JP6640521B2 - 制振材用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の制振材用樹脂組成物は、エマルションポリマーを含むものであり、更に、α−オレフィンスルホン酸(塩)、アルカンスルホン酸(塩)、アルキルリン酸エステル(塩)、及び、脂肪酸(塩)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(以下、本発明に係る化合物とも言う。)を含む。
本発明の制振材用樹脂組成物を用いて外観に優れる塗膜を得ることができる理由は、以下のように考えられる。従来、制振材用塗料には炭酸カルシウム等の顔料、増粘剤、分散剤、加熱膨張カプセル型発泡剤等の発泡剤を混合していて、加熱乾燥(焼き付け)によりエマルション中の水等の揮発成分を蒸発させるが、該発泡剤を一定量添加しないと塗膜にフクレが生じる。これは、塗膜内部から揮発成分が全て蒸発する前に塗膜表面から揮発成分が蒸発し乾燥膜を形成することで塗膜内部の揮発成分の蒸発経路が塞がれ、塗膜内部に残った揮発成分の蒸気により該乾燥膜が持ち上げられるためであると考えられる。該発泡剤は熱膨張して揮発成分の蒸発経路を形成することで蒸気を抜けやすくし、フクレを防止する。
本発明の制振材用樹脂組成物は、本発明に係る化合物を含むことで、加熱膨張カプセル型発泡剤を減量又はゼロにしてもフクレが抑制された外観良好な塗膜を得ることが出来る。これは、本発明に係る化合物が熱起泡性を有しており、乾燥初期より沸騰等による細かい起泡現象があり、加熱継続下でも水抜け性が維持されることから、良好な塗膜外観が得られると推定される。
なお、後述するように、本発明に係る化合物は、炭素数4以上の炭化水素基を有することが好ましい。これにより、本発明に係る化合物の熱気泡性をより充分に発現して得られる塗膜の外観をより優れたものとすることができる。
本発明に係る化合物は、それぞれ、入手が容易で安価であるため、本発明の制振材用樹脂組成物を調製するのに有利となる。
以下では、先ず本発明に係る化合物についてより詳しく説明し、次いで、エマルションポリマーについてより詳しく説明する。
上記α−オレフィンスルホン酸(塩)とは、α−オレフィンスルホン酸及び/又はその塩を意味し、α−オレフィンをスルホン化して得られる構造を有する化合物を言う。なお、α−オレフィンは、末端に二重結合があるアルケンであるが、α−オレフィンをスルホン化すると二重結合の位置がシフトしたり、二重結合が消失したりするため、α−オレフィンスルホン酸(塩)は、末端以外の箇所に二重結合があってもよく、二重結合を有さなくてもよい。該α−オレフィンスルホン酸塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、これらの混合塩等が挙げられる。
R1−A−CH2SO3M1 (1)
(式中、R1は、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。−A−は、−CH=CH−、又は、−CH(OH)CH2−を表す。M1は、金属原子、アンモニウム基、又は、有機アミン基を表す。)で表されるα−オレフィンスルホン酸塩であることが好ましい。
上記R1におけるアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
上記R1におけるアルキル基は、スルホン酸基、スルホン酸塩基、アミノ基、アルコキシ基、アルコキシスルホニル基、スルホアルキル基、アミノアルキル基、ヒドロキシル基、ポリアルキレンオキシド鎖含有基等を置換基として有していてもよいが、置換基を有さないことが好ましい。
上記M1は、金属原子であることがより好ましい。該金属原子としては、得られる塗膜の機能をより充分に発揮する観点から、ナトリウム、マグネシウム、カルシウムが更に好ましく、α−オレフィンスルホン酸(塩)の熱気泡性をより充分に発現して得られる塗膜の外観をより優れたものとする観点からは、ナトリウムが特に好ましい。
上記α−オレフィンスルホン酸(塩)の市販品としては、例えば、ネオゲンAO−90(第一工業製薬社製)、リポランPJ−400CJ(ライオン社製)等が挙げられる。
上記アルカンスルホン酸(塩)とは、アルカンスルホン酸及び/又はその塩を意味し、アルカンにスルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基が結合した構造を有する化合物を言う。該アルカンスルホン酸塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、これらの混合塩等が挙げられる。
