JP6667745B1 - 遠心ファンおよび回転電機 - Google Patents

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Abstract

従来構造の遠心ファンでは、回転数が高いほど風音が増加し、不快感が大きくなるという課題があった。特に回転電機においては、高回転域のみ騒音値を低減させることはこれまで困難であった。このような課題を解決するために、回転中心(O)を有する主板(2)と主板(2)から回転中心を通る回転軸の方向に伸びる複数の羽根(4)とを備えた遠心ファン(1)であって、羽根(4)の長さ方向は主板の内周側から外周側に伸びており、少なくとも1枚の羽根(4)の内周側から外周側に伸びる第一の部分(A部)は、回転方向に対し凹形状に形成され、第一の部分(A部)から外周側に伸びる第二の部分(B部)は、回転方向に対し凸形状に形成されており、第一の部分(A部)は外周側ほど曲率半径が小さくなるように形成した。

Description

本願は、遠心ファンおよび回転電機に関するものである。
従来、いわゆる遠心ファンとしては、例えば特許文献1に開示されたものがあり、空気をはじめとする気体、または冷媒のような液体を輸送する目的で使用される。この遠心ファンは、円周方向に複数配置される羽根を備え、この羽根の軸方向の一端に円盤状あるいは椀状のハブ、ハブとは反対の端に、円環状のシュラウドを備えている。
椀状のハブと羽根との接続箇所を滑らかな凹状曲線とし、その接続部の接線を回転中心に向かって傾斜させることで、遠心ファンの高効率化と低騒音化を可能としている。このように従来の遠心ファンにおいては、羽根の形状、または羽根の間隔を変化させることで風量性能の向上と低騒音化を実現している。
特開2010−090835号公報
特許文献1に開示されたような従来構造では、特に低回転を中心とした特定の回転数において羽根の負圧面で生じる空気の剥離を抑制し、遠心ファンから生じる風音を低減することができる。
しかしながら、従来構造の遠心ファンでは、低回転域から高回転域まで広い回転領域で動作させた場合、特に高回転域では風音が増加し、不快感を大きく与えるという課題が生じていた。特に、回転電機においては、低回転域から高回転域まで幅広い動作範囲を有する。低回転域での風音は、機械摩擦音、電磁音およびエンジン音によりマスキングされるため、目立たない。これに比し、高回転域の風音が顕著に生じるため、特に不快感が大きいという課題が生じていた。
本願は、このような従来の課題を解決しようとするもので、高回転域で流量低減をさせることなく、遠心ファンから生じる風音を低減させることを可能とすることを目的とする。
本願に開示される遠心ファンにおいては、
回転中心を有する主板と前記主板から前記回転中心を通る回転軸の方向に伸びる複数の羽根とを備えた遠心ファンにおいて、前記羽根の長さ方向は前記主板の内周側から外周側に伸びており、前記複数の羽根のうち、少なくとも1枚の羽根の内周側から外周側に伸びる第一の部分は、回転方向に対し凹形状に形成され、前記第一の部分から外周側に伸びる第二の部分は、回転方向に対し凸形状に形成され、前記第一の部分は外周側ほど曲率半径が小さくなるように形成され、前記第一の部分の凹形状を曲線で近似したとき、前記曲線上の少なくとも5つの点が2次曲線関数で表される曲線上に存在することを特徴とする。



本願に開示される遠心ファンによれば、高回転域で流量低減をさせることなく、遠心ファンから生じる風音を低減させることを可能とする。
実施の形態1に係る遠心ファンを示す斜視図である。 実施の形態1に係る遠心ファンを回転軸方向の吸気側から見た羽根の形状を示す模式図である。 実施の形態1に係る遠心ファンの回転数に対する騒音値を説明する図である。 実施の形態5に係る遠心ファンを回転軸方向の吸気側から見た羽根の一部拡大図である。 実施の形態5に係る遠心ファンの角度θmと騒音との関係を説明した図である。 実施の形態6に係る遠心ファンを回転軸方向の吸気側から見た羽根の一部拡大図である。 実施の形態7に係る遠心ファンを回転軸方向の吸気側から見た羽根の一部拡大図である。 実施の形態8に係る遠心ファンを回転軸方向の吸気側から見た羽根の形状を示す模式図である。 車両用交流発電機の一部断面図である。 実施の形態1に係る遠心ファンを車両用交流発電機に取り付けた際のケーシング吸気部の径と羽根との関係を説明する図である。
