JP6662540B2 - 制振材用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
ノニオン性界面活性剤及び/又はエチレングリコール鎖を含有しないアニオン系界面活性剤である加熱乾燥用エマルション組成物が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
本発明はまた、本発明の制振性付与剤、及び、樹脂を含む制振材用樹脂組成物でもある。
本発明は更に、本発明の制振材用樹脂組成物、及び、無機顔料を含む制振材配合物でもある。
本発明はそして、本発明の制振材配合物を用いて得られる制振材でもある。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の制振性付与剤は、第2級アルコールエトキシレート骨格を有する化合物を含む。
本発明の制振性付与剤を用いて、幅広い温度領域で顕著に優れた制振性を発揮できる制振材を得ることができる。該制振材が幅広い温度領域で顕著に優れた制振性を発揮できる理由としては、第2級アルコールエトキシレート骨格に疎水効果があり、該骨格が樹脂表面に付着し易く、樹脂を適切に可塑化して、幅広い温度領域で制振性を向上させるためであると考えられる。
なお、特許文献4に記載の実施例では、第1級アルコールエトキシレート(商品名:エマルゲン1118S、花王株式会社製)等を使用し、加熱乾燥時の乾燥速度を向上させているが、幅広い温度領域で優れた制振性を発揮するうえで更なる工夫の余地があった。
以下では、本発明に係る第2級アルコールエトキシレート骨格を有する化合物について詳しく説明する。
第2級アルコールエトキシレート骨格を有する化合物(以下、本発明に係る化合物とも言う。)は、第2級アルコールの水酸基が付加する炭素原子に、該水酸基の代わりにエチレンオキシドが付加した構造を有していればよい。言い換えれば、本発明に係る化合物は、少なくとも第2級炭素原子にエチレンオキシドが付加した構造を有していればよい。エチレンオキシドが付加した構造は、エチレンオキシドを少なくとも1つ付加させて得られる(ポリ)エチレングリコール鎖である。(ポリ)エチレングリコール鎖とは、エチレンオキシドを1つ付加させて得られるエチレングリコール鎖又はエチレンオキシドを2つ以上付加させて得られるポリエチレングリコール鎖を言う。本発明に係る化合物は、安価であるため、本発明の制振材用樹脂組成物を調製するのに有利となる。
上記有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等の炭化水素基が挙げられ、中でもアルキル基が好ましい。上記有機基は、更に、アルコキシ基、アリール基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリールアルキルスルホニル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基、ビス(ジアルキルアミノ)ホスファニル基、ビス(ジアルキルアミノ)ホスフィノイル基、ジアルキルホスファニル基、ジアルキルホスフィノイル基、ジアリールホスファニル基、ジアリールホスフィノイル基等の有機置換基を有していてもよい。
上記有機基は、炭素数が5以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、10以上であることが更に好ましく、12以上であることが特に好ましい。また、該炭素数が30以下であることが好ましく、24以下であることがより好ましく、18以下であることが更に好ましく、14以下であることが特に好ましい。
上記一般式(1)におけるm+nの好ましい範囲は、炭化水素基CH3−(CH2)m−CH−(CH2)n−CH3の合計炭素数が上述した有機基の炭素数の好ましい範囲となるように設定すればよく、2以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、7以上であることが更に好ましく、9以上であることが特に好ましい。また、該炭素数が27以下であることが好ましく、21以下であることがより好ましく、15以下であることが更に好ましく、11以下であることが特に好ましい。
上記一般式(1)におけるxの好ましい範囲は、上述した(ポリ)エチレングリコール鎖を構成するエチレンオキシドの平均付加モル数の好ましい範囲と同様である。
本発明に係る化合物の曇点は、温度計付きのフラスコ内に1質量%濃度の本発明に係る化合物の水溶液を入れ加温し、濁り始める温度を曇点(℃)とする。
本発明に係る化合物のHLBは、グリフィンのHLB計算値により求めることができる。
なお、ここでいう固形分とは、水系溶媒等の溶媒以外の成分を意味する。
本発明の制振性付与剤は、本発明に係る化合物を含むものである限り、本発明に係る化合物以外のその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、例えば、第1級アルコールエトキシレート骨格を有する化合物、公知の制振性付与剤等が挙げられる。
なお、ここでいうその他の成分とは、本発明の制振性付与剤を含む制振材配合物を塗布し、加熱乾燥した後も塗膜中に残る不揮発分(固形分)のことを意味し、水系溶媒等の揮発成分は含まれない。