上記その他の1価の置換基としては、アミノ基、アルコキシ基、アルコキシスルホニル基、スルホアルキル基、アミノアルキル基、ヒドロキシル基、ポリアルキレンオキシド鎖含有基等が挙げられる。
R2SO3M2 (2)
(式中、R2は、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。M2は、金属原子、アンモニウム基、又は、有機アミン基を表す。)で表されるアルカンスルホン酸塩であることが好ましい。
上記R2におけるアルキル基は、第一級アルキル基であってもよく、第二級アルキル基であってもよく、第三級アルキル基であってもよいが、第二級アルキル基又は第三級アルキル基であることが好ましく、第二級アルキル基であることがより好ましい。
上記第二級アルキル基は、−SO3M2と直接結合する炭素原子に2つのn−アルキル基が結合した構造を有することが好ましい。
上記R2におけるアルキル基は、スルホン酸基、スルホン酸塩基、上述したその他の1価の置換基等を置換基として有していてもよいが、置換基を有さないことが好ましい。
上記M2は、金属原子であることがより好ましい。該金属原子としては、得られる塗膜の機能をより充分に発揮する観点から、ナトリウム、マグネシウム、カルシウムが更に好ましく、アルカンスルホン酸(塩)の熱気泡性をより充分に発現して得られる塗膜の外観をより優れたものとする観点からは、ナトリウムが特に好ましい。
上記アルカンスルホン酸(塩)の市販品としては、例えば、ラテムルPS(花王社製)等が挙げられる。
上記アルキルリン酸エステル(塩)とは、アルキルリン酸エステル及び/又はその塩を言い、アルカンにリン酸エステル基及び/又はリン酸エステル塩基が結合した構造を有する化合物を言う。なお、該アルキルリン酸エステル(塩)は、モノアルキルリン酸エステル(塩)であってもよく、ジアルキルリン酸エステル(塩)であってもよく、トリアルキルリン酸エステルであってもよい。該アルキルリン酸エステル塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、これらの混合塩等が挙げられる。
上記その他の1価の置換基としては、上述したものと同様である。
上記R3におけるアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
上記R3におけるアルキル基は、リン酸エステル基、リン酸エステル塩基、上述したその他の1価の置換基等を置換基として有していてもよいが、置換基を有さないことが好ましい。
上記Dにおけるアルキル基は、炭素数1〜18のアルキル基であることが好ましい。アルキルリン酸エステル(塩)の熱気泡性をより充分に発現して得られる塗膜の外観をより優れたものとする観点からは、該炭素数は、2以上であることがより好ましく、4以上であることが更に好ましい。また該炭素数は、14以下であることがより好ましく、13以下であることが更に好ましい。
上記Dにおけるアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
上記M3は、金属原子であることがより好ましい。該金属原子としては、得られる塗膜の機能をより充分に発揮する観点から、ナトリウム、マグネシウム、カルシウムが更に好ましく、アルキルリン酸エステル(塩)の熱気泡性をより充分に発現して得られる塗膜の外観をより優れたものとする観点からは、ナトリウムが特に好ましい。
上記アルキルリン酸エステル(塩)の市販品としては、例えば、NIKKOL SLP−N(日光ケミカルズ社製)、プライサーフDBS(第一工業製薬社製)等が挙げられる。
上記脂肪酸(塩)とは、脂肪酸及び/又はその塩を意味し、炭化水素にカルボン酸基及び/又はカルボン酸塩基が結合した構造を有する化合物を言う。該脂肪酸としては、飽和脂肪酸;一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸等の不飽和脂肪酸が挙げられる。なお、該脂肪酸塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、これらの混合塩等が挙げられる。
上記その他の1価の置換基としては、例えば、アミノ基、アルコキシ基、アルコキシスルホニル基、スルホアルキル基、アミノアルキル基、ヒドロキシル基、ポリアルキレンオキシド鎖含有基等が挙げられる。
R4COOM4 (4)
(式中、R4は、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。M4は、金属原子、アンモニウム基、又は、有機アミン基を表す。)で表される脂肪酸塩であることが好ましい。
