JP6669044B2 - H形鋼の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法に関する。
H形鋼を製造する場合には、加熱炉から抽出されたスラブやブルーム等の素材を粗圧延機(BD)によって粗形材(所謂ドッグボーン形状の被圧延材)に造形し、中間ユニバーサル圧延機によって上記粗形材のウェブやフランジの厚さを圧下し、併せて前記中間ユニバーサル圧延機に近接したエッジャー圧延機によって被圧延材のフランジに対し幅圧下や端面の鍛錬と整形が施される。そして、仕上ユニバーサル圧延機によってH形鋼製品が造形される。
このようなH形鋼の製造方法において、特にユニバーサル圧延を行う中間圧延では、寸法及び形状の精度が問題となっており、特に大型H形鋼製品の製造では、寸法及び形状の精度の向上が望まれていた。そこで、例えば特許文献1では、これらの問題点が、被圧延材のフランジ部と竪ロールの接触点がウェブ部と水平ロールとの接触点よりも著しく先行していることに起因していることに鑑み、竪ロール径と水平ロール径との比、及び/又は、各回のフランジとウェブの各パスの圧下スケジュールを調整することで、上記問題点を解消する技術が開示されている。
また、例えば特許文献2には、ウェブ高さの造り分けを行う際に生じるウェブ部両端の増厚部(余肉部)を解消するために、仕上げユニバーサル圧延機における竪ロール径と水平ロール径の比を好適に調整し、竪ロールの回転軸と水平ロールの回転軸を同一平面上に設置し、上記増厚部の圧下を行う技術が開示されている。
また、H形鋼の製造においては圧延能率の向上を図る技術も随時創案されている。例えば特許文献3には、リバース圧延において非圧延時間を短縮して圧延能率の向上を図るために、パス毎にミル抜けからミル噛み込みまでの間における被圧延材の加減速時間や停止時間を制御する技術が開示されている。
特公昭46−19167号公報 特開2013−75317号公報 特開平11−114603号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、水平ロールのウェブ噛み込みと竪ロールのフランジ噛み込みとの関係を好適にすることで、寸法及び形状の精度を向上させるものであるが、ウェブとフランジの同時圧下領域における延伸比に関する言及は一切されておらず、当該延伸比の具体的な値についても何ら開示されていない。また、特許文献1には、例えば製品厚み比1.6以下の製品に対して水平ロール径と竪ロール径の比を3.2以上にするといった記載や、フランジ噛み込みの先行長さを10mm以下とするといった記載があり、そのような条件下以外の製造工程において適用される技術ではないという点において問題がある。
また、上記特許文献2に記載の技術は、特にウェブ両端の増厚部の圧下に関して、仕上げ圧延に対して適用される技術であり、また、フランジの延伸やウェブとフランジの同時圧下領域における延伸比に関する言及は一切されておらず、当該延伸比の具体的な値についても何ら開示されていない。実際には、断面内の一部分であるウェブ両端を強く圧延するため、断面内各位置での延伸の差が非常に大きく、ウェブ両端の噛み込みがフランジやウェブ中央部の噛み込みよりも大きく先行する圧延になっている。
また、上記特許文献3に記載の技術は、圧延能率の向上を図る技術であるが、具体的には主に圧延時間の短縮等を目的とした技術であり、圧延荷重等の設備面に係る圧延効率に関しては何ら言及されておらず、考慮されていない。
上記特許文献1、2に記載された技術は、寸法及び形状の精度の向上や、増厚部の圧下といった、主に被圧延材の造形に関する技術である。また、上記特許文献3は圧延能率を時間の短縮によって向上させる技術である。
一方で、近年、構造物等の大型化に伴い大型のH形鋼製品の製造が望まれており、大型のH形鋼製品の製造においては、従来の製品に比べ大型の被圧延材を圧延造形することから、造形精度の向上や圧延能率の向上と共に、圧延設備に関する側面から、圧延機のロール荷重(水平ロール荷重及び竪ロール荷重)の更なる低減が求められている。特に従来の圧延機を用いて大型のH形鋼製品を製造しようとすると、圧延荷重が許容荷重を超えてしまう場合もあり、パス回数を増加させる必要が生じるために生産性の低下が懸念されていた。圧延機の耐荷重を大幅に増大することは設備コストや設備規模の面から現実的ではなく、既存の設備でもって圧延荷重を低減させ、生産性の向上や大型のH形鋼製品の製造を実現させることが求められている。
上記特許文献1〜3のいずれの技術においても、このようなロール荷重の低減についての作用や明確な条件等が規定されておらず、ロール荷重低減のための条件の更なる規定が望まれているのが実情である。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、H形鋼製品の製造において、ユニバーサル圧延を行う圧延機の水平ロール荷重と竪ロール荷重の両方を併せて低減させ、既存の圧延設備における生産性を向上させることが可能なH形鋼の製造方法を提供することにある。特に、リバース圧延における被圧延材の尻抜け時の圧延荷重の低減を図ることを目的としている。
