JP6662048B2 - 両面成膜体製造方法及びその装置 - Google Patents

両面成膜体製造方法及びその装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6662048B2
JP6662048B2 JP2016003256A JP2016003256A JP6662048B2 JP 6662048 B2 JP6662048 B2 JP 6662048B2 JP 2016003256 A JP2016003256 A JP 2016003256A JP 2016003256 A JP2016003256 A JP 2016003256A JP 6662048 B2 JP6662048 B2 JP 6662048B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
forming
web
double
sided
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016003256A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017125222A (ja
Inventor
大上 秀晴
秀晴 大上
道高 麻植
道高 麻植
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2016003256A priority Critical patent/JP6662048B2/ja
Publication of JP2017125222A publication Critical patent/JP2017125222A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6662048B2 publication Critical patent/JP6662048B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Registering, Tensioning, Guiding Webs, And Rollers Therefor (AREA)

Description

本発明は、ウェブ状成膜対象物の両面を成膜して両面成膜体を製造する両面成膜体製造方法に係り、特に、ウェブ状成膜対象物が回転保持される回転保持体を共用して両面成膜体を製造することを実現する両面成膜体製造方法及びその装置に関する。
液晶パネル、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話等には、樹脂フィルム上に金属膜を被覆して得られる多種類のフレキシブル配線基板が用いられ、このフレキシブル配線基板には、樹脂フィルムのうち樹脂フィルムの片面若しくは両面に金属膜を成膜した金属膜付樹脂フィルムが用いられている。金属膜付樹脂フィルムには、配線パターンの繊細化、高密度化に伴って平坦性が求められてきている。
上記のような金属膜付樹脂フィルムの製造方法としては、従来、以下のような方法が既に知られている。
(1)金属箔を接着剤により樹脂フィルムに貼り付けて製造する方法、
(2)金属箔に耐熱性樹脂溶液をコーティングした後、乾燥させて製造する方法、
(3)樹脂フィルムに真空成膜法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタリング法等)若しくは湿式めっき法により金属膜を成膜して製造する方法。
また、真空成膜法若しくは湿式めっき法を用いる3番目の製造方法として、特許文献1では、成膜速度は遅いが密着力に優れる金属膜を形成できるスパッタリング法を用いて金属膜付樹脂フィルムを製造する方法が開示されており、また、特許文献2では、成膜速度は遅いが密着力に優れる金属膜を形成できるスパッタリング法を用いて薄膜の金属ベース層をまず成膜し、続いて、成膜速度の速い湿式めっき法を用いて上記金属ベース層上に厚膜の金属膜を形成し、金属膜付樹脂フィルムを効率よく製造する方法が開示されている。
また、特許文献1では、金属膜の密着力を更に高めるため、2種類のスパッタリングターゲットを用いた方法も開示されている。すなわち、ニッケル銅合金をスパッタリングターゲットとして第一の金属薄膜をまず成膜し、続いて、銅等をスパッタリングターゲットとして上記金属薄膜上に厚膜の金属膜を成膜する方法が提案されている。
さらに、成膜速度の速い電気めっき法と成膜速度の遅いスパッタリング法を併用する技術が特許文献2に開示されている。特許文献2の製造方法は、スパッタリング法のみを用いる特許文献1の方法と比較して製造効率に優れるため、特許文献2に記載された製造方法が広く利用されている。
ところで、樹脂フィルムの両面に金属薄膜をスパッタリング法などの真空成膜法により成膜するには、大別して2つの方法がある。一つは、樹脂フィルムの第1成膜面に金属薄膜を成膜した後に、真空成膜装置から一旦、取り出し、樹脂フィルムを裏返してセットして第2成膜面に金属薄膜を成膜する方法であり、もう一つは、2つのキャンロールを直列に並べ、第1のキャンロールを用いて樹脂フィルムの表面に金属薄膜を成膜した後、第2のキャンロールを用いて真空中で連続して裏面に金属薄膜を成膜する方法(2キャンロール方式)がある。
特許文献3には、連続耐熱性樹脂フィルムの両面上に金属膜を連続的にスパッタリング法で成膜する技術として、巻出しロール室内の巻出しロールから巻き出された長尺樹脂フィルムをロール・トゥ・ロール方式により搬送し、巻取りロール室内の巻取りロールに巻き取ると共に、成膜室の長尺樹脂フィルムの搬送路上の前記成膜室には、真空成膜手段に対向しかつ内部に冷媒が循環する2つ以上のキャンロールを備えるロール・トゥ・ロール方式真空両面成膜装置が開示されている。特許文献3のように、連続して、両面成膜を行う後者の方法は、表面成膜後に巻き取ることなく、しかも大気に解放することもないので、成膜特性が安定することは言うまでもない。ただし、特許文献3のように、2個のキャンロールを直列に並べる方法は、真空成膜装置全体を大型化してしまい、内容量が増加するため、真空排気に必要とするポンプの増加等も避けることができない。
一方、長尺樹脂フィルムに成膜を行うロール・トゥ・ロール方式真空片面成膜装置では、フレキシブル基板としての長尺樹脂フィルムを折り返して1個のキャンロールに複数回も長尺樹脂フィルムを巻き付けて成膜源の前方を通過する方法が特許文献4に記載され、あるいは、フローティング状態で帯状材料としての長尺樹脂フィルムを折り返して成膜源の前方を通過する方法が特許文献5に記載されている。ここで、特許文献4には、フレキシブル基板を案内する案内装置として、真空チャンバ内の第1のローラと、第1の方向からの変位を導入するための第1の方向と直交する方向に対して傾斜する軸を有する第2のローラとを有する態様が開示されている。また、特許文献5には、巻出しリールから巻取りリールまで連続して走行する帯状材料に表面処理を施す表面処理部と、その走行を案内する複数のロール部を軸方向に重ねてなる一対のガイドロールとを備え、これら一対のガイドロール間に帯状材料を螺旋状に走行させるもので、第2のガイドロールの各ロール部の回転軸を所定角度傾斜させ、この傾斜によりガイドロールを周回するときに帯状部材が螺旋状の1ピッチ分ずれるようにした表面処理装置が開示されている。
この様な方法を用いることで、キャンロール個数や成膜源(蒸着源、スパッタリングターゲット等)の個数を削減することができ、真空成膜装置全体を小型化することに大きく寄与することができる。
しかしながら、特許文献4、特許文献5はいずれも片面成膜にのみ関するものであった。
特開平6−97616号公報(課題を解決するための手段,図1) 特開平9−136378号公報(発明の実施の形態) 特開2012−149284号公報(発明を実施するための形態,図4) EP2113585A1(図面の詳細な説明,FIG1) 特開2005−113165号公報(発明を実施するための最良の形態,図2)
本発明が解決しようとする技術的課題は、ウェブ状成膜対象物が回転保持される回転保持体を共用し、ウェブ状成膜対象物の両面を成膜することにある。
そこで、上記課題を解決するため、本発明者らは、ロール・トゥ・ロール方式の両面成膜体製造装置の構成を見直し、ウェブ状成膜対象物が回転保持される回転保持体に関し、成膜装置による第1の片面への成膜処理と、第2の片面への成膜処理とで共用することの可能性を検討し、回転保持体に対するウェブ状成膜対象物の保持位置を工夫することで回転保持体の共用化を実現することを見出し、本発明を案出するに至った。
本発明の第1の技術的特徴は、駆動回転され且つ予め決められた温度に調整される回転保持体にウェブ状成膜対象物を回転保持させて搬送し、前記回転保持体表面に対向して配置された成膜装置にて前記ウェブ状成膜対象物の両面を成膜して両面成膜体を製造するに際し、前記ウェブ状成膜対象物の第1の片面を成膜対象面とし、当該ウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の軸方向に対して2つに区分した表面のうち一方の区分領域に接触保持させて搬送する第1の搬送工程と、前記第1の搬送工程中に前記成膜装置にて前記ウェブ状成膜対象物の第1の片面を成膜する第1の成膜工程と、前記第1の成膜工程が完了した片面成膜済みのウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の回転方向下流側から離れる方向に搬送し、前記回転保持体の回転方向上流側に戻す戻し搬送工程と、前記戻し搬送工程後に、前記ウェブ状成膜対象物の第2の片面を成膜対象面とし、当該ウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の表面のうち他方の区分領域に接触保持させて搬送する第2の搬送工程と、前記第2の搬送工程中に前記成膜装置にて前記ウェブ状成膜対象物の第2の片面を成膜する第2の成膜工程と、前記第2の成膜工程が完了した両面成膜済みのウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の回転方向下流側から離れる方向に搬送し、予め決められた収容位置に両面成膜体として収容する収容搬送工程と、を備え、前記第1の搬送工程及び前記第2の搬送工程は、前記回転保持体に接触保持されている間における前記ウェブ状成膜対象物の搬送速度を個別に制御して当該ウェブ状成膜対象物を搬送することを特徴とする両面成膜体製造方法である。
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた両面成膜体製造方法において、前記第1の搬送工程及び前記第2の搬送工程は、前記回転保持体の回転方向の上流側及び下流側に夫々駆動搬送部材を有し、上流側の前記駆動搬送部材と前記回転保持体との間、前記回転保持体と下流側の前記駆動搬送部材との間に速度差を付与し、前記ウェブ状成膜対象物を引張可能な状態で搬送することを特徴とする両面成膜体製造方法である。
本発明の第3の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた両面成膜体製造方法において、前記戻し搬送工程は、前記第1の搬送工程にて搬送される前記ウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の回転方向下流側から離れる方向に搬送する経路として、少なくとも前記回転保持体の軸方向に沿った方向に前記ウェブ状成膜対象物を案内した後、前記第2の搬送工程にて搬送される前記ウェブ状成膜対象物の搬送経路に対応する位置にて前記回転保持体を迂回する経路を経て前記回転保持体の回転方向上流側に戻すことを特徴とする両面成膜体製造方法である。
本発明の第4の技術的特徴は、成膜前のウェブ状成膜対象物を少なくとも収容する収容室、前記収容室に隣接して設けられて成膜用環境を保つ成膜室が設けられる装置筐体と、前記収容室内のウェブ状成膜対象物を前記成膜室に移動させ、前記成膜室内で成膜完了した成膜体を予め決められた収容位置に移動させる移動機構と、前記成膜室内に複数設置され、前記移動機構にて移動させられるウェブ状成膜対象物の両面を成膜する成膜装置と、を備え、前記移動機構は、前記成膜室に設置され、前記ウェブ状成膜対象物を接触保持して駆動回転し且つ予め決められた温度に調整される回転保持体と、前記ウェブ状成膜対象物の第1の片面を成膜対象面とし、当該ウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の軸方向に対して2つに区分した表面のうち一方の区分領域に接触保持させて搬送する第1の搬送機構と、前記ウェブ状成膜対象物の第2の片面を成膜対象面とし、当該ウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の軸方向に対して2つに区分した表面のうち他方の区分領域に接触保持させて搬送する第2の搬送機構と、前記第1の搬送機構にて前記ウェブ状成膜対象物を搬送して前記成膜装置による第1の片面の成膜処理が完了すると、片面成膜済みのウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の回転方向下流側から離れる方向に搬送し、前記回転保持体の回転方向上流側に戻す戻し搬送機構と、前記第2の搬送機構にて前記ウェブ状成膜対象物を搬送して前記成膜装置による第2の片面の成膜処理が完了すると、両面成膜済みのウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の回転方向下流側から離れる方向に搬送し、予め決められた収容位置に両面成膜体として収容する収容搬送機構と、前記第1の搬送機構及び前記第2の搬送機構に対し、前記回転保持体に接触保持されている間における前記ウェブ状成膜対象物の搬送速度を個別に制御する速度制御手段と、を備えたことを特徴とする両面成膜体製造装置である。
