以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における成分分析器の構成を模式的に示すブロック図である。図1に示すように、第1実施形態に係る成分分析器1は、光源部10と、分光器12と、入力光ファイバ14と、フローセルユニット20と、出力光ファイバ30A、30B、30C、30Dと、光検出部40A、40B、40C、40Dと、AD変換部42と、成分分析部44と、モニタ部46と、を有する。さらに、成分分析器1は、参照入力光ファイバ51と、参照フローセル52と、参照出力光ファイバ54と、参照光検出部56と、を有する。
成分分析器1は、所定の化学処理が行われた溶液の成分を、吸光光度法により測定する溶液の成分分析器であり、溶液の化学処理を行う施設100に設けられている。ここでいう溶液の成分とは、溶液の濃度、又は溶液に含まれる溶質の成分の種類等、溶質の溶媒中での状態をいう。また、施設100は、原子力燃料に所定の化学処理が行われる施設であり、より詳しくは原子力燃料の再処理施設である。成分分析器1は、使用済み燃料に所定の処理を加えて再処理済み燃料を生成するためのプロセス溶液の成分管理に用いられる。ただし、成分分析器1は、このように原子力燃料に化学処理を行う施設に設けられることに限られず、化学処理が行われる溶液を管理する設備であれば、例えば化学プラントなど、任意の設備に用いてもよく、化学処理が行われる任意の溶液の成分分析を行うものであればよい。
なお、光源部10と、分光器12と、入力光ファイバ14と、フローセルユニット20と、出力光ファイバ30A、30B、30C、30Dと、光検出部40A、40B、40C、40Dと、参照入力光ファイバ51と、参照フローセル52と、参照出力光ファイバ54と、参照光検出部56と、は、吸光分析器2を構成する。吸光分析器2は、所定の化学処理が行われた溶液の吸光度を測定する溶液の吸光分析器である。以下、成分分析器1の各部について説明する。
光源部10は、光を照射する光源である。第1実施形態において、光源部10は、所定の波長範囲内で波長が連続する連続光を照射する。図2は、連続光を説明するグラフである。図2の横軸は光の波長であり、縦軸は光の強度である。図2の曲線C1は、連続光のスペクトルの一例を示している。曲線C1に示すように、連続光は、所定の波長の範囲において波長が離散的になっておらず、波長が連続しているものである。また、光源部10は、紫外光及び可視光を照射することができる。第1実施形態において、光源部10は、紫外光を照射するための重水素放電管と、可視光を照射するためのハロゲンランプとを備えている。ただし、光源部10は、連続光を照射するものであれば、その構成は任意であり、例えば、紫外光及び可視光に加えて、近赤外光を照射するものであってもよい。
分光器12は、光源部10が照射した光を受光し、受光した光のうち、分析に用いる波長の光を回折格子により単色光に分光する。
入力光ファイバ14は、一方の端部が分光器12に接続されている光ファイバであり、分光器12が分光した光を伝送する。言い換えれば、入力光ファイバ14は、一方の端部が分光器12を介して光源部10に接続されており、光源部10が照射した光を伝送する。第1実施形態において、入力光ファイバ14は、1本の光ファイバである。
フローセルユニット20は、図1に示すように、複数のフローセル部22A、22B、22C、22Dを有する。フローセル部22Aは、入力接続光ファイバ62Aと、フローセル64Aと、出力接続光ファイバ66Aとを有する。フローセル部22Bは、入力接続光ファイバ62Bと、フローセル64Bと、出力接続光ファイバ66Bとを有する。フローセル部22Cは、入力接続光ファイバ62Cと、フローセル64Cと、出力接続光ファイバ66Cとを有する。フローセル部22Dは、入力接続光ファイバ62Dと、フローセル64Dと、出力接続光ファイバ66Dとを有する。
入力接続光ファイバ62Aは、一方の端部が入力光ファイバ14の他方の端部に接続されている光ファイバである。入力接続光ファイバ62Aは、入力光ファイバ14が伝送した光を伝送する。
フローセル64Aは、溶液を流しながら溶液の成分を測定することができるセルである。図3は、フローセルの構成を示す模式図である。図3に示すように、フローセル64Aは、本体部70と、導入管71と、導出管72とを有する。本体部70は、溶液SAが導入及び導出されるセルである。ここで、溶液SAは、溶媒及び溶質を含有する溶液であり、所定の化学処理が行われた溶液である。本体部70は、円筒形状のセルである。導入管71は、本体部70の側面(外周部)であって一方の端部(円筒の一方の底部)側に取付けられ、溶液SAを本体部70の内部に導入するための管である。導出管72は、本体部70の側面(外周部)であって他方の端部(円筒の他方の端部)に取付けられ、本体部70の内部に導入された溶液SAを導出するための管である。本体部70は、導入管71から溶液SAが導入され、導出管72から溶液SAが導出されるため、内部において溶液SAが流れている。
さらに、本体部70の一方の端部(円筒の一方の底部)である第1表面部74は、光を透過する部材により構成されている。また、本体部70の他方の端部(円筒の他方の底部)である第2表面部75も、光を透過する部材により構成されている。第1表面部74、第2表面部75は、透明部材であるガラスにより構成されているが、これに限られず、光を透過するものであればよい。
なお、本体部70は、以上説明した構造に限られない。本体部70は、導入管71及び導出管72に接続されて溶液SAが流れるものであり、光を内部に向けて透過する第1表面部74、及び第1表面部74に対向して設けられ、第1表面部74からの光を透過する第2表面部75を有していれば、その形状は任意である。例えば、本体部70は球形状、又は直方体形状の筒状部材であってもよい。また、本体部70は、外管及び内管を備え、内管に溶液SAが流れ、外管にシース液などの参照液が流れるものであってもよい。