以下、本願に係る遠心ファンの好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、同一内容および相当部については同一符号を配し、その詳しい説明は省略する。以降の実施形態も同様に、同一符号を付した構成について重複した説明は省略する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の遠心ファン1の全体図である。主板2、主板2から伸びた複数の腕状板3、および複数の羽根4を備えている。
主板2は、回転する物体、例えば、後述する回転電機の回転子に取り付けられる。主板2は、略板状の形状(たとえば円板など)、板にリブ等の突起を設けた形状、さらには回転中心Oが椀状に膨らんでいるような形状でも良い。また、隣り合う羽根4の間に切り欠きがあってもよい。また、図1に示すように板の中央に、回転電機などの回転軸となるシャフト34(後述する実施の形態9参照)を通すための穴を設けるため、リング形状となっている。
主板2の中央の穴の周りは盛り上がっていても良いし、強度を上げるために突起を設けても良い。または、回転子との位置決めのための切り欠きなどを設けても良い。
腕状板3は、主板2の一部から外側に向かって伸びた部分であり、主板2の外周と同一平面である。腕状板3には強度補強用のリブなどを設けても良い。隣接する2つの腕状板3の間には主板2の外周部があってもよく、主板2の外周部が無いように隣接する腕状板3同士で接続する形状でも良い。
主板2のリング状部分の中央付近に回転中心Oが存在し、前述した通り、その回転中心Oを通り、主板2の主面と直交する回転軸となるシャフト34(後述する)を設ける。
主板2または主板2から伸びた腕状板3には冷却孔5を設けてもよい。その冷却孔5の形状は、円形状、楕円形状、略多角形状でもよい。また、冷却孔5は複数設けられていてもよい。さらに、冷却孔5を複数設ける場合には、それぞれの冷却孔5の形状が異なる形状でもよい。また、冷却孔5において、後述する回転子8内部へ吸引される流れの通風抵抗を低減させるように、羽根4側の冷却孔5の端部にラウンドまたは面取りを設けるようにしてもよい。
このような構成により、主板2が回転した際に、羽根4に沿って外側に放出されるような風を生じさせ、主板2の中心部分に流れ込んだ空気が、外周側に放出される遠心ファンとなっている。羽根4の内側(回転中心O側)が負圧面、羽根4の外側が空気流を放出する正圧面である。また、羽根4の回転軸方向の高さは、回転方向の前縁で低く、後縁で高くして、前縁での風の衝突を小さくした形状としている。また、羽根4が形成された主板2とは反対側に円環状のシュラウドを備えていてもよい。
冷却孔5は全ての腕状板3に設けても良いが、1つのみ設けるようにしても良い。冷却孔5だけでなく、軸方向に流れる空気流を増加させるために、腕状板3の径方向の一部を細くしても良い。例えば、冷却孔5を設けていない腕状板3の回転方向前縁または後縁に切り欠きを設けて軸方向に流れる空気流を増加させることができる。冷却孔5を通過して、羽根4が曲げられた方向と逆方向に空気が流れやすいように、遠心ファン1が設置されることが望ましい。
冷却孔5を通過した空気は、回転軸方向へ抜けるとともに、主板2の回転に伴い一部は遠心方向へと流れる。また、主板2または腕状板3に冷却孔5を設けることで、軽量化することもできる。また、腕状板3の設置密度が高い箇所に、より多くの冷却孔5を設けることで遠心ファン1の重心を回転中心Oに近づけることができ、アンバランスを修正させる効果がある。
羽根4は腕状板3の外周側から、おおよそ直角に立ち上がった形状である。従って、おおよそ回転軸と平行となる。しかし、羽根4の立ち上げ方は主板2に対し垂直でなくてもよく、主板2と一定の角度を持つように形成してもよい。
羽根4は内周側から外周側に伸びており、回転中心Oに近い内周側が回転方向前方にあり、外周側が回転方向の後方となっている。このような羽根4は、一般に後向きの羽根と呼ばれ、ターボファンとも呼ばれる。このような羽根4は、軸方向から空気を吸い込み、全周に空気を吹き出す、遠心ファン1を構成する。
図2は、遠心ファン1を回転軸方向の吸気側から見たときの1枚の羽根4の形状を示す模式図である。図2に示すように、羽根の内周側は、回転方向に凹形状に形成され、外周側に伸びるA部、A部から続いて回転方向に凸形状に形成され、外周側に伸びるB部を有し、A部とB部との間に変曲点Cが存在する。A部は外周側ほどその曲率半径が小さく形成されている。図2では変曲点Cを点として表現しているが、A部とB部の両方に接するような直線としてもよい。なお、A部、B部は実際にはある程度の厚みがあるが、図2では、厚みを無視した曲線で表している。以下、実施の形態4まで同様である。
