JP6749130B2 - 加熱発泡性エマルション組成物 - Google Patents
加熱発泡性エマルション組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6749130B2 JP6749130B2 JP2016073686A JP2016073686A JP6749130B2 JP 6749130 B2 JP6749130 B2 JP 6749130B2 JP 2016073686 A JP2016073686 A JP 2016073686A JP 2016073686 A JP2016073686 A JP 2016073686A JP 6749130 B2 JP6749130 B2 JP 6749130B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- emulsion
- polymer
- mass
- heat
- present
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Vibration Prevention Devices (AREA)
- Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
Description
ところで近年においては、新たな機能の一つとして制振性が注目され、エマルション組成物が制振材用途等にも使用されている。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の加熱発泡性エマルション組成物が上記界面活性剤成分を含むとは、エマルションポリマーが乳化重合により得られるものであって、乳化重合時に該成分の全部を用いることで、該組成物が該成分を含むものであってもよく、乳化重合時に該成分の一部を用い、得られたエマルションポリマーに該成分の残部を添加することで、該組成物が該成分を含むものであってもよく、乳化重合以外の方法で重合されたポリマーに該成分が作用してエマルションポリマーを形成することで、該組成物が該成分を含むものであってもよい。中でも、本発明の効果を顕著なものとする観点からは、本発明の加熱発泡性エマルション組成物が、エマルションポリマーが乳化重合により得られるものであって、該乳化重合時に該成分の全部又は一部を用いることで、該組成物が該成分を含むものであることが好ましい。また、乳化重合時に該成分を用いる場合、該成分は、通常の界面活性剤(エマルションポリマーとは別の化合物)であってもよく、エマルションポリマーを形成するポリマーの一部を構成する構成単位であってもよいが、エマルションポリマーとは別の化合物であることがより好ましい。
なお、本明細書中、エマルションポリマーとは、加熱発泡性エマルション組成物中においてエマルション粒子を形成するポリマーを言う。
本発明の加熱発泡性エマルション組成物を用いて外観に優れるとともに制振材用途に用いられた場合に制振性を発揮できる塗膜を好適に得ることができる理由は、以下のように考えられる。従来、例えば制振材用塗料には炭酸カルシウム等の顔料、増粘剤、分散剤、加熱膨張カプセル型発泡剤等の発泡剤を混合していて、加熱乾燥によりエマルション中の水等の揮発成分を蒸発させるが、該発泡剤を一定量添加しないと塗膜にフクレが生じる。これは、上述したように、塗膜内部から揮発成分が全て蒸発する前に塗膜表面から揮発成分が蒸発し乾燥膜を形成することで塗膜内部の揮発成分の蒸発経路が塞がれ、塗膜内部に残った揮発成分の蒸気により該乾燥膜が持ち上げられるためであると考えられる。該発泡剤は熱膨張して揮発成分の蒸発経路を形成することで蒸気を抜けやすくし、フクレを防止する。
本発明の加熱発泡性エマルション組成物は、特定のエマルションポリマー及び特定の界面活性剤成分を含むことで、加熱膨張カプセル型発泡剤を減量又はゼロにしてもフクレが抑制された外観良好な塗膜を得ることが出来る。この理由は、本発明の加熱発泡性エマルション組成物が、上記エマルションポリマー及び上記界面活性剤成分を含むことにより、加熱乾燥時に生じる泡を安定化するとともにその形状を適切に保持することができ、該泡が塗膜表面の膜において蒸発経路を好適に形成して、加熱継続下でも水抜け性が維持されることから、良好な塗膜外観が得られるためであると推定される。また、このようにして得られる塗膜は、多孔構造を有するため、幅広い温度領域での優れた制振性を発揮できる。
本発明の加熱発泡性エマルション組成物は、界面活性剤成分を含み、該界面活性剤成分は、その1.0質量%水溶液における55℃でのラメラ長が20℃でのラメラ長よりも大きい。
本明細書中、ラメラ長とは、液体膜がどれだけ伸びるかを示す指標を言う。白金リング(リング直径14.54mm、リング線材直径0.40mm)を、液体に浸漬した後、垂直方向に引き上げて、リングと液体面との間に形成された液体膜による応力が最大になってから液体膜が切れるまでのリングの引き上げ距離をラメラ長として測定することができる。
ラメラ長の詳しい測定条件は、実施例において後述する通りである。
なお、本発明の加熱発泡性エマルション組成物が2種以上の界面活性剤成分を含む場合は、エマルション組成物に含まれる界面活性剤成分の質量比と同じ質量比で混合された界面活性剤成分の混合物について、その1.0質量%水溶液におけるラメラ長を測定すればよい。
なお、界面活性剤成分の中でも、高温条件下で粘度が高いものや、一般的に泡の形状保持性が良好なもの(例えば、後述する界面活性剤成分のうち好ましいもの)を選択することで、その1.0質量%水溶液における55℃でのラメラ長や、55℃でのラメラ長と20℃でのラメラ長との差を好適に制御することができる。