図3に示すように、第1表面部74には、第1接続カプラ部80を介して、入力接続光ファイバ62Aの他方の端部が接続されている。入力接続光ファイバ62Aから伝送される光である入力光L1は、第1接続カプラ部80を介して第1表面部74に照射される。第1表面部74に照射された入力光L1は、本体部70の内部に入射する。なお、第1接続カプラ部80は、レンズを備えており、入力接続光ファイバ62Aを通る入力光L1を、本体部70の内部で収束するように集光する。
第2表面部75には、第2接続カプラ部82を介して、出力接続光ファイバ66Aの一方の端部が接続されている。本体部70の内部に入射した入力光L1は、本体部70の内部に流れる溶液SAを透過する。溶液SAを透過した透過光である出力光L2Aは、第2表面部75から第2接続カプラ部82を介して、出力接続光ファイバ66Aに出射される。なお、第2接続カプラ部82は、レンズを備えており、本体部70の内部で収束して拡散した出力光L2Aを、出力接続光ファイバ66A内に沿った光となるように収束させる。
出力接続光ファイバ66Aは、他方の端部が出力光ファイバ30Aに接続されている光ファイバであり、第2表面部75からの出力光L2Aを、出力光ファイバ30Aに伝送する。
なお、本体部70の内部に流れる溶液SAに照射された入力光L1は、溶液SAの成分に応じた吸光度の分、所定の波長において所定の量だけ吸収される。従って、透過光である出力光L2Aは、所定の波長おいて、入力光L1よりも強度が小さくなる。詳しくは後述するが、成分分析器1は、入力光L1と出力光L2Aとの強度比に基づき、溶液SAの成分を分析する。
以下、フローセル64Aの設置箇所について説明する。図4は、フローセルの設置箇所を説明するための模式図である。所定の化学処理が行われた溶液SAは、フローセル64Aに溶液を供給する溶液保持部としての溶液管102Aに流されている。フローセル64Aは、溶液管102Aに隣接して設けられている。フローセル64Aは、導入管71の本体部70と反対側の端部が溶液管102Aに接続されている。また、フローセル64Aは、導出管72の本体部70と反対側の端部が、溶液管102Aに接続されている。導出管72は、導入管71よりも、溶液管102A中の溶液SAの流路の下流側に接続されている。フローセル64Aは、導入管71により、溶液管102Aから溶液SAを導入し、導出管72により溶液管102Aに溶液SAを導出している。なお、第1実施形態では、溶液保持部としての溶液管102Aは、溶液SAを流す管であったが、管状の部材に限られない。また、溶液保持部は溶液SAを流すものでなく、溶液SAを貯留するもの、例えば貯留容器であってもよい。
フローセル64Aは、図4に示すように溶液管102Aから分岐して設けられているが、溶液管102Aに一体に設けられていてもよい。図5は、フローセルの設置箇所の他の例を説明するための模式図である。図5に示す例では、フローセル64Aは、溶液管102Aと一体となっている。この場合、溶液管102Aの外周に、フローセル64Aの第1表面部74及び第2表面部75を設ける。また、この場合、フローセル64Aの導入管71は、溶液管102Aにおける、第1表面部74及び第2表面部75が設けられている箇所の上流部であり、フローセル64Aの導出管72は、溶液管102Aにおける、第1表面部74及び第2表面部75が設けられている箇所の下流部であるということができる。
以上、フローセル部22Aの構成について説明したが、フローセル部22B、22C、22Dも、フローセル部22Aと同様の構成である。すなわち、入力接続光ファイバ62A、62B、62C、62Dは互いに同様の構成であり、フローセル64A、64B、64C、64Dは互いに同様の構成であり、出力接続光ファイバ66A、66B、66C、66Dは、互いに同様の構成である。以下、入力接続光ファイバ62A、62B、62C、62Dを互いに区別しない場合は、適宜、入力接続光ファイバ62と記載する。同様に、出力接続光ファイバ66A、66B、66C、66Dを互いに区別しない場合は、適宜、出力接続光ファイバ66と記載する。
入力接続光ファイバ62A、62B、62C、62Dは、入力カプラ部60を介して、入力光ファイバ14に接続されている。入力カプラ部60は、入力光ファイバ14と、入力接続光ファイバ62A、62B、62C、62Dとを着脱可能に接続する。ここで、入力光ファイバ14に伝送される光を、入射光L0とする。入力カプラ部60は、入力光ファイバ14を伝送される入射光L0を、入力接続光ファイバ62A、62B、62C、62Dのそれぞれに分岐して伝送する。入力カプラ部60は、入力接続光ファイバ62A、62B、62C、62Dのそれぞれに伝送する光の強度を調節する機能を有する。入力カプラ部60は、入力接続光ファイバ62A、62B、62C、62Dのそれぞれに伝送する光の強度を調節することにより、入力接続光ファイバ62A、62B、62C、62Dのそれぞれに伝送する光の強度を略均等にし、入力接続光ファイバ62A、62B、62C、62Dのそれぞれに、入力光L1を伝送する。なお、入力カプラ部60の光の強度を調節する機能とは、例えば入力接続光ファイバ62A、62B、62C、62Dの接続箇所に設けられる絞り部であるが、これに限られない。
出力接続光ファイバ66A、66B、66C、66Dは、出力カプラ部68を介して、それぞれ出力光ファイバ30A、30B、30C、30Dに接続されている。出力カプラ部68は、出力接続光ファイバ66A、66B、66C、66Dと、出力光ファイバ30A、30B、30C、30Dとを着脱可能に接続する。すなわち、フローセルユニット20は、入力カプラ部60及び出力カプラ部68により、成分分析器1から着脱可能に取り付けられている。
また、フローセル部22A、22B、22C、22Dは、施設100内において互いに異なる箇所に設けられている。図1に示すように、フローセル部22A、22B、22C、22D(より詳しくはフローセル64A、64B、64C、64D)は、それぞれ箇所101A、101B、101C、101Dに設けられている。箇所101Aは、上述の溶液管102Aが設置された箇所である。また、箇所101Bは、溶液管102Bが設置された箇所である。箇所101Cは、溶液管102Cが設置された箇所である。箇所101Dは、溶液管102Dが設置された箇所である。溶液管102A、102B、102C、102Dは、同じ管の互いに異なる箇所であってもよく、互いに別の管であってもよい。
