JP6663646B2 - 電池用セパレータおよび電池 - Google Patents

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Description

本発明は、電池用セパレータおよび電池に関し、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維とバインダー成分とからなるセパレータおよび、該セパレータを用いた非水系有機電解液電池に関するものである。
従来の円筒形リチウム一次電池としては、リチウムなどを活物質とする負極と、二酸化マンガンなどを活物質とする正極とを、セパレータを介して積層したり、更にこれを巻回したりして形成された電極体を、外装缶に挿入し、電池蓋により外装缶の開口部をクリンプ封止またはレーザー封止することによって構成されたものが一般的である。
一般に、負極と、正極とを、セパレータを介して積層した構造をインサイドアウト構造と称し、巻回した構造をスパイラル構造と主に称している。インサイドアウト構造の一次電池は、電極面積が小さいため出力特性よりも容量特性が重要視され、スパイラル構造はその構造から電極面積が大きくなり容量特性よりも出力特性が重要視される。また、スパイラル構造は高出力を求められる二次電池では一般的に使用されている構造である。
またコイン形の電池としては、リチウムなどを活物質とする負極と正極とを、セパレータを介して積層し、それらを円盤状に打ち抜き、外装缶(正極缶)に挿入し、電池蓋(負極缶)のガスケット部により外装缶の開口部を封止していた。
従来のリチウム一次電池用セパレータとしては、特許文献1、2、3に記載されたポリオレフィン系合成繊維配合セパレータ、ガラス繊維配合セパレータ、溶剤紡糸レーヨンとポリオレフィン系合成繊維を混合したセパレータ等がある。
特開2005−340117号 特開2002−134107号 特開2010−251215号
(1)しかしながら、インサイドアウト構造の円筒形リチウム一次電池にポリオレフィン系合成繊維配合セパレータを用いると、筒形成時において最外周を熱融着させると同時にセパレータが溶融しフィルム化が起こる。さらに、融着が強すぎると、セパレータに穴が空き、ヒートシール加工がうまくできないという問題があった。また、溶融によりフィルム化した部分は本来のイオン透過性が失われ、電気特性の悪化が懸念される。
(2)また、特許文献1のように、コイン形リチウム一次電池にポリオレフィン系合成繊維不織布を用いると、構成繊維の交絡部のみを熱接着しているため、機械的な引張り強さが弱く、時間経過と共に剥離するおそれがあり信頼性に問題があった。
(3)特許文献2のようにコイン形のリチウム一次電池にガラス繊維配合セパレータを用いると、セパレータをコイン形に打ち抜く際、セパレータにコシがないため、打抜き刃に押されて、セパレータをうまく打ち抜くことができないという問題があった。
これを解決するために、打抜き刃を押す力を高めると、セパレータに含有されているガラス繊維の剛性の高さのために打ち抜き刃自体が削られたり、刃欠けしたりなどの懸念がある。また、ガラス繊維そのものは機械的強度と伸びがないため、セル組み立てが難しいという問題点があった。さらに、ガラス繊維はアスベスト同様に発がん性が疑われており、また作業者が吸気すると肺にガラス繊維が突き刺さるという懸念もあった。
(4)円筒形リチウム一次電池にガラス繊維配合セパレータを用いると、コイン形リチウム一次電池に用いる場合と同様に、セパレータ製造時の発ガン性の問題点に加え、セパレータを製造する際に、セパレータを構成するガラス繊維と合成繊維との比重差が大きく、抄紙工程での地合形成時に繊維の分散不良が起こり、地合が取りにくいという問題点があった。
(5)引用文献3には非水系有機電解液電池セパレータとして、叩解した溶剤紡糸レーヨンとオレフィン系合成繊維を混合したセパレータが記載されている。このセパレータを従来のリチウム一次電池の円筒形電池やコイン形電池に用いると、低ESRや高遮蔽性は満足するものの、溶剤紡糸レーヨンの叩解原料を使用しているためセパレータの見掛けの密度が高く、保液率が小さくなる。このため、リチウム一次電池に要求される高容量化に関してはやや不十分であった。
また、特許文献3のセパレータは、遮蔽性を満足させるために叩解した微細原料を使用しているが、そのことによりセパレータの耐圧縮性が低下し、電池に組み込んだ際に、放電末期における電池容量の低下が考えられる。
電解液の保持量を増やすためには、厚さを厚くするという解決法もあるが、コイン形の電池を製造する際に、セパレータの厚さが厚くなり過ぎると、負極・正極の距離が長くなり、封口部をカシメる際に十分に封口することが出来なくなり、カシメ部から電解液が漏洩し製造トラブルを引き起こす恐れがある。
また、リチウム一次電池は、放電末期時に電極が膨張することが知られている。この電極の膨張により、セパレータが圧縮され、電解液を放出してしまい放電末期時の電圧の低下が速くなり、電池全体の容量も低下するという問題もあった。
