以下、実施形態、変形例では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略したり、構成要素の寸法を適宜拡大、縮小して示す。
図1は本実施形態の水栓装置10が用いられる洗面台100を示す斜視図である。
洗面台100は水栓装置10の設置相手となる機器であり、主に、洗面ボウル102と、洗面ボウル102に対して上側に配置されるキャビネット104とを備える。洗面台100には洗面ボウル102の上方に設置面としてバックガード106が設けられ、水栓装置10はそのバックガード106に設置される。水栓装置10は洗面ボウル102に吐水する吐水装置12を備える。本実施形態の水栓装置10は吐水装置12に主な特徴があるが、先に周辺構造から説明する。
図2は水栓装置10の制御系と水路系を示す構成図である。
水栓装置10は、吐水装置12と、弁ユニット14と、吐水装置12と弁ユニット14とを接続する給水路16と、吐水装置12の動作状態を操作するためのレバー18(図1も参照)とを備える。また、水栓装置10は、吐水装置12の近傍の被検知物を検知するためのセンサ部材20と、吐水装置12の動作状態を表示するための表示部材22と、吐水装置12や表示部材22の動作を制御する制御ユニット24(制御部)とを備える。水栓装置10は、レバー18を手動操作することで吐水装置12から吐水される手動吐水状態と、制御ユニット24による制御のもとで吐水装置12から吐水される自動吐水状態とを取り得る。
弁ユニット14は湯水混合弁として機能する。弁ユニット14は、温水管26から供給される温水と、冷水管28から供給される冷水との混合比を調整のうえ、給水路16の手動吐水用水路16a及び自動吐水用水路16b(後述する)のそれぞれに送水する。
給水路16は、手動吐水状態にある間に水が流れる手動吐水用水路16aと、自動吐水状態にある間に水が流れる自動吐水用水路16bと、手動吐水用水路16aと自動吐水用水路16bを通る水が流れ込む共通水路16cとを含む。自動吐水用水路16bには、制御ユニット24による制御のもとで自動吐水用水路16bを開閉する電磁弁等の電気駆動弁30が設置される。自動吐水用水路16bが電気駆動弁30により開閉されると、吐水装置12に対する給水の有無が切り替えられ、吐水装置12の動作状態が自動吐水状態と止水状態との間で切り替えられる。
レバー18は、吐水装置12から吐水される水の流量と温度を調整可能な、いわゆるシングルレバーとして機能する。レバー18は、洗面台100のバックガード106に対して、左右方向に回動自在かつ前後方向に傾動自在に設置される。レバー18を手動により傾動させることで、弁ユニット14から手動吐水用水路16aへの送水の有無が切り替えられる。これにより、吐水装置12に対する給水の有無が切り替えられ、吐水装置12の動作状態が手動吐水状態と止水状態との間で切り替えられる。吐水装置12が手動吐水状態にあるとき、弁ユニット14はレバー18の傾動量に応じた流量の水を送水する。また、レバー18を手動により回動させることで、弁ユニット14から自動吐水用水路16b及び手動吐水用水路16aのそれぞれに送水される水の温度が調整される。
センサ部材20は、センサケースの内部にセンサ素子を収容して構成される。センサ部材20は、たとえば、非接触式センサとしての赤外線式測距センサである。
表示部材22は、たとえば、光源ケースの内部に複数の光源を収容して構成される。複数の光源のそれぞれは別々の発光色を呈する。表示部材22は、光源の発光の有無や発光色の違いにより、自動吐水状態、手動吐水状態等の動作状態を表示する。
制御ユニット24はマイクロコンピュータ等であり、回路基板、ICチップ等を組み合わせて構成される。制御ユニット24はセンサ部材20、表示部材22、電気駆動弁30等の電気系統を統括的に制御する機能をもつ。
図3は水栓装置10の側面断面図である。