このような構成により、遠心ファン1から生じる風音を低減することができる。特に遠心ファン1の回転数が高い高回転域において、風量を低下させることなく従来構造よりも風音を大幅に低減させることが可能となる。すなわち、A部の曲率変化を小さく抑えることで、回転軸方向から吸い込まれた空気の流れが遠心方向に変化する際に、羽根4の負圧面で生じる空気の剥離を抑制できる。高回転ほど空気の剥離が生じやすいことから、負圧面の剥離抑制効果が高まり、風音低減の効果が高まる。図3に実施の形態1の実施品と比較品との回転数に対する騒音値を示す。領域Pで示した高回転域での騒音値が低減していることがわかる。従って、高回転域で流量低減をさせることなく、遠心ファン1から生じる風音(騒音レベル値)を低減させることを可能とする。
主板2に形成された複数の羽根4の羽根形状は、全ての羽根4を図2の構造と同一としてもよいし、その他の羽根形状と組み合わせてもよい。その他の羽根形状としては、回転軸方向の吸気側から見て、直線状でも円弧状でもよい。
本実施の形態では、羽根4は径方向に伸びた腕状板3の外周から折り曲げ、軸方向に立ち上げた形状として、連続した板の曲げ加工で容易に形成できるようにした。これにより、コスト増加もない。羽根4は、必ずしも主板2の外周端部に形成されていなくても良い。
また、羽根4は回転方向に等間隔に配置されていても、不等間隔に配置されていてもよい。不等間隔にした場合は、腕状板3の位置も回転方向に不均等な間隔になり、近接し合う2つの腕状板3の間では主板2のリング状部分が露出しない。すなわち、2つの腕状板3の主板2とつながる基部部分が部分的につながる構成となっていても良い。
実施の形態2.
図2において、前述の通り、厚みを無視してA部の凹形状を曲線で近似したとき、この曲線上の少なくとも5つの点は、楕円曲線、双曲線、または放物曲線などの2次曲線関数で表される曲線上に存在する。これにより、実施の形態1よりも風音低減効果を高めることが可能である。特に、楕円曲線とすることで、曲率が急激に変化することを抑えることができ、実施の形態1に比べ、内周側から外周側に向かうにつれて、曲率半径をより単調に小さくすることが可能である。この構成により、負圧面での空気の剥離を、より効率よく抑制することができ、高回転域における風音低減効果を高めることができる。
実施の形態3.
図2において、A部の最小曲率半径をB部の最大曲率半径よりも大きくし、羽根4の負圧面上での剥離を抑制するように設定しても良い。また、変曲点Cの位置は羽根の中央よりも、回転方向に対し後ろ側にあり、A部の羽根の長さがB部の羽根の長さよりも長くなる。A部の羽根の長さがB部の羽根の長さの2〜6倍の範囲となるようにすると好ましく、3〜4倍の範囲とするとさらによい。このような形状とすることにより、外周側での急激な流速変化を抑えることができ、騒音の低減効果がさらに大きくなる。
実施の形態4.
図2において、B部は外周側ほど曲率半径が小さくなるように設定しても良い。この構成により、遠心ファンを製造する際に生じる製造ばらつきが大きい場合でもロバスト性が高まり、羽根4の負圧面での剥離を抑制し、風音を低減することができる。また、遠心ファンの羽根よりも外周に障害物等がある場合には、外周側に障害物がない箇所から外周側に障害物がある箇所に羽根4が回転すると、障害物の影響で羽根4の負圧面での流れが不安定となり、特に羽根4の負圧面で空気の剥離を生じさせることになるが、このような形状とすることにより、羽根4の負圧面での剥離抑制効果を高めることができる。
実施の形態5.
図4は、遠心ファン1を回転軸方向の吸気側から見た羽根4の一部拡大図である。遠心ファン1の回転軸に垂直な平面上において、上述したA部を有する、回転方向前縁と回転中心Oとの成す半直線4aと垂直な直線を直線4bとし、直線4bと内周側凹形状の前縁の接線4cとにより挟まれる角度をθmとする。
図5に示すように、θmを−10°より大きく20°未満、すなわち、−10°<θm<20°(図中、領域Q)と設定することで、羽根4の負圧面で生じる剥離を抑制し、風音を低減することができる。さらに、角度θmを5°未満、即ちθm<±5°(図中領域R)と設定すると、より風音を低減できる。
実施の形態6.
