JP6269385B2 - キャンロールと長尺基板処理装置および長尺基板処理方法 - Google Patents

キャンロールと長尺基板処理装置および長尺基板処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、真空チャンバー内においてロールツーロールで搬送される長尺耐熱性樹脂フィルム等の長尺基板をキャンロールの外周面に巻き付けた状態でイオンビーム処理やスパッタリング成膜等の熱負荷が掛かる表面処理を行う長尺基板処理装置に係り、特に、簡略化された構造を有し冷却効果の高いガス放出機構付きキャンロールとこのキャンロールを用いた長尺基板処理装置および長尺基板処理方法の改良に関するものである。
液晶パネル、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話等には、フレキシブル配線基板が用いられている。フレキシブル配線基板は、耐熱性樹脂フィルムの片面若しくは両面に金属膜を成膜した金属膜付耐熱性樹脂フィルムから作製される。近年、フレキシブル配線基板に形成される配線パターンはますます微細化、高密度化しており、金属膜付耐熱性樹脂フィルム自体が皺等のない平滑なものであることがより一層重要になってきている。
この種の金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造方法としては、接着剤により金属箔を耐熱性樹脂フィルムに貼り付けて製造する方法(3層基板の製造方法と称される)、金属箔に耐熱性樹脂溶液をコーティングした後、乾燥させて製造する方法(キャスティング法と称される)、乾式めっき法(真空成膜法)若しくは乾式めっき法(真空成膜法)と湿式めっき法との組み合わせにより耐熱性樹脂フィルムに金属膜を成膜して製造する方法(メタライジング法と称される)等が従来から知られている。また、メタライジング法における上記乾式めっき法(真空成膜法)には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタリング法等がある。
上記メタライジング法として、特許文献1では、ポリイミド絶縁層上にクロムをスパッタリングした後、銅をスパッタリングしてポリイミド絶縁層上に導体層を形成する方法が開示されている。また、特許文献2では、ポリイミドフィルム上に、銅ニッケル合金をターゲットとしてスパッタリングにより形成された第一の金属薄膜と、銅をターゲットとしてスパッタリングにより形成された第二の金属薄膜の順に積層して形成されたフレキシブル回路基板用材料が開示されている。尚、ポリイミドフィルムのような耐熱性樹脂フィルム(基板)に真空成膜を行うには、スパッタリングウェブコータを用いることが一般的である。
上述した真空成膜法において、一般にスパッタリング法は密着力に優れる反面、真空蒸着法に比べて耐熱性樹脂フィルムに与える熱負荷が大きいといわれている。そして、成膜の際に耐熱性樹脂フィルムに大きな熱負荷が掛かると、フィルムに皺が発生し易くなることも知られている。この皺の発生を防ぐため、金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造装置であるスパッタリングウェブコータでは冷却機能を備えたキャンロールを搭載し、これを回転駆動してその外周面に画定される搬送経路にロールツーロールで搬送される耐熱性樹脂フィルムを巻き付けることによってスパッタリング処理中の耐熱性樹脂フィルムをその裏面側から冷却する方式が採用されている。
例えば特許文献3には、スパッタリングウェブコータの一例である巻出巻取式(ロールツーロール方式)真空スパッタリング装置が開示されている。この巻出巻取式真空スパッタリング装置には上記キャンロールの役割を担うクーリングロールが具備されており、更にクーリングロールの少なくともフィルム搬入側若しくは搬出側に設けたサブロールによってフィルムをクーリングロールに密着する制御が行われている。
しかし、非特許文献1に記載されているように、キャンロールの外周面はミクロ的に見て平坦ではないため、キャンロールとその外周面に密着して搬送されるフィルムとの間には真空空間を介して離間するギャップ部(間隙)が存在している。このため、スパッタリングや蒸着の際に生じるフィルムの熱は、実際にはフィルムからキャンロールに効率よく伝熱されているとはいえず、これがフィルム皺発生の原因となっていた。
この問題を解決するため、上記キャンロール外周面とフィルムとの間のギャップ部にキャンロール側からガスを導入し、当該ギャップ部の熱伝導率を真空に比べて高くする技術が提案されている。
上記ギャップ部にキャンロール側からガスを導入する具体的な方法として、例えば特許文献4には、キャンロール外周面にガスの放出口となる多数の微細孔を設ける技術が開示され、特許文献5には、キャンロール外周面にガスの放出口となる溝を設ける技術が開示されている。また、キャンロール自体を多孔質体で構成し、その多孔質体自身の微細孔をガス放出口とする方法も知られている。
更に、特許文献6には、図3〜図4に示すように、キャンロール56の肉厚部に複数のガス導入路14が設けられ、かつ、各ガス導入路14には多数のガス放出孔15が設けられていると共に、上記ガス導入路14の各々に真空チャンバー外部のガスを供給するガスロータリージョイント20を備えた技術が開示されている。
ところで、キャンロール外周面とフィルムとの間のギャップ部にキャンロール側からガスを導入させる機構を有するいずれのガス放出キャンロールであっても、フィルムを冷却するためには、放出されるガスだけでは十分でない。このため、図4に示すようにキャンロール56を冷却する機構が必要になる。そして、水冷による冷却方法では、ガス放出キャンロール表面側におけるガス放出機構の内側に、冷却水等の冷媒が流通する冷媒循環部11を形成するようになっている。