水栓装置10は、バックガード106にビス等により固定され、吐水装置12が着脱可能に取り付けられるベースフレーム32と、ベースフレーム32に取り付けられるとともにベースフレーム32を覆う外装カバー34(図1も参照)とを備える。
ベースフレーム32は吐水装置12の取付相手となるベースである。ベースフレーム32は、洗面台100のバックガード106から正面側に突き出る支持面部32aと、支持面部32aに形成される有底筒状の挿入孔32bとを有する。挿入孔32bの底部には、給水ホース40(後述する)が挿通されるホース孔32cと、複数の配線50、52(後述する)が挿通される配線孔32dとが形成される。吐水装置12の一部は挿入孔32bの開口側から底側に向けて挿入される。吐水装置12は、後述のように、クリップ66や弾性爪42cを用いて、ベースフレーム32に留められる。
図4は吐水装置12の斜視図である。図5は吐水装置12の分解斜視図である。図6は吐水装置12の側面断面図である。図6では配線50、52を中心軸線のみ示す。
吐水装置12は、ベースフレーム32に取り付けられるとともにホース挿通孔36aが形成されるヘッドホルダー36と、ヘッドホルダー36に着脱可能に保持される吐水ヘッド38と、吐水ヘッド38に接続されるとともにホース挿通孔36aに対して出し入れ可能な給水ホース40とを備える。
吐水ヘッド38は、給水ホース40の接続位置とは反対側である先端側に吐水口38aが設けられる。吐水ヘッド38の内部には不図示の通水路が形成される。図6中の矢印Aは通水路を通る水の通水方向を示す。吐水ヘッド38は、給水ホース40から通水路を通して供給される水を吐水口38aから吐水可能である。
給水ホース40は、可撓性をもつ素材により構成される。給水ホース40の内部には、前述の共通水路16cが形成される。
ヘッドホルダー36は水栓装置10の一部を構成する水栓部品となる。ヘッドホルダー36は、ハウジング42と、ハウジング42の空洞部58(後述する)内に配置されるセンサ部材20、表示部材22及び押さえ部材44とを備える。ハウジング42は下カバー46と上カバー48とに分離可能に設けられる。図6に示すように、センサ部材20には複数の第1配線50(図6では単数のみ示す)が接続され、表示部材22には第2配線52が接続される。押さえ部材44は、ハウジング42の空洞部58の内面との間で第1配線50を挟んだ状態で保持される。下カバー46には第1配線50を保持する第1保持孔54が形成され、上カバー48には第2配線52を保持する第2保持孔56が形成される。本実施形態のヘッドホルダー36は、大きく分けて、(1)ハウジング42、(2)ヘッドホルダー36の内部部材(センサ部材20、表示部材22及び押さえ部材44)、(3)第1保持孔54及び第2保持孔56の点に特徴がある。以下、これらを順に説明する。
(ハウジング)
ハウジング42はヘッドホルダー36の外殻を構成する。ハウジング42は外部に露出して用いられるヘッドホルダー36の外装体を構成しているともいえる。ハウジング42は、ハウジング42を二つに分割した形状をもつ第1分割部材としての下カバー46と、第2分割部材としての上カバー48とを有する。下カバー46と上カバー48のそれぞれは樹脂等を素材とする一体成形品である。
図7は図6のA−A線断面図である。
図6、図7に示すように、下カバー46と上カバー48とは互いの内面を上下方向Y(第1方向)に対向して配置される。ハウジング42の下カバー46と上カバー48との間には前後方向Xに沿って延在する筒状断面の空洞部58が形成される。下カバー46及び上カバー48は、詳細は後述するが、前後方向Xに沿って互いにスライド可能に設けられる。以下、前後方向Xから見て上下方向Yと直交する方向を左右方向Z(第2方向)とする。ここでの前後方向X、上下方向Y、左右方向Zはヘッドホルダー36を基準として定まる互いに直交する方向をいい、鉛直軸、水平軸とは無関係に定められる。前後方向Xは、下カバー46に対する上カバー48のスライド方向でもある。
