JP6661314B2 - 配管ラック構造及び配管ラック構造の据付方法 - Google Patents

配管ラック構造及び配管ラック構造の据付方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、配管ラック構造及び配管ラック構造の据付方法に関する。
発電所内には大型で多種の配管が存在しており、タービン建屋の外には、流体及び機能毎に分類された多種の配管を配置する配管ラック構造が用いられている。この種の配管ラック構造では、作業者の通路及び自動車等の走路を確保するため、脚体の上に固定されたラック内に配管が据付けられる。
配管ラック構造の現地据付作業において、配管、ラック、及び脚体は、据付現場に別々に搬入され、ラック同士又はラックと脚体とが接続された後、配管の調整作業が行われ、配管ラック構造として一体に組立てられる。調整作業は、配管、ラック、及び脚体が有する製造誤差、及び製造誤差に起因して生じる据付誤差を調整するための作業である。このとき、作業者は、例えば百メートルを超えるラック上の配管を溶接しつつ、製造誤差及び据付誤差を反映した配管長及び位置を調整している。
特開2007−32738号公報 特開2010−48398号公報
しかしながら、本発明者の検討によれば、従来技術は、以下のような点について検討の余地がある。配管ラック構造の現地据付作業において、調整作業は、全体の工事のうちの大きな割合を占める。このような調整作業が増大した場合、組立から現地据付までの工数が増加し、工事費の増大および工事期間の延長に直結する。
すなわち、従来技術は、配管ラック構造の組立から現地据付までの工数を低減することについて検討の余地がある。
本発明が解決しようとする課題は、組立から現地据付までの工数を低減しうる配管ラック構造及び配管ラック構造の据付方法を提供することである。
実施形態に係る配管ラック構造は、複数のラックと、脚体とを備える。上記複数のラックは、短管を介して互いに対向する両端が接続される複数の配管が配置され、上記複数の配管より長手方向が短い。上記脚体は、脚部、及び上記脚部に支持され、上記各ラックを固定可能であって上記長手方向に沿って延びる接合部分を有し、上記各ラックが長手方向に沿って移動可能に載置されるラック固定部を備え、上記ラック固定部の前記接合部分において、上記各ラックの互いに対向する両端側をそれぞれ上記脚部上に固定する。
以上説明したように本発明の実施形態によれば、組立から現地据付までの工数を低減することができる。
第1の実施形態に係る配管ラック構造の全体構成を示す正面図である。 同実施形態における配管ラック構造の全体構成を示す斜視図である。 同実施形態における配管ラックの構成を示す正面図である。 同実施形態における配管ラックの構成を示す上面図である。 同実施形態における配管ラックの構成を示す側面図である。 同実施形態における配管ラックの構成を示す斜視図である。 同実施形態における脚体の構成を示す正面図である。 同実施形態における脚体の構成を示す斜視図である。 同実施形態におけるラックと脚体との接合を説明する模式図である。 同実施形態における配管ラック構造の据付動作を説明するフローチャートである。 第2の実施形態に係る配管ラック構造の段積み構成を示す斜視図である。 同実施形態における配管ラック構造の据付動作を説明するフローチャートである。 同実施形態における配管ラックの輸送を説明する正面図である。 同実施形態における配管ラックの輸送を説明する斜視図である。
以下、いくつかの実施形態について図面を用いて説明する。
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態に係る配管ラック構造の大まかな全体構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は、第1の実施形態に係る配管ラック構造の構成を示す正面図であり、図2は、第1の実施形態に係る配管ラック構造の構成を示す斜視図である。図示するように、配管ラック構造1は、第1配管ラック10、第2配管ラック20、脚体30、及び短管40を備えている。第1配管ラック10は、第1配管11及び第1ラック12を備え、第2配管ラック20は、第2配管21及び第2ラック22を備えている。この配管ラック構造1は、第1配管11を支持する第1ラック12と、第2配管21を支持する第2ラック22とを脚体30に固定する位置を、各配管11,21の長手方向に沿って調節する機能を有する。配管ラック構造1は、例えば火力発電所又は原子力発電所に配置される配管ラック構造の内、建屋外を通る配管を敷設するために据付けられる。