上記アニオン系界面活性剤としては、例えば脂肪酸(塩)、アルキルエーテルカルボン酸(塩)、N−アシルアミノ酸(塩)、アルカンスルホン酸(塩)、α−オレフィンスルホン酸(塩)、α−スルホアルキルエステル(塩)、アルキルベンゼンスルホン酸(塩)、アルキルスルホコハク酸(塩)、アシルイセチオン酸(塩)、N−アシル−N−アルキルタウリン(塩)、アルキル硫酸エステル(塩)、アルキルエーテル硫酸エステル(塩)、アルキルリン酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル(塩)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等が好適なものとして挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。中でも、アルキルスルホコハク酸(塩)が好ましい。
スルホコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤の市販品としては、ラテムルS−120、S−120A、S−180及びS−180A(いずれも商品名、花王社製)、エレミノールJS−20(商品名、三洋化成工業社製)等が挙げられる。
アルケニルコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤の市販品としては、ラテムルASK(商品名、花王社製)等が挙げられる。
更に、本発明に係るラメラ長の条件を満たす限り、アニオン系界面活性剤として、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸(塩)等を使用することも可能である。
また本発明の加熱発泡性エマルション組成物中の界面活性剤(エマルションポリマーとは別の化合物)の好ましい含有量が、上述した界面活性剤成分の好ましい含有量の範囲内であることもまた、本発明の加熱発泡性エマルション組成物における好ましい形態の1つである。なお、この好ましい形態において、本発明の加熱発泡性エマルション組成物中に、界面活性剤とは別に、界面活性剤成分がエマルションポリマーの構成単位として含まれていても構わない。
本発明の加熱発泡性エマルション組成物中の界面活性剤の含有量は、加熱乾燥後の塗膜から抽出した成分を高速液体クロマトグラフで分析することにより求めることができる。なお、重合時に反応性の炭素−炭素不飽和結合を有する界面活性剤を用いた場合も、エマルションポリマーの構成単位となっていないものについては分析することが可能である。
本発明の加熱発泡性エマルション組成物は、モノマー成分を重合してなるエマルションポリマーを含む。中でも、本発明の加熱発泡性エマルション組成物は、モノマー成分を乳化重合してなるエマルションポリマーを含むことが好ましい。
上記エマルションポリマーは、動的粘弾性を測定した場合の70℃、1Hzでの貯蔵弾性率が5.0×103Pa以上である。塗膜外観及び制振性をより良好なものとする観点からは、該貯蔵弾性率は、1.0×104Pa以上であることが好ましく、1.6×104Pa以上であることがより好ましく、2.2×104Pa以上であることが更に好ましく、特に制振性を優れたものとする観点からは、4.0×104Pa以上であることが特に好ましく、4.5×104Pa以上であることが最も好ましい。
上記貯蔵弾性率は、実施例において後述する方法により測定されるものである。
なお、エマルションポリマーの重量平均分子量や組成、ガラス転移温度を調整することで、上記貯蔵弾性率を制御することができる。
なお、重量平均分子量(Mw)は、GPCを用い、後述する実施例に記載の条件により測定することができる。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、後述する実施例に記載の方法により算出することができる。また、本発明に係るエマルションポリマーの少なくとも1種が多段重合して得られるものである場合(例えば、コア部とシェル部とを有するエマルション粒子である場合)は、上記ガラス転移温度は、全ての段で用いたモノマー組成から算出したTg(トータルTg)を意味する。
また他方のポリマー鎖(例えば、シェル部のポリマー鎖)のガラス転移温度は、−30〜30℃であることが好ましい。より好ましくは、−20〜20℃である。
また一方のポリマー鎖と他方のポリマー鎖とのガラス転移温度の差は、5〜60℃であることが好ましい。このようにガラス転移温度に差を設けることにより、例えば、制振材用途に適用したときに幅広い温度領域下でより高い制振性を発現させることが可能となり、特に実用的範囲である20〜60℃域での制振性がより向上される。ガラス転移温度の差は、より好ましくは10〜50℃であり、更に好ましくは20〜40℃である。
上記カルボン酸塩基の塩は、金属塩、アンモニウム塩、又は、有機アミン塩であることが好ましい。金属塩を形成する金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の1価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等の2価の金属原子;アルミニウム、鉄等の3価の金属原子が好適である。また、有機アミン塩を形成する有機アミンとしては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンや、トリエチルアミンが好適である。
上記(メタ)アクリル酸系モノマー以外の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基、又は、これらの基における水素原子が他の原子若しくは原子団に置き換わった基を有し、かつ、該基がカルボン酸エステル基をもつモノマー又はそのようなモノマーの誘導体が挙げられる。