前記の目的を達成するため、本発明によれば、被圧延材に対し1又は複数パスのユニバーサル圧延を行いH形鋼を製造するH形鋼の製造方法であって、前記被圧延材はフランジ相当部及びウェブ相当部を有し、前記ユニバーサル圧延を行う圧延機において、被圧延材の定常部に対する水平ロール圧延荷重と、被圧延材の尻抜け端部の荷重増加範囲L2に対する水平ロール圧延荷重と、の関係に基づき、前記荷重増加範囲L2の一部または全部を含む所定範囲L1での水平ロール回転数を、前記定常部での水平ロール回転数に比べ低下させて圧延を行うことを特徴とする、H形鋼の製造方法が提供される。
前記所定範囲L1での水平ロール回転数を、前記定常部での水平ロール回転数の50%以下に設定しても良い。
前記所定範囲L1での水平ロール回転数を、前記定常部での水平ロール回転数の30%以下に設定しても良い。
前記所定範囲L1の長さは、前記ユニバーサル圧延において圧延される被圧延材のウェブ相当部の高さに基づいて定められても良い。
前記所定範囲L1の長さは、前記ユニバーサル圧延において圧延される被圧延材のウェブ相当部の高さの0.65倍以上の長さに設定されても良い。
前記ユニバーサル圧延を行う圧延機の竪ロール径Dvは、以下の式(2)を満たしても良い。
300[mm]≦Dv≦0.33×Dh ・・・(2)
但し、Dh:水平ロール径である。
前記ユニバーサル圧延を行う圧延機は、中間ユニバーサル圧延機であっても良い。
前記ユニバーサル圧延を行う圧延機において、竪ロールの後方には当該竪ロールに接触して支持する構成のバックアップロールが設けられても良い。
本発明によれば、H形鋼製品の製造において、ユニバーサル圧延を行う圧延機の水平ロール荷重と竪ロール荷重の両方を併せて低減させ、既存の圧延設備における生産性を向上させることが可能となり、特に、リバース圧延における被圧延材の尻抜け時の圧延荷重の低減を図ることができる。
H形鋼の製造ラインについての概略説明図である。 中間ユニバーサル圧延機のロール構成についての概略説明図(正面断面図)である。 一般的な構成である中間ユニバーサル圧延機の概略説明図(概略上面図)である。 竪ロールを小径化した構成の中間ユニバーサル圧延機の概略説明図(概略上面図)である。 ロール径比を変化させた場合の水平ロール荷重比Ph/Phcの値の変化を示すグラフである。 ロール径比を変化させた場合の竪ロール荷重比Pv/Pvcの値の変化を示すグラフである。 被圧延材の中間ユニバーサル圧延機での圧延において、長手方向での各ロールの1パス当たりの圧延荷重の変化を示すグラフである。 被圧延材の定常部と尻抜け端部での、竪ロール径と水平ロール径の比と、水平ロール荷重との関係を示すグラフである。 中間ユニバーサル圧延において、定常部圧延時の水平ロール回転数のままで尻抜け端部まで圧延を行った際の、尻抜け端部圧延時の水平ロール荷重に対する、尻抜け端部圧延時の水平ロール回転数を所定の値まで低下させた際の、尻抜け端部圧延時の水平ロール荷重の比率の変化を示すグラフである。 水平ロール径Dhが1600mm、竪ロール径Dvが385mmである場合の、定常部圧延時の水平ロール回転数を1とした場合に、尻抜け端部圧延時の水平ロール回転数を所定の値まで低下させた際の、定常部圧延時の水平ロール荷重に対する尻抜け端部圧延時の水平ロール荷重の比率の変化を示すグラフである。 中間ユニバーサル圧延における尻抜け端部の圧延状態を示す概略説明図である。 中間ユニバーサル圧延時の被圧延材のウェブ高さと水平ロール荷重が増大する範囲(所定範囲L1)の長さの関係を示すグラフである。 中間ユニバーサル圧延時に所定範囲L1をウェブ高さの1.3倍に設定し、当該範囲における水平ロール回転数を定常状態の30%に設定した場合のロール荷重の変化を示すグラフである。 竪ロールに対しバックアップロールを設ける構成の概略説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、本実施の形態にかかる圧延設備1を含むH形鋼の製造ラインTについての説明図である。図1に示すように、製造ラインTには上流側から順に、加熱炉2、粗圧延機4、中間ユニバーサル圧延機5、仕上ユニバーサル圧延機8が配置されている。また、中間ユニバーサル圧延機5に近接してエッジャー圧延機9が設けられている。なお、以下では、説明のために製造ラインTにおける鋼材を、総称して「被圧延材A」と記載し、各図において適宜その形状を破線・斜線等を用いて図示する場合がある。また、本実施の形態において、製造されたH形鋼製品のフランジに相当する部分をフランジ相当部12と呼称し、ウェブに相当する部分をウェブ相当部20と呼称する場合がある。