なお、以下の説明においては、第1配管ラック10及び第2配管ラック20を特に区別しない場合は、単に各配管ラック10,20と呼ぶ。同様に、第1配管11及び第2配管21と、第1ラック12及び第2ラック22とについても、特に区別しない場合は、それぞれ各配管11,21と、各ラック12,22と呼ぶ。また、以下の説明においては、各配管11,21の管路方向を長手方向、水平面内において長手方向に対して垂直な方向を奥行方向、長手方向及び奥行方向に垂直な方向を高さ方向とする。
各配管11,21は、各ラック12,22の内部でその荷重を支持される。各配管11,21は、短管40を介して互いに対向する両端が接続され、1本の管路を形成する。具体的には、第1配管11の一端は、短管40を介して第2配管21の一端と接続される。
各ラック12,22は、各々の互いに対向する一端を脚体30によってそれぞれ支持される構造体である。具体的には、第1ラック12は、その長手方向の一端を脚体30の一端において支持され、第2ラック22は、その長手方向の一端を脚体30の他端において支持される。また、第1ラック12は、第1配管11を支持し、第2ラック22は、第2配管21を支持する。なお、各ラック12,22内に形成される管路の本数は、1本に限らず、任意の本数の管路が複数の配管によって形成可能である。
脚体30は、地面に設置され、各ラック12,22の互いに対向する一端を高所において支持する構造体である。脚体30は、各ラック12,22を高所において支持すると共に、地上の空間を確保する機能を有する。
短管40は、各配管11,21の互いに対向する一端を連結し、管路を長手方向に延長させる機能を有する。短管40は、両端に各配管11,21との連結部を有する。なお、各配管11,21の径が異なる場合、短管40は、一端が第1配管11の径に対応する連結部を有し、他端が第2配管21の径に対応する連結部を有する。
次に、第1の実施形態に係る配管ラックの大まかな構成について図3乃至図6を用いて説明する。なお、各配管ラック10,20の機能構成は略同一である。したがって、以下の説明においては、第1配管ラック10の構成についてのみ説明し、第2配管ラック20の構成についてはその説明を省略する。図3乃至図5は、第1の実施形態に係る第1配管ラック10の構成を示す正面図、上面図、及び側面図であり、図6は、第1の実施形態に係る第1配管ラック10の構成を示す斜視図である。図示するように、第1配管ラック10の第1配管11は、管路部111及び連結部112を備えている。また、第1配管ラック10の第1ラック12は、一対の下段親桁部121、配管支持部122、支柱123、一対の上段親桁部124、高さ方向補強部125、奥行方向補強部126、対角方向補強部127、配管固定部128、及びラック接合部129を備えている。
第1配管ラック10は、第1配管11が第1ラック12の内部を貫いて配置される。第1配管11は、管路部111の両端が第1ラック12の外に出るように配置される。なお、本実施形態における各ラック12,22は、支柱123、一対の上段親桁部124、高さ方向補強部125、奥行方向補強部126を省略した構成であってもよい。
管路部111は、内部に流体を通す流路を有する略円筒状の部材である。管路部111の長さは、数メートル程度から百メートルを超えるものまで、任意の長さが設定可能であるが、いずれも第1ラック12の長手方向の長さよりも長く設計される。連結部112は、管路部111の両端に接続され、第1配管11に対向する第2配管21の連結部112に短管40を介して連結される。
一対の下段親桁部121は、配管支持部122によって第1配管11の長手方向に沿って互いに略平行に接続される。一対の下段親桁部121の長手方向の長さは、第1配管11より長手方向に短い。また、一対の下段親桁部121は、例えば長手方向に垂直な断面が略コの字型の柱状部材であり、脚体30との接合面にラック接合部129を有している。なお、一対の下段親桁部121の形状は、断面が略コの字型の柱状形状に限らず、断面が略H型の柱状形状や、略角筒等の形状が適用可能である。
配管支持部122は、第1配管11の荷重を支持する部材である。また、配管支持部122は、第1配管11を固定する配管固定部128が取り付けられる。