上記R4における炭化水素基は、炭素鎖に単結合のみを有するものであってもよく、炭素鎖に二重結合、三重結合等の不飽和結合を有するものであってもよい。
上記R4における炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
上記R4における炭化水素基は、カルボン酸基、カルボン酸塩基、上述したその他の1価の置換基等を置換基として有していてもよいが、置換基を有さないことが好ましい。
上記M4は、金属原子であることがより好ましい。該金属原子としては、得られる塗膜の機能をより充分に発揮する観点から、ナトリウム、カリウムが更に好ましく、脂肪酸(塩)の熱気泡性をより充分に発現して得られる塗膜の外観をより優れたものとする観点からは、ナトリウムが特に好ましい。
上記脂肪酸(塩)の市販品としては、例えば、OSソープ(花王社製)等が挙げられる。
なお、エマルションポリマーの原料として用いられた全モノマー成分とは、本発明の制振材用樹脂組成物中、エマルションポリマーを構成するモノマー単位、並びに、エマルションポリマーの原料として用いられたモノマー及び該モノマー由来のオリゴマーを意味する。上記エマルションポリマーの原料として用いられた全モノマー成分は、樹脂成分と言い換えてもよい。また、本発明の制振材用樹脂組成物が、上記α−オレフィンスルホン酸(塩)、アルカンスルホン酸(塩)、アルキルリン酸エステル(塩)、及び、脂肪酸(塩)のいずれか1種のみを含有する場合は、上記合計含有量は、当該1種の化合物の含有量である。
本発明の制振材用樹脂組成物は、更に、上記α−オレフィンスルホン酸(塩)、アルカンスルホン酸(塩)、アルキルリン酸エステル(塩)、及び、脂肪酸(塩)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物以外のその他の乳化剤を含んでいてもよい。その他の乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・硫酸ナトリウムが挙げられる。
本発明の制振材用樹脂組成物に含まれるアニオン性乳化剤100質量%中、上記α−オレフィンスルホン酸(塩)、アルカンスルホン酸(塩)、アルキルリン酸エステル(塩)、及び、脂肪酸(塩)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の合計含有量が60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましく、100質量%以上であることが最も好ましい。
本発明の制振材用樹脂組成物は、エマルションポリマーを含む。エマルションポリマーは、モノマー成分を重合してなるポリマーであればよいが、モノマー成分を乳化重合してなるポリマーであることが好ましい。
上記エマルションポリマーとしては種々のものを使用できるが、例えば、上記エマルションポリマーがカルボン酸(塩)基をもつモノマー単位を有するポリマーを含むことが好ましい。上記カルボン酸(塩)基とは、カルボン酸基及び/又はカルボン酸塩基を意味する。
上記カルボン酸塩基の塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が好ましいものとして挙げられる。金属塩を形成する金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の1価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等の2価の金属原子;アルミニウム、鉄等の3価の金属原子がより好ましい。また、有機アミン塩としては、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩や、トリエチルアミン塩等のアルキルアミン塩がより好ましい。
上記(メタ)アクリル酸系モノマーとは、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基、又は、これらの基における水素原子が他の原子若しくは原子団に置き換わった基の少なくとも1つの基を有し、かつ、該基中のカルボニル基をもつカルボン酸基(−COOH基)又はその酸無水物基(−C(=O)−O−C(=O)−基)を有するモノマーである。
上記その他の共重合可能な不飽和結合含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸系モノマー以外の(メタ)アクリル系モノマー、芳香環及び共重合可能な不飽和結合を含有するモノマー等が挙げられる。