すなわち、(メタ)アクリル酸系ポリマーが、スチレンを含むモノマー成分から得られたスチレン(メタ)アクリル酸系ポリマーであることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。このような形態によって、コストを削減しつつ本発明の効果を充分に発揮することができる。
コア・シェル複合構造を有するエマルションは、制振材用途に用いた場合に、常温から高温域まで幅広い範囲に渡って優れた制振性を発揮することができる。なお、上記コア・シェル複合構造においては、コア部の表面がシェル部によって被覆された形態であることが好ましい。この場合、コア部の表面は、シェル部によって完全に被覆されていることが好適であるが、完全に被覆されていなくてもよく、例えば、網目状に被覆されている形態や、所々においてコア部が露出している形態であってもよい。
上記平均粒子径がこの範囲にあるエマルション粒子を用いることにより、塗膜外観、塗工性等の基本性能を充分なものとすることができ、制振材用途に用いる場合には制振性をより優れたものとすることができる。エマルション粒子の平均粒子径は、より好ましくは400nm以下であり、更に好ましくは350nm以下である。また、平均粒子径は、好ましくは100nm以上である。
エマルション粒子の平均粒子径は後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、ここでいう固形分とは、エマルションに含まれる水系溶媒等の溶媒以外の成分を意味する。
本明細書中、pHは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本明細書中、粘度は、後述する実施例に記載の条件により測定することができる。
なお、固形分とは、水系溶媒等の溶媒以外の成分を意味する。
その他の成分を含む場合、本発明の加熱発泡性エマルション組成物全体に対して、その他の成分の割合は、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下である。なお、ここでいうその他の成分とは、本発明の加熱発泡性エマルション組成物を塗布し、加熱乾燥した後も塗膜中に残る不揮発分(固形分)のことを意味し、水系溶媒等の揮発成分は含まれない。
上記溶媒の含有量は、本発明の加熱発泡性エマルション組成物100質量%中、3質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましく、30質量%以上であることが特に好ましい。また、該溶媒の含有量は、97質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが更に好ましい。
本発明はまた、本発明の加熱発泡性エマルション組成物及び顔料を含む塗料でもある。
本発明の塗料が含む加熱発泡性エマルション組成物の好ましいものは、上述した本発明の加熱発泡性エマルション組成物の好ましいものと同様である。
本発明の塗料の固形分100質量%中、加熱発泡性エマルション組成物の固形分は、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。また、該加熱発泡性エマルション組成物の固形分は、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましい。
上記顔料は、平均粒子径が1〜50μmのものが好ましい。顔料の平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置により測定することができ、粒度分布からの重量50%径の値である。
上記顔料の配合量としては、本発明の塗料中の樹脂の固形分100質量部に対し、10〜900質量部とすることが好ましく、より好ましくは200〜800質量部であり、更に好ましくは300〜500質量部である。
上記分散剤としては、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の無機質分散剤、及び、ポリカルボン酸系分散剤等の有機質分散剤が挙げられる。
上記分散剤の配合量としては、本発明の塗料中の樹脂の固形分100質量部に対し、固形分で0.1〜8質量部が好ましく、0.5〜6質量部がより好ましく、1〜3質量部が更に好ましい。
上記増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリカルボン酸系樹脂等が挙げられる。
上記増粘剤の配合量としては、本発明の塗料中の樹脂の固形分100質量部に対し、固形分で0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜4質量部がより好ましく、0.3〜2質量部が更に好ましい。
なお、上記顔料、分散剤、増粘剤、及び、その他の成分は、例えば、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、スパイラルミキサー、ニーダー、ディゾルバー等を用いて、本発明に係るポリマーエマルションや架橋剤等と混合され得る。
本発明の塗料は、特定のエマルションポリマー及び特定の界面活性剤成分を含有するため、上記加熱膨張カプセル型発泡剤の含有量を2質量%以下としたり、より少なくしたりすることにより、発泡剤が過剰となって塗膜の形状維持が困難になることを充分に防止でき、塗膜外観をより優れたものとすることができる。
本発明は更に、本発明の塗料を用いて得られる塗膜でもある。
本発明の塗膜を得るために用いられる塗料の好ましいものは、上述した本発明の塗料の好ましいものと同様である。
本発明はそして、モノマー成分を重合してなるエマルションポリマー、界面活性剤成分、及び、顔料を含む塗料を加熱することにより、該塗料を発泡させて得られる塗膜でもある。
以下では、本発明の塗膜の好ましい形態について説明する。
