JP6667565B2 - ゲル状水性化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は、ゲル状水性化粧料に関する。
化粧品、食品、医薬品等の分野では、製品に対して粘性又は弾性を付与するために、ゲル化剤又は増粘剤が汎用されている。例えば、化粧品の分野では、肌に塗布したときの使用感を高めたり、垂れ落ちを防いだりする等の目的で、ゲル化剤又は増粘剤を使用し、製品に対して独特の粘性又は弾性を付与している。
ゲル化剤又は増粘剤を配合した化粧料としては、例えば、PEG−240/デシルテトラデセス−20/ヘキサメチレンジイソシアネート コポリマーを使用したジェリー様美容液(例えば、特許文献1参照)、特定の構造を有するシリル化ウレタン系樹脂を使用したヘアスタイリングジェル(例えば、特許文献2参照)、特定の構造を有する疎水変性ポリエーテルウレタンを使用したジェル状洗浄剤(例えば、特許文献3参照)等が報告されている。
特開2013−199466号公報 特開2009−40755号公報 特開2002−105493号公報
ゲル状の化粧料において、硬度は、肌に塗布したときの使用感に影響を与える重要な特性であるため、経時での硬度変化は、できる限り小さいことが望ましい。
本発明者は、化粧料におけるゲル化剤又は増粘剤として汎用されている、PEG−240/デシルテトラデセス−20/ヘキサメチレンジイソシアネート コポリマー等の特定の構造を有する疎水変性ポリエーテルウレタンを含むゲル状の化粧料において、経時で硬度の上昇が見られることがあった。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、経時での硬度の上昇が抑制され、保存安定性に優れるゲル状水性化粧料を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的な手段は、以下の態様を含む。
[1] 下記一般式(1)で表される化合物と、脂肪酸又はその塩と、水とを含有し、
下記一般式(1)で表される化合物の含有量が、ゲル状水性化粧料の全質量に対して、0.5質量%〜15質量%であり、
下記一般式(1)で表される化合物は、PEG−240/デシルテトラデセス−20/ヘキサメチレンジイソシアネート コポリマーであり、
脂肪酸又はその塩の含有量が、脂肪酸換算で、ゲル状水性化粧料の全質量に対して0.01質量%〜5質量%であり、かつ、下記一般式で表される化合物(1)1gに対して0.33ミリモル〜1.0ミリモルであり、
かつ、25℃で測定したときの硬度が1g〜1000gであるゲル状水性化粧料。
一般式(1)中、Rは炭素数2〜36でm価の炭化水素基を表し、R及びRは各々独立に炭素数1〜4で2価の炭化水素基を表し、Rはウレタン結合を有してもよい、直鎖、分岐鎖、又は脂肪族環若しくは芳香環を含むh+1価の炭化水素基を表し、Rは2価の炭化水素基を表し、Rは水素原子又はヒドロキシ基を表す。mは2以上の整数であり、hは1以上の整数であり、k及びnは括弧内の構造の繰り返し数を表し、各々独立に0〜1000の範囲の整数であり、k及びnの両方が0になることはない。
[2] 脂肪酸又はその塩の含有量が、脂肪酸換算で、ゲル状水性化粧料の全質量に対して0.01質量%〜5質量%であり、かつ、一般式で表される化合物(1)1gに対して0.4ミリモル〜0.7ミリモルであり、
25℃で測定したときの硬度が10g〜200gである[1]に記載のゲル状水性化粧料。
] 25℃で測定したときの硬度が10g〜200gである[1]に記載のゲル状水性化粧料。
] 脂肪酸骨格の炭素数が10〜22である脂肪酸又はその塩を含む[1]〜[3]のいずれか1つに記載のゲル状水性化粧料。
] 脂肪酸又はその塩における脂肪酸骨格の炭素数が12〜22である[1]〜[]のいずれか1つに記載のゲル状水性化粧料。
] 脂肪酸骨格の炭素鎖が分岐鎖である脂肪酸又はその塩を含む[1]〜[]のいずれか1つに記載のゲル状水性化粧料。
] 脂肪酸骨格の炭素鎖が二重結合又は三重結合を少なくとも1つ有する不飽和の炭素鎖である脂肪酸又はその塩を含む[1]〜[]のいずれか1つに記載のゲル状水性化粧料。
] 脂肪酸又はその塩が、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸及びベヘン酸から選ばれる少なくとも1つの脂肪酸又はその塩を含む[1]〜[]のいずれか1つに記載のゲル状水性化粧料。
] 脂肪酸又はその塩が、オレイン酸及びイソステアリン酸から選ばれる少なくとも1つの脂肪酸又はその塩である[1]〜[]]のいずれか1つに記載のゲル状水性化粧料。
[1]水の含有量が、ゲル状水性化粧料の全質量に対して50質量%〜95質量%である[1]〜[]のいずれか1つに記載のゲル状水性化粧料。
[1] 更に、アスタキサンチン及びリコピンから選ばれる少なくとも1つを含有する[1]〜[1]のいずれか1つに記載のゲル状水性化粧料。
[1] 更に、アスコルビン酸誘導体を含有する[1]に記載のゲル状水性化粧料。
[1] アスコルビン酸誘導体がアスコルビルリン酸ナトリウムである[1]に記載のゲル状水性化粧料。
本発明によれば、経時での硬度の上昇が抑制され、保存安定性に優れるゲル状水性化粧料を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書において、ゲル状水性化粧料中の各成分の量は、ゲル状水性化粧料中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、ゲル状水性化粧料中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明において「ゲル状」とは、硬度計を用いて、25℃の温度条件で測定したときの測定対象物の硬度が1g〜1000gを示す状態をいう。
本発明において「水性化粧料」とは、水を含み、水及び所望により含む水溶性の液体成分の総含有量が50質量%以上であり、かつ、25℃の水に対する溶解量が1質量%以下の液体成分の含有量が、化粧料の全質量に対して、10質量%以下である化粧料をいう。
ここでいう「水溶性の液体成分」とは、25℃の水に対する対象物質の溶解量が1質量%を超える液状成分をいう。
[ゲル状水性化粧料]
本発明のゲル状水性化粧料は、一般式(1)で表される化合物(以下、適宜「特定化合物(1)」と称する。)と、脂肪酸又はその塩と、水とを含有し、脂肪酸又はその塩の含有量が、脂肪酸換算で、ゲル状水性化粧料の全質量に対して0.01質量%〜5質量%であり、かつ、25℃で測定したときの硬度が1g〜1000gである。
本発明のゲル状水性化粧料は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、一般式(1)で表される化合物、脂肪酸又はその塩、及び水以外の他の成分を含有してもよい。
本発明のゲル状水性化粧料は、25℃で測定したときの硬度が1g〜1000gのゲル状の化粧料である。本発明のゲル状水性化粧料では、特定化合物(1)を含有することで、水性化粧料のゲル化を実現している。しかしながら、特定化合物(1)を含有するゲル状の化粧料は、経時で硬度が上昇する傾向を有する。
ゲル状の化粧料では、硬度は、肌に塗布したときの使用感に影響を与える重要な特性であるため、経時での硬度変化は、できる限り小さいことが望ましい。
本発明のゲル状水性化粧料では、ゲルを形成する特定化合物(1)を、特定量の脂肪酸又はその塩と、水とともに含有することで、経時での硬度の上昇が抑制され、保存安定性に優れたゲル状水性化粧料となる。
本発明のゲル状水性化粧料が、このような効果を奏し得る理由については、明らかではないが、本発明者は、以下のように推測している。
特定化合物(1)は、両末端に疎水基を有するポリマーであり、水中において、疎水基を内側に、親水基を外側に向ける、いわゆるフラワーミセルを形成する。本発明のゲル状水性化粧料においては、特定化合物(1)と、特定量の脂肪酸又はその塩と、水とを組み合わせて含むことで、特定化合物(1)が形成するフラワーミセルの内側の疎水基に脂肪酸が吸着し、フラワーミセルの状態が安定する結果、硬度が経時で変化し難くなり、保存安定性に優れたゲル状水性化粧料となると考えられる。なお、上記推測は、本発明の効果を限定的に解釈するものではなく、一例として説明するものである。
〔ゲル状水性化粧料の硬度〕
本発明のゲル状水性化粧料は、25℃で測定したときの硬度(以下、適宜「硬度」と称する。)が1g〜1000gであり、好ましくは5g〜300gであり、より好ましくは10g〜200gである。
本発明のゲル状水性化粧料の硬度が、1000g以下であると、肌に塗布したときに伸ばしやすい。本発明のゲル状水性化粧料の硬度が、1g以上であると、スパチュラ等ですくう際にこぼし難く、すくい取りやすい。したがって、本発明のゲル状水性化粧料の硬度が、上記範囲内であると、化粧料としての使用性に優れる。
本発明のゲル状水性化粧料の硬度は、レオメーター(FUDOH REHOMETER、(株)レオテック)を用い、本発明のゲル状水性化粧料に対して、測定温度25℃の条件下、60mm/分の速度で、直径20mmのアダプターの先端を2kgの荷重で20mm挿入したときに測定される応力のピーク値(単位:g)を指す。
以下、本発明のゲル状水性化粧料に含有される各成分について、詳細に説明する。
〔一般式(1)で表される化合物〕
本発明のゲル状水性化粧料は、下記一般式(1)で表される化合物(特定化合物(1))を含有する。
一般式(1)中、Rは炭素数2〜36でm価の炭化水素基を表し、R及びRは各々独立に炭素数1〜4で2価の炭化水素基を表し、Rはウレタン結合を有してもよい、直鎖、分岐鎖、又は脂肪族環若しくは芳香環を含むh+1価の炭化水素基を表し、Rは2価の炭化水素基を表し、Rは水素原子又はヒドロキシ基を表す。mは2以上の整数であり、hは1以上の整数であり、k及びnは括弧内の構造の繰り返し数を表し、各々独立に0〜1000の範囲の整数であり、k及びnの両方が0になることはない。
特定化合物(1)は、一般式(1)から明らかなように、主鎖にウレタン構造及び親水性のアルキレンオキシ基を有し、末端に疎水性の炭化水素基を有する、疎水性に変性されたウレタン系コポリマーである。
一般式(1)において、Rは、炭素数2〜36でm価の炭化水素基を表し、好ましくは2価〜8価の炭化水素基である。Rで表される炭化水素基は、炭素原子−炭素原子間に酸素原子を含んでもよい。