図1に示すように、製造ラインTでは、加熱炉2から抽出された例えばスラブ11等の被圧延材Aが粗圧延機4において粗圧延される。次いで、中間ユニバーサル圧延機5において中間ユニバーサル圧延される。また、この中間ユニバーサル圧延とリバース圧延が可能な状態で、エッジャー圧延機9によって被圧延材の端部等(フランジ相当部12)に対して圧下が施される。通常の場合、粗圧延機4(複数基設置される場合もある)のロールには、合わせて4〜6個程度の孔型が刻設されており、これらを経由して数10パス程度のリバース圧延でドッグボーン形状のH形粗形材13が造形され、該H形粗形材13を前記中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、複数パスの圧下が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される。
次に、以下では図1に示した中間ユニバーサル圧延機5のロール構成の概略について図2を参照して説明する。図2は、中間ユニバーサル圧延機5のロール構成についての概略説明図(正面断面図)であり、(a)が圧延前、(b)が圧延時を示している。図2に示すように、中間ユニバーサル圧延機5には、上下一対の水平ロール21、22と、左右一対の竪ロール31、32が設けられている。水平ロール21、22は、そのロール周面が被圧延材Aのウェブ相当部20に当接可能に構成され、そのロール側面の一部がフランジ相当部12の内面に当接可能に構成されている。また、竪ロール31、32は、そのロール周面がフランジ相当部12の外面に当接可能に構成されている。なお、図2において各ロールのロール軸や圧延機筐体等の構成は省略している。
図2に示す中間ユニバーサル圧延機5では、被圧延材Aのウェブ相当部20に対し、水平ロール21、22の周面が当接し、当該ウェブ相当部20の厚み方向に対して圧下が加えられる。また、被圧延材Aのフランジ相当部12に対し、水平ロール21、22の側面の一部がフランジ相当部12の内面に当接し、竪ロール31、32の周面がフランジ相当部12の外面に当接し、当該フランジ相当部12の厚み方向に対して圧下が加えられる。このようにして、被圧延材Aのフランジ相当部12及びウェブ相当部20が所望の厚みに圧下される。
このような図2に示す中間ユニバーサル圧延機5において、被圧延材Aに対して複数パスのリバース圧延を行うことで、中間材14の圧延造形が行われる。本発明者らは、このように構成される中間ユニバーサル圧延機5に関し、水平ロール21、22及び竪ロール31、32におけるロール荷重に係る問題点に着目し、当該ロール荷重の低減を図るための設備構成について鋭意検討を行った。以下では、本検討について説明する。
(一般的な構成の中間ユニバーサル圧延機)
先ず、一般的な中間ユニバーサル圧延機5aの構成について説明する。図3は、一般的な構成の中間ユニバーサル圧延機5aの概略説明図(概略上面図)である。なお、共通する構成要素について、図2と図3では共通の符号を付してその詳細な説明を省略する場合がある。また、図3における図中上方を圧延上流側とし、図中下方を圧延下流側として図示し、図3中には、説明のため、圧延前と圧延後の被圧延材Aの概略断面図も記載している。
図3に示す、一般的な構成の中間ユニバーサル圧延機5aは、例えば水平ロール径Dhが1500mm〜1650mm程度、竪ロール径Dvは水平ロール径の0.8倍〜0.65倍程度である。即ち、例えば図3に示す竪ロール径Dvは1100mm程度である。このような中間ユニバーサル圧延機5aにおいて、ウェブ相当部20とフランジ相当部12の厚み比tf/twの値が1.2〜2.3程度である製品の中間材を圧延造形する場合、竪ロール31、32によりフランジ相当部12の圧下を行う領域の接触長Ldfと、水平ロール21、22(図3中は図示せず)によりウェブ相当部20の圧下を行う領域の接触長Ldwの関係は以下の式(1)のようになる。
Ldf>Ldw ・・・(1)
この場合、水平ロールと竪ロールのロール軸は圧延方向に対する垂直な同一断面内にあり、フランジ相当部12とウェブ相当部20の圧下が終了するタイミングは同じであることから、図3に示す構成では、最初に竪ロール31、32によるフランジ相当部12の圧下が開始され、その後、ウェブ相当部20及びフランジ相当部12の圧下が行われる。この時、フランジ相当部12とウェブ相当部20の圧下は、それぞれ一定の延伸バランスを保ちながら行われるため、全体としての圧延方向の伸びは両者でほぼ同じである。その結果、フランジ相当部12が先に圧下される領域(図中のLdf−Ldwの領域)では、当該フランジ相当部12のみが圧下されることにより、コーナー部(フランジ−ウェブ接続部)近傍のメタルがウェブ側に流れやすくなり、ウェブ相当部20の端部の面圧が大きくなる。
また、ウェブ相当部20とフランジ相当部12を同時に圧下する領域(図中のLdw領域)では、ウェブ相当部20の延伸がフランジ相当部12の延伸に対して大きくなり、ウェブ相当部20の伸びがフランジ相当部12の伸びに拘束される。
以上説明した理由により、図3に示す構成の中間ユニバーサル圧延機5aにおいては、ウェブ相当部20の圧延を板圧延とみなした場合よりも大きな水平ロール荷重が作用してしまうことが分かっている。
(竪ロールを小径化した構成の中間ユニバーサル圧延機)
