JP6869129B2 - 美白用水性ゲル状組成物 - Google Patents

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Description

本開示は、美白用水性ゲル状組成物に関する。
化粧品、食品、医薬品等の分野では、製品に対して粘性又は弾性を付与するために、ゲル化剤又は増粘剤が汎用されている。例えば、化粧品の分野では、肌に塗布したときの使用感を高めたり、垂れ落ちを防いだりする等の目的で、ゲル化剤又は増粘剤を使用し、製品に対して独特の粘性又は弾性を付与している。
ゲル化剤又は増粘剤を配合した化粧料としては、例えば、特定の構造を有する化合物(ゲル化剤)と、脂肪酸又はその塩と、水とを含有し、脂肪酸又はその塩の含有量が、脂肪酸換算で、ゲル状水性化粧料の全質量に対して0.01質量%〜5質量%であり、かつ、25℃で測定したときの硬度が1g〜1000gであるゲル状水性化粧料が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、水溶性美白剤成分と会合性ポリマーとを含有し、会合性ポリマーの含有量が0.1質量%〜10質量%である美白用皮膚外用剤が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2016−693364号公報 特開2002−284664号公報
ところで、近年、セラミドがもたらすスキンケア効果を期待して、化粧料にセラミドを配合するための種々の技術が開発されている。セラミドは結晶性の高い物質であり、水に溶解し難いため、セラミドを水性化粧料に配合するには、安定な分散物として配合する必要がある。しかし、セラミドを安定な分散物として配合できたとしても、一般的な化粧料成分と混合した場合、長期間保存した場合等には、セラミドが析出し、透明性が損なわれることがある。
また、化粧料には、美白効果が求められることがあるが、美白剤は、その種類によっては、水性化粧料の一成分として配合した場合に濁りが生じ、透明性が損なわれることがある。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、セラミド及び美白剤を含み、透明性が良好で、かつ、その良好な透明性を長時間維持し得る美白用水性ゲル状組成物を提供することである。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
[1] 下記の一般式(1)で表される化合物と、
セラミドと、
融点が25℃以下の脂肪酸と、
L−アスコルビン酸2−グルコシド、3−O−エチルアスコルビン酸、コウジ酸、エラグ酸、ハイドロキノンβ−D−グルコシド、4−n−ブチルレゾルシノール、5,5’−ジプロピルビフェニル−2,2’−ジオール、トラネキサム酸セチル塩酸塩、trans−4−(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸、ニコチン酸アミド、及び4−メトキシサリチル酸カリウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の美白剤と、
水と、を含み、
下記の一般式(1)で表される化合物の含有率が、美白用水性ゲル状組成物の全量に対して1質量%以上3質量%以下であり、かつ、
融点が25℃以下の脂肪酸の含有量が、セラミドの含有量に対して、質量基準で、1倍量以上1000倍量以下である美白用水性ゲル状組成物。
Figure 0006869129
一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、R11−(O−R12)x−で表される基である。R11は、それぞれ独立に、炭化水素基を表し、R12は、それぞれ独立に、炭素数2〜4のアルキレン基を表す。xは、1〜500の整数である。Rは、それぞれ独立に、ウレタン結合を有してもよい炭化水素基を表す。Rは、炭素数2〜4のアルキレン基を表し、Rが複数ある場合、複数のRは、同一であっても又は異なっていてもよい。nは、1〜500の整数であり、mは、1以上の整数である。
[2] 美白剤が、L−アスコルビン酸2−グルコシド及びハイドロキノンβ−D−グルコシドから選ばれる少なくとも1種の美白剤である[1]に記載の美白用水性ゲル状組成物。
[3] 美白剤が、L−アスコルビン酸2−グルコシドである[1]に記載の美白用水性ゲル状組成物。
[4] 融点が25℃以下の脂肪酸が、オレイン酸及びイソステアリン酸から選ばれる少なくとも1種の脂肪酸である[1]〜[3]のいずれか1つに記載の美白用水性ゲル状組成物。
[5] 更に、アスタキサンチンを含む[1]〜[4]のいずれか1つに記載の美白用水性ゲル状組成物。
本発明の一実施形態によれば、セラミド及び美白剤を含み、透明性が良好で、かつ、その良好な透明性を長時間維持し得る美白用水性ゲル状組成物が提供される。
以下、本発明を適用した美白用水性ゲル状組成物の実施形態の一例について説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本開示では、段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、美白用水性ゲル状組成物中の各成分の量は、各成分に該当する物質が美白用水性ゲル状組成物中に複数存在する場合には、特に断らない限り、美白用水性ゲル状組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、乳化物(又は分散組成物)を得る際に使用する「水相」とは、溶媒の種類にかかわらず「油相」に対する語として使用する。水相は、水及び水溶性成分から構成される。ここでいう「水溶性成分」とは、25℃の水に対する溶解度が1質量%以上、即ち、10g/L以上である成分を意味する。
本開示において、「油性成分」とは、25℃の水に対する溶解度が1質量%未満であり、例えば、化粧品の分野で一般に油性成分として使用される成分を意味する。
本開示において、「水性組成物」とは、水を含み、水及び所望により含む水溶性の液体成分の総含有率が50質量%以上であり、かつ、25℃の水に対する溶解度が1質量%以下の液体成分の含有率が、組成物の全量に対して、10質量%以下である組成物をいう。ここでいう「水溶性の液体成分」とは、25℃の水に対する対象成分の溶解度が1質量%を超える液状成分をいう。
本開示において、「ゲル状」とは、測定対象物100gを直径47mm×高さ90mmのガラス製の容器に入れて密封し、25℃で24時間保存した後、硬度計を用いて測定した硬度が1g〜1000gを示す状態をいう。
本開示において、「透明性が良好で、かつ、その良好な透明性を長期間維持し得る」とは、例えば、化粧品、医薬部外品、及び医薬品に期待される機能、形状等が保持される限りにおいて、経時期間を問わず、室温(25℃)で保管した場合に、分光光度計及び光路長0.4cmのセルを用いて測定した、波長625nmにおける吸光度が0.04以下(好ましくは0.03以下、より好ましくは0.02以下)に維持されることをいう。
本開示において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
[美白用水性ゲル状組成物]
本開示の美白用水性ゲル状組成物(以下、適宜「水性ゲル状組成物」と称する。)は、一般式(1)で表される化合物(以下、適宜「特定化合物(1)」と称する。)と、セラミドと、融点が25℃以下である脂肪酸(以下、適宜「特定脂肪酸」と称する。)と、L−アスコルビン酸2−グルコシド、3−O−エチルアスコルビン酸、コウジ酸、エラグ酸、ハイドロキノンβ−D−グルコシド、4−n−ブチルレゾルシノール、5,5’−ジプロピルビフェニル−2,2’−ジオール、トラネキサム酸セチル塩酸塩、trans−4−(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸、ニコチン酸アミド、及び4−メトキシサリチル酸カリウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の美白剤(以下、適宜「特定美白剤」と称する。)と、水と、を含み、特定化合物(1)の含有率が、美白用水性ゲル状組成物の全量に対して1質量%以上3質量%以下であり、特定脂肪酸の含有量が、セラミドの含有量に対して、質量基準で、1倍量以上1000倍量以下の美白用水性ゲル状組成物である。