一般式(1)において、R及びRは、各々独立に、炭素数1〜4で2価の炭化水素基を表し、好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基である。
一般式(1)において、Rは、ウレタン結合を有してもよい、直鎖、分岐鎖、又は脂肪族環若しくは芳香環を含むh+1価の炭化水素基を表し、好ましくは2価〜4価の炭化水素基である。Rで表される炭化水素基の炭素数は、1〜10が好ましい。
一般式(1)において、Rは、2価の炭化水素基を表す。Rで表される炭化水素基の炭素数は、8〜36が好ましく、12〜24がより好ましい。Rで表される2価の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等から水素原子を1つ除いて得られる2価の基が挙げられる。これらの中でも、Rで表される2価の炭化水素基としては、アルキル基から水素原子を1つ除いて得られるアルキレン基が好ましい。
一般式(1)において、Rは、水素原子又はヒドロキシ基を表す。
が水素原子である場合には、Rは、Rで表される2価の炭化水素基と共に末端基となる。
一般式(1)において、mは、Rで表される炭化水素基の価数と同じであり、2以上の整数である。
一般式(1)において、hは、Rで表される炭化水素基の価数−1であり、1以上の整数である。hは、好ましくは1である。
一般式(1)において、kは、(O−R)構造の繰り返し数(重合度)であり、0〜1000の範囲の整数であればよい。
一般式(1)において、nは、(R−O)構造の繰り返し数(重合度)であり、0〜1000の範囲の整数であればよい。
なお、一般式(1)において、k及びnの両方が0になることはない。
<一般式(1−1)で表される化合物>
本発明における一般式(1)で表される化合物としては、下記一般式(1−1)で表される化合物(以下、適宜「特定化合物(1−1)」と称する。)が好ましい。

一般式(1−1)中、R11は炭素数2〜12でm1価の炭化水素基を表し、R12及びR14は各々独立に炭素数1〜4で2価の炭化水素基を表し、R13はウレタン結合を有してもよい、直鎖、分岐鎖、又は脂肪族環若しくは芳香環を含むh1+1価の炭化水素基を表し、R15は1価の炭化水素基を表す。m1は2以上の整数であり、h1は1以上の整数であり、k1及びn1は括弧内の構造の繰り返し数を表し、各々独立に0〜1000の範囲の整数であり、k1及びn1の両方が0になることはない。
一般式(1−1)におけるR11は、一般式(1)におけるRに対応する。
一般式(1−1)におけるR11は、炭素数を除いて、一般式(1)におけるRと同義であるため、ここでは、炭素数及び好ましい態様以外の説明を省略する。
11で表される炭化水素基の炭素数は、2〜12であり、2〜4であることが好ましい。R11で表される炭化水素基は、鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、鎖状の脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
一般式(1−1)におけるR12及びR14は、それぞれ一般式(1)におけるR及びRに対応する。
一般式(1−1)におけるR12及びR14は、それぞれ一般式(1)におけるR及びRと同義であり、好ましい態様も同様であるため、ここでは説明を省略する。
一般式(1−1)におけるR13は、一般式(1)におけるRに対応する。
一般式(1−1)におけるR13は、一般式(1)におけるRと同義であるため、ここでは、好ましい態様以外の説明を省略する。
13で表される炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
一般式(1−1)におけるm1、h1、k1、及びn1は、それぞれ一般式(1)におけるm、h、k、及びnに対応する。
一般式(1−1)におけるm1、h1、k1、及びn1は、それぞれ一般式(1)におけるm、h、k、及びnと同義であるため、ここでは、好ましい態様以外の説明を省略する。
m1は、好ましくは2であり、h1は、好ましくは1である。
k1は、好ましくは1〜500の整数であり、より好ましくは100〜300の整数である。
n1は、好ましくは1〜200の整数であり、より好ましくは10〜100の整数である。
一般式(1−1)におけるR15は、一般式(1)におけるRが水素原子である場合の「R−R」で表される基に相当する。
一般式(1−1)において、R15は、アルキル基(即ち、一般式(1)におけるRで表される2価の炭化水素基が分岐状のアルキレン基で、かつ、Rが水素原子である構造)であることが好ましい。
特定化合物(1−1)は、例えば、「R11−[(O−R12k1−OH]m1(ここで、R11、R12、k1、及びm1は上記の定義と同じ)」で表されるポリエーテルポリオールと、「R13−(NCO)h1+1(ここで、R13及びh1は上記の定義と同じ)」で表されるポリイソシアネートと、「HO−(R14−O)n1−R15(ここで、R14、R15、及びn1は上記の定義と同じ)」で表されるポリエーテルモノアルコールと、を反応させる方法により得られることが好ましい。
反応に用いられる原料である、上記のポリエーテルポリオール、ポリイソシアネート、及びポリエーテルモノアルコールは、それぞれ、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
上記の方法により特定化合物(1−1)を得る場合、一般式(1−1)中のR11、R12、R13、R14、及びR15で表される炭化水素基は、用いられる3つの原料である「R11−[(O−R12k1−OH]m1」、「R13−(NCO)h1+1」、及び「HO−(R14−O)n1−R15」により、それぞれ決定される。
上記の3つの原料の仕込み比は、特に限定されるものでなく、例えば、ポリイソシアネート由来のイソシアネート基と、ポリエーテルポリオール及びポリエーテルモノアルコール由来の水酸基との比が、NCO:OH=0.8:1〜1.4:1の範囲となることが好ましい。
「R11−[(O−R12k1−OH]m1で表されるポリエーテルポリオールは、m1価のポリオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキシドなどを付加重合することにより得られる。
したがって、特定化合物(1−1)の合成に用いられるm1価のポリオールの構造により、R11で表される炭化水素基が決定される。また、m1価のポリオールに付加重合させるアルキレンオキシド等により、R12で表される炭化水素基が決定される。
ポリオールとしては、2価〜8価のポリオールが好ましく、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、トリオキシイソブタン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタトリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、ペンタメチルグリセリン、ペンタグリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール等の4価のアルコール;アドニット、アラビット、キシリット等の5価アルコール;ジペンタエリスリトール、ソルビット、マンニット、イジット等の6価アルコール;ショ糖等の8価アルコールなどが挙げられる。
本発明においては、ポリオールとしては、2価のアルコールが好ましく、特にエチレングリコールが好ましい。
上記のm1価のポリオールに付加重合させるアルキレンオキシド等としては、特に入手が容易であり、かつ、優れた効果を発揮し得る観点から、炭素数2〜4のアルキレンオキシドが好ましく、特にエチレンオキシドが好ましい。
アルキレンオキシド等の付加重合の形態は、単独重合であってもよく、2種以上を用いた共重合であってもよい。また、共重合の場合には、共重合の形態は、ランダム重合であってもよく、ブロック重合であってもよい。なお、これらの付加重合の方法は、通常の方法でよい。
重合度を示すk1は、0〜1000の範囲であればよく、1〜500の範囲が好ましく、100〜300の範囲がより好ましい。
全R12に占めるエチレン基の割合は、全R12中の50質量%〜100質量%の範囲であることが好ましい。
「R11−[(O−R12k1−OH]m1の分子量は、500〜10万のものが好ましく、1000〜5万のものが特に好ましい。
「R13−(NCO)h1+1」で表されるポリイソシアネートは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば、特に限定されない。
したがって、R13で表される炭化水素基は、特定化合物(1−1)の合成に用いられるポリイソシアネートにより決定される。
本発明に用いられるポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、フェニルメタンのジイソシアネート、トリイソシアネート、テトライソシアネート等が挙げられる。これらの中でも、本発明に用いられるポリイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネートが好ましい。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジプロピルエーテルジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、3−メトキシヘキサンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、3−ブトキシヘキサンジイソシアネート、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、パラキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。これらの中でも、本発明に用いられる脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、メタフェニレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジメチルベンゼンジイソシアネート、エチルベンゼンジイソシアネート、イソプロピルベンゼンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、2,7−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
