JP6669015B2 - 画像形成装置および画像処理方法 - Google Patents
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Description
特許文献1としての特開2009−157656号公報には、Nビットの入力画像信号を、N+kビットの出力画像信号に変換する階調数拡張部を有する画像処理装置であって、グラデーション領域と判定された画素については、入力された画像信号の平滑化を行って、画像信号をN+kビットに拡張する技術が記載されている。
また、入力された画像信号の階調数を拡張する補正を行う技術として、近接する画素間における差分値が所定の値以下である場合にはグラデーションを示す領域と判定して平滑化を行い、所定の値を上回る場合にはエッジを示す領域と判定して平滑化を行わずに階調数を拡張する技術が特許文献2としての特開2007−213460号公報に記載されている。
印刷対象の画像に対して、予め設定された方向に沿って複数の領域に分割する分割手段と、
前記分割手段で分割された各領域に対して、前記領域の端の画素と濃度が共通する画素が隣接する数と、前記濃度が共通する画素群に隣接する画素の濃度と前記画素群との濃度の差とに基づいて、前記画素群の濃度変化を連続的にする階調処理を行う階調処理手段と、
を備えたことを特徴とする。
前記隣接する画素の濃度と前記画素群との濃度の差に基づいて、前記階調処理を実行するか否かを判別する判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
前記濃度が共通する画素が隣接する数が、予め設定された閾値に達する場合に前記階調処理を行う前記階調処理手段、
を備えたことを特徴とする。
前記階調処理における濃度変化を、予め設定された複数の変化率の中から選択する選択手段、
を備えたことを特徴とする。
対象の画像に対して予め設定された方向に沿って分割された複数の領域において、前記領域の端の画素と濃度が共通する画素が隣接する数と、前記濃度が共通する画素群に隣接する画素の濃度と前記画素群との濃度の差とに基づいて、前記画素群の濃度変化を連続的にする階調処理を行うことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、隣接する画素の濃度と前記画素群との濃度の差に基づいて階調処理を実行するか否かを判別できる。
請求項3に記載の発明によれば、前記濃度が共通する画素が隣接する数が、予め設定された閾値に達しない場合に階調処理を実行する場合に比べて、処理を高速化できる。
請求項4に記載の発明によれば、選択された変化率に基づいて階調処理を実行できる。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
図1において、画像形成装置Uは、操作部UI、画像読取装置の一例としてのスキャナ装置U1、給紙装置U2、画像記録装置の一例としての画像形成装置本体U3、および用紙排出部U4を有している。
前記スキャナ装置U1は、図示しない原稿を読取って画像情報に変換し、画像形成装置本体U3に入力する。
給紙装置U2は、給紙部の一例としての複数の給紙トレイTR1〜TR4を有する。各給紙トレイTR1〜TR4には、媒体の一例としての記録用紙Sが収容される。各給紙トレイTR1〜TR4から画像形成装置本体U3に向けて、媒体の搬送路の一例としての給紙路SH1が延びている。
前記制御部Cは、受信した画像情報を、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の印刷用の情報に処理して、潜像書込装置の駆動回路の一例としてのレーザ駆動回路Dに出力する。レーザ駆動回路Dは、制御部Cから入力されたレーザ駆動信号を予め設定された時期に、各色の潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkに出力する。
図1において、K:黒の像保持体ユニットUkは、像保持体の一例としての感光体ドラムPkと、帯電器の一例としてのコロトロンCCkと、像保持体用の清掃器の一例としての感光体クリーナCLkとを有する。そして、他の色Y,M,Cの像保持体ユニットUy,Um,Ucも、感光体ドラムPy,Pm,Pc、帯電コロトロンCCy,CCm,CCc、感光体クリーナCLy,CLm,CLcを有する。