図5、図6に示すように、ハウジング42は、ハウジング42の空洞部58に対して上下方向Yの一方側である下側に形成されるホース挿通部42aを備える。ホース挿通部42aは前後方向Xに沿って延びる筒状をなし、その内側には給水ホース40が挿通されるホース挿通孔36aが形成される。
ホース挿通部42aの前部にはヘッドガイド部42bが設けられ、吐水ヘッド38には給水ホース40の接続位置側にある基端部に筒状の被ガイド部38bが設けられる。吐水ヘッド38の被ガイド部38b内にはヘッドガイド部42bが差し込まれる。ヘッドガイド部42bは、ヘッドホルダー36に対して吐水ヘッド38を着脱するときに吐水ヘッド38を前後方向Xに沿ってガイドする。吐水ヘッド38の被ガイド部38bには弾性的に撓み変形可能な弾性爪38cが形成される。吐水ヘッド38は、ヘッドガイド部42bの一部に対する弾性爪38cの係合により、ヘッドホルダー36に対する位置が保持される。
図8は図7のB−B線に沿って切断したハウジング42の断面図である。
ハウジング42の空洞部58は、ハウジング42のホース挿通部42aより前後方向Xの一方側である前側に突出する形状である。
図9は下カバー46を斜め上側から見た斜視図であり、図10は上カバー48の斜め下側から見た斜視図である。
図7、図9、図10に示すように、ハウジング42は、空洞部58の前面を画定する前壁部58aと、空洞部58の少なくとも上面を画定する上壁部58bと、空洞部58の下面を画定する下壁部58cと、空洞部58の後面を画定する後壁部58dとを有する。前壁部58a及び下壁部58cは下カバー46により構成される。上壁部58b及び後壁部58dは上カバー48により構成される。上壁部58bは下向きに開放する円弧状に形成され、空洞部58の左右両側面も画定している。上壁部58bと下壁部58cとにより前後方向Xに沿って延在する筒状断面が形成される。
図7、図8、図10に示すように、上カバー48は、上壁部58bから内側に突出するスライド部60を有する。スライド部60は前後方向Xに沿って延びる突条である。スライド部60は上壁部58bの左右方向Zの両側部それぞれに複数形成される。
図11は下カバー46の上面図である。
図7、図8、図11に示すように、下カバー46の下壁部58cは、上カバー48の一部となるスライド部60をスライド方向Xに沿ってスライドさせるスライドガイド部62を有する。スライドガイド部62は、複数のスライド部60のそれぞれに一対一に対応して複数設けられる。スライドガイド部62は、複数のスライド部60のそれぞれに対応して、下カバー46の左右方向Zの両側部に複数設けられるとともに、前後方向Xに複数設けられることになる。図8では一つのスライドガイド部62の設けられる前後方向Xでの範囲を示す。
図7、図8に示すように、スライドガイド部62は、スライド部60に対して下側に設けられる第1ガイド面62aと、スライド部60に対して左右方向Zの一方側に設けられる第2ガイド面62bと、スライド部60に対して上側に設けられる第3ガイド面62cとを有する。スライドガイド部62は、第1ガイド面62a、第2ガイド面62b及び第3ガイド面62cにより画定されるガイド溝62dを有する。ガイド溝62dは前後方向Xに沿って延びるとともに、左右方向Zの一方側に向かって開放する。下カバー46の左右方向Z両側の別々のスライドガイド部62のガイド溝62dは、互いに左右方向Zの逆側に離れる方向に開放する。