また、図4は竪ロールを小径化した構成の中間ユニバーサル圧延機5bの概略説明図(概略上面図)である。図4に示す竪ロールは、上記一般的な構成(図3参照)の竪ロールに比べロール径の小さい小径竪ロール51、52であり、その他の共通する構成要素については、図3と図4では共通の符号を付してその詳細な説明を省略する場合がある。また、図4における図中上方を圧延上流側とし、図中下方を圧延下流側として図示し、図4中には、説明のため、圧延前と圧延後の被圧延材Aの概略断面図も記載している。
図4に示すように、竪ロールを小径化した構成の中間ユニバーサル圧延機5bは、例えば水平ロール径Dhが1500mm〜1650mm程度、竪ロール径Dvは水平ロール径の約1/3〜1/5程度である。即ち、例えば図4に示す小径竪ロール51、52の径Dvは450mm程度である。なお、これら水平ロール径、竪ロール径の値は一例であり、これらの値は、上記数値に限定されるものではない。
このような中間ユニバーサル圧延機5aにおいて、ウェブ相当部20とフランジ相当部12の厚み比tf/twの値が1.2〜2.3程度である製品の中間材を圧延造形する場合、フランジ相当部12の圧下を行う領域の接触長Ldfと、ウェブ相当部20の圧下を行う領域の接触長Ldwとの差が小さくなり、フランジ相当部12のみが圧下される領域がほぼなくなり、また、同時圧下領域においてウェブ相当部20の延伸がフランジ相当部12の延伸に対して大きくなるといった事もないため、竪ロール及び水平ロールの圧延荷重の低減が図られるものと推定される。
(ロール径比と圧延荷重との関係)
本発明者らの検討によれば、上記説明した図3に係る一般的な構成の中間ユニバーサル圧延機と図4に係る竪ロールを小径化した構成の中間ユニバーサル圧延機とを比較した場合、水平ロール径Dhと竪ロール径Dvとの比(以下、ロール径比Dv/Dhとも記載する)に応じて、各ロールの圧延荷重比(水平ロール荷重比及び竪ロール荷重比)が変化することが分かっている。
図5は、本実施の形態で説明した中間ユニバーサル圧延機(図2〜図4参照)において、ロール径比を変化させた場合の水平ロール荷重比Ph/Phcの値の変化を示すグラフである。なお、図5ではウェブとフランジの厚み比tf/twが1.3の場合と2.0の場合を図示している。
図5に示すように、ロール径比Dv/Dhの値が小さくなる程、水平ロール荷重比Ph/Phcの値は低下する傾向にある。図5からは、ロール径比Dv/Dhを0.33以下とする(即ち、竪ロール径Dvを水平ロール径Dhの1/3以下とする)ことで水平ロール荷重比を0.9以下にすることができることが分かる。
また、図6は、本実施の形態で説明した中間ユニバーサル圧延機(図2〜図4参照)において、ロール径比を変化させた場合の竪ロール荷重比Pv/Pvcの値の変化を示すグラフである。なお、図6でもウェブとフランジの厚み比tf/twが1.3の場合と2.0の場合を図示している。
図6に示すように、ロール径比Dv/Dhを0.33以下とした場合には、竪ロール荷重比Pv/Pvcの値についても0.9以下にすることができる。
一方で、竪ロール径Dvを小径化すると、噛み込み角が過大となり圧延の安定性が低下する。このような事情に鑑み、竪ロール径Dvは例えば300mm以上とすることが好ましい。
以上のことから、竪ロール径Dvを以下の式(2)に示すような値とすることで、圧延荷重の低減効果が得られることが分かっている。
300[mm]≦Dv≦0.33×Dh ・・・(2)
(被圧延材の尻抜け時の圧延荷重)
上述してきたように、図5、図6を参照して示されるように、竪ロール径Dvを小径化することにより各ロール(水平ロール及び竪ロール)の圧延荷重を低減させることが可能であることが分かっているが、本発明者らの更なる検討の結果、このような圧延荷重低減効果は、主に被圧延材Aの長手方向定常部において発揮され、非定常部、特に、被圧延材Aの長手方向における尻抜け端部(圧延方向に対して後端部)においては、十分な圧延荷重低減効果が得られないことが分かっている。これは、竪ロール径Dvが大径、小径のいずれの場合であっても見られる現象であることも分かっているが、以下に説明するように、竪ロール径Dvが小径である場合の方がより顕著である。
図7は被圧延材Aの中間ユニバーサル圧延機での圧延において、代表的な圧延条件での長手方向での各ロールの1パス当たりの圧延荷重の変化を示すグラフであり、(a)は水平ロール荷重、(b)は竪ロール荷重に関するグラフである。なお、図7は、被圧延材の長手方向長さが約44mの場合のグラフであり、グラフ中の44m付近が圧延時の尻抜け端部にあたる。また、図7には、竪ロール径Dvが大径の場合(Dv=1100mm)と小径の場合(Dv=385mm)のグラフを示している。
図7に示すように、中間ユニバーサル圧延機での圧延においては、被圧延材Aの長手方向において水平ロール荷重・竪ロール荷重は必ずしも一定とはなっていない。特に、図7(a)に示すように、水平ロール荷重に関しては、被圧延材Aの尻抜け端部での圧延荷重が、定常圧延状態の荷重に比べて高くなる現象が見られる。
一方で、図7(b)に示すように、竪ロール荷重に関しては、尻抜け端部での圧延荷重が特に高いといった現象は確認されていない。