すなわち、(メタ)アクリル系ポリマーが、スチレンを含むモノマー成分から得られたスチレン(メタ)アクリル系ポリマーであることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。このような形態によって、コストを削減しつつ本発明の効果を充分に発揮することができる。
上記エマルションポリマーのうち少なくとも1種が2種以上のポリマー鎖が複合化したエマルションポリマーであると、実用温度範囲内の幅広い範囲における制振性に優れる。特に高温域においても、他の形態の制振材用樹脂組成物と比較して優れた制振性を発揮し、その結果、実用温度範囲内において、常温から高温域まで幅広い範囲に渡って制振性能を発揮することができる。
なお、上記コア・シェル複合構造においては、コア部の表面がシェル部によって被覆された形態であることが好ましい。この場合、コア部の表面は、シェル部によって完全に被覆されていることが好適であるが、完全に被覆されていなくてもよく、例えば、網目状に被覆されている形態や、所々においてコア部が露出している形態であってもよい。
なお、Tgは、後述する実施例に記載の方法により算出することができる。また、本発明に係るエマルションポリマーの少なくとも1種が多段重合して得られるものである場合(例えば、コア部とシェル部とを有するエマルション粒子である場合)は、上記ガラス転移温度は、全ての段で用いたモノマー組成から算出したTg(トータルTg)を意味する。
また他方のポリマー鎖(例えば、シェル部のポリマー鎖)のガラス転移温度は、−30〜30℃であることが好ましい。より好ましくは、−20〜20℃である。
また一方のポリマー鎖と他方のポリマー鎖とのガラス転移温度の差は、5〜60℃であることが好ましい。このようにガラス転移温度に差を設けることにより、例えば、制振材用途に適用したときに、幅広い温度領域下でより高い制振性を発現させることが可能となり、特に実用的範囲である20〜60℃域での制振性がより向上されることとなる。ガラス転移温度の差は、より好ましくは10〜50℃であり、更に好ましくは20〜40℃である。
なお、重量平均分子量(Mw)は、GPCを用い、後述する実施例に記載の条件により測定することができる。
上記平均粒子径がこの範囲にあるエマルション粒子を用いることにより、制振材に要求される塗工性等の基本性能を充分なものとした上で、制振性をより優れたものとすることができる。エマルション粒子の平均粒子径は、より好ましくは400nm以下であり、更に好ましくは350nm以下である。また、平均粒子径は、好ましくは100nm以上である。
エマルション粒子の平均粒子径は後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本明細書中、pHは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本明細書中、粘度は、後述する実施例に記載の条件により測定することができる。
なお、固形分とは、水系溶媒等の溶媒以外の成分を意味する。
本発明の制振材用樹脂組成物は、例えば、その他の成分として本発明に係る化合物以外の乳化剤を含んでもよい。本発明に係る化合物以外の乳化剤としては、例えば特開2014−52024号公報に記載の乳化剤を使用できる。また、本発明の制振材用樹脂組成物は、その他の成分として後述する塗料に配合する分散剤、増粘剤等の全部又は一部を含んでいてもよい。
その他の成分を含む場合、本発明の制振材用樹脂組成物の固形分100質量%中、その他の成分の割合は、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下である。なお、ここでいうその他の成分とは、本発明の制振材用樹脂組成物を塗布し、加熱乾燥した後も塗膜中に残る不揮発分(固形分)のことを意味し、溶媒等の揮発成分は含まれない。
上記溶媒の含有量は、本発明の制振材用樹脂組成物全体100質量%中、3質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましく、30質量%以上であることが特に好ましい。また、該溶媒の含有量は、97質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが更に好ましい。
本発明はまた、本発明の制振材用樹脂組成物及び顔料を含む塗料でもある。
本発明の塗料が含む制振材用樹脂組成物の好ましいものは、上述した本発明の制振材用樹脂組成物の好ましいものと同様である。