しかし、冷媒(冷却水)で冷却されるキャンロールは、上述したようにキャンロール内部に冷媒(冷却水)を循環させる必要があるため、図4に示すように複雑な構造となり、かつ、循環させる冷媒(冷却水)に起因してキャンロールの回転抵抗が大きくなる問題を有する。
更に、キャンロール56の肉厚部に上述したガス導入路14を複数設ける際、ガンドリルを使用する必要があるため、莫大な手間とコストがかかる問題を有している。
特開平2−98994号公報 特許第3447070号公報 特開昭62−247073号公報 国際公開第2005/001157号パンフレット 米国特許第3414048号明細書 特開2012−132081号公報
"Vacuum Heat Transfer Models for Web Substrates: Review of Theory and Experimental Heat Transfer Data", 2000 Society of Vacuum Coaters, 43rdAnnual Technical Conference Proceeding, Denver, April 15-20, 2000, p.335 "Improvement of Web Condition by the Deposition Drum Design", 2000 Society of Vacuum Coaters, 50th Annual Technical Conference Proceeding (2007), p.749
本発明はこのような従来の問題点に着目してなされたものであり、その課題とするところは、簡略化された構造を有しかつ冷却効果の高いガス放出機構付きキャンロールを提供し、合わせて上記ガス放出機構付きキャンロールを用いた長尺基板処理装置および長尺基板処理方法を提供することにある。
そこで、上記課題を解決するため本発明者が鋭意研究を重ねた結果、キャンロール内部に冷却水循環路等を設ける従来の構造に変えて、クライオコイル等の冷却コイルをキャンロール内部に設けかつ冷却コイルによりキャンロール内部に供給されたガスとキャンロール本体を冷却する構造を採用することで解決できることを見出すに至った。
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
真空チャンバー内においてロールツーロールで搬送される長尺基板を外周面に巻き付けて冷却するキャンロールにおいて、
筒状の非回転軸と、
単一の円筒体で構成されその外周面に複数のガス放出孔が設けられた円筒部と、該円筒部の開放端側を閉止しかつ中心部に開口が設けられた一対の円形側部を有すると共に、上記非回転軸が各円形側部の開口に嵌入されて各円形側部が非回転軸に回転可能に装着されたキャンロール本体と、
上記円筒部内における非回転軸の外周面に巻回されかつ非回転軸の筒内に設けられた配管を介し真空チャンバー外部のクライオ冷凍機から冷媒が供給されるクライオコイルにより構成される冷却コイルと、
上記非回転軸の筒内に設けられかつ真空チャンバーの外部から供給されるガスを円筒部の内側空間に放出するガス導入管と、
上記キャンロール本体を回転駆動する駆動手段を具備し、
上記キャンロール本体における円筒部の内側空間に露出した上記冷却コイルにより円筒部と該円筒部内のガスが冷却されるようになっていることを特徴とする。
また、本発明に係る第2の発明は、
真空チャンバーと、該真空チャンバー内においてロールツーロールで長尺基板を搬送する搬送機構と、外周面に長尺基板を巻き付けて冷却するキャンロールと、キャンロールの外周面に巻き付けられた長尺基板に対して熱負荷の掛かる表面処理を施す処理手段を備えた長尺基板処理装置において、
第1の発明に係るキャンロールにより上記キャンロールが構成されていることを特徴とし、
本発明に係る第3の発明は、
真空チャンバー内においてロールツーロールで搬送される長尺基板をキャンロールの外周面に巻き付けると共に、キャンロールの外周面に設けられた複数のガス放出孔から上記外周面と長尺基板との間に冷却ガスを導入しながら長尺基板に対して熱負荷の掛かる表面処理を行う長尺基板処理方法において、
上記キャンロールを、筒状の非回転軸と、単一の円筒体で構成されその外周面に複数のガス放出孔が設けられた円筒部と該円筒部の開放端側を閉止しかつ中心部に開口が設けられた一対の円形側部を有すると共に上記非回転軸が各円形側部の開口に嵌入されて各円形側部が非回転軸に回転可能に装着されたキャンロール本体と、上記円筒部内における非回転軸の外周面に巻回されかつ非回転軸の筒内に設けられた配管を介し真空チャンバー外部のクライオ冷凍機から冷媒が供給されるクライオコイルにより構成される冷却コイルと、上記非回転軸の筒内に設けられかつ真空チャンバーの外部から供給されるガスを円筒部の内側空間に放出するガス導入管と、上記キャンロール本体を回転駆動する駆動手段とで構成し、
上記キャンロール本体における円筒部の内側空間に露出した上記冷却コイルにより円筒部と該円筒部内のガスを冷却しながらキャンロール外周面に巻き付けられた長尺基板に対し熱負荷の掛かる表面処理を行うことを特徴とするものである。
本発明に係るキャンロールは、
筒状の非回転軸と、単一の円筒体で構成されその外周面に複数のガス放出孔が設けられた円筒部と該円筒部の開放端側を閉止しかつ中心部に開口が設けられた一対の円形側部を有すると共に上記非回転軸が各円形側部の開口に嵌入されて各円形側部が非回転軸に回転可能に装着されたキャンロール本体と、上記円筒部内における非回転軸の外周面に巻回されかつ非回転軸の筒内に設けられた配管を介し真空チャンバー外部のクライオ冷凍機から冷媒が供給されるクライオコイルにより構成される冷却コイルと、上記非回転軸の筒内に設けられかつ真空チャンバーの外部から供給されるガスを円筒部の内側空間に放出するガス導入管と、上記キャンロール本体を回転駆動する駆動手段とで構成され、キャンロール内部に冷却水循環路等を設ける従来のキャンロールに較べて構造が簡略化されているため、低コストにより簡便に製造できる効果を有している。