セラミドは、結晶性の高い物質であり、水に溶解し難いため、セラミドを水性化粧料に配合する場合には、安定な分散物として配合する。しかし、セラミドを安定な分散物として配合できたとしても、一般的な化粧料成分と混合した場合に、セラミドが析出し、透明性を欠いた水性化粧料となりやすい。また、たとえ、透明性を有する水性化粧料を調製できたとしても、経時でセラミドが析出し、透明性が損なわれることがある。
また、水性化粧料に対して美白効果を付与するために、美白剤を配合すると、その種類によっては、経時で濁りが生じ、透明性が損なわれることがある。
これに対し、本開示の水性ゲル状組成物では、水性ゲル状組成物の全量に対して1質量%以上3質量%以下の含有率である特定化合物(1)と、セラミドと、セラミドの含有量に対して、質量基準で、1倍量以上1000倍量以下の含有量の融点が25℃以下である脂肪酸と、特定美白剤と、水と、を含むことにより、セラミドと美白剤とを含みながらも、透明性が良好で、かつ、その良好な透明性を長時間維持し得る美白用水性ゲル状組成物となる。
本開示の水性ゲル状組成物が、このような効果を奏し得る理由については、明らかではないが、本発明者らは、以下のように推測している。
本開示の水性ゲル状組成物においては、セラミドの含有量に対して、質量基準で、1倍量以上1000倍量以下の含有量の融点が25℃以下である脂肪酸を含むことにより、セラミドが脂肪酸に良好に溶解するため、透明性が良好となると考えられる。また、セラミドが脂肪酸に良好に溶解するため、セラミド同士の相互作用が起こり難くなり、経時でのセラミドの析出が抑制されるため、良好な透明性を長時間維持し得ると考えられる。
さらに、本開示の水性ゲル状組成物においては、美白剤として特定の美白剤(即ち、特定美白剤)を含むことにより、美白剤に起因する経時での濁りの発生が生じ難くなり、透明性を長時間維持し得ると考えられる。また、本開示の水性ゲル状組成物では、特定美白剤が、セラミドの分散性を損ない難く、セラミドの析出を生じさせ難いことも、良好な透明性を長時間維持し得る理由の1つと考えられる。
なお、上記の推測は、本発明の一実施形態の効果を限定的に解釈するものではなく、一例として説明するものである。
以下、本開示の水性ゲル状組成物の各成分について、詳細に説明する。
〔一般式(1)で表される化合物〕
本開示の水性ゲル状組成物は、下記の一般式(1)で表される化合物(特定化合物(1))を含む。
本開示の水性ゲル状組成物において、特定化合物(1)は、ゲルの形成に寄与する。
Figure 0006869129

一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に、R11−(O−R12)x−で表される基である。R11は、それぞれ独立に、炭化水素基を表し、R12は、それぞれ独立に、炭素数2〜4のアルキレン基を表す。xは、1〜500の整数である。Rは、それぞれ独立に、ウレタン結合を有してもよい炭化水素基を表す。Rは、炭素数2〜4のアルキレン基を表し、Rが複数ある場合、複数のRは、同一であっても又は異なっていてもよい。nは、1〜500の整数であり、mは、1以上の整数である。
特定化合物(1)は、一般式(1)から明らかなように、主鎖にウレタン結合及び親水性のアルキレンオキシ基を有し、かつ、末端に疎水性の炭化水素基を有する、疎水性に変性されたウレタン系コポリマーである。
一般式(1)において、Rは、R11−(O−R12)x−で表される基である。2つあるRは、同一であっても又は異なっていてもよい。
11は、炭化水素基を表す。
11で表される炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらの組み合わせからなる基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐を有していてもよく、環状であってもよく、好ましくは分岐を有する脂肪族炭化水素基である。
11で表される炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の脂肪族炭化水素基が好ましい。
アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ターシャリペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル、イソステアリル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2−オクチルドデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−テトラデシルオクタデシル、モノメチル分岐−イソステアリル、デシルテトラデセス等の基が挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、オレイル等の基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等の基が挙げられる。
シクロアルケニル基としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル等の基が挙げられる。
11で表される炭化水素基の炭素数は、好ましくは8〜36であり、より好ましくは12〜30である。
12は、炭素数2〜4のアルキレン基を表し、炭素数2のアルキレン基(即ち、エチレン基)が好ましい。
xは、1〜500の整数であり、好ましくは1〜300の整数であり、より好ましくは1〜100の整数であり、更に好ましくは5〜50の整数であり、特に好ましくは10〜40の整数である。
一般式(1)において、Rは、それぞれ独立に、ウレタン結合を有してもよい炭化水素基を表す。
で表される炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらの組み合わせからなる基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐を有していてもよく、環状であってもよく、好ましくは直鎖状の脂肪族炭化水素基である。
で表される炭化水素基としては、例えば、既述のR11で表される炭化水素基として記載した、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の脂肪族炭化水素基から水素原子を1つ除いて得られる2価の基が挙げられる。
で表される炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは2〜8であり、更に好ましくは4〜8であり、特に好ましくは6である。
一般式(1)において、Rは、炭素数2〜4のアルキレン基を表し、炭素数2のアルキレン基(即ち、エチレン基)が好ましい。
一般式(1)において、Rが複数ある場合、複数のRは、同一であっても又は異なっていてもよい。
一般式(1)において、nは、1〜500の整数であり、好ましくは1〜400の整数であり、より好ましくは10〜400の整数であり、更に好ましくは100〜300の整数である。
一般式(1)において、mは、1以上の整数であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10であり、更に好ましくは1〜5である。
特定化合物(1)は、例えば、下記の一般式(2)で表される化合物と、下記の一般式(3)で表される化合物と、下記の一般式(4)で表される化合物と、を80℃〜90℃で1時間〜3時間加熱し、反応させることにより得ることができる。
上記の反応に際しては、原料である、一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される化合物、及び一般式(4)で表される化合物を、それぞれの化合物につき、1種用いてもよく、2種以上用いてもよい。
Figure 0006869129

Figure 0006869129