本発明の第5の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えた両面成膜体製造装置において、前記ウェブ状成膜対象物は、巻出し部材から巻き出され、前記移動機構を介して移動し、巻取り部材に巻き取られることを特徴とする両面成膜体製造装置である。
本発明の第6の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えた両面成膜体製造装置において、前記装置筐体の収容室は、前記成膜前のウェブ状成膜対象物及び前記両面成膜体を個別又は一緒に収容し、前記収容室と前記成膜室との間には両者間を遮断可能なロードロック機構を介在させたことを特徴とする両面成膜体製造装置である。
本発明の第7の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えた両面成膜体製造装置において、前記第1の搬送機構及び前記第2の搬送機構は、前記ウェブ状成膜対象物を、前記回転保持体に接触保持させ、かつ、引張した状態で搬送する張力調整手段を有することを特徴とする両面成膜体製造装置である。
本発明の第8の技術的特徴は、第7の技術的特徴を備えた両面成膜体製造装置において、前記張力調整手段は、前記第1の搬送機構及び前記第2の搬送機構に対し夫々個別に作用することを特徴とする両面成膜体製造装置。
本発明の第9の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えた両面成膜体製造装置において、前記回転保持体は、同軸の回転軸に対して個別に回転可能な2つの分割回転保持体を有し、各分割回転保持体が前記速度制御手段にて個別に制御されることを特徴とする両面成膜体製造装置である。
本発明の第10の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えた両面成膜体製造装置において、前記戻し搬送機構は、前記第1の搬送機構にて搬送される前記ウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の回転方向下流側から離れる方向に搬送する経路として、少なくとも前記回転保持体の軸方向に沿った方向に前記ウェブ状成膜対象物を案内する案内経路と、前記ウェブ状成膜対象物が前記案内経路を経て前記第2の搬送機構にて搬送される前記ウェブ状成膜対象物の搬送経路に対応する位置に至った後に、前記回転保持体の回転方向上流側に向かって前記回転保持体を迂回して前記ウェブ状成膜対象物を戻す迂回経路と、を有することを特徴とする両面成膜体製造装置である。
本発明の第11の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えた両面成膜体製造装置において、前記戻し搬送機構は、片面成膜済みのウェブ状成膜対象物が掛け渡される張架部材の少なくとも一部には表面からガスが放出可能な機構を具備させたことを特徴とする両面成膜体製造装置である。
第1の技術的特徴によれば、ウェブ状成膜対象物が回転保持される回転保持体を共用し、回転保持体に接触保持されている間におけるウェブ状成膜対象物の搬送速度を個別に制御して当該ウェブ状成膜対象物の両面を成膜することができる。
第2の技術的特徴によれば、共用の回転保持体を用い、ウェブ状成膜対象物のしわの発生を有効に抑えてウェブ状成膜対象物の両面を成膜することができる。
第3の技術的特徴によれば、片面成膜済みのウェブ状成膜対象物を共用する回転保持体に効率的に戻すことができる。
第4の技術的特徴によれば、ウェブ状成膜対象物が回転保持される回転保持体を共用し、回転保持体に接触保持されている間におけるウェブ状成膜対象物の搬送速度を個別に制御して当該ウェブ状成膜対象物の両面を成膜することが可能な両面成膜体製造方法を容易に具現化することができる。
第5の技術的特徴によれば、ロール・トゥ・ロール方式において、共用の回転保持体を用いた両面成膜体製造装置を提供することができる。
第6の技術的特徴によれば、成膜室を大気開放することなく、収容室を大気開放して成膜前のウェブ状成膜対象物や両面成膜体の交換作業を行うことができる。
第7の技術的特徴によれば、共用する回転保持体を用い、ウェブ状成膜対象物に対し成膜条件に適した張力調整を実施することができる。
第8の技術的特徴によれば、共用する回転保持体を用い、ウェブ状成膜対象物に対し片面毎に成膜条件に適した張力調整を実施することができる。
第9の技術的特徴によれば、共用する回転保持体を用い、ウェブ状成膜対象物に対し片面毎に成膜条件に適した速度制御を実現することができる。
第10の技術的特徴によれば、片面成膜済みのウェブ状成膜対象物を共用する回転保持体に効率的に戻すことができる。
第11の技術的特徴によれば、片面成膜済みのウェブ状成膜対象物の両面を成膜するに当たり、戻し搬送機構の張架部材とウェブ状成膜対象物との間の摩擦による損傷を有効に防止することができる。
(a)は本発明が適用された両面成膜体製造装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。 図1に示す両面成膜体製造装置による製造方法を示す説明図である。 (a)〜(c)は実施の形態1に係る両面成膜体製造装置を用いて長尺樹脂フィルムの両面を金属層で成膜する工程を示し、(d)は(c)の両面成膜体の両面に更に湿式めっき法により金属膜を成膜して最終製品とする工程を示す説明図である。 実施の形態1に係る両面成膜体製造装置の全体構成を示す説明図である。 図4中V−V線方向から見た矢視図である。 実施の形態1で用いられる両面成膜体製造装置の制御系を示す説明図である。 (a)は実施の形態1で用いられる戻し搬送機構の搬送ロールの一例を示す説明図、(b)は搬送ロールの表面部の断面説明図である 比較の形態1に係る両面成膜体製造装置を示す説明図である。 実施の形態2に係る両面成膜体製造装置の要部を示す説明図である。 実施の形態3に係る両面成膜体製造装置の要部を示す説明図である。 実施の形態3で用いられるキャンロールの支持構造及び駆動構造を示す説明図である。 実施の形態4に係る両面成膜体製造装置の全体構成を示す説明図である。 図12の平面説明図である。
◎実施の形態の概要
図1(a)はウェブ状成膜対象物の両面を成膜して両面成膜体を製造する両面成膜体製造装置の実施の形態の概要を示し、同図(b)は(a)をB方向から見た矢視図である。
同図において、両面成膜体製造装置は、成膜前のウェブ状成膜対象物1を少なくとも収容する収容室(図示せず)、収容室に隣接して設けられて成膜用環境を保つ成膜室(図示せず)を有する装置筐体(図示せず)と、収容室内のウェブ状成膜対象物1を成膜室に移動させ、成膜室内で成膜完了した成膜体を予め決められた収容位置に移動させる移動機構2と、成膜室内に複数設置され、移動機構2にて移動させられるウェブ状成膜対象物1の両面を成膜する成膜装置3(本例では3a,3b)と、を備え、移動機構2は、成膜室に設置され、ウェブ状成膜対象物1を接触保持して駆動回転し且つ予め決められた温度に調整される回転保持体4と、ウェブ状成膜対象物1の第1の片面を成膜対象面とし、当該ウェブ状成膜対象物1を回転保持体4の軸方向に対して2つに区分した表面のうち一方の区分領域に接触保持させて搬送する第1の搬送機構5と、ウェブ状成膜対象物1の第2の片面を成膜対象面とし、当該ウェブ状成膜対象物1を回転保持体4の軸方向に対して2つに区分した表面のうち他方の区分領域に接触保持させて搬送する第2の搬送機構6と、第1の搬送機構5にてウェブ状成膜対象物1を搬送して成膜装置3(本例では3a)による第1の片面の成膜処理が完了すると、片面成膜済みのウェブ状成膜対象物1’を回転保持体4の回転方向下流側から離れる方向に搬送し、回転保持体4の回転方向上流側に戻す戻し搬送機構7と、第2の搬送機構6にてウェブ状成膜対象物1’を搬送して成膜装置3(本例では3b)による第2の片面の成膜処理が完了すると、両面成膜済みのウェブ状成膜対象物1”を回転保持体4の回転方向下流側から離れる方向に搬送し、予め決められた収容位置に両面成膜体10として収容する収容搬送機構8と、第1の搬送機構5及び第2の搬送機構6に対し、回転保持体4に接触保持されている間におけるウェブ状成膜対象物1の搬送速度を個別に制御する速度制御手段(図示せず)と、を備えたものである。
このような技術的手段において、ウェブ状成膜対象物1は主として長尺耐熱性樹脂フィルムを対象とするが、これ以外についても広く含む。
また、装置筐体は収容室と成膜室とを含むものであればよく、収容室はウェブ状成膜対象物1を少なくも収容するものであればよく、両面成膜体10は所定の収容位置(収容室又は成膜室)に収容するものであればよい。
更に、移動機構2は、収容室と成膜室との間で、ウェブ状成膜対象物1を移動し、成膜後の両面成膜体10を所定の収容位置に移動させるものであれば適宜選定して差し支えないが、収容室と成膜室とは室内環境が通常異なるので、両者の室内環境を維持するように留意する必要がある。
ここで、移動機構2としては、共用する回転保持体4、第1の搬送機構5、第2の搬送機構6、戻し搬送機構7及び収容搬送機構8を備えていればよい。
更にまた、成膜装置3としては、マグネトロンスパッタ装置、イオンビームスパッタ装置などウェブ状成膜対象物を成膜するものを広く含む。
本実施の形態に係る両面成膜体製造装置を用いれば、図2に示すような製造方法が実施可能である。
つまり、駆動回転され且つ予め決められた温度に調整される回転保持体4にウェブ状成膜対象物1を回転保持させて搬送し、回転保持体4表面に対向して配置された成膜装置3(本例では3a,3b)にてウェブ状成膜対象物1の両面を成膜して両面成膜体10を製造するに際し、図2に示すように、ウェブ状成膜対象物1の第1の片面を成膜対象面とし、当該ウェブ状成膜対象物1を回転保持体4の軸方向に対して2つに区分した表面のうち一方の区分領域に接触保持させて搬送する第1の搬送工程Aと、第1の搬送工程A中に成膜装置3(本例では3a)にてウェブ状成膜対象物1の第1の片面を成膜する第1の成膜工程Bと、第1の成膜工程Bが完了した片面成膜済みのウェブ状成膜対象物1’を回転保持体4の回転方向下流側から離れる方向に搬送し、回転保持体4の回転方向上流側に戻す戻し搬送工程Cと、戻し搬送工程C後に、ウェブ状成膜対象物1’の第2の片面を成膜対象面とし、当該ウェブ状成膜対象物1’を回転保持体4の表面のうち他方の区分領域に接触保持させて搬送する第2の搬送工程Dと、第2の搬送工程D中に成膜装置3(本例では3b)にてウェブ状成膜対象物1’の第2の片面を成膜する第2の成膜工程Eと、第2の成膜工程Eが完了した両面成膜済みのウェブ状成膜対象物1”を回転保持体4の回転方向下流側から離れる方向に搬送し、予め決められた収容位置に両面成膜体10として収容する収容搬送工程Fと、を備え、第1の搬送工程A及び第2の搬送工程Dは、回転保持体4に接触保持されている間におけるウェブ状成膜対象物1の搬送速度を個別に制御して当該ウェブ状成膜対象物1を搬送するものである。
このような製造方法において、第1の搬送工程A、第2の搬送工程Dでは、共用する回転保持体4の表面を軸方向に対して2つに区分した領域で夫々並行して使用できればよい。このとき、回転保持体4の2つの区分領域は通常は中央を境として対称的に設けられるが、対称形でない態様も当然含まれる。
また、第1、第2の成膜工程B,Eについては、ウェブ状成膜対象物1の各片面には同じ成膜を行ってもよいし、別の成膜を行ってもよい。
更に、戻し搬送工程Cについては、第1の搬送工程Aと第2の搬送工程Dとでウェブ状成膜対象物1の搬送経路が回転保持体4の軸方向に対して変位することから、第1の搬送工程A後、第2の搬送工程D前の戻し搬送工程Cにおいて、片面成膜済みのウェブ状成膜対象物1’の位置を変更しながら回転保持体4の回転方向上流側に戻すことが必要である。
また、収容搬送工程Fについては、両面成膜済みのウェブ状成膜対象物1”を搬送し、所定の収容位置に両面成膜体10として収容するようにすればよい。ここで、収容位置としては、成膜室とは別の収容室に設けてもよいし、成膜室内に設けるようにしてもよい。
このような両面成膜体製造方法の好ましい態様としては、第1の搬送工程A及び第2の搬送工程Dは、回転保持体4の回転方向の上流側及び下流側に夫々駆動搬送部材9(本例では9a,9b)を有し、上流側の駆動搬送部材9aと回転保持体4との間、回転保持体4と下流側の駆動搬送部材9bとの間に速度差を付与し、ウェブ状成膜対象物1を引張可能な状態で搬送する態様が挙げられる。本例は、回転保持体4に接触保持されるウェブ状成膜対象物1を引張可能な状態で搬送するため、回転保持体4上でウェブ状成膜対象物1にしわが生ずる懸念が少ない。