本発明の制振材用樹脂組成物は、水系溶媒等の溶媒を含むことが好ましい。
なお、本明細書中、水系溶媒は、水を含む限りその他の有機溶媒を含んでいてもよいが、水であることが好ましい。
上記溶媒の含有量は、本発明の制振性付与剤100質量%中、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。また、該溶媒の含有量は、97質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることが更に好ましい。
本発明の制振材用樹脂組成物は、本発明の制振性付与剤、及び、樹脂を含む。
本発明の制振材用樹脂組成物が含む制振性付与剤の好ましいものは、上述した本発明の制振性付与剤の好ましいものと同様である。
本発明の制振材用樹脂組成物を用いて、幅広い温度領域で顕著に優れた制振性を発揮できる制振材を得ることができる。
なお、ここでいう固形分とは、水系溶媒等の溶媒以外の成分を意味する。
ここで、本発明の制振材用樹脂組成物を、樹脂を乳化重合で製造する際の乳化剤として本発明の制振性付与剤を用いて得る場合は、樹脂を製造した後に本発明の制振性付与剤を添加して得る場合と比べて、樹脂を製造した後に該樹脂に対して本発明の制振性付与剤である水溶液を添加する必要がないため、得られる樹脂組成物の固形分を高くしやすく、濃度の調整が簡単になり、より安定に本発明の制振材用樹脂組成物を生産することができる。
上記樹脂は、本発明に係る化合物と混和できる種々のものを使用できるが、例えば、(メタ)アクリル系重合体、ジエン系重合体、及び、酢酸ビニル系重合体からなる群より選択される少なくとも1種の重合体(以下、本発明に係る重合体とも言う。)を含むものが好ましい。
上記(メタ)アクリル系重合体は、後述する(メタ)アクリル系単量体由来の構造単位を有する重合体であればよい。
中でも、上記(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸系単量体由来の構造単位を有する重合体であることが好ましい。例えば、(メタ)アクリル系重合体を得るための単量体成分が、(メタ)アクリル酸系単量体、及び、その他の共重合可能な不飽和単量体を含んでなるものであることが好ましい。(メタ)アクリル酸系単量体を含むことにより、本発明の制振材用樹脂組成物を含む制振剤配合物において、無機顔料等の分散性が向上し、得られる制振材の機能がより優れたものとなる。また、その他の共重合可能な不飽和単量体を含むことにより、重合体の酸価、Tgや物性等を調整しやすくなる。
上記(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体とは、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基、又は、これらの基における水素原子が他の原子若しくは原子団に置き換わった基を有し、かつ、カルボキシル基がエステルとなった形態若しくは塩となった形態の単量体又はそのような単量体の誘導体を言う。
すなわち、(メタ)アクリル系重合体が、スチレンを含む単量体成分から得られたスチレン(メタ)アクリル系重合体であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。このような形態によって、コストを削減しつつ本発明の効果を充分に発揮することができる。
またジエン系単量体としては、炭素数4〜18のものが好ましく、炭素数4〜12のものがより好ましく、炭素数4〜8のものが更に好ましく、ブタジエンが特に好ましい。
なお、本明細書中では、本発明における制振材用樹脂組成物における重合体において、構造中にジエン系単量体由来の構造を少なくとも1つ有していても、(メタ)アクリル酸系単量体由来の構造を少なくとも1つ有するものについては(メタ)アクリル系重合体とし、(メタ)アクリル酸系単量体由来の構造を有さないものについてはジエン系重合体とする。
なお、単量体成分の蒸発エネルギー、及び、単量体成分の分子容は、通常用いられる計算値を用いることができる。
このように、構成する単量体の種類及びその構成比を調整することによって、ジエン系重合体のSP値を調整することができる。
なお、酢酸ビニル系重合体の原料となる単量体成分における酢酸ビニル以外の成分としては、特に制限されないが、上述した(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体、芳香環を有する不飽和単量体、その他の共重合可能な不飽和単量体等が挙げられる。
なお、本明細書中では、本発明における制振材用樹脂組成物における重合体において、構造中に酢酸ビニル由来の構造を少なくとも1つ有していても、(メタ)アクリル酸系単量体由来の構造を少なくとも1つ有するものについては(メタ)アクリル系重合体とし、(メタ)アクリル酸系単量体由来の構造を有さず、かつジエン系単量体由来の構造を少なくとも1つ有するものについてはジエン系重合体とし、(メタ)アクリル酸系単量体由来の構造又はジエン系単量体由来の構造のいずれも有さないものについては酢酸ビニル系重合体とする。
コア・シェル複合構造を有するエマルションは、実用温度範囲内の幅広い範囲における制振性に優れる。特に高温域においても、他の形態の制振材用樹脂組成物と比較して優れた制振性を発揮し、その結果、実用温度範囲内において、常温から高温域まで幅広い範囲に渡って制振性能を発揮することができる。