また、塗膜を上記温度にする時間は、1〜300分であることが好ましい。より好ましくは、2〜250分であり、特に好ましくは、10〜150分である。
損失係数は、通常ηで表され、塗膜に対して与えた振動がどの程度減衰したかを示すものである。上記損失係数は、数値が高いほど制振性に優れていることを示す。
上記損失係数は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
<貯蔵弾性率>
ティー・エー・インスツルメント・ジャパン株式会社製レオメータ ARES−G2を用い、直径8mmのパラレルプレートで動的粘弾性測定を行った。測定条件としては、70℃の周波数依存性(0.1−100Hz)を測定し、1Hzにおける貯蔵弾性率(G’)を求めた。
<ラメラ長>
ラメラ長の測定方法としては、リング線材直径0.40mm、リング直径14.54mmの白金リングを使用し、表面張力計(協和界面科学株式会社製DY−500)により、ステージ上下速度1.0mm/秒、プリウェットステージ上下速度1.0mm/秒、プリウェット浸漬距離2.50mm、プリウェット浸漬時間2秒で、予め所定の温度、界面活性剤濃度に調整した液体のラメラ長を測定した。
<平均粒子径>
エマルション粒子の平均粒子径は動的光散乱法による粒度分布測定器(大塚電子株式会社FPAR−1000)を用い測定した。
<不揮発分(N.V.)>
得られたエマルション約1gを秤量、熱風乾燥機で150℃×1時間後、乾燥残量を不揮発分として、乾燥前質量に対する比率を質量%で表示した。
<pH>
pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)により25℃での値を測定した。
<粘度>
B型回転粘度計(東機産業社製「VISCOMETER TUB−10」)を用いて、25℃、20rpmの条件下で測定した。
以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定する。
ポリマーのTgは、各段で用いたモノマー組成から、下記計算式(1)を用いて算出した。
上記計算式(1)により重合性モノマー成分のガラス転移温度(Tg)を算出するのに使用したそれぞれのホモポリマーのTg値を下記に示した。
メチルメタクリレート(MMA):105℃
スチレン(St):100℃
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):−70℃
ブチルアクリレート(BA):−56℃
アクリル酸(AA):95℃
ポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホサクシネート・ジナトリウム塩は、下記式(i):
式中、nは、平均付加モル数を表す。本明細書中、n=9の化合物は(ii)−<1>とも表される。
スルホコハク酸N−アルキルモノアミドジナトリウムは、下記式(iii):
ネオペレックスG−65(商品名、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:花王社製)
ニューコール707SF(商品名、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル・硫酸エステル塩:日本乳化剤株式会社製)
レベノールWX(商品名、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム:花王社製)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水280.7部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート520部、2−エチルヘキシルアクリレート160部、ブチルアクリレート310部、アクリル酸10.0部、重合連鎖移動剤であるt−ドデシルメルカプタン(t−DMとも言う)2.0部、予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホサクシネート・ジナトリウム塩(i)−<1>180.0部及び脱イオン水183.0部からなるモノマー乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を75℃に維持しながら、上記モノマー乳化物のうちの27.0部、重合開始剤(酸化剤)である5%過硫酸カリウム水溶液5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。40分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りのモノマー乳化物を210分にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液95部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液90部を210分かけて均一に滴下し、滴下終了後60分同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、2−ジメチルエタノールアミン16.7部、脱イオン水39部を添加し、不揮発分55.0%、ガラス転移温度3℃、pH8.0、粘度200mPa・s、平均粒子径230nm、重量平均分子量102000のアクリル系エマルション(樹脂組成物1)を得た。
実施例1のモノマー乳化物の仕込みにおいて、メチルメタクリレート520部の代わりにスチレン520部を用い、2−エチルヘキシルアクリレートの量を160部から130部に変更し、ブチルアクリレートの量を310部から340部に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、不揮発分55.1%、ガラス転移温度3℃、pH7.8、粘度250mPa・s、平均粒子径200nm、重量平均分子量95000のアクリル系エマルション(樹脂組成物2)を得た。