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、良好な機械的強度と伸びを有し、良好な打ち抜き特性があり、耐圧縮性を有し、高保液率、高吸液性で緻密なセパレータ及び該セパレータを用いたリチウム一次電池用セパレータ及び該セパレータを用いた電池を提供することを目的とする。
本発明は、上述した課題を解決し、上述した目的を達成するためになされたもので、係る目的を達成する一手段として例えば以下の構成を備える。
すなわち、正極と負極との間に介在し、電解質を含有した電解液を保持可能なリチウム一次電池用セパレータであって、合成繊維と合成パルプからなることを特徴とするリチウム一次電池用セパレータとする。
そして例えば、前記合成繊維がポリエチレンテレフタレート繊維と繊維断面の芯部がポリプロピレン成分で、繊維断面の鞘部がポリエチレン成分からなる複合繊維であることを特徴とする。また例えば、前記合成パルプがポリエチレンからなる合成パルプであることを特徴とする。
更に例えば、前記合成繊維が、ポリエチレンテレフタレート繊維30〜70質量%、繊維断面の芯部がポリプロピレン成分で繊維断面の鞘部がポリエチレン成分である複合繊維を20〜40質量%で配合し、前記合成パルプが、ポリエチレンからなる合成パルプを10〜30質量%の割合で混抄する構成であることを特徴とする。
前記複合繊維及び前記合成パルプの構成成分としてポリエチレン成分が20〜50質量%の割合で含有することを特徴とする。
または、以上のいずれかの構成のセパレータを用いることを特徴とするリチウム一次電池とする。
本発明によれば、良好な機械的強度と伸びを有し、良好な打ち抜き特性があり、耐圧縮性を有し、高保液率、高吸液性で緻密なセパレータ及び該セパレータを用いたリチウム一次電池用セパレータ及び該セパレータを用いた電池を提供することが出来る。
以下、本発明に係る一発明の実施の形態例について詳細に説明する。本実施の形態例は、電池用セパレータに人体に対して有害となるおそれのあるガラス繊維等を使用することなく、従来のセパレータと同様あるいはより優れた特性を実現するセパレータを提供することを目的としてなされたもので以下の構成を備えている。
以下に説明する本実施の形態例及び実施例に示す例のほか種々の材料、構成割合についての試験研究を行い、ポリエチレンテレフタレート繊維(以下、『PET繊維』という)と、繊維断面の芯部がポリプロピレン成分(以下。『PP成分』という)で繊維断面の鞘部がポリエチレン成分(以下。『PE成分』という)からなる複合繊維と、ポリエチレンからなる合成パルプ(以下『PE合成パルプ』という)で構成したセパレータとすることにより、良好な結果が得られることが判明した。
〔セパレータの説明〕
本実施の形態例のセパレータはPET繊維とPP/PE芯鞘型複合繊維とPE合成パルプとを主原料として構成されている。PET繊維の含有率は30〜70質量%が望ましい。より望ましいのは40〜60質量%である。前記PET繊維を30〜70質量%で配合することにより、セパレータとして良好な電解液の保液率、耐圧縮性、電気抵抗の低下、緻密性を与えることが可能となる。
PET繊維の含有率が30質量%未満の場合PP/PE芯鞘型複合繊維やPE合成パルプの含有量が多くなり、セパレータ中のPE成分が造膜し電解液の保液性の低下、吸液性の低下が生じる。また、セパレータ圧縮回復率が低くなり、放電末期時の電極の膨張によりセパレータが圧縮され電解液を放出し放電容量の低下が起こる。そのためこのセパレータを用いるとリチウム一次電池の放電容量が低下するという問題が有る。
一方PET繊維の含有率が70質量%を超えるとPP/PE芯鞘型複合繊維やPE合成パルプの含有量が少ないため、セパレータの機械的強度が弱くなり、円筒に形成する際にセパレータが破れてしまうという挿入不良の問題が起こる。
なお、PET繊維はテレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールの縮合反応によって得られる。PET繊維は繊維自体が剛直であり、ナイロンやアクリルと比較して弾性率が高い。このPET繊維の弾性率の高さが、セパレータの圧縮回復率に寄与する。
PET繊維の繊度は0.01〜0.1dtexが望ましい。0.01dtex未満だとセパレータの密度が高くなり、抵抗値が悪化する。0.1dtexよりも大きくなると、セパレータの緻密性が不足することから、電極間の遮蔽性が劣り、ショートを起こす可能性がある。
本実施の形態例でPET繊維を用いるのは、セパレータとして良好な電解液の保液率、耐圧縮性、電気抵抗の低下、緻密性を付与することが目的であり、同様の効果が得られれば、特にPET繊維に限定されるものではなく、ポリエステル繊維であればいずれでも用いることができる。ポリエステル繊維としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、全芳香族ポリエステルなどがある。
このPET繊維と混抄する複合繊維としては、異なる2種以上の成分を含有する繊維であって、2種の成分が隣り合わせで配列したサイドバイサイド型複合繊維、2種以上の成分が隣り合わせで複数配列した多層型複合繊維、繊維断面の芯部(中心部)に対しその芯部の周囲を異なる成分の樹脂で覆った芯鞘型複合繊維、前記芯鞘繊維の芯部を複数持ち周囲を異なる成分の樹脂で覆った海島型複合繊維、繊維断面の中芯部より放射状に異なる成分の樹脂を交互に配置した分割型複合繊維などがあり、樹脂成分の組合せによって多数の複合繊維がある。