ビフェニルジイソシアネートとしては、例えば、ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニルジイソシアネート等が挙げられる。
フェニルメタンのジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,5,2’,5’−テトラメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシルビス(4−イソシオントフェニル)メタン、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジエトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチル−5,5’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジクロロジフェニルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−3,3’−ジイソシアネート等が挙げられる。
フェニルメタンのトリイソシアネートとしては、例えば、1−メチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,7−ナフタレントリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4’−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、更に、上記のポリイソシアネートのダイマー、トリマー(イソシアヌレート結合)を用いてもよい。また、上記のポリイソシアネートとアミンとを反応させたビウレットを用いてもよい。
さらに、これらのポリイソシアネートとポリオールとを反応させたウレタン結合を有するポリイソシアネートを用いてもよい。ここで用いられるポリオールとしては、2価〜8価のポリオールが好ましく、前述のポリオールが好ましい。
なお、「R13−(NCO)h1+1」として、3価以上のポリイソシアネートを用いる場合は、ポリイソシアネートとしては、上記のウレタン結合を有するポリイソシアネートが好ましい。
「HO−(R14−O)n1−R15」で表されるポリエーテルモノアルコールは、1価のアルコールのポリエーテルであれば、特に限定されない。
「HO−(R14−O)n1−R15」で表されるポリエーテルモノアルコールは、1価のアルコールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキシドなどを付加重合することにより得ることができる。
したがって、R14で表される炭化水素基は、1価のアルコールに付加重合させるアルキレンオキシド等により決定される。また、R15で表される炭化水素基は、特定化合物(1−1)の合成に用いられる1価のアルコールにより決定される。
ここでいう1価のアルコールは、下記一般式(2)、(3)、又は(4)で表されるアルコールである。よって、R15は、下記一般式(2)〜(4)において水酸基を除いた基に相当する。
一般式(2):R−OH
一般式(3):R−CH(R)−R−OH
一般式(4):R−CH(R)−OH
一般式(2)〜(4)において、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、炭化水素基を表し、具体的には、アルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の炭化水素基が挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ターシャリペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル、イソステアリル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2−オクチルドデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−テトラデシルオクタデシル、モノメチル分岐−イソステアリル等が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、オレイル等が挙げられる。
アルキルアリール基としては、例えば、トルイル、キシリル、クメニル、メシチル、ベンジル、フェネチル、シンナミル、ベンズヒドリル、トリチル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、メチルシクロヘプチル等が挙げられる。
シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、メチルシクロペンテニル、メチルシクロヘキセニル、メチルシクロヘプテニル等が挙げられる。
一般式(3)において、Rは、2価の炭化水素基を表す。Rで表される2価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等から水素原子を1つ除いて得られる2価の基が挙げられる。具体的には、Rで表される2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アルキルアリーレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基等が挙げられる。
上記の1価のアルコールに付加重合させるアルキレンオキシド等としては、特に入手が容易であり、かつ、優れた効果を発揮し得る観点から、炭素数2〜4のアルキレンオキシドが好ましく、特にエチレンオキシドが好ましい。
アルキレンオキシド等の付加重合の形態は、単独重合であってもよく、2種以上を用いた共重合であってもよい。また、共重合の場合には、共重合の形態は、ランダム重合であってもよく、ブロック重合であってもよい。なお、これらの付加重合の方法は、通常の方法でよい。
重合度を示すn1は、0〜1000の範囲であればよく、1〜200の範囲が好ましく、10〜200の範囲がより好ましい。
全R14に占めるエチレン基の割合は、全R14中の50質量%〜100質量%の範囲であることが好ましく、65質量%〜100質量%の範囲であることがより好ましい。
特定化合物(1−1)を製造する方法としては、通常のポリエーテルとイソシアネートとの反応と同様に、例えば、ポリエーテルとイソシアネートとを、80℃〜90℃で1時間〜3時間加熱し、反応させることにより得ることができる。
「R11−[(O−R12k1−OH]m1」で表されるポリエーテルポリオール(a)と、「R13−(NCO)h1+1」で表されるポリイソシアネート(b)と、「HO−(R14−O)n1−R15」で表されるポリエーテルモノアルコール(c)と、を反応させる場合には、一般式(1−1)で表される化合物(コポリマー)以外のものも副生することがある。
例えば、ジイソシアネートを用いた場合、主生成物としては、一般式(1−1)で表されるc−b−a−b−c型のコポリマーが生成するが、その他、c−b−c型、c−b−(a−b)−a−b−c型等のコポリマーが副生することがある。
この場合、一般式(1−1)で表されるc−b−a−b−c型のコポリマーを分離することなく、このコポリマーを含む混合物の状態で、本発明のゲル状水性化粧料に使用してもよい。
本発明に用いられる特定化合物(1−1)としては、特開平9−71766号公報に挙げられた化合物が好適である。
本発明に用いられる特定化合物(1−1)としては、特に、PEG−240/デシルテトラデセス−20/ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)コポリマーが好適である。
このようなコポリマーは、商品名「アデカノールGT−700」として(株)ADEKAから市販されている。
本発明における特定化合物(1)としては、ビスステアリルPEG/PPG−8/6(メチレンジフェニルジイソシアネート/PEG−400) コポリマー、即ち、商品名「アクペック HU タイプC」として住友精化(株)より市販されている化合物好適である。
本発明のゲル状水性化粧料中における特定化合物(1)の含有量は、ゲル状水性化粧料の全質量に対して、0.5質量%〜15質量%であることが好ましく、1質量%〜10質量%であることがより好ましく、1.3質量%〜2質量%であることが更に好ましい。
本発明のゲル状水性化粧料中における特定化合物(1)の含有量が、上記範囲内であると、ゲル状水性化粧料として適当な硬度を得ることができる。また、スパチュラでのすくい取りやすさ、及び塗布時の肌への伸ばしやすさといった使用性に優れるゲル状水性化粧料を得ることができる。
〔脂肪酸又はその塩〕
本発明のゲル状水性化粧料は、脂肪酸又はその塩を含有する。
本発明のゲル状水性化粧料は、脂肪酸又はその塩を含有することで、経時での硬度の上昇が抑制され、保存安定性を向上させることができる。
本発明における脂肪酸又はその塩は、特に限定されるものではない。脂肪酸又はその塩は、天然物由来であってもよく、合成品であってもよい。
脂肪酸又はその塩における炭素鎖は、直鎖又は分岐鎖であってもよく、飽和又は不飽和の炭素鎖であってもよい。ゲル状水性化粧料中での溶解性、即ち、経時での析出防止の観点からは、脂肪酸又はその塩における炭素鎖は、分岐鎖であることが好ましい。また、同様の観点から、脂肪酸又はその塩における炭素鎖は、二重結合又は三重結合を少なくとも1つ有する不飽和の炭素鎖であることが好ましく、二重結合を少なくとも1つ有する不飽和の炭素鎖であることがより好ましい。
脂肪酸又はその塩における脂肪酸骨格の炭素数は、特に限定されるものではなく、好ましくは12〜22であり、より好ましくは16〜20であり、更に好ましくは16〜18である。
脂肪酸又はその塩における脂肪酸骨格の炭素数が12以上であると、ゲル状水性化粧料の硬度の経時安定性がより向上し得る。脂肪酸又はその塩における脂肪酸骨格の炭素数が22以下であると、ゲル状水性化粧料中での溶解性がより良好となるため、経時での析出が生じ難くなる。