Figure 0006869129

一般式(2)におけるRは、一般式(1)におけるRに対応する。
一般式(3)におけるRは、一般式(1)におけるRに対応する。
一般式(4)におけるR及びnは、一般式(1)におけるR及びnに対応する。
一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される化合物、及び一般式(4)で表される化合物の仕込み比は、特に制限されず、例えば、目的とする特定化合物(1)に応じて、適宜設定することができる。
<一般式(1−1)で表される化合物>
一般式(1)で表される化合物としては、下記の一般式(1−1)で表される化合物(以下、適宜「特定化合物(1−1)」と称する。)が好ましい。
Figure 0006869129

一般式(1−1)中、n1は、1〜500の整数であり、m1は、1以上の整数であり、x1は、1〜500の整数である。
一般式(1−1)において、n1は、1〜500の整数であり、好ましくは1〜400の整数であり、より好ましくは10〜400の整数であり、更に好ましくは100〜300の整数であり、特に好ましくは240である。
一般式(1−1)において、m1は、1以上の整数であり、好ましくは1〜20の整数であり、より好ましくは1〜10の整数であり、更に好ましくは1〜5の整数であり、特に好ましくは1〜3の整数である。
一般式(1−1)において、x1は、1〜500の整数であり、好ましくは1〜300の整数であり、より好ましくは1〜100の整数であり、更に好ましくは5〜50の整数であり、特に好ましくは10〜40の整数であり、最も好ましくは20である。
特定化合物(1−1)としては、特開平9−71766号公報、国際公開第2014/084174号等に記載の化合物が好ましい例として挙げられる。
特定化合物(1−1)としては、特に、ポリエチレングリコール(PEG)−240/デシルテトラデセス−20/ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)コポリマーが好適である。
このようなコポリマーは、商品名「アデカノールGT−700」、「アデカノールGT−730」、「アデカノールGT−930」等として(株)ADEKAから市販されている。
本開示の水性ゲル状組成物は、特定化合物(1)を、1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の水性ゲル状組成物中における特定化合物(1)の含有率は、水性ゲル状組成物の全量に対して1質量%以上3質量%以下である。
特定化合物(1)の含有率が、水性ゲル状組成物の全量に対して1質量%以上3質量%以下であると、水性ゲル状組成物として適当な硬度を実現することができる。
本開示の水性ゲル状組成物中における特定化合物(1)の含有率は、水性ゲル状組成物の全量に対して、好ましくは1.0質量%以上2.5質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以上2.0質量%以下である。
〔セラミド〕
本開示の水性ゲル状組成物は、セラミドを含む。
セラミドは、天然型セラミドであることが好ましい。
本開示において「天然型セラミド」とは、ヒトの皮膚の角質層に存在するセラミドと同じ構造を有するセラミド(所謂、ヒト型セラミド)のことを意味する。
天然型と称される一般的な構造を有するセラミドは、天然物(抽出物)であってもよく、微生物発酵法で得られたセラミドであってもよく、動物由来のセラミドであってもよく、合成物であってもよい。
セラミドは、天然型(D(−)体)の光学活性体であってもよく、非天然型(L(+)体)の光学活性体であってもよく、天然型の光学活性体と非天然型の光学活性体との混合物であってもよい。
セラミドの相対立体配置は、天然型の立体配置でもよく、非天然型の立体配置でもよく、天然型と非天然型との混合物による立体配置でもよい。
天然型セラミドの具体例としては、セラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド4、セラミド5、セラミド6、セラミド7、セラミド8、セラミド9等が挙げられる。
天然型セラミドは、市販品としても入手可能である。
天然型セラミドの市販品の例としては、Ceramide I、Ceramide EOP27、Ceramide EOS27、Ceramide III、Ceramide IIIA、Ceramide IIIB、Ceramide IIIC、Ceramide VI(以上、いずれも商品名、Evonik社)、Ceramide TIC−001(商品名、高砂香料工業(株))、CERAMIDE II(商品名、Quest International社)、DS−Ceramide VI、DS−CLA−Phytoceramide、C6−Phytoceramide、DS−ceramide Y3S(以上、いずれも商品名、DOOSAN社)、CERAMIDE 2(商品名、セダーマ社)等が挙げられる。
本開示の水性ゲル状組成物は、セラミドを、1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の水性ゲル状組成物中におけるセラミドの含有率は、水性ゲル状組成物の全量に対して、0.0001質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、0.001質量%以上1.0質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下であることが更に好ましい。
セラミドの含有率が、水性ゲル状組成物の全量に対して0.0001質量%以上であると、水性ゲル状組成物がセラミドを含むことで得られる効果(例えば、保湿効果)を奏し得るため好ましい。
また、セラミドの含有率が、水性ゲル状組成物の全量に対して2.0質量%以下であると、より透明性に優れた水性ゲル状組成物が得られるため好ましい。
〔融点が25℃以下である脂肪酸〕
本開示の水性ゲル状組成物は、融点が25℃以下である脂肪酸(特定脂肪酸)を含む。
「融点が25℃以下である脂肪酸」とは、25℃で液体である脂肪酸を意味する。
本開示の水性ゲル状組成物において、特定脂肪酸は、水性ゲル状組成物の透明性及びその経時安定性に寄与する。
特定脂肪酸は、水性ゲル状組成物の硬度安定性にも寄与する。
既述の特定化合物(1)を含むゲル状の水性組成物は、経時で硬度が上昇する傾向がある。硬度は、肌に塗布したときの使用感に影響を与える重要な特性であるため、特に、本開示の水性ゲル状組成物を化粧品として用いる場合には、経時での硬度変化は、できる限り小さいことが望ましい。特定化合物(1)は、両末端に疎水基を有するポリマーであり、水中において、疎水基を中心部(内側)に、親水基を外側に向ける、いわゆるフラワーミセルを形成することが知られている。本開示の水性ゲル状組成物においては、特定化合物(1)と、脂肪酸と、水との組み合わせを含むことで、特定化合物(1)が形成するフラワーミセルの中心部(内側)の疎水基に脂肪酸が吸着し、フラワーミセルの状態が安定する結果、硬度が経時で変化し難くなると考えられる。
なお、上記の推測は、本発明の一実施形態の効果を限定的に解釈するものではなく、一例として説明するものである。
特定脂肪酸としては、融点が25℃以下である脂肪酸であれば、特に制限はない。
特定脂肪酸は、天然物由来であってもよく、合成品であってもよい。
特定脂肪酸の具体例としては、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。
これらの中でも、特定脂肪酸としては、人体への適用のしやすさの観点から、イソステアリン酸、オレイン酸、及びリノール酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の脂肪酸が好ましく、水性ゲル状組成物の透明性、透明性の経時安定性、及び硬度の経時安定性の観点から、イソステアリン酸及びオレイン酸から選ばれる少なくとも1種の脂肪酸がより好ましく、イソステアリン酸が更に好ましい。