また、本発明に係るキャンロールを適用することで長尺耐熱性樹脂フィルム等の長尺基板に皺や傷等が発生し難い長尺基板処理装置等を低コストで提供できる効果も有する。
本発明に係るキャンロールの概略構成を示す説明図。 キャンロールが組み込まれた長尺基板処理装置(スパッタリングウェブコータ)の概略構成を示す説明図。 キャンロール内部に冷却水循環路等が設けられた従来のキャンロールを示す概略斜視図。 従来のキャンロールの概略構成を示す説明図。 従来のキャンロールにおける肉厚部に設けられたガス導入路の概略斜視図。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて具体的に説明する。
(1)長尺基板処理装置(スパッタリングウェブコータ)
まず、長尺基板処理装置の一例である長尺基板真空成膜装置について説明する。
尚、長尺基板には、一例として長尺耐熱性樹脂フィルムを用いる場合について説明する。
また、長尺基板に対して施される熱負荷の掛かる表面処理として、スパッタリング処理を例にとって説明する。
図2に示す長尺耐熱性樹脂フィルムの成膜装置はスパッタリングウェブコータと称される装置であり、ロールツーロールで搬送される長尺状耐熱樹脂フィルム表面に連続的に効率よく成膜処理を施す場合に用いられる。
具体的に説明すると、ロールツーロールで搬送される長尺耐熱性樹脂フィルムの成膜装置(スパッタリングウェブコータ)50は、図2に示すように真空チャンバー51内に設けられており、巻き出しロール52から巻き出された長尺耐熱性樹脂フィルムFに対して所定の成膜処理を行った後、巻き取りロール64で巻き取るようになっている。これら巻き出しロール52から巻き取りロール64までの搬送経路の途中に、モータで回転駆動されるキャンロール56が配置されている。
真空チャンバー51内では、スパッタリング成膜のため、到達圧力10-4Pa程度までの減圧と、その後のスパッタリングガスの導入による0.1〜10Pa程度の圧力調整が行われる。スパッタリングガスにはアルゴン等公知のガスが使用され、目的に応じて更に酸素等のガスが添加される。真空チャンバー51の形状や材質は、このような減圧状態に耐え得るものであれば特に限定はなく、種々のものを使用することができる。上記したように真空チャンバー51内を減圧してその状態を維持するため、真空チャンバー51には図示しないドライポンプ、ターボ分子ポンプ等の種々の装置が具備されている。
巻き出しロール52からキャンロール56までの搬送経路には、長尺耐熱性樹脂フィルムFを案内するフリーロール53と、長尺耐熱性樹脂フィルムFの張力の測定を行う張力センサロール54とがこの順で配置されている。また、張力センサロール54から送り出されてキャンロール56に向かう長尺耐熱性樹脂フィルムFは、キャンロール56の近傍に設けられたモータ駆動のフィードロール55によって、キャンロール56の周速度に対する調整が行われ、これによりキャンロール56の外周面に長尺耐熱性樹脂フィルムFを密着させることができる。
キャンロール56から巻き取りロール64までの搬送経路も、上記同様に、キャンロール56の周速度に対する調整を行うモータ駆動のフィードロール61、長尺耐熱性樹脂フィルムFの張力の測定を行う張力センサロール62、および長尺耐熱性樹脂フィルムFを案内するフリーロール63がこの順に配置されている。
上記巻き出しロール52および巻き取りロール64では、パウダークラッチ等によるトルク制御によって長尺耐熱性樹脂フィルムFの張力バランスが保たれている。また、キャンロール56の回転とこれに連動して回転するモータ駆動のフィードロール55、61により、巻き出しロール52から長尺耐熱性樹脂フィルムFが巻き出されて巻き取りロール64に巻き取られるようになっている。
キャンロール56の近傍には、キャンロール56の外周面で画定される搬送経路(キャンロール56外周面の内の長尺耐熱性樹脂フィルムFが巻き付けられる領域)に対向する位置に、成膜手段としてのマグネトロンスパッタリングカソード57、58、59および60が設けられている。
金属膜のスパッタリング成膜の場合は、図2に示すように板状のターゲットを使用することができるが、板状ターゲットを用いた場合、ターゲット上にノジュール(異物の成長)が発生することがある。これが問題になる場合は、ノジュールの発生がなく、ターゲットの使用効率も高い円筒形のロータリーターゲットを使用することが好ましい。
また、図2に示す長尺耐熱性樹脂フィルムFの成膜装置50は、熱負荷の掛かる表面処理としてスパッタリング処理を想定したものであるためマグネトロンスパッタリングカソードが図示されているが、熱負荷の掛かる表面処理がCVD(化学蒸着)、蒸着処理、プラズマ処理、イオンビーム処理等の他のものである場合は、板状ターゲットに代えて他の真空成膜手段が設けられる。
(2)特許文献6に係る従来構造のガス放出機構付きャンロール
(2-1)従来構造のガス放出機構付きャンロール
次に、特許文献6に係る従来構造のガス放出機構付きャンロールについて図3〜図4を参照しながら説明する。図3〜図4に示す従来構造のキャンロール56は、図示しない駆動装置により回転中心軸を中心として回転駆動される円筒部材10で構成されている。この円筒部材10の外表面に長尺耐熱性樹脂フィルムFを巻き付けながら搬送する搬送経路が画定される。円筒部材10の内表面側には、冷却水等の冷媒が流通する冷媒循環部11がジャケット構造で形成されている。
また、図4に示すように円筒部材10の回転中心軸部分に位置する回転軸12は二重配管構造になっており、この回転軸12を介して真空チャンバー51の外部に設けられた図示しない冷媒冷却装置と冷媒循環部11との間で冷媒が循環するようになっており、これによりキャンロール外周面の温度調節が可能となっている。
すなわち、冷媒冷却装置で冷却された冷媒は、内側配管12aの内側を経て冷媒循環部11に送られ、ここで長尺耐熱性樹脂フィルムFの熱を受け取って昇温した後、内側配管12aと外側配管12bとの間の空間を経て再び冷媒冷却装置に戻される。尚、外側配管12bの外側には回転するキャンロール56を支持するベアリング13が設けられている。