更に詳しくは、溶液管102A、102B、102C、102Dは、互いに異なる化学処理が行われた溶液である溶液SA、SB、SC、SDがそれぞれ導入されている。互いに異なる化学処理が行われた溶液SA、SB、SC、SDとは、所定の溶液について複数の工程で化学処理を行う場合における、工程毎の溶液であってもよい。例えば、溶液SAに化学処理T1、T2、T3を行う場合、フローセル64Aは、化学処理T1前の溶液SAを導入し、フローセル64Bは、化学処理T1後の溶液SBを導入し、フローセル64Cは、化学処理T2後の溶液SCを導入し、フローセル64Dは、化学処理T3後の溶液SDを導入する。また、互いに異なる化学処理が行われた溶液SA、SB、SC、SDは、異なる溶液についてそれぞれ化学処理を行ったものであってもよい。例えば、所定の溶液SA、SB、SC、SDにそれぞれ所定の化学処理を行う場合、フローセル64Aは、所定の化学処理後の溶液SAを導入し、フローセル64Bは、所定の化学処理後の溶液SBを導入し、フローセル64Cは、所定の化学処理後の溶液SCを導入し、フローセル64Dは、化学処理後の溶液SDを導入する。
このように、フローセル64A、64B、64C、64Dは、互いに異なる化学処理が行われる箇所101A、101B、101C、101Dに設置され、互いに異なる化学処理が行われた溶液SA、SB、SC、SDが導入されている。従って、フローセルユニット20は、施設100中で異なる処理が行われた溶液について同時に成分分析を行うことができる。
図1に示す出力光ファイバ30Aは、上述のように一方の端部が出力接続光ファイバ66Aに接続される光ファイバであり、出力接続光ファイバ66Aが伝送した出力光L2Aを伝送する。出力光ファイバ30B、30C、30Dは、出力光ファイバ30Aと同様の構成である。以下、出力光ファイバ30A、30B、30C、30Dを区別しない場合は、適宜、出力光ファイバ30と記載する。
図1に示す光検出部40Aは、出力光ファイバ30Aの他方の端部に接続され、出力光ファイバ30Aが伝送した出力光L2Aの光の強度を検出する。第1実施形態においては、光検出部40Aはフォトダイオードであり、出力光ファイバ30Aが伝送した出力光L2Aの光の強度の情報を有する電気信号を出力する。光検出部40B、40C、40Dは、光検出部40Aと同様の構成である。光検出部40Bは、出力光ファイバ30Bが伝送した出力光L2Bの光の強度を検出する。光検出部40Cは、出力光ファイバ30Cが伝送した出力光L2Cの光の強度を検出する。光検出部40Dは、出力光ファイバ30Dが伝送した出力光L2Dの光の強度を検出する。以下、光検出部40A、40B、40C、40Dを区別しない場合は、適宜、光検出部40と記載する。
次に、参照入力光ファイバ51と、参照フローセル52と、参照出力光ファイバ54と、参照光検出部56とについて説明する。参照入力光ファイバ51と、参照フローセル52と、参照出力光ファイバ54と、参照光検出部56とは、光の揺らぎを補正するための参照光を検出するために使用される。
図1に示すように、参照入力光ファイバ51は、参照カプラ部50を介して、一方の端部が入力光ファイバ14に接続される光ファイバである。参照入力光ファイバ51は、入力光ファイバ14からの光を伝送する。参照カプラ部50は、参照入力光ファイバ51に伝送される光の強度を調節する機能を有する。参照カプラ部50は、参照光を検出する場合には参照入力光ファイバ51に伝送される光の強度を、フローセル部22Aに伝送される入力光L1と略同一の強度にする。参照カプラ部50の光の強度を調節する機能とは、例えば絞りである。
図6は、参照フローセルの構成を説明するための模式図である。図6に示すように、参照フローセル52は、円筒形状のセルであり、フローセル64Aと同じ形状となっている。ただし、参照フローセル52は、導入管71及び導出管72を有さない。参照フローセル52の一方の表面74Xは、光を透過する部材により構成されている。また、参照フローセル52の一方の表面74Xに対向する他方の表面75Xは、光を透過する部材により構成されている。一方の表面74Xは、フローセル64Aの第1表面部74に相当し、他方の表面75Xは、フローセル64Aの第2表面部75に相当する。
参照フローセル52は、内部に分析対象の溶液が導入されていない。参照フローセル52の内部は、空気が導入されている。また、参照フローセル52の内部は、吸光されない物質であれば、内部にどのような物質が導入されていてもよく、あるいは、真空であってもよい。ただし、参照フローセル52の内部は、溶液SA、SB、SC、SDの溶媒と同じ成分の液体が導入されていることが好ましい。さらに、参照フローセル52は、液体の導入管及び導出管が設けられており、成分分析を行う際にフローセル64Aに導入される溶液SA、SB、SC、SDと同じ流量で、液体が導入されることがより好ましい。
図6に示すように、参照フローセル52の一方の表面74Xには、第1接続カプラ部80Xを介して、参照入力光ファイバ51の他方の端部が接続されている。参照入力光ファイバ51から伝送される入力光L1は、第1接続カプラ部80Xを介して一方の表面74Xに照射され、参照フローセル52の内部に入射する。第1接続カプラ部80Xは、第1接続カプラ部80と同様の構成である。
参照フローセル52の他方の表面75Xには、第2接続カプラ部82Xを介して、光ファイバである参照出力光ファイバ54の一方の端部が接続されている。参照入力光ファイバ51から伝送される入力光L1は、第1接続カプラ部80Xを介して一方の表面74Xに照射され、参照フローセル52の内部に入射する。入力光L1は、参照フローセル52の内部において吸光されず、参照光L3として他方の表面75Xから、第2接続カプラ部82Xを介して、参照出力光ファイバ54に出射される。第2接続カプラ部82Xは、第2接続カプラ部82と同様の構成である。