なお、実施例1では、使用頻度の高く表面の磨耗が多いK色の感光体ドラムPkは、他の色の感光体ドラムPy,Pm,Pcに比べて大径に構成され、高速回転対応および長寿命化がされている。
なお、黒画像データのみの場合はK:黒の感光体ドラムPkおよび現像装置Gkのみが使用され、黒のトナー像のみが形成される。
1次転写後、感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkの表面に残留した残留トナーは感光体クリーナCLy,CLm,CLc,CLkによりクリーニングされる。
前記各像保持体ユニットUy,Um,Uc,Ukと現像装置の一例としての現像装置Gy,Gm,Gc,Gkとにより、可視像形成部の一例としてのトナー像形成部材Uy+Gy,Um+Gm,Uc+Gc,Uk+Gkが構成されている。
前記中間駆動ロールRd、中間テンションロールRt、中間ステアリングロールRw,中間アイドラロールRf、バックアップロールT2aにより、実施例1の中間転写体の支持部材の一例としてのベルト支持ロールRd+Rt+Rw+Rf+T2aが構成されている。また、前記中間転写ベルトBやベルト支持ロールRd+Rt+Rw+Rf+T2a、1次転写ロールT1y〜T1kにより、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが構成されている。なお、実施例1のベルトモジュールBMは、画像形成装置本体U3に対して、着脱、交換が可能なユニットにより構成されている。
前記コンタクトロールT2cには、制御部Cにより制御される電源回路Eから予め設定された時期に、トナーの帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加される。
前記中間転写ベルトB上のトナー像は、前記2次転写領域Q4を通過する際に、前記2次転写器T2により記録用紙Sに転写される。なお、カラー画像の場合は中間転写ベルトB表面に重ねて1次転写されたトナー像が一括して記録用紙Sに2次転写される。
前記1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1k、中間転写ベルトB、2次転写器T2、ベルトクリーナCLB等により、感光体ドラムPy〜Pk表面の画像を記録用紙Sに転写する転写装置T1+B+T2+CLBが構成されている。
前記記録用紙S上のトナー像は定着領域Q5を通過する際に定着装置Fにより加熱定着される。定着装置Fでトナー像が定着された記録用紙Sは、排出部の一例としての排出トレイTRhに排出される。
前記符号SH1,SH2等により用紙搬送路SHが構成されている。また、前記符号SH,Ra,Rr,SG1,SG2,BH等により用紙搬送装置SUが構成されている。
図2は実施例1の画像形成装置の制御部が備えている各機能をブロック図で示した図である。
図2において、画像形成装置Uの制御部Cは、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/Oを有する。また、制御部Cは、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM:リードオンリーメモリを有する。また、制御部Cは、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリを有する。また、制御部Cは、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置を有する。したがって、実施例1の制御部Cは、小型の情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されている。よって、制御部Cは、ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
制御部Cは、操作部UIやスキャナ装置U1等の信号出力要素からの出力信号が入力されている。
操作部UIは、入力部材の一例として、電源ボタンやコピースタートキー、コピー枚数設定キー、テンキー等の入力ボタンUIaを有する。また、操作部UIは、表示部材の一例としての表示部UIb等を備えている。