被圧延材Aの長手方向後端部(尻抜け端部)の圧延時には、ロールバイト入側に後続材料がないためにウェブ−フランジ間の相互作用が弱まり、ウェブ相当部20に対し引張応力が作用しなくなり、厚みの減少が少なくなる。これにより、被圧延材Aの尻抜け端部での水平ロールの圧延荷重が顕著に大きくなってしまう。このような現象は、図7(a)に示すように、竪ロール径Dvが大径の場合も小径の場合も同様である。
以上説明した現象は、竪ロール径Dvを小さくした場合により顕著となることも判明している。図8は、被圧延材Aの定常部と尻抜け端部での圧延それぞれに関し、竪ロール径と水平ロール径の比と、水平ロール荷重との関係を示すグラフである。図8に示すように、水平ロール径に比べ竪ロール径が小径になるにつれて水平ロール荷重は減少しており、その減少率は定常部の方が大きくなっている。
(被圧延材尻抜け時の圧延荷重の低減)
図7、8を参照して説明したように、H形鋼の製造における中間ユニバーサル圧延機での被圧延材Aの長手方向後端部(尻抜け端部)の圧延時には、水平ロールの圧延荷重が定常部の圧延に比べ高くなることが分かっている。
このような事情に鑑み、本発明者らは、被圧延材Aの尻抜け端部圧延時の圧延荷重を低減させ、定常部の圧延荷重に近づけることができるような技術について鋭意検討を行い、以下に説明する知見を得た。
即ち、予め被圧延材Aの定常部圧延時の水平ロール荷重と、尻抜け端部圧延時の水平ロール荷重と、の差を予測しておき、予測された荷重差に基づき、尻抜け端部がロールから尻抜けする際の水平ロール回転数を定常部圧延時の水平ロール回転数よりも小さく設定し、ひずみ速度を小さくして尻抜け端部の圧延を実施する。これにより、熱間圧延での変形抵抗のひずみ速度依存性から、水平ロール回転数の低下に伴い、水平ロール荷重の低減が図られる。
なお、水平ロールのみが駆動し、竪ロールが非駆動であるような構成の中間ユニバーサル圧延機においては、水平ロール回転数とは、即ち、圧延速度に相当し、水平ロール回転数を小さく設定するということは、圧延速度を小さく設定することを意味する。
図9は、中間ユニバーサル圧延において、定常部圧延時の水平ロール回転数のままで尻抜け端部まで圧延を行った際の、尻抜け端部圧延時の水平ロール荷重に対する、尻抜け端部圧延時の水平ロール回転数を所定の値まで低下させた際の、尻抜け端部圧延時の水平ロール荷重の比率の変化を示すグラフである。図9に示すように、熱間圧延での変形抵抗のひずみ速度依存性から、尻抜け端部圧延時の水平ロール回転数が小さくなる(即ち、圧延速度が遅くなる)につれて尻抜け端部圧延時の水平ロール荷重も小さくなることが分かる。図9からは、例えば、尻抜け端部圧延時の水平ロール回転数を定常部圧延時の水平ロール回転数の約1/2(約0.5)とすると、尻抜け端部圧延時の水平ロール荷重は約10%低減され、尻抜け端部圧延時の水平ロール回転数を定常部圧延時の水平ロール回転数の約1/10(約0.1)とすると、尻抜け端部圧延時の水平ロール荷重は約25%低減されることが分かる。図9はロール径が一定の場合のデータであり、このような水平ロール回転数の低下に伴う水平ロール荷重の低減は、竪ロール径Dvが大径、小径のいずれの場合であっても見られるものである。
図10は、水平ロール径Dhが1600mm、竪ロール径Dvが385mmである場合の、定常部圧延時の水平ロール回転数を1とした場合に、尻抜け端部圧延時の水平ロール回転数を所定の値まで低下させた際の、定常部圧延時の水平ロール荷重に対する尻抜け端部圧延時の水平ロール荷重の比率の変化を示すグラフである。図10に示すように、竪ロール径Dvを小径化させた場合にも、尻抜け端部圧延時の水平ロール回転数を低下させるにつれて、水平ロール荷重も低減していることが分かる。更には、尻抜け端部圧延時の水平ロール回転数を定常部圧延時の水平ロール回転数の約1/10(約0.1)とすると、水平ロール荷重比が1に近づくことから、尻抜け端部圧延時の水平ロール荷重が定常部圧延時の水平ロール荷重と同程度まで低減していることが分かる。
以上、図9及び図10を参照して説明した知見から、本実施の形態における中間ユニバーサル圧延において、尻抜け端部圧延時の水平ロール荷重を少なくとも約10%低減させるためには、尻抜け端部圧延時の水平ロール回転数を定常部圧延時の水平ロール回転数の50%以下に設定すれば良いことが分かる。また、より好ましくは、尻抜け端部圧延時の水平ロール回転数を定常部圧延時の水平ロール回転数の30%以下に設定することで、更なる荷重の低減(約15%の低減)を実現させることが可能であることが分かる。
また、水平ロール回転数の下限値については、定常部圧延時の水平ロール回転数の10%未満に設定してしまうと、被圧延材Aの尻抜け端部圧延時に、当該部位の温度低下が顕著になり、圧延効率が低下するといった問題がある。
以上のことから、本実施の形態における中間ユニバーサル圧延時には、尻抜け端部圧延時の水平ロール回転数を定常部圧延時の水平ロール回転数の10%以上50%以下に設定することが好ましく、更には、10%以上30%以下に設定することが好ましい。尻抜け端部圧延時の水平ロール回転数の定常部圧延時に対する比率は、狙いとする尻抜け端部圧延時の水平ロール荷重の低減率により決定すればよい。
(被圧延材の尻抜け端部の範囲)