なお、上記コア・シェル複合構造においては、コア部の表面がシェル部によって被覆された形態であることが好ましい。この場合、コア部の表面は、シェル部によって完全に被覆されていることが好適であるが、完全に被覆されていなくてもよく、例えば、網目状に被覆されている形態や、所々においてコア部が露出している形態であってもよい。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、後述する実施例に記載の方法により算出することができる。また、本発明に係る重合体の少なくとも1種が多段重合して得られるものである場合(例えば、コア部とシェル部とを有するエマルション粒子である場合)は、上記ガラス転移温度は、全ての段で用いた単量体組成から算出したTg(トータルTg)を意味する。
シェル部の重合体のガラス転移温度は、−30〜30℃であることが好ましい。より好ましくは、−20〜20℃である。
またコア部の重合体とシェル部の重合体とのガラス転移温度の差は、5〜60℃であることが好ましい。このようにガラス転移温度に差を設けることにより、例えば、制振材用途に適用したときに、幅広い温度領域下でより高い制振性を発現させることが可能となり、特に実用的範囲である20〜60℃域での制振性がより向上されることとなる。ガラス転移温度の差は、より好ましくは10〜50℃であり、更に好ましくは20〜40℃である。
なお、重量平均分子量(Mw)は、GPCを用い、後述する実施例に記載の条件により測定することができる。
上記平均粒子径がこの範囲にあるエマルション粒子を用いることにより、制振材に要求される塗工性等の基本性能を充分なものとした上で、制振性をより優れたものとすることができる。エマルション粒子の平均粒子径は、より好ましくは400nm以下であり、更に好ましくは350nm以下である。また、平均粒子径は、好ましくは100nm以上である。
エマルション粒子の平均粒子径は後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、ここでいう固形分とは、エマルションに含まれる水系溶媒等の溶媒以外の成分を意味する。
本明細書中、pHは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本明細書中、粘度は、後述する実施例に記載の条件により測定することができる。
なお、固形分とは、水系溶媒等の溶媒以外の成分を意味する。
本発明の制振材用樹脂組成物は、本発明に係る化合物と樹脂とを含むものである限り、その他の成分を含んでもよい。
本発明の制振材用樹脂組成物は、上述したように、水系溶媒等の溶媒を含むことが好ましい。
上記溶媒の含有量は、本発明の制振材用樹脂組成物100質量%中、3質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましく、30質量%以上であることが特に好ましい。また、該溶媒の含有量は、97質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましく、60質量%以下であることが特に好ましい。
本発明はまた、本発明の制振材用樹脂組成物、及び、無機顔料を含む制振材配合物でもある。
本発明の制振材配合物が含む制振材用樹脂組成物の好ましいものは、上述した本発明の制振材用樹脂組成物の好ましいものと同様である。
本発明の制振材配合物の固形分100質量%中、制振材用樹脂組成物の固形分は、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、15質量%以上であることが特に好ましい。また、制振材用樹脂組成物の固形分は、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが更に好ましい。
上記無機顔料は、例えば、無機着色剤、防錆顔料、充填材等の1種又は2種以上を使用することができる。該無機着色剤としては、酸化チタン、カーボンブラック、弁柄等が挙げられる。該防錆顔料としては、リン酸金属塩、モリブデン酸金属塩、硼酸金属塩等が挙げられる。該充填材としては、炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、タルク、硫酸バリウム、アルミナ、酸化鉄、ガラストーク、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、珪藻土、クレー等の無機質充填材;ガラスフレーク、マイカ等の鱗片状無機質充填材;金属酸化物ウィスカー、ガラス繊維等の繊維状無機質充填材等が挙げられる。
上記無機顔料は、平均粒子径が1〜50μmのものが好ましい。無機顔料の平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置により測定することができ、粒度分布からの重量50%径の値である。
上記無機顔料の配合量としては、本発明の制振材用配合物中の樹脂の固形分100質量部に対し、10〜900質量部とすることが好ましく、より好ましくは100〜800質量部であり、更に好ましくは200〜500質量部である。
本発明の制振材配合物は、更に分散剤を含んでいてもよい。