脂肪酸の具体例としては、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、ミリスチン酸(14:0)、パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、イソステアリン酸(C18:0)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、α−リノレン酸(C18:3)、γ−リノレン酸(C18:3)、アラキジン酸(C20:0)、ベヘン酸(C22:0)等が挙げられる。なお、括弧内は、脂肪酸骨格の炭素数及び二重結合の数を表し、例えば、「C18:1」は、脂肪酸骨格の炭素数が18であり、かつ、二重結合の数が1つであることを示す。
本発明における脂肪酸としては、ゲル状水性化粧料の硬度の経時安定性及びゲル状水性化粧料中での溶解性の観点、並びに人体への適用のしやすさの点において、オレイン酸及びイソステアリン酸から選ばれる少なくとも1つが好ましく、イソステアリン酸がより好ましい。
脂肪酸の塩を構成する塩構造としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、L−アルギニン、L−ヒスチジン、L−リジン等の塩基性アミノ酸塩、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。塩の種類は、用いられる脂肪酸の種類等により適宜選択される。溶解性の観点からは、脂肪酸の塩を構成する塩構造としては、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
本発明における脂肪酸の塩としては、オレイン酸のアルカリ金属塩及びイソステアリン酸のアルカリ金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、オレイン酸ナトリウム及びイソステアリン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1つがより好ましく、イソステアリン酸ナトリウムが更に好ましい。
本発明のゲル状水性化粧料は、上述のような脂肪酸又はその塩を、1種単独で含んでもよく、2種以上を組み合わせて含んでもよい。
本発明のゲル状水性化粧料中における脂肪酸又はその塩の含有量は、硬度の経時安定性の観点から、ゲル状水性化粧料の全質量に対して、0.01質量%〜5質量%であり、好ましくは0.05質量%〜1質量%であり、より好ましくは0.1質量%〜0.5質量%である。また、肌への刺激性の観点から、本発明のゲル状水性化粧料中における脂肪酸又はその塩の含有量の上限値は、ゲル状水性化粧料の全質量に対して、5質量%以下である。
また、本発明のゲル状水性化粧料中における脂肪酸又はその塩の含有量は、特定化合物(1)1gに対して、0.1ミリモル〜1.0ミリモルであることが好ましく、0.2ミリモル〜0.8ミリモルであることがより好ましく、0.4ミリモル〜0.7ミリモルであることが更に好ましい。
本発明のゲル状水性化粧料中における脂肪酸又はその塩の含有量が上記範囲内であると、経時での硬度の上昇が顕著に抑制され、保存安定性により優れたゲル状水性化粧料となる。
なお、本発明における「脂肪酸又はその塩の含有量」は、脂肪酸換算値を意味する。
〔水〕
本発明のゲル状水性化粧料は、水を含有する。
水としては、化粧料に使用可能な水であれば、特に限定されるものではない。
本発明のゲル状水性化粧料中における水の含有量は、ゲル状水性化粧料の全質量に対して50質量%〜95質量%であることが好ましく、60質量%〜90質量%であることがより好ましく、70質量%〜88質量%であることが更に好ましい。
〔他の成分〕
本発明のゲル状水性化粧料は、特定化合物(1)、脂肪酸又はその塩、及び水の他、これら以外の他の成分を、所望により含有してもよい。以下、本発明のゲル状水性化粧料に用い得る他の成分について、説明する。
<カロテノイド>
本発明のゲル状水性化粧料は、更に、カロテノイドを含有することが好ましい。
カロテノイドは、黄色から赤のテルペノイド類の色素である。カロテノイドとしては、例えば、植物類、藻類、バクテリア等に由来するカロテノイドを挙げることができる。
本発明におけるカロテノイドは、天然物由来のカロテノイドに限定されず、常法に従って得られるものであれば、いずれのものであってもよい。
カロテノイドの具体例としては、リコピン、α−カロテン、β−カロテン、γ−カロテン、δ−カロテン、アクチニオエリスロール、ビキシン、カンタキサンチン、カプソルビン、β−8’−アポ−カロテナール(アポカロテナール)、β−12’−アポ−カロテナール、キサントフィル類(例えば、アスタキサンチン、フコキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン、カプサンチン、β−クリプトキサンチン、ビオラキサンチン等)、及びこれらのヒドロキシル又はカルボキシル誘導体が挙げられる。
これらの中でも、抗酸化効果、美白効果等の高さから、カロテノイドとしては、アスタキサンチン、リコピン、β−カロテン、フコキサンチン、及びルテインからなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましく、アスタキサンチン、リコピン、及びβ−カロテンからなる群より選ばれる少なくとも1つがより好ましく、アスタキサンチン及びリコピンから選ばれる少なくとも1つが更に好ましい。
本発明のゲル状水性化粧料は、上述のようなカロテノイドを、1種単独で含んでもよく、2種以上を組み合わせて含んでもよい。
本発明におけるカロテノイドは、結晶性のカロテノイドである。ここで、「結晶性のカロテノイド」は、特定のカロテノイドを示すものではなく、カロテノイドを含むオイル、ペースト等の形態とした場合に、その製造方法、処理方法、保存方法等の様々な要因により、−5℃〜35℃の温度領域のいずれかの温度において、結晶体として存在し得るカロテノイドを意味する。特に、後述するリコピン、アスタキサンチンをはじめ、β−カロテン、δ−カロテン、ゼアキサンチン、ルテイン等は、結晶体が存在しやすいカロテノイドである。
(アスタキサンチン)
アスタキサンチンは、本発明のゲル状水性化粧料が含有してもよい好適なカロテノイドの1つである。本発明におけるアスタキサンチンは、アスタキサンチン及びその誘導体(例えば、アスタキサンキチンのエステル等)から選ばれる少なくとも一方を包含する。本発明では、アスタキサンチン及びその誘導体を総称して「アスタキサンチン」という。
アスタキサンチンとしては、植物類、藻類、甲殻類、バクテリア等の天然物に由来するアスタキサンチンの他、常法に従って得られるアスタキサンチンの合成品を用いることもできる。
アスタキサンチンは、例えば、赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌、オキアミ等の培養物から抽出することができる。
品質及び生産性の観点からは、アスタキサンチンとしては、ヘマトコッカス藻からの抽出物(以下、「ヘマトコッカス藻抽出物」と称する。)又はオキアミからの抽出物に由来するアスタキサンチンが特に好ましい。
ヘマトコッカス藻の具体例としては、ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)、ヘマトコッカス・ラキュストリス(Haematococcus lacustris)、ヘマトコッカス・カペンシス(Haematococcus capensis)、ヘマトコッカス・ドロエバゲンシス(Haematococcus droebakensis)、ヘマトコッカス・ジンバビエンシス(Haematococcus zimbabwiensis)等が挙げられる。
ヘマトコッカス藻抽出物は、上記のヘマトコッカス藻を、必要に応じて、例えば、特開平5−68585号公報等に開示された方法により細胞壁を破砕して、アセトン、エーテル、クロロホルム、アルコール(例えば、エタノール、メタノール等)などの有機溶剤、又は超臨界状態の二酸化炭素等の抽出溶剤を加えることによって得ることができる。
ヘマトコッカス藻抽出物の市販品の例としては、武田紙器(株)のASTOTS−S、ASTOTS−2.5 O、ASTOTS−5 O、ASTOTS−10 O等、富士化学工業(株)のアスタリールオイル50F、アスタリールオイル5F等、東洋酵素化学(株)のBioAstin SCE7などが挙げられる。
ヘマトコッカス藻抽出物中におけるアスタキサンチンの色素純分としての含有量は、製造時の取り扱いの観点から、好ましくは0.001質量%〜50質量%であり、より好ましくは0.01質量%〜25質量%である。
なお、ヘマトコッカス藻抽出物は、特開平2−49091号公報に記載の色素と同様に、色素純分として、アスタキサンチン又はそのエステル体を含有してもよい。アスタキサンチンのエステル体を、一般的には50モル%以上、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むヘマトコッカス藻抽出物が好適に用いられる。
(リコピン)
リコピン(lycopene)は、本発明のゲル状水性化粧料が含有してもよい好適なカロテノイドの1つである。リコピンは、化学式C4056で表されるカロテノイドであり、カロテン類に属し、474nm(アセトン)に吸収極大を示す赤色色素である。
リコピンには、分子中央の共役二重結合のcis−、trans−による異性体も存在し、例えば、全trans−、9−cis体、13−cis体等が挙げられる。本発明におけるリコピンは、これらのいずれであってもよい。
リコピンは、トマト、柿、スイカ、ピンクグレープフルーツ等の天然物に含まれており、これらの天然物から分離又は抽出することができる。リコピンを含む分離物又は抽出物は、オイルタイプ、乳化液タイプ、ペーストタイプ、及び粉末タイプの4種類の形態で市販されている。
リコピンとしては、天然物に由来するリコピンの他、常法に従って得られるリコピンの合成品を用いることもできる。
リコピンの好ましい形態の一つとしては、トマト由来のリコピンが挙げられる。トマト由来のリコピンとしては、トマトパルプから抽出された脂溶性抽出物が挙げられる。トマトパルプから抽出された脂溶性抽出物に含まれるリコピンは、安定性、品質、及び生産性の観点から、特に好ましい。
ここで、「トマトパルプから抽出される脂溶性抽出物」とは、トマトを粉砕して得られる粉砕物を遠心分離して得られたパルプ状の固形物から、油性溶剤を用いて抽出された抽出物を意味する。