本開示の水性ゲル状組成物は、特定脂肪酸を、1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の水性ゲル状組成物中における特定脂肪酸の含有率は、水性ゲル状組成物の全量に対して、0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上1.0質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下であることが更に好ましい。
特定脂肪酸の含有率が、水性ゲル状組成物の全量に対して0.01質量%以上であると、水性ゲル状組成物の硬度の経時安定性がより良好となる。
また、肌への刺激性の観点からは、特定脂肪酸の含有率は、水性ゲル状組成物の全量に対して5.0質量%以下であることが好ましい。
本開示の水性ゲル状組成物中における特定脂肪酸の含有量は、既述のセラミドの含有量に対して、質量基準で、1倍量以上1000倍量以下である。
特定脂肪酸の含有量が、セラミドの含有量に対して、質量基準で、1倍量以上であることにより、セラミドが特定脂肪酸に良好に溶解するため、セラミド同士の相互作用が低減し、経時でのセラミドの析出が抑制されることから、水性ゲル状組成物が良好な透明性を長時間維持し得る。
また、既述のとおり、特定化合物(1)は、水中において、疎水基を中心部(内側)に、親水基を外側に向ける、フラワーミセル構造を形成する。特定化合物(1)の疎水基は、吸脱着を繰り返すうちに、その一部がセラミドに吸着すると考えられており、この結果、セラミドが存在しない場合に比べて、特定化合物(1)の疎水基に対する吸着点が増えるため、水性ゲル状組成物の硬度は上昇する。これに対し、特定脂肪酸は、フラワーミセルの疎水部に配向することで、特定化合物(1)の疎水基の吸脱着を阻害し、特定化合物(1)の疎水基がセラミドに吸着することを抑制する。
特定脂肪酸の含有量が、セラミドの含有量に対して、質量基準で、1倍量以上であると、特定脂肪酸が、特定化合物(1)の疎水基がセラミドに吸着することを十分に抑制できるため、経時での水性ゲル状組成物の硬度変化を小さくすることが可能となる。
一方、特定脂肪酸の含有量が、セラミドの含有量に対して、質量基準で、1000倍量以下であると、特定化合物(1)の疎水基がセラミドに吸着した場合であっても、フラワーミセルの構造が安定に保持されるため、使用感に優れた良好なゲル状態を保持することが可能となる。
なお、上記の推測は、本発明の一実施形態の効果を限定的に解釈するものではなく、一例として説明するものである。
本開示の水性ゲル状組成物中における特定脂肪酸の含有量は、セラミドの含有量に対して、質量基準で、好ましくは1倍以上100倍量以下であり、より好ましくは1倍以上10倍量以下である。
〔美白剤〕
本開示の水性ゲル状組成物は、L−アスコルビン酸2−グルコシド、3−O−エチルアスコルビン酸、コウジ酸、エラグ酸、ハイドロキノンβ−D−グルコシド(別名:アルブチン)、4−n−ブチルレゾルシノール(商品名:ルシノール(登録商標))、5,5’−ジプロピルビフェニル−2,2’−ジオール(商品名:マグノリグナン(登録商標))、トラネキサム酸セチル塩酸塩、trans−4−(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸(別名:トラネキサム酸)、ニコチン酸アミド(化粧品の成分表示名称:ナイアシンアミド)、及び4−メトキシサリチル酸カリウム塩(別名:4MSK)からなる群より選ばれる少なくとも1種の美白剤(特定美白剤)を含む。
美白剤は、その種類によっては、配合後に、経時で析出する場合がある。本開示の水性ゲル状組成物では、美白剤として、特定美白剤を含むことにより、美白効果が期待できるだけでなく、美白剤の析出による経時での透明性の低下が抑制されるため、良好な透明性を長時間維持し得る。
なお、特定美白剤は、いずれも医薬部外品(薬用化粧品)に配合される美白有効成分として、厚生労働省の認可を受けている美白剤である。
特定美白剤としては、美白効果及び製剤中での析出抑制の両立の観点から、L−アスコルビン酸2−グルコシド、3−O−エチルアスコルビン酸、コウジ酸、エラグ酸、ハイドロキノンβ−D−グルコシド、4−n−ブチルレゾルシノール、5,5’−ジプロピルビフェニル−2,2’−ジオール、トラネキサム酸セチル塩酸塩、及びニコチン酸アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の美白剤が好ましい。
また、糖骨格を部分構造として有し、水溶解性に優れるとの観点から、L−アスコルビン酸2−グルコシド及びハイドロキノンβ−D−グルコシドから選ばれる少なくとも1種の美白剤がより好ましく、セラミドを配合した水性ゲル状組成物の透明性を維持する観点から、L−アスコルビン酸2−グルコシドが更に好ましい。
本開示の水性ゲル状組成物は、特定美白剤を、1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の水性ゲル状組成物中における特定美白剤の含有率は、特に制限されず、美白剤の種類によって、適宜設定することができる。
例えば、美白効果の観点からは、本開示の水性ゲル状組成物中における特定美白剤の含有率は、水性ゲル状組成物の全量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましい。
また、例えば、水性ゲル状組成物の透明性及びその経時安定性の観点からは、本開示の水性ゲル状組成物中における特定美白剤の含有率は、水性ゲル状組成物の全量に対して、3.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましい。
〔水〕
本開示の水性ゲル状組成物は、水を含む。
水としては、特に制限はなく、天然水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水(Milli−Q水等)などを使用することができる。なお、Milli−Q水とは、メルク(株)メルクミリポアのMilli−Q水製造装置により得られる超純水である。
水性ゲル状組成物に含まれる水としては、不純物が少ないという観点から、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、又は超純水が好ましい。
本開示の水性ゲル状組成物中における水の含有率は、特に制限されず、水性ゲル状組成物の全量に対して、50質量%以上95質量%以下であることが好ましく、60質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上88質量%以下であることが更に好ましい。
〔他の成分〕
本開示の水性ゲル状組成物は、効果を損なわない範囲において、必要に応じて、特定化合物(1)、セラミド、特定脂肪酸、特定美白剤、及び水以外の成分(以下、「他の成分」と称する。)を含んでいてもよい。
他の成分としては、例えば、アスタキサンチン、抗酸化剤、多価アルコール、及びその他の添加成分が挙げられる。
(アスタキサンチン)
本開示の水性ゲル状組成物は、更に、アスタキサンチンを含むことが好ましい。
アスタキサンチンは、美白効果、抗酸化効果等に優れるため、本開示の水性ゲル状組成物では、アスタキサンチンを更に含むことで、これらの効果が期待できる。
アスタキサンチンは、アスタキサンチン及びその誘導体(例えば、アスタキサンチンのエステル)の少なくとも一方を包含する。本開示では、特に断らない限り、アスタキサンチン及びその誘導体を総称して「アスタキサンチン」という。
アスタキサンチンとしては、植物類、藻類、甲殻類、バクテリア等の天然物に由来するアスタキサンチンの他、常法に従って得られるアスタキサンチンの合成品を用いることもできる。
アスタキサンチンは、例えば、赤色酵母ファフィア、緑藻ヘマトコッカス、海洋性細菌、オキアミ等の培養物から抽出することができる。
本開示の水性ゲル状組成物において、アスタキサンチンは、アスタキサンチンを含有する天然物又はその培養物からの分離物又は抽出物として得られるアスタキサンチン含有油として含まれていてもよい。
アスタキサンチン又はアスタキサンチン含有油としては、品質及び生産性の観点から、ヘマトコッカス藻からの抽出物(以下、「ヘマトコッカス藻抽出物」と称する。)、又はオキアミからの抽出物(以下、「オキアミ抽出物」と称する。)に由来するアスタキサンチンが好ましく、オキアミ抽出物に由来するアスタキサンチンが特に好ましい。