また、戻し搬送工程Cの好ましい態様としては、第1の搬送工程Aにて搬送されるウェブ状成膜対象物1を回転保持体4の回転方向下流側から離れる方向に搬送する経路として、少なくとも回転保持体4の軸方向に沿った方向に片面成膜済みのウェブ状成膜対象物1’を案内した後、第2の搬送工程Dにて搬送されるウェブ状成膜対象物1’の搬送経路に対応する位置にて回転保持体4を迂回する経路を経て回転保持体の回転方向上流側に戻す態様が挙げられる。本例では、戻し搬送工程Cは、片面成膜済みのウェブ状成膜対象物1’の回転保持体4の軸方向に対する位置を変更した後に、回転保持体4の回転方向の上流側に戻す態様である。このように、本例では、回転保持体4の回転方向下流側からウェブ状成膜対象物1’を離した直後に回転保持体4の軸方向に対する位置変更を先に行うため、回転保持体4の回転方向上流側に戻ってからウェブ状成膜対象物1’の前述した位置変更を後で行う場合に比べて、戻し搬送工程Cに必要な設備が簡略化される点で好ましい。
次に、両面成膜体製造装置の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、両面成膜体製造装置の代表的態様としては、ウェブ状成膜対象物1が巻出し部材から巻き出され、移動機構2を介して移動し、巻取り部材に巻き取られる所謂ロール・トゥ・ロール方式を採用したものが挙げられる。
また、装置筐体の代表的態様としては、装置筐体の収容室は、成膜前のウェブ状成膜対象物1及び両面成膜体10を個別又は一緒に収容し、収容室と成膜室との間には両者間を遮断可能なロードロック機構を介在させた態様が挙げられる。
更に、第1、第2の搬送機構の好ましい態様としては、ウェブ状成膜対象物1を、回転保持体4に接触保持させ、かつ、引張した状態で搬送する張力調整手段を有する態様が挙げられる。ここでいう張力調整手段としては、回転保持体4の回転方向の上流側及び下流側に夫々駆動搬送部材9(本例では9a,9b)を設け、上流側の駆動搬送部材9aと回転保持体4及び、回転保持体4と下流側の駆動搬送部材9bとの間に速度差を与えることで、ウェブ状成膜対象物1が引張した状態で搬送されるようウェブ状成膜対象物1の張力を調整したり、あるいは、各搬送機構5,6にてウェブ状成膜対象物1を掛け渡す張架部材(案内部材)の一部に張力付与機構を付加する態様など適宜選定して差し支えない。
本例において、張力調整手段の好ましい態様としては、ウェブ状成膜対象物1に対し片面毎に成膜条件に適した張力調整を実施するという観点からすれば、第1の搬送機構5及び第2の搬送機構6に対し夫々個別に作用するものが挙げられる。
◎実施の形態1
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
本実施の形態に係る成膜体製造装置における製造対象は、広くウェブ状成膜対象物の両面を成膜して両面成膜体とするものに適用することができるものであるが、その代表的態様として、本実施の形態では、両面金属膜付樹脂フィルムを例に挙げて説明する。
−両面金属膜付樹脂フィルム−
両面金属膜付樹脂フィルムとしては、耐熱性の樹脂フィルム500の両面にNi系合金等から成る膜とCu膜とが積層された構造体が例示される。このような構造を有する両面金属膜付樹脂フィルムは例えばフレキシブル配線基板に加工される。
本例では、両面金属膜付樹脂フィルムは、図3(a)(b)に示すように、耐熱性の樹脂フィルム500の一方の片面に接着剤を介さずに2層の金属層501,502を積層し、更に、図3(c)に示すように、片面成膜済みの樹脂フィルム500の他の片面に同様な2層の金属層501,502を積層することで、樹脂フィルム500の両面を成膜した両面成膜体505として製造されるものである。
但し、本例では、両面成膜体505は、図3(d)に示すように、第2の金属層502を更に厚くするために、第2の金属層502の表面には予め決められた金属膜(本例ではCu膜)503を積層した構造を最終製品としての両面金属膜付樹脂フィルム506とするようになっている。
本例では、第1の金属層501はシード層と呼ばれ、電気絶縁性や耐マイグレーション性等の所望の特性によりその組成が選択され、ニッケル−クロム合金(Ni−Cr合金)やインコネルやコンスタンタンやモネル等の各種公知の合金を用いることができる。
ここで、第1の金属層501としてNi−Cr合金を例に挙げると、その層厚は5nm〜50nmが望ましい。第1の金属層501の層厚が5nm未満である場合、その後の処理工程を経ても金属層501の長期的な密着性に問題が生じてしまうほか、配線加工を行う時のエッチング液が染み込み配線部が浮いてしまうことなどにより配線ピール強度(配線と基板との密着性)が著しく低下するなどの懸念もある。一方、第1の金属層501の層厚が50nmを超えるときは、配線部の加工に際して第1の金属層501の除去が困難となり、さらには、ヘヤークラックや反りなどを生じて密着強度が低下する懸念があるほか、配線加工時のエッチングを行うことが難しくなるため、やはり好ましくない。
また、第1の金属層501の成分組成は、Crの割合が5〜40原子%であることが、耐熱性や耐食性の観点から必要であり、より望ましいCrの割合は12〜22原子%である。すなわち、Crの割合が5原子%未満であるときは耐熱性が低下してしまい、一方、Crの割合が40原子%を超えたときは配線部の加工に際して第1の金属層501の除去が困難となるので好ましくない。さらに、このNi−Cr合金に、耐熱性や耐食性を向上する目的でモリブデンやバナジウム等の他の遷移金属元素を目的や特性に合わせて適宜添加することができる。なお、耐食性、絶縁信頼性の向上や配線部の加工性を考慮して第1の金属層501の組成が決められる。
また、第2の金属層502は配線加工のベース層になるものであり、その層厚は、50nm〜1000nm以下が望しく、より望ましくは50nm〜500nmである。ここで、第2の金属層502には配線加工されて導体となる材料であればよく、代表的には銅が用いられる。
更に、金属膜503は、第2の金属層502の表面に、当該第2の金属層502の層厚を厚くする場合に必要に応じて成膜する。金属膜503は、配線加工されて導体となることから銅で形成することが望ましい。ここで、第1の金属層501、第2の金属層502及び金属膜503を含めた厚みは10nm〜12μmとすることが望ましい。なお、金属膜503は、後述する配線パターンの形成方法に応じて、その膜厚を適宜選択し、また、金属膜503を設けないことも適宜選択できる。
樹脂フィルムとしては、例えばポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリアミドイミド系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレン系フィルム、ポリフェニレンサルファイド系フィルム、ポリエチレンナフタレート系フィルムまたは液晶ポリマー系フィルムから選ばれる樹脂フィルムが、金属膜付フレキシブル基板としての柔軟性、実用上必要な強度、配線材料として好適な電気絶縁性を有する点から好ましい。
また、両面金属膜付樹脂フィルム506の製造手順としては、樹脂フィルム500の両面にシード層としての第1の金属層501と、各第1の金属層501の表面にベース層としての第2の金属層502とをスパッタリング法により成膜して両面成膜体505を製造し、続いて、各第2の金属層502の表面に湿式めっき法により金属膜503を成膜することにより最終製品としての両面金属膜付樹脂フィルム506を製造するようにすればよい。湿式めっき法は、公知の無電解めっき法や電解めっき法を用いることができ、複数の湿式めっき法を組み合わせてもよい。
尚、本実施の形態では、樹脂フィルムの両面に金属膜を成膜した両面金属膜付樹脂フィルムを例示したが、金属膜のほかに、目的に応じて酸化物膜、窒化物膜、炭化物膜等の成膜にも適用できることは勿論である。
図4は実施の形態1に係る両面成膜体製造装置の全体構成を示す。尚、実施の形態1は本発明が適用される両面成膜体製造装置の基本的構成を示すもので、本発明の要部については実施の形態2以降に詳述する。
−両面成膜体製造装置の全体構成−
本実施の形態では、両面成膜体製造装置は、ウェブ状の長尺樹脂フィルムの両面に金属膜を成膜して両面成膜体とする製造装置を示し、例えばロール・トゥ・ロール方式の両面成膜可能なスパッタリングウェブコータが用いられる。
すなわち、本例では、両面成膜体製造装置は、装置筐体としての真空チャンバ100を有し、この真空チャンバ100は、成膜前の長尺樹脂フィルム106が収容される成膜前収容室101と、両面成膜済の長尺樹脂フィルムからなる両面成膜体106”が収容される成膜後収容室105と、成膜前の長尺樹脂フィルム106の両面に金属膜を成膜する成膜室103とを備えている。
ここで、成膜室103はスパッタリング法成膜等の減圧条件に耐えられればよくその材質、形状は適宜選択できる。成膜前収容室101と成膜室103の間には、成膜前収容室101が大気解放時に、中空パッキン108,109により長尺樹脂フィルム106を挟み真空と大気を遮断するロードロック機構付きの差圧室102を備えている。また、成膜後収容室105と成膜室103の間には、成膜後収容室105が大気解放時に、中空パッキン121、122により長尺樹脂フィルム106を挟み真空と大気を遮断するロードロック機構付きの差圧室104を備えている。このような差圧室102,104を用いることにより、成膜室103を大気開放することなく、長尺樹脂フィルム106や両面成膜体106”を交換することが可能である。
また、長尺樹脂フィルム106は、成膜前収容室101内に設けられた巻出しロール107から巻き出されて差圧室102を経由して成膜室103内に搬送され、差圧室104を経由して成膜後収容室105内に設けられた巻取りロール123に巻き取られるようになっている。尚、巻出しロール107と巻取りロール123はサーボモータのトルク制御により長尺樹脂フィルム106の張力バランスを保っている。
そして、巻出しロール107と巻取りロール123との間の長尺樹脂フィルム106の搬送路上には、モータ駆動され且つ水冷温調された冷媒が内部に循環するキャンロール111が配置されている。
更に、キャンロール111に対して長尺樹脂フィルム106を密着させるために、キャンロール111の回転方向上流側及び下流側には、モータ駆動のフィードロール110,112が配置されている。
更に、本例では、キャンロール111の近傍には、キャンロール111の外周面に対向して複数(本例では4つ)の成膜装置として例えばマグネトロンスパッタ装置124〜127が設置されている。
本例では、マグネトロンスパッタ装置124はニッケル−クロム合金ターゲットをスパッタ対象とし、マグネトロンスパッタ装置125〜127は胴ターゲットをスパッタ対象とし、キャンロール111に長尺樹脂フィルム106を巻き付けた状態でスパッタ処理を実施するため、成膜中のプラズマに起因した長尺樹脂フィルム106の熱的ダメージを低減することが可能である。
<長尺樹脂フィルムの搬送系>
また、本実施の形態では、長尺樹脂フィルム106の搬送系は、図4及び図5に示すように、長尺樹脂フィルム106の第1の片面を成膜対象面とし、キャンロール111の軸方向中央Cnを境として2つに区分した表面のうち一方の区分領域R1に長尺樹脂フィルム106を接触保持させて搬送する第1の搬送機構201と、長尺樹脂フィルム106の第2の片面を成膜対象面とし、キャンロール111の軸方向中央Cnを境として2つに区分した表面のうち他方の区分領域R2に長尺樹脂フィルム106を接触保持させて搬送する第2の搬送機構202と、第1の搬送機構201にて長尺樹脂フィルム106を搬送して成膜装置124〜127による第1の片面の成膜処理が完了すると、片面成膜済みの長尺樹脂フィルム106’をキャンロール111の回転方向下流側に位置する下流側フィードロール112から離れる方向に搬送した後、キャンロール111の回転方向上流側に位置する上流側フィードロール110に戻して第2の搬送機構202に受け渡す戻し搬送機構203と、第2の搬送機構202にて長尺樹脂フィルム106を搬送して成膜装置124〜127による第2の片面の成膜処理が完了すると、両面成膜済みの長尺樹脂フィルム106(両面成膜体)”をキャンロール111の回転方向下流側に位置する下流側フィードロール112から離れる方向に搬送し、巻取りロール123に収容する収容搬送機構204と、を備えている。
ここで、第1の搬送機構201及び第2の搬送機構202は、いずれも上流側フィードロール110、キャンロール111及び下流側フィードロール112を構成要素とするものであるが、前述したように、キャンロール111に対する長尺樹脂フィルム106の保持領域及び長尺樹脂フィルム106の成膜対象面を異ならせるものである。
尚、本例では、第1の搬送機構201、第2の搬送機構202により搬送される長尺樹脂フィルム106,106’は同じ成膜装置124〜127を用いて成膜処理されるようになっている。