複合繊維は、融点の低い樹脂(A)と、融点の高い樹脂(B)とを組み合わせることで、Aの融点以上、Bの融点以下の温度をかければ、低融点樹脂(A)が溶融後、融着し、高融点樹脂(B)が繊維形状を保ったままシートを形成することが可能となる。
本実施の形態例に用いる複合繊維は、繊維表面全体に低融点成分が露出する芯鞘型複合繊維又は海島型複合繊維が望ましい。本実施の形態例では、複合繊維は繊維断面の芯部がPP成分で、繊維断面の鞘部がPE成分からなる芯鞘型複合繊維を用いている。ここでPE成分の融点以上、PP成分の融点以下の温度であれば、芯鞘型複合繊維の鞘のPE成分がバインダーとして機能する。
本実施の形態例ではPP/PE芯鞘型複合繊維を20〜40質量%含有することで、鞘部分のPE成分の熱融着により、セパレータの機械的強度や伸びを満足することができる。
PP/PE芯鞘型複合繊維の配合率が20質量%未満の場合、セパレータの機械的強度が低下するため、抄紙時において紙切れなどのトラブルの発生や、カシメ時において破れが発生するという問題が起こる。一方、PP/PE芯鞘型複合繊維の配合率が40質量%を超えると、PET繊維の配合率が少なくなる。
セパレータ中のPET繊維の含有率が低くなると、セパレータの緻密性が不足することから、電極間の遮蔽性が劣り、ショートの発生や圧縮回復率が低くなるおそれがある。また、シート形成時の熱によりPE成分が溶融して繊維間で造膜(フィルム状)するため、電解液中のイオンの移動を阻害することによる内部抵抗の悪化や電解液を保持するための空隙が少なくなり、保液率が低くなるおそれがある。
PP/PE芯鞘型複合繊維の繊度は0.5〜2.5dtexが望ましい。繊度が0.5dtex未満であると、セパレータの緻密性が高くなり過ぎ、抵抗が悪化する。また、繊度が2.5dtexより大きくなると、セパレータの緻密性が不足することから、電極間の遮蔽性が劣り、ショートの発生が高くなるおそれがある。本実施の形態例のPP/PE芯鞘型複合繊維として、例えばダイワボウ株式会社製「NBF(H)」を用いることができる。
合成パルプは、パルプ状多分岐繊維であって、既成ポリマーの紡糸延伸法、溶液あるいはエマルジョンからのフラッシュ紡糸法、既成フィルムの一軸延伸によるストリップファイバ法、さらにモノマーをせん断応力下に重合させるいわゆるせん断重合法などによって製造することができる。
本実施の形態例においては、合成パルプは他の繊維と混合され、熱処理されることにより、バインダーとして作用することが期待される。本発明に用いる合成パルプは、PEを成分とする合成パルプとすることが望ましい。
本実施の形態例では、PE合成パルプを混抄することで、抄紙時での抄きやすさを確保でき、更に、PP/PE芯鞘型複合繊維の、鞘のPE成分と共にバインダーとして機能させることができる。
更に、前記PE合成パルプを10〜30質量%配合することにより、抄紙時に紙切れなどのトラブルを抑制することができる。
PE合成パルプの配合率が10質量%未満の場合、抄紙時にセパレータの湿紙強度が低下し、紙切れなどのトラブルが発生する。一方、PE合成パルプの配合率が30質量%を超えると、溶融、造膜したPE成分がイオン流路の阻害や電解液の保液率が悪化する。これにより、リチウム一次電池の放電容量に悪影響を与える。
本実施の形態例のPE合成パルプとして、例えば三井化学株式会社製の「SWP EST−8」を用いることができる。
各繊維などの混合割合を変えて実験した結果、各繊維などの混合割合として望ましい範囲は、以下の範囲であれば略満足のいく特性が得られた。以下の組成のセパレータは、良好な電解液の吸液性と機械的強度と伸びを有し、電極の膨張による圧縮に強く、かつ、緻密なセパレータを提供することを目的とする。さらに、筒形成時には最外周を熱融着(ヒートシール加工)可能であり、また、コイン形として用いる時には打ち抜き特性も良好である。また、該セパレータを用いたリチウム一次電池用セパレータ及び該セパレータを用いた電池を提供することを目的とする。
〔セパレータの評価方法〕
セパレータの評価方法は、具体的には以下の通りである。
〔厚さ〕
折り目が試験片の縦方向と直角になるように2重に(2枚重ねとなるように)折り重ね、ほぼ均等な間隔の5箇所についてそれぞれ厚さを測定する。この測定値を折り重ねた枚数で除して各箇所1枚当たりの厚さを求め、その平均値をセパレータの厚さとした。
単位はμmで表した。なお、測定器は、株式会社尾崎製作所製ダイヤルシックネスゲージ式G(測定力1.8N以下、測定子:φ10mm)を用いて測定した。
〔坪量〕
1000cm2以上の面積の試験片をとり、試験片の質量の0.25%より優れた感量を有する秤で質量を測定し、1m2あたりの質量(g)に換算した。この試験は1回行い、単位はg/m2とした。
〔引張強さ〕
大きさ15×200mmの試験片をセパレータの縦方向および横方向にとり、電子式引張試験機を用い、ツカミの間隔180mm、毎分約200mmの速さで試験片を引っ張り、その引張り強さを測定した。この試験は4回行い、その平均値を求め、単位はN/15mmで表わした。