オキアミ抽出物に由来するアスタキサンチン(所謂、オキアミ由来のアスタキサンチン)は、例えば、化粧品に分類される化粧水等だけでなく、医薬部外品に分類される化粧水等にも使用することができる。
アスタキサンチンとしては、市販品を使用することができる。
ヘマトコッカス藻抽出物の市販品の例としては、富士フイルム(株)のASTOTS(登録商標)−S、ASTOTS(登録商標)−ST、ASTOTS(登録商標)−2.5 O、ASTOTS(登録商標)−5 O、ASTOTS(登録商標)−10 O等、富士化学工業(株)のアスタリール(登録商標)オイル50F、アスタリール(登録商標)オイル5F等、東洋酵素化学(株)のBioAstin(登録商標)SCE7などが挙げられる。
オキアミ抽出物の市販品の例としては、(株)マリン大王のAstax−ST(商品名)等が挙げられる。
アスタキサンチン含有油中のアスタキサンチンの含有率は、例えば、水性ゲル状組成物を製造する際の取り扱いの観点から、アスタキサンチン含有油の全量に対して、0.001質量%〜50質量%であることが好ましく、0.01質量%〜25質量%であることがより好ましい。
本開示の水性ゲル状組成物中におけるアスタキサンチンの含有率は、例えば、一重項酸素の消去能(所謂、抗酸化効果)の発現、良好な外観(例えば、透明度)等の観点から、適宜設定することができる。
本開示の水性ゲル状組成物中におけるアスタキサンチンの含有率は、例えば、水性ゲル状組成物の全量に対して、0.000001質量%〜0.01質量%(0.01ppm〜100ppm)であることが好ましく、0.000005質量%〜0.0075質量%(0.05ppm〜75ppm)であることがより好ましく、0.0001質量%〜0.005質量%(1ppm〜50ppm)であることが更に好ましい。
本開示の水性ゲル状組成物におけるアスタキサンチンの含有形態は、特に制限されないが、例えば、アスタキサンチンを高濃度で配合することができる点、アスタキサンチンを水性ゲル状組成物中で安定に含有させることができる点、及び、水性ゲル状組成物の透明度が得易い点から、アスタキサンチンは、水相に分散する乳化粒子に含まれることが好ましい。
特に、製造容易性等の観点から、本開示の水性ゲル状組成物は、アスタキサンチンを、アスタキサンチンをはじめとする油性成分が水相に分散した乳化物(アスタキサンチン乳化物)の形態で含むことが好ましい。
アスタキサンチン乳化物に含まれる成分等の詳細については、特開2017−088604号公報の段落[0037]〜段落[0061]を参照することができる。また、アスタキサンチン乳化物の調製方法の詳細については、特開2017−088604号公報の段落[0089]〜段落[0093]を参照することができる。
アスタキサンチン乳化物の調製方法の具体例は、後述の実施例に示すとおりである。
(抗酸化剤)
本開示の水性ゲル状組成物は、抗酸化剤を含むことが好ましい。
本開示の水性ゲル状組成物がアスタキサンチンを含む場合には、特に、アスタキサンチンの酸化安定性を向上させる観点から、抗酸化剤を含むことが好ましい。
抗酸化剤としては、特に制限はなく、例えば、化粧品の分野にて通常用いられる抗酸化剤の中から、適宜選択することができる。
抗酸化剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、アスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体の塩、トコフェロール等のビタミンE及びその誘導体、クエン酸などが挙げられる。
例えば、アスタキサンチンの酸化安定性の観点からは、抗酸化剤としては、アスコルビン酸誘導体及びその塩が好ましい。
「アスコルビン酸誘導体」とは、pH、熱、光、酸化、酵素等に起因する分解によってアスコルビン酸が生成する化合物を指す。
アスコルビン酸誘導体及びその塩としては、アスコルビン酸リン酸エステル及びその塩(アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム(APS)、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム(APM)等)、アスコルビン酸硫酸エステル及びその塩(アスコルビン酸硫酸エステルナトリウム、アスコルビン酸硫酸エステルマグネシウム等)、パルミチン酸アスコルビルリン酸エステル及びその塩(パルミチン酸アスコルビルリン酸ナトリウム等)などが挙げられる。
これらの中でも、抗酸化剤としては、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、及びパルミチン酸アスコルビルリン酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。
なお、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウムの、化粧品成分表示名称は、「リン酸アスコルビルNa」であり、医薬部外品成分表示名称は、「リン酸L−アスコルビルナトリウム」である。
アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウムの、化粧品成分表示名称は、「リン酸アスコルビルMg」であり、医薬部外品成分表示名称は、「リン酸L−アスコルビルマグネシウム」である。
パルミチン酸アスコルビルリン酸ナトリウムの化粧品成分表示名称は、「パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na」である。
本開示の水性ゲル状組成物は、抗酸化剤を含む場合、抗酸化剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の水性ゲル状組成物が抗酸化剤を含む場合、水性ゲル状組成物中における抗酸化剤の含有率は、例えば、アスタキサンチンの酸化安定性及び水性ゲル状組成物の透明性の観点から、水性ゲル状組成物の全量に対して、0.01質量%〜2.0質量%であることが好ましく、0.1質量%〜1.0質量%であることがより好ましい。
(多価アルコール)
本開示の水性ゲル状組成物は、多価アルコールを含むことができる。
本開示の水性ゲル状組成物では、多価アルコールを含むことで、保湿性の向上が期待できる。
多価アルコールとしては、グリセリン、エチルへキシルグリセリン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール;還元水あめ、ショ糖、エリスリトール、キシリトール、グルコース、ガラクトース、ソルビトール、マルトトリオース、トレハロース等の多糖類などが挙げられる。
本開示の水性ゲル状組成物は、多価アルコールを含む場合、多価アルコールを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の水性ゲル状組成物が多価アルコールを含む場合、水性ゲル状組成物中における多価アルコールの含有率は、水性ゲル状組成物の全量に対して、1質量%〜50質量%であることが好ましく、2質量%〜20質量%であることがより好ましく、5質量%〜10質量%であることが更に好ましい。
(その他の添加成分)
本開示の水性ゲル状組成物は、化粧品、医薬部外品等において通常用いられる添加成分を適宜、含んでいてもよい。
添加成分としては、例えば、化粧料に使用した際に有用な美容効果(例えば、保湿効果、美白効果、整肌効果等)を示す機能性成分が挙げられる。このような機能性成分としては、例えば、コエンザイムQ10等のユビキノン;ヒアルロン酸等の多糖類;加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲン等のコラーゲン;アセチルヒドロキシプロリン等のアミノ酸、加水分解シロバナル−ピンタンパクなどが挙げられる。
その他、添加成分としては、例えば、フェノキシエタノール等の防腐剤、着色剤、増粘剤、水酸化ナトリウム水溶液、塩酸等のpH調整剤、緩衝剤、香料、抗菌剤、紫外線吸収剤、活性酸素除去剤、抗微生物剤、抗炎症剤、ミネラルなどが挙げられる。