制御部Cは、主駆動源の駆動回路D1や電源回路E、その他の図示しない制御要素に接続されている。制御部Cは、各回路D1,E等へ、それらの制御信号を出力している。
D1:主駆動源の駆動回路
主駆動源の駆動回路D1は、像保持体の駆動源の一例であって、主駆動源の一例としてのメインモータM1を介して、感光体ドラムPy〜Pkや中間転写ベルトB等を回転駆動する。
E:電源回路
前記電源回路Eは、現像用の電源回路Ea、帯電用の電源回路Eb、転写用の電源回路Ec、定着用の電源回路Ed等を有している。
Ea:現像用の電源回路
現像用の電源回路Eaは、現像装置Gy〜Gkの現像ロールに現像電圧を印加する。
Eb:帯電用の電源回路
帯電用の電源回路Ebは、帯電コロトロンCCy〜CCkそれぞれに感光体ドラムPy〜Pk表面を帯電させるための帯電電圧を印加する。
転写用の電源回路Ecは、1次転写ロールT1y〜T1kやバックアップロールT2aに転写電圧を印加する。
Ed:定着用の電源回路
定着用の電源回路Edは、定着装置Fの加熱ロールFhの内蔵ヒータに電力を供給する。
制御部Cは、前記信号出力要素からの入力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能を有している。すなわち、制御部Cは次の機能を有している。
C1:画像形成の制御手段
画像形成の制御手段C1は、スキャナ装置U1やパーソナルコンピュータから入力された画像情報に応じて、画像形成装置本体U3の各部材の駆動や各電圧の印加時期等を制御して、画像形成動作であるジョブの実行や終了、中断を制御する。
C2:電源回路の制御手段
電源回路の制御手段C2は、各電源回路Ea〜Edを制御して、各部材へ印加される電圧や、各部材へ供給される電力を制御する。
C3:情報受信手段
情報受信手段C3は、スキャナ装置U1やパーソナルコンピュータから送信された画像情報を受信する。
C4:画像処理手段
図2において、画像処理プログラムの一例としての画像処理手段C4は、受信された画像情報を、画像形成装置本体U3で印刷するための印刷情報に処理する。なお、実施例1の画像処理手段C4では、一例として、画像形成装置本体U3において階調段差が10bit(1024階調)で印刷が可能であり、受信した画像情報の階調段差が8bit、すなわち、256階調の場合、10bitに階調段差を2bit=4段階差分増やす画像処理を実行する。実施例1の画像処理手段C4は、下記の各手段C401〜C415を有する。
C401:プロファイルデータ記憶手段
プロファイルデータ記憶手段C401は、変換情報の一例としてのカラープロファイルデータを記憶する。図4において、一例として、図4Aに示すように濃度が100%、99%、98%、97%、…の順に変化する画像に対して、カラープロファイルデータを適用した場合、100%は100%、99%は98%、98%は97%、97%は96%、…といったように、濃度が変換されるようなカラープロファイルデータを記憶する。実施例1では、カラープロファイルデータの一例として、CMYKプロファイルJC2011を使用するが、カラープロファイルデータは、これに限定されず、日本や海外で従来使用されている任意のカラープロファイルデータや利用者が手動で設定したカラープロファイルデータを利用可能である。
C402:色変換手段
変換手段の一例としての色変換手段C402は、プロファイルデータ記憶手段C401に記憶されたカラープロファイルデータに基づいて、受信した画像情報の色変換処理を行う。
補正情報の記憶手段の一例としてのキャリブレーションデータ記憶手段C403は、濃度の補正情報の一例としてのキャリブレーションLUT(Look Up Table)を記憶する。図4において、一例として、濃度が100%、99%、98%、97%、…の順に変化する画像に対して、カラープロファイルデータを適用した場合、100%は100%、99%は99%、98%は95%、97%は94%、96%は93%、…といったように、濃度が変換されるようなキャリブレーションLUTを記憶する。
なお、実施例1では、カラープロファイルデータは、画像形成装置Uの機種に設定されており、キャリブレーションLUTは画像形成装置Uの個体ごとに設定される。よって、カラープロファイルデータは機種ごとの仕様や設定に応じた画像処理を行い、キャリブレーションLUTは個体差に応じた画像処理を行う。