上記分散剤としては、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の無機質分散剤、及び、ポリカルボン酸系分散剤等の有機質分散剤が挙げられる。
上記分散剤の配合量としては、本発明の制振材配合物中の樹脂の固形分100質量部に対し、固形分で0.1〜8質量部が好ましく、0.5〜6質量部がより好ましく、1〜3質量部が更に好ましい。
上記増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリカルボン酸系樹脂等が挙げられる。
上記増粘剤の配合量としては、本発明の制振材配合物中の樹脂の固形分100質量部に対し、固形分で0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜4質量部がより好ましく、0.2〜2質量部が更に好ましい。
本発明の加熱乾燥用塗料は、更にその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、発泡剤;溶媒;有機着色剤;ゲル化剤;消泡剤;可塑剤;安定剤;湿潤剤;防腐剤;発泡防止剤;老化防止剤;防黴剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
なお、上記無機顔料、分散剤、増粘剤、及び、他の成分は、例えば、ディスパー、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、スパイラルミキサー、ニーダー、ディゾルバー等を用いて、本発明に係る化合物やポリマーエマルション等と混合され得る。
上記溶媒としては、例えば、水;エチレングリコール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等の有機溶媒が挙げられる。溶媒の配合量としては、本発明の制振材配合物の固形分濃度を調整するために適宜設定すればよい。
本発明は更に、本発明の制振材配合物を用いて得られる制振材でもある。
本発明の制振材を得るために用いられる制振材配合物の好ましいものは、上述した本発明の制振材配合物の好ましいものと同様である。
また、塗膜を上記温度にする時間は、1〜300分であることが好ましい。より好ましくは、2〜250分であり、特に好ましくは、10〜150分である。
損失係数は、通常ηで表され、制振材に対して与えた振動がどの程度減衰したかを示すものである。上記損失係数は、数値が高いほど制振性能に優れていることを示す。
上記損失係数は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
<平均粒子径>
エマルション粒子の平均粒子径は動的光散乱法による粒度分布測定器(大塚電子株式会社FPAR−1000)を用い測定した。
<不揮発分(N.V.)>
得られたエマルション約1gを秤量、熱風乾燥機で150℃×1時間後、乾燥残量を不揮発分として、乾燥前質量に対する比率を質量%で表示した。
<pH>
pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)により25℃での値を測定した。
<粘度>
B型回転粘度計(東機産業社製「VISCOMETER TUB−10」)を用いて、25℃、20rpmの条件下で測定した。
以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定する。
重合体のTgは、各段で用いた単量体組成から、下記計算式(1)を用いて算出した。
上記計算式(1)により重合性単量体成分のガラス転移温度(Tg)を算出するのに使用したそれぞれのホモポリマーのTg値を下記に示した。
メチルメタクリレート(MMA):105℃
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):−70℃
ブチルアクリレート(BA):−56℃
アクリル酸(AA):95℃
スチレン(St):100℃
(製造例1)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水280部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート520部、2−エチルヘキシルアクリレート130部、ブチルアクリレート340部、アクリル酸10.0部、重合連鎖移動剤であるt−ドデシルメルカプタン4.0部、予め20%水溶液に調整したニューコール707SF(商品名、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩:日本乳化剤社製)180.0部及び脱イオン水183.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を75℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの27.0部、重合開始剤(酸化剤)である5%過硫酸カリウム水溶液5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。40分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を210分にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液95部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液90部を210分かけて均一に滴下し、滴下終了後60分同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、2−ジメチルエタノールアミン16.7部、脱イオン水39部を添加し、不揮発分55.1%、pH8.0、粘度190mPa・s、平均粒子径250nm、重量平均分子量53000、Tg4℃のアクリル系エマルション(オールアクリル系エマルション)1を得た。