〔水性ゲル状組成物のナトリウムイオン濃度〕
本開示の水性ゲル状組成物のナトリウムイオン濃度は、15mmol/100g以下であることが好ましく、12mmol/100g以下であることがより好ましく、10mmol/100g以下であることが更に好ましい。
本開示の水性ゲル状組成物では、ナトリウムイオン濃度が高いと、セラミドの分散性が損なわれるため、セラミドが析出し、透明性が低下し得る。
本開示の水性ゲル状組成物では、ナトリウムイオン濃度が15mmol/100g以下であると、セラミドの分散性がより損なわれ難くなるため、セラミドの析出による透明性の低下がより抑制される傾向がある。
本開示の水性ゲル状組成物のナトリウムイオン濃度は、配合成分の組成及び量に基づき、計算により求める。本開示の水性ゲル状組成物のナトリウムイオン濃度は、配合成分の組成及び量を調整することにより、設定することができる。
〔水性ゲル状組成物の用途〕
本開示の水性ゲル状組成物の用途としては、例えば、化粧品(例えば、化粧水、美容液等のスキンケア化粧料)、医薬部外品、及び医薬品の用途が挙げられる。但し、本開示の水性ゲル状組成物の用途は、これらに制限されない。
[水性ゲル状組成物の製造方法]
本開示の水性ゲル状組成物の製造方法は、特に制限されない。
本開示の水性ゲル状組成物は、特定量の特定化合物(1)と、セラミドと、セラミドに対して特定量の特定脂肪酸と、特定美白剤と、水と、必要に応じて、他の成分とを用いて、公知の水性ゲル状組成物の製造方法に従って、得ることができる。
本開示の水性ゲル状組成物の好適な製造方法の一つとしては、特定量の特定化合物(1)と、特定脂肪酸と、特定美白剤と、水とを混合すること(以下、適宜「第1の混合工程」と称する。)、及び、第1の混合工程で得られた混合物と、予め調製した特定量のセラミドを含むセラミド含有分散組成物とを混合すること(以下、適宜「第2の混合工程」と称する。)を含む製造方法が挙げられる。
以下、本開示の水性ゲル状組成物の好適な製造方法の一例について説明するが、既述の水性ゲル状組成物と共通する事項、例えば、水性ゲル状組成物の成分及びその量については、説明を省略する。
〔第1の混合工程〕
第1の混合工程では、特定量の特定化合物(1)と、特定脂肪酸と、特定美白剤と、水とを混合する。
特定化合物(1)と、特定脂肪酸と、特定美白剤と、水とを混合する混合方法としては、特に制限はなく、例えば、特定化合物(1)と、特定脂肪酸と、特定美白剤と、水とを一括して混合してもよく、水を撹拌しながら、その水中に、特定化合物(1)と、特定脂肪酸と、特定美白剤とを添加し、混合してもよい。
本開示の水性ゲル状組成物が、他の成分として、多価アルコールを含む場合には、特定化合物(1)と、特定脂肪酸と、特定美白剤と、水と、多価アルコールとを一括して混合してもよく、水と多価アルコールとの混合液を撹拌しながら、その混合液中に、特定化合物(1)と、特定脂肪酸と、特定美白剤とを添加し、混合してもよい。
混合手段としては、特に制限はなく、市販のいずれの混合手段を用いてもよい。
混合手段としては、スターラー、パドルミキサー、インペラーミキサー、ホモミキサー、ディスパーミキサー、ウルトラミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等が挙げられる。これらの中でも、混合手段としては、ホモミキサー及びディスパーミキサーから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
各成分を混合する際の温度は、特に制限されず、適宜設定することができ、通常、4℃〜80℃の範囲内に設定することが好ましく、60℃〜80℃の範囲内に設定することがより好ましい。
各成分を混合する際の撹拌条件は、各成分を十分に混合することができれば、特に制限されず、混合手段に応じて、適宜設定することができる。例えば、混合手段として、ホモミキサーを用いる場合には、通常、500rpm(round per minute;以下、同じ。)〜8000rpmで5分間〜60分間、各成分を撹拌することができる。
特定脂肪酸は、脂肪酸塩の形態で混合してもよい。
特定脂肪酸の塩を構成する塩構造としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、L−アルギニン、L−ヒスチジン、L−リジン等の塩基性アミノ酸塩、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。塩の種類は、例えば、脂肪酸の種類により、適宜選択される。
原料としての特定脂肪酸が脂肪酸塩の形態を有している場合、特定脂肪酸の配合量は、脂肪酸換算値として、セラミドの配合量に対して、質量基準で、1倍量以上1000倍量以下とする。
例えば、透明性の観点からは、原料としての特定脂肪酸は、塩の形態ではない脂肪酸が好ましい。
〔第2の混合工程〕
第2の混合工程では、第1の混合工程で得られた混合物と、予め調製した特定量のセラミドを含むセラミド含有分散組成物とを混合する。
セラミド含有分散組成物の調製方法としては、特に制限はなく、公知のセラミド含有分散組成物の調製方法を適用することができる。例えば、セラミド含有分散組成物は、セラミドを少なくとも含む分散相成分(油相成分)と、連続相成分(水相成分)と、を混合することを含む調製方法により得ることができる。
分散相成分(油相成分)と連続相成分(水相成分)との混合方法としては、特に制限はなく、超音波分散法、高圧乳化法、連続相成分に分散相成分を直接注入するジェット注入法等の公知の混合方法を用いることができる。好適な混合方法としては、外部からの撹拌部を持たず、低エネルギーしか必要としない、スタチックミキサー、マイクロチャネル、マイクロミキサー等を用いる混合方法が挙げられる。
セラミド含有分散組成物の調製方法の具体例は、後述の実施例に示すとおりである。
第1の混合工程で得られた混合物と、セラミド含有分散組成物とを混合する混合手段は、上記の第1の混合工程における混合手段と同義であり、好ましい例も同様である。
また、第1の混合工程で得られた混合物と、セラミド含有分散組成物とを混合する際の撹拌条件についても、上記の第1の混合工程における撹拌条件と同義である。
第1の混合工程を加温下で行った場合には、第1の混合工程で得られた混合物は、冷却した後、セラミド含有分散組成物と混合することが好ましい。
冷却温度としては、特に制限はなく、セラミドの結晶化抑制を考慮し、適宜設定することができ、通常、4℃〜50℃の範囲内に設定することが好ましい。
本開示の水性ゲル状組成物の製造方法は、必要に応じて、第1の混合工程及び第2の混合工程以外の他の工程を含んでもよい。
他の工程としては、例えば、脱泡工程、加熱殺菌工程、冷却工程、取り出し工程等が挙げられる。脱泡工程、加熱殺菌工程、冷却工程、取り出し工程等は、当業界で公知の方法を適用すればよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[水性組成物の調製]
〔実施例1〕
特定化合物(1)として、PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI コポリマー(商品名:アデカノールGT−700、ADEKA社)を1.7gと、特定美白剤として、L−アスコルビン酸2−グルコシド(AA−2G)を2.0gと、特定脂肪酸として、イソステアリン酸を0.25gと、グリセリンを6.0gと、エチルヘキシルグリセリンを0.2gと、1,3−ブチレングリコールを0.7gと、フェノキシエタノールを0.5gと、純水を35gと、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を5.2gと、を混合した。得られた混合物を60℃に加温し、ホモジナイザー(機種名:ホモミキサーHM−310、アズワン(株))を用いて、2000rpmで5分間撹拌した後、40℃に冷却した。