図6は、遠心ファン1を回転軸方向の吸気側から見た羽根4の一部拡大図である。回転軸に垂直な平面上において、羽根4の前縁と回転中心Oとを結ぶ内径Rmが羽根4の前縁の曲率半径Rfよりも小さくなるように、すなわち、Rm<Rfとなるように設定してもよい。このようにすることで、羽根4の負圧面で流れが軸方向から遠心方向に変化する際の曲率変化を小さくでき、負圧面で生じる剥離を抑制し、風音を低減することができる。
実施の形態7.
図7は、遠心ファン1を回転軸方向の吸気側から見た羽根4の一部拡大図である。回転軸に垂直な平面上において、羽根4のA部における最小曲率半径Rfeよりも内径Rmが小さくなるように、すなわち、Rm<Rfeとなるように設定しても良い。このようにすることで、羽根4の負圧面で流れが軸方向から遠心方向に変化する際の曲率変化を小さくでき、負圧面で生じる剥離を抑制し、風音を低減することができる。
実施の形態8.
図8は、遠心ファン1を回転軸方向の吸気側から見た羽根4の形状を示す図である。回転軸に垂直な平面上において、内径Rm、変曲点Cと回転中心Oを結ぶ半径Rc、羽根4の後縁と回転中心Oを結ぶ半径Reの関係を、
Rc>(Rm+Re)/2となるように設定しても良い。
このようにすることで、羽根4の負圧面での空気の流れが軸方向から遠心方向に変化する際の曲率変化を小さくすることができる。すなわち、軸方向から遠心方向への変化は主として(Rm+Re)/2以下の範囲で生じるため、変曲点Cを(Rm+Re)/2よりも大きい範囲に設定することで、負圧面で生じる剥離を抑制する効果が高まり、風音を大きく低減することができる。
実施の形態9.
実施の形態1から実施の形態8の遠心ファン1を、交流発電機、モータ、または駆動装置など、回転電機の回転子に取り付けて利用してもよい。ここでは一例として、車両用交流発電機の場合を示す。図9は、遠心ファン1を適用した車両用交流発電機であり、略椀形状のアルミニウム製のフロント側ハウジング31とリヤ側ハウジング30とからなるケーシング32、このケーシング32に一対のベアリング33を介して回転自在に支持されたシャフト34、ケーシング32のフロント側に延出するシャフト34の端部に固着されたプーリ7、シャフト34と一体的に回転しケーシング32内に配設された回転子8、回転子8の外周に対向して配置されケーシング32に固定された固定子9、ケーシング32のリヤ側に延出するシャフト34の延出部に固定され、回転子8に電流を供給する一対のスリップリング10、各スリップリング10の表面に摺動する一対のブラシ11、これらのブラシ11を収容しているブラシホルダ17、これらのブラシ11に隣接されて固定子9で生じた交流電圧の大きさを調整する電圧調整器12、固定子9で生じる交流電圧を直流電圧に整流する整流装置13、ヒートシンク18、電圧調整器12と外部装置(図示せず)との信号の入出力を行うコネクタ20、ブラシホルダ17と整流装置13を覆うように保護カバー27、を備えている。
回転子8は、ランデル型回転子で、絶縁処理された銅線が円筒状かつ同心状に巻き回されている。この銅線に励磁電流が流れて磁束を発生する界磁巻線81と、発生する磁束によって磁極が形成され、界磁巻線81を覆うように設けられており、それぞれが6個、8個、あるいは10個以上で2の倍数個の爪部を有する界磁鉄芯82とを備えている。
遠心ファン1は、上記実施の形態1から8のいずれかまたは複数の特徴を備えている。
遠心ファン1は、溶接などにより回転子8に取り付けられており、回転子8の回転により外気を車両用交流発電機内に吸引し、発電機内の構成部品を冷却した後排出する。詳細には、回転子8には、界磁巻線81を冷却するための通風路が備えられており、回転子8と遠心ファン1により軸方向に流体を流すことで界磁巻線81を冷却している。遠心ファン1を回転子8に備えることで、高回転域での冷却性能は向上する。
図10には、車両用交流発電機に取り付けられた遠心ファン1を、回転中心Oを通るシャフト34のプーリ7方向から見た図を示している。遠心ファン1は、上記実施の形態1から8に説明した構成に加え、ケーシング32の吸気部の径32rよりも内径側に位置する羽根4fの曲率半径を、吸気部の径32rよりも外周側に位置する羽根4gの最大曲率半径よりも、大きくするように設定してもよい。ここで、ケーシング32の吸気部の径32rとは、遠心ファン1に対してはフロント側ハウジング31をプーリ7側から見たときの吸気部の外径である。これにより、高回転域において効果的に風音を低減することができ、羽根4とケーシング32の吸気部で生じる乱れを低減し、風音を低減することができる。
実施の形態10.