第1ガイド面62aは、下壁部58cの上面により構成される。第1ガイド面62aは、前後方向Xに隣接する他のスライドガイド部62の第1ガイド面62aと連なるように形成される。第2ガイド面62bは、下カバー46の下壁部58cから立設する縦壁部58eの横側面により構成される。第2ガイド面62bは、前後方向Xに隣接する他のスライドガイド部62の第2ガイド面62bと連なるように形成される。第3ガイド面62cは、縦壁部58eの先端部から左右方向Zの一方側に向けて突出する横壁部58fの下面により構成される。第3ガイド面62cは、第1ガイド面62a及び第2ガイド面62bより前後寸法が短くなるように形成される。
上カバー48のスライド部60は下カバー46のスライドガイド部62のガイド溝62d内に配置される。スライド部60は、スライドガイド部62のガイド溝62dに沿ってスライドする。これにより、上カバー48は下カバー46に対してスライド方向X(前後方向)に沿ってスライド可能に設けられる。
図8に示すように、スライドガイド部62のガイド溝62d内にスライド部60が配置されている場合を考える。この場合、上カバー48は、下カバー46に対して上側に変位しようとすると、スライドガイド部62の第3ガイド面62cとスライド部60との当接により、下カバー46から分離不能となる。以下、下カバー46及び上カバー48がスライド方向Xと異なる方向(本例では上下方向Y)に分離不能な位置を分離不能位置という。
図12は下カバー46及び上カバー48が図8の位置関係からスライド方向Xに相対移動した状態を示す図である。
図12に示すように、スライドガイド部62のガイド溝62d内にスライド部60が配置されておらず、スライドガイド部62の第1ガイド面62aにスライド部60が接触している場合を考える。この場合、上カバー48は、下カバー46に対して上側に変位しようとすると、スライドガイド部62の第3ガイド面62cとスライド部60とが当接せず、下カバー46から分離可能となる。以下、下カバー46及び上カバー48がスライド方向Xと異なる方向(上下方向Y)に分離可能な位置を分離可能位置という。
このように上カバー48は、下カバー46に対してスライドすることにより、分離可能位置と分離不能位置との間で移動可能である。上カバー48及び下カバー46は、互いにスライドすることにより、分離可能位置と分離不能位置との間を相対移動可能に構成されているともいえる。
図6、図8、図9に示すように、下カバー46は、上カバー48の後壁部58dに対して前側に配置される第1ストッパ部46aを有する。第1ストッパ部46aは下カバー46の下壁部58cから上側に突出する凸部である。第1ストッパ部46aは、上カバー48の後壁部58dとの係合により、下カバー46に対する上カバー48のスライド範囲の前端位置を規定する。上カバー48がスライド範囲の少なくとも前端位置にあるとき、下カバー46及び上カバー48は分離不能位置にある。
図9、図12に示すように、下カバー46は、上カバー48の後壁部58dに対して後側に配置される第2ストッパ部46bを有する。第2ストッパ部46bは、ハウジング42の空洞部58より後側において、下カバー46の上側に面する箇所から上側に突出する凸部である。第2ストッパ部46bは、上カバー48の後壁部58dとの係合により、下カバー46に対する上カバー48のスライド範囲の後端位置を規定する。上カバー48がスライド範囲の少なくとも後端位置にあるとき、下カバー46及び上カバー48は分離可能位置にある。なお、第2ストッパ部46bは、後述する第1保持壁部74でもある。
以上のハウジング42の組み立て手順を説明する。
まず、分離している下カバー46及び上カバー48を少なくとも上下方向Yに相対移動させることで分離可能位置まで動かす(図12参照)。この後、各カバー46、48をスライド方向Xにスライドさせて分離不能位置まで動かすことで、ハウジング42の組み立てが完了する(図8参照)。これにより、各カバー46、48を分離不能位置から分離可能位置まで動かさない限り、両者を分離できない仮止め状態を簡易に作り出せる。
次に、ハウジング42の分解手順を説明する。