実施例1のモノマー乳化物の仕込みにおいて、予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホサクシネート・ジナトリウム塩(i)−<1>180.0部の代わりに予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホコハク酸半エステル塩(ii)−<1>180.0部を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、不揮発分55.0%、ガラス転移温度3℃、pH8.1、粘度300mPa・s、平均粒子径230nm、重量平均分子量103000のアクリル系エマルション(樹脂組成物3)を得た。
実施例3のモノマー乳化物の仕込みにおいて、t−DMの量を2.0部から1.0部に変更した以外は、実施例3と同様の操作を行い、不揮発分55.0%、ガラス転移温度3℃、pH8.1、粘度350mPa・s、平均粒子径210nm、重量平均分子量417000のアクリル系エマルション(樹脂組成物4)を得た。
実施例3のモノマー乳化物の仕込みにおいて、t−DMの量を2.0部から5.0部に変更した以外は、実施例3と同様の操作を行い、不揮発分55.0%、ガラス転移温度3℃、pH8.1、粘度250mPa・s、平均粒子径220nm、重量平均分子量42000のアクリル系エマルション(樹脂組成物5)を得た。
実施例1のモノマー乳化物の仕込みにおいて、予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホサクシネート・ジナトリウム塩(i)−<1>180.0部の代わりに予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホサクシネート・ジナトリウム塩(i)−<1>50.0部及び予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホコハク酸半エステル塩(ii)−<1>130.0部を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、不揮発分55.1%、ガラス転移温度3℃、pH8.1、粘度300mPa・s、平均粒子径200nm、重量平均分子量115000のアクリル系エマルション(樹脂組成物6)を得た。
実施例1のモノマー乳化物の仕込みにおいて、予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホサクシネート・ジナトリウム塩(i)−<1>180.0部の代わりに予め20%水溶液に調整したスルホコハク酸N−アルキルモノアミドジナトリウム(iii)180.0部を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、不揮発分54.5%、ガラス転移温度3℃、pH8.0、粘度300mPa・s、平均粒子径210nm、重量平均分子量97000のアクリル系エマルション(樹脂組成物7)を得た。
実施例1のモノマー乳化物の仕込みにおいて、予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホサクシネート・ジナトリウム塩(i)−<1>180.0部の代わりに予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホサクシネート・ジナトリウム塩(i)−<1>60.0部及び予め20%水溶液に調整したニューコール707SF(商品名、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル・硫酸エステル塩:日本乳化剤株式会社製)120.0部を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、不揮発分55.0%、ガラス転移温度3℃、pH8.0、粘度200mPa・s、平均粒子径250nm、重量平均分子量103000のアクリル系エマルション(樹脂組成物8)を得た。
実施例1のモノマー乳化物の仕込みにおいて、滴下ロートにメタクリル酸メチル515部、2−エチルヘキシルアクリレート160部、ブチルアクリレート310部、アクリル酸10.0部、アクリロニトリル5部、t−DM2.0部、予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホコハク酸半エステル塩(ii)−<1>180.0部及び脱イオン水183.0部を仕込んだ以外は、実施例1と同様の操作を行い、不揮発分55.3%、ガラス転移温度3℃、pH8.2、粘度300mPa・s、平均粒子径190nm、重量平均分子量91000のアクリル系エマルション(樹脂組成物9)を得た。
実施例9のモノマー乳化物の仕込みにおいて、予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホコハク酸半エステル塩(ii)−<1>180.0部の代わりに予め20%水溶液に調整したネオペレックスG−65(商品名、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、固形分濃度65%のネオペレックスG−65を固形分濃度20%に希釈したもの:花王社製)180.0部を用いた以外は、実施例9と同様の操作を行い、不揮発分55.0%、ガラス転移温度3℃、pH8.1、粘度300mPa・s、平均粒子径190nm、重量平均分子量94000のアクリル系エマルション(樹脂組成物10)を得た。