〔伸び〕
伸びは、前記引張強さ測定時に同時に測定することができ、引張強さ測定時に、測定の開始位置から試験片の破断位置までの長さ(mm)を求め、これをツカミ間隔の180mmで割り、100分率を求めた。この試験は4回行い、その平均値を求め、単位は%で表わした。
〔吸液度〕
大きさ15×200mmの試験片3枚を紙の縦方向にとり、これをそれぞれ垂直に吊るし、プロピレンカーボネート液中に下端を3mm以上浸して3分後、試験片の液面より液の浸透した部分までの最大の高さを測定した、この試験は4回行い、その平均値を求め、単位はmmで表した。
〔内部抵抗(ESR)〕
セパレータを38mmφに採取し、所定の電解液に含浸させ、38mmφの電極間に挟み20℃、1kHzの周波数でLCRメーターによって測定した。
〔圧縮保液率〕
大きさ30mmφの試験片をとり、浸漬前の質量を測定する。これをプロピレンカーボネート液中に10分間浸漬させ、プレス機により、5MPaの圧力で30秒間圧縮した後、質量を測定し、以下の式2を用いて圧縮保液率を求めた。この試験は4回行い、その平均値を求め、単位は%で表した。
圧縮保液率(%) = (W2−W1)/W1×100・・・(式2)
W1:浸漬前の質量、W2:浸漬圧縮後の質量
〔圧縮回復率〕
KES-G5圧縮試験機(カトーテック社製)を用いて測定した。なお、測定は、スピード:0.02cm/sec、圧縮面積:2cm2、SENS:2×10(20g×10V)、最大圧縮荷重:50gf/cm2の条件で、セパレータの厚さ方向の圧縮回復性(率)の測定を行った。
〔セパレータを使用した電池の製作〕
(1)非水系有機電解液電池に本実施の形態例のセパレータ(PET繊維+PP/PE芯鞘型複合繊維)を適用した場合の例を以下に説明する。
本実施の形態例の非水系有機電解液電池の正極活物質としては、例えば、リチウムイオンをドープし得る正極活物質で、一般的に二酸化マンガンが使用されている。主に375〜400℃の熱処理を行った電解二酸化マンガンが正極活物質に使用されている。
本実施の形態例の非水系有機電解液電池の負極活物質としては、一般的に金属Li(97%)が用いられるが、その他にもPb、Al、Pt、Zn、Mg等の金属とのリチウム合金が挙げられる。
電解液の電解質としては、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、CF3SO3Li、(CF3SO2)2NLi等のリチウム塩のいずれか1種または2種以上を混合したものを使用することが好ましい。
また、電解液の溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル等のいずれか1種または2種以上を混合したものを使用することができる。
以下、本実施の形態例の非水系有機電解液電池の製造方法を更に詳しく説明する。
―円筒形電池の製造―
(1)正極の作製方法
例えば、熱処理を施した二酸化マンガンに炭素粉末などの導電剤とフッ素樹脂などの結着剤を混合した合剤を成形したものと、合剤に粘剤を加えてスラリー状とし、金属製芯体に塗布した後に乾燥させたものがある。前者は成形式電極、後者はペースト式電極と呼ばれる。大部分のコイン形電池およびインサイドアウト構造を持つ円筒形電池には円筒状に成形した電極を使用し、スパイラル構造を持つ円筒形電池ではペースト状の電極を使用する。
(2)負極の作製方法
例えば、シート状の金属リチウムまたはリチウム合金を所定の寸法に裁断し負極の材料とする。
(3)非水系有機電解液電池の組み立て方法
例えば、電池缶の内周面に、中空円筒形に加圧成形された正極合剤を密着配置し、この正極合剤の中空内面に円筒形に形成されたセパレータを密着配置する、プロピレンカーボネート・1,2-ジメトキシエタンの1:1(質量比)の混合溶液にLiClO4を溶解した電解液をセパレータが十分に濡れるまで含浸させ、セパレータの内周面に所定のサイズに裁断した負極剤を巻回し密着配置する。
または、セパレータと負極剤を積層した状態で巻回された構造としても良い。そして、ガスケットを介してカシメすることにより封口し、円筒形電池を製作した。参考「特開2000−315497」、電池便覧
この場合においても、本実施の形態例のセパレータは、筒形成工程において充分な機械的強度が確保されており、また、最外周を熱融着(ヒートシール加工)したときも破損などは発生することもなく、更に、非水系有機電解液の吸液性がある。
コイン形非水系有機電解液電池の製作
(1)例えば、上記した正極材料及び負極材料でコイン状に成形した一対の分極性電極の間に平行して介在させたセパレータに、例えば上記した電解液を含浸させた後に外装材を兼ねる金属ケースと金属蓋内に収納し、ガスケットを介してカシメすることによって密封してコイン形のリチウム一次電池を製作する。
負極の製作工程において、筒形電池ではスリッターを用いて所定幅にスリットしていたが、コイン電池では例えばプレス形打ち抜き機でコイン状に打ち抜いた。
〔電池の評価方法〕
〔放電試験〕
放電容量は20℃の温度条件下で、標準負荷電流(円筒形1.0mA、コイン形0.2mA)にて終止電圧2.0Vまで放電した時の持続時間から求めた。