本発明の塗料の固形分100質量%中、エマルションポリマーの原料として用いられた全モノマー成分、及び、本発明に係る化合物の合計固形分は、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。また、エマルションポリマーの原料として用いられた全モノマー成分、及び、本発明に係る化合物の合計固形分は、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
上記顔料は、平均粒子径が1〜50μmのものが好ましい。顔料の平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置により測定することができ、粒度分布からの重量50%径の値である。
上記顔料の配合量としては、エマルションポリマーの原料として用いられた全モノマー成分100質量%に対し、10〜900質量%とすることが好ましく、より好ましくは200〜800質量%であり、更に好ましくは300〜500質量%である。
上記分散剤としては、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム等の無機質分散剤、及び、ポリカルボン酸系分散剤等の有機質分散剤が挙げられる。
上記分散剤の配合量としては、エマルションポリマーの原料として用いられた全モノマー成分100質量%に対し、固形分で0.1〜8質量%が好ましく、0.5〜6質量%がより好ましく、1〜3質量%が更に好ましい。
上記増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリカルボン酸系樹脂等が挙げられる。
上記増粘剤の配合量としては、エマルションポリマーの原料として用いられた全モノマー成分100質量%に対し、固形分で0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜4質量%がより好ましく、0.3〜2質量%が更に好ましい。
なお、上記顔料、分散剤、増粘剤、及び、他の成分は、例えば、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、スパイラルミキサー、ニーダー、ディゾルバー等を用いて、本発明に係るポリマーエマルションやアルキルベンゼンスルホン酸(塩)及び/又はアルキル硫酸エステル(塩)、感熱ゲル化剤等と混合され得る。
本発明の塗料は、発泡剤として機能する本発明に係る化合物を含有するため、上記加熱膨張カプセル型発泡剤の含有量を2質量%以下としたり、より少なくしたりすることにより、発泡剤が過剰となって塗膜の形状維持が困難になることを充分に防止でき、塗膜外観をより優れたものとすることができる。
本発明は更に、本発明の塗料を用いて得られる塗膜でもある。
本発明の塗膜を得るために用いられる塗料の好ましいものは、上述した本発明の塗料の好ましいものと同様である。
また、塗膜を上記温度にする時間は、1〜300分であることが好ましい。より好ましくは、2〜250分であり、特に好ましくは、10〜150分である。
損失係数は、通常ηで表され、塗膜に対して与えた振動がどの程度減衰したかを示すものである。上記損失係数は、数値が高いほど制振性能に優れていることを示す。
上記損失係数は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
<平均粒子径>
エマルション粒子の平均粒子径は動的光散乱法による粒度分布測定器(大塚電子株式会社FPAR−1000)を用い測定した。
<不揮発分(N.V.)>
得られたエマルション約1gを秤量、熱風乾燥機で150℃×1時間後、乾燥残量を不揮発分として、乾燥前質量に対する比率を質量%で表示した。
<pH>
pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)により25℃での値を測定した。
<粘度>
B型回転粘度計(東機産業社製「VISCOMETER TUB−10」)を用いて、25℃、20rpmの条件下で測定した。
以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定する。
ポリマーのTgは、各段で用いたモノマー組成から、下記計算式(1)を用いて算出した。
上記計算式(1)により重合性モノマー成分のガラス転移温度(Tg)を算出するのに使用したそれぞれのホモポリマーのTg値を下記に示した。
メチルメタクリレート(MMA):105℃
スチレン(St):100℃
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):−70℃
ブチルアクリレート(BA):−56℃
アクリル酸(AA):95℃