トマトパルプから抽出された脂溶性抽出物としては、リコピン含有オイル又はペーストとして広く市販されているトマト抽出物を用いることができ、例えば、サンブライト(株)より販売されているLyc−O−Mato 15%、Lyc−O−Mato 6%、協和発酵工業(株)より販売されているリコピン18等が挙げられる。
本発明のゲル状水性化粧料は、カロテノイドを、カロテノイド含有オイル又はペーストとして含んでもよい。本発明のゲル状水性化粧料の系中におけるカロテノイドの安定性を向上させる観点からは、カロテノイドを分散物の形態で含有させることが好ましい。
カロテノイドを含有する分散物は、水中油型分散物(O/W型分散物)であってもよく、油中水型分散物(W/O型分散物)であってもよい。カロテノイドを含有する分散物は、カロテノイドを油相成分の1つとして含有する水中油型分散物であることがより好ましい。
カロテノイドを含有する分散物は、常法により、調製することができる。
<アスコルビン酸化合物>
本発明のゲル状水性化粧料がカロテノイドを含有する場合には、更にアスコルビン酸又はその誘導体、並びにそれらの塩(以下、適宜「アスコルビン酸化合物」と称する。)を含有することが好ましい。本発明では、アスコルビン酸誘導体及びその塩を総称して「アスコルビン酸誘導体」という。
カロテノイドを含有する本発明のゲル状水性化粧料が、更にアスコルビン酸化合物を含有することで、アスコルビン酸化合物が、抗酸化、美白等の効果を有する機能性成分としての有効性を発揮するのみならず、カロテノイドの光等による分解を抑制し、カロテノイドの経時での安定性向上に寄与する。これにより、カロテノイドの分解に起因する変色が抑制され、良好な外観が維持される。
アスコルビン酸としては、L体、D体、及びDL体のいずれであってもよく、入手容易性の観点から、L体が好ましい。
アスコルビン酸塩としては、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム等が挙げられる。
アスコルビン酸誘導体としては、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビルリン酸ナトリウム(APS:sodium L-ascorbyl-2-phosphate、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム塩)、アスコルビルリン酸マグネシウム(APM:magnesium L-ascorbyl-2-phosphate、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩)、アスコルビン酸硫酸エステル、アスコルビン酸硫酸エステル2ナトリウム塩、アスコルビン酸2−グルコシド等が挙げられる。
本発明のゲル状水性化粧料は、上述のようなアスコルビン酸化合物を、1種単独で含んでもよく、2種以上を組み合わせて含んでもよい。
アスコルビン酸化合物としては、カロテノイドの光等による分解が顕著に抑制され、カロテノイドの経時安定性がより向上し得る観点から、アスコルビン酸誘導体が好ましく、アスコルビルリン酸ナトリウム及びアスコルビルリン酸マグネシウムから選ばれる少なくとも1つがより好ましく、加えて美白効果の高さの観点から、アスコルビルリン酸ナトリウムが特に好ましい。
アスコルビン酸化合物としては、市販品を用いてもよい。L−アスコルビン酸及びL−アスコルビン酸ナトリウムは、例えば、武田薬品工業(株)、扶桑化学工業(株)、BASFジャパン、第一三共(株)等から入手可能である。アスコルビル−2−グルコシドの市販品の例としては、AA−2G(商品名、(株)林原生物化学研究所)等が挙げられる。アスコルビルリン酸ナトリウムの市販品の例としては、アスコルビン酸PS(商品名、昭和電工(株))、リン酸L−アスコルビルナトリウム(商品名、BASFジャパン(株))等が挙げられる。アスコルビルリン酸マグネシウムの市販品の例としては、アスコルビン酸PM(商品名、昭和電工(株))、NIKKOL(登録商標) VC−PMG(商品名、日光ケミカルズ(株))、シーメイト(商品名、武田薬品工業(株))等が挙げられる。
本発明のゲル状水性化粧料中におけるアスコルビン酸化合物の含有量は、カロテノイドの安定性、美白効果等の観点から決定される。
本発明のゲル状水性化粧料がアスコルビン酸化合物を含有する場合、その含有量は、ゲル状水性化粧料の全質量に対して、0.25質量%〜3質量%であることが好ましく、0.5質量%〜2質量%であることがより好ましく、1質量%〜2質量%であることが更に好ましい。
本発明のゲル状水性化粧料中におけるカロテノイドの含有量とアスコルビン酸化合物の含有量との比率(カロテノイドの含有量:アスコルビン酸化合物の含有量)は、質量基準で、1:1〜1:100000であることが好ましく、1:10〜1:10000であることがより好ましく、1:100〜1:5000であることが更に好ましい。
本発明のゲル状水性化粧料中におけるカロテノイドの含有量とアスコルビン酸化合物の含有量との比率(カロテノイドの含有量:アスコルビン酸化合物の含有量)が、上記範囲内であると、カロテノイドの酸化分解が顕著に抑制され、保存安定性により優れるカロテノイド含有ゲル状水性化粧料となる。
なお、本発明における「アスコルビン酸化合物の含有量」は、アスコルビン酸化合物が、アスコルビン酸又はその塩の場合には、アスコルビン酸換算値を意味し、アスコルビン酸誘導体又はその塩の場合には、アスコルビン酸誘導体換算値を意味する。
<多価アルコール>
本発明のゲル状水性化粧料は、多価アルコールを含有することができる。本発明のゲル状水性化粧料は、多価アルコールを含むことで、保湿性が向上し、良好な使用感が得られる。
多価アルコールとしては、グリセリン、エチルへキシルグリセリン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール;還元水あめ、ショ糖、エリスリトール、キシリトール、グルコース、ガラクトース、ソルビトール、マルトトリオース、トレハロース等の多糖類などが挙げられる。
本発明のゲル状水性化粧料は、上述のような多価アルコールを、1種単独で含んでもよく、2種以上を組み合わせて含んでもよい。
本発明のゲル状水性化粧料が多価アルコールを含有する場合、その含有量は、ゲル状水性化粧料の全質量に対して、1質量%〜50質量%であることが好ましく、2質量%〜20質量%であることがより好ましく、5質量%〜10質量%であることが更に好ましい。
<その他の添加成分>
本発明のゲル状水性化粧料は、本発明の効果を損なわない範囲において、化粧品の分野にて通常用いられる添加成分を適宜、含有してもよい。
添加成分としては、例えば、化粧料に使用した際に有用な美容効果(例えば、保湿効果、美白効果、整肌効果等)を示す機能性成分が挙げられる。このような機能性成分としては、例えば、トコフェロール、トコトリエノール等のビタミンE;コエンザイムQ10等のユビキノン;ヒアルロン酸等の多糖類;セラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド5、セラミド6等の活性セラミド;グルコシルセラミド、ガラクトシルセラミド等のスフィンゴ糖脂質;加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲン等のコラーゲン;アセチルヒドロキシプロリン等のアミノ酸、加水分解シロバナル−タンパクなどが挙げられる。
その他、添加成分としては、例えば、フェノキシエタノール等の防腐剤、酸化防止剤、着色剤、増粘剤、水酸化ナトリウム水溶液、塩酸等のpH調整剤、緩衝剤、香料、抗菌剤、紫外線吸収剤、活性酸素除去剤、抗微生物剤、抗炎症剤、ミネラルなどが挙げられる。
[ゲル状水性化粧料の製造方法]
本発明のゲル状水性化粧料の製造方法は、特に限定されるものではない。本発明のゲル状水性化粧料は、特定化合物(1)と、脂肪酸又はその塩と、水と、必要に応じて、多価アルコール等の他の成分とを用いて、公知のゲル状水性化粧料の製造方法に従って、得ることができる。
本発明のゲル状水性化粧料の好適な製造方法の一つとしては、特定化合物(1)と、脂肪酸又はその塩と、水と、必要に応じて、多価アルコールとを、加温下で混合すること(以下、適宜「混合工程」と称する。)を含む製造方法が挙げられる。
特定化合物(1)と、脂肪酸又はその塩と、水とを混合する混合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、特定化合物(1)と、脂肪酸又はその塩と、水とを一度に混合してもよく、水を攪拌しながら、その水中に、特定化合物(1)と、脂肪酸又はその塩とを添加し、混合してもよい。
本発明のゲル状水性化粧料が、他の成分として、多価アルコールを含む場合には、特定化合物(1)と、脂肪酸又はその塩と、水と、多価アルコールとを一度に混合してもよく、水と多価アルコールとの混合液を攪拌しながら、その混合液中に、特定化合物(1)と、脂肪酸又はその塩とを添加し、混合してもよい。
混合手段は、特に限定されものではなく、市販のいずれの混合手段を用いてもよい。混合手段の例としては、例えば、スターラー、パドルミキサー、インペラーミキサー、ホモミキサー、ディスパーミキサー、ウルトラミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等が挙げられる。これらの混合手段の中でも、ホモミキサー及びディスパーミキサーから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
各成分を混合する際の温度は、特に限定されるものではなく、適宜、好ましい範囲を設定することができ、通常、4℃〜80℃の範囲内に設定することが好ましい。
各成分を混合する際の攪拌条件は、各成分を十分に混合することができれば、特に限定されるものではなく、混合手段に応じて、適宜、設定することができる。例えば、混合手段として、ホモジナイザーを用いる場合には、通常、500rpm〜8000rpmで5分間〜60分間、各成分を攪拌することができる。
多価アルコール以外の他の成分を配合する場合には、本発明のゲル状水性化粧料の硬度の経時安定性をより向上させる観点から、上記混合工程により得られた混合物を冷却した後、多価アルコール以外の他の成分を配合し、更に混合することが好ましい。混合手段は、上記混合工程における混合手段と同義であり、好ましい例も同様である。冷却温度は、特に限定されるものではなく、他の成分の安定性を考慮し、適宜、設定することができ、通常、4℃〜80℃の範囲内に設定することが好ましい。