パルス放電特性は放電深度を50%として、20℃の温度条件下、パルス時間15秒で電圧が2.0Vとなる電流値を求め、最大電流値にて比較した。
〔保存試験〕
組み立てた電池を60℃の環境下において、120日間放置した後の放電容量を測定した。この条件は室温で約5年間保存した状態を想定した。
以上に説明した本発明に係る一発明の実施の形態例のセパレータに関する具体的な実施例を以下説明する。
本実施例のセパレータは、前記したPET繊維とPP/PE芯鞘型複合繊維とPE合成パルプとを混合し、円網抄紙機や傾斜短網抄紙機、あるいは長網抄紙機等の湿式抄紙機でシート化、若しくは各形式の抄紙機を組み合わせたコンビネーション抄紙機でシート化し、セパレータとした。
ここで、円網抄紙機での混抄は、各原料を溶媒(水)中に添加して紙すきの要領で繊維を漉き取る方法であり、繊維相互間がバインダーで結着されたシートとなる。
〔実施例1〕
セパレータの原料として、(0.01dtex×3mmのPET繊維30質量%)+(1.5dtex×5mmのPP/PE芯鞘型複合繊維40質量%)+(PE合成パルプ30質量%)を混合して、円網抄紙機で厚さ170μm、坪量50g/m2のシートを抄紙し、セパレータとした。
〔実施例2〕
セパレータの原料として、(0.1dtex×3mmのPET繊維70質量%)+(0.5dtex×5mmのPP/PE芯鞘型複合繊維20質量%)+(PE合成パルプ10質量%)を混合して、短網抄紙機で厚さ140μm、坪量50g/m2のシートを抄紙し、セパレータとした。
〔実施例3〕
セパレータの原料として、(0.1dtex×3mmのPET繊維60質量%)+(0.5dtex×5mmのPP/PE芯鞘複合繊維20質量%)+(PE合成パルプ20質量%)を混合して、円網・短網二層抄紙機で厚さ150μm、坪量50g/m2のシートを抄紙し、セパレータとした。
〔実施例4〕
セパレータの原料として、(0.05dtex×3mmのPET繊維40質量%)+(2.5dtex×5mmのPP/PE芯鞘型複合繊維40質量%)+(PE合成パルプ20質量%)を混合して、長網抄紙機で厚さ160μm、坪量50g/m2のシートを抄紙し、セパレータとした。
〔実施例5〕
セパレータの原料として、(0.05dtex×3mmのPET繊維50質量%)+(1.5dtex×5mmのPP/PE芯鞘型複合繊維40質量%)+(PE合成パルプ10質量%)を混合して、長網・円網抄紙機で厚さ180μm、坪量50g/m2のシートを抄紙し、セパレータとした。
〔実施例6〕
セパレータの原料として、(0.01dtex×3mmのPET繊維40質量%)+(1.5dtex×5mmのPP/PE芯鞘型複合繊維30質量%)+)(PE合成パルプ30質量%)を混合して、短網抄紙機で厚さ150μm、坪量50g/m2のシートを抄紙し、セパレータとした。
〔比較例1〕
セパレータの原料として、(0.01dtex×3mmのPET繊維26質量%)+(1.5dtex×5mmのPP/PE芯鞘型複合繊維44質量%)+(PE合成パルプ30質量%)を混合して、円網抄紙機で厚さ170μm、坪量50g/m2のシートを抄紙し、セパレータとした。
〔比較例2〕
セパレータの原料として、(0.1dtex×3mmのPET繊維75質量%)+(0.5dtex×5mmのPP/PE芯鞘型複合繊維15質量%)+(PE合成パルプ10質量%)を混合して、短網抄紙機でセパレータの製造を試みたが製造することが出来なかった。
〔比較例3〕
セパレータの原料として、(0.1dtex×3mmのPET繊維64質量%)+(0.5dtex×5mmのPP/PE芯鞘型複合繊維16質量%)+(PE合成パルプ20質量%)を混合して、円網抄紙機で厚さ150μm、坪量50g/m2のシートを抄紙し、セパレータとした。
〔比較例4〕
セパレータの原料として、(0.05dtex×3mmのPET繊維34質量%)+(2.5dtex×5mmのPP/PE芯鞘型複合繊維46質量%)+(PE合成パルプ20質量%)を混合して、円網抄紙機で厚さ160μm、坪量50g/m2のシートを抄紙し、セパレータとした。
〔比較例5〕
セパレータの原料として、(0.05dtex×3mmのPET繊維54質量%)+(1.5dtex×5mmのPP/PE芯鞘型複合繊維40質量%)+(PE合成パルプ6質量%)を混合して、円網・短網二層抄紙機でセパレータの製造を試みたが、製造することが出来なかった。
〔比較例6〕
セパレータの原料として、(0.01dtex×3mmのPET繊維40質量%)+(0.5dtex×5mmのPP/PE芯鞘型複合繊維25質量%)+(PE合成パルプ35質量%)を混合して、円網抄紙機で厚さ140μm、坪量50g/m2のシートを抄紙し、セパレータとした。
〔参考例1〕
セパレータの原料として、(ガラス繊維100質量%)を用い円網抄紙機で抄紙を行った。坪量40g/m2、シート厚さは300μmとなり、他の実施例、比較例と同程度の厚さとすることができず、厚さが厚い結果となった。これをセパレータとした。
〔従来例1〕
(PP樹脂100質量%)を用いて、メルトブロー法で乾式不織布を制作し、界面活性剤処理(親液処理)を施し、厚さ200μm、坪量50g/m2のセパレータとした。
〔従来例2〕