まず、各カバー46、48をスライド方向Xにスライドさせることで分離不能位置から分離可能位置まで動かす(図12参照)。この後、各カバー46、48を上下方向Yに相対移動させて分離させることで、ハウジング42の分解が完了する。
以上のように、本実施形態のヘッドホルダー36によれば、各カバー46、48を順序よく動かすだけでハウジング42の組み立て作業が完了する。従って、ハウジング42の組み立てにビスを用いる場合と比べて、ハウジング42を簡易に組み立てられる。
また、各カバー46、48を順序よく動かすだけでハウジング42の分解作業が完了する。従って、ハウジング42の組み立てにビスを用いる場合と比べて、ハウジング42を簡易に分解でき、ハウジング42の組み直しも容易となる。
また、ハウジング42の組み立てにスナップフィット用の弾性爪を用いる場合、ハウジング42を分解するとき、他部材との係合を解除するため、弾性爪を動かす必要がある。弾性爪は、通常、指先が届きにくい奥まった箇所で他部材と係合しており、弾性爪の係合を解除するために工具を要する。この点、本実施形態によれば、ハウジング42の分解に工具が不要なため、ハウジング42の組み立てに弾性爪を用いる場合と比べても、ハウジング42を簡易に分解でき、ハウジング42の組み直しも容易となる。
また、ハウジング42の組み立てにビスや弾性爪が不要なため、ビスの着け外しに伴うハウジング42の摩耗や、弾性爪の繰り返しの使用に伴う劣化を防止でき、ハウジング42の耐久性を高め易くなる。
また、下カバー46及び上カバー48は、互いにスライドすることにより分離可能位置と分離不能位置との間を相対移動する構成である。よって、ハウジング42の組み立てに弾性爪を用いる場合と比べて、下カバー46と上カバー48との接触面積を確保し易くなり、下カバー46と上カバー48との固定度を高められる。
また、スライドガイド部62は下カバー46の左右方向の両側部に設けられるため、下カバー46と上カバー48との間でのスライド方向X軸周りのガタつきを抑え易くなり、下カバー46と上カバー48との固定度を高められる。
また、仮に、スライドガイド部62がスライド方向Xに一つしかない場合、スライドガイド部62とスライド部60とのスライド方向Xでの接触面積を大きくしようとすると、分離可能位置から分離不能位置までのスライド距離が長くなる。この点、本実施形態のスライドガイド部62はスライド方向Xに複数設けられるため、下カバー46及び上カバー48の分離可能位置から分離不能位置までのスライド距離を短くしつつ、スライドガイド部62とスライド部60とのスライド方向Xでの接触面積を確保し易くなる。よって、下カバー46及び上カバー48のスライド距離を短くすることにより組み立て時、組み直し時の作業性を高めつつ、下カバー46と上カバー48との接触面積の確保により、下カバー46と上カバー48との固定度を高められる。
また、ヘッドホルダー36は、後述するが、ハウジング42の空洞部58内から引き出される第1配線50や第2配線52が接続されるセンサ部材20や表示部材22を備える構造である。このような構造の場合、ハウジング42を組み立てるときに、下カバー46と上カバー48との間に各配線50、52が噛み込まれる恐れがある。
仮に、ハウジング42の組み立てにビスを用いる場合、下カバー46と上カバー48との間での配線50、52が噛み込まれても、そのことに気づかずにビスを締結できるケースがある。また、ハウジング42の組み立てに弾性爪を用いる場合も、下カバー46と上カバー48との間に配線50、52が噛み込まれても、そのことに気づかずに弾性爪を他部材に係合させることができるケースがある。
この点、本実施形態のヘッドホルダー36によれば、下カバー46と上カバー48との間に配線50、52が噛み込まれた場合、これらを分離可能位置から分離不能位置にスライドさせるときに、配線50、52が抵抗となることで配線50、52の噛み込みに気づき易い。よって、下カバー46と上カバー48との間に配線50、52が噛み込まれたまま、ハウジング42が誤って組み立てられてしまう事態を防止できる。