補正手段の一例としてのキャリブレーション補正手段C404は、キャリブレーションLUTに基づいて、色変換手段C402で変換された印刷情報を補正する。したがって、図4に示す一例では、図4Aに示すように濃度が100%、99%、98%、97%、…の順に変化する画像に対して、カラープロファイルデータの適用後に、キャリブレーションLUTを適用すると、100%の画素は100%→100%→100%となり、99%の画素は99%→98%→95%、98%の画素は98%→97%→94%、97%の画素は97%→96%→93%、…といったように変換される事となる。
C405:画像分割手段
分割手段の一例としての画像分割手段C405は、印刷対処の画像の領域を、予め設定された方向に沿って複数の領域に分割する。図5において、実施例1の画像分割手段C405は、印刷対象の画像101の画像領域A1に対して、予め設定された方向の一例としての副走査方向に沿って、複数の領域A2に分割する。なお、実施例1では、画像領域A1を複数の分割領域A2に分割して並行して処理を行うことで画像処理を高速化させているが、プロセッサの処理能力等の関係で並列処理が困難な場合や並列処理を行うと逆に全体の処理速度が低下する場合等は、分割せずに画像処理を行うことも可能である。また、分割する方向は、副走査方向としたが、これに限定されず、主走査方向に分割したり、或いは、副走査方向と主走査方向で格子状に分割する等、任意の分割方法が可能である。さらに、実施例1では、画像領域A1の分割を、色変換処理やキャリブレーション補正処理の後に行う構成を例示したが、これに限定されない。例えば、色変換処理やキャリブレーション補正処理の前に行い、各分割領域A2に対して色変換処理等を行うことも可能である。
濃度取得手段C406は、印刷対象の画像101における各画素の濃度C0を取得する。
C407:画素群の抽出手段
画素群の抽出手段C407は、濃度C0が共通する画素が複数隣接している画素群の一例としてのランを抽出する。実施例1では、分割領域A2ごとに、副走査方向に隣接して配置されている画素に対して、濃度が共通する画素が隣接している画素群であるランを抽出する。
C408:ラン長取得手段
画素群の長さ取得手段の一例としてのラン長取得手段C408は、画素群の抽出手段C407で抽出されたランの長さ、すなわち、画素群の画素数(ラン長)N1を取得する。実施例1のラン長取得手段C408は、ランごとにラン長N1を取得する。
画素群の閾値の記憶手段の一例としてのラン長の閾値の記憶手段C409は、各ランの濃度C0に基づいて、ラン長の閾値の一例としての補間対象ラン長Naを記憶する。実施例1では、濃度C0が高くなるほど、補間対象ラン長Naが大きくなる設定情報が記憶されている。一例として、濃度C0が0〜10%の場合は、補間対象ラン長Na=40[pixel(画素)]とし、濃度C0が10〜20%の場合は、補間対象ラン長Na=80[pixel]とし、濃度C0が20〜30%の場合は、補間対象ラン長Na=120[pixel(画素)]とし、濃度C0が30%より高い場合は、補間対象ラン長Na=∞[pixel(画素)]とする設定情報が記憶されている。なお、補間対象ラン長Naは、ラン長N1が補間対象ラン長Naに達する場合に、ランにおいて階調段差を増加させて濃度の変化を連続的にする階調処理(階調段差の補間処理)を行い、ラン長N1が補間対象ラン長Naに達しない場合に階調処理を行わないという判定を行うための閾値である。また、実施例1では、濃度C0が30%よりも高い場合は、補間対象ラン長Naが∞に設定されており、ラン長N1がどれだけ長くても階調処理が実行されない。なお、補間対象ラン長Naの具体的な数値は、例示した数値に限定されず、設計や仕様、利用者の手動設定等により任意に変更可能である。
濃度差の閾値の設定手段の一例としての補間閾値の設定手段C410は、濃度差の閾値の一例としての補間閾値(補間対象基準Gap値)Caを設定する。実施例1の補間閾値の設定手段C410は、階調処理(階調段差の補間処理)を行うか否かを判別するための補間閾値Caを、カラープロファイルデータとキャリブレーションLUTとに基づいて設定する。実施例1では、元画像において補完処理を行うか否かを判別する閾値を1とした場合、以下の式(1)に基づいて、補間閾値Caが設定される。
Ca=Max[CalibLUT(Profile(C0))−CalibLUT(Profile(C0−1))] …式(1)