次いで、冷却した混合物に、下記の方法により予め調製したアスタキサンチン含有乳化組成物を0.27gと、下記の方法により予め調製したセラミド含有分散組成物を6.0gと、水溶性コラーゲンを0.1gと、加水分解コラーゲンを0.1gと、アセチルヒドロキシプロリンを0.1gと、微量の加水分解シロバナル−ピンタンパクと、香料を0.1gと、を添加し、全量が100gとなるように純水を更に添加した後、ホモジナイザー(機種名:ホモミキサーHM−310、アズワン(株))を用いて、2000rpmで20分間撹拌した。次いで、撹拌した混合物に対し、真空脱泡を行い、実施例1の水性組成物を得た。
<セラミド含有分散組成物の調製>
下記の成分を、室温にて1時間撹拌して、油相組成物を得た。
−油相組成物の組成−
・セラミド3 4.8g
・セラミド6 5.9g
・オレイン酸 1.1g
・エタノール 412.0g
下記の成分を、室温にて1時間撹拌して、水相組成物を得た。
−水相組成物の組成−
・ミリスチン酸ポリグリセリル−10 10.7g
・グリセリン 53.4g
・1,3−ブチレングリコール 53.4g
・水酸化ナトリウム 3.2g
・純水 865.3g
得られた油相組成物(油相)と水相組成物(水相)とを、1:7の比率(質量比)で、衝突型であるKM型マイクロミキサー100/100を用いてミクロ混合することにより、分散物を得た。なお、マイクロミキサーの使用条件は、下記の通りである。
《マイクロミキサーの使用条件》
−マイクロチャンネル−
・油相側マイクロチャンネル
断面形状/幅/深さ/長さ = 矩形/70μm/100μm/10mm
・水相側マイクロチャンネル
断面形状/幅/深さ/長さ = 矩形/490μm/100μm/10mm
−流量−
外環に水相を21.0ml/min.の流量で導入し、かつ、内環に油相を3.0ml/min.の流量で導入して、ミクロ混合する。
得られた分散物を、遠心式薄膜真空蒸発装置(機種名:エバポール CEP−lab、(株)大川原製作所)を使用し、エタノール濃度が0.1質量%以下になるまで、脱溶媒し、総セラミド濃度が1.0質量%になるように濃縮、調整し、セラミド含有分散組成物を得た。
<アスタキサンチン含有乳化組成物の調製>
下記の成分を、70℃で1時間加熱し、溶解させることにより、水相組成物を得た。
−水性組成物の組成−
・ショ糖ステアリン酸エステル(HLB=16) 3.1g
・モノオレイン酸デカグリセリル(HLB=12) 6.4g
・グリセリン 42.0g
・純水 27.9g
下記の成分を、70℃で1時間加熱し、溶解させることにより、油相組成物を得た。
−油相組成物の組成−
・オキアミ抽出物 14.3g
(商品名:Astax−ST(アスタキサンチン:5質量%含有)、(株)マリン大王)
・ミックストコフェロール 4.4g
(商品名:理研Eオイル800、理研ビタミン(株))
・レシチン 1.9g
(商品名:SLPペースト、辻製油(株))
得られた水相組成物を70℃に保ったまま、超音波ホモジナイザー(型式:HP93、(株)エスエムテー)を用いて10000rpmで撹拌し、撹拌している水相組成物の中に、油相組成物を添加して、粗乳化物を得た。
次いで、得られた粗乳化物を約40℃まで冷却し、超高圧乳化装置(機種名:アルティマイザーHJP−25005、(株)スギノマシン)を用いて、200MPaの圧力で高圧乳化を行った。その後、平均孔径1μmのミクロフィルターを用いてろ過を行い、アスタキサンチン含有乳化組成物(アスタキサンチン含有率:0.715質量%)を得た。
得られたアスタキサンチン含有乳化組成物を、1質量%の濃度となるようにミリQ水にて希釈し、粒径アナライザー(型式:FPAR−1000、大塚電子(株))を用いて、分散粒子の粒径を測定したところ、58nm(メジアン径(d50))であった。
〔実施例2〕
実施例1の水性組成物において、特定美白剤として、L−アスコルビン酸2−グルコシド(AA−2G)を2.0g配合する代わりに、ハイドロキノンβ−D−グルコシド(所謂、アルブチン)を2.0g配合し、かつ、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の配合量を5.2gから0.4gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の水性組成物を得た。
〔実施例3〕
実施例1の水性組成物において、特定美白剤として、L−アスコルビン酸2−グルコシド(AA−2G)を2.0g配合する代わりに、ハイドロキノンβ−D−グルコシド(所謂、アルブチン)を3.0g配合し、かつ、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の配合量を5.2gから0.4gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の水性組成物を得た。
〔実施例4〕
実施例1の水性組成物において、特定脂肪酸として、イソステアリン酸を0.25g配合する代わりに、オレイン酸を0.25g配合したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の水性組成物を得た。
〔実施例5〕
実施例4の水性組成物において、更にリン酸アスコルビルNa(APS)を0.2g配合したこと以外は、実施例4と同様にして、実施例5の水性組成物を得た。
〔実施例6〕
実施例4の水性組成物において、更にリン酸アスコルビルNa(APS)を0.6g配合したこと以外は、実施例4と同様にして、実施例6の水性組成物を得た。
〔実施例7〕
実施例4の水性組成物において、更に、リン酸アスコルビルNa(APS)0.2gとクエン酸0.5gとを配合し、かつ、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の配合量を5.2gから13.0gに変更したこと以外は、実施例4と同様にして、実施例7の水性組成物を得た。
〔実施例8〕
実施例3の水性組成物において、特定化合物(1)であるPEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI コポリマーの配合量を、1.7gから1.4gに変更したこと以外は、実施例3と同様にして、実施例8の水性組成物を得た。
〔実施例9〕
実施例3の水性組成物において、特定化合物(1)であるPEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI コポリマーの配合量を、1.7gから2.0gに変更したこと以外は、実施例3と同様にして、実施例9の水性組成物を得た。
〔比較例1〕
実施例1の水性組成物において、特定美白剤であるL−アスコルビン酸2−グルコシド(AA−2G)を2.0g配合する代わりに、リン酸アスコルビルNa(APS)を2.0g(美白剤として機能し得る量)配合し、かつ、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の配合量を5.2gから0.4gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の水性組成物を得た。
〔比較例2〕
実施例1の水性組成物において、特定脂肪酸として、イソステアリン酸を0.25g配合する代わりに、比較脂肪酸として、融点が25℃を超えるステアリン酸を0.25g配合したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の水性組成物を得た。
〔比較例3〕
実施例1の水性組成物において、特定脂肪酸として、イソステアリン酸を0.25g配合する代わりに、比較脂肪酸として、融点が25℃を超えるベヘニン酸を0.25g配合したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の水性組成物を得た。
〔比較例4〕
実施例1の水性組成物において、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の配合量を5.2gから4.7gに変更し、かつ、特定脂肪酸であるイソステアリン酸0.25gを配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4の水性組成物を得た。
[評価]
実施例1〜実施例9及び比較例1〜比較例4の各水性組成物を用いて、以下の評価を行った。結果については、実施例1〜実施例9及び比較例1〜比較例4の各水性組成物の組成とともに、表1及び表2に示す。