本実施形態は、ヘッドホルダー36をベースフレーム32に取り付けるための取付構造64の点で、以下の特徴がある。図3、図5に示すように、下カバー46の後端部はベースフレーム32の挿入孔32b内に挿入される。下カバー46のホース挿通部42aには弾性爪42cが形成される。弾性爪42cは、ヘッドホルダー36の後端部を挿入孔32b内に挿入するとき、弾性的に撓み変形可能であり、かつ、挿入孔32bの一部と係合可能な位置に復帰する。下カバー46は、挿入孔32bの一部と弾性爪42cとの係合により、挿入孔32bからの抜けが規制される。
図13は図3のC−C線断面図である。本図では給水ホース40等を省略する。
図8、図11、図13に示すように、下カバー46の後端部には上側に面する箇所に被挟持部46cが設けられる。ベースフレーム32には挿入孔32bに連通するクリップ孔32eが形成され、クリップ孔32eにはクリップ66が差し込まれる。クリップ66は下カバー46の被挟持部46cを挟み込むように配置される一対の弾性腕66aを有する。一対の弾性腕66aは、拡径するように弾性変形した状態であり、復元力により下カバー46の被挟持部46cを挟持する。これにより、クリップ66は下カバー46に着脱可能に取り付けられる。
下カバー46は被挟持部46cに対して前後方向Xの両側に設けられる二つの変位規制部46dを有する。二つの変位規制部46dは被挟持部46cに対して外周側につば状に広がるように形成される。図3に示すように、ベースフレーム32の挿入孔32bから下カバー46が抜けようとしたとき、下カバー46の後側の変位規制部46dがクリップ66と接触し、かつ、クリップ66がクリップ孔32eの内壁面と接触する。これにより、クリップ66は、下カバー46の挿入孔32bからの抜けを規制する。このように、クリップ66は、ベースフレーム32に対して下カバー46を留める留め具として機能する。
図3に示すように、ヘッドホルダー36の下カバー46は、前述のクリップ66及び弾性爪42cによって、ベースフレーム32に着脱可能に取り付けられる。ベースフレーム32に対して下カバー46が取付状態にあるとき、上カバー48の後壁部58dに対して後側には、ベースフレーム32の挿入孔32bを画定する壁部32fの先端部が配置される。上カバー48は、下カバー46に対して分離不能位置から分離可能位置に向かう方向Bにスライドしようとしたとき、ベースフレーム32の壁部32fとの係合により、分離不能位置からのスライドがロックされる。つまり、上カバー48は、ベースフレーム32に対して下カバー46が取付状態にあるとき、下カバー46から分離不能にロックされる。これにより、下カバー46をベースフレーム32に取り付けるだけで、上カバー48を分離不能位置にロックして、ハウジング42を組み立てた状態を保持できる。
(ヘッドホルダー36の内部部材)
次に、ヘッドホルダー36の内部部材に関連する構成の詳細を説明する。
図6、図9、図10に示すように、ハウジング42の下カバー46の前壁部58aには第1窓部となるセンサ窓部58gが形成され、上カバー48の上壁部58bには第2窓部となる表示窓部58hが形成される。センサ窓部58gは前後方向Xに貫通する孔である。表示窓部58hは上下方向Yに貫通するとともに前後方向Xに沿って長いスリット孔である。
センサ部材20は、前述の通り、センサケースの内部にセンサ素子を収容して構成される。センサ部材20の後面部には複数の第1配線50(図6で単数のみ図示)が接続される。複数の第1配線50はセンサ素子と制御ユニット24(図2参照)とを電気的に接続する。複数の第1配線50には、電力を供給するための電源線及びグランド線や、制御ユニット24から制御信号を伝送するための信号線が含まれる。