一対の下段親桁部121及び配管支持部122は、第1ラック12の下段部を形成する。第1ラック12の下段部は、第1配管11を支持し、長手方向に第1配管11より短い略矩形の形状である。第1ラック12の下段部の四隅及び周上には、支柱123及び高さ方向補強部125が高さ方向にそれぞれ設置される。
支柱123及び高さ方向補強部125は、高さ方向に第1配管11の径よりも高い位置で一対の上段親桁部124及び奥行方向補強部126を支持する。一対の上段親桁部124は、支柱123及び高さ方向補強部125によって一対の下段親桁部121に略平行に接続され、第1配管11より長手方向に短い部材である。奥行方向補強部126は、一対の上段親桁部124同士が互いに略平行となるように一対の上段親桁部124同士を接続する。
一対の上段親桁部124及び奥行方向補強部126は、第1ラック12の上段部を形成する。第1ラック12の上段部は、第1配管11の上部を保護する略矩形の形状である。第1ラック12の上段部の四隅及び周上には、支柱123及び高さ方向補強部125がそれぞれ接続され、上段部の荷重が支持される。
対角方向補強部127は、各部121‐126間の構造上の強度を保つように、各部121‐126間を対角方向に接続し、トラス構造を形成する部材である。配管固定部128は、第1配管11の移動を拘束するための部材であり、第1配管11が奥行方向にずれることを防止する。
ラック接合部129は、第1ラック12及び脚体30を接合するために形成された穴である。ラック接合部129は、後述する脚体30のラック固定部305とリベット等で接合される。
次に、第1の実施形態に係る脚体30の大まかな構成について図7及び図8を用いて説明する。図7は、第1の実施形態に係る脚体30の構成を示す正面図であり、図8は、第1の実施形態に係る脚体30の構成を示す斜視図である。図示するように、脚体30は、一対の桁部301、桁接続部302、脚部303、対角方向補強部304、及びラック固定部305を備えている。
一対の桁部301は、桁接続部302によって第1配管11の長手方向に沿って互いに略平行に接続される。また、一対の下段親桁部121は、例えば長手方向に垂直な断面が略コの字型の柱状部材であり、脚体30との接合面にラック固定部305を有している。なお、一対の桁部301の形状は、一対の下段親桁部121と同様に、断面が略コの字型の柱状形状に限らず、断面が略H型の柱状形状や、略角筒等の形状が適用可能である。
桁接続部302は、奥行方向に沿って一対の桁部301の間に配置され、両端が一対の桁部301に接続され、一対の桁部301と共にラック支持台を形成する。脚体30のラック支持台は、各ラック12,22の下段部の下面が設置されることにより、各配管ラック10,20の荷重を支持する。
脚部303は、地面に設置され、ラック支持台の下面に接続される。脚部303は、ラック支持台上に固定された各配管ラック10,20の荷重を高所で支持するための部材である。脚部303によって生じる地面とラック支持台との間の空間は、作業者の通路及び車両の走路として使用可能である。したがって、脚部303の高さは、任意の高さが設定可能であるが、通路及び走路確保の観点から、地面から数メートル程度の高さが確保されることが望ましい。
対角方向補強部304は、各部301‐303間の構造上の強度を保つように、各部301‐303間を対角方向に接続し、トラス構造を形成する部材である。
ラック固定部305は、例えば、一対の桁部301の上面を切欠いて形成される矩形の空洞領域である。このラック固定部305と、各ラック12,22の一対の下段親桁部121に設けられたラック接合部129とにリベットを通して締結することにより、各ラック12,22を脚体30に対して固定可能である。また、ラック固定部305は、リベットで固定された後に、溶接等によって更に強固に各ラック12,22と脚体30とを接合してもよい。あるいは、リベットに代えて、ボルト及びナットを用いて各ラック12,22を脚体30に固定してもよい。
次に、第1の実施形態に係る配管ラックと脚体との接合部分の構成について、図9を用いて説明する。図9は、第1の実施形態に係る脚体30のラック支持台における、各配管ラック10,20との接合面を示す模式図である。図示するように、ラック固定部305は、一対の桁部301上において、長辺が長手方向に略平行な矩形に切欠かれた空洞領域を形成する。上述の通り、当該切欠きに一対の下段親桁部121のラック接合部129を介してリベットを通して締結することにより、各ラック12,22と脚体30とが接合される。