また、ケーシング32の吸気部の径32rよりも内径側に位置する羽根4fの曲率半径を、吸気部の径32rより大きくするように設定してもよい。これにより、高回転域における風音をより効果的に低減することができ、羽根4とケーシング32の吸気部で生じる乱れを低減し、風音を低減することができる。
実施の形態11.
なお、ケーシング32の吸気部の径32rよりも外周側に、羽根4の変曲点Cを配置し、Rc>32rとするように設定してもよい。これにより、羽根4の吸気部での干渉を効果的に抑制し、高回転域における風音をより効果的に低減することができる。
このように、回転電機のケーシング内に遠心ファンが配置される場合、回転数が高くなるにつれてケーシングの吸気部で生じる乱れが大きくなり、この乱れた吸気流れが羽根に吸い込まれることで、羽根の負圧面の空気の剥離を生じさせ、風量低下と風音増加を生じさせる。実施の形態1から8の遠心ファンをケーシングとの関係で適切に調節することにより、高回転域の吸気流れの乱れが大きい場合でも剥離を抑制し、風量低下させることなく風音低減が可能となる。
実施の形態9から11では、遠心ファン1とケーシング32のフロント側ハウジング31について記載したが、リヤ側に設置した遠心ファン1aとケーシング32のリヤ側ハウジング30の吸気部の外径について適用してもよい。あるいは、遠心ファン1と遠心ファン1aの両方に適用してもよい。なお、リヤ側ファンに適用する場合、上記吸気部の径32rとはブラシ11側から見たときのリヤ側ハウジング30の吸気部の外径である。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1:遠心ファン、2:主板、3:腕状板、4:羽根、5:冷却孔、8:回転子、9:固定子、32:ケーシング、34:シャフト。

Claims (11)

  1. 回転中心を有する主板と前記主板から前記回転中心を通る回転軸の方向に伸びる複数の羽根とを備えた遠心ファンにおいて、前記羽根の長さ方向は前記主板の内周側から外周側に伸びており、前記複数の羽根のうち、少なくとも1枚の羽根の内周側から外周側に伸びる第一の部分は、回転方向に対し凹形状に形成され、前記第一の部分から外周側に伸びる第二の部分は、回転方向に対し凸形状に形成され、前記第一の部分は外周側ほど曲率半径が小さくなるように形成され、前記第一の部分の凹形状を曲線で近似したとき、前記曲線上の少なくとも5つの点が2次曲線関数で表される曲線上に存在することを特徴とする遠心ファン。
  2. 回転中心を有する主板と前記主板から前記回転中心を通る回転軸の方向に伸びる複数の羽根とを備えた遠心ファンにおいて、前記羽根の長さ方向は前記主板の内周側から外周側に伸びており、前記複数の羽根のうち、少なくとも1枚の羽根の内周側から外周側に伸びる第一の部分は、回転方向に対し凹形状に形成され、前記第一の部分から外周側に伸びる第二の部分は、回転方向に対し凸形状に形成され、前記第一の部分は外周側ほど曲率半径が小さくなるように形成され、前記第一の部分の最小曲率半径が、前記第二の部分の最大曲率半径よりも大きいことを特徴とする遠心ファン。
  3. 回転中心を有する主板と前記主板から前記回転中心を通る回転軸の方向に伸びる複数の羽根とを備えた遠心ファンにおいて、前記羽根の長さ方向は前記主板の内周側から外周側に伸びており、前記複数の羽根のうち、少なくとも1枚の羽根の内周側から外周側に伸びる第一の部分は、回転方向に対し凹形状に形成され、前記第一の部分から外周側に伸びる第二の部分は、回転方向に対し凸形状に形成され、前記第一の部分は外周側ほど曲率半径が小さくなるように形成され、前記第二の部分は外周側に向かうにつれて曲率半径が小さくなることを特徴とする遠心ファン。
  4. 前記第一の部分における回転方向前縁と前記回転中心とを結ぶ線に垂直な直線と、前記第一の部分の凹形状の接線とがなす角を−10度より大きく20度未満とすることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の遠心ファン。