図6に示すように、センサ部材20は、ハウジング42の空洞部58内において前寄りの位置に配置される。下カバー46のセンサ窓部58gの一部はハウジング42の前壁部58aから後方に突出するように筒状に形成される。センサ部材20は、センサ部材20の前端部に設けられ、センサ窓部58g内に嵌め込まれる第1嵌込部20aを有する(図5も参照)。センサ部材20はセンサ窓部58gの外側(図6中左側)を検知エリアとしている。センサ部材20は、検知エリアに向けて第1嵌込部20aからセンサ窓部58gを通して検知光を投射し、返り光を受光することにより、検知エリア内における被検知物の有無を検知する。
図14は下カバー46にセンサ部材20や押さえ部材44を取り付けた状態を示す上面図である。
図7、図14に示すように、センサ部材20は、下カバー46の左右方向Z両側の一対の縦壁部58e間において下壁部58c上に配置され、一対の縦壁部58eに沿って前後方向Xにスライド可能である。また、センサ部材20は、一対の縦壁部58eに沿ってスライドさせることにより、その第1嵌込部20aを下カバー46のセンサ窓部58g内に嵌め込み可能である。よって、下カバー46にセンサ部材20を取り付けるとき、センサ部材20を一対の縦壁部58e間に配置できれば、センサ部材20のスライドによりセンサ窓部58g内に第1嵌込部20aを嵌め込める。
図5、図6に示すように、押さえ部材44は、軟質な第1配線50、第2配線52等と比べて硬質な樹脂等を素材として一体成形される。押さえ部材44は、ハウジング42の空洞部58内において後寄りの位置に配置される。
図15は図6のD−D線断面図である。
図5、図6、図15に示すように、押さえ部材44は、ハウジング42の下壁部58cの内面との間で第1配線50を挟む押さえ壁部44aを有する。押さえ壁部44aは前後方向X及び左右方向Zに沿って延びる板状をなす。押さえ壁部44aは、表示部材22と対向する上面が平坦に形成される。
図16は図6のE−E線に沿って切断した下カバー46及び押さえ部材44の断面図である。
図5、図6、図16に示すように、押さえ壁部44aは、ハウジング42の下壁部58cの内面と対向する下面に下壁部58cに向けて突出する複数の第1圧入部44bを有する。複数の第1圧入部44bは、押さえ壁部44aの左右方向Zの両側部において、前後方向Xに間隔を空けて設けられる。
ハウジング42の下壁部58cには複数の第1圧入部44bのそれぞれに一対一に対応する位置に第1被圧入部58iが形成される(図11も参照)。第1被圧入部58iは、ハウジング42の下壁部58cを上下方向に貫通する孔である。押さえ部材44の第1圧入部44bは下カバー46の第1被圧入部58i内に圧入(無理嵌め)されることにより、ハウジング42の下カバー46に対して着脱可能に取り付けられる。これにより、押さえ部材44の押さえ壁部44aは、下カバー46の下壁部58cの内面や押さえ壁部44aの第1配線50に対する接触を伴い、下壁部58cの内面との間で第1配線50を挟んだ状態で保持される。なお、第1圧入部44bと第1被圧入部58iとは、圧入し易くなるように、一方となる第1圧入部44bが円形状に形成され、他方となる第1被圧入部58iが多角形状に形成される。
図5、図6、図14に示すように、押さえ部材44は、押さえ壁部44aの前端部から立ち上がる立壁部44cを有する。立壁部44cは、センサ部材20と表示部材22との間に配置され、左右方向Z及び上下方向Yに沿って延びる板状をなす。立壁部44cにはセンサ部材20がある前方に向けて突出する突設部44dが設けられる。突設部44dは立壁部44cの左右方向Zの両側部のそれぞれに設けられる。
