数平均重合度が1000以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のグラフト共重合体。
  6. 臭素原子または塩素原子と炭素原子との結合を有さない、請求項1〜5のいずれか一項に記載のグラフト共重合体。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のグラフト共重合体を含む、二次電池用バインダ組成物。
  8. 多孔性基材と、前記多孔性基材の少なくとも一面に形成されるコーティング層と、を有し、
    前記コーティング層は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のグラフト共重合体を含む、二次電池用セパレータ。
  9. 前記コーティング層は、無機粒子をさらに含む、請求項8に記載の二次電池用セパレータ。
  10. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のグラフト共重合体を含む、二次電池。
  11. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のグラフト共重合体を製造する方法であって、
    下記式(I)で表される繰り返し単位と下記式(IV)で表される繰り返し単位とを含む共重合体に対し、下記式(V)で表される化合物をカップリング反応によりグラフト重合させる工程を有する、グラフト共重合体の製造方法。
    上記式中、
    およびRは、独立して、水素原子または炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基もしくはフルオロアルキル基であり
    は、水素原子、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、フルオロアルキル基もしくはエポキシアルキル基、またはポリアルキレンオキシド鎖であり、
    は、前記グラフト鎖の末端基であり、水素原子、アルキル基、アルコシキ基、フェニル基、スルホン酸基、イソブチロニトリル基、アルキルイソブチレート基、アルキルカーボネート基、フェニルカーボネート基、2−メチルブタンニトリル基、2,4−ジメチルペンタンニトリル基、4−メトキシ−2,4−ジメチルペンタンニトリル基、シクロヘキサンカルボニトリル基、イソブチルイミダジン基、2−イソプロピル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール基、アルキル−1,1−ジビニルベンゼン基、2,2−ジフェニルアセトニトリル基、ナフタレン基、アルキル2−フェニルアセテート基、アルキルボラン基、又はアルキル(アルコキシ)−ボラン基であり、
    Aは、水素原子または一価の有機もしくは無機カチオンであり、
    Xは、Cl、BrまたはIであり、
    mは、任意の自然数である。
  12. 前記工程において、触媒として有機アミン化合物を用いる、請求項11に記載のグラフト共重合体の製造方法。
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