上述してきたように、本実施の形態に係る中間ユニバーサル圧延においては、被圧延材Aの長手方向後端部(尻抜け端部)の圧延時に水平ロールの圧延荷重が定常圧延状態の圧延荷重に比べて高くなることが分かっており、そのような圧延荷重の増大を抑えるためには、尻抜け端部の圧延時に水平ロール回転数を低く設定する(例えば定常状態の10%以上50%以下)ことが有効である事が知見されている。
ここで本発明者らは、被圧延材Aの長手方向において、水平ロール回転数を低く設定する範囲を好適に定めるべく、更なる検討を行った。以下、本検討について説明する。
図11は、中間ユニバーサル圧延における尻抜け端部の圧延状態を示す概略説明図であり、圧延時の様子を側方から見た概略図である。なお、圧延方向は図11中の矢印で示す方向である。ここで、図11に示すように、被圧延材Aの中間ユニバーサル圧延時の尻抜け端部において、水平ロール回転数を、定常部での水平ロール回転数に比べて低下させて圧延を行う範囲を所定範囲L1と規定する。
図7、8を参照して上述したように、被圧延材Aの長手方向後端部(尻抜け端部)には、圧延時に水平ロール荷重が増大してしまうような範囲L2(以下、荷重増加範囲L2とも呼称する)が存在することが分かっている。ここで、荷重増加範囲L2は、尻抜け端部圧延時に水平ロール荷重が増加し始める時点のロール直下から被圧延材Aの長手方向後端部までの長さとして規定する。
即ち、圧延時に水平ロール荷重が増大してしまうような荷重増加範囲L2の一部または全部を含むような範囲を上記所定範囲L1として規定することで、当該所定範囲L1での尻抜け端部の圧延時に、水平ロール荷重が増大するのを抑えることが可能となる。
そこで本発明者らは、被圧延材Aの寸法形状と圧延時に水平ロール荷重が増大してしまうような荷重増加範囲L2との関係について鋭意検討を行ったところ、尻抜け時に圧延荷重が増大する荷重増加範囲L2の長さは、圧延時の被圧延材Aのウェブ相当部20の高さ(以下、単にウェブ高さとも記載)に比例するとの関係性が見出された。
図12は、中間ユニバーサル圧延時の被圧延材Aのウェブ高さと、水平ロール荷重が増大する荷重増加範囲L2の長さの関係を示すグラフである。図12に示すように、中間ユニバーサル圧延時のウェブ高さ(mm)と、尻抜け時に圧延荷重が増大する荷重増加範囲L2(m)との間には相関関係が有り、荷重増加範囲L2はウェブ高さにほぼ比例して大きくなり、具体的には荷重増加範囲L2はウェブ高さの約1.3倍の長さとなることが分かっている。
図12に示した結果から、水平ロール回転数を低く設定して圧延を行う範囲(所定範囲L1)は、被圧延材Aのウェブ高さの1.3倍以上の長さに設定することが好ましい。但し、図7(a)に示したように、中間ユニバーサル圧延における尻抜け端部の水平ロール荷重は、当該尻抜け端部の最後端に向かうにつれて顕著に増加していく傾向が強いことが分かっており、例えば、上記所定範囲L1を、水平ロール荷重が増大する範囲であるウェブ高さの1.3倍の半分以上、即ち、少なくとも被圧延材Aのウェブ高さの0.65倍以上の長さとすれば一定の圧延荷重低減効果が得られることも分かっている。水平ロール回転数を低く設定して圧延を行う範囲(所定範囲L1)をウェブ高さの0.65倍とした場合であっても、操業上、圧延速度の低下(水平ロール回転数の低減)は、当該範囲L1の開始位置よりも早い位置より開始させることになるため、実際の操業では定められた範囲よりも広い範囲で水平ロール荷重の低減が図られる。一方、当該所定範囲L1をウェブ高さの0.65倍より小さい範囲とした場合、特に水平ロール荷重が高い領域である被圧延材Aの長手方向後端側の範囲において十分に荷重の低減が図られない恐れがある。
なお、水平ロール回転数を低く設定し圧延速度を低下させると、圧延時間が増加し効率の低下が懸念されるため、上記所定範囲L1はなるべく短い長さに設定することが好ましく、操業上実現可能な値として、例えばウェブ高さの3.0倍以下の長さに留める必要がある。ウェブ高さの3.0倍以下の長さで、圧延速度(水平ロール回転数)の低減率に応じて上記所定範囲L1を決めれば、圧延時間の増加は操業効率にほとんど影響しないと考えられる。ここでのウェブ高さは製品の公称のウェブ高さで規定すればよい。
以上説明した本実施の形態に係るH形鋼の製造方法においては、中間ユニバーサル圧延の被圧延材尻抜け時に、ウェブ高さの0.65倍以上の長さに設定される長手方向後端の所定範囲L1での水平ロール回転数を低く設定し、圧延速度を低下させることで、当該所定範囲L1での水平ロール圧延荷重の増大を抑え、定常状態の圧延荷重に近づけることができる。また、このような水平ロール圧延荷重の増大を抑制させるといった作用効果は、特に、中間ユニバーサル圧延機の竪ロールを小径化させた構成においてより顕著である。
図13は、本実施の形態に係るH形鋼の製造方法において、中間ユニバーサル圧延時に上記所定範囲L1をウェブ高さの1.3倍に設定し、当該範囲における水平ロール回転数を定常状態の30%に設定した場合のロール荷重の変化を示すグラフであり、(a)は水平ロール荷重の変化、(b)は竪ロール荷重の変化をそれぞれ破線で図示している。なお、図13は、被圧延材の長手方向長さが約44mの場合のデータであり、竪ロール径Dvが大径の1100mmである場合と小径の385mmである場合の両方を図示し、また、参考として水平ロール回転数を低下させていない場合のデータを実線で図示している。