このキャンロール56の円筒部材10には、周方向に略均等な間隔をあけて全周に亘って複数のガス導入路14が配設されている。これら複数のガス導入路14の各々は、キャンロール56の回転中心線56a方向に沿って延在するように円筒部材10の肉厚部内に穿設されている。尚、図3には、12本のガス導入路14が均等な間隔をあけて全周に亘って配設されている例が示されている。
各ガス導入路14は、円筒部材10の外表面側(すなわち、キャンロール56の外周面側)に開口する複数のガス放出孔15を有している。これら複数のガス放出孔15は、キャンロール56の回転中心線56a方向に沿って略均等な間隔をあけて穿設されている。そして、図3〜図4に示すように回転リングユニット21と固定リングユニット22から成るガスロータリージョイント20を介して真空チャンバー51の外部から各ガス導入路14にガスが供給されるようになっており、これによりキャンロール56の外周面とそこに巻き付けられる長尺耐熱性樹脂フィルムFとの間に形成されるギャップ部(間隙)にガスを導入することが可能となる。
上記長尺耐熱性樹脂フィルムFとキャンロール56表面は上述したように完全な平面ではないため、そのギャップ部(間隙)が真空により断熱されて熱伝導効率を低下させており、スパッタリング成膜の際の熱による耐熱性樹脂フィルムFの皺発生原因となっている。非特許文献2によれば、導入ガスがアルゴンガスの場合、導入ガス圧力が500Paでギャップ間距離が約40μm以下のとき、ギャップ間の熱伝導率は250(W/m2・K)となる。また、キャンロール56の表面と長尺耐熱性樹脂フィルムFのギャップ間距離が40μm程度のとき、このギャップからリークするガスの量は長尺基板真空成膜装置が備える真空ポンプで排気可能であり、かつ、ギャップに導入するガスをスパッタリング雰囲気のガスとすればスパッタリング雰囲気を汚染することもない。
(2-2)ガスロータリージョイント
上記ガスロータリージョイント20は回転物に対してガスを分配する機構を有する。
ガスロータリージョイント20は、図3に示すようにガス導入側の固定リングユニット22とガス放出側の回転リングユニット21とで構成され、ガス放出側の回転リングユニット21はキャンロール56と固定されて回転が可能な構造になっていて、ガス放出側の回転リングユニット21から放射状に伸びるガス分配管25を備える。ガス分配管25はガス導入路14に連通している。真空チャンバー51の外部から供給されるガスは、上記ガスロータリージョイント20の固定リングユニット22と回転リングユニット21を介しガス導入路14を経てガス放出孔15からキャンロール56の表面に放出される。
上記ガスロータリージョイント20には、公知のガスシール手段を具備させることで、ガスロータリージョイント20からのガスのリークを防ぐことができる。
(2-3)特許文献6に係る従来構造のガス放出機構付きャンロールの問題点
従来構造のガス放出機構付きャンロールにおいては、上述したようにキャンロール56表面側におけるガス放出機構の内側に冷却水等の冷媒が流通する冷媒循環部11を形成する必要があるため、図3〜図4に示すようにロール本体の構造が複雑になる欠点があり、かつ、循環させる冷媒(冷却水)に起因してキャンロール56の回転抵抗が大きくなる欠点を有すると共に、真空チャンバー51の外部からガスを供給するためのガスロータリージョイント20が必要となる欠点を有している。
更に、図3に示すようにキャンロール56の回転中心線56a方向に沿って延在するように、円筒部材10の肉厚部100内にガンドリルを用いて複数のガス導入路14を穿設する(図5参照)必要があるため、莫大な手間とコストがかかる問題を有している。
(3)冷却コイルを有する本発明に係るガス放出機構付きャンロール
本発明に係るガス放出機構付きャンロールは、キャンロール内部に冷却水循環路等の冷媒循環部を設ける従来の構造に変えて、クライオコイルにより構成される冷却コイルをキャンロール内部に設けかつキャンロール内部に供給されるガスとキャンロール本体を上記冷却コイルにより冷却する構造が採用されていることを特徴とする。
(3-1)本発明に係るガス放出機構付きャンロール
すなわち、本発明のガス放出機構付きャンロール56は、
図1に示すように真空チャンバー壁70の取付け口に両端側を嵌入して装着された筒状の非回転軸76と、
単一の円筒体で構成されその外周面に複数のガス放出孔73が設けられた円筒部と、該円筒部の開放端側を閉止しかつ中心部に開口が設けられた一対の円形側部を有すると共に、上記非回転軸76が各円形側部の開口に嵌入されて各円形側部が非回転軸76に回転可能に装着されたキャンロール本体71と、
上記円筒部内における非回転軸76の外周面に巻回されかつ非回転軸76の筒内に設けられた配管82を介し真空チャンバー外部のクライオ冷凍機から冷媒が供給されるクライオコイルにより構成される冷却コイル80と、
上記非回転軸76の筒内に設けられかつ真空チャンバーの外部から供給されるガスを円筒部の内側空間72に放出するガス導入管81と、
上記キャンロール本体71を回転駆動する駆動手段(キャンロール本体71における一方の円形側部に取り付けられた歯車77とモータ79と該モータ79の回転軸に取り付けられた歯車78から成る)を具備することを特徴とするものである。
上記冷却コイル80の内部には−100℃以下の冷媒が流通しており、冷却コイル80は以下の2つの効果によりキャンロール56と長尺耐熱性樹脂フィルムFを冷却する。
(A)冷却コイル80と、キャンロール56と長尺耐熱性樹脂フィルムFとの温度差による輻射冷却。
(B)冷却コイル80で冷やされたガスをキャンロール56と長尺耐熱性樹脂フィルムFに吹き付けることによるガス冷却。