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管、及び、滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水344.5部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート520部、2−エチルヘキシルアクリレート130.0部、ブチルアクリレート340部、アクリル酸10.0部、t−ドデシルメルカプタン2.0部、予め20%水溶液に調整したα−オレフィンスルホン酸(塩)(予め20%水溶液に調整したネオゲンAO−90〔第一工業製薬社製〕)180.0部及び脱イオン水156.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を75℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの27.0部、5%過硫酸カリウム水溶液5部、及び、2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。40分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を210分にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液95部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液90部を210分かけて均一に滴下し、滴下終了後60分同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、この反応液に2−ジメチルエタノールアミン16.7部を添加し、不揮発分55.1%、pH8.2、粘度450mPa・s、粒子径190nm(粒度分布23%)、重量平均分子量101000のアクリル系エマルション(エマルション1)を得た。
製造例1の単量体乳化物の仕込みにおいて、予め20%水溶液に調整したα−オレフィンスルホン酸(塩)(予め20%水溶液に調整したネオゲンAO−90〔第一工業製薬社製〕)180.0部の代わりに予め20%水溶液に調整したα−オレフィンスルホン酸(塩)(予め20%水溶液に調整したリポランPJ−400CJ〔ライオン社製〕)180.0部を用いた以外は、製造例1と同様の操作を行い、不揮発分54.9%、ガラス転移温度4.0℃、pH8.1、粘度370mPa・s、平均粒子径220nm、重量平均分子量108000のアクリル系エマルション(エマルション2)を得た。
製造例1の単量体乳化物の仕込みにおいて、予め20%水溶液に調整したα−オレフィンスルホン酸(塩)(予め20%水溶液に調整したネオゲンAO−90〔第一工業製薬社製〕)180.0部の代わりに予め20%水溶液に調整したアルカンスルホン酸(塩)(予め20%水溶液に調整したラテムルPS〔花王社製〕)180.0部を用いた以外は、製造例1と同様の操作を行い、不揮発分55.0%、ガラス転移温度4.0℃、pH8.0、粘度350mPa・s、平均粒子径210nm、重量平均分子量105000のアクリル系エマルション(エマルション3)を得た。
製造例1の単量体乳化物の仕込みにおいて、予め20%水溶液に調整したα−オレフィンスルホン酸(塩)(予め20%水溶液に調整したネオゲンAO−90〔第一工業製薬社製〕)180.0部の代わりに予め20%水溶液に調整したアルキルリン酸エステル(塩)(予め20%水溶液に調整したNIKKOL SLP−N〔日光ケミカルズ社製〕)180.0部を用いた以外は、製造例1と同様の操作を行い、不揮発分55.0%、ガラス転移温度4.0℃、pH8.2、粘度480mPa・s、平均粒子径180nm、重量平均分子量99000のアクリル系エマルション(エマルション4)を得た。
製造例1の単量体乳化物の仕込みにおいて、予め20%水溶液に調整したα−オレフィンスルホン酸(塩)(予め20%水溶液に調整したネオゲンAO−90〔第一工業製薬社製〕)180.0部の代わりに予め20%水溶液に調整したアルキルリン酸エステル(塩)(予め20%水溶液に調整したプライサーフDBS〔第一工業製薬社製〕)180.0部及び予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(予め20%水溶液に調整したレベノールWX〔花王社製〕)100.0部を用いた以外は、製造例1と同様の操作を行い、不揮発分54.9%、ガラス転移温度4.0℃、pH8.2、粘度300mPa・s、平均粒子径250nm、重量平均分子量107000のアクリル系エマルション(エマルション5)を得た。