なお、式(1)において、Profile(x)は、濃度xをカラープロファイルデータで色変換処理を行った後の濃度を演算する関数であり、CalibLUT(y)は、濃度yをキャリブレーションLUTを使用して補正処理を行った後の濃度を演算する関数である。よって、C0=100の場合、Profile(100)=100となり、CalibLUT(Profile(100))=100となり、CalibLUT(Profile(C1−1))=CalibLUT(Profile(99))=CalibLUT(98)=95となる。そして、C0の全ての濃度(1〜100)に対して、それぞれ、CalibLUT(Profile(C0))−CalibLUT(Profile(C0−1))を演算して、その最大値(Max)を、補間閾値Caに設定する。
なお、元画像において補間処理を行うか否かを判別する閾値がmの場合、式(1)のCalibLUT(Profile(C0−1))の項が、CalibLUT(Profile(C0−m))に設定可能である。
ラン長の判別手段C411は、各ランのラン長N1が、補間対象ラン長Naに達するか否かを判別する。実施例1のラン長の判別手段C411は、ラン長N1が、補間対象ラン長Naに達する場合に、階調処理を実行すると判別する。なお、補間対象ラン長Naは、ラン長の閾値の記憶手段C409に記憶されている各ランの濃度C0に応じたものが使用される。
C412:端の判別手段
端の判別手段C412は、各ランに対して、分割領域A2の端の画素を含むか否か、すなわち、分割領域A2の端から延びるランであるか否かを判別する。
濃度差の判別手段C413は、ランに隣接する画素の濃度とランの濃度C0の濃度差が、補間閾値Caに達するか否かを判別する。実施例1の濃度差の判別手段C413は、各ランに対して、ランの副走査方向(媒体の搬送方向)の下流側に隣接する画素の濃度C0aと、上流側に隣接する画素の濃度C0bに対して、各濃度差C0a−C0、C0b−C0が補間閾値Caや予め設定されたエッジ閾値Cbに対して大きいか否かを判別する。なお、エッジ閾値Cbは、階調画像部102の端を判定するための閾値であり、階調画像部102に背景部(白紙部)やベタ画像、あるいは自然画等が隣接している場合に、隣接する画像と階調画像部102の端と濃度差に基づいて、階調画像部102の端を判別するために予め記憶されている。なお、実施例1では、Ca<Cbに設定されている。
なお、以下の説明において、説明の分かりやすさのため、下流側の画素を「右」側とし、上流側の画素を「左」側として説明をする。また、「濃度差」を「段差」と表現する場合もある。
なお、実施例1では、ラン長の判別で階調処理が実行されると判別されたランにおいて、図6に示すように階調処理の有無の判別を行う。具体的には、以下の場合に階調処理を実行すると判別する。
(i)C0a−C0>0(右段差が+)且つC0b−C0>0(左段差が+)であって、|C0a−C0|<Ca且つ、|C0b−C0|>Cbの場合は、判別対象のランは、左右両側の画素の濃度に対して、濃度の『底』であり、ランの左端から右端に向かって濃度が上昇する(右上がりの)階調段差の補間処理を行うと判別する。すなわち、判別対象ランの濃度C0から右側の画素の濃度C0aに向かって濃度が上昇するように処理を行うランであると判別する。
(ii)C0a−C0>0(右段差が+)且つC0b−C0>0(左段差が+)であって、|C0a−C0|>Cb且つ、|C0b−C0|<Caの場合は、判別対象のランは、左右両側の画素の濃度に対して、濃度の『底』であり、ランの左端から右端に向かって濃度が減少する(右下がりの)階調段差の補間処理を行うと判別する。すなわち、左側の画素の濃度C0bから判別対象ランの濃度C0に向かって濃度が減少するように処理を行うランであると判別する。
(iv)C0a−C0<0(右段差が−)且つC0b−C0<0(左段差が−)であって、|C0a−C0|<Ca且つ、|C0b−C0|>Cbの場合は、判別対象のランは、左右両側の画素の濃度に対して、濃度の『頂点』であり、ランの左端から右端に向かって濃度が減少する(右下がりの)階調段差の補間処理を行うと判別する。すなわち、右側の判別対象ランの濃度C0から変化率に応じて左側に向かって濃度が上昇するように予測補間処理を行うランであると判別する。