そして、上記輻射冷却を行うためには、冷却コイル80とキャンロール56と長尺耐熱性樹脂フィルムFとの温度差が高い程、効率がよい。スパッタリング成膜時におけるキャンロール56の温度は約263K(−10℃)が好ましいので、冷却コイル80とキャンロール56と長尺耐熱性樹脂フィルムFとの温度差を少なくとも200K以上得るためには、冷却コイル80を63K(−210℃)以下にするとよい。
但し、冷却コイル80を極端に冷却してしまうと、冷却コイル80とキャンロール56と長尺耐熱性樹脂フィルムF間に導入するガスが冷却コイル80に凝縮してしまうことがある。冷却コイル80とキャンロール56と長尺耐熱性樹脂フィルムF間に導入された冷却ガスの圧力は、平衡蒸気圧曲線に従い冷却コイル80温度における平衡蒸気圧よりも低くなければならない。別な言い方をすれば、冷却コイル80の温度は、導入されたガスの圧力条件下においてガスの平衡蒸気圧曲線に従い該ガスが凝集する温度より高い温度でなければならない。すなわち、冷却コイル80の温度は、冷却コイル80とキャンロール56と長尺耐熱性樹脂フィルムF間に導入されたガスの圧力により定まり、例えば、100Paのアルゴンガス圧力ならば55K(−218℃)以上となる。
また、ガス導入管81を介して導入するガスは、熱伝導性のよい、水素、ヘリウム、アルゴン、酸素等があり、ガス放出孔73から真空チャンバー内へガスが拡散した際に成膜に影響を与えないガスがよく、ヘリウム、アルゴンが好ましい。
キャンロール56は、輻射冷却によりキャンロール56全体が冷却される仕組みになっている。非回転軸76の筒内に設けられたガス導入管81によりガス放出孔73へガスが導かれる構造のため、従来構造のガス放出機構付きャンロールにおいて円筒部材10の肉厚部100内に穿設されたガス導入路14を設ける必要がない。ガス導入路14はガンドリルを用いて穿設加工する工法のため膨大な手間と時間を費やしていた。キャンロール本体71の円形側部は軸受(ベアリング)74に支持され、かつ、Oリング75によりシールされて、外部からモータ79の駆動力が歯車78、歯車77を経由して伝達され、キャンロール56が回転する。
尚、上記ガス放出孔73の個数は、キャンロール56外周面の内の長尺耐熱性樹脂フィルムFが巻き付けられる領域の面積や、ガス放出量により適宜定められる。各ガス放出孔73の直径は、キャンロール56の外周面とそこに巻き付けられる長尺耐熱性樹脂フィルムFとの間に形成されるギャップ部(隙間)にガスを良好に導入できる大きさであれば特に限定されないが、一般的に、直径30μm〜1000μm程度が好ましい。また、キャンロール56外周面には、極小の内径を有するガス放出孔73を狭ピッチにして多数設けた方がキャンロール外周面の全面に亘って熱伝導性を均一化できるという点において好ましい。但し、極小内径を有する孔を狭ピッチで多数設ける加工技術には困難を伴うので、現実的には内径150〜500μm程度の小孔を、5〜10mmピッチでキャンロール外周面に設けることが好ましい。
(3-2)本発明に係るガス放出機構付きャンロールの優位点
本発明に係るガス放出機構付きャンロールは、キャンロール内部に冷却水循環路等の冷媒循環部を設ける従来の構造に変えて、クライオコイルにより構成される冷却コイルをキャンロール内部に設けかつキャンロール内部に供給されるガスとキャンロール本体を上記冷却コイルにより冷却する構造が採用されているため、従来構造のガス放出機構付きャンロールと比較してロール構造の簡略化(図1と図4参照)が図れ、かつ、冷却水循環路等の冷媒循環部を設ける構造に変えて非回転軸76の外周面にクライオコイルにより構成される冷却コイル80を巻回させる構造になっているためキャンロールの回転抵抗が小さいと共に、ガスロータリージョイントが不要となる優位点を有している。
更に、円筒部材の肉厚部内にガンドリルを用いてガス導入路が穿設される従来構造のガス放出機構付きャンロールとは異なり、本発明に係るガス放出機構付きャンロールは、キャンロール本体71の円筒部外周面にガス放出孔73を複数設けた簡略な構造になっているため製造に要する手間とコストの低減が図れる優位点を有している。
(4)長尺基板
長尺基板としては、金属箔や金属ストリップはもちろん樹脂フィルム等を用いることができる。
樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのような樹脂フィルムやポリイミドフィルムのような耐熱性樹脂フィルムが挙げられる。
長尺基板に耐熱性樹脂フィルムを用い、本発明に係る長尺基板真空成膜装置(長尺基板処理装置)を用いて金属膜をスパッタリング成膜すれば金属膜付耐熱性樹脂フィルムを製造することができる。具体的には、上述した長尺基板処理装置(スパッタリングウェブコータ)を用いることにより、フィルム皺の不具合が無い金属膜付長尺耐熱性樹脂フィルムをメタライジング法で得ることができる。
上記金属膜付長尺耐熱性樹脂フィルムとしては、耐熱性樹脂フィルムの表面にNi系合金等から成る膜とCu膜が積層された構造体が例示される。このような構造を有する金属膜付耐熱性樹脂フィルムはサブトラクティブ法によりフレキシブル配線基板に加工される。ここで、サブトラクティブ法とは、レジストで覆われていない金属膜(例えば、上記Cu膜)をエッチングにより除去してフレキシブル配線基板を製造する方法である。上記Ni合金等から成る膜はシード層と呼ばれ、金属膜付耐熱性樹脂フィルムの電気絶縁性や耐マイグレーション性等の所望の特性によりその組成が選択される。そして、シード層には、Ni−Cr合金やインコネルやコンズタンタンやモネル等の各種公知の合金を用いることができる。
また、金属膜付長尺耐熱性樹脂フィルムの金属膜(Cu膜)を更に厚くしたい場合、湿式めっき法を用いて金属膜を形成することがある。そして、電気めっき処理のみで金属膜を形成する場合と、一次めっきとして無電解めっき処理を行い、二次めっきとして電解めっき処理等の湿式めっき法を組み合わせて行う場合がある。湿式めっき処理は、常法による湿式めっき法の諸条件を採用すればよい。