製造例1の単量体乳化物の仕込みにおいて、予め20%水溶液に調整したα−オレフィンスルホン酸(塩)(予め20%水溶液に調整したネオゲンAO−90〔第一工業製薬社製〕)180.0部の代わりに予め20%水溶液に調整した脂肪酸(塩)(予め20%水溶液に調整したOSソープ〔花王社製〕)180.0部を用いた以外は、製造例1と同様の操作を行い、不揮発分55.0%、ガラス転移温度4.0℃、pH8.1、粘度500mPa・s、平均粒子径175nm、重量平均分子量110000のアクリル系エマルション(エマルション6)を得た。
製造例1の単量体乳化物の仕込みにおいて、メチルメタクリレート520部の代わりに、スチレン520部を用いた以外は、製造例1と同様の操作を行い、不揮発分54.8%、ガラス転移温度4.0℃、pH8.2、粘度420mPa・s、平均粒子径210nm、重量平均分子量99000のアクリル系エマルション(エマルション7)を得た。
製造例7の単量体乳化物の仕込みにおいて、予め20%水溶液に調整したα−オレフィンスルホン酸(塩)(予め20%水溶液に調整したネオゲンAO−90〔第一工業製薬社製〕)180.0部の代わりに予め20%水溶液に調整したα−オレフィンスルホン酸(塩)(予め20%水溶液に調整したリポランPJ−400CJ〔ライオン社製〕)180.0部を用いた以外は、製造例7と同様の操作を行い、不揮発分55.0%、ガラス転移温度4.0℃、pH8.1、粘度360mPa・s、平均粒子径230nm、重量平均分子量98000のアクリル系エマルション(エマルション8)を得た。
製造例7の単量体乳化物の仕込みにおいて、予め20%水溶液に調整したα−オレフィンスルホン酸(塩)(予め20%水溶液に調整したネオゲンAO−90〔第一工業製薬社製〕)180.0部の代わりに予め20%水溶液に調整したアルカンスルホン酸(塩)(予め20%水溶液に調整したラテムルPS〔花王社製〕)180.0部を用いた以外は、製造例7と同様の操作を行い、不揮発分54.9%、ガラス転移温度4.0℃、pH8.0、粘度350mPa・s、平均粒子径220nm、重量平均分子量100000のアクリル系エマルション(エマルション9)を得た。
製造例7の単量体乳化物の仕込みにおいて、予め20%水溶液に調整したα−オレフィンスルホン酸(塩)(予め20%水溶液に調整したネオゲンAO−90〔第一工業製薬社製〕)180.0部の代わりに予め20%水溶液に調整したアルキルリン酸エステル(塩)(予め20%水溶液に調整したNIKKOL SLP−N〔日光ケミカルズ社製〕)180.0部を用いた以外は、製造例7と同様の操作を行い、不揮発分55.2%、ガラス転移温度4.0℃、pH8.0、粘度410mPa・s、平均粒子径200nm、重量平均分子量107000のアクリル系エマルション(エマルション10)を得た。
製造例7の単量体乳化物の仕込みにおいて、予め20%水溶液に調整したα−オレフィンスルホン酸(塩)(予め20%水溶液に調整したネオゲンAO−90〔第一工業製薬社製〕)180.0部の代わりに予め20%水溶液に調整したアルキルリン酸エステル(塩)(予め20%水溶液に調整したプライサーフDBS〔第一工業製薬社製〕)180.0部及び予め20%水溶液に調整した乳化剤(商品名:レベノールWX、花王社製)100.0部を用いた以外は、製造例7と同様の操作を行い、不揮発分55.0%、ガラス転移温度4.0℃、pH8.1、粘度350mPa・s、平均粒子径260nm、重量平均分子量105000のアクリル系エマルション(エマルション11)を得た。
製造例7の単量体乳化物の仕込みにおいて、予め20%水溶液に調整したα−オレフィンスルホン酸(塩)(予め20%水溶液に調整したネオゲンAO−90〔第一工業製薬社製〕)180.0部の代わりに予め20%水溶液に調整した脂肪酸(塩)(予め20%水溶液に調整したOSソープ〔花王社製〕)180.0部を用いた以外は、製造例7と同様の操作を行い、不揮発分55.0%、ガラス転移温度4.0℃、pH8.1、粘度400mPa・s、平均粒子径205nm、重量平均分子量112000のアクリル系エマルション(エマルション12)を得た。
製造例1の単量体乳化物の仕込みにおいて、予め20%水溶液に調整したα−オレフィンスルホン酸(塩)(予め20%水溶液に調整したネオゲンAO−90〔第一工業製薬社製〕)180.0部の代わりに予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(予め20%水溶液に調整したレベノールWX〔花王社製〕)180.0部を用いた以外は、製造例1と同様の操作を行い、ガラス転移温度4.0℃、pH8.3、粘度520mPa・s、平均粒子径190nm、重量平均分子量104000のアクリル系エマルション(エマルション13)を得た。