(vi)C0a−C0>0(右段差が+)且つC0b−C0<0(左段差が−)であって、|C0a−C0|>Ca且つ|C0b−C0|<Caの場合は、判別対象のランが右側にベタ画像等の高濃度画像が隣接する階調画像部102の右端と判断する。したがって、判別対象のランは、ランの左から右に向かって濃度が上昇する(右上がりの)階調段差の予測補間処理を行うと判別する。すなわち、判別対象ランの濃度C0から変化率に応じて右側に向かって濃度が上昇するように処理を行うランであると判別する。
(viii)C0a−C0<0(右段差が−)且つC0b−C0>0(左段差が+)であって、|C0a−C0|<Ca且つ|C0b−C0|>Caの場合は、判別対象のランが左側にベタ画像等の高濃度画像が隣接する階調画像部102の左端と判断する。したがって、判別対象のランは、ランの左から右に向かって濃度が減少する(右下がりの)階調段差の予測補間処理を行うと判別する。すなわち、判別対象ランの濃度C0から変化率に応じて左側に向かって濃度が上昇するように処理を行うランであると判別する。
(x)右端が分割領域A2の端で且つ|C0b−C0|<Caの場合、分割領域A2の端であり、階調段差の予測補間処理を行うランであると判別する。そして、C0b−C0>0(左段差が+)の場合は、ランの左から右に向けて濃度が減少する(右下がり)部分と判断し、左隣の画素の濃度C0bと変化率に応じて右側に向かって濃度が減少するように予測補間処理を行うランと判別する。また、C0b−C0<0(左段差が−)の場合は、ランの左から右に向けて濃度が上昇する(右上がり)部分と判断し、判別対象ランの濃度C0と変化率に応じて右側に向かって濃度が上昇するように予測補間処理を行うランと判別する。
C414:変化率選択手段
変化率選択手段C414は、階調処理における濃度変化を、予め設定された複数の変化率の中から選択する。実施例1では、変化率として、強変化、中変化、弱変化の3種類が予め設定されている。実施例1では、変化率は、階調画像部102の端部のランや分割領域A2の端から延びるランに階調処理が行われる場合に使用される。図7において、実施例1では、強変化では、(変化する階調段差数)×(隣接する階調画像部102の内側の画素との濃度差:Gap値)がランの端の濃度となる変化率が設定される。また、中変化では、(変化する階調段差数)×(Gap値)×1/2がランの端の濃度となる変化率が設定される。さらに、中変化では、(変化する階調段差数)×(Gap値)×1/4がランの端の濃度となる変化率が設定される。なお、実施例1では、変化率は、初期値が弱変化に設定されており、操作部UIからの入力に応じて利用者が選択、設定可能に構成されている。なお、変化率の具体的な計算値は、例示した構成に限定されず、設計や仕様等に応じて任意に変更可能である。また、変化率は選択可能な構成とすることが望ましいが、特定の変化率に固定することも可能である。
階調処理手段C415は、印刷対象の画像101の階調画像部102に対して濃度の変化を連続的にする階調処理(グラデーション処理、階調段差の補間処理)を実行する。実施例1の階調処理手段C415は、ラン長の判別手段C411や濃度差の判別手段C413の判別結果に基づいて、階調の段階数(階調段差)が増える場合に、ランにおける濃度の変化を連続的にする階調段差の補間処理(階調処理)を実行する。したがって、実施例1では、補間閾値Caやエッジ閾値Cbと、各濃度差C0−C0a、C0−C0bに基づいて、階調処理が実行される。実施例1の階調処理手段C415では、濃度差の判別手段C413の判別結果(i)〜(x)に応じた補間処理または予測補間処理を実行する。例えば、(i)の場合は、{N1/(階調段差)}画素分進むにつれて、濃度が(C0a−C0)/(階調段差)ずつ濃くなっていくように設定することが可能である。
次に、実施例1の画像形成装置Uにおける制御の流れを流れ図、いわゆるフローチャートを使用して説明する。
図8は実施例1の画像処理のフローチャートの説明図である。
図8のフローチャートの各ステップSTの処理は、画像形成装置Uの制御部Cに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は画像形成装置Uの他の各種処理と並行して実行される。