ここで、ラック固定部305は、各ラック12,22を固定する固定位置が長手方向に連続的な自由度を有する。すなわち、ラック固定部305は、矩形に切欠かれた空洞領域のうち、長手方向のいずれの位置においても、ラック接合部129を介して各ラック12,22と接合することができる。より具体的には、第1ラック12のラック接合部129がラック固定部305の所定のアクセス位置1291にアクセスする場合、対向する第2ラック22のラック接合部129は、ラック固定部305の所定のアクセス位置1292にアクセスする。この場合、第1ラック12はアクセス位置1291において、第2ラック22はアクセス位置1292において、それぞれ脚体30に固定される。しかしながら、各配管ラック10,20の長手方向の製造誤差や据付誤差により、第1ラック12が脚体30にアクセスする位置が、所定のアクセス位置1291から長手方向に距離δだけずれる場合がある。この場合、第1ラック12のラック接合部129は、アクセス位置1291Aで脚体30のラック固定部305にアクセスする。これに伴い、第2ラック22のラック接合部129は、アクセス位置1292Aで脚体30のラック固定部305にアクセスする。アクセス位置1291A,1292Aにおいても、ラック固定部305は、アクセス位置1291,1292における場合と同様に、各ラック12,22と接合可能である。このように、ラック固定部305は、各ラック12,22を固定する固定位置を長手方向にスライドして、各ラック12,22と接合可能に構成されている。言い換えると、ラック固定部305は、脚体30の上面において各ラック12,22を長手方向に沿って移動可能に載置し、当該載置した位置において各ラック12,22を固定する機能を有する。
次に、以上のように構成された配管ラック構造1を据付けるための動作について、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。
ステップST110において、各配管11,21の管路部111及び連結部112と、各ラック12,22の一対の下段親桁部121、配管支持部122、支柱123、一対の上段親桁部124、高さ方向補強部125、奥行方向補強部126、及び対角方向補強部127とは、一体に組立てられ、それぞれ第1配管ラック10及び第2配管ラック20が形成される。なお、各配管11,21は、それぞれ配管固定部128によって各ラック12,22に固定され、支持される。
また、一対の桁部301、桁接続部302、脚部303、及び対角方向補強部304は、脚体30として一体に組立てられる。一体に組立てられた脚体30は、据付現場に据付けられる。脚体30は、据付現場に据付けられた状態で一体に組立てられてもよい。なお、脚体30の据付けられる位置は、予め定められている。すなわち、据付けられる脚体30同士の間隔は、各脚体30上で接合される各配管ラック10,20の長手方向の長さに基づいて設定される。
ステップST120において、各配管ラック10,20は、ワイヤ等で吊上げられて脚体30に設置される。第1ラック12の長手方向の一端は、脚体30のラック支持台の上面に設置され、長手方向に沿って連続的に固定位置を調整可能なラック固定部305を介して適切な固定位置で脚体30に接合される。次に、脚体30に接合された第1ラック12の一端と互いに対向して据付けられる第2ラック22の一端は、脚体30のラック支持台の上面に設置される。第2ラック22は、長手方向に沿って連続的に固定位置を調整可能なラック固定部305を介して適切な固定位置で脚体30に接合される。
なお、第2ラック22が接合されるラック固定部305のアクセス位置1292は、第1ラック12に固定された第1配管11に短管40の一端側を取付けた際に、短管40の他端側に第2ラック22に固定された第2配管21を取付け可能な位置が選択される。
ステップST130において、短管40は、脚体30上において、各配管11,21の互いに対向する両端の間を接続し、一本の管路を形成する。
以上により、配管ラック構造1の据付が完了する。