  5. 前記第一の部分における回転方向前縁と前記回転中心とを結ぶ線に垂直な直線と、前記第一の部分の凹形状の接線とがなす角を−5度より大きく5度未満とすることを特徴とする請求項に記載の遠心ファン。
  6. 回転中心を有する主板と前記主板から前記回転中心を通る回転軸の方向に伸びる複数の羽根とを備えた遠心ファンにおいて、前記羽根の長さ方向は前記主板の内周側から外周側に伸びており、前記複数の羽根のうち、少なくとも1枚の羽根の内周側から外周側に伸びる第一の部分は、回転方向に対し凹形状に形成され、前記第一の部分から外周側に伸びる第二の部分は、回転方向に対し凸形状に形成され、前記第一の部分は外周側ほど曲率半径が小さくなるように形成され、前記第一の部分における回転方向前縁の曲率半径よりも、前記回転方向前縁から前記回転軸までの径が小さいことを特徴とする遠心ファン。
  7. 回転中心を有する主板と前記主板から前記回転中心を通る回転軸の方向に伸びる複数の羽根とを備えた遠心ファンにおいて、前記羽根の長さ方向は前記主板の内周側から外周側に伸びており、前記複数の羽根のうち、少なくとも1枚の羽根の内周側から外周側に伸びる第一の部分は、回転方向に対し凹形状に形成され、前記第一の部分から外周側に伸びる第二の部分は、回転方向に対し凸形状に形成され、前記第一の部分は外周側ほど曲率半径が小さくなるように形成され、前記第一の部分における最小曲率半径よりも、前記第一の部分における回転方向前縁から前記回転中心までの径が小さいことを特徴とする遠心ファン。
  8. 前記第一の部分の凹形状から前記第二の部分の凸形状に変曲する部分と前記回転中心までの径をRc、前記第一の部分における回転方向前縁から前記回転軸までの径をRm、前記第二の部分における回転方向後縁から前記回転軸までの径をReとすると、
    Rc>(Rm+Re)/2
    であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の遠心ファン。
  9. 回転中心を有する主板と前記主板から前記回転中心を通る回転軸の方向に伸びる複数の羽根とを備えた遠心ファンが回転子に取り付けられている回転電機において、
    前記遠心ファンの前記羽根の長さ方向は前記主板の内周側から外周側に伸びており、前記複数の羽根のうち、少なくとも1枚の羽根の内周側から外周側に伸びる第一の部分は、回転方向に対し凹形状に形成され、前記第一の部分から外周側に伸びる第二の部分は、回転方向に対し凸形状に形成され、前記第一の部分は外周側ほど曲率半径が小さくなるように形成されており、
    前記回転子および前記遠心ファンを覆うケーシングの吸気部の径よりも内径側に位置する前記羽根の曲率半径を、前記吸気部の径より外周側に位置する前記羽根の最大曲率半径よりも、大きくしたことを特徴とする回転電機。
  10. 回転中心を有する主板と前記主板から前記回転中心を通る回転軸の方向に伸びる複数の羽根とを備えた遠心ファンが回転子に取り付けられている回転電機において、
    前記遠心ファンの前記羽根の長さ方向は前記主板の内周側から外周側に伸びており、前記複数の羽根のうち、少なくとも1枚の羽根の内周側から外周側に伸びる第一の部分は、回転方向に対し凹形状に形成され、前記第一の部分から外周側に伸びる第二の部分は、回転方向に対し凸形状に形成され、前記第一の部分は外周側ほど曲率半径が小さくなるように形成されており、
    前記回転子および前記遠心ファンを覆うケーシングの吸気部の径よりも内径側に位置する前記羽根の曲率半径を、前記吸気部の径よりも大きくしたことを特徴とする回転電機。
  11. 請求項1からのいずれか1項に記載の遠心ファンが回転子に取り付けられている回転電機において、前記回転子および前記遠心ファンを覆うケーシングの吸気部の径よりも外径側に、前記第一の部分の凹形状から前記第二の部分の凸形状に変曲する部分を配置していることを特徴とする回転電機。
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