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水270部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにスチレン175部、メチルメタクリレート150部、2−エチルヘキシルアクリレート150部、アクリル酸10部、重合連鎖移動剤であるt−ドデシルメルカプタン3部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ(商品名、花王社製)90.0部及び脱イオン水82部からなる第1段目の単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの8部、重合開始剤(酸化剤)である5%過硫酸カリウム水溶液5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を120分にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を120分かけて均一に滴下し、滴下終了後60分同温度を維持した。次に、滴下ロートにスチレン100部、メチルメタクリレート90部、ブチルアクリレート200部、2−エチルヘキシルアクリレート85部、アクリル酸10部、t−ドデシルメルカプタン3部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ(商品名、花王社製)90.0部及び脱イオン水133部からなる第2段目の単量体乳化物を仕込み、120分にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を120分かけて均一に滴下し、滴下終了後90分同温度を維持し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水10部を添加し、不揮発分55.0%、pH7.9、粘度200mPa・s、平均粒子径250nm、重量平均分子量64000、1段目のTg24℃、2段目のTg−14℃、トータルTg4℃のアクリル系エマルション(アクリルスチレン系エマルション)2を得た。
第2段目の単量体乳化物に20%に調整したソフタノール200(日本触媒製)100部、20%に調整したソフタノール120(日本触媒製)100部を追加した以外は製造例2と同様の反応を行い、不揮発分51.6%、pH7.8、粘度110mPa・s、平均粒子径230nm、重量平均分子量66000、1段目のTg24℃、2段目のTg−14℃、トータルTg4℃のアクリル系エマルション(アクリルスチレン系エマルション)3を得た。
〔SBR〕
SR−110(日本エイアンドエル社製、スチレン−ブタジエン樹脂、Tg−20℃、不揮発分50%、SP値8.7)
〔酢酸ビニル〕
ポリゾール接着用−1000J(昭和電工社製、酢酸ビニル樹脂、不揮発分51%)
<制振性付与剤>
(ソフタノール400)
株式会社日本触媒製:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(第2級アルコールエトキシレート)、曇点100℃以上、EO付加モル数40、HLB値18.0、第2級アルコールのアルキル基部分の炭素数12〜14
(ソフタノール200)
株式会社日本触媒製:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(第2級アルコールエトキシレート)、曇点100℃以上、EO付加モル数20、HLB値16.3、第2級アルコールのアルキル基部分の炭素数12〜14
(ソフタノール120)
株式会社日本触媒製:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(第2級アルコールエトキシレート)、曇点83℃、EO付加モル数12、HLB値14.5、第2級アルコールのアルキル基部分の炭素数12〜14
(ソフタノール90)
株式会社日本触媒製:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(第2級アルコールエトキシレート)、曇点56℃、EO付加モル数9、HLB値13.3、第2級アルコールのアルキル基部分の炭素数12〜14
(ソフタノールL90)
株式会社日本触媒製:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(第2級アルコールエトキシレート)、曇点71℃、EO付加モル数9、HLB値13.9、第2級アルコールのアルキル基部分の炭素数10〜12
(エマルゲン1118S)