・エマルション1〜13の原料モノマー 固形分で1000部*1
・炭酸カルシウムNN#200*2 3137部
・分散剤 アクアリックDL−40S*3 30部
・増粘剤 アクリセットWR−650*4 20部
・消泡剤 ノプコ8034L*5 5部
・発泡剤 F−30*6 表1に記載
*1:エマルションポリマーの原料として用いられた全モノマー成分が固形分で1000部となるようにエマルションを配合した。
*2:日東粉化工業株式会社製 充填剤
*3:株式会社日本触媒製 ポリカルボン酸型分散剤(有効成分44%)
*4:株式会社日本触媒製 アルカリ可溶性のアクリル系増粘剤(有効成分30%)
*5:サンノプコ株式会社製 消泡剤(主成分:疎水性シリコーン+鉱物油)
*6:松本油脂社製 加熱膨張カプセル型発泡剤
鋼板(商品名SPCC−SD・幅75mm×長さ150mm×厚み0.8mm、日本テストパネル社製)の上に、作製した塗料を塗布厚みが3mmとなるように塗布した。その後、熱風乾燥機を用いて、150℃で50分間乾燥し、得られた乾燥塗膜の表面状態を以下の基準で評価した。なお、熱風乾燥機を用いた加熱により塗料から発泡が生じた。
○:軽微な塗膜のクラックがわずかに見られる。
〇△:軽微な塗膜のフクレやクラックが所々に見られる。
△:塗膜のフクレやクラックが所々に見られる。
×:塗膜全体にわたってフクレが生じ、はがれ、クラックが見られる。
上記塗料を冷間圧延鋼板(商品名SPCC・幅15mm×長さ250mm×厚み1.5mm、日本テストパネル社製)上に3mmの厚みで塗布して150℃で30分間乾燥し、冷間圧延鋼板上に面密度4.0kg/m2の制振材被膜を形成した。なお、乾燥における加熱により塗料から発泡が生じた。制振性は、それぞれの温度(20℃、30℃、40℃、50℃、60℃)における損失係数を、片持ち梁法(株式会社小野測機製損失係数測定システム)を用いて測定した。また、制振性の評価は、総損失係数(20℃、30℃、40℃、50℃、60℃での損失係数の和)により行い、総損失係数の値が大きいほど制振性に優れるものとした。
なお、実施例5では乳化剤としてアルキルリン酸エステル(塩)であるプライサーフDBS(第一工業製薬社製)及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムであるレベノールWX(花王社製)を併用しており、制振性及び外観が優れるが、乳化剤がα−オレフィンスルホン酸(塩)、アルカンスルホン酸(塩)、アルキルリン酸エステル(塩)、及び、脂肪酸(塩)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物のみからなる実施例1〜4、6においては、外観及び制振性が顕著に優れる。
Claims (6)
- エマルションポリマーと、α−オレフィンスルホン酸(塩)、アルカンスルホン酸(塩)、アルキルリン酸エステル塩、及び、脂肪酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含み、
該アルカンスルホン酸(塩)は、第二級アルキル基又は第三級アルキル基を有し、
該アルキルリン酸エステル塩は、一般式(3):
該脂肪酸塩は、一般式(4):
R 4 COOM 4 (4)
(式中、R 4 は、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。M 4 は、金属原子を表す。)で表される脂肪酸塩である
ことを特徴とする制振材用樹脂組成物。 - 前記化合物は、炭素数4以上の炭化水素基を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の制振材用樹脂組成物。 - 前記エマルションポリマーは、カルボン酸(塩)基をもつモノマー単位を有するポリマーを含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制振材用樹脂組成物。 - 前記エマルションポリマーは、(メタ)アクリル系ポリマーを含む
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の制振材用樹脂組成物。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の制振材用樹脂組成物、及び、顔料を含む
ことを特徴とする塗料。 - 請求項5に記載の塗料を用いて得られる
ことを特徴とする塗膜。
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