実施例1のモノマー乳化物の仕込みにおいて、滴下ロートにメタクリル酸メチル260部、スチレン260部、2−エチルヘキシルアクリレート130部、ブチルアクリレート340部、アクリル酸10.0部、t−DM10.0部、予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホコハク酸半エステル塩(ii)−<1>180.0部及び脱イオン水183.0部を仕込んだ以外は、実施例1と同様の操作を行い、不揮発分55.0%、ガラス転移温度3℃、pH8.0、粘度250mPa・s、平均粒子径210nm、重量平均分子量25000のアクリル系エマルション(樹脂組成物11)を得た。
実施例1のモノマー乳化物の仕込みにおいて、予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホサクシネート・ジナトリウム塩(i)−<1>180.0部の代わりに予め20%水溶液に調整したレベノールWX(商品名、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム:花王社製)180.0部を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、不揮発分55.2%、ガラス転移温度3℃、pH8.0、粘度300mPa・s、平均粒子径190nm、重量平均分子量101000のアクリル系エマルション(樹脂組成物12)を得た。
実施例10のモノマー乳化物の仕込みにおいて、t−DMの量を2.0部から8.0部に変更した以外は、実施例10と同様の操作を行い、不揮発分55.0%、ガラス転移温度3℃、pH8.2、粘度250mPa・s、平均粒子径210nm、重量平均分子量36000のアクリル系エマルション(樹脂組成物13)を得た。
比較例3のモノマー乳化物の仕込みにおいて、予め20%水溶液に調整したネオペレックスG−65(商品名、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、固形分濃度65%のネオペレックスG−65を固形分濃度20%に希釈したもの:花王社製)180.0部の代わりに予め20%水溶液に調整したポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホコハク酸半エステル塩(ii)−<1>180.0部を用いた以外は、比較例3と同様の操作を行い、不揮発分54.9%、ガラス転移温度3℃、pH8.1、粘度300mPa・s、平均粒子径200nm、重量平均分子量33000のアクリル系エマルション(樹脂組成物14)を得た。
実施例1〜4、参考例1、実施例6〜10の樹脂組成物1〜10、及び、比較例1〜4の樹脂組成物11〜14をそれぞれ下記の通り配合し、塗料を作製し、以下のように各種特性を評価した。結果を表1に示す。
・樹脂組成物1〜14 350部
・炭酸カルシウム NN#200*1 620部
・分散剤 アクアリックDL−40S*2 6部
・増粘剤 アクリセットWR−650*3 4部
*1:日東粉化工業株式会社製 充填剤
*2:株式会社日本触媒製 ポリカルボン酸型分散剤(有効成分44%)
*3:株式会社日本触媒製 アルカリ可溶性のアクリル系増粘剤(有効成分30%)
上記実施例、比較例で得られた塗料について、塗膜の外観評価及び制振性試験を下記方法にて実施した。結果を表1に示す。
鋼板(商品名SPCC−SD・幅75mm×長さ150mm×厚み0.8mm、日本テストパネル社製)の上に、作製した塗料を塗布厚みが3mmとなるように塗布した。その後、熱風乾燥機を用いて、150℃で50分間乾燥し、得られた乾燥塗膜の表面状態を以下の基準で評価した。なお、熱風乾燥機を用いた加熱により塗料から発泡が生じた。
○:異常なし。
〇△:軽微な塗膜のフクレやクラックが所々に見られる。
△:塗膜のフクレやクラックが所々に見られる。
×:塗膜全体にわたってフクレが生じ、はがれ、クラックが見られる。
上記塗料を冷間圧延鋼板(商品名SPCC・幅15mm×長さ250mm×厚み1.5mm、日本テストパネル社製)の上に3mmの厚みで塗布して80℃で30分間予備乾燥後、150℃で30分間乾燥し、冷間圧延鋼板上に面密度4.0Kg/m2の制振材被膜を形成した。なお、予備乾燥、予備乾燥後の乾燥における加熱により塗料から発泡が生じた。
制振性の測定は、それぞれの温度(20℃、30℃、40℃、50℃、60℃)における損失係数を、片持ち梁法(株式会社小野測機製損失係数測定システム)を用いて評価した。また、制振性の評価は、総損失係数(20℃、30℃、40℃、50℃、60℃での損失係数の和)により行い、総損失係数の値が大きいほど制振性に優れるものとした。
Claims (8)
- エマルションポリマーを含む加熱発泡性エマルション組成物であって、
該エマルションポリマーは、(メタ)アクリル系ポリマーからなり、その重量平均分子量が5万以上であり、動的粘弾性を測定した場合の70℃、1Hzでの貯蔵弾性率が、5.0×103Pa以上であり、
該組成物は、更に、界面活性剤成分を含み、
該界面活性剤成分は、その1.0質量%水溶液における55℃でのラメラ長が20℃でのラメラ長よりも大きく、2.0cm以上であり、
塗料に用いられるものである
ことを特徴とする加熱発泡性エマルション組成物。 - 前記エマルションポリマーは、前記貯蔵弾性率が、5.0×105Pa以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の加熱発泡性エマルション組成物。 - 前記エマルションポリマーは、カルボン酸(塩)基をもつモノマー単位を有するポリマーを含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱発泡性エマルション組成物。 - 前記組成物は、制振材に用いられる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加熱発泡性エマルション組成物。 - 前記制振材は、自動車制振材である