(ガラス繊維40質量%)+(1.5dtex×5mmのPP/PE芯鞘型複合繊維30質量%)+(PE合成パルプ30質量%)を混合して、円網抄紙機で厚さ150μm、坪量50g/m2のシートを抄紙し、セパレータとした。
〔従来例3〕
セパレータの原料として、(CSF値が150mlの1.7dtex×4mmのリヨセル45質量%)+(1.5dtex×5mmのPP/PE芯鞘型複合繊維45質量%)+(PE合成パルプ10質量%)を混合して、円網抄紙機で厚さ150μm、坪量50g/m2のシートを抄紙し、セパレータとした。
以上の構成よりなる、本実施の形態例のセパレータ、比較例1乃至6及び参考例1のセパレータ、従来例1乃至3のセパレータにおける測定結果を表1に示す。
Figure 0006663646
表1に示すように、本実施の形態例のセパレータは、従来から使用されているセパレータ(従来例1乃至3)と比較して、優れた引張強さと伸びを有し、吸液度、保液率、圧縮回復率が高い。
また、コイン円筒形のリチウム一次電池とコイン形リチウム一次電池を作製して性能を測定した結果を表2に示す。
Figure 0006663646
表2に示すように、本実施の形態例のセパレータは、筒形成時あるいはヒートシール時において破損などの不具合は発生しなかった。また、コイン形電池を組み立てたが、セパレータの打ち抜き時及びカシメ時においても破損などの不具合は発生しなかった。
また、リチウム一次電池の性能は従来のセパレータ(従来例1乃至3)を使用したものと比較しても良好な結果が得られた。
実施例1乃至6では、PET繊維の繊度を変更したが、繊度0.01〜0.1dtexの大きさであれば、セパレータ物性、リチウム一次電池の性能ともに満足することが判る。また、PP/PE芯鞘型複合繊維の繊度を変更したが、繊度0.5〜2.5dtexの大きさであれば、セパレータ物性、リチウム一次電池の性能ともに満足することが判る。
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2では、PET繊維の配合率やPE成分の含有率について、セパレータ物性およびリチウム一次電池の性能を比較した。
実施例1のセパレータはPET繊維の配合率を30質量%とし、PE成分含有率が50質量%であるが、圧縮保液率210%圧縮回復率は81.6%と高い。円筒形リチウム一次電池の放電容量は1075mAhと高く、パルス放電特性も102mAと高い。保存試験後の放電容量も1073mAhと容量の低下は無かった。また、コイン形リチウム一次電池も円筒形リチウム一次電池と同様に放電容量パルス放電特性、保存試験後の放電容量が高かった。また、筒成形や打抜き及びカシメにおいてセパレータの破れなどの不具合の発生はなかった。
一方、PET繊維の配合率を26質量%とし、PE成分含有率が52質量%である比較例1のセパレータは実施例1と比較して、圧縮保液率170%、圧縮回復率は65.2%と低い。打抜き及びカシメにおいてセパレータの破れなどの不具合は発生しなかったが、円筒形リチウム一次電池の放電容量は920mAh、パルス放電特性は70mAと低く、保存後の放電容量も860mAhと低かった。またコイン形リチウム一次電池の放電容量も円筒形リチウム一次電池と同様に放電容量パルス放電特性、保存試験後の放電容量が低い結果となった。
放電容量やパルス放電特性といった放電特性の値が低いのは、PE成分含有率が52質量%と高く、セパレータ中のPE成分が造膜し、リチウム一次電池の内部抵抗が高くなったことや、電解液の保液率が低かったことが原因と考えられる。また、PET繊維の配合率が26質量%と低く、セパレータの緻密性が不足することから、放電試験時にショートし放電特性が悪化した可能性が考えられる。さらに、放電容量が悪化したのは、保液率や圧縮回復率が低いことから、放電時の電極の膨張により電解液を放出してしまったことも放電容量低下の原因と考えられる。
実施例2のセパレータはPET繊維の配合率を70質量%とし、PE成分含有率が20質量%であるが、引張強さは縦方向18.5N/15mm、横方向9.8N/15mmと十分な強度を示し、保液率や圧縮回復率は高い。
円筒形リチウム一次電池の放電容量は1145mAhと高く、パルス放電特性も104mAと高い。保存試験後の放電容量も1140mAhと容量の低下は無かった。また、コイン形リチウム一次電池も円筒形リチウム一次電池と同様に放電容量パルス放電特性、保存試験後の放電容量が高かった。また、筒成形や打抜き及びカシメにおいてセパレータの破れなどの不具合の発生はなかった。
一方、PET繊維の配合率を75質量%とし、PE成分含有率が17.5質量%である比較例2のセパレータは、PP/PE芯鞘型複合繊維の配合率が15質量%と少ないことやPE成分含有率が17.5質量%と少ないため、シートの形成に必要な強度が得られず、セパレータを抄紙することができなかった。
よって、PET繊維の配合率は30〜70質量%の範囲が好ましいことが判る。また、PE成分含有率は20〜50質量%の範囲が好ましいことが判る。
実施例3、実施例4、比較例3、比較例4では、PP/PE芯鞘型合成繊維の配合率についてセパレータ物性およびリチウム一次電池の性能を比較した。