本発明のゲル状水性化粧料は、必要に応じて、上記混合工程以外の他の工程を含むことができる。他の工程としては、例えば、脱泡工程、冷却工程、取り出し工程等が挙げられる。脱泡工程、冷却工程、取り出し工程等は、当業界で公知の方法を適用すればよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例17は参考例である。
[水性化粧料の調製]
〔実施例1〕
特定化合物(1)として、PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI コポリマー(アデカノールGT−700、ADEKA)を1.7gと、脂肪酸塩として、カプリン酸ナトリウムを0.15gと、グリセリンを6.0gと、エチルヘキシルグリセリンを0.2gと、1,3−ブチレングリコールを0.63gと、フェノキシエタノールを0.5gと、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(pH調整剤)を0.54gと、純水を35gと、を混合した。得られた混合物を60℃に加温し、ホモジナイザー(機種名:ホモミキサーHM−310、(株)アズワン)を用いて、2000rpmで5分間攪拌した後、40℃に冷却した。
次いで、冷却した混合物に、下記の方法により予め調製したアスタキサンチン含有乳化組成物を0.22gと、下記の方法により予め調製したリコピン含有乳化組成物を0.1gと、下記の方法により予め調製したセラミド含有分散組成物を6.0gと、水溶性コラーゲンを0.1gと、加水分解コラーゲンを0.1gと、アセチルヒドロキシプロリンを0.1gと、微量の加水分解シロバナル−タンパクと、香料を0.1gと、を添加し、全量が100gとなるように純水を更に添加した後、ホモジナイザー(機種名:ホモミキサーHM−310、(株)アズワン)を用いて、2000rpmで20分間攪拌した後、真空脱泡を行い、実施例1の水性化粧料を得た。
<アスタキサンチン含有乳化組成物の調製>
下記の成分を、70℃で1時間加熱し、溶解させることにより、水相組成物Aを得た。
−水性組成物Aの組成−
・ショ糖ステアリン酸エステル(HLB=16) 33.0g
・モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12) 67.0g
・グリセリン 450.0g
・純水 300.0g
下記の成分を、70℃で1時間加熱し、溶解させることにより、油相組成物Aを得た。
−油相組成物Aの組成−
・アスタキサンチン含有油 15.0g
(商品名:ASTOTS−S(ヘマトコッカス藻由来、アスタキサンチン:20質量%含有)、武田紙器(株))
・ミックストコフェロール 32.0g
(商品名:理研Eオイル800、理研ビタミン(株))
・中鎖脂肪酸グリセライド 93.0g
(商品名:ココナード(登録商標)MT、花王(株))
・レシチン 10.0g
(商品名:レシオンP、大豆由来、理研ビタミン(株))
得られた水相組成物Aを、70℃に保ったまま、超音波ホモジナイザー(型式:HP93、(株)エスエムテー)を用いて10000rpmで攪拌し、油相組成物Aを添加して、粗乳化物を得た。
次いで、得られた粗乳化物を約40℃まで冷却し、超高圧乳化装置(機種名:アルティマイザーHJP−25005、(株)スギノマシン)を用いて、200MPaの圧力で高圧乳化を行った。その後、平均孔径1μmのミクロフィルターを用いてろ過を行い、アスタキサンチン含有乳化組成物(アスタキサンチン含有率:0.3質量%)を得た。
得られたアスタキサンチン含有乳化組成物を、1質量%の濃度となるようにミリQ水にて希釈し、粒径アナライザー(型式:FPAR−1000、大塚電子(株))を用いて、分散粒子の粒径を測定したところ、58nm(メジアン径(d50))であった。
<リコピン含有乳化組成物の調製>
下記の成分を、70℃の恒温槽にて攪拌しながら加熱混合して、水相組成物Bを得た。
−水相組成物Bの組成−
・オレイン酸デカグリセリル−10 8.0g
(商品名:Decaglyn 1−OV、HLB=12.0、日光ケミカルズ(株))
・ショ糖ステアリン酸エステル 2.0g
(商品名:リョートーシュガーエステルS−1670、三菱化学フーズ(株))
・グリセリン 45.0g
・純水 100gまでの残量
下記の成分を、150℃のホットプレート上にて攪拌しながら5分間加熱混合して、油相組成物Bを得た。
−油相組成物Bの組成−
・トマトオレオレジン 1.14g
(商品名:Lyc−O−Mato(登録商標)15%(リコピン:15質量%含有)、サンブライト(株))
・レシチン 1.0g
(商品名:レシオンP、大豆由来、理研ビタミン(株))
・中鎖脂肪酸グリセライド 12.8g
(商品名:ココナード(登録商標)MT、花王(株))
得られた水相組成物Bを、油相組成物Bに加えて攪拌混合し、超音波ホモジナイザー(型式:US-150T、(株)日本精機)を用いて、所定の時間分散させて、粗乳化物を得た。
次いで、得られた粗乳化物を、更に超高圧乳化装置(機種名:アルティマイザーHJP−25005、(株)スギノマシン)を用いて、200MPaの圧力で高圧乳化を行い、リコピン含有乳化組成物(リコピン含有率:0.17質量%)を得た。
得られたリコピン含有乳化組成物を1質量%の濃度となるようにミリQ水にて希釈し、粒径アナライザー(型式:FPAR−1000、大塚電子(株))を用いて、分散粒子の粒径を測定したところ、52nm(メジアン径(d50))であった。
<セラミド含有分散組成物の調製>
下記の成分を、室温にて1時間攪拌して、油相組成物を得た。
−油相組成物の組成−
・セラミド3 0.1g
・セラミド6 0.1g
・フィトスフィンゴシン 0.07g
・エタノール 150g
・1mol/Lの塩酸 (分散直後のpHが7以下になるように調整)
得られた油相組成物(油相)と純水(水相)とを、1:7の比率(質量比)で、衝突型であるKM型マイクロミキサー100/100を用いてミクロ混合することにより、分散物を得た。なお、マイクロミキサーの使用条件は、下記の通りである。
《マイクロミキサーの使用条件》
−マイクロチャンネル−
・油相側マイクロチャンネル
断面形状/幅/深さ/長さ = 矩形/70μm/100μm/10mm
・水相側マイクロチャンネル
断面形状/幅/深さ/長さ = 矩形/490μm/100μm/10mm
−流量−
外環に水相を21.0ml/min.の流量で導入し、かつ、内環に油相を3.0ml/min.の流量で導入して、ミクロ混合する。
得られた分散物を、遠心式薄膜真空蒸発装置(機種名:エバポール CEP−lab、(株)大川原製作所)を使用し、エタノール濃度が0.1質量%以下になるまで、脱溶媒し、分散物濃度が2.0質量%になるように濃縮、調整し、セラミド含有分散組成物を得た。ここでいう分散物濃度とは、油相に添加された固形分の総計を基準とした濃度である。
〔実施例2〕
実施例1の水性化粧料において、脂肪酸塩として、カプリン酸ナトリウムを0.15g配合する代わりに、ラウリン酸ナトリウムを0.18g配合したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の水性化粧料を得た。
〔実施例3〕
実施例1の水性化粧料において、脂肪酸塩として、カプリン酸ナトリウムを0.15g配合する代わりに、ミリスチン酸ナトリウムを0.2g配合したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の水性化粧料を得た。
〔実施例4〕
実施例1の水性化粧料において、脂肪酸塩として、カプリン酸ナトリウムを0.15g配合する代わりに、パルミチン酸ナトリウムを0.23g配合したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の水性化粧料を得た。
〔実施例5〕
実施例1の水性化粧料において、脂肪酸塩として、カプリン酸ナトリウムを0.15g配合する代わりに、ステアリン酸ナトリウムを0.25g配合したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の水性化粧料を得た。
〔実施例6〕
実施例1の水性化粧料において、脂肪酸塩として、カプリン酸ナトリウムを0.15g配合する代わりに、イソステアリン酸ナトリウムを0.25g配合したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6の水性化粧料を得た。
〔実施例7〕
実施例1の水性化粧料において、脂肪酸塩として、カプリン酸ナトリウムを0.15g配合する代わりに、オレイン酸ナトリウムを0.25g配合したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7の水性化粧料を得た。
〔実施例8〕
実施例1の水性化粧料において、脂肪酸塩として、カプリン酸ナトリウムを0.15g配合する代わりに、ベヘン酸ナトリウムを0.3g配合したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8の水性化粧料を得た。
〔比較例1〕
実施例1の水性化粧料において、脂肪酸塩及び1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の水性化粧料を得た。
[評価]
実施例1〜実施例8及び比較例1の各水性化粧料を用いて、以下の評価を行った。評価結果については、実施例1〜実施例8及び比較例1の水性化粧料の組成とともに、表1に示す。
1.保存安定性(硬度の経時安定性)
調製直後の実施例1〜実施例8及び比較例1の各水性化粧料100gを、それぞれ直径47mm×高さ90mmのガラス容器に入れ、キャップをした状態で、25℃で24時間保存した。この25℃で24時間保存した後の各水性化粧料の硬度(以下、適宜「初期硬度」と称する。)を、レオメーター(機種名:FUDOH REHOMETER、(株)レオテック)を用いて測定した。具体的には、各水性化粧料に対して、測定温度25℃の条件下、60mm/分の速度で、直径20mmのアダプターの先端を2kgの荷重で20mm挿入したときに測定される応力のピーク値を、硬度の測定値(単位:g)とした。測定条件の詳細を下記に示す。