図1に戻り、参照光検出部56は、参照出力光ファイバ54の他方の端部に接続されている。参照光検出部56は、参照出力光ファイバ54が伝送した参照光L3の光の強度を検出する。参照光検出部56は、光検出部40Aと同様の構成である。
以上のように、参照光L3は、入力光L1から吸光されたものでないため、入力光L1と強度は等しい。ただし、参照光L3は、光源部10のゆらぎ等の成分分析器1に固有の変動因子により、単位時間当たりの測定強度が異なる。
図1に示すAD変換部42は、光検出部40A、40B、40C、40Dから出力光L2A、L2B、L2C、L2Dの光の強度に対応するアナログ電気信号を取得し、デジタル電気信号に変換して成分分析部44に出力する。同様に、AD変換部42は、参照光検出部56から参照光L3の光の強度に対応するアナログ電気信号を取得し、デジタル電気信号に変換し、成分分析部44に出力する。
図1に示す成分分析部44は、入力光L1の光の強度の情報を有する電気信号、出力光L2A、L2B、L2C、L2Dの光の強度の情報を有する電気信号、及び参照光L3の光の強度の情報を有する電気信号に基づき、溶液SA、SB、SC、SDの成分分析を行う。成分分析部44は、第1実施形態ではコンピュータである。以下、成分分析部44の構成及び処理内容について説明する。
図7は、成分分析部の構成を示すブロック図である。図7に示すように、成分分析部44は、参照光強度取得部90と、出力光強度取得部92と、補正出力光強度算出部94と、入力光強度取得部96と、吸光度算出部97と、溶液濃度算出部98と、を有する。
参照光強度取得部90は、AD変換部42から、参照光L3の光の強度の情報を取得する。出力光強度取得部92は、AD変換部42から、出力光L2A、L2B、L2C、L2Dの光の強度の情報を取得する。
補正出力光強度算出部94は、参照光L3の光の強度の情報と、出力光L2A、L2B、L2C、L2Dの光の強度の情報とに基づき、出力光L2A、L2B、L2C、L2Dの光の強度の補正値である補正出力光強度を算出する。ここで、出力光L2Aの光の強度の値をIOL2Aとし、参照光L3の光の強度の値をIL3とすると、補正出力光強度算出部94は、出力光L2Aの補正出力光強度IL2Aを、次の式(1)により算出する。
IL2A=IOL2A/IL3・・・(1)
すなわち、補正出力光強度算出部94は、出力光L2Aの補正出力光強度IL2Aを、出力光L2Aの光の強度及び参照光L3の光の強度の強度比から算出する。上述のように、参照光L3は、成分分析器1に固有の変動因子により、単位時間当たりの測定強度が入力光L1とは異なる。従って、出力光L2Aの補正出力光強度IL2Aは、成分分析器1の固有の変動因子の影響を除去した光の強度の値となる。補正出力光強度算出部94は、これと同様の方法で、出力光L2B、L2C、L2Dの補正出力光強度を算出する。補正出力光強度算出部94は、算出した各補正出力光強度の情報を、吸光度算出部97に出力する。
入力光強度取得部96は、光源部10から、入力光L1の光の強度の情報を取得し、吸光度算出部97に出力する。入力光L1の光の強度の値は、例えば、光源部10に照射させる光の強度の設定値である。
吸光度算出部97は、入力光L1の光の強度の情報と、出力光L2A、L2B、L2C、L2Dの補正出力光強度の情報とに基づき、溶液SA、SB、SC、SDの吸光度を算出する。ここで、入力光L1の光の強度の値をIL1とすると、吸光度算出部97は、次の式(2)に基づき、溶液SAの吸光度ASAを算出する。
ASA=log10(IL1/IL2A)・・・(2)
すなわち吸光度ASAは、溶液SAに吸収された光の強度の比率であり、吸光度算出部97は、入力光L1の光の強度と出力光L2Aの補正出力光強度との強度比に基づき、溶液SAの吸光度ASAを算出する。吸光度算出部97は、これと同様の方法で、溶液SB、SC、SDの吸光度を算出する。
溶液濃度算出部98は、溶液SA、SB、SC、SDの吸光度に基づき、溶液SA、SB、SC、SDの濃度、すなわち溶液SA、SB、SC、SD中の所定の溶質の濃度を算出する。ここで、lを光路長(第1表面部74と第2表面部75との間の距離)とし、εをモル吸光係数とした場合、溶液濃度算出部98は、溶液SA中の所定の溶質の濃度CSAを、次の式(3)に基づき算出する。
CSA=ASA/(ε・l) ・・・(3)
このように、溶液濃度算出部98は、溶液SAの濃度を、溶液SAの吸光度に基づき算出する。溶液濃度算出部98は、これと同様の方法で、溶液SB、SC、SDの濃度を算出する。なお、溶液SAに複数の溶質がある場合、出力光の波長毎に吸光度を算出し、その波長毎の吸光度に基づき同様の方法でそれぞれの溶質の濃度を算出すればよい。
成分分析部44は、以上説明した方法で、溶液SA、SB、SC、SDの濃度を算出する。モニタ部46は、成分分析部44から各溶液の濃度の情報を取得し、施設100における各化学処理が適切に行われているかをモニタし、各溶液の濃度の情報に基づき、必要に応じて各化学処理の処理にフィードバック制御を実行する。
以上説明したように、第1実施形態に係る溶液の吸光分析器2は、光を照射する光源部10と、光源部10に接続されて光源部10からの光を伝送する入力光ファイバ14と、フローセル部22A、22B、22C、22Dを有するフローセルユニット20と、複数の出力光ファイバ30A、30B、30C、30Dと、出力光ファイバ30A、30B、30C、30Dに接続されて、出力光ファイバ30A、30B、30C、30Dに伝送される出力光L2A、L2B、L2C、L2Dの光の強度を算出する光検出部40A、40B、40C、40Dとを有する。フローセル部22Aは、入力光ファイバ14に接続されて入力光ファイバ14からの光を伝送する入力接続光ファイバ62Aと、溶液SAが流れ、又は貯留される溶液保持部に接続されて内部に溶液SAが導入され、入力接続光ファイバ62Aに接続されてその光(入力光L1)を内部に向けて透過する第1表面部74、及び第1表面部74に対向して設けられ第1表面部74を透過した光(出力光L2A)を透過する第2表面部75を有するフローセル64Aと、第2表面部75に接続されて第2表面部75を透過した光(出力光L2A)を伝送する出力接続光ファイバ66Aと、を有する。出力光ファイバ30Aは、出力接続光ファイバ66Aに接続され、出力接続光ファイバ66Aからの光(出力光L2A)を伝送する。