実施例3のセパレータはPP/PE芯鞘型複合繊維の配合率を20質量%としているが、引張強さは縦方向23.5N/15mm、横方向11.8N/15mm十分な強度を示し、打抜き及びカシメにおいてセパレータの破れなどの不具合の発生はなかった。円筒形リチウム一次電池の放電容量は1195mAhと高く、パルス放電特性も109mAと高い。保存試験後の放電容量も1190mAhと容量の低下は無かった。また、コイン形リチウム一次電池も円筒形リチウム一次電池と同様に放電容量パルス放電特性、保存試験後の放電容量が高かった。
一方、PP/PE芯鞘型複合繊維の配合率を16質量%とした比較例3のセパレータは実施例3と比較して、引張強さは縦方向7.8N/15mm、横方向5.4N/15mmと弱く、円筒形リチウム一次電池において、セパレータを円筒形に形成する際にセパレータの破れが発生し、不良品が多発した。また、コイン形電池の組立工程においてセパレータの打ち抜きは問題なかったが、カシメ時において、破れが発生し、不良品が多発した。そのため円筒形電池、コイン形電池の性能試験は行えなかった。
実施例4のセパレータはPP/PE芯鞘型複合繊維の配合率を40質量%としているが、セパレータの特性は問題なく、円筒形リチウム一次電池の放電容量は1170mAhと高く、パルス放電特性も107mAと高い。保存試験後の放電容量も1164mAhと容量の低下は無かった。また、コイン形リチウム一次電池も円筒形リチウム一次電池と同様に放電容量パルス放電特性、保存試験後の放電容量が高かった。また、筒成形や打抜き及びカシメにおいてセパレータの破れなどの不具合の発生はなかった。
一方、PP/PE芯鞘型合成繊維の配合率を46質量%とした比較例4のセパレータは、打抜き及びカシメにおいてセパレータの破れなどの不具合の発生はなかったが、円筒形リチウム一次電池の放電容量が1003mAhと低くなった。またコイン形リチウム一次電池の放電容量も円筒形リチウム一次電池と同様に放電容量パルス放電特性、保存試験後の放電容量が低い結果となった。
これはPP/PE芯鞘型複合繊維の配合率が40質量%を超えると、シート形成時の熱によりPE成分が溶融し、繊維間で造膜(フィルム状)するため電解液を保持するための空隙が少なくなり、保液率が低くなり、放電容量悪化したと考えられる。さらに電解液中のイオンの移動を阻害され、内部抵抗が高くなりパルス放電特性が悪化したと考えられる。
よって、PP/PE芯鞘型複合繊維の配合率は20〜40質量%の範囲が好ましいことが判る。
実施例5、実施例6、比較例5、比較例6では、PE合成パルプの配合率についてセパレータ物性およびリチウム一次電池の性能を比較した。
実施例5のセパレータはPE合成パルプの配合率を10質量%としているが、引張強さは縦方向30.5N/15mm、横方向14.7N/15mmと十分な強度を示し、打抜き及びカシメにおいてセパレータの破れなどの不具合の発生はなかった。また、コイン形リチウム一次電池も円筒形リチウム一次電池と同様に放電容量パルス放電特性、保存試験後の放電容量が高かった。また、筒成形や打抜き及びカシメにおいてセパレータの破れなどの不具合の発生はなかった。
一方、PE合成パルプの配合率を6質量%とした比較例5のセパレータは、PE合成パルプの配合率が少ないため、セパレータの製造時において湿紙強度が弱く、紙切れなどのトラブルが発生し、抄紙することができなかった。
実施例6のセパレータはPE合成パルプの配合率を30質量%としているが、セパレータの特性は問題なく、円筒形リチウム一次電池の放電容量は1165mAhと高く、パルス放電特性も107mAと高い。保存試験後の放電容量も1159mAhと容量の低下は無かった。また、コイン形リチウム一次電池も円筒形リチウム一次電池と同様に放電容量パルス放電特性、保存試験後の放電容量が高かった。また、筒成形や打抜き及びカシメにおいてセパレータの破れなどの不具合の発生はなかった。
一方、PE合成パルプの配合率を35質量%とした比較例6のセパレータは、吸液度、保液率、圧縮回復率が低い。打抜き及びカシメにおいてセパレータの破れなどの不具合の発生はなかったが、リチウム一次電池放電特性が悪かった。
これはPE合成パルプの配合率が30質量%を超えると、溶融、造膜したPE成分がイオン流路の阻害となる。これにより、リチウム一次電池の保液率が低く、電池内部の電解液量が不足したことが放電容量に悪影響を与えたと考えられる。
よって、PE合成パルプの配合率は10〜30質量%の範囲が好ましいことが判る。
参考例1のセパレータはガラス繊維100質量%で構成されているため、引張強さ及び伸びが低く、セパレータの打ち抜き時に打ち抜き刃の磨耗が見られた。その後のカシメ時においても、セパレータに圧力がかかった際に、ガラス繊維の脱落が多く、不良品が多発したため、リチウム一次電池の性能試験は行えなかった。
従来例1のセパレータは、吸液度は19mmと低く、圧縮保液率は160%と低かった。引張強さは縦方向9.8N/15mm、横方向6.5N/15mmであった。
従来例1のセパレータはポリプロピレン100質量%であるため円筒形のリチウム一次電池を組立工程時に最外周を熱融着した際に融着部がフィルム化したため、円筒形リチウム一次電池の放電容量、パルス放電特性、保存試験の値が悪化した。これは、フィルム化した部分があるため電気抵抗が高くなったことが原因と考えられる。コイン形は電池の組立工程及び電池性能は良好であり問題ない結果であった。