図13(a)に示すように、所定範囲L1において水平ロール回転数を低くしたことで、竪ロール径が大径の場合と小径の場合のいずれの場合においても、尻抜け端部での水平ロール荷重の増大が抑えられていることが分かる(図中の破線参照)。
また、図13(b)に示すように、所定範囲L1において水平ロール回転数を低くしたことで、竪ロール径が大径の場合と小径の場合のいずれの場合においても、当該竪ロールの圧延荷重が低減していることが分かる(図中の破線参照)。
図13を参照して説明したように、所定範囲L1での水平ロール回転数を低く設定し、圧延速度を低下させることで、当該所定範囲L1での水平ロール圧延荷重の増大を抑え、定常状態の圧延荷重に近づけることが可能である。また、竪ロールの圧延荷重の低減も図られる。このような圧延荷重低減効果により、同じH形鋼製品を製造する場合であっても、パス回数削減による生産性の向上が図られる。また、圧延荷重の低減によりユニバーサル圧延を行う圧延機の小型化が図られる。加えて、従前より高強度のH形鋼製品を同一のパス回数でもって製造するといった事や、従来に比べ大断面の大型H形鋼製品を製造する事も可能となる。更に、ロール摩耗を低減することができ、ロール研削回数を減少させることによって、圧延効率を高めることもできる。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施の形態では、式(2)において竪ロール径Dvの好適な数値範囲を規定したが、竪ロールの小径化に伴い、当該竪ロールにロールチョックとしてのバックアップロールを設ける構成としても良い。図14は、竪ロールに対しバックアップロールを設ける構成の概略説明図(概略上面図)である。なお、図14では、図4に示す上記実施の形態に係る中間ユニバーサル圧延機5bに対し、左右バックアップロール70、71を設けた場合を図示しており、共通する構成要素等に関しては図4と同一の符号を付してその説明は省略する。
図14に示すように、本変形例では、竪ロール51に対し2本のバックアップロール70a、70bが設けられ、竪ロール52に対し2本のバックアップロール71a、71bが設けられる。これらバックアップロール70(70a、70b)、71(71a、71b)は、竪ロール51、52の後方に当該竪ロールに接触して支持する構成である。これにより、竪ロール小径化に伴うロール強度不足が問題とならず、ロール寿命の長期化が図られる。
また、上記実施の形態では、本発明技術を中間ユニバーサル圧延機5に適用する場合を図示し説明したが、本発明の適用範囲はこれに限られるものではない。即ち、仕上ユニバーサル圧延機8に適用することも可能である。また、例えば、中間圧延機が複数の圧延機によって構成される場合(例えば第1中間圧延機と第2中間圧延機が設けられている場合)、いずれかの圧延機に適用しても良く、全ての中間圧延機に適用しても良い。また、素材としては矩形断面のスラブのほか、連続鋳造されたビームブランクを使用してH形鋼を製造する場合にも適用できる。
また、上記実施の形態では、ユニバーサル圧延時の被圧延材の尻抜け端部に対する圧延速度を低下させ(水平ロール回転数を低下させ)て圧延荷重の低減を図る技術を説明したが、本技術は、更にユニバーサル圧延時の被圧延材の噛み込み端部に対して適用することもできる。ユニバーサル圧延が複数パスのリバース圧延で行われる場合、被圧延材長手方向の噛み込み端部及び尻抜け端部は、リバース圧延時において双方が入れ替わり、元の噛み込み端部が尻抜け端部になり、元の尻抜け端部が噛み込み端部になる。尻抜け端部で水平ロール荷重が増加すると、圧延機やロールの弾性変形で尻抜け端部圧延時の水平ロール隙が拡がりウェブ相当部の厚みが増加し、次のパスで噛み込み端部のウェブ相当部の厚み圧下量が増加するために、図13(a)に示すように、噛み込み端部圧延時にも水平ロール荷重が定常部より大きくなるといった事が考えられる。即ち、いずれの端部においても水平ロール回転数を低下させて圧延荷重の低減を図ることは、圧延効率を高めるために有効である。
(実施例1)
本発明の実施例1として、中間ユニバーサル圧延機の水平ロール径Dhを1600mm、竪ロール径Dvを1100mmとして、サイズ1000×400×16/32[mm]のH形鋼製品の中間圧延を所定のパススケジュールで行った。その際に、水平ロール回転数を定常状態で100rpm、尻抜け時(上記実施の形態での所定範囲L1)で30rpmとした。水平ロール回転数を30rpmとする範囲は、ウェブ高さの1.0倍である尻抜け端部の1.0mとし、最後端まで圧延を行った。
また、比較例1として、実施例1と同条件の中間圧延時に、水平ロール回転数を定常状態と尻抜け時で変えることなく100rpmとして圧延を行った。