《測定条件》
アダプター:No.3(直径:20mm)
荷重:2kg
速度:60mm/分
測定温度:25℃
無荷重基底:0.1%
サンプリング間隔:0.02秒
X軸テーブル移動距離:20mm(強制終了:20mm)
また、別の系として、調製直後の実施例1〜実施例8及び比較例1の各水性化粧料100gを、それぞれ直径47mm×高さ90mmのガラス容器に入れ、キャップをした状態で、50℃で2週間保存した。この50℃で2週間保存した後の各水性化粧料の硬度(以下、適宜「経時硬度」と称する。)を、上記の初期硬度と同様の方法により測定した。
そして、初期硬度及び経時硬度の測定値を用いて、経時での硬度変化率を算出し、得られた硬度変化率に基づき、下記の評価基準に従って、水性化粧料の保存安定性(硬度の経時安定性)を評価した。「経時での硬度変化率」は、初期硬度及び経時硬度の測定値のうち、高い方の値を低い方の値で割り、小数点以下2桁目を四捨五入して、小数点以下1桁まで求めた値とした。
経時での硬度変化率が小さい程、水性化粧料の保存安定性が優れることを示す。
〜評価基準〜
AAA:経時での硬度変化率が1.0以上1.5未満である
AA:経時での硬度変化率が1.5以上2.0未満である
A:経時での硬度変化率が2.0以上3.0未満である
B:経時での硬度変化率が3.0以上4.0未満である
C:経時での硬度変化率が4.0以上である
2.使用感(みずみずしさ)
肌に塗布したときに感じるみずみずしさを、使用感の指標の一つとし、評価した。ここでいう「みずみずしさ」とは、肌に塗布したときに、水性化粧料中の成分が分離し、水が滲み出してくる変化を感じることを意味する。
調製直後の実施例1〜実施例8及び比較例1の各水性化粧料100gを、それぞれ直径47mm×高さ90mmのガラス容器に入れ、キャップをした状態で、25℃で24時間保存した。この25℃で24時間保存した後の各水性化粧料40gを、化粧料評価の専門パネラー10人に使用してもらい、肌に塗布したときに感じるみずみずしさの程度を判断してもらった。そして、パネラーが、みずみずしさを強く感じた場合には「3」、みずみずしさを適度に感じた場合には「2」、みずみずしさをほとんど感じなかった場合には「1」と採点した。
各パネラーの採点結果を平均し、小数点以下を四捨五入した数値を、使用感(みずみずしさ)の評価結果とした。
評価結果の数値が大きい程、水性化粧料の使用感が優れることを示す。

表1に示すように、特定化合物(1)とともに脂肪酸塩を用いた実施例1〜実施例8の水性化粧料は、いずれも硬度変化が小さく、硬度の経時安定性に優れていた。また、実施例1〜実施例8の水性化粧料は、肌に塗布したときにみずみずしさが強く感じられ、使用感にも優れていた。
一方、特定化合物(1)とともに脂肪酸塩を用いなかった比較例1の水性化粧料では、肌に塗布したときに感じるみずみずしさは、実施例1〜実施例8の水性化粧料と同様であったが、硬度の経時安定性は、実施例1〜実施例8の水性化粧料と比較して劣るものであった。
脂肪酸塩における脂肪酸骨格の炭素数が多いほど、硬度の経時安定性に優れる傾向が認められた(実施例1〜実施例8参照)。また、脂肪酸塩における脂肪酸の炭素鎖が分岐鎖であると、硬度の経時安定性により優れる傾向が認められた(実施例5及び実施例6参照)。更に、脂肪酸塩における脂肪酸が不飽和二重結合を有すると、硬度の経時安定性により優れる傾向が認められた(実施例5及び実施例7参照)。
[水性化粧料の調製]
〔実施例9〕
実施例1の水性化粧料において、脂肪酸塩として、カプリン酸ナトリウムを0.15g配合する代わりに、オレイン酸ナトリウムを0.25g配合し、かつ、特定化合物(1)であるPEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI コポリマーの配合量を、1.7gから1gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9の水性化粧料を得た。
〔実施例10〕
実施例1の水性化粧料において、脂肪酸塩として、カプリン酸ナトリウムを0.15g配合する代わりに、オレイン酸ナトリウムを0.25g配合し、かつ、特定化合物(1)であるPEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI コポリマーの配合量を、1.7gから1.3gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例10の水性化粧料を得た。
〔実施例11〕
実施例1の水性化粧料において、脂肪酸塩として、カプリン酸ナトリウムを0.15g配合する代わりに、オレイン酸ナトリウムを0.25g配合し、かつ、特定化合物(1)であるPEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI コポリマーの配合量を、1.7gから1.5gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例11の水性化粧料を得た。
〔実施例12〕
実施例1の水性化粧料において、脂肪酸塩として、カプリン酸ナトリウムを0.15g配合する代わりに、イソステアリン酸ナトリウムを0.25g配合し、かつ、特定化合物(1)であるPEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI コポリマーの配合量を、1.7gから1.5gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例12の水性化粧料を得た。
〔実施例13〕
実施例1の水性化粧料において、脂肪酸塩として、カプリン酸ナトリウムを0.15g配合する代わりに、オレイン酸ナトリウムを0.25g配合したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例13の水性化粧料を得た。
〔実施例14〕
実施例1の水性化粧料において、脂肪酸塩として、カプリン酸ナトリウムを0.15g配合する代わりに、イソステアリン酸ナトリウムを0.25g配合したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例14の水性化粧料を得た。
〔実施例15〕
実施例1の水性化粧料において、脂肪酸塩として、カプリン酸ナトリウムを0.15g配合する代わりに、イソステアリン酸ナトリウムを0.5g配合し、特定化合物(1)であるPEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI コポリマーの配合量を、1.7gから3.5gに変更し、かつ、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の配合量を、0.54gから1.08gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例15の水性化粧料を得た。
〔実施例16〕
実施例1の水性化粧料において、脂肪酸塩として、カプリン酸ナトリウムを0.15g配合する代わりに、イソステアリン酸ナトリウムを0.5g配合し、特定化合物(1)であるPEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI コポリマーの配合量を、1.7gから5gに変更し、かつ、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の配合量を、0.54gから1.08gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例16の水性化粧料を得た。
〔実施例17〕
実施例1の水性化粧料において、脂肪酸塩として、カプリン酸ナトリウムを0.15g配合する代わりに、イソステアリン酸ナトリウムを0.5g配合し、特定化合物(1)であるPEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI コポリマーの配合量を、1.7gから10gに変更し、かつ、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の配合量を、0.54gから1.08gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例17の水性化粧料を得た。
〔比較例2〕
実施例1の水性化粧料において、脂肪酸塩として、カプリン酸ナトリウムを0.15g配合する代わりに、オレイン酸ナトリウムを0.5g配合し、かつ、特定化合物(1)であるPEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI コポリマーの配合量を、1.7gから0.3gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の水性化粧料を得た。
[評価]
実施例9〜実施例17及び比較例2の各水性化粧料を用いて、上記と同様の方法により、水性化粧料の保存安定性(硬度の経時安定性)の評価を行った。また、実施例9〜実施例17及び比較例2の各水性化粧料を用いて、以下に示す水性化粧料の使用性(スパチュラでのすくい取りやすさ、及び塗布したときの肌への伸ばしやすさ)の評価を行った。評価結果については、実施例9〜実施例17及び比較例2の水性化粧料の組成とともに、表2に示す。
3.使用性(1)(スパチュラでのすくい取りやすさ)
スパチュラでのすくい取りやすさを、使用性の指標の一つとし、評価した。
調製直後の実施例9〜実施例17及び比較例2の各水性化粧料100gを、それぞれ直径47mm×高さ90mmのガラス容器に入れ、キャップをした状態で、25℃で24時間保存した。この25℃で24時間保存した後の各水性化粧料を、パネラー10人に、スパチュラ(アスタリフト ジェリー アクアリスタ(販売名:AL ジェリー アクアリスタR)40g専用スパチュラ、富士フイルム(株))を用いてすくってもらい、すくい取りやすさの程度を判断してもらった。そして、パネラーが、問題なくすくい取れた場合には「2」、すくい取ることができず、こぼした場合には「1」と採点した。
各パネラーの採点結果を平均し、小数点以下を四捨五入した数値を、使用性(1)(スパチュラでのすくい取りやすさ)の評価結果とした。