従来例2のセパレータは、ガラス繊維の比重が他の原料繊維の比重に比べ大きいため、セパレータ製造時において各原料繊維の分散が悪い。そのためセパレータの地合を取るのが難しく、抄紙性が悪かった。また、セパレータ中にガラス繊維が含まれ、コイン型に打ち抜く際に打ち抜き刃が磨耗してしまうため、リチウム一次電池の製造工程にも難がある。
従来例3のセパレータは、セパレータ特性やリチウム一次電池の組立工程において問題はなかった。しかし、円筒形、コイン形の放電試験の結果パルス放電特性の結果は良好であったが、放電容量と保存試験の値が悪化した。これは、放電末期時の電極の膨張によりセパレータが圧縮され、電解液を放出してしまったため、放電特性が悪化したと考えられる。
実施例6のセパレータはPET繊維の配合率を40質量%としているが、PET繊維の配合率30質量%の実施例1のセパレータと比較して、円筒形、コイン形のリチウム一次電池の電池性能が良い。
実施例1のセパレータは円筒形、コイン形のリチウム一次電池の性能は十分満足しているが、実施例6のセパレータでは円筒形、コイン形のリチウム一次電池の性能は更に改善していた。
また、実施例3のセパレータはPET繊維の配合率を60質量%としているが、PET繊維の配合率70質量%の実施例2のセパレータと比較して、円筒形、コイン形のリチウム一次電池の電池性能が良い。
実施例2のセパレータは円筒形、コイン形のリチウム一次電池の性能は十分満足しているが、実施例3のセパレータでは円筒形、コイン形のリチウム一次電池の性能は更に改善していた。
このことより、PET繊維の配合率は40〜60重量%の範囲が更に好ましいことが判る。
本発明に係る一発明の実施の形態例のセパレータは、円筒形電池で使用する場合は筒形成工程において充分な機械的強度を有し、電極の膨張による圧縮に強く、最外周を熱融着(ヒートシール加工)可能であり、非水系有機電解液の吸液性があり、また緻密なセパレータ及び該セパレータを用いた円筒形電池を提供することができる。
また、本実施の形態例によれば、コイン形電池使用する場合は、カシメ時に破れない程度の機械的強度と伸びを有し、電極の膨張による圧縮に強く、良好な打ち抜き特性を持ち、高保液率、高吸液性で緻密なセパレータ及び該セパレータを用いたコイン形電池を提供することができる。
以上に説明したように、PET繊維を30〜70質量%、PP/PE芯鞘型複合繊維を20〜40質量%、PE合成パルプを10〜30質量%の割合で混抄することにより、機械的強度と伸びを有し、電極の膨張による圧縮に強く、良好な打ち抜き特性を持ち、高保液率、高吸液性で緻密なセパレータ及び該セパレータを用いたリチウム一次電池を提供することができる。
以上の説明は本実施の形態例のセパレータを電池について行ったが、この電池の詳細についての説明は省略したが、セパレータが適用可能な電池としては、上記した円筒形電池あるいはコイン形電池において、電極材料及び電解液に材料については、特別に限定を必要とすることはなく、種々のものを用いることができる。
電池の種類としても、一次電池であっても、あるいは二次電池であっても良く、電池種別により性能に優劣が生じるものでもない。
更に、セパレータは、電池に適用できるほか、電気二重層キャパシタ(EDLC)にも適用することが可能である。電気二重層キャパシタに適用した場合であっても、十分な機械的強度を有し、非水系有機電解液であっても十分な吸液性があり、高保液率、高吸液性で緻密なセパレータとしての性能が確保できる。

Claims (6)

  1. 正極と負極との間に介在し、電解質を含有した電解液を保持可能なリチウム一次電池用セパレータであって、
    合成繊維と合成パルプからなり、圧縮回復率が81.6%以上であることを特徴とするリチウム一次電池用セパレータ。
  2. 前記合成繊維がポリエチレンテレフタレート繊維と繊維断面の芯部がポリプロピレン成分で、繊維断面の鞘部がポリエチレン成分からなる複合繊維であることを特徴とする請求項1記載のセパレータ。
  3. 前記合成パルプがポリエチレンからなる合成パルプであることを特徴とする請求項1記載のセパレータ。
  4. 前記合成繊維が、ポリエチレンテレフタレート繊維30〜70質量%、繊維断面の芯部がポリプロピレン成分で繊維断面の鞘部がポリエチレン成分である複合繊維を20〜40質量%で配合し、
    前記合成パルプが、ポリエチレンからなる合成パルプを10〜30質量%の割合で混抄する構成であることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか1項に記載のセパレータ。
  5. 前記複合繊維及び前記合成パルプの構成成分としてポリエチレン成分が20〜50質量%の割合で含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか1項に記載のセパレータ
  6. 請求項1乃至請求項5いずれか1項に記載のセパレータを用いることを特徴とするリチウム一次電池。
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