第1実施形態に係る吸光分析器2は、このように、1つの光源部10に対し、複数のフローセル部22A、22B、22C、22Dを有し、光源部10と各フローセル部とが光ファイバで接続されている。フローセル部22A、22B、22C、22Dは、それぞれ分析対象である溶液が導入される溶液管102A、102B、102C、102Dに接続されており、それぞれ異なる化学処理がなされた溶液SA、SB、SC、SDが導入される。従って、この吸光分析器2によると、複数の化学処理が行われる施設100において、溶液をサンプリングすることなくその場で成分分析を行うことができ、かつ、同時に複数の溶液の成分分析を行うことができる。従って、この吸光分析器2によると、作業者の労力を低減することができる。さらに、サンプリングを行う必要が無いため、溶液が特殊な環境条件(高温、高圧、高線量等)にある場合にも、確実に成分分析を行うことができる。また、この吸光分析器2は、1つの光源からの光を、複数の複数のフローセル部22A、22B、22C、22Dに伝送している。従って、吸光分析器2は、光源の違いによる測定誤差を抑制し、分析精度の低下を抑制することができる。
なお、第1実施形態においては、フローセルユニット20は、4つのフローセル部22A、22B、22C、22Dを有していたが、複数であれば、フローセル部の数は任意である。また、この場合、出力光ファイバ及び光検出部も、各フローセル部に対応して同じ数だけ設けられていればよい。なお、フローセルユニット20は、施設100において、異なる化学処理が行われる箇所毎に、フローセル部を設けることが好ましい。
また、フローセルユニット20は、入力光ファイバ14と複数の入力接続光ファイバ62とを接続する入力カプラ部60と、複数の出力接続光ファイバ66と複数の出力光ファイバ30とを接続する出力カプラ部68とを有する。従って、吸光分析器2は、フローセルユニット20を、各光ファイバに確実に接続することができる。さらに、入力カプラ部60は、入力光ファイバ14と複数の入力接続光ファイバ62とを着脱可能に接続し、出力カプラ部68は、複数の出力接続光ファイバ66と複数の出力光ファイバ30とを着脱可能に接続する。従って、吸光分析器2は、フローセルユニット20を、異なる溶液が導入される別のフローセルユニットに取り換えることが可能となる。例えば、吸光分析器2は、入射光L0を分岐させる分岐数が限られている場合であっても、フローセルユニットを取り換えることにより、より多くの溶液の分析を行うことが可能となる。
また、入力カプラ部60は、入力光ファイバ14から伝送される光(入射光L0)を分岐させて入力接続光ファイバ62A、62B、62C、62Dに伝送させる。従って、吸光分析器2は、1つの光源による複数の溶液分析を、より精度よく行うことができる。さらに、入力カプラ部60は、入力接続光ファイバ62A、62B、62C、62Dに伝送する光の強度を調整することにより、入力接続光ファイバ62A、62B、62C、62Dに伝送する光の強度を均等にする。従って、吸光分析器2は、複数の溶液の分析を行う場合でも、溶液に照射する光の強度を均等にすることができ、分析精度が低下することを抑制することができる。
さらに、吸光分析器2は、入力光ファイバ14に接続されて内部に向けて光を透過する一方の表面74X、及び一方の表面74Xに対向し、一方の表面74Xを透過した光(入力光L1)を透過する他方の表面75Xを有する参照フローセル52と、参照フローセル52の他方の表面75Xに接続されて、他方の表面75Xが透過した光(参照光L3)を伝送する参照出力光ファイバ54と、参照出力光ファイバ54に接続されて参照出力光ファイバ54に伝送される光(参照光L3)の強度を検出する参照光検出部56と、分析対象の溶液の吸光度を算出する吸光度算出部97と、を有する。吸光度算出部97は、参照光検出部56が検出した光(参照光L3)の強度と、光検出部40が検出した光(出力光L2A、L2B、L2C、L2D)の強度との強度比に基づき、溶液の吸光度を算出する。この吸光分析器2は、参照光L3を検出するため、成分分析器1に固有の変動因子の影響を抑制し、分析精度の低下を抑制することができる。
さらに、光源部10は、所定の波長範囲内で波長が連続する連続光を照射する。この光源部10は、連続光を照射することができるため、異なる溶質を有する複数の溶液について、1つの光源で成分分析を行うことができる。
また、第1実施形態に係る成分分析器1は、上述の吸光分析器2と、光検出部40が検出した光(出力光L2A、L2B、L2C、L2D)の強度に基づき溶液の成分分析を行う成分分析部44を有する。この成分分析器1は、溶液をサンプリングすることなくその場で成分分析を行うことができ、かつ、同時に複数の溶液の成分分析を行うことができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る成分分析器1aは、参照フローセルを複数有する点で、第1実施形態に係る成分分析器1とは異なる。第2実施形態における第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
図8は、第2実施形態における成分分析器の構成を模式的に示すブロック図である。図8に示すように、第2実施形態に係る成分分析器1aは、フローセルユニット20aと、参照フローセルユニット21aと、成分分析部44aとを有する。光源部10と、分光器12と、入力光ファイバ14と、フローセルユニット20aと、出力光ファイバ30A、30B、30C、30Dと、光検出部40A、40B、40C、40Dと、参照入力光ファイバ51と、参照フローセルユニット21aと、参照出力光ファイバ54と、参照光検出部56とは、吸光分析器2aを構成する。