また、上記金属膜付耐熱性樹脂フィルムに用いる耐熱性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレン系フィルム、ポリフェニレンサルファイド系フィルム、ポリエチレンナフタレート系フィルムまたは液晶ポリマー系フィルムから選ばれる樹脂フィルムが挙げられ、金属膜付フレキシブル基板としての柔軟性、実用上必要な強度、配線材料として好適な電気絶縁性を有する点から好ましい。
尚、上記金属膜付耐熱性樹脂フィルムとして、長尺耐熱性樹脂フィルムへNi-Cr合金やCu等の金属膜を積層した構造体を例示したが、上記金属膜のほか、目的に応じて酸化物膜、窒化物膜、炭化物膜等の成膜に本発明の成膜方法を用いることが可能である。
(5)長尺基板処理装置
これまで、長尺基板処理装置として長尺基板真空成膜装置を中心に説明してきたが、長尺基板処理装置の場合には、減圧雰囲気下の真空チャンバー内において長尺基板にスパッタリング等の真空成膜に変えてプラズマ処理やイオンビーム処理等の熱負荷が掛かる表面処理を行うこともある。プラズマ処理やイオンビーム処理により長尺基板の表面を改質することが可能であるが、長尺基板に熱負荷が掛かる。熱負荷による長尺基板の皺発生を抑制するために、本発明に係るキャンロールを用いることが効果的であり、しかも処理雰囲気に多量の導入ガスがリークすることも防げる。
プラズマ処理は、公知のプラズマ処理方法、例えばアルゴンと酸素の混合ガスまたはアルゴンと窒素の混合ガスによる減圧雰囲気下において放電を行うことにより、酸素プラズマまたは窒素プラズマを発生させて長尺基板を処理することができる。
また、イオンビーム処理は、公知のイオンビーム源を用いることができる。イオンビーム処理は、強い磁場を印加した磁場ギャップでプラズマ放電を発生させて、プラズマ中の陽イオンを陽極による電解でイオンビームとして目的物(長尺基板)へ照射する処理である。
尚、プラズマ処理やイオンビーム処理とも減圧雰囲気下において行われる。
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明する。
尚、組み込まれているガス放出機構付きャンロールの構造が相違している点を除き、実施例1と比較例1は、図2に示す金属膜付長尺耐熱性樹脂フィルムの成膜装置(スパッタリングウェブコータ)50を用い、かつ、幅500mm、長さ800m、厚さ25μmの耐熱性ポリイミドフィルム[宇部興産株式会社製「ユーピレックス(登録商標)]から成る長尺耐熱性樹脂フィルムFがそれぞれ使用されている。
[実施例1]
上記成膜装置(スパッタリングウェブコータ)50に組み込まれた図1に示すガス放出機構付きャンロール56のキャンロール本体71は、直径900mm、幅750mmのアルミニウムで構成され、かつ、ロール本体表面にハードクロムめっきが施されている。
また、冷却コイル80には、最大許容負荷1500Wクラスのクライオコイル[ブルックスオートメーションシステムズ社製ポリコールド]を用い、キャンロールの駆動には、歯車77、78を介しモータで駆動した。
また、キャンロール本体71の円筒部外周面に、筒状の非回転軸(固定軸)76を中心に、角度1°毎に360列、かつ、間隔10mm毎に直径0.2mmのガス放出孔73が47個[ガス放出孔73の合計:(47個/列)×360列=16920個]設けられており、長尺耐熱性樹脂フィルムFの両端20mm付近に対応する円筒部外周面に上記ガス放出孔73は存在しない。
また、成膜する金属膜としては、シード層であるNi−Cr膜の上にCu膜を成膜するものとし、図2に示すマグネトロンスパッタターゲット57にはNi−Crターゲットを用い、マグネトロンスパッタターゲット58、59、60にはCuターゲットを用い、かつ、アルゴンガスを300sccm導入すると共に、各カソードへの印加電力は10kWの電力制御で成膜を行った。尚、図2に示す巻き出しロール51と巻き取りロール64の張力は100Nとした。
また、キャンロール56の冷却はクライオコイル80の輻射冷却により−10℃に制御しているが、長尺耐熱性樹脂フィルムFとキャンロール56との熱伝導効率が良好でないと冷却効果は期待できない。尚、クライオコイル80単体は−120℃程度まで冷却することができる。
そして、巻き出しロール52に長尺耐熱性樹脂フィルムFをセットし、かつ、上記キャンロール56を経由して長尺耐熱性樹脂フィルムFの先端部を巻き取りロール64に取り付けた。
また、真空チャンバー51を複数台のドライポンプにより5Paまで排気した後、更に、複数台のターボ分子ポンプとクライオコイル80を用いて3×10-3Paまで排気した。
そして、長尺耐熱性樹脂フィルムFの搬送速度を3m/分に設定した後、各マグネトロンスパッタカソード57、58、59、60にアルゴンガスを導入しかつ電力を印加して、Ni−Cr膜のシード層とCu膜の成膜を開始した。
また、長尺耐熱性樹脂フィルムFとキャンロール56との間に形成されるギャップ部(間隙)にガス圧力を500Paに保つため、非回転軸(固定軸)76の筒内に設けられたガス導入管81から100sccmのアルゴンガスを導入した。上記ギャップ部(間隙)に導入するガスはアルゴンガスに限定されるものでなく、スパッタリング成膜に影響がなければ、上述した水素、ヘリウム、酸素、および、窒素、ネオン等が使用できる。
尚、成膜中におけるキャンロール56上の長尺耐熱性樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)F表面を観察できる観察窓から、キャンロールへのガス導入を行っている600mまでの長尺耐熱性樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)Fを観察しところ、マグネトロンスパッタリングカソード57、58、59、60の成膜ゾーンを通過した成膜直後における長尺耐熱性樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)Fの進行方向と平行な方向に、皺発生の原因となるキャンロール56上における長尺耐熱性樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)Fの浮きが観察されることは無かった。
そして、長さ600mの長尺耐熱性樹脂フィルムFが通過した時点で、各プラズマ反応室のプラズマと各マグネトロンスパッタカソードへの電力を停止し、かつ、それぞれのガス導入も停止した。
最後に、長尺耐熱性樹脂フィルムFの搬送を停止し、かつ、各ポンプを停止してからベント(大気開放)し、巻き出しロール52から長尺耐熱性樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)Fの終端部を外し、全ての長尺耐熱性樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)Fを巻き取りロール64に巻き取ってから取り外した。
そして、成膜が完了した後、巻き取りロール64に巻き取られた長尺耐熱性樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)Fを大気中にて展開し、皺および傷の有無を確認したところ、キャンロール56へのガス導入を行っていた0〜600mまでの間に皺および傷は確認されなかった。
[比較例1]
上記成膜装置(スパッタリングウェブコータ)50に組み込まれた図3〜図4に示すガス放出機構付きャンロール56の円筒部材10は、直径900mm、幅750mmのアルミニウムで構成され、かつ、円筒部材10の表面にハードクロムめっきが施されている。
また、ジャケットロール構造を有する円筒部材10の肉厚部内に、直径4mmの360本のガス導入路14を穿設すると共に、1本のガス導入路14に対し、間隔10mm毎に直径0.2mmのガス放出孔15が47個[ガス放出孔15の合計:(47個/列)×360列=16920個]設けられており、実施例1と同様、長尺耐熱性樹脂フィルムFの両端20mm付近に対応する円筒部材10外周面に上記ガス放出孔15は存在しない。
尚、このキャンロール56は、キャンロール56と回転軸12が一体化しているので全体が回転する機構になっている。また、キャンロール56の360本のガス導入路14を図3〜図4に示すガスロータリージョイント20に直接接続するのは困難なため、ガス導入路14の10本をガス分配管(図示せず)に接続した後、図示外のガス導入チューブに接続している。
また、実施例1と同様、成膜する金属膜は、シード層であるNi−Cr膜の上にCu膜を成膜するものとし、図2に示すマグネトロンスパッタターゲット57にはNi−Crターゲットを用い、マグネトロンスパッタターゲット58、59、60にはCuターゲットを用い、かつ、アルゴンガスを300sccm導入すると共に、各カソードへの印加電力は10kWの電力制御で成膜を行った。尚、図2に示す巻き出しロール51と巻き取りロール64の張力は80Nとした。
また、キャンロール56の冷媒循環部11内には−10℃に温度制御された冷熱媒(商品名:ナイブライン)を循環させたが、長尺耐熱性樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)Fとキャンロール56との熱伝導効率が良好でないと冷却効果は期待できない。
そして、巻き出しロール52に長尺耐熱性樹脂フィルムFをセットし、かつ、上記キャンロール56を経由して長尺耐熱性樹脂フィルムFの先端部を巻き取りロール64に取り付けた。
また、真空チャンバー51を複数台のドライポンプにより5Paまで排気した後、更に、複数台のターボ分子ポンプと真空チャンバー51内に設置されているクライオコイルを用いて3×10-3Paまで排気した。
そして、長尺耐熱性樹脂フィルムFの搬送速度を3m/分に設定した後、各マグネトロンスパッタカソード57、58、59、60にアルゴンガスを導入しかつ電力を印加して、Ni−Cr膜のシード層とCu膜の成膜を開始した。
また、長尺耐熱性樹脂フィルムFとキャンロール56との間に形成されるギャップ部(間隙)にガス圧力を500Paに保つため、キャンロール56に取り付けられた上記ガスロータリージョイント20に100sccmのアルゴンガスを導入した。
尚、実施例1と同様、成膜中におけるキャンロール56上の長尺耐熱性樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)F表面を観察できる観察窓から、キャンロール56へのガス導入を行っている600mまでの長尺耐熱性樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)Fを観察しところ、マグネトロンスパッタリングカソード57、58、59、60の成膜ゾーンを通過した成膜直後における長尺耐熱性樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)Fの進行方向と平行な方向に、皺発生の原因となるキャンロール56上における長尺耐熱性樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)Fの浮きが観察されることは無かった。
そして、長さ600mの長尺耐熱性樹脂フィルムFが通過した時点で、各プラズマ反応室のプラズマと各マグネトロンスパッタカソードへの電力を停止し、かつ、それぞれのガス導入も停止した。
最後に、長尺耐熱性樹脂フィルムFの搬送を停止し、かつ、各ポンプを停止してからベント(大気開放)し、巻き出しロール52から長尺耐熱性樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)Fの終端部を外し、全ての長尺耐熱性樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)Fを巻き取りロール64に巻き取ってから取り外した。
そして、成膜が完了した後、巻き取りロール64に巻き取られた長尺耐熱性樹脂フィルム(耐熱性ポリイミドフィルム)Fを大気中にて展開し、皺および傷の有無を確認したところ、キャンロール56へのガス導入を行っていた0〜600mまでの間に皺および傷は確認されなかった。