更に、収容搬送機構204は、第2の搬送機構202にて搬送された両面成膜済みの長尺樹脂フィルム106”を下流側フィードロール112から離れた方向に向けて掛け渡し巻取りロール123へと案内する複数のガイドロール119,120を有している。
また、本例では、戻し搬送機構203は、図4及び図5に示すように、片面成膜済みの長尺樹脂フィルム106’が掛け渡されて所定の案内軌跡に沿って案内される複数のガイドロール113〜118を有し、これらのガイドロール113〜118により、下流側フィードロール112から離れるように略水平方向に沿って片面成膜済みの長尺樹脂フィルム106’を搬送し、キャンロール111の軸方向に沿った方向に屈曲搬送した後、キャンロール111の第2の区分領域R2に対応した位置にてキャンロール111側に接近する方向に一旦屈曲搬送し、更に、キャンロール111を迂回するように、略鉛直下方に搬送した後に、キャンロール111の下方を通過してキャンロール111の回転方向上流側に戻り、略鉛直上方へと搬送した後に、上流側フィードロール110の軸方向中央を境として成膜前の長尺樹脂フィルム106の掛け渡し領域とは異なる領域に片面成膜済みの長尺樹脂フィルム106’を掛け渡すようにしたものである。
ここで、ガイドロール113は、片面成膜済みの長尺樹脂フィルム106’がキャンロール111の一方の区分領域R1から他方の区分領域R2に向かう軸方向に沿った方向に搬送されるように、下流側フィードロール112の軸方向に対して約45°傾斜配置されており、ガイドロール114は、キャンロール111の軸方向に沿った方向に搬送された長尺樹脂フィルム106’が一旦キャンロール111側に接近する方向に屈曲搬送されるように、ガイドロール113に対して略直交するように傾斜配置されている。尚、ガイドロール115〜118はいずれもキャンロール111の軸方向に沿った方向に配置されている。
また、戻し搬送機構203の各ガイドロール113〜118のうち、例えばガイドロール113,114は片面成膜済みの長尺樹脂フィルム106’を屈曲搬送することから、長尺樹脂フィルム106’との間の摩擦により長尺樹脂フィルム106’に擦り傷が生ずる懸念がある。このような懸念を解消するという観点からすれば、図7(a)(b)に示すように、例えばガイドロール113,114の表面からガスが放出可能なガス放出機構210を付加することが好ましい。
ここで、ガス放出機構210としては、例えばガイドロール113,114の軸方向端部にガスロータリージョイント211を設け、ガイドロール113,114の表面付近には軸方向に沿って延びるガス導入路212を所定角度間隔に設けると共に、各ガス導入路212とガスロータリージョイント211とを連結配管213にて連結し、更に、各ガス導入路212にはガイドロール113,114の軸方向に沿って所定のピッチ間隔でガス放出孔215を連通形成したものである。本例では、各ガス導入路212に形成されたガス放出孔215はガイドロール113,114の周方向に対して複数(本例では2つ)に分岐して形成されているため、ガイドロール113,114に設けられるガス導入路212の配列数を少なく抑えても、ガイドロール113,114の周面にはガスを均等に放出することが可能である。
尚、戻し搬送機構203の他のガイドロール115〜118についてガス放出機構210を具備させてもよいことは勿論である。
−制御系−
また、本実施の形態では、両面成膜体製造装置は、図6に示すような制御系を備えている。
同図において、両面成膜体製造装置の制御系は、マイクロコンピュータからなる制御装置50を有し、この制御装置50によって、巻出しロール107及び巻取りロール123の駆動を制御し、また、キャンロール111の速度及び温調を制御すると共に、上流側及び下流側フィードロール110,112の駆動、速度を制御し、更に、成膜装置としてのマグネトロンスパッタ装置124〜127によるスパッタ処理量を制御するようになっている。
そして、この制御装置50には操作パネル60が接続され、操作パネル60を操作することで、長尺樹脂フィルム106の搬送速度v、各マグネトロンスパッタ装置124〜127の各スパッタ処理量(第1成膜面に対するスパッタ量SP1、第2成膜面に対するスパッタ量SP2)を個別に調整することが可能である。
本例では、図6に示すように、上流側フィードロール110、キャンロール111及び下流側フィードロール112は、夫々の周速度を夫々vf,vc,vrとすると、vf<vc<vrを満たすように、制御装置50により長尺樹脂フィルム106の搬送方向下流側に位置する程速くなるように制御されている。このため、長尺樹脂フィルム106はキャンロール111の周囲では搬送方向に引張され、キャンロール111表面に接触(密着)させることが可能である。
−両面成膜体製造装置の作動−
次に、本実施の形態に係る両面成膜体製造装置の作動について説明する。
先ず、図4乃至図6に示すように、操作パネル60にて両面成膜体製造装置の作動を開始すると、巻出しロール107から巻き出された長尺樹脂フィルム106は、第1の搬送機構201により、成膜室103内の上流側フィードロール110を経由してキャンロール111上の一方の区分領域R1に掛け渡され、下流側フィードロール112を通過する。
このとき、制御装置50は、前述したように、上流側フィードロール110、キャンロール111及び下流側フィードロール112の各周速度vf,vc,vrを夫々制御するため、長尺樹脂フィルム106はキャンロール111の周囲では搬送方向に引張され、キャンロール111表面に接触(密着)させることが可能である。
この状態において、長尺樹脂フィルム106の第1の片面(第1成膜面)はマグネトロンスパッタ装置124〜127によるスパッタ処理にて成膜され、下流側フィードロール112を通過する。
この後、片面成膜済みの長尺樹脂フィルム106’は、下流側フィードロール112から略水平方向に沿って離れるように搬送された後、戻し搬送機構203のガイドロール113により略90°屈曲した状態でキャンロール111の一方の区分領域R1から他方の区分領域R2に対応する位置に至るまで軸方向に沿って搬送されると共に、略90°屈曲した状態でキャンロール111に一旦接近する方向に搬送され、しかる後、ガイドロール115〜118を順次通過しながらキャンロール111の下方を回り込み、再び上流側フィードロール110を経由してキャンロール111へと搬送される。
このような長尺樹脂フィルム106’の戻し搬送過程において、例えばガイドロール113,114にガス放出機構210を付加するようにすれば、長尺樹脂フィルム106’とガイドロール113,114との摩擦による擦り傷の生成は有効に抑えられる点で好ましい。
このように搬送された結果、片面成膜済みの長尺樹脂フィルム106’は、キャンロール111の他方の区分領域R2に対応した位置に配置され、かつ、第2の片面を成膜対象面としてキャンロール111に掛け渡される。
しかる後、片面成膜済みの長尺樹脂フィルム106’は、第2の搬送機構202により、上流側フィードロール110を経由してキャンロール111上の他方の区分領域R2に掛け渡され、下流側フィードロール112を通過するが、制御装置50による速度制御により、長尺樹脂フィルム106’はキャンロール111の周囲では搬送方向に引張され、キャンロール111表面に接触(密着)させることが可能である。
この状態において、長尺樹脂フィルム106の第2の片面(第2成膜面)はマグネトロンスパッタ装置124〜127によるスパッタ処理にて成膜され、下流側フィードロール112を通過する。
この結果、両面成膜済みの長尺樹脂フィルム106”は両面成膜体となり、収容搬送機構204のガイドロール119,120を経由して巻取りロール123に巻き取られる。
本例では、長尺樹脂フィルム106には、両面とも同じマグネトロンスパッタ装置124〜127によるスパッタ処理が実施されるため、長尺樹脂フィルム106を挟んで成膜構造が対称形構造として得られる。
このように、本実施の形態によれば、長尺樹脂フィルムを中心とした両面対称膜構造を得るために、1本のキャンロール111に対して同方向から第1成膜面と第2成膜面とが通過するロール・トゥ・ロール方式の両面成膜体製造装置にて成膜を行うことが可能になる。それゆえ、キャンロール111の軸方向に沿って装置幅を広げることにより、1本のキャンロール111を用いた片面成膜体製造装置とほとんど同じ部品点数で、後述する比較の形態1に相当する2本のキャンロールを用いた両面成膜体製造装置と実質的に同じ機能を有することができ、装置製造コストを低減でき、しかも、ターゲット交換等のメンテナンス性にも優れる。
尚、本例では、両面成膜体は両面が同じ成膜構造であるが、これに限られるものではなく、両面を異なる成膜構造にすることは可能である。また、成膜構造の層数を増加させるという要請がある場合には、キャンロール111を大型化して成膜装置のターゲット数を増加するようにすればよい。
また、本例では、両面金属膜付樹脂フィルムを製造する態様が例示されているが、例えばタッチパネルフィルムを成膜する場合には、例えばマグネトロンスパッタ装置124〜127のターゲットとしてイオブターゲット、シリコンターゲット、透明導電層(ITO等)ターゲットを採用するようにすればよい。
更に、本実施の形態では、長尺樹脂フィルム106,106’の張力を調整する張力調整機構として、上流側フィードロール110、キャンロール111及び下流側フィードロール112の周速度を調整する手法を採用したが、これに限られるものではなく、例えば上流側フィードロール110、下流側フィードロール112とは別に張力を付与するためにいずれかのガイドロールをエクスパンドロールとし、フィードロール110,112とエクスパンドロールとの両者を組み合わせることで、キャンロール111の表面に長尺樹脂フィルム106,106’を接触(密着)させるようにしてもよい。
また、フィードロール110,112、ガイドロール113〜120、巻出しロール107、巻取りロール123間に張力センサロールを配置し、制御装置50にて張力調整を微調整するようにしてもよい。更に、成膜前の長尺樹脂フィルム106の両面にヒータ加熱による乾燥処理やイオンビーム・プラズマ等を用いた前処理を実施するようにしてもよい。
−両面成膜体の後処理について−
<湿式めっき法>
本実施の形態では、前述した両面成膜体製造装置により製造された両面成膜体の両面を更に金属膜で成膜するという後処理が必要に応じて実施される。
この種の後処理としては、得られた両面金属膜付樹脂フィルム(両面成膜体)106”の金属膜上に湿式めっき法を用いて金属膜を形成する場合が挙げられる。この場合、電気めっき処理のみで行う場合と、一次めっきとして無電解めっき処理を行い、二次めっきとして電解めっき処理等の湿式めっき法を組み合わせて行う場合がある。湿式めっき処理は、常法による湿式めっき法の諸条件を採用すればよい。
このように、両面金属膜付樹脂フィルム106”の金属膜(第2の金属層502)の表面に、湿式めっき法により金属膜503を更に形成することにより、両面の膜応力の差を低減させた両面金属膜付樹脂フィルムを得ることが可能となる。尚、このようにして、前述した乾式めっき法(スパッタリング法)による金属膜(第1の金属層501及び第2の金属層502)と、湿式めっき法による金属膜503との合計厚さは、厚くとも20μm以下にすることが好ましい。
<配線パターン>
このようにして得られた両面金属膜付樹脂フィルムを用いて、この両面金属膜付樹脂フィルムの少なくとも片面に配線パターンを個別に形成する。また、所定の位置に層間接続のためのヴィアホールを形成して各種用途に用いることもできる。より具体的に説明すると、(1)配線パターンを両面金属膜付樹脂フィルムの少なくとも片面に個別に形成して利用する。(2)配線パターンが形成された両面金属膜付樹脂フィルムで樹脂フィルムを貫通するヴィアホールを形成して利用する。(3)場合によっては、該ヴィアホール内に導電性物質を充填してホール内を導電化して利用する。
そして、上記配線パターンの形成方法としては、公知のサブトラクティブ法やセミアディティブ法を用いることができる。
サブトラクティブ法は、両面金属膜付樹脂フィルムの不要な金属膜(第1の金属層501,第2の金属層502,金属膜503)を化学エッチングで除去して配線パターンを形成するものである。この場合、両面金属膜付樹脂フィルムを準備し、該金属膜上にスクリーン印刷あるいはドライフィルムをラミネートして感光性レジスト膜を形成した後、露光現像して配線パターンの箇所にレジスト膜が残るようにパターニングする。次いで、塩化第2鉄溶液等のエッチング液で該金属膜を選択的にエッチング除去した後、上記レジスト膜を除去して所定の配線パターンを形成する。両面に配線パターン加工することが好ましい。全ての配線パターンを幾つかの配線領域に分割するかどうかは、配線パターンの配線密度の分布等による。例えば、配線パターンを、配線幅と配線間隔がそれぞれ50μm以下の高密度配線領域とその他の配線領域に分け、プリント基板との熱膨張差や取扱い上の都合等を考慮して分割する配線基板のサイズを10〜65mm程度に設定して適宜分割すればよい。