ことを特徴とする請求項4に記載の加熱発泡性エマルション組成物。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の加熱発泡性エマルション組成物、及び、顔料を含む
ことを特徴とする塗料。 - 請求項6に記載の塗料を用いて得られる
ことを特徴とする塗膜。 - 塗料を用いて塗膜を製造する方法であって、
請求項1〜5のいずれかに記載の加熱発泡性エマルション組成物、及び、顔料を含む塗料を加熱することにより、該塗料を発泡させて塗膜を得る工程を含むことを特徴とする塗膜の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016073686A JP6749130B2 (ja) | 2016-03-31 | 2016-03-31 | 加熱発泡性エマルション組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016073686A JP6749130B2 (ja) | 2016-03-31 | 2016-03-31 | 加熱発泡性エマルション組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017186388A JP2017186388A (ja) | 2017-10-12 |
JP6749130B2 true JP6749130B2 (ja) | 2020-09-02 |
Family
ID=60045392
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016073686A Active JP6749130B2 (ja) | 2016-03-31 | 2016-03-31 | 加熱発泡性エマルション組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6749130B2 (ja) |
-
2016
- 2016-03-31 JP JP2016073686A patent/JP6749130B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017186388A (ja) | 2017-10-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5485503B2 (ja) | 制振材用エマルション | |
WO2007023821A1 (ja) | 制振材用エマルション | |
JP6637814B2 (ja) | 制振材用樹脂組成物 | |
JP6784768B2 (ja) | 制振塗料用樹脂組成物及びその製造方法 | |
JP5260187B2 (ja) | 制振材用エマルション組成物及び制振材配合物 | |
JP5815233B2 (ja) | 制振材用エマルション樹脂組成物及び制振材 | |
JP6695196B2 (ja) | 加熱発泡性エマルション組成物 | |
JP5284914B2 (ja) | 制振材用樹脂組成物 | |
JP6749130B2 (ja) | 加熱発泡性エマルション組成物 | |
JP7153728B2 (ja) | 制振材用樹脂組成物 | |
JP2009270064A (ja) | 制振材用エマルション組成物 | |
JP5977123B2 (ja) | 制振材 | |
JP2015034275A (ja) | 振動減衰材用樹脂組成物 | |
JP6125799B2 (ja) | 制振材用樹脂組成物 | |
WO2014126212A1 (ja) | 制振材用エマルション組成物 | |
JP7048242B2 (ja) | 制振材用樹脂組成物及びその製造方法 | |
JP6243206B2 (ja) | 振動減衰材用樹脂組成物 | |
JP6640521B2 (ja) | 制振材用樹脂組成物 | |
JP6666103B2 (ja) | 制振材用樹脂組成物 | |
JP5937350B2 (ja) | 制振材用樹脂 | |
JP2015063651A (ja) | 制振材用エマルション組成物 | |
WO2014126159A1 (ja) | 振動減衰材用樹脂組成物 | |
JP2023111304A (ja) | 吸音材用組成物 | |
JP2017048299A (ja) | 制振材用配合物 | |
JP2015196740A (ja) | 加熱乾燥用エマルション組成物、加熱乾燥用塗料及び塗膜 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20181206 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20190828 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20191001 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20191202 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200124 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200721 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200811 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6749130 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |