JP6661868B2 - パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、パワーステアリング装置に関する。
従来、電動モータの回転力を入力プーリ、ベルトおよび出力プーリを介してナットに伝達し、ラックバーを軸方向に駆動するパワーステアリング装置が知られている。ナットの外周には、ナット内部のボール循環溝に設けられた複数のボールを、ボール循環溝の一端側から他端側へ循環させる循環機構が設けられている。上記説明の技術に関係する一例は、特許文献1に記載されている。
特開2015-47997号公報
上記従来技術において、第1循環部材と第2循環部材とをナットの軸方向に突き合わせて循環機構を構成すると、第1循環部材と第2循環部材とのナットの周方向相対位置がずれる可能性があり、このずれはボールの循環に影響を与えるおそれがある。
本発明の目的は、第1循環部材と第2循環部材との相対位置精度を向上できるパワーステアリング装置を提供することにある。
本発明の一実施形態におけるパワーステアリング装置は、第1循環部材および第2循環部材の周方向相対位置を規制する第1循環部材側当接部および第2循環部材側当接部と、第1循環部材側当接部および第2循環部材側当接部とが互いに押し付け合う方向に第1循環部材および第2循環部材を付勢し、かつ、第1循環部材および第2循環部材をナットに固定する固定部材と、を備える。
よって、第1循環部材と第2循環部材との相対位置精度を向上できる。
実施形態1のパワーステアリング装置1を車両前方側から見た図である。 図1の一部断面図である。 図2の要部拡大図である。 ナット8をX軸正方向側から見た斜視図である。 ナット8を径方向から見た図である。 ナット8、チューブ23およびクリップ25を径方向から見た図である。 第1チューブ31を径方向から見た図である。 第1チューブ31をX軸正方向から見た図である。 第1の第1チューブ33を内部側から見た斜視図である。 第2の第1チューブ34を内部側から見た斜視図である。 第1チューブ31の径方向断面図である。 クリップ25の斜視図である。 クリップ25に作用する力の分布を示す模式図である。
〔実施形態1〕
[パワーステアリング装置]
図1は実施形態1のパワーステアリング装置1を車両前方側から見た図、図2は図1の一部断面図である。
実施形態1のパワーステアリング装置1は、操舵機構2およびアシスト機構3を有する。操舵機構2は、運転者が回転操作したステアリングホイールの回転を、前輪(転舵輪)を転舵させるラックバー(転舵軸)4に伝達する。操舵機構2は、ステアリングホイールと連結するステアリングシャフト2aおよびラックバー4のラックと噛み合うピニオンシャフト(不図示)を有する。ステアリングシャフト2aとピニオンシャフトとはトーションバーで連結されている。アシスト機構3は、ラックバー4に運転者の操舵負荷を軽減するためのアシスト力を付与する。操舵機構2およびアシスト機構3は、ラックバー収容部5aおよび減速機収容部5bを有するハウジング5の内部に収容されている。ラックバー収容部5aは、ラックバー4を軸方向移動可能に収容する。減速機収容部5bは、ラックバー収容部5aの軸方向中間部に配置され、後述する減速機を収容する。
アシスト機構3は、電動モータ6およびボールねじ機構7を有する。電動モータ6は、トーションバートルク(操舵トルク)や車速等に応じて図外のコントローラにより出力が制御される。ボールねじ機構7は、電動モータ6の回転運動を直線運動に変換してラックバー4に伝達する。ボールねじ機構7は、ナット8および出力プーリ9を有する。出力プーリ9はナット8を包囲する円筒状に形成されている。出力プーリ9は、4個のボルト10によりナット8に締結されている。電動モータ6の駆動軸6aには、円筒状の入力プーリ11が固定されている。出力プーリ9および入力プーリ11間には、ベルト12が巻回されている。出力プーリ9の外径は入力プーリ11の外径よりも大きく形成されている。このため、入力プーリ11、ベルト12および出力プーリ9は、電動モータ6の減速機として機能する。入力プーリ11、ベルト12および出力プーリ9は、減速機収容部5bの内部に収容されている。
ナット8は金属製であり、ラックバー4を包囲する円筒状に形成されている。ナット8は、ボールベアリング19によってハウジング5に対し回転自在に支持されている。ナット8の内周には、螺旋状のナット側ボールねじ溝13が形成されている。一方、ラックバー4の外周には、螺旋状のラックバー側ボールねじ溝(転舵軸側ボールねじ溝)14が形成されている。ナット側ボールねじ溝13とラックバー側ボールねじ溝14とによりボール循環溝15が構成される。ボール循環溝15内には、金属製のボール16が複数個充填されている。ボールねじ機構7は、ナット8の回転に伴いボール循環溝15内をボール16が移動することにより、ナット8に対してラックバー4が軸方向に移動する。
[ナット]
次に、ナット8の構造を詳細に説明する。なお、図1において、ラックバー4の軸方向にX軸を設定し、操舵機構2側からアシスト機構3側へ向かう方向をX軸正方向、X軸直交方向を径方向と規定する。図4はナット8をX軸正方向側から見た斜視図、図5はナット8を径方向から見た図である。
ナット8は、第1フランジ部8a、本体部8bおよび第2フランジ部8cを有する。本体部8bはナット8のX軸方向の中間部に設けられている。第1フランジ部8aは本体部8bのX軸負方向側に設けられている。第2フランジ部8cは本体部8bのX軸正方向側に設けられている。第1フランジ部8aおよび第2フランジ部8cの外周は、本体部8bの外周よりも径方向外側に突出している。第1フランジ部8aおよび第2フランジ部8cは、本体部8bよりも肉厚に形成されている。第2フランジ部8cの外径は、第1フランジ部8aの外径と一致する。本体部8bと第1フランジ部8aとの間には、第1アール部8dが設けられている。第1アール部8dは、ナット8の径方向における外形寸法がX軸負方向に向かって徐々に増大するような円弧状に形成されている。本体部8bと第2フランジ部8cとの間には、第2アール部8eが設けられている。第2アール部8eは、ナット8の径方向における外形寸法がX軸正方向に向かって徐々に増大するような円弧状に形成されている。
第1フランジ部8aの外周において、X軸負方向端付近には、ボールベアリング19のインナレース19aが一体成形されている。ボールベアリング19のアウタレース19bはハウジング5に固定されている。インナレース19aとアウタレース19bとの間に複数の軸受ボール19cが介装されている。本体部8bの内部には、ナット側ボールねじ溝13が設けられている。第2フランジ部8cのX軸正方向側端面20は、ボルト10と螺合する雌ねじ部20aが、ナット8の回転軸線O周りの方向(以下、周方向)に90°ピッチで設けられている。回転軸線OはX軸と平行である。また、X軸正方向側端面20には、ナット側ピン孔20bが設けられている。ナット側ピン孔20bは、出力プーリ9をナット8に組み付ける際に図外のロケートピンが挿入される。
ナット8には、第1接続通路21および第2接続通路22が設けられている。第1接続通路21は、ボール循環溝15のX軸負方向端と連通する。第2接続通路22は、ボール循環溝15のX軸正方向端と連通する。第1接続通路21は、ナット8の外周面に開口する第1外周側開口部21aとナット8の内周面に開口する第1内周側開口部21bとを有する。第1外周側開口部21aは、第1フランジ部8aと本体部8bとを跨ぐ位置に設けられている。第1内周側開口部21bは、第1外周側開口部21aに対し、ナット8の周方向一方側(X軸正方向側から見て反時計回りの方向)にオフセットした位置に設けられている。第2接続通路22は、ナット8の外周面に開口する第2外周側開口部22aとナット8の内周面に開口する第2内周側開口部22bとを有する。第2内周側開口部22bは、ナット8の周方向において第1内周側開口部21bと反対側に設けられている。第2外周側開口部22aは、ナット8の周方向において第1内周側開口部21bと第2内周側開口部22bとの間に設けられている。第2外周側開口部22aは、本体部8bと第2フランジ部8cとを跨ぐ位置に設けられている。ナット側ボールねじ溝13は、X軸正方向側から見たとき、第1内周側開口部21bから第2内周側開口部22bまでの反時計回りの巻き数の小数点以下の値が0.5よりも大きくなるように形成されている。
図3に示すように、ナット8には、合成樹脂製のチューブ23が取り付けられている。チューブ23は、複数のボール16をボール循環溝15の一端側から他端側へ循環させるもので、内部にボール16が移動可能な循環路24が設けられている。循環路24のX軸負方向端は第1接続通路21と接続し、X軸正方向端は第2接続通路22と接続する。図6は、ナット8、チューブ23およびクリップ25を径方向から見た図である。チューブ23は、クリップ(固定部材)25によってナット8に固定されている。ナット8の第1フランジ部8aおよび第2フランジ部8cには、クリップ25を第1ねじ部材27aおよび第2ねじ部材27bで固定するための第1雌ねじ部26aおよび第2雌ねじ部26bが設けられている。第1雌ねじ部26aは、第1フランジ部8aに設けられた第1平面部28aの略中央に配置されている。第2雌ねじ部26bは、第2フランジ部8cに設けられた第2平面部28bの略中央に設けられている。第1平面部28aはチューブ23に対しナット8の周方向一方側に配置され、第2平面部28bはチューブ23に対しナット8の周方向他方側に配置されている。第1平面部28aと第2平面部28bは同一平面上に設けられている。
チューブ23は、ナット8の径方向において本体部8bの外側であって、かつ、X軸方向において第1フランジ部8aの一部、本体部8bおよび第2フランジ部8cとオーバーラップするように設けられている。第1フランジ部8aおよび第2フランジ部8cには、チューブ23の径方向内側と当接する平面部29a,29bが設けられている。両平面部29a,29bは、第1平面部28aおよび第2平面部28bと平行である。チューブ23は、その中心を通りX軸と直交する所定の軸について2回対称となる形状を有する。所定の軸は、第1平面部28a、第2平面部28b、平面部29a,29bと直交する。チューブ23は、第1チューブ(第1循環部材)31および第2チューブ(第2循環部材)32を有する。
[第1チューブ]
次に、第1チューブ31の構造を詳細に説明する。図7は第1チューブ31を径方向から見た図、図8は第1チューブ31をX軸正方向から見た図、図9は第1の第1チューブ33を内部側から見た斜視図、図10は第2の第1チューブ34を内部側から見た斜視図である。
第1チューブ31は、第1挿入部37、第1循環部38および第1ボール循環路39を有する。第1挿入部37は、ナット8の周方向一方側に延び、第1接続通路21に挿入可能に形成されている。第1循環部38は、第1外周側開口部21aから本体部8bのX軸方向中央付近までX軸正方向に延びるように形成されている。第1ボール循環路39は、第1チューブ31の内部において、第1挿入部37の先端から第1循環部38のX軸正方向端まで設けられ、ナット8の径方向から見て角部が円弧状の略L字形状を有する。第1ボール循環路39は、ボール16が通過可能な円形断面を有する。図8に示すように、第1循環部38の径方向内側には、本体部8bの外周面との当接によりナット8に対する第1チューブ31の径方向内側への相対移動を規制する第1円弧形状部(第1径方向位置規制部)31aが設けられている。第1円弧形状部31aは、本体部8bの外周面に沿った形状を有する。第1循環部38のX軸正方向端には、第1の第1チューブ側当接部(第1の第1循環部材側当接部)40および第2の第1チューブ側当接部(第2の第1循環部材側当接部)41が設けられている。第1の第1チューブ側当接部40および第2の第1チューブ側当接部41は、X軸方向に延び、ナット8の周方向一方側を向いて設けられている。第1の第1チューブ側当接部40は第1の第1チューブ33に設けられ、第2の第1チューブ側当接部41は第2の第1チューブ34に設けられている。第2の第1チューブ側当接部41は、第1の第1チューブ側当接部40よりもナット8の周方向他方側、かつ、X軸正方向側に設けられている。第1挿入部37は、X軸方向の両側において、X軸方向と直交する1対の平面部37a,37bを有する。両平面部37a,37bには、X軸方向に突出する突起部(第1軸方向位置規制部)37c,37dが設けられている。両突起部37c,37dは、第1挿入部37を第1接続通路21内に挿入したとき、X軸方向に圧縮変形し、第1接続通路21に対する第1挿入部37のX軸方向への相対移動を規制する。図3に示すように、第1チューブ31において第1アール部8dと対向する部分には、第1チューブ31を第1アール部8dと離間させるための凹状の第1逃げ部31bが設けられている。
第1チューブ31は、第1ボール循環路39における円形断面の略中心点を通る第1分割面42の一方側に設けられた第1の第1チューブ33と、第1分割面42の他方側に設けられた第2の第1チューブ34とを有する。第1ボール循環路39は、第1分割面42によって第1の第1チューブ33側の循環溝39aと第2の第1チューブ34側の循環溝39bとに二分される。両循環溝39a,39bは共に半円断面を有する。第1の分割面42は、図11に示すように、第1ボール循環路39のうちナット8の回転軸線Oから最も離れた点43からずれた位置に設けられている。第2の第1チューブ側当接部41は、第1分割面42と同一平面上に形成されている。図11に示すように、第1接続通路21は、第1内周側開口部21b側端部において、第1挿入部37の第1循環部38とは反対側の端面37eが当接する第1の端面当接部21cを有する。第1の端面当接部21cの径方向内側端P1は、端面37eの径方向内側端P2よりも径方向内側に位置するように形成されている。
第1の第1チューブ33において、循環溝39aの径方向外側には、第1肉厚一定部44aと第1肉厚部44bとが設けられている。第1肉厚一定部44aは、第1の第1チューブ33の外側面と循環溝39aとの間の肉厚がほぼ一定に形成されている。第1肉厚部44bは、第1の第1チューブ33の外側面と循環溝39aとの間の肉厚が、第1肉厚一定部44aよりも大きくなるように形成されている。第1の第1チューブ33は、第1チューブ側第1突起部挿入孔(第1循環部材側第1突起部挿入孔)33aおよび第1チューブ側第2突起部挿入孔(第1循環部材側第2突起部挿入孔)33bを有する。第1チューブ側第1突起部挿入孔33aは、循環溝39aの円弧状部分の外側(第1肉厚部44b)に配置されている。第1チューブ側第2突起部挿入孔33bは、循環溝39aの円弧状部分の内側(第1肉厚一定部44aの径方向内側)に配置されている。第1チューブ側第2突起部挿入孔33bの内径は、第1チューブ側第1突起部挿入孔33aの内径よりも小径である。
第2の第1チューブ34において、循環溝39bの径方向外側には、第1肉厚一定部45aと第1肉厚部45bとが設けられている。第1肉厚一定部45aは、第2の第1チューブ34の外側面と循環溝39bとの間の肉厚がほぼ一定に形成されている。第1肉厚部45bは、第2の第1チューブ34の外側面と循環溝39bとの間の肉厚が、第1肉厚一定部45aよりも大きくなるように形成されている。第2の第1チューブ34は、第1の第1チューブ33側に向かって突出する1対の突出部である第1チューブ側第1突起部(第1循環部材側第1突起部)34aおよび第1チューブ側第2突起部(第1循環部材側第2突起部)34bを有する。第1チューブ側第1突起部34aは、循環溝39bの円弧状部分の外側(第1肉厚部45b)に配置されている。第1チューブ側第2突起部34bは、循環溝39bの円弧状部分の内側(第1肉厚一定部45aの径方向内側)に配置されている。第1チューブ側第1突起部34aと第1チューブ側第2突起部34bは同一形状である。よって、第1チューブ31を組み立てるとき、第1チューブ側第1突起部34aは第1チューブ側第1突起部挿入孔33aと隙間嵌めされ、第1チューブ側第2突起部34bは第1チューブ側第2突起部挿入孔33bが圧入される。
[第2チューブ]
次に、第2チューブ32の構造を詳細に説明する。第2チューブ32は第1チューブ31と同一形状であるため、図7〜図11を用いて説明する。図7〜図11において、第2チューブ32における各部位の符号は括弧()内に記載する。
第2チューブ32は、第2挿入部47、第2循環部48および第2ボール循環路49を有する。第2挿入部47は、ナット8の周方向他方側に延び、第2接続通路22に挿入可能に形成されている。第2循環部48は、第2外周側開口部22aから本体部8bのX軸方向中央付近までX軸方向に延びるように形成され、第1循環部38とX軸方向に当接する。第2ボール循環路49は、第2チューブ32の内部において、第2挿入部47の先端から第2循環部38のX軸負方向端まで設けられ、ナット8の径方向から見てL字の角部を円弧状に置き換えた形状を有する。第2ボール循環路49は、ボール16が通過可能な円形断面を有する。第2ボール循環路49は第1ボール循環路39と連通する。図8に示すように、第2循環部38の径方向内側には、本体部8bの外周面との当接によりナット8に対する第2チューブ32の径方向内側への相対移動を規制する第2円弧形状部(第2径方向位置規制部)38aが設けられている。第2円弧形状部38aは、本体部8bの外周面に沿った形状を有する。第2循環部38のX軸負方向端には、第1の第2チューブ側当接部(第1の第2循環部材側当接部)50および第2の第2チューブ側当接部(第2の第2循環部材側当接部)51が設けられている。第1の第2チューブ側当接部50および第2の第2チューブ側当接部51は、X軸方向に延び、ナット8の周方向他方側を向いて設けられている。第1の第2チューブ側当接部50は、第1チューブ31の第2の第1チューブ側当接部41と当接する。第2の第2チューブ側当接部51は、第1チューブ31の第1の第1チューブ側当接部40と当接する。第1の第2チューブ側当接部50は第1の第2チューブ35に設けられ、第2の第2チューブ側当接部51は第2の第2チューブ36に設けられている。第2の第2チューブ側当接部51は、第1の第2チューブ側当接部50よりもナット8の周方向一方側、かつ、X軸負方向側に設けられている。第2挿入部47は、X軸方向の両側において、X軸方向と直交する1対の平面部47a,47bを有する。両平面部47a,47bには、X軸方向に突出する突起部(第2軸方向位置規制部)47c,47dが設けられている。両突起部47c,47dは、第2挿入部47を第2接続通路22内に挿入したとき、X軸方向に圧縮変形し、第2接続通路22に対する第2挿入部47のX軸方向への相対移動を規制する。図3に示すように、第2チューブ32において第2アール部8eと対向する部分には、第2チューブ32を第2アール部8eと離間させるための凹状の第2逃げ部32bが設けられている。
第2チューブ32は、第2ボール循環路49における円形断面の略中心点を通る第2分割面52の一方側に設けられた第1の第2チューブ35と、第2分割面52の他方側に設けられた第2の第2チューブ36とを有する。第2ボール循環路49は、第2分割面52によって第1の第2チューブ35側の循環溝49aと第2の第2チューブ36側の循環溝49bとに二分される。両循環溝49a,49bは共に半円断面を有する。第2の分割面52は、図11に示すように、第2ボール循環路49のうちナット8の回転軸線Oから最も離れた点53からずれた位置に設けられている。第2の第2チューブ側当接部51は、第2分割面52と同一平面上に形成されている。図11に示すように、第2接続通路22は、第2内周側開口部22b側端部において、第2挿入部47の第2循環部48とは反対側の端面47eが当接する第2の端面当接部22cを有する。第2の端面当接部22cの径方向内側端P3は、端面47eの径方向内側端P4よりも径方向内側に位置するように形成されている。X軸方向から見たとき、第1の端面当接部21cと回転軸線Oとを結ぶ直線と、第2の端面当接部22cと回転軸線Oとを結ぶ直線とに挟まれる角度のうち、チューブ23側の角度は劣角(180°未満)に設定されている。
第1の第2チューブ35において、循環溝49aの径方向外側には、第2肉厚一定部54aと第2肉厚部54bとが設けられている。第2肉厚一定部54aは、第1の第2チューブ35の外側面と循環溝49aとの間の肉厚がほぼ一定に形成されている。第2肉厚部54bは、第1の第2チューブ35の外側面と循環溝49aとの間の肉厚が、第2肉厚一定部54aよりも大きくなるように形成されている。第1の第2チューブ35は、第2チューブ側第1突起部挿入孔(第2循環部材側第1突起部挿入孔)35aおよび第2チューブ側第2突起部挿入孔(第2循環部材側第2突起部挿入孔)35bを有する。第2チューブ側第1突起部挿入孔35aは、循環溝49aの円弧状部分の外側(第2肉厚部54b)に配置されている。第2チューブ側第2突起部挿入孔35bは、循環溝49aの円弧状部分の内側(第2肉厚一定部54aの径方向内側)に配置されている。第2チューブ側第2突起部挿入孔35bは第2チューブ側第1突起部挿入孔35aよりも小径に設定されている。
第2の第2チューブ36において、循環溝49bの径方向外側には、第2肉厚一定部55aと第2肉厚部55bとが設けられている。第2肉厚一定部55aは、第2の第2チューブ36の外側面と循環溝49bとの間の肉厚がほぼ一定に形成されている。第2肉厚部55bは、第2の第2チューブ36の外側面と循環溝49bとの間の肉厚が、第2肉厚一定部55aよりも大きくなるように形成されている。第2の第2チューブ36は、第1の第2チューブ35側に向かって突出する1対の突出部である第2チューブ側第1突起部(第1循環部材側第1突起部)36aおよび第2チューブ側第2突起部(第1循環部材側第2突起部)36bを有する。第2チューブ側第1突起部36aは、循環溝49bの円弧状部分の外側(第2肉厚部55b)に配置されている。第2チューブ側第2突起部36bは、循環溝49bの円弧状部分の内側(第2肉厚一定部55aの径方向内側)に配置されている。第2チューブ側第1突起部36aと第2チューブ側第2突起部36bは同一形状である。よって、第2チューブ32を組み立てるとき、第2チューブ側第1突起部36aは第2チューブ側第1突起部挿入孔35aと隙間嵌めされ、第2チューブ側第2突起部36bは第2チューブ側第2突起部挿入孔35bが圧入される。
[クリップ]
次に、クリップ25の構造を詳細に説明する。
図12は、クリップ25の斜視図である。クリップ25は、金属材料で形成された板状素材をプレス成型したものであり、径方向から見て略ロ字状に形成されている。クリップ25は、プレス時に生じるバリが径方向外側に位置するように形成されている。つまり、プレス成型時におけるクリップ25の打ち抜き方向は、径方向内側面25aから径方向外側面25bに向かう方向に設定されている。クリップ25は、第1周方向接続部61、第2周方向接続部62、第1軸方向接続部63および第2軸方向接続部64を有する。第1周方向接続部61は、ナット8の周方向に延び、第1循環部38の第1肉厚部44b,45bと当接する。第1周方向接続部61は、X軸方向から見たとき、周方向中央部が第1チューブ31の外側面の形状に沿って径方向外側に突出した湾曲形状を有する。第1周方向接続部61は、図6に示すように、X軸方向において第1フランジ部8aよりもX軸正方向へオフセットした位置に設けられている。第2周方向接続部62は、ナット8の周方向に延び、第2循環部48の第2肉厚部54b,55bと当接する。第2周方向接続部62は、図6に示すように、X軸方向から見たとき、周方向中央部が第2チューブ32の外側面の形状に沿って径方向外側に突出した湾曲形状を有する。第2周方向接続部62は、X軸方向において第2フランジ部8cよりもX軸負方向へオフセットした位置に設けられている。第1軸方向接続部63は、チューブ23よりも周方向一方側においてX軸方向に延び、第1周方向接続部61と第2周方向接続部62とを接続する。第2軸方向接続部64は、チューブ23よりも周方向他方側においてX軸方向に延び、第1周方向接続部61と第2周方向接続部62とを接続する。第2軸方向接続部64は、第1軸方向接続部63と同一平面上に設けられている。クリップ25は、ナット8への組み付け前において、径方向内側面25aにおける第1軸方向接続部63および第2軸方向接続部64から第1周方向接続部61および第2周方向接続部62の周方向中央部(頂部)までの長さが、第1平面部28aおよび第2平面部28bからチューブ23の外側面までの長さよりも短く形成されている。
第1周方向接続部61、第2周方向接続部62、第1軸方向接続部63および第2軸方向接続部63によって囲まれる領域の内側には、ナット8の径方向に貫通する貫通部65が設けられている。第2軸方向接続部64のX軸負方向端であって、第1周方向接続部61との接続位置よりもX軸負方向側には、第1円形部66が設けられている。第1円形部66は、第2軸方向接続部64と同一平面上に設けられている。第1円形部66は、第1フランジ部8aの第1平面部28aに当接する。第1円形部66には、第1ねじ孔68が設けられている。第1ねじ孔68は、第1平面部28aの第1雌ねじ部26aと対向する位置に設けられている。第1軸方向接続部63のX軸正方向端であって、第2周方向接続部62との接続位置よりもX軸正方向側には、第2円形部67が設けられている。第2円形部67は、第1軸方向接続部63と同一平面上に設けられている。第2円形部67は、第2フランジ部8cの第2平面部28bに当接する。第2円形部67には、第2ねじ孔69が設けられている。第2ねじ孔69は、第2平面部28bの第2雌ねじ部26bと対向する位置に設けられている。
次に、チューブ23の組み付け方法について説明する。
まず、第1チューブ31と第2チューブ32を組み立てる。第1チューブ31では、第1の第1チューブ33の第1チューブ側第1突起部挿入孔33aおよび第1チューブ側第2突起部挿入孔33bに、第2の第1チューブ34の第1チューブ側第1突起部34aおよび第1チューブ側第2突起部34bを挿入する。このとき、第1チューブ側第1突起部34aは第1チューブ側第1突起部挿入孔33aと隙間嵌めされ、第1チューブ側第2突起部34bは第1チューブ側第2突起部挿入孔33bが圧入される。これにより、隙間嵌め側(33a,34a)で製造誤差を吸収しつつ、圧入側(33b,34b)で組み付け位置精度を確保できる。第2チューブ32についても同様に行う。
次に、第1チューブ31をナット8に取り付ける。第1挿入部37を第1接続通路21に挿入し、第1円弧形状部31aを本体部8bの外周面に当接させる。第1円弧形状部31aと本体部8bとの当接により、ナット8に対する第1チューブ31の径方向内側への相対移動を規制できる。また、第1接続通路21の内周面と第1挿入部37の両突起部37c,37dとの当接により、ナット8に対する第1チューブ31のX軸方向への相対移動を規制できる。さらに、両突起部37c,37dは第1接続通路21内でX軸方向に圧縮変形するため、第1接続通路21内における第1挿入部37のガタつきを抑制できる。なお、両突起部37c,37cは容易に弾性変形するため、ガタつきを効果的に抑制できる。加えて、両突起部37c,37dの周りに平面部37a,37bを設けたため、平面部37a,37bと第1接続通路21の内周面との干渉が抑制される。この結果、第1接続通路21に対する第1挿入部37のX軸方向位置規制を両突起部37c,37dのみで行えるため、X軸方向位置規制の精度を向上できる。
続いて、第2チューブ32をナット8に取り付ける。第2挿入部47を第2接続通路22に挿入し、第2円弧形状部38aを本体部8bの外周面に当接させる。第2円弧形状部38aと本体部8bとの当接により、ナット8に対する第2チューブ32の径方向内側への相対移動を規制できる。また、第2接続通路22の内周面と第2挿入部47の両突起部47c,47dとの当接により、ナット8に対する第2チューブ32のX軸方向への相対移動を規制できる。さらに、両突起部47c,47dは第2接続通路22内でX軸方向に圧縮変形するため、第2接続通路22内における第2挿入部47のガタつきを抑制できる。なお、両突起部47c,47dは容易に弾性変形するため、ガタつきを効果的に抑制できる。加えて、両突起部47c,47dの周りに平面部47a,47bを設けたため、平面部47a,47bと第2接続通路22の内周面との干渉が抑制される。この結果、第2接続通路22に対する第2挿入部47のX軸方向位置規制を両突起部47c,47dのみで行えるため、X軸方向位置規制の精度を向上できる。
また、第1の第1チューブ側当接部40は、第2の第2チューブ側当接部51よりも第2挿入部47が第2接続通路に挿入される方向側(周方向他方側)に設けられ、第1の第2チューブ側当接部50は、第2の第1チューブ側当接部41よりも第1挿入部37が第1接続通路21に挿入される方向側(周方向一方側)に設けられている。つまり、第1の第2チューブ側当接部50および第2の第2チューブ側当接部51は、第2接続通路22への第2挿入部47の挿入が完了するまでの間、第2の第1チューブ側当接部41および第1の第1チューブ側当接部40と当接しない。よって、第2チューブ32をナット8に取り付ける際、第1チューブ31が干渉して組み付けの妨げとなるのを防止できる。なお、第2チューブ32、第1チューブ31の順にナット8に取り付ける場合も同様の効果を奏する。
最後に、クリップ25をナット8に取り付ける。クリップ25の第1ねじ孔68および第2ねじ孔69とナット8の第1雌ねじ部26aおよび第2雌ねじ部26bとの位置を合わせ、第1ねじ部材27aおよび第2ねじ部材27bを第1雌ねじ部26aおよび第2雌ねじ部26bにねじ込む。クリップ25の弾性変形により、第1チューブ31および第2チューブ32は第1周方向接続部61および第2周方向接続部62によってナット8の径方向内側に付勢される。ナット8側に付勢される。第1周方向接続部61および第2周方向接続部62により、第1チューブ31および第2チューブ32に対して周方向両側から付勢力を付与できるため、第1チューブ31および第2チューブ32の保持力を向上できる。
図13は、クリップ25に作用する力の分布を示す模式図である。
第1周方向接続部61は、周方向両端のうち他端側61aが第1ねじ部材27aの締め付け位置である第1円形部66から近く、一端側61bが第2ねじ部材27bの締め付け位置である第2円形部67から遠い。よって、第1周方向接続部61では、周方向他方側に作用する力F1が周方向一方側に作用する力F2よりも大きくなる。すなわち、第1周方向接続部61の第1チューブ31に対する締め付け力は、周方向他方側(F1の反力)が周方向一方側(F2の反力)よりも大きくなるため、第1チューブ31は周方向一方側に付勢される。一方、第2周方向接続部62は、周方向両端のうち一端側62bが第2ねじ部材27bの締め付け位置である第2円形部67から近く、他端側62aが第1ねじ部材27aの締め付け位置である第1円形部66から遠い。よって、第2周方向接続部62では、周方向一方側に作用する力F3が周方向他方側に作用する力F4よりも大きくなる。すなわち、第2周方向接続部61の第2チューブ32に対する締め付け力は、周方向一方側(F3の反力)が周方向他方側(F4の反力)よりも大きくなるため、第2チューブ32は周方向他方側に付勢される。
つまり、クリップ25は、第1チューブ31および第2チューブ32の周方向当接部同士(第1の第1チューブ側当接部40と第2の第2チューブ側当接部51、第2の第1チューブ側当接部41と第1の第2チューブ側当接部50)が周方向に押し付け合う方向に第1チューブ31および第2チューブ32を付勢する。これにより、ナット8に対する第1チューブ31および第2チューブ32の周方向への相対移動が共に規制されるため、第1チューブ31および第2チューブ32の相対位置精度を向上できる。
実施形態1の電動パワーステアリング装置は、以下の作用効果を奏する。
第1チューブ31の第1の第1チューブ側当接部40と、第2チューブ32の第2の第2チューブ側当接部51とがナット8の周方向に当接し、第1チューブ31の第2の第1チューブ側当接部41と、第2チューブ32の第1の第2チューブ側当接部50とがナット8の周方向に当接する。これにより、ナット8に対する第1チューブ31の周方向一方側への相対移動およびナット8に対する第2チューブ32の周方向他方側への相対移動が共に規制されるため、第1チューブ31および第2チューブ32の相対位置精度を向上できる。この結果、チューブ23内(循環路24)におけるボール16の循環をスムーズにできる。
また、第1チューブ31および第2チューブ32には、ナット8の第1アール部8dおよび第2アール部8eと対向する位置に第1逃げ部31bおよび第2逃げ部32bを設けたため、第1チューブ31および第2チューブ32が第1アール部8dおよび第2アール部8eに当接することで組み付け状態における径方向寸法が増大するのを抑制できる。つまり、第1チューブ31および第2チューブ32をナット8に組み付けた状態における径方向寸法の小型化を実現できる。
第1の第1チューブ33は第1の第2チューブ35と同一形状であり、第2の第1チューブ34は第2の第2チューブ36と同一形状である。よって、個々を別形状とした場合と比較して、部品点数を抑制でき、コストダウンを図れる。
第2の第1チューブ側当接部41および第2の第2チューブ側当接部51は、第1分割面42および第2分割面52と同一平面上に設けられている。これにより、第2の第1チューブ側当接部41および第2の第2チューブ側当接部51を別途形成した場合と比較して、第1チューブ31および第2チューブ32の形状を簡略化できる。
第1チューブ31および第2チューブ32の第1分割面42および第2分割面52は、第1ボール循環路39および第2ボール循環路49における円形断面の略中心点を通る。分割面が円形断面の略中心点からずれていると、一方側の部材にアンダーカット部が形成されるため、ボール16の配置が困難であると共に、型成形の際に手間を要する。円形断面の略中心を通過する第1分割面42および第2分割面52としたことで、ボール16の配置が容易であり、型成形の手間を軽減できる。
第1の分割面42および第2の分割面52は、第1ボール循環路39および第2ボール循環路49のうちナット8の回転軸線Oから最も離れた点43,53からずれた位置に設けられている。点43,53は最もボール16から荷重を受ける点であるため、点43,53から第1の分割面42および第2の分割面52をずらすことにより、第1の分割面42および第2の分割面52に大荷重が作用するのを抑制できる。
実施形態1のパワーステアリング装置において、第1挿入部37および第2挿入部47の端面37e,47eが当接する第1の端面当接部21cおよび第2の端面当接部22cの径方向内側端P1,P3は、端面37eの径方向内側端P2,P4よりも径方向内側に位置する。つまり、第1挿入部37および第2挿入部47とナット側ボールねじ溝13との境界部分の段差は、第1挿入部37側および第2挿入部47側を向いて設けられている。これにより、ナット側ボールねじ溝13から第1挿入部37および第2挿入部47へ向かうボール16の流れをスムーズにできる。
ナット側ボールねじ溝13は、ナット側ボールねじ溝13の第1内周側開口部21bから第2内周側開口部22bまでの反時計回りの巻き数の小数点以下が0.5よりも大きい。これにより、第1チューブ31および第2チューブ32によって第1接続通路21と第2接続通路22とを接続する周方向範囲が狭くなるため、第1チューブ31および第2チューブ32のそれぞれを型成形で分割形成する際、その分割面42を平面状にし易く、製造性を向上できる。
クリップ25の第1周方向接続部61および第2周方向接続部62は、X軸方向において第1フランジ部8aおよび第2フランジ部8cよりもX軸正方向およびX軸負方向にオフセットした位置に設けられている。これにより、第1フランジ部8aおよび第2フランジ部8cと第1周方向接続部61および第2周方向接続部62との干渉を抑制できる。
第1雌ねじ部26aおよび第2雌ねじ部26bは、同一平面上に設けられた第1平面部28aおよび第2平面部28bに設けられている。これにより、第1周方向接続部61に対する第1チューブ31の付勢力と第2周方向接続部62に対する第2チューブ32の付勢力とを均一化できる。
第1周方向接続部61および第2周方向接続部62は、第1チューブ31の第1肉厚部44b,45bおよび第2チューブ32の第2肉厚部54b,55bと当接する。これにより、第1周方向接続部61および第2周方向接続部62が第1肉厚一定部44aおよび第2肉厚一定部45aと当接する場合と比較して、第1チューブ31および第2チューブ32の耐久性を向上できる。
クリップ25は、ナット8の径方向に貫通する貫通部65を有する。貫通部65では付勢力が発生しないため、第1チューブ31および第2チューブ32に対するクリップ25の付勢力が過大となるのを抑制できる。
クリップ25をプレス成型したときに発生するバリは、クリップ25の径方向外側面25bに形成されている。つまり、1チューブ31および第2チューブ32と接触する径方向内側面25aにバリが存在しないため、バリによる第1チューブ31および第2チューブ32の損傷を抑制できる。
〔他の実施形態〕
以上、本発明を実施するための実施形態を説明したが、本発明の具体的な構成は実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
第1循環部材側当接部と第2循環部材側当接部を1対または3対以上としてもよい。
第1軸方向位置規制部および第2軸方向位置規制部の形状や素材は任意である。
第1循環部材と第2循環部材を別形状としてもよい。
第1循環部材側第1突起部挿入孔の内径を、第1循環部材側第2突起部挿入孔の内径よりも小径としてもよい。また、第1循環部材側第1突起部挿入孔と第1循環部材側第2突起部挿入孔とを同一の内径とし、第1循環部材側第1突起部と第2循環部材側突起部とを異なる外径としてもよい。
以上説明した実施形態から把握し得る技術的思想について、以下に記載する。
パワーステアリング装置は、その一つの態様において、ステアリングホイールの回転に伴い軸方向移動することにより転舵輪を転舵させる転舵軸と、前記転舵軸の外周側に設けられ、螺旋状の溝形状を有する転舵軸側ボールねじ溝と、前記転舵軸を包囲するように環状に形成された本体部を備え、前記転舵軸に対し回転自在に設けられたナットと、前記ナットの内周側に設けられ、螺旋状の溝形状を有し、前記転舵軸側ボールねじ溝と共に螺旋状のボール循環溝を構成するナット側ボールねじ溝と、前記ボール循環溝内おいて移動可能に設けられた複数のボールと、前記ナットに設けられ、前記ナットの外周面に開口する第1外周側開口部と前記ナットの回転軸線周りの方向において前記第1外周側開口部とオフセットした位置であって前記ナットの内周面に開口する第1内周側開口部とを接続する第1接続通路と、前記ナットに設けられ、前記ナットの内周面に開口し前記ナットの回転軸線周りの方向において前記第1外周側開口部に対し前記第1内周側開口部の反対側に設けられた第2内周側開口部と前記ナットの外周面に開口し前記ナットの回転軸線周りの方向において前記第1内周側開口部と前記第2内周側開口部の間に設けられた第2外周側開口部とを接続する第2接続通路と、前記第1接続通路に挿入される第1挿入部と、前記第1外周側開口部側から前記第1外周側開口部と前記第2外周側開口部の途中まで延びるように形成された第1循環部と、内部に前記複数のボールが通過する第1ボール循環路を有する第1循環部材と、記第2接続通路に挿入される第2挿入部と、前記第2外周側開口部側から前記第2外周側開口部と前記第1外周側開口部の途中まで延びるように形成された第2循環部と、内部に前記複数のボールが通過する第2ボール循環路を有し、複数のボールを前記第1循環路と前記第2循環路を介して前記第1内周側開口部と前記第2内周側開口部との間で往来可能とする第2循環部材と、前記第1循環部材と前記第2循環部材に形成された少なくとも1対の当接部であって、前記第1循環部材側の当接部と前記第2循環部材側当接部とが前記ナットの回転軸線周りの方向において互いに対向するように当接し前記前記ナットの回転軸線周りの方向における前記第1循環部材と前記第2循環部材の相対位置を規制する前記第1循環部材側当接部および前記第2循環部材側当接部と、前記ナットに設けられ、前記第1循環部材側当接部と前記第2循環部材側当接部とが互いに押し付け合う方向に前記第1循環部材および前記第2循環部材を付勢し、かつ前記第1循環部材および前記第2循環部材を前記ナットに固定する固定部材と、前記ナットを回転駆動し、前記ナットの回転が前記転舵軸の軸方向運動に変換されることにより前記転舵軸に操舵力を付与する電動モータと、を有する。
より好ましい態様では、上記態様において、前記固定部材は、前記ナットの回転軸線周りの方向に延びるように形成され、前記第1循環部と当接する第1周方向接続部と、前記ナットの回転軸線周りの方向に延びるように形成され、前記第2循環部と当接する第2周方向接続部と、前記第1循環部および前記第2循環部に対し前記ナットの回転軸線周りの方向一方側において前記ナットの回転軸線方向に延びるように形成され前記第1周方向接続部と前記第2周方向接続部とを接続する第1軸方向接続部と、前記第1循環部および前記第2循環部に対し前記ナットの回転軸線周りの方向他方側において前記ナットの回転軸線方向に延びるように形成され前記第1周方向接続部と前記第2周方向接続部とを接続する第2軸方向接続部と、を有する。
別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記固定部材は、前記第1周方向接続部、前記第2周方向接続部、前記第1軸方向接続部および前記第2軸方向接続部によって囲まれる領域の内側において、前記ナットの回転軸線の径方向に貫通する貫通部を有する。
さらに別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記ナットは、前記ナットの回転軸線の方向の中間部に設けられた本体部と、前記ナットの回転軸線の方向において前記本体部の両側に設けられ、前記ナットの回転軸線の径方向外側に突出する1対のフランジ部である第1フランジ部および第2フランジ部を有し、前記第1周方向接続部は、前記ナットの回転軸線の方向において前記第1フランジ部に対しオフセットした位置に設けられ、前記第2周方向接続部は、前記ナットの回転軸線の方向において前記第2フランジ部に対しオフセットした位置に設けられる。
さらに別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記固定部材は、前記ナットの回転軸線の方向において前記第1周方向接続部よりも前記第2周方向接続部の反対側に設けられた第1ねじ孔と、前記ナットの回転軸線の方向において前記第2周方向接続部よりも前記第1周方向接続部の反対側に設けられた第2ねじ孔とを備え、前記ナットは、前記第1フランジ部において前記第1ねじ孔と対向する位置に設けられた第1雌ねじ部と、前記第2フランジ部において前記第2ねじ孔と対向する位置に設けられた第2雌ねじ部とを有し、前記固定部材と前記ナットは、前記第1ねじ孔と前記第1雌ねじ部とを締結する第1ねじ部材と、前記第2ねじ孔と前記第2雌ねじ部とを締結する第2ねじ部材とによって締結される。
さらに別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記ナットは、前記第1フランジ部の前記第1雌ねじ部を含む所定領域において平面状に形成された第1平面部と、前記第2フランジ部の前記第2雌ねじ部を含む所定領域において平面状かつ前記第1平面部と同一平面上に形成された第2平面部と、を有する。
さらに別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記第1循環部材は、前記第1循環部の前記第2循環部側に設けられ、前記第1循環部材の外側面と前記第1ボール循環路の内周面との間の肉厚がほぼ一定に形成された第1肉厚一定部と、前記第1肉厚一定部よりも前記第1挿入部側に設けられ前記第1循環部材の前記肉厚が前記第1肉厚一定部よりも大きくなるように形成された第1厚肉部とを備え、前記第1循環部材は、前記第2循環部の前記第2循環部側に設けられ、前記第2循環部材の外側面と前記第2ボール循環路の内周面との間の肉厚がほぼ一定に形成された第2肉厚一定部と、前記第2肉厚一定部よりも前記第2挿入部側に設けられ前記第2循環部材の前記肉厚が前記第2肉厚一定部よりも大きくなるように形成された第2厚肉部とを備え、前記固定部材は、前記第1厚肉部および前記第2厚肉部において付勢力を付与する。
さらに別の好ましい態様では、上記態様のいずれかにおいて、前記固定部材は、金属材料で形成された板状素材をプレス成型することによって形成され、かつ前記プレス成型時に生じる前記固定部材のバリが前記ナットの回転軸線の径方向外側に位置するように形成される。
O 回転軸線
1 パワーステアリング装置
4 ラックバー(転舵軸)
6 電動モータ
8 ナット
13 ナット側ボールねじ溝
14 ラックバー側ボールねじ溝(転舵軸側ボールねじ溝)
16 ボール
21 第1接続通路
21a 第1外周側開口部
21b 第1内周側開口部
22 第2接続通路
22a 第2外周側開口部
22b 第2内周側開口部
25 クリップ
33 第1の第1チューブ(第1の第1循環部材)
34 第2の第1チューブ(第2の第1循環部材)
35 第1の第2チューブ(第1の第2循環部材)
36 第2の第2チューブ(第2の第2循環部材)
37 第1挿入部
38 第1循環部
39 第1ボール循環路
40 第1の第1チューブ側当接部(第1の第1循環部材側当接部)
41 第2の第1チューブ側当接部(第2の第1循環部材側当接部)
42 第1分割面
47 第2挿入部
48 第2循環部
49 第2ボール循環路
50 第1の第2チューブ側当接部(第1の第2循環部材側当接部)
51 第2の第2チューブ側当接部(第2の第2循環部材側当接部)
52 第2分割面
61 第1周方向接続部
62 第2周方向接続部
63 第1軸方向接続部
64 第2軸方向接続部
65 貫通部

Claims (5)

  1. ステアリングホイールの回転に伴い軸方向移動することにより転舵輪を転舵させる転舵軸と、