また、上記ヴィアホールの形成方法としては、従来公知の方法が利用でき、例えば、レーザー加工等により、配線パターンの所定の位置に該配線パターンと樹脂フィルムを貫通するヴィアホールを形成する。ヴィアホールの直径は、ホール内の導電化に支障を来たさない範囲内で小さくすることが好ましく、通常100μm以下、好ましくは50μm以下にする。ヴィアホール内には、めっき、蒸着、スパッタリング等により銅等の導電性金属を充填あるいは所定の開孔パターンを持つマスクを使用して導電性ペーストを圧入、乾燥し、ホール内を導電化して層間の電気的接続を行う。
セミアディティブ法は、両面金属膜付樹脂フィルムの金属膜の表面に、配線パターンを設けたい箇所のみ湿式めっき法で配線膜を厚く成膜し、その後、ソフトエッチングで不要な金属膜とベース層、シード層となる金属層を除去する配線方法である。この場合、両面金属膜付樹脂フィルムを準備し、該金属膜上にスクリーン印刷あるいはドライフィルムをラミネートして感光性レジスト膜を形成した後、露光現像して配線パターンの箇所が露出するようにレジスト膜が残るようにパターニングする。レジストの露光現像後に湿式めっき法で配線パターンを厚く成膜し、その後、配線パターンに不要な金属膜等をソフトエッチング(化学エッチング)で除去する。ヴィアホールの形成はサブトラクティブ法と同様である。なお、セミアディティブ法で配線パターンを形成する際は、金属膜を湿式めっき法で成膜していない両面金属膜付樹脂フィルムを用いてもよい。
本実施の形態では、長尺樹脂フィルム106の両面にシード層、ベース層となる金属層(第1の金属層501,第2の金属層502)を成膜した両面金属膜付樹脂フィルムの製造方法を中心に説明してきたが、長尺樹脂フィルム106の両面にシード層、ベース層となる金属層をスパッタリング成膜する態様に限定されず、酸化物膜や窒化物膜などをスパッタリング成膜に用いることができるのは勿論である。また、本例では、ロール・トゥ・ロール方式の両面成膜体製造装置の成膜装置は、スパッタ装置に限定されず、蒸着等各種の減圧雰囲気下の成膜装置を用いることができる。
◎比較の形態1
図8は比較の形態1に係る両面成膜体製造装置(2つのキャンロール方式)を示す。
同図において、比較の形態1に係る両面成膜体製造装置は、装置筐体としての真空チャンバ400として、成膜前の長尺樹脂フィルム406を収容する成膜前収容室401、長尺樹脂フィルム406の第1の片面を成膜する第1の成膜室403と、片面成膜済みの長尺樹脂フィルム406’の第2の片面を成膜する第2の成膜室405と、両面成膜済みの長尺樹脂フィルム406”を収容する成膜後収容室408とを備えている。
本例では、成膜前収容室401と第1の成膜室403との間には、成膜前収容室401が大気開放時に中空パッキン433,434により長尺樹脂フィルム406を挟み真空と大気を遮断するロードロック機構付きの差圧室402が設けられ、第1の成膜室403と第2の成膜室405との間は連結室404にて連結され、第2の成膜室405と成膜後収容室408との間には、成膜後収容室408が大気開放時に中空パッキン435,436により両面成膜済みの長尺樹脂フィルム406”を挟み真空と大気を遮断するロードロック機構付きの差圧室407が設けられている。
ここで、成膜前収容室401には長尺樹脂フィルム406を巻出す巻出しロール431が設けられ、また、成膜後収容室408には両面成膜済みの長尺樹脂フィルム406”を巻取る巻取りロール432が設けられている。
また、第1の成膜室403には、第1のキャンロール411及び第1のキャンロール411の回転方向上流側及び下流側には夫々フィードロール410,412が設けられ、また、第1のキャンロール411の周囲には複数(本例では4つ)の成膜装置415〜418が設けられている。
更に、第2の成膜室405には、第2のキャンロール421及び第2のキャンロール421の回転方向上流側及び下流側には夫々フィードロール420,422が設けられ、また、第2のキャンロール421の周囲には複数(本例では4つ)の成膜装置425〜428が設けられている。
尚、成膜装置415〜418,425〜428は例えばマグネトロンスパッタ装置が用いられるまた、符号413,414は第1の成膜室403内に設けられるガイドロール、符号423,424は第2の成膜室405内に設けられるガイドロールである。
本比較の形態によれば、巻出しロール431から巻き出された長尺樹脂フィルム406は、第1の成膜室403内の第1のキャンロール411に掛け渡され、複数の成膜装置415〜418による成膜処理にて長尺樹脂フィルム406の第1成膜面が成膜された後、片面成膜済みの長尺樹脂フィルム406’は、連結室404を通じて第2の成膜室405に搬送され、第2のキャンロール421に掛け渡され、複数の成膜装置425〜428による成膜処理にて長尺樹脂フィルム406の第2成膜面が成膜され、両面成膜済みの長尺樹脂フィルム406”が巻取りロール432に巻き取られる。
このように、本比較の形態では、長尺樹脂フィルム406の両面を成膜する上で、2つのキャンロール411,421及び夫々に成膜装置415〜418,425〜428を設置することが必要であり、実施の形態1に係る両面成膜体製造装置に比べて装置構成が複雑であることが理解される。
◎実施の形態2
図9は実施の形態2に係る両面成膜体製造装置の要部を示す。
同図において、両面成膜体製造装置の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、キャンロール111の回転方向上流側及び下流側に位置する上流側フィードロール110及び下流側フィードロール112の構成が実施の形態1と異なっている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態において、上流側フィードロール110は、同軸の回転軸に対して個別に回転可能な2つの分割ロール110a,110bを有し、また、下流側フィードロール112は、同軸の回転軸に対して個別に回転可能な2つの分割ロール112a,112bを有し、第1の搬送機構201として、上流側フィードロール110の一方の分割ロール110a、キャンロール111及び下流側フィードロール112の一方の分割ロール112aを用い、また、第2の搬送機構202として、上流側フィードロール110の他方の分割ロール110b、キャンロール111及び下流側フィードロール112の他方の分割ロール112bを用いるようにしたものである。
そして、制御装置50は、上流側フィードロール110の一方の分割ロール110a、キャンロール111、下流側フィードロール112の一方の分割ロール112aの周速度vf1,vc,vr1を個別に制御し、また、上流側フィードロール110の他方の分割ロール110b、キャンロール111、下流側フィードロール112の他方の分割ロール112bの周速度vf2,vc,vr2を個別に制御するようになっている。
本実施の形態によれば、第1の搬送機構201は、成膜前の長尺樹脂フィルム106をキャンロール111に掛け渡して搬送するものであり、第2の搬送機構202は、片面成膜済みの長尺樹脂フィルム106’をキャンロール111に掛け渡して搬送するものであり、長尺樹脂フィルム106,106’の強度や、フィードロール110,112、キャンロール111との間の摩擦係数に違い出ることが多い。
しかしながら、本実施の形態では、第1の搬送機構201と第2の搬送機構202とに対し、フィードロール110,112の分割ロール110a,112a及び110b,112bの周速度を適切に選定することで、長尺樹脂フィルム106,106’の張力調整を個別に実施することができる。このため、第1の搬送機構201、第2の搬送機構202に夫々適した長尺樹脂フィルム106,106’の張力を実施の形態1に比べてより緻密に調整することが可能である。
◎実施の形態3
図10は実施の形態3に係る両面成膜体製造装置の要部を示す。
同図において、両面成膜体製造装置の基本的構成は、実施の形態2と略同様であるが、キャンロール111の構成が実施の形態2と異なる。尚、実施の形態2と同様な構成要素については実施の形態2と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態において、上流側フィードロール110及び下流側フィードロール112は、実施の形態2と略同様に、同軸の回転軸に対して個別に回転可能な2つの分割ロール110a,110b及び112a,112bを有しており、更に、キャンロール111は、実施の形態2と異なり、図11に示すように、同軸の回転支軸140を有し、この回転支軸140に対して夫々軸受141,142を介して個別に回転可能な複数(本例では2つ)の分割キャンロール143,144を設け、各分割キャンロール143,144には夫々別個の駆動モータ145,146からの駆動力をプーリ、ベルト等からなる駆動伝達機構147,148を通じて伝達するようになっている。
そして、第1の搬送機構201としては、上流側フィードロール110の一方の分割ロール110a、キャンロール111の一方の分割キャンロール143及び下流側フィードロール112の一方の分割ロール112aが用いられ、また、第2の搬送機構202としては、上流側フィードロール110の他方の分割ロール110b、キャンロール111の他方の分割キャンロール144及び下流側フィードロール112の他方の分割ロール112bが用いられる。
また、制御装置50は、上流側フィードロール110の一方の分割ロール110a、一方の分割キャンロール143、下流側フィードロール112の一方の分割ロール112aの周速度vf1,vc1,vr1を個別に制御し、また、上流側フィードロール110の他方の分割ロール110b、他方の分割キャンロール144、下流側フィードロール112の他方の分割ロール112bの周速度vf2,vc2,vr2を個別に制御するようになっている。
本実施の形態によれば、前述したように、第1の搬送機構201と第2の搬送機構202とでは、長尺樹脂フィルム106,106’の強度や、フィードロール110,112、キャンロール111との間の摩擦係数に違い出ることが多い。
しかしながら、本実施の形態では、第1の搬送機構201と第2の搬送機構202とに対し、フィードロール110,112の分割ロール110a,112a及び110b,112bに加えて、分割キャンロール143,144の両方の周速度を適切に選定することが可能であるため、長尺樹脂フィルム106,106’の張力調整をより緻密に実施することができる。このため、第1の搬送機構201、第2の搬送機構202に夫々適した長尺樹脂フィルム106,106’の張力を実施の形態2に比べてより緻密に調整することが可能である。
尚、本実施の形態では、フィードロール110,112及びキャンロール111のいずれをも分割構造として構成するようにしたが、これに限られるものではなく、例えばフィードロール110,112は分割構造とせずにキャンロール111のみを分割構造にしたり、あるいは、フィードロール110,112のいずれか一方のみを分割構造として個別に周速度を制御するようにしてもよい。
◎実施の形態4
図12及び図13は実施の形態4に係る両面成膜体製造装置の要部を示す。
同図において、両面成膜体製造装置は、実施の形態3と略同様であるが、実施の形態3と異なり、第1の搬送機構201と第2の搬送機構202とは長尺樹脂フィルム106,106’の搬送方向が異なる方向であり、これに対応して戻し搬送機構203、収容搬送機構204が構成されている。尚、実施の形態3と同様な構成要素については実施の形態3と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態において、装置筐体としての真空チャンバ100は、実施の形態3と略同様に、成膜前収容室101と成膜室103との間に差圧室102を有しているが、実施の形態3と異なり、成膜後収容室105は成膜室103のうち成膜前収容室101と同じ側に差圧室104を介して設けられている。
また、フィードロール110,112及びキャンロール111は、実施の形態3と略同様に、いずれも2つの分割構造になっているが、実施の形態3と異なり、第2の搬送機構202としてのフィードロール110の他方の分割ロール110b、他方の分割キャンロール144及びフィードロール112の他方の分割ロール112bは、第1の搬送機構201の各要素とは回転方向が逆方向に選定されており、フィードロール112の他方の分割ロール112bを上流側フィードロールとして機能させ、かつ、フィードロール110の他方の分割ロール110bを下流側フィードロールとして機能させている。
ここで、制御装置50は、フィードロール110の一方の分割ロール110a、一方の分割キャンロール143、フィードロール112の一方の分割ロール112aの周速度vf1,vc1,vr1を個別に制御し、また、フィードロール112の他方の分割ロール112b、他方の分割キャンロール144、フィードロール110の他方の分割ロール110bの周速度vf2,vc2,vr2を個別に制御するようになっている。
更に、戻し搬送機構203は、フィードロール112の一方の分割ロール112aから離れる方向に略水平方向に沿って片面成膜済みの長尺樹脂フィルム106’を搬送した後に、ガイドロール313を経由して当該長尺樹脂フィルム106’を略90°屈曲搬送してキャンロール111の軸方向に沿って第2の区分領域R2に対応する位置まで搬送し、しかる後、キャンロール111から更に離れる方向にガイドロール314を経由して長尺樹脂フィルム106’を略90°屈曲搬送した後、キャンロール111の軸方向に略平行なガイドロール315を経由して長尺樹脂フィルム106’をフィードロール112の他方の分割ロール112b(上流側フィードロールとして機能)まで搬送するようにしたものである。