フローセルユニット20aは、複数のフローセル部22Aa、22Ba、22Ca、22Daを有する。フローセル部22Aaが有するフローセル64Aaには、溶液SAaが流れる。フローセル部22Baが有するフローセル64Baには、溶液SBaが流れる。フローセル部22Caが有するフローセル64Caには、溶液SCaが流れる。フローセル部22Daが有するフローセル64Daには、溶液SDaが流れる。溶液SAa、SBa、SCa、SDaは、それぞれ互いに異なる化学処理が行われた溶液であり、かつ、含有する溶媒がそれぞれ異なる。フローセルユニット20aは、その他の点は、第1実施形態に係るフローセルユニット20と同様の構成である。
参照フローセルユニット21aは、参照入力光ファイバ51と参照出力光ファイバ54との間に設けられている。参照フローセルユニット21aは、複数の参照フローセル部57Aa、57Ba、57Ca、57Daを有する。参照フローセル部57Aaは、参照フローセル52Aaと、参照入力接続光ファイバ53Aaと、参照出力接続光ファイバ55Aaとを有する。参照フローセル部57Baは、参照フローセル52Baと、参照入力接続光ファイバ53Baと、参照出力接続光ファイバ55Baとを有する。参照フローセル部57Caは、参照フローセル52Caと、参照入力接続光ファイバ53Caと、参照出力接続光ファイバ55Caとを有する。参照フローセル部57Daは、参照フローセル52Daと、参照入力接続光ファイバ53Daと、参照出力接続光ファイバ55Daとを有する。
参照フローセル部57Aaの参照入力接続光ファイバ53Aaは、一方の端部が、切替部58aを介して参照入力光ファイバ51に接続されている光ファイバである。参照入力接続光ファイバ53Aaは、参照入力光ファイバ51が伝送した入力光L1を伝送する。
参照フローセル部57Aaの参照フローセル52Aaは、第1実施形態に係る参照フローセル52と同様の構成である。ただし、参照フローセル52Aaは、フローセル64Aaに流れる溶液SAaが含有する溶媒と同じ成分の液体が流されている。また、参照フローセル52Aaは、フローセル64Aaに流れる溶液SAaと同じ流量で、液体が流されていることがより好ましい。
参照フローセル部57Aaの参照出力接続光ファイバ55Aaは、一方の端部が参照フローセル52Aa(の他方の表面75X)に接続され、他方の端部が参照出力カプラ部59aを介して参照出力光ファイバ54に接続されている光ファイバである。参照出力接続光ファイバ55Aaは、参照フローセル52Aaを通過した参照光L3を伝送する。参照出力接続光ファイバ55Aaから伝送された参照光L3は、参照出力カプラ部59aを介して参照出力光ファイバ54に伝送される。
以上、参照フローセル部57Aaの構成について説明したが、参照フローセル部57Ba、57Ca、57Daも、参照フローセル部57Daと同様の構成である。すなわち、参照入力接続光ファイバ53Aa、53Ba、53Ca、53Daは互いに同様の構成であり、参照フローセル52Aa、52Ba、52Ca、52Daは互いに同様の構成であり、参照出力接続光ファイバ55Aa、55Ba、55Ca、55Daは互いに同様の構成である。
ただし、参照フローセル52Baは、フローセル64Baに流れる溶液SBaが含有する溶媒と同じ成分の液体が流されている。また、参照フローセル52Caは、フローセル64Caに流れる溶液SCaが含有する溶媒と同じ成分の液体が流されている。また、参照フローセル52Daは、フローセル64Daに流れる溶液SDaが含有する溶媒と同じ成分の液体が流されている。また、参照フローセル52Ba、52Ca、52Daは、それぞれフローセル64Ba、64Ca、64Daに流れる溶液SBa、SCa、SDaと同じ流量で、液体が流されていることがより好ましい。
このように、第2実施形態においては、フローセル64Aa、64Ba、64Ca、64Daに互いに異なる溶媒を有する溶液が流され、参照フローセル52Aa、52Ba、52Ca、52Daは、対応するそれぞれのフローセルに流れる溶液中の溶媒と同成分の液体が流される。
上述のように、参照入力接続光ファイバ53Aa、53Ba、53Ca、53Daは、切替部58aを介して、参照入力光ファイバ51から入力光L1が入射される。切替部58aは、参照入力光ファイバ51と参照入力接続光ファイバとの接続を切り替える機能を有する。切替部58aは、参照入力光ファイバ51と参照入力接続光ファイバとの接続を、第1接続状態、第2接続状態、第3接続状態、及び第4接続状態に切り替える。第1接続状態は、参照入力光ファイバ51を参照入力接続光ファイバ53Aaに接続して、参照入力光ファイバ51を他の参照入力接続光ファイバ53Ba、53Ca、53Daと接続しないものである。第2接続状態は、参照入力光ファイバ51を参照入力接続光ファイバ53Baに接続して、参照入力光ファイバ51を他の参照入力接続光ファイバ53Aa、53Ca、53Daと接続しないものである。第3接続状態は、参照入力光ファイバ51を参照入力接続光ファイバ53Caに接続して、参照入力光ファイバ51を他の参照入力接続光ファイバ53Aa、53Ba、53Daと接続しないものである。第4接続状態は、参照入力光ファイバ51を参照入力接続光ファイバ53Daに接続して、参照入力光ファイバ51を他の参照入力接続光ファイバ53Aa、53Ba、53Caと接続しないものである。
第1接続状態においては、参照入力光ファイバ51からの入力光L1は、参照入力接続光ファイバ53Aaを介して参照フローセル52Aaに入射され、参照フローセル52Aaからの参照光である参照光L3Aが、参照出力光ファイバ54に伝送される。同様に、第2接続状態においては、入力光L1は、参照フローセル52Baに入射され、参照フローセル52Baからの参照光である参照光L3Bが、参照出力光ファイバ54に伝送される。第3接続状態においては、入力光L1は参照フローセル52Caに入射され、参照フローセル52Caからの参照光である参照光L3Cが、参照出力光ファイバ54に伝送される。第4接続状態においては、入力光L1は参照フローセル52Daに入射され、参照フローセル52Daからの参照光である参照光L3Dが、参照出力光ファイバ54に伝送される。切替部58aは、例えば制御電圧を周期的に変化させるチョッパ機構により、接続を第1接続状態、第2接続状態、第3接続状態、第4接続状態に周期的に切り替える。