1.透明性
調製直後の各水性組成物100gを、それぞれ直径47mm×高さ90mmのガラス容器に入れ、キャップをした状態で、25℃で24時間保存した。この25℃で24時間保存した後の各水性組成物を、光路長0.4cmのポリスチレン(PS)製ディスポセルに入れ、セルごと、小型冷却遠心機(型式:CF5RX、日立工機(株)、スイングローター:T4SS31)用いて、4000rpmで2分間遠心分離を行い、脱泡処理した。
脱泡処理後の各水性組成物について、波長625nmの光に対する吸光度を、分光光度計(型式:U−3310、(株)日立製作所)を用いて測定した。得られた吸光度の測定値を、水性組成物の透明性を評価するための指標とした。評価基準を以下に示す。
吸光度の測定値が小さいほど、水性組成物の透明性が優れることを示す。商品性に鑑みて、評価結果が「A」又は「B」であれば、許容内と判断した。
〜評価基準〜
A:吸光度の測定値が0.04未満である。
B:吸光度の測定値が0.04である。
C:吸光度の測定値が0.04を超える。
2.透明性の経時安定性
調製直後の各水性組成物100gを、それぞれ直径47mm×高さ90mmのガラス容器に入れ、キャップをした状態で、50℃で45日間保存した。この50℃で45日間保存した後の各水性組成物を、光路長0.4cmのポリスチレン(PS)製ディスポセルに入れ、セルごと、小型冷却遠心機(型式:CF5RX、日立工機(株)、スイングローター:T4SS31)用いて、4000rpmで2分間遠心分離を行い、脱泡処理した。
脱泡処理後の各水性組成物について、波長625nmの光に対する吸光度を、分光光度計(型式:U−3310、(株)日立製作所)を用いて測定した。得られた吸光度の測定値を、水性組成物の透明性の経時安定性を評価するための指標とした。評価基準を以下に示す。
吸光度の測定値が小さいほど、透明性の経時安定性が良好な水性組成物であること、即ち、良好な透明性を長期間維持し得る水性組成物であることを示す。商品性に鑑みて、評価結果が「A」又は「B」であれば、許容内と判断した。
〜評価基準〜
A:吸光度の測定値が0.04未満である。
B:吸光度の測定値が0.04である。
C:吸光度の測定値が0.04を超える。
3.硬度の経時安定性
調製直後の各水性組成物100gを、それぞれ直径47mm×高さ90mmのガラス容器に入れ、キャップをした状態で、25℃で24時間保存した。この25℃で24時間保存した後の各水性組成物の硬度(以下、適宜「初期硬度」と称する。)を、レオメーター(機種名:FUDOH REHOMETER、(株)レオテック)を用いて測定した。具体的には、各水性組成物に対して、測定温度25℃の条件下、60mm/分の速度で、直径20mmのアダプターの先端を2kgの荷重で20mm挿入したときに測定される応力のピーク値を、硬度の測定値(単位:g)とした。測定条件の詳細を下記に示す。
《測定条件》
アダプター:No.3(直径:20mm)
荷重:2kg
速度:60mm/分
測定温度:25℃
無荷重基底:0.1%
サンプリング間隔:0.02秒
X軸テーブル移動距離:20mm(強制終了:20mm)
その結果、実施例1〜実施例9及び比較例1〜比較例4の各水性組成物は、いずれも硬度の測定値が1g〜1000gの範囲内であり、本開示でいう「ゲル状」であることが確認された。
また、別の系として、調製直後の各水性組成物100gを、それぞれ直径47mm×高さ90mmのガラス容器に入れ、キャップをした状態で、50℃で2週間(アレニウス式に基づき、25℃で9ヶ月保存に相当する期間)保存した。この50℃で2週間保存した後の各水性組成物の硬度(以下、適宜「経時硬度」と称する。)を、上記の初期硬度と同様の方法により測定した。
そして、初期硬度及び経時硬度の測定値を用いて、経時での硬度変化率を算出し、得られた経時での硬度変化率に基づき、下記の評価基準に従って、水性組成物の硬度の経時安定性を評価した。「経時での硬度変化率」は、初期硬度及び経時硬度の測定値のうち、高い方の値を低い方の値で割り、小数点以下2桁目を四捨五入して、小数点以下1桁まで求めた値とした。
経時での硬度変化率が小さいほど、水性組成物の硬度の経時安定性が優れることを示す。商品性に鑑みて、評価結果が「A」又は「B」であれば、許容内と判断した。
〜評価基準〜
A:経時での硬度変化率が2.0未満である。
B:経時での硬度変化率が2.0である。
C:経時での硬度変化率が2.0を超える。
表1及び表2中、組成の欄に記載の「−」は、該当する成分を配合していないことを意味する。
表2に記載の実施例1は、比較例との対比のために記載したものであり、表1に記載の実施例1と同じものである。
Figure 0006869129

Figure 0006869129

表1に示すように、特定化合物(1)と、セラミドと、特定脂肪酸と、特定美白剤と、水とを含み、特定化合物(1)の含有率が水性組成物の全量に対して1質量%以上3質量%以下であり、特定脂肪酸の含有量がセラミドの含有量に対して、質量基準で、1倍量以上1000倍量以下である、実施例1〜実施例9の水性組成物は、いずれも透明性が良好であり、かつ、その良好な透明性を長時間維持することができた。
また、実施例1〜実施例9の水性組成物は、いずれも経時での硬度変化が小さく、硬度の経時安定性に優れていた。
一方、表2に示すように、特定美白剤の代わりに、リン酸アスコルビルNa(APS)を美白剤として機能し得る量で含む比較例1の水性組成物は、特定美白剤を含む水性組成物(例えば、実施例1)と比較して透明性が低く、その透明性は、経時で更に低下した。
特定脂肪酸(即ち、融点が25℃以下である脂肪酸)イソステアリン酸の代わりに、融点が25℃を超えるステアリン酸を含む比較例2の水性組成物、及び、同じく融点が25℃を超えるベヘニン酸を含む比較例3の水性組成物は、透明性が顕著に悪かった。
特定脂肪酸(即ち、融点が25℃以下である脂肪酸)の含有量が、セラミドの含有量に対して、質量基準で1倍量未満である比較例4の水性組成物は、調製直後は良好な透明性を有していたものの、その透明性は経時で顕著に低下した。

Claims (4)

  1. 下記の一般式(1−1)で表される化合物と、
    セラミドと、
    融点が25℃以下の脂肪酸と、
    L−アスコルビン酸2−グルコシド及びハイドロキノンβ−D−グルコシドから選ばれる少なくとも1種の美白剤と、
    水と、を含み、
    L−アスコルビン酸2−グルコシド及びハイドロキノンβ−D−グルコシドの合計含有率が、美白用水性ゲル状組成物の全量に対して1.0質量%以上2.0質量%以下であり、
    下記の一般式(1−1)で表される化合物の含有率が、美白用水性ゲル状組成物の全量に対して1.0質量%以上2.5質量%以下であり、
    融点が25℃以下の脂肪酸が、オレイン酸及びイソステアリン酸から選ばれる少なくとも1種の脂肪酸であり、
    融点が25℃以下の脂肪酸の含有率が、美白用水性ゲル状組成物の全量に対して0.1質量%以上1.0質量%以下であり、かつ、
    融点が25℃以下の脂肪酸の含有量が、セラミドの含有量に対して、質量基準で、1倍量以上1000倍量以下である美白用水性ゲル状組成物。
    Figure 0006869129

    一般式(1−1)中、n1は、1〜500の整数であり、m1は、1以上の整数であり、x1は、1〜500の整数である。
  2. L−アスコルビン酸2−グルコシド及びハイドロキノンβ−D−グルコシドから選ばれる少なくとも1種の美白剤が、L−アスコルビン酸2−グルコシドである請求項1に記載の美白用水性ゲル状組成物。
  3. L−アスコルビン酸2−グルコシド及びハイドロキノンβ−D−グルコシドから選ばれる少なくとも1種の美白剤が、ハイドロキノンβ−D−グルコシドである請求項1に記載の美白用水性ゲル状組成物。
  4. 更に、アスタキサンチンを含む請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の美白用水性ゲル状組成物。
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