更に、収容搬送機構204は、第2の搬送機構202のフィードロール110の他方の分割ロール110b(下流側フィードロールとして機能)から離れる方向に両面成膜済みの長尺樹脂フィルム106”をガイドロール319,320を経由して巻取りロール123に巻き取るようにしたものである。
更にまた、本例では、分割キャンロール143,144の回転方向が逆方向であるため、一方の分割キャンロール143に対向した箇所に複数(本例では2つ)の成膜装置324,325が設置され、また、他方の分割キャンロール144の対向した箇所には複数(本例では2つ)の成膜装置326,327が設置されている。そして、本例では、各成膜装置324〜327はいずれもマグネトロンスパッタ装置が用いられ、成膜装置324,326がシード層である第1の金属層501(図3参照)を成膜するものであり、成膜装置325,327がベース層である第2の金属層502(図3参照)を成膜するものである。
本実施の形態によれば、第1の搬送機構201は、フィードロール110の一方の分割ロール110a、分割キャンロール143及びフィードロール112の一方の分割ロール112aに成膜前の長尺樹脂フィルム106を掛け渡して搬送するものであり、フィードロール112の一方の分割ロール112aを通過した片面成膜済みの長尺樹脂フィルム106’は戻し搬送機構203(ガイドロール313〜315)を経てフィードロール112の他方の分割ロール112bへと搬送される。
しかる後、第2の搬送機構202は、フィードロール112の他方の分割ロール112b、他方の分割キャンロール144及びフィードロール110の他方の分割ロール110bに片面成膜済みの長尺樹脂フィルム106’を掛け渡されて搬送するものであり、収容搬送機構204は、フィードロール110の他方の分割ロール110bを通過した両面成膜済みの長尺樹脂フィルム106”をガイドロール319,320を経由して巻取りロール123に巻き取るようにしたものである。
ここで、前述したように、第1の搬送機構201と第2の搬送機構202とでは、長尺樹脂フィルム106,106’の強度や、フィードロール110,112、キャンロール111との間の摩擦係数に違い出ることが多い。
しかしながら、本実施の形態では、第1の搬送機構201と第2の搬送機構202とに対し、長尺樹脂フィルム106,106’のキャンロール111に対する搬送方向が逆方向にはなるが、フィードロール110、112の分割ロール110a,112a及び110b,112b並びに分割キャンロール143,144の周速度を適切に選定することで、長尺樹脂フィルム106,106’の張力調整を個別に実施することができる。このため、第1の搬送機構201、第2の搬送機構202に夫々適した長尺樹脂フィルム106,106’の張力を実施の形態3と略同様に緻密に調整することが可能である。
更に、本例では、第1の搬送機構201、第2の搬送機構202はキャンロール111に対して長尺樹脂フィルム106,106’の搬送方向が逆方向であるため、成膜順序を確保する上で、別々の成膜装置324,325及び326,327を適用するようにしているが、例えば第1の成膜処理に際し、成膜装置324,325に加えて成膜装置327を共用し、また、第2の成膜処理に際し、成膜装置326,327に加えて成膜装置325を共用するようにしてもよい。
また、本例では、戻し搬送機構203はキャンロール111を迂回する経路が不要になるため、実施の形態1〜3に比べて、ガイドロールの設置数を低減することも可能である。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
図5に示す両面金属膜付樹脂フィルムの製造装置(ロール・トゥ・ロール方式の真空両面成膜装置)を用い、長尺樹脂フィルム106には、幅500mm、長さ200m、厚さ25μmの宇部興産株式会社製の長尺耐熱性ポリイミドフィルム「ユーピレックスS(登録商標)」を使用した。
マグネトロンスパッタ装置124にはシード層としての第1の金属層501のターゲットであるNi−Crターゲット(住友金属鉱山株式会社製)を用い、マグネトロンスパッタ装置125〜127にはベース層である第2の金属層502のターゲットであるCuターゲット(住友金属鉱山株式会社製)を使用した。
始めに、ドライポンプを用いて5Paまで排気し、次にターボ分子ポンプとクライオコイルを用いて1×10−3Paまで排気し、各マグネトロンスパッタ装置124〜127のカソード近傍にArガスをそれぞれ200sccm導入した。フィルム搬送速度を2m/minにして、マグネトロンスパッタ装置124のカソードには5kW、マグネトロンスパッタ装置125〜127のカソードには8kWのDCスパッタ電力を印加した。フィルム搬送速度2m/minに対するキャンロール111のフィルム搬送速度を100%とすると、上流側フィードロール110は99.95%、下流側フィードロール112は100.05%に設定した。このように設定したのは、この成膜条件では、長尺樹脂フィルム106をキャンロ−ル111に密着させるためである。
500m両面成膜後に、長尺樹脂フィルム106”の搬送を停止し、Arガス導入を停止し、かつ、各ポンプを停止してからベント(大気開放)し、巻出しロール107の長尺樹脂フィルム106の終端部を外し、全てのフィルムを巻取りロール123に巻き取ってから取り外した。
そして、得られた両面金属膜付樹脂フィルムの一部を切り出し、その第1成膜面(上記フィルムの一方の面に形成された第1の金属層501と第2の金属層502)および第2成膜面(上記フィルムの他方の面に形成された第1の金属層501と第2の金属層502)を部分的にエッチングし、かつ、それぞれの面に形成されたシード層としての第1の金属層501であるNi−Cr層膜厚とベース層としての第2の金属層502であるCu層膜厚を蛍光X線膜厚計により測定した結果、上記第1成膜面と第2成膜面ともNi−Cr層膜厚は約15nm、Cu層膜厚は約150nm、であった。
<実施例2>
実施の形態2に示すロール・トゥ・ロール方式真空両面成膜装置(図9)を用いた以外は、実施例1と同様の条件にて成膜を行った。
<実施例3>
実施の形態3に示すロール・トゥ・ロール方式真空両面成膜装置(図10、図11)を用いた以外は、実施例1と同様に成膜を行った。
<比較例
図8に示す比較の形態1に係るロール・トゥ・ロール方式真空両面成膜装置を用い、長尺樹脂フィルム406には、幅500mm、長さ200m、厚さ25μmの宇部興産株式会社製の長尺耐熱性ポリイミドフィルム「ユーピレックスS(登録商標)」を使用した。
マグネトロンスパッタ装置415,425のカソードにはシード層としての第1の金属層501であるNi−Crターゲット(住友金属鉱山株式会社製)を用い、マグネトロンスパッタ装置416〜418,426〜428のカソードにはベース層としての第2の金属層502であるCuターゲット(住友金属鉱山株式会社製)を使用した。
始めに、ドライポンプを用いて5Paまで排気し、次にターボ分子ポンプとクライオコイルを用いて1×10−3Paまで排気し、各マグネトロンスパッタ装置415〜418,425〜428のカソード近傍にArガスをそれぞれ200sccm導入した。フィルム搬送速度を2m/minにして、マグネトロンスパッタ装置415,425のカソードには5kW、マグネトロンスパッタ装置416〜418,426〜428のカソードには6kWのDCスパッタ電力を印加した。長尺耐熱性ポリイミドフィルムの搬送速度2m/minに対するキャンロール411の回転速度を100%とすると、上流側フィードロール410は99.95%、下流側フィードロール412は100.05%、上流側フィードロール420は100.05%、キャンロール421の回転速度を100.10%、下流側フィードロール422は100.15%に増加設定した。このように設定したのは、この成膜条件では、両面金属膜付樹脂フィルムが伸びる傾向にあったためである。もちろん、収縮する傾向にある両面金属膜付樹脂フィルムならば、減速設定にすればよい。
500m両面成膜後に、長尺樹脂フィルム406”の搬送を停止し、Arガス導入を停止し、かつ、各ポンプを停止してからベント(大気開放)し、巻出しロール107の長尺樹脂フィルム406の終端部を外し、全てのフィルムを巻取りロール123に巻き取ってから取り外した。
そして、得られた両面金属ベース層付樹脂フィルムの一部を切り出し、その第1成膜面(上記フィルムの一方の面に形成された第1の金属層501と第2の金属層502)および第2成膜面(上記フィルムの他方の面に形成された第1の金属層501と第2の金属層502)を部分的にエッチングし、かつ、それぞれの面に形成されたシード層として第1の金属層501であるNi−Cr層膜厚とベース層としての第2の金属層502であるCu層膜厚を蛍光X線膜厚計により測定した結果、上記第1成膜面と第2成膜面ともNi−Cr層膜厚は約15nm、Cu層膜厚は約150nm、であった。
<評価>
実施例1、実施例2、実施例3に係るロール・トゥ・ロール方式真空両面成膜装置で作成した両面金属膜付樹脂フィルムと比較例1に係るロール・トゥ・ロール方式真空両面成膜装置で作製した両面金属膜付樹脂フィルムとを比較した。
先ず、両面金属膜付樹脂フィルムを100mmの正方形にそれぞれ10枚切り抜き、30倍の電子顕微鏡で10μm以上のピンホールおよび欠陥の数を観察した。その結果、実施例1、実施例2、実施例3と比較例1で成膜した両面金属膜付樹脂フィルムのピンホール数は平均4個であり差違はなかった。
また、1mm幅のピール強度も実施例1、実施例2、実施例3と比較例1とも800N/mであり、差違はなかった。
以上のことから、実施例1〜3に係るロール・トゥ・ロール方式真空両面成膜装置は、比較例1に係る装置と同等性能の高品質の両面金属膜付樹脂フィルムを簡単な構成で効率よく製造できるため、装置設置面積とメンテナンス時間を削減できることが理解される。
本発明に係る両面成膜体製造装置は、例えば長尺樹脂フィルムを中心に両面対称膜構造の両面金属膜付樹脂フィルムや、タッチパネルフィルム、反射防止フィルムのような光学薄膜、両面に金属膜を成膜する両面金属膜付樹脂フィルム製造することができ、長尺樹脂フィルムの両面に例えばシード層としての金属層とベース層としての金属層を成膜する装置として適用することができる。
また、両面金属膜付樹脂フィルムを液晶テレビ、パソコン、携帯電話等のフレキシブル配線に適用でき、タッチパネルフィルムや反射防止膜フィルムも液晶テレビ、パソコン、携帯電話等の表示画面に適用でき、産業上の利用可能性を有している。
1(1’,1”) ウェブ状成膜対象物
2 移動機構
3(3a,3b) 成膜装置
4 回転保持体
5 第1の搬送機構
6 第2の搬送機構
7 戻し搬送機構
8 収容搬送機構
9(9a,9b) 駆動搬送部材
10 両面成膜体
50 制御装置
60 操作パネル
100 真空チャンバ
101 成膜前収容室
102 差圧室
103 成膜室
104 差圧室
105 成膜後収容室
106 長尺樹脂フィルム
106’ 片面成膜済みの長尺樹脂フィルム
106” 両面成膜済みの長尺樹脂フィルム
107 巻出しロール
108,109 中空パッキン
110 (上流側)フィードロール
110a,110b 分割ロール
111 キャンロール
112 (下流側)フィードロール
112a,112b 分割ロール
113〜120 ガイドロール
121,122 中空パッキン
123 巻取りロール
124〜127 マグネトロンスパッタ装置(成膜装置)
140 回転支軸
141,142 軸受
143,144 分割キャンロール
145,146 駆動モータ
147,148 駆動伝達機構
201 第1の搬送機構
202 第2の搬送機構
203 戻し搬送機構
204 収容搬送機構
210 ガス放出機構
211 ガスロータリージョイント
212 ガス導入路
213 連結配管
215 ガス放出孔
313,314,315,319,320 ガイドロール
324〜327 マグネトロンスパッタ装置(成膜装置)
400 真空チャンバ
401 成膜前収容室
402 差圧室
403 第1の成膜室
404 連結室
405 第2の成膜室
406 長尺樹脂フィルム
406’ 片面成膜済み長尺樹脂フィルム
406” 両面成膜済み長尺樹脂フィルム
407 差圧室
408 成膜後収容室
410 上流側フィードロール
411 第1のキャンロール
412 下流側フィードロール
413,414 ガイドロール
415〜418 成膜装置(マグネトロンスパッタ装置)
420 上流側フィードロール
421 第2のキャンロール
422 下流側フィードロール
423,424 ガイドロール
425〜428 成膜装置(マグネトロンスパッタ装置)
431 巻出しロール
432 巻取りロール
433〜436 中空パッキン
500 樹脂フィルム
501 第1の金属層
502 第2の金属層
503 金属膜
505 両面成膜体
506 両面金属膜付樹脂フィルム