図9は、第2実施形態に係る成分分析部の構成を示すブロック図である。図10は、検出した参照光の強度の例を示すグラフである。図9に示すように、第2実施形態に係る成分分析部44aは、参照光強度取得部90aと、参照光補正部91aと、補正出力強度算出部94aとを有する。
上述のように、第2実施形態においては、接続状態に応じて、参照光L3A、L3B、L3C、L3Dのいずれかが参照出力光ファイバ54に伝送される。参照光検出部56は、参照光L3A、L3B、L3C、L3Dの光の強度を検出取得する。ここで、参照光L3Aの光の強度を参照光強度IL3Aとし、参照光L3Bの光の強度を参照光強度IL3Bとし、参照光L3Cの光の強度を参照光強度IL3Cとし、参照光L3Dの光の強度を参照光強度IL3Dとする。また、図10の横軸は時間であり、縦軸は参照光の強度である。接続状態は周期的に切り替わるため、参照光検出部56は、検出する参照光の強度が、時間に応じて周期的に参照光強度IL3A、IL3B、IL3C、IL3Dとに切り替わる。参照光検出部56は、時間t0からt1までの間は参照光L3Aの光の強度をモニタリングし、時間t1からt2までの間は参照光L3Bの光の強度をモニタリングし、時間t2からt3までの間は参照光L3Cの光の強度をモニタリングし、時間t3からt4までの間は参照光L3Dの光の強度をモニタリングする。
参照光強度取得部90aは、参照光検出部56が検出した参照光強度の情報を取得する。参照光強度取得部90aは、時間t0からt1(及び時間t4から時間t5)までの間のデータとして、参照光強度IL3Aの情報を取得する。参照光強度取得部90aは、時間t1からt2までの間のデータとして、参照光強度IL3Bの情報を取得する。参照光強度取得部90aは、時間t2からt3までの間のデータとして、参照光強度IL3Cの情報を取得する。参照光強度取得部90aは、時間t3からt4までの間のデータとして、参照光強度IL3Dの情報を取得する。
参照光補正部91aは、参照光強度取得部90aから参照光強度IL3A、IL3B、IL3C、IL3Dの情報を取得する。参照光補正部91aは、参照光強度IL3A、IL3B、IL3C、IL3Dの情報に基づき、参照光L3A、L3B、L3C、L3Dの光の強度の補正値である参照光補正強度I’L3A、I’L3B、I’L3C、I’L3Dを算出する。参照光補正強度I’L3A、I’L3B、I’L3C、I’L3Dは、参照光L3A、L3B、L3C、L3Dの光の強度の値を経時毎に連続的に示す情報である。
上述のように、参照光強度IL3Aは、時間t0からt1、及びt4からt5までの参照光L3Aの強度の情報である。参照光強度IL3Aは、時間t1から時間t4までの間参照光L3Aの光の強度の情報を有さない。参照光補正部91aは、参照光L3Aの強度の時間t1から時間t4までの推定データ(図10の2つの実線IL3Aの間の点線を参照)を、時間t1から時間t4までのデータである参照光強度IL3B、IL3C、IL3Dと、参照光強度IL3Aとに基づいて算出する。例えば、参照光補正部91aは、時間t1から時間t2までの参照光L3Aの強度の推定データを、参照光強度IL3Aと参照光強度IL3B(より詳しくは参照光強度IL3Aの値と参照光強度IL3Bの時間t1からt2までの変化率)とに基づき求め、時間t2から時間t3までの参照光L3Aの強度の推定データを、参照光強度IL3Aと参照光強度IL3Cに基づき求め、時間t3から時間t4までの参照光L3Aの強度の推定データを、参照光強度IL3Aと参照光強度IL3Dに基づき求める。参照光強度取得部90aは、参照光L3Aの光の強度を各時間において連続的に示す情報である参照光補正強度I”L3Aを、時間t0からt1までのデータである参照光強度IL3Aと、時間t1から時間t4までの参照光L3Aの強度の推定データとに基づき算出する。参照光補正部91aは、参照光補正強度I’L3B、I’L3C、I’L3Dについても、同様の方法で算出する。
以上を言い換えれば、参照光検出部56が検出した参照光強度IL3Aは、所定の時間における参照光L3Aの強度データを複数有し(例えば時間t0からt1のデータと時間t4からt5のデータ)、それらの所定の時間同士は、互いに不連続である。参照光補正部91aは、これらの所定の時間同士の間の時間である不連続時間(例えば時間t1からt4)における参照光L3Aの強度の推定データを、不連続時間(例えば時間t1からt4)における他の参照フローセルを通過した参照光の強度のデータである参照光強度IL3B、IL3C、IL3Dに基づいて推定する。そして、参照光補正部91aは、不連続時間における参照光L3Aの強度の推定データと、参照光L3Aの強度データとに基づき、参照光L3の光の強度を各時間において連続的に示す情報である参照光補正強度I’L3Aを算出する。
補正出力光強度算出部94aは、参照光強度取得部90aから参照光補正強度I’L3A、I’L3B、I’L3C、I’L3Dの情報を取得する。補正出力光強度算出部94aは、上述の式(1)におけるIL3を参照光補正強度I’L3Aに置き換えて、出力光L2Aの補正出力光強度IL2Aを算出する。補正出力光強度算出部94aは、これと同様の方法で、出力光L2B、L2C、L2Dの補正出力光強度を算出する。これにより、補正出力光強度算出部94aは、フローセル毎に異なる溶媒を有する溶液が流れている場合でも、分析精度の低下をより好適に抑制することができる。また、参照光補正強度I’L3Aは、実際に参照光検出部56が検出していない時間における参照光の光の強度情報を含む。従って、補正出力光強度算出部94aは、溶媒が互いに異なる複数の溶液を分析する場合であって、参照フローセルを複数有する場合にも、出力光の強度の補正の精度が低下することを抑制することができる。