図8に示すフローチャートは画像形成装置Uが画像情報の受信、すなわち、パーソナルコンピュータPCからの画像情報の受信やスキャナ装置U1からの読み取り画像情報の受信により開始される。
ST2において、キャリブレーションLUTを使用したキャリブレーション補正処理を実行する。そして、ST3に進む。
ST3において、画像領域A1をバンド状の分割領域A2に分割する。そして、ST4に進む。
ST4において、各分割領域A2において、各画素の濃度C0を取得する。そして、ST5に進む。
ST6において、各ランの長さN1を取得する。そして、ST7に進む。
ST7において、判別対象のランの濃度C0に応じた補間対象ラン長Naを読み出す。そして、ST8に進む。
ST8において、カラープロファイルデータとキャリブレーションLUTから補間閾値Caを演算する。そして、ST9に進む。
ST9において、ラン長N1が補間対象ラン長Na以上か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST10に進み、ノー(N)の場合はST13に進む。
ST11において、判別対象ランが補間処理を実行する対象のランであるか否か、すなわち、(i)〜(x)のいずれかに該当するか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST12に進み、ノー(N)の場合はST13に進む。
ST12において、判別対象のランにおいて、階調段差の補間処理を実行する。そして、ST14に進む。
ST13において、判別対象のランにおいて、階調段差の補間処理を実行しない。そして、ST14に進む。
ST14において、すべてのランの処理が終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST15に進み、ノー(N)の場合はST7に戻る。
ST15において、並列処理されている全ての分割領域A2の処理が終了したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST15を繰り返し、イエス(Y)の場合は画像形成装置本体U3に処理後の印刷情報を出力して、図8の処理を終了する。
前記構成を備えた実施例1の画像形成装置Uでは、外部のパーソナルコンピュータPCから送信された画像情報やスキャナ装置U1で読み取った画像情報を受信した場合、色変換処理とキャリブレーションLUTを使用したキャリブレーション補正処理が行われる。そして、受信した画像情報の階調の段差数が、画像形成装置本体U3で処理可能な階調段差数よりも低い場合、画像情報の階調段差数を拡張する階調段差の補間処理(グラデーション処理)を実行する。したがって、グラデーション処理が実行されることで、階調の変化が精緻になり、グラデーション処理が実行されない場合に比べて、画質が向上する。
ここで、従来技術では、色変換及びキャリブレーション補正後の画像に対してグラデーション処理を実行する際に、補間閾値Caは、固定の値を使用していた。したがって、図9Aに示すように、濃度が1段階ずつ変化する階調画像部01に対して、色変換およびキャリブレーション補正の適用後、濃度差02が補間閾値Caを超えてしまうと、本来グラデーション処理をすべきラン03に対してグラデーション処理が実行されない場合があった。このように、カラープロファイルやキャリブレーションLUTによっては、グラデーション処理が実行されたり、されなかったりすることがあると、画質が安定せず、階調画像部にムラのような画質欠陥が発生する問題がある。一方で、補間閾値Caを大きな値に設定すると、色の変化が大きな自然画等において、本来グラデーション処理が不要な部分にグラデーション処理が実行される問題もある。
図11は画像処理方法の説明図であり、図11Aは(vii)の場合の階調画像の一例の説明図、図11Bは(iv) の場合の階調画像の一例の説明図、図11Cは(v) の場合の階調画像の一例の説明図である。
図12は画像処理方法の説明図であり、図12Aは(viii) の場合の階調画像の一例の説明図、図12Bは(i) の場合の階調画像の一例の説明図、図12Cは(ii) の場合の階調画像の一例の説明図、図12Dは(vi) の場合の階調画像の一例の説明図である。