上述したように、第1の実施形態によれば、配管ラック構造1は、複数のラック12,22と、脚体30とを備える。上記複数のラック12,22は、短管40を介して互いに対向する両端が接続される複数の配管11,21が配置され、上記複数の配管11,21より長手方向が短い。上記脚体30は、脚部303、及び上記脚部303に支持され、上記各ラック12,22を固定可能であって上記各ラック12,22が長手方向に沿って移動可能に載置されるラック固定部305を備え、上記ラック固定部305によって上記各ラック12,22の互いに対向する両端側をそれぞれ上記脚部303上に固定するようにしている。これにより、第1ラック12と第2ラック22とを直接接続することなく、第1配管11と第2配管21との間の長手方向の間隔を調節することが出来る。補足すると、脚体30に第1ラック12を接合する際に、製造誤差や据付誤差等によって長手方向の誤差が生じた場合、第2ラック22を脚体30へ接合する位置を生じた誤差の分だけ長手方向にスライドさせる。このように、脚体30上に各ラック12,22を接合する毎に、長手方向の誤差を容易に調整することができ、現地据付時の調整作業を簡略化できる。また、長手方向の誤差は、短管40の長さではなく第2ラック22の接合位置によって調整されるため、長さの異なる様々な種類の短管40を予め用意する必要がなくなる。更に補足すると、各ラック12,22の長さは、各配管11,21よりも長手方向に短くなるように設定される。したがって、長手方向に接続されるのは第1配管11及び第2配管21の間のみである。これにより、各ラック12,22同士を接合する度に生じる各ラック12,22間の長手方向の誤差を調整することなく、現地据付を実施することが出来る。したがって、組立から現地据付までの工数を低減することができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態において、各配管ラック10,20を個別に段積みし得る構成となっている。具体的には、配管ラック構造1の各配管ラック10,20は、互いに段積み可能である点を除き、その他の構成は、図2に示す配管ラック構造1と同等の構成である。以下では、図2と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、異なる部分について主に述べる。
図11は、第2配管ラック20に第1配管ラック10を段積みした構成を示す斜視図である。図示するように、各配管11,21及び各ラック12,22は、それぞれ略同一形状である。また、各ラック12,22における一対の下段親桁部121及び一対の上段親桁部124は、それぞれ略同一形状である。各ラック12,22は、第2ラック22の一対の上段親桁部124の上面に第1ラック12の一対の下段親桁部121の下面が接するように、各配管ラック10,20を個別に段積み可能であるように構成されている。
なお、各ラック12,22の一対の下段親桁部121の下面及び一対の上段親桁部124の上面には、図示しないずれ防止部が備えられてもよい。ずれ防止部は、互いに係り合せることで各ラック12,22が水平面内で相対的にずれることを防止する。また、各ラック12,22は、段積みされた状態でワイヤ等によって固定されてもよい。いずれにせよ、各配管ラック10,20は、段積みされた状態で水平面内における相対的なずれが生じないように固定される。
次に、以上のように構成された配管ラック構造1を据付けるための動作について、図12乃至図14を参照しながら説明する。図12は、本実施形態に係る配管ラック構造1を据付けるための動作を示すフローチャートであり、図13は、本実施形態に係る各配管ラック10,20の輸送手段を示す正面図であり、図14は、本実施形態に係る各配管ラック10,20の輸送手段を示す斜視図である。ここで、本実施形態に係る配管ラック構造1は、配管ラック構造1の各構成部品を各構成部品の製造工場から据付現場に輸送するものとする。また、図13及び図14に示すように、各構成部品の輸送に際しては、河川又は海上を輸送経路として用い、輸送手段にはバージ船50を使用するものとする。
ステップST110Aにおいて、各配管ラック10,20は、製造工場において形成される。具体的には、各配管11,21の管路部111及び連結部112と、各ラック12,22の一対の下段親桁部121、配管支持部122、支柱123、一対の上段親桁部124、高さ方向補強部125、奥行方向補強部126、及び対角方向補強部127とは、製造工場にて一体として組立てられる。この時、第1配管11は、配管固定部128によって第1ラック12に固定され、第2配管21は、配管固定部128によって第2ラック22に固定される。