花王株式会社製:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(第1級アルコールエトキシレート)、曇点100℃以上
(エマルゲン109P)
花王株式会社製:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(第1級アルコールエトキシレート)、曇点83℃
(実施例1)
製造例1において得られたエマルション1 100部に、20%に調整した制振性付与剤(ソフタノール400)10部を混合し固形分濃度51.8質量%の樹脂組成物1を得た。
表1に示すようにエマルション、制振性付与剤、脱イオン水それぞれの種類及び配合量を変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物2〜18を得た。なお、比較例1〜8では第2級アルコールエトキシレートを配合しなかった。
実施例1〜8、参考例1、2の樹脂組成物1〜10、及び、比較例1〜8の樹脂組成物11〜18をそれぞれ下記の通り配合し、制振材配合物を作製し、以下のように各種特性を評価した。結果を表1に示す。
樹脂組成物1〜18 350部
炭酸カルシウムNN#200*1 620部
分散剤 アクアリックDL−40S*2 6部
増粘剤 アクリセットWR−650*3 4部
*1:日東粉化工業株式会社製 充填剤
*2:株式会社日本触媒製 ポリカルボン酸型分散剤(有効成分44%)
*3:株式会社日本触媒製 アルカリ可溶性のアクリル系増粘剤(有効成分30%)
上記実施例(参考例を含む)、比較例で得られた制振材配合物について、塗膜の外観評価、制振性試験、及び、機械的安定性の評価を下記方法にて実施した。結果を表1に示す。
冷間圧延鋼板(商品名SPCC−SD・幅75mm×長さ150mm×厚み0.8mm、日本テストパネル社製)の上に、作製した制振材配合物を配合物の塗布厚みが4mmとなるように塗布した。その後、熱風乾燥機を用いて、150℃で50分間乾燥し、得られた乾燥塗膜の表面状態を以下の基準で評価した。
○:異常なし。
△:塗膜のフクレやクラックが所々に見られる。
×:塗膜全体にわたってフクレが生じ、はがれ、クラックが見られる。
上記制振材配合物を冷間圧延鋼板(商品名SPCC・幅15mm×長さ250mm×厚み1.5mm、日本テストパネル社製)の上に3mmの厚みで塗布して80℃で30分間予備乾燥後、150℃で30分間乾燥し、冷間圧延鋼板上に面密度4.0Kg/m2の制振材被膜を形成した。
制振性の測定は、それぞれの温度(20℃、30℃、40℃、50℃、60℃)における損失係数を、片持ち梁法(株式会社小野測機製損失係数測定システム)を用いて評価した。また、制振性の評価は、総損失係数(20℃、30℃、40℃、50℃、60℃での損失係数の和)により行い、総損失係数の値が大きいほど制振性に優れるものとした。
上記制振材配合物200gを500mlポリプロピレン製カップに取り、底部から5mmの高さに直径50mmの羽根を取り付け、ディスパー(品番:AUTOMIXER20、PRIMIX社製)を用いて2000回転/分で攪拌を行い、配合物がゲル化するまでの時間(分)を測定した。ゲル化するまでの時間が長いほど機械的安定性に優れるものとした。
また製造例2において得られたエマルションをそれぞれ用いる実施例7と比較例6との比較、第2段目の単量体乳化物として第2級アルコールエトキシレートを追加した以外は製造例2と同様の反応を行って得られたエマルション(製造例3において得られたエマルション)を用いる実施例8と上記比較例6との比較、スチレン−ブタジエン樹脂をそれぞれ用いる参考例1と比較例7との比較、酢酸ビニル樹脂をそれぞれ用いる参考例2と比較例8との比較から、第2級アルコールエトキシレートを単量体乳化物又は単量体乳化物重合後の樹脂に添加することにより、制振性及び機械安定性がより優れることが実証されている。
更に、上記各実施例は、塗膜の外観も優れるものとなった。
Claims (7)
- 前記一般式(1)中、m及びnは、それぞれ1以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の制振材用樹脂組成物。 - 前記一般式(1)中、炭化水素基CH3−(CH2)m−CH−(CH2)n−CH3の合計炭素数が10以上、14以下である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制振材用樹脂組成物。 - 前記制振材用樹脂組成物は、水系溶媒を含み、
前記樹脂は、水系溶媒中に分散しているか、又は、溶解している
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の制振材用樹脂組成物。 - 前記樹脂は、単量体成分を乳化重合してなるエマルションを含む
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の制振材用樹脂組成物。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の制振材用樹脂組成物、及び、無機顔料を含む
ことを特徴とする制振材配合物。 - 請求項6に記載の制振材配合物を用いて得られる
ことを特徴とする制振材。
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