Claims (11)

  1. 駆動回転され且つ予め決められた温度に調整される回転保持体にウェブ状成膜対象物を回転保持させて搬送し、前記回転保持体表面に対向して配置された成膜装置にて前記ウェブ状成膜対象物の両面を成膜して両面成膜体を製造するに際し、
    前記ウェブ状成膜対象物の第1の片面を成膜対象面とし、当該ウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の軸方向に対して2つに区分した表面のうち一方の区分領域に接触保持させて搬送する第1の搬送工程と、
    前記第1の搬送工程中に前記成膜装置にて前記ウェブ状成膜対象物の第1の片面を成膜する第1の成膜工程と、
    前記第1の成膜工程が完了した片面成膜済みのウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の回転方向下流側から離れる方向に搬送し、前記回転保持体の回転方向上流側に戻す戻し搬送工程と、
    前記戻し搬送工程後に、前記ウェブ状成膜対象物の第2の片面を成膜対象面とし、当該ウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の表面のうち他方の区分領域に接触保持させて搬送する第2の搬送工程と、
    前記第2の搬送工程中に前記成膜装置にて前記ウェブ状成膜対象物の第2の片面を成膜する第2の成膜工程と、
    前記第2の成膜工程が完了した両面成膜済みのウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の回転方向下流側から離れる方向に搬送し、予め決められた収容位置に両面成膜体として収容する収容搬送工程と、
    を備え、
    前記第1の搬送工程及び前記第2の搬送工程は、前記回転保持体に接触保持されている間における前記ウェブ状成膜対象物の搬送速度を個別に制御して当該ウェブ状成膜対象物を搬送することを特徴とする両面成膜体製造方法。
  2. 請求項1に記載の両面成膜体製造方法において、
    前記第1の搬送工程及び前記第2の搬送工程は、前記回転保持体の回転方向の上流側及び下流側に夫々駆動搬送部材を有し、上流側の前記駆動搬送部材と前記回転保持体との間、前記回転保持体と下流側の前記駆動搬送部材との間に速度差を付与し、前記ウェブ状成膜対象物を引張可能な状態で搬送することを特徴とする両面成膜体製造方法。
  3. 請求項1に記載の両面成膜体製造方法において、
    前記戻し搬送工程は、前記第1の搬送工程にて搬送される前記ウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の回転方向下流側から離れる方向に搬送する経路として、少なくとも前記回転保持体の軸方向に沿った方向に前記ウェブ状成膜対象物を案内した後、前記第2の搬送工程にて搬送される前記ウェブ状成膜対象物の搬送経路に対応する位置にて前記回転保持体を迂回する経路を経て前記回転保持体の回転方向上流側に戻すことを特徴とする両面成膜体製造方法。
  4. 成膜前のウェブ状成膜対象物を少なくとも収容する収容室、前記収容室に隣接して設けられて成膜用環境を保つ成膜室が設けられる装置筐体と、
    前記収容室内のウェブ状成膜対象物を前記成膜室に移動させ、前記成膜室内で成膜完了した成膜体を予め決められた収容位置に移動させる移動機構と、
    前記成膜室内に複数設置され、前記移動機構にて移動させられるウェブ状成膜対象物の両面を成膜する成膜装置と、を備え、
    前記移動機構は、前記成膜室に設置され、前記ウェブ状成膜対象物を接触保持して駆動回転し且つ予め決められた温度に調整される回転保持体と、
    前記ウェブ状成膜対象物の第1の片面を成膜対象面とし、当該ウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の軸方向に対して2つに区分した表面のうち一方の区分領域に接触保持させて搬送する第1の搬送機構と、
    前記ウェブ状成膜対象物の第2の片面を成膜対象面とし、当該ウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の軸方向に対して2つに区分した表面のうち他方の区分領域に接触保持させて搬送する第2の搬送機構と、
    前記第1の搬送機構にて前記ウェブ状成膜対象物を搬送して前記成膜装置による第1の片面の成膜処理が完了すると、片面成膜済みのウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の回転方向下流側から離れる方向に搬送し、前記回転保持体の回転方向上流側に戻す戻し搬送機構と、
    前記第2の搬送機構にて前記ウェブ状成膜対象物を搬送して前記成膜装置による第2の片面の成膜処理が完了すると、両面成膜済みのウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の回転方向下流側から離れる方向に搬送し、予め決められた収容位置に両面成膜体として収容する収容搬送機構と、
    前記第1の搬送機構及び前記第2の搬送機構に対し、前記回転保持体に接触保持されている間における前記ウェブ状成膜対象物の搬送速度を個別に制御する速度制御手段と、
    を備えたことを特徴とする両面成膜体製造装置。
  5. 請求項4に記載の両面成膜体製造装置において、
    前記ウェブ状成膜対象物は、巻出し部材から巻き出され、前記移動機構を介して移動し、巻取り部材に巻き取られることを特徴とする両面成膜体製造装置。
  6. 請求項4に記載の両面成膜体製造装置において、
    前記装置筐体の収容室は、前記成膜前のウェブ状成膜対象物及び前記両面成膜体を個別又は一緒に収容し、
    前記収容室と前記成膜室との間には両者間を遮断可能なロードロック機構を介在させたことを特徴とする両面成膜体製造装置。
  7. 請求項4に記載の両面成膜体製造装置において、
    前記第1の搬送機構及び前記第2の搬送機構は、前記ウェブ状成膜対象物を、前記回転保持体に接触保持させ、かつ、引張した状態で搬送する張力調整手段を有することを特徴とする両面成膜体製造装置。
  8. 請求項7に記載の両面成膜体製造装置において、
    前記張力調整手段は、前記第1の搬送機構及び前記第2の搬送機構に対し夫々個別に作用することを特徴とする両面成膜体製造装置。
  9. 請求項4に記載の両面成膜体製造装置において、
    前記回転保持体は、同軸の回転軸に対して個別に回転可能な2つの分割回転保持体を有し、
    各分割回転保持体が前記速度制御手段にて個別に制御されることを特徴とする両面成膜体製造装置。
  10. 請求項4に記載の両面成膜体製造装置において、
    前記戻し搬送機構は、前記第1の搬送機構にて搬送される前記ウェブ状成膜対象物を前記回転保持体の回転方向下流側から離れる方向に搬送する経路として、少なくとも前記回転保持体の軸方向に沿った方向に前記ウェブ状成膜対象物を案内する案内経路と、前記ウェブ状成膜対象物が前記案内経路を経て前記第2の搬送機構にて搬送される前記ウェブ状成膜対象物の搬送経路に対応する位置に至った後に、前記回転保持体の回転方向上流側に向かって前記回転保持体を迂回して前記ウェブ状成膜対象物を戻す迂回経路と、を有することを特徴とする両面成膜体製造装置。
  11. 請求項4に記載の両面成膜体製造装置において、
    前記戻し搬送機構は、片面成膜済みのウェブ状成膜対象物が掛け渡される張架部材の少なくとも一部には表面からガスが放出可能な機構を具備させたことを特徴とする両面成膜体製造装置。
JP2016003256A 2016-01-12 2016-01-12 両面成膜体製造方法及びその装置 Active JP6662048B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016003256A JP6662048B2 (ja) 2016-01-12 2016-01-12 両面成膜体製造方法及びその装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016003256A JP6662048B2 (ja) 2016-01-12 2016-01-12 両面成膜体製造方法及びその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017125222A JP2017125222A (ja) 2017-07-20
JP6662048B2 true JP6662048B2 (ja) 2020-03-11