センサ部材20は、センサ窓部58g内に第1嵌込部20aが嵌め込まれることにより、下カバー46に対して左右方向Z及び上下方向Yに相対位置が位置決めされる。また、押さえ部材44の突設部44dは、センサ部材20の後面部に接触しており、その接触により、センサ窓部58gからの第1嵌込部20aの抜けを規制するように、センサ部材20の前後方向Xの相対位置を位置決めする。つまり、押さえ部材44は、センサ部材20の一部と接触することによって、下カバー46のセンサ窓部58gとの協働により、ハウジング42に対してセンサ部材20を固定している。
なお、図6、図7、図10に示すように、上カバー48の上壁部58bの内面には、センサ部材20の上面部と当接する当接部58jが設けられている。センサ部材20は、下カバー46の下壁部58cの内面と、上カバー48の当接部58jとの間に挟まれており、ハウジング42に対する上下方向Yでの固定度が高められている。
図6に示すように、表示部材22は、前述の通り、光源ケースの内部に複数の光源を収容して構成される。表示部材22の後面部には複数の第2配線52が接続される。複数の第2配線52は光源と制御ユニット24(図2参照)とを電気的に接続する。複数の第2配線52には、電力を供給するための電源線及びグランド線や、制御ユニット24から制御信号を伝送するための信号線が含まれる。
図5、図6、図15に示すように、表示部材22は、ハウジング42の空洞部58内において後寄りの位置に配置される。表示部材22は上カバー48の表示窓部58h内に嵌め込まれる第2嵌込部22aを有する。第2嵌込部22aは表示部材22の上面から上側に突出するとともに前後方向Xに沿って延びる凸状に形成される。第2嵌込部22aは表示窓部58hから上カバー48の外部に露出する。表示部材22は、第2嵌込部22aの発光により、吐水装置12の動作状態を表示する。
表示部材22は、左右方向Z両側の側面部の上端寄りの位置に形成される一対の第2圧入部22bを有する。第2圧入部22bは上下方向Yに沿って延びる凸状に形成される。上カバー48は、表示部材22の一対の第2圧入部22bそれぞれと左右方向Zに対向する位置に一対の第2被圧入部58kが形成される(図10も参照)。第2被圧入部58kは上カバー48の内面にて前後方向Xに沿って延びる凸状に形成される。表示部材22の一対の第2圧入部22bは、上カバー48の一対の第2被圧入部58k間に弾性変形した状態で圧入され、その復元力により上カバー48に対して保持される。
図17は上カバー48に表示部材22が取り付けられた状態を示す側面断面図である。
表示部材22は、上カバー48の表示窓部58hに対する第2嵌込部22aの嵌め込みと、上カバー48の第2被圧入部58kに対する第2圧入部22bの圧入とにより、上カバー48に取り付けられる。このとき、詳細は後述するが、表示部材22の第2配線52は上カバー48の第2保持孔56により保持された状態となる。
図6に示すように、表示部材22は、表示窓部58hに対する第2嵌込部22aの嵌め込みにより、上カバー48に対して左右方向Z及び前後方向Xに相対位置が位置決めされる。また、押さえ部材44の押さえ壁部44aは、ハウジング42が組立状態にあるとき、表示部材22の下面に接触しており、その接触により、表示窓部58hからの第2嵌込部22aの抜けを規制するように、表示部材22の上下方向Yの相対位置を位置決めする。つまり、押さえ部材44は、表示部材22の一部と接触することによって、上カバー48の表示窓部58hとの協働により、ハウジング42に対して表示部材22を固定している。このとき、表示部材22は、上カバー48の上壁部58bと押さえ部材44の押さえ壁部44aとの間に挟まれた状態で固定されることになる。
図6、図15に示すように、押さえ部材44が下カバー46に対して取付状態にあるとき、押さえ部材44の押さえ壁部44aと下壁部58cの内面との間には第1隙間空間68が形成される。第1隙間空間68は前後方向X及び左右方向Zに広がるように形成される。第1隙間空間68の上下方向Yの内幅寸法は第1配線50の外径寸法と同等の大きさに設定される。ここでの「同等」とは比較対象となる