このように、第2実施形態に係る成分分析器1aは、参照フローセルユニット21aを有する。参照フローセルユニット21aは、複数の参照フローセル52Aa、52Ba、52Ca、52Daを有する。参照フローセル52Aa、52Ba、52Ca、52Daは、それぞれ、フローセル64Aa、64Ba、64Ca、64Daに流れる溶液中の溶媒と同成分の液体が流れる。成分分析器1aは、複数の参照フローセルを有するため、例えば複数のフローセルに異なる溶媒の溶液が流れている場合でも、それぞれ異なる溶媒に対応する液体を参照光検出用の液体として用いることができる。従って、成分分析器1aは、成分分析器1aの固有の変動因子の影響をより好適に抑制し、分析精度の低下をより好適に抑制することができる。なお、本実施形態においては、参照フローセルの数は、フローセルの数と同一であったが、複数であれば、フローセルの数よりも多くても少なくてもよい。ただし、参照フローセルの数は、各フローセルに流れる溶液の溶媒の種類数に対応する(同じ)数であることが好ましい。
また、第2実施形態に係る成分分析器1aは、吸光度算出部97が、例えばフローセル20Aを通過した出力光L2Aの光の強度と、フローセル20Aを流れる溶液SAaの溶媒と同成分の液体が流れる参照フローセル52Aaを通過した参照光L3Aの光の強度との強度比とに基づき、溶液SAaの吸光度を算出する。従って、成分分析器1aは、例えば複数のフローセルに異なる溶媒を有する溶液が流れている場合でも、同じ成分の液体を通過した参照光の強度に基づきそれぞれの溶液の吸光度を算出するため、分析精度の低下をより好適に抑制することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る成分分析器1bは、参照フローセルを複数有するが、各参照フローセル間で接続を切り替えない点で、第2実施形態とは異なる。第3実施形態において第2実施形態と共通する箇所の説明は省略する。
図11は、第3実施形態における成分分析器の構成を模式的に示すブロック図である。図11に示すように、第3実施形態に係る成分分析器1bの吸光分析器2bは、参照フローセルユニット21bと、成分分析部44bと、複数の参照出力光ファイバ54A、54B、54C、54Dと、複数の参照光検出部56A、56B、56C、56Dと、を有する。
参照フローセルユニット21bは、参照入力光ファイバ51と参照出力光ファイバ54A、54B、54C、54Dとの間に設けられており、複数の参照フローセル部57Aa、57Ba、57Ca、57Daを有する。参照フローセルユニット21bは、参照入力カプラ部58bを介して、参照入力光ファイバ51と参照フローセル部57Aa、57Ba、57Ca、57Daとがそれぞれ接続されている。参照入力カプラ部58bは、参照入力光ファイバ51を伝送される入射光L0を、参照入力接続光ファイバ53Aa、53Ba、53Ca、53Daのそれぞれに分岐して伝送する。参照入力カプラ部58bは、参照入力接続光ファイバ53Aa、53Ba、53Ca、53Daのそれぞれに伝送する光の強度を調節することにより、参照入力接続光ファイバ53Aa、53Ba、53Ca、53Daのそれぞれに、入力光L1を伝送する。なお、参照入力接続光ファイバ53Aaに伝送される入力光の強度は、入力接続光ファイバ62Aに伝送される入力光の強度に等しいことが好ましい。同様に、参照入力接続光ファイバ53Ba、53Ca、53Daに伝送される入力光の強度は、それぞれ入力接続光ファイバ62B、62C、62Dに伝送される入力光の強度に等しいことが好ましい。
参照出力接続光ファイバ55Aa、55Ba、55Ca、55Daは、参照出力カプラ部59bを介して、それぞれ参照出力光ファイバ54A、54B、54C、54Dに接続されている。また、参照出力光ファイバ54A、54B、54C、54Dは、それぞれ参照光検出部56A、56B、56C、56Dに接続されている。参照出力接続光ファイバ55Aaに伝送された参照光L3Aは、参照出力カプラ部59bを介して参照出力光ファイバ54Aに伝送され、参照光検出部56Aにより光の強度が検出される。参照出力接続光ファイバ55Baに伝送された参照光L3Bは、参照出力カプラ部59bを介して参照出力光ファイバ54Bに伝送され、参照光検出部56Bにより光の強度が検出される。参照出力接続光ファイバ55Caに伝送された参照光L3Cは、参照出力カプラ部59bを介して参照出力光ファイバ54Cに伝送され、参照光検出部56Cにより光の強度が検出される。参照出力接続光ファイバ55Daに伝送された参照光L3Dは、参照出力カプラ部59bを介して参照出力光ファイバ54Dに伝送され、参照光検出部56Dにより光の強度が検出される。
成分分析部44bは、参照光検出部56Aが検出した参照光L3Aの光の強度の情報と、光検出部40Aが検出した出力光L2Aの光の強度の方法とに基づき、出力光L2Aの補正出力光強度IL2Aを算出する。より詳しくは、成分分析部44bは、式(1)における参照光L3の光の強度の値を、参照光L3Aの光の強度の値に置き換えて、式(1)に出力光L2Aの補正出力光強度IL2Aを算出する。同様に、成分分析部44bは、参照光L3Bの光の強度の情報と出力光L2Bの光の強度の方法とに基づき、出力光L2Bの補正出力光強度を算出する。同様に、成分分析部44bは、参照光L3Cの光の強度の情報と出力光L2Cの光の強度の方法とに基づき、出力光L2Cの補正出力光強度を算出する。同様に、成分分析部44bは、参照光L3Dの光の強度の情報と出力光L2Dの光の強度の方法とに基づき、出力光L2Dの補正出力光強度を算出する。
第3実施形態に係る成分分析器1bは、第2実施形態に係る成分分析器1aと同様に、複数の参照フローセルを有するため、例えば複数のフローセルに異なる溶媒の溶液が流れている場合でも、それぞれ異なる溶媒に対応する液体を参照光検出用の液体として用いることができる。従って、成分分析器1bは、成分分析器1bの固有の変動因子の影響をより好適に抑制し、分析精度の低下をより好適に抑制することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。