ステップST115において、図13及び図14に示すように、製造工場にて一体として組立てられた第1配管ラック10は、同様に製造工場において一体として組立てられた第2配管ラック20にバージ船50上で個別に段積みされる。このとき、第2ラック22の一対の上段親桁部124の上面に第1ラック12の一対の下段親桁部121の下面が接するように、第2配管ラック20に第1配管ラック10を段積みする。なお、各配管ラック10,20を段積みする順番は、据付現場における以後の工程において、先に据付工程が実施される配管ラック10が上段に積まれるような順番で段積みされる。段積みされた各配管ラック10,20は、バージ船50に搭載されたシーブワイヤ等によって拘束され、各配管ラック10,20同士が水平面内でずれることが防止されてもよい。
また、脚体30を構成する一対の桁部301、桁接続部302、脚部303、及び対角方向補強部304と、短管40とは、製造工場では組立てることなく、バージ船50に搭載される(図13及び図14では図示せず)。バージ船50に個別に段積みされた各配管ラック10,20、脚体30の構成部品、及び短管40は、河川又は海上を移動して据付現場へ輸送される。
据付現場へ輸送後、一対の桁部301、桁接続部302、脚部303、及び対角方向補強部304は、脚体30として一体に組立てられる。一体に組立てられた脚体30は、据付現場に据付けられる。なお、脚体30の据付けられる位置は、予め定められている。すなわち、据付けられる脚体30同士の間隔は、各脚体30上で接合される各配管ラック10,20の長手方向の長さに基づいて設定される。
ステップST120において、各配管ラック10,20は、ワイヤ等で吊上げられて脚体30に設置される。第1ラック12の長手方向の一端は、脚体30のラック支持台の上面に設置され、長手方向に沿って連続的に固定位置を調整可能なラック固定部305によって、適切な固定位置で脚体30に接合される。次に、脚体30に接合された第1ラック12の一端と互いに対向して据付けられる第2ラック22の一端は、脚体30のラック支持台の上面に設置される。第2ラック22は、長手方向に沿って連続的に固定位置を調整可能なラック固定部305によって、適切な固定位置で脚体30に接合される。
なお、第2ラック22が接合されるラック固定部305のアクセス位置1292は、第1ラック12に固定された第1配管11に短管40の一端側を取付けた際に、短管40の他端側に第2ラック22に固定された第2配管21を取付け可能な位置が選択される。
ステップST130において、短管40は、脚体30上において、各配管11,21の互いに対向する両端の間を接続し、一本の管路を形成する。
以上により、配管ラック構造1の据付が完了する。
上述したように、本実施形態に係る配管ラック構造1は、個別に段積み可能であるようにしている。これにより、組立てた各配管ラック10,20の段積みすることで集積密度を高めることができる。したがって、製造工場から据付現場に配管ラック構造1を構成する部品を輸送する前に各配管ラック10,20を組立てたとしても、輸送効率を下げることなく輸送できるため、輸送費が削減できる。また、据付現場における据付け作業の前に、製造工場にて各配管ラック10,20を組立てることができるため、据付現場において実施が必要となる工程を製造工場に分散させることができる。したがって、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、製造から据付けまでの作業に要する全体的な工期を更に低減できる。
なお、本発明の各実施形態を説明したが、各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、各実施形態における各ラック12,22と脚体30との接合には、リベットによる締結を用いるものとしたが、これに限られない。各ラック12,22と脚体30との接合には、溶接を用いて接着させてもよい。これにより、各ラック12,22のラック接合部129及び脚体30のラック固定部305を製造する工程を省くことができるため、部品製造の工程を簡略化できる。