    前記転舵軸の外周側に設けられ、螺旋状の溝形状を有する転舵軸側ボールねじ溝と、
    前記転舵軸を包囲するように環状に形成された本体部を備え、前記転舵軸に対し回転自在に設けられたナットと、
    前記ナットの内周側に設けられ、螺旋状の溝形状を有し、前記転舵軸側ボールねじ溝と共に螺旋状のボール循環溝を構成するナット側ボールねじ溝と、
    前記ボール循環溝内おいて移動可能に設けられた複数のボールと、
    前記ナットに設けられ、前記ナットの外周面に開口する第1外周側開口部と前記ナットの回転軸線周りの方向において前記第1外周側開口部とオフセットした位置であって前記ナットの内周面に開口する第1内周側開口部とを接続する第1接続通路と、
    前記ナットに設けられ、前記ナットの内周面に開口し前記ナットの回転軸線周りの方向において前記第1外周側開口部に対し前記第1内周側開口部の反対側に設けられた第2内周側開口部と前記ナットの外周面に開口し前記ナットの回転軸線周りの方向において前記第1内周側開口部と前記第2内周側開口部の間に設けられた第2外周側開口部とを接続する第2接続通路と、
    前記第1接続通路に挿入される第1挿入部と、前記第1外周側開口部側から前記第1外周側開口部と前記第2外周側開口部の途中まで延びるように形成された第1循環部と、内部に前記複数のボールが通過する第1ボール循環路を有する第1循環部材と、
    前記第2接続通路に挿入される第2挿入部と、前記第2外周側開口部側から前記第2外周側開口部と前記第1外周側開口部の途中まで延びるように形成された第2循環部と、内部に前記複数のボールが通過する第2ボール循環路を有し、複数のボールを前記第1ボール循環路と前記第2ボール循環路を介して前記第1内周側開口部と前記第2内周側開口部との間で往来可能とする第2循環部材と、
    前記第1循環部材と前記第2循環部材に形成された少なくとも1対の当接部であって、前記第1循環部材側の当接部と前記第2循環部材側当接部とが前記ナットの回転軸線周りの方向において互いに対向するように当接し前記前記ナットの回転軸線周りの方向における前記第1循環部材と前記第2循環部材の相対位置を規制する第1循環部材側当接部および第2循環部材側当接部と、
    前記ナットに設けられた固定部材であって、前記第1循環部材側当接部と前記第2循環部材側当接部とが互いに押し付け合う方向に前記第1循環部材および前記第2循環部材を付勢し、かつ前記第1循環部材および前記第2循環部材を前記ナットに固定するものであり、第1周方向接続部、第2周方向接続部、第1軸方向接続部および第2軸方向接続部を有し、
    前記第1周方向接続部は、前記ナットの回転軸線周りの方向に延びるように形成され、前記第1循環部と当接し、
    前記第2周方向接続部は、前記ナットの回転軸線周りの方向に延びるように形成され、前記第2循環部と当接し、
    前記第1軸方向接続部は、前記第1循環部および前記第2循環部に対し前記ナットの回転軸線周りの方向一方側において前記ナットの回転軸線方向に延びるように形成され前記第1周方向接続部と前記第2周方向接続部とを接続し、
    前記第2軸方向接続部は、前記第1循環部および前記第2循環部に対し前記ナットの回転軸線周りの方向他方側において前記ナットの回転軸線方向に延びるように形成され前記第1周方向接続部と前記第2周方向接続部とを接続する、
    前記固定部材と、
    前記ナットを回転駆動し、前記ナットの回転が前記転舵軸の軸方向運動に変換されることにより前記転舵軸に操舵力を付与する電動モータと、
    備えることを特徴とするパワーステアリング装置。
  2. 請求項に記載のパワーステアリング装置において、
    前記固定部材は、前記第1周方向接続部、前記第2周方向接続部、前記第1軸方向接続部および前記第2軸方向接続部によって囲まれる領域の内側において、前記ナットの回転軸線の径方向に貫通する貫通部を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
  3. 請求項に記載のパワーステアリング装置において、
    前記ナットは、前記ナットの回転軸線の方向の中間部に設けられた本体部と、前記ナットの回転軸線の方向において前記本体部の両側に設けられ、前記ナットの回転軸線の径方向外側に突出する1対のフランジ部である第1フランジ部および第2フランジ部を有し、
    前記第1周方向接続部は、前記ナットの回転軸線の方向において前記第1フランジ部に対しオフセットした位置に設けられ、
    前記第2周方向接続部は、前記ナットの回転軸線の方向において前記第2フランジ部に対しオフセットした位置に設けられることを特徴とするパワーステアリング装置。
  4. 請求項に記載のパワーステアリング装置において、
    前記固定部材は、前記ナットの回転軸線の方向において前記第1周方向接続部よりも前記第2周方向接続部の反対側に設けられた第1ねじ孔と、前記ナットの回転軸線の方向において前記第2周方向接続部よりも前記第1周方向接続部の反対側に設けられた第2ねじ孔とを備え、
    前記ナットは、前記第1フランジ部において前記第1ねじ孔と対向する位置に設けられた第1雌ねじ部と、前記第2フランジ部において前記第2ねじ孔と対向する位置に設けられた第2雌ねじ部とを有し、
    前記固定部材と前記ナットは、前記第1ねじ孔と前記第1雌ねじ部とを締結する第1ねじ部材と、前記第2ねじ孔と前記第2雌ねじ部とを締結する第2ねじ部材とによって締結されることを特徴とするパワーステアリング装置。
  5. 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
    前記第1循環部材は、前記第1循環部の前記第2循環部側に設けられ、前記第1循環部材の外側面と前記第1ボール循環路の内周面との間の肉厚がほぼ一定に形成された第1肉厚一定部と、前記第1肉厚一定部よりも前記第1挿入部側に設けられ前記第1循環部材の前記肉厚が前記第1肉厚一定部よりも大きくなるように形成された第1厚肉部とを備え、
    前記第1循環部材は、前記第2循環部の前記第2循環部側に設けられ、前記第2循環部材の外側面と前記第2ボール循環路の内周面との間の肉厚がほぼ一定に形成された第2肉厚一定部と、前記第2肉厚一定部よりも前記第2挿入部側に設けられ前記第2循環部材の前記肉厚が前記第2肉厚一定部よりも大きくなるように形成された第2厚肉部とを備え、
    前記固定部材は、前記第1厚肉部および前記第2厚肉部において付勢力を付与することを特徴とするパワーステアリング装置。
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