評価結果の数値が大きい程、水性化粧料がスパチュラですくい取りやすく、使用性に優れることを示す。
4.使用性(2)(塗布したときの肌への伸ばしやすさ)
塗布したときの肌への伸ばしやすさを、使用性の指標の一つとし、評価した。
調製直後の実施例9〜実施例17及び比較例2の各水性化粧料100gを、それぞれ直径47mm×高さ90mmのガラス容器に入れ、キャップをした状態で、25℃で24時間保存した。この25℃で24時間保存した後の各水性化粧料を、化粧料評価の専門パネラー10人に使用してもらい、塗布したときの肌への伸ばしやすさの程度を判断してもらった。そして、パネラーが、問題なく伸ばせると感じた場合には「3」、伸ばせるが少し抵抗を感じた場合には「2」、伸ばしにくいと感じた場合には「1」と採点した。
各パネラーの採点結果を平均し、小数点以下を四捨五入した数値を、使用性(2)(塗布時の肌への伸ばしやすさ)の評価結果とした。
評価結果の数値が大きい程、塗布した際に、水性化粧料が肌に伸びやすく、使用性に優れることを示す。

表2に示すように、水性化粧料中の脂肪酸又はその塩の含有量が、特定化合物(1)1gに対して、0.48ミリモル〜0.63ミリモルの範囲内である実施例10〜実施例14の水性化粧料では、ゲルの硬度変化が小さく、硬度の経時安定性に優れていた。
実施例9〜実施例17の水性化粧料は、いずれもスパチュラでのすくい取りやすさ及び塗布したときの肌への伸ばしやすさが良好であり、使用性に優れていた。一方、硬度が1未満である比較例2の水性化粧料は、スパチュラですくい取ろうとしてもこぼれてしまい、使用性に劣る結果となった。
〔実施例18〕
実施例6の水性化粧料において、更にアスコルビルリン酸ナトリウム(APS)を0.25g配合したこと以外は、実施例6と同様にして、実施例18の水性化粧料を得た。
〔実施例19〕
実施例6の水性化粧料において、更にアスコルビルリン酸ナトリウム(APS)を0.5g配合したこと以外は、実施例6と同様にして、実施例19の水性化粧料を得た。
〔実施例20〕
実施例6の水性化粧料において、更にアスコルビルリン酸ナトリウム(APS)を1g配合したこと以外は、実施例6と同様にして、実施例20の水性化粧料を得た。
〔実施例21〕
実施例6の水性化粧料において、更にアスコルビルリン酸ナトリウム(APS)を2g配合したこと以外は、実施例6と同様にして、実施例21の水性化粧料を得た。
〔実施例22〕
実施例6の水性化粧料において、更にアスコルビルリン酸マグネシウム(APM)を2g配合したこと以外は、実施例6と同様にして、実施例22の水性化粧料を得た。
〔実施例23〕
実施例6の水性化粧料において、更にアスコルビン酸ナトリウムを2g配合したこと以外は、実施例6と同様にして、実施例23の水性化粧料を得た。
[評価]
実施例18〜実施例23の各水性化粧料を用いて、上記と同様の方法により、水性化粧料の保存安定性(硬度の経時安定性)の評価を行った。また、実施例18〜実施例23の各水性化粧料を用いて、以下に示す水性化粧料の保存安定性(吸光度の変化からみた経時安定性)の評価を行った。評価結果については、実施例18〜実施例23の水性化粧料の組成とともに、表3に示す。
5.保存安定性(吸光度の変化からみた経時安定性)
アスタキサンチン、リコピン等のカロテノイドを含有する化粧料では、カロテノイドの光等による分解に起因し、経時での吸光度変化が生じ得る。そこで、経時での吸光度変化を、カロテノイドを含有する化粧料の保存安定性の指標の一つとし、評価した。
調製直後の実施例18〜実施例23の各水性化粧料100gを、それぞれ直径47mm×高さ90mmのガラス容器に入れ、キャップをした状態で、25℃で24時間保存した。この25℃で24時間保存した後の各水性化粧料を、光路長0.4cmのポリスチレン(PS)製ディスポセルに入れ、セルごと、小型冷却遠心機(型式:CF5RX、日立工機(株)、スイングローター:T4SS31)用いて、4000rpmで2分間遠心分離を行い、脱泡処理した。
脱泡処理後の各水性化粧料について、波長478nmの光に対する吸光度を、分光光度計(型式:U−3310、(株)日立製作所)を用いて測定し、得られた測定値を「初期吸光度」とした。
また、別の系として、調製直後の実施例18〜実施例23の各水性化粧料100gを、それぞれ直径47mm×高さ90mmのガラス容器に入れ、キャップをした状態で、50℃で4週間保存した。この50℃で4週間保存した後の各水性化粧料の波長478nmの光に対する吸光度を、上記と同様の方法により測定し、得られた測定値を「経時吸光度」とした。
そして、初期吸光度及び経時吸光度を用いて、経時での吸光度変化率を算出し、得られた吸光度変化率に基づき、下記の評価基準に従って、水性化粧料の保存安定性(吸光度の変化からみた経時安定性)を評価した。「経時での吸光度変化率」は、初期吸光度及び経時吸光度の測定値のうち、高い方の値を低い方の値で割り、小数点以下1桁目を四捨五入して求めた値とした。
経時での吸光度変化率が小さい程、保存安定性に優れることを示す。
〜評価基準〜
AA:経時での吸光度変化率が99%以上100%未満である
A:経時での吸光度変化率が90%以上99%未満である
B:経時での吸光度変化率が75%以上90%未満である
C:経時での吸光度変化率が75%未満である

表3に示すように、アスタキサンチン及びリコピンとともにアスコルビン酸誘導体を用いた実施例18〜実施例23の水性化粧料は、いずれも経時での吸光度変化が少なかった。この経時での吸光度変化は、アスコルビン酸誘導体の配合量の増加に伴い、より小さくなる傾向が認められたことから、アスコルビン酸誘導体がアスタキサンチン及びリコピンの経時安定性に寄与しているものと考えられる(実施例18〜実施例21参照)。
アスコルビルリン酸ナトリウム(APS)を用いた実施例21の水性化粧料は、アスコルビルリン酸マグネシウム(APM)を用いた実施例22の水性化粧料、及びアスコルビン酸ナトリウムを用いた実施例23の水性化粧料と比較して、経時での吸光度変化が小さかった。特にAPSは、4分の1の含有量でAPMと同等の効果を示した(実施例19〜実施例22参照)。

Claims (13)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物と、脂肪酸又はその塩と、水とを含有し、
    下記一般式(1)で表される化合物の含有量が、ゲル状水性化粧料の全質量に対して、0.5質量%〜15質量%であり、
    下記一般式(1)で表される化合物は、PEG−240/デシルテトラデセス−20/ヘキサメチレンジイソシアネート コポリマーであり、
    脂肪酸又はその塩の含有量が、脂肪酸換算で、ゲル状水性化粧料の全質量に対して0.01質量%〜5質量%であり、かつ、下記一般式で表される化合物(1)1gに対して0.33ミリモル〜0.8ミリモルであり、
    25℃で測定したときの硬度が5g〜300gであり、
    25℃の水に対する溶解量が1質量%以下の液体成分の含有量が、ゲル状水性化粧料の全質量に対して、10質量%以下であるゲル状水性化粧料。

    一般式(1)中、Rは炭素数2〜36でm価の炭化水素基を表し、R及びRは各々独立に炭素数1〜4で2価の炭化水素基を表し、Rはウレタン結合を有してもよい、直鎖、分岐鎖、又は脂肪族環若しくは芳香環を含むh+1価の炭化水素基を表し、Rは2価の炭化水素基を表し、Rは水素原子又はヒドロキシ基を表す。mは2以上の整数であり、hは1以上の整数であり、k及びnは括弧内の構造の繰り返し数を表し、各々独立に0〜1000の範囲の整数であり、k及びnの両方が0になることはない。
  2. 脂肪酸又はその塩の含有量が、脂肪酸換算で、ゲル状水性化粧料の全質量に対して0.01質量%〜5質量%であり、かつ、一般式で表される化合物(1)1gに対して0.4ミリモル〜0.7ミリモルであり、
    25℃で測定したときの硬度が10g〜200gである請求項1に記載のゲル状水性化粧料。
  3. 25℃で測定したときの硬度が10g〜200gである請求項1に記載のゲル状水性化粧料。
  4. 脂肪酸骨格の炭素数が10〜22である脂肪酸又はその塩を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のゲル状水性化粧料。
  5. 脂肪酸又はその塩における脂肪酸骨格の炭素数が12〜22である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のゲル状水性化粧料。
  6. 脂肪酸骨格の炭素鎖が分岐鎖である脂肪酸又はその塩を含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のゲル状水性化粧料。
  7. 脂肪酸骨格の炭素鎖が二重結合又は三重結合を少なくとも1つ有する不飽和の炭素鎖である脂肪酸又はその塩を含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のゲル状水性化粧料。
  8. 脂肪酸又はその塩が、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸及びベヘン酸から選ばれる少なくとも1つの脂肪酸又はその塩を含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のゲル状水性化粧料。
  9. 脂肪酸又はその塩が、オレイン酸及びイソステアリン酸から選ばれる少なくとも1つの脂肪酸又はその塩である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のゲル状水性化粧料。
  10. 水の含有量が、ゲル状水性化粧料の全質量に対して50質量%〜95質量%である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のゲル状水性化粧料。
  11. 更に、アスタキサンチン及びリコピンから選ばれる少なくとも1つを含有する請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のゲル状水性化粧料。
  12. 更に、アスコルビン酸誘導体を含有する請求項11に記載のゲル状水性化粧料。
  13. アスコルビン酸誘導体がアスコルビルリン酸ナトリウムである請求項12記載のゲル状水性化粧料。
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