[確 認]
図3〜図4に示した比較例1に係るガス放出機構付きャンロールと比較し、図1に示す実施例1に係るガス放出機構付きャンロールは、従来のガス導入路14と冷媒循環部11を具備しない簡略化された構造であるにも拘らず同等な性能を有しており、しかも、キャンロールの製造期間・コスト共に大幅に軽減でき、かつ、キャンロール本体が軽量のため小型のモータを使用できる等節電にも寄与できる優位性を有していることが確認される。
本発明に係るガス放出機構付きャンロールは、従来のガス放出機構付きャンロールと較べて簡略化された構造であるにも拘らず同等な性能を有していることから低コストで提供できるため、液晶テレビ、携帯電話等のフレキシブル配線基板に用いられる銅張積層樹脂フィルム(金属膜付耐熱性樹脂フィルム)の製造装置並びに製造方法として適用される産業上の利用可能性を有している。
10 円筒部材
11 冷媒循環部
12 回転軸
12a 内側配管
12b 外側配管
13 ベアリング
14 ガス導入路
15 ガス放出孔
20 ガスロータリージョイント
21 回転リングユニット
22 固定リングユニット
25 ガス分配管
26 ガス供給管
50 成膜装置(スパッタリングウェブコータ)
51 真空チャンバー
52 巻き出しロール
53 フリーロール
54 張力センサロール
55 フィードロール
56 キャンロール
56a 回転中心線
57 マグネトロンスパッタリングカソード
58 マグネトロンスパッタリングカソード
59 マグネトロンスパッタリングカソード
60 マグネトロンスパッタリングカソード
61 フィードロール
62 張力センサロール
63 フリーロール
64 巻き取りロール
70 真空チャンバー壁
71 キャンロール本体
72 円筒部の内側空間
73 ガス放出孔
74 軸受(ベアリング)
75 Oリング
76 非回転軸(固定軸)
77 歯車(ギヤ)
78 歯車(ギヤ)
79 モータ
80 冷却コイル(クライオコイル)
81 ガス導入管
82 配管(冷媒配管)
100 肉厚部
F 長尺耐熱性樹脂フィルム(長尺基板)

Claims (9)

  1. 真空チャンバー内においてロールツーロールで搬送される長尺基板を外周面に巻き付けて冷却するキャンロールにおいて、
    筒状の非回転軸と、
    単一の円筒体で構成されその外周面に複数のガス放出孔が設けられた円筒部と、該円筒部の開放端側を閉止しかつ中心部に開口が設けられた一対の円形側部を有すると共に、上記非回転軸が各円形側部の開口に嵌入されて各円形側部が非回転軸に回転可能に装着されたキャンロール本体と、
    上記円筒部内における非回転軸の外周面に巻回されかつ非回転軸の筒内に設けられた配管を介し真空チャンバー外部のクライオ冷凍機から冷媒が供給されるクライオコイルにより構成される冷却コイルと、
    上記非回転軸の筒内に設けられかつ真空チャンバーの外部から供給されるガスを円筒部の内側空間に放出するガス導入管と、
    上記キャンロール本体を回転駆動する駆動手段を具備し、
    上記キャンロール本体における円筒部の内側空間に露出した上記冷却コイルにより円筒部と該円筒部内のガスが冷却されるようになっていることを特徴とするキャンロール。
  2. 真空チャンバーと、該真空チャンバー内においてロールツーロールで長尺基板を搬送する搬送機構と、外周面に長尺基板を巻き付けて冷却するキャンロールと、キャンロールの外周面に巻き付けられた長尺基板に対して熱負荷の掛かる表面処理を施す処理手段を備えた長尺基板処理装置において、
    請求項に記載のキャンロールにより上記キャンロールが構成されていることを特徴とする長尺基板処理装置。
  3. 上記熱負荷の掛かる表面処理が真空成膜処理であることを特徴とする請求項に記載の長尺基板処理装置。
  4. 上記真空成膜処理がスパッタリング処理であることを特徴とする請求項に記載の長尺基板処理装置。
  5. 上記熱負荷の掛かる表面処理がプラズマ処理またはイオンビーム処理であることを特徴とする請求項に記載の長尺基板処理装置。
  6. 真空チャンバー内においてロールツーロールで搬送される長尺基板をキャンロールの外周面に巻き付けると共に、キャンロールの外周面に設けられた複数のガス放出孔から上記外周面と長尺基板との間に冷却ガスを導入しながら長尺基板に対して熱負荷の掛かる表面処理を行う長尺基板処理方法において、
    上記キャンロールを、筒状の非回転軸と、単一の円筒体で構成されその外周面に複数のガス放出孔が設けられた円筒部と該円筒部の開放端側を閉止しかつ中心部に開口が設けられた一対の円形側部を有すると共に上記非回転軸が各円形側部の開口に嵌入されて各円形側部が非回転軸に回転可能に装着されたキャンロール本体と、上記円筒部内における非回転軸の外周面に巻回されかつ非回転軸の筒内に設けられた配管を介し真空チャンバー外部のクライオ冷凍機から冷媒が供給されるクライオコイルにより構成される冷却コイルと、上記非回転軸の筒内に設けられかつ真空チャンバーの外部から供給されるガスを円筒部の内側空間に放出するガス導入管と、上記キャンロール本体を回転駆動する駆動手段とで構成し、
    上記キャンロール本体における円筒部の内側空間に露出した上記冷却コイルにより円筒部と該円筒部内のガスを冷却しながらキャンロール外周面に巻き付けられた長尺基板に対し熱負荷の掛かる表面処理を行うことを特徴とする長尺基板処理方法。
  7. 上記熱負荷の掛かる表面処理が真空成膜処理であることを特徴とする請求項に記載の長尺基板処理方法。
  8. 上記真空成膜処理がスパッタリング処理であることを特徴とする請求項に記載の長尺基板処理方法。
  9. 上記熱負荷の掛かる表面処理がプラズマ処理またはイオンビーム処理であることを特徴とする請求項に記載の長尺基板処理方法。
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