なお、(iii)、(iv)、(vi)、(viii)の場合、(i)、(ii)、(v)、(vii)の場合と異なり、端のランが上昇していく側で濃度が連続的に変化せず、白紙やベタ等の側でいわば不連続的に変化する。したがって、(i)、(ii)、(v)、(vii)と同様のグラデーション処理ではなく、予め設定された変化率を使用して、階調画像部102の連続的に変化している側からの濃度変化を外挿する(予測する)形でグラデーション処理(予測補間処理)が実行される。そして、変化率は、利用者が設定可能に構成されており、利用者の用途や好み等に応じて変更可能である。
図13において、実施例1のように画像領域A1を分割領域A2に分割して処理する場合、分割領域A2どうしの境界104に階調画像部102が跨っていると、境界104にまたがるランは、各分割領域A2に分割されてそれぞれ処理されることとなる。そして、分断されたランは、一端が分割領域A2の端であるため、分割領域A2の処理中は、分断された先の部分が不定の状態で処理される。したがって、不定の部分がどのくらいのラン長があるのか、隣接画素が階調画像部102の続きなのか、自然画なのか等が不定である。よって、従来は、境界104にまたがるランについては、図13の破線で示すように本来グラデーション処理をすべき部分もグラデーション処理が行われなかった。よって、分割領域A2の境界部分で、グラデーションがムラのようになって画質が低下する問題があった。
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H04)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としての複合機を例示したが、これに限定されず、例えば、複写機、FAX、プリンタにより構成することも可能である。
(H03)前記実施例において、画像形成装置における画像処理を例示したが、これに限定されず、入力画像と出力画像との間で階調段差が存在する構成、例えば、入力画像データが低階調画像で、出力する表示器が高解像度の場合に階調段差を補間する画像処理部にも適用可能である。
(H04)前記実施例において、bit数、すなわち、濃度の段差数(階調数)が増える場合に、階調段差を保管する画像処理に関して説明したが、これに限定されない。例えば、階調数が増えなくても、段階状に濃度が変化する階調画像に対して、濃度の変化が連続的になるように補正する階調処理にも適用可能である。
A2…領域、
C0−C0a、C0−C0b…画素群との濃度の差、
C0a,C0b…濃度が共通する画素群に隣接する画素の濃度、
C405…分割手段、
C413…判別手段、
C415…階調処理手段、
N1…領域の端の画素と濃度が共通する画素が隣接する数、
U…画像形成装置。
Claims (5)
- 印刷対象の画像に対して、予め設定された方向に沿って複数の領域に分割する分割手段と、
前記分割手段で分割された各領域に対して、前記領域の端の画素と濃度が共通する画素が隣接する数と、前記濃度が共通する画素群に隣接する画素の濃度と前記画素群との濃度の差とに基づいて、前記画素群の濃度変化を連続的にする階調処理を行う階調処理手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記隣接する画素の濃度と前記画素群との濃度の差に基づいて、前記階調処理を実行するか否かを判別する判別手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記濃度が共通する画素が隣接する数が、予め設定された閾値に達する場合に前記階調処理を行う前記階調処理手段、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。 - 前記階調処理における濃度変化を、予め設定された複数の変化率の中から選択する選択手段、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。 - 対象の画像に対して予め設定された方向に沿って分割された複数の領域において、前記領域の端の画素と濃度が共通する画素が隣接する数と、前記濃度が共通する画素群に隣接する画素の濃度と前記画素群との濃度の差とに基づいて、前記画素群の濃度変化を連続的にする階調処理を行うことを特徴とする画像処理方法。
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