実施例1及び比較例1を共に複数パスの中間圧延で行ったところ、各パス平均で、実施例1での水平ロール荷重は尻抜け端部の最大値で約11%低減された。これにより、複数パスでの中間圧延におけるパス回数の低減や、ロール摩擦の低減が実現され、ロール研削回数の低減等を図ることができた。
(実施例2)
本発明の実施例2として、中間ユニバーサル圧延機の水平ロール径Dhを1600mm、竪ロール径Dvを385mmとして、サイズ1000×400×16/32[mm]のH形鋼製品の中間圧延を所定のパススケジュールで行った。その際に、水平ロール回転数を定常状態で100rpm、尻抜け時(上記実施の形態での所定範囲L1)で30rpmとした。水平ロール回転数を30rpmとする範囲は、ウェブ高さの1.0倍である尻抜け端部の1.0mとし、最後端まで圧延を行った。
また、比較例2として、実施例2と同条件の中間圧延時に、水平ロール回転数を定常状態と尻抜け時で変えることなく100rpmとして圧延を行った。
実施例2及び比較例2を共に複数パスの中間圧延で行ったところ、各パス平均で、実施例2での水平ロール荷重は尻抜け端部の最大値で約12%低減された。これにより、複数パスでの中間圧延におけるパス回数の低減や、ロール摩擦の低減が実現され、ロール研削回数の低減等を図ることができた。
なお、実施例2の条件において、水平ロールの回転数を30rpmとする範囲を、ウェブ高さの1.3倍である尻抜け端部の1.3mとした場合であっても、同様の作用効果が確認された。
更に、実施例2と比較例1を比べると、被圧延材の定常部での水平ロール荷重が約26%低減されていることが確認され、被圧延材の尻抜け端部での水平ロール荷重が最大値で約22%低減されていることが確認された。即ち、竪ロール径Dvの小径化と、所定範囲での水平ロール回転数の低下を併せて実施することで、水平ロール荷重の低減効果がより顕著となることが実証された。
本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法に適用できる。
1…圧延設備
2…加熱炉
4…粗圧延機
5(5a、5b)…中間ユニバーサル圧延機
8…仕上ユニバーサル圧延機
9…エッジャー圧延機
11…スラブ
12…フランジ相当部
13…H形粗形材
14…中間材
16…H形鋼製品
20…ウェブ相当部
21…上水平ロール(中間ユニバーサル圧延機)
22…下水平ロール(中間ユニバーサル圧延機)
31、32…竪ロール(中間ユニバーサル圧延機)
51、52…小径竪ロール(中間ユニバーサル圧延機)
70、71…バックアップロール
A…被圧延材
T…製造ライン

Claims (8)

  1. 被圧延材に対し1又は複数パスのユニバーサル圧延を行いH形鋼を製造するH形鋼の製造方法であって、
    前記被圧延材はフランジ相当部及びウェブ相当部を有し、
    前記ユニバーサル圧延を行う圧延機において、被圧延材の定常部に対する水平ロール圧延荷重と、被圧延材の尻抜け端部の荷重増加範囲L2に対する水平ロール圧延荷重と、の関係に基づき、前記荷重増加範囲L2の一部または全部を含む所定範囲L1での水平ロール回転数を、前記定常部での水平ロール回転数に比べ低下させて圧延を行うことを特徴とする、H形鋼の製造方法。
  2. 前記所定範囲L1での水平ロール回転数を、前記定常部での水平ロール回転数の50%以下に設定し圧延を行うことを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼の製造方法。
  3. 前記所定範囲L1での水平ロール回転数を、前記定常部での水平ロール回転数の30%以下に設定し圧延を行うことを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼の製造方法。
  4. 前記所定範囲L1の長さは、前記ユニバーサル圧延において圧延される被圧延材のウェブ相当部の高さに基づいて定められることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
  5. 前記所定範囲L1の長さは、前記ユニバーサル圧延において圧延される被圧延材のウェブ相当部の高さの0.65倍以上の長さに設定されることを特徴とする、請求項4に記載のH形鋼の製造方法。
  6. 前記ユニバーサル圧延を行う圧延機の竪ロール径Dvは、以下の式(2)を満たすことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
    300[mm]≦Dv≦0.33×Dh ・・・(2)
    但し、Dh:水平ロール径である。
  7. 前記ユニバーサル圧延を行う圧延機は、中間ユニバーサル圧延機であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
  8. 前記ユニバーサル圧延を行う圧延機において、竪ロールの後方には当該竪ロールに接触して支持する構成のバックアップロールが設けられていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
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