また例えば、第1配管ラック10及び第2配管ラック20は、脚体30上に接合された後に短管40を介して接続されるものとしたが、これに限られない。第1配管ラック10及び第2配管ラック20は、脚体30上に接合される前に、地上において短管40を介して接続されてもよい。地上で短管40を介して接続された第1配管ラック10及び第2配管ラック20は、接続された状態のまま吊上げられ、脚体30上に接合されてもよい。これにより、脚体30上における高所での作業が必要であった短管40による接続工程を地上で行うことができる。したがって、高所作業によるリスクを低減することができる。
更に、ラック固定部305は、各ラック11,22を固定する固定位置が長手方向に連続的に自由度を有するものとしたが、ラック接合部129、又はラック固定部305及びラック接合部129の両方が長手方向に連続的な自由度を有する構造としてもよい。
このように、各実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。各実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…配管ラック構造、10…第1配管ラック、11…第1配管、12…第1ラック、20…第2配管ラック、21…第2配管、22…第2ラック、30…脚体、40…短管、50…バージ船、111…管路部、112…連結部、121…一対の下段親桁部、122…配管支持部、123…支柱、124…一対の上段親桁部、125…高さ方向補強部、126…奥行方向補強部、127…対角方向補強部、128…配管固定部、129…ラック接合部、301…一対の桁部、302…桁接続部、303…脚部、304…対角方向補強部、305…ラック固定部、1291,1291A,1292,1292A…アクセス位置。

Claims (5)

  1. 短管を介して互いに対向する両端が接続される複数の配管が配置され、前記複数の配管より長手方向が短い複数のラックと、
    脚部、及び前記脚部に支持され、前記各ラックを固定可能であって前記長手方向に延びる接合部分を有し、前記各ラックが長手方向に沿って移動可能に載置されるラック固定部を備え、前記ラック固定部の前記接合部分において、前記各ラックの互いに対向する両端側をそれぞれ前記脚部上に固定する脚体と
    を備えることを特徴とする配管ラック構造。
  2. 前記複数のラックは、略同一の機能構成を有し、個別に段積み可能であることを特徴とする請求項1記載の配管ラック構造。
  3. 短管を介して互いに対向する両端が接続される複数の配管が配置され、前記複数の配管よりも長手方向が短い複数のラックと、脚部、及び前記脚部に支持され、前記各ラックを固定可能であって前記長手方向に延びる接合部分を有し、前記各ラックが前記長手方向に沿って移動可能に載置されるラック固定部を備える脚体とを備える配管ラック構造の据付方法であって、
    前記各配管を前記各ラックにそれぞれ支持し、複数の配管ラックを組立てる組立工程と、
    前記ラック固定部上において前記組立てられた複数の配管ラックの少なくとも1つを前記長手方向に移動させ、前記複数の配管ラックの各々を固定する前記接合部分上の位置を決定する決定工程と、
    前記ラック固定部の前記決定された接合部分上の位置において、前記組立てられた各配管ラックの互いに対応する両端側をそれぞれ前記脚部上に固定する固定工程と、
    前記脚体に固定された各配管ラックに支持された前記各配管の互いに対応する両端を前記短管によって接続する接続工程と、
    を備えることを特徴とする配管ラック構造の据付方法。
  4. 前記複数のラックは、略同一の機能構成を有し、個別に段積み可能であり、
    前記組立工程は、据付現場への輸送前に実行され、
    前記各配管ラックを段積みして据付現場に輸送する輸送工程を更に備え、
    前記固定工程及び前記接続工程は、前記輸送工程の後に実行される
    ことを特徴とする請求項記載の配管ラック構造の据付方法。
  5. 前記接続工程は、前記組立てられた各配管ラックに支持された前記各配管の互いに対応する両端を前記短管によって接続し、
    前記固定工程は、前記ラック固定部によって、前記接続された各配管ラックの互いに対応する両端側をそれぞれ前記脚部上において固定する
    ことを特徴とする請求項記載の配管ラック構造の据付方法。
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