Family

ID=59363789

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016003256A Active JP6662048B2 (ja) 2016-01-12 2016-01-12 両面成膜体製造方法及びその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6662048B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019038136A (ja) * 2017-08-23 2019-03-14 住友金属鉱山株式会社 両面金属積層板及びその製造方法
JP7006229B2 (ja) * 2017-12-15 2022-01-24 住友金属鉱山株式会社 両面銅張積層板の製造方法
JP7062620B2 (ja) * 2019-08-23 2022-05-06 芝浦機械株式会社 両面同形状転写装置および両面同形状転写方法
CN115369364A (zh) * 2022-07-29 2022-11-22 松山湖材料实验室 曲面薄膜沉积方法及其装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3240327B2 (ja) * 1993-10-04 2001-12-17 株式会社ヒラノテクシード ウエブターン装置
JPH07331438A (ja) * 1994-06-08 1995-12-19 Kao Corp 金属膜体の製造装置
JP5659807B2 (ja) * 2011-01-17 2015-01-28 住友金属鉱山株式会社 ロール・トゥ・ロール方式真空両面成膜装置および両面金属ベース層付樹脂フィルム製造装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017125222A (ja) 2017-07-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6662048B2 (ja) 両面成膜体製造方法及びその装置
TWI739892B (zh) 卷對卷方式之表面處理裝置及包含其之成膜裝置、以及卷對卷方式之表面處理方法及包含其之成膜方法
JP5434859B2 (ja) キャンロール上でのシワ伸ばし方法とその装置
JP2012117130A (ja) ガス導入機構を備えた長尺基板の処理装置および処理方法、ならびに長尺基板の搬送方法
EP3287543B1 (en) Roll-to-roll type treatment apparatus for long base material and deposition apparatus using the same
JP5648402B2 (ja) スパッタリング装置、スパッタリング方法及び金属ベース層付樹脂フィルムの製造方法
JP6477150B2 (ja) スパッタリング成膜方法およびそれを用いた金属化樹脂フィルムの製造方法ならびにスパッタリング成膜装置
JP6508080B2 (ja) キャンロールと長尺体の処理装置および処理方法
EP3495534B1 (en) Long substrate treatment apparatus and treatment method
JP5488477B2 (ja) キャンロール、長尺樹脂フィルム基板の処理装置及び処理方法
US20220356028A1 (en) Roller for transporting a flexible substrate, vacuum processing apparatus, and methods therefor
JP2009249703A (ja) 金属薄膜積層基板の製造方法及び真空成膜装置
JP6233167B2 (ja) 成膜方法、成膜装置およびそれを用いた金属薄膜付樹脂フィルムの製造方法
JP5794151B2 (ja) 長尺帯状体の搬送制御方法と長尺帯状体の表面処理方法
JP5494466B2 (ja) キャンロール上でのシワ伸ばし方法及びシワ伸ばし装置、並びにこれを備えた成膜装置
JP5527186B2 (ja) ガス導入機構を備えた長尺基板処理装置および処理方法
JP2020193385A (ja) 真空成膜装置と真空成膜方法
JP5849934B2 (ja) 真空成膜装置と真空成膜方法
JP6269385B2 (ja) キャンロールと長尺基板処理装置および長尺基板処理方法
JP5668677B2 (ja) 長尺帯状体の搬送制御方法と長尺帯状体の表面処理方法
JP6421490B2 (ja) キャンロール、およびスパッタリング装置
JP6252401B2 (ja) 成膜方法及びそれを用いた金属膜付樹脂フィルムの製造方法
JP2009249688A (ja) 積層基板製造方法並びに真空成膜方法及び真空成膜装置
WO2020025102A1 (en) Method of coating a flexible substrate with a stack of layers, layer stack, and deposition apparatus for coating a flexible substrate with a stack of layers
JP2006149156A (ja) 静電吸着体及びこの静電吸着体を用いたシート状被吸着物の移送方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180523

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190305

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190419

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191001

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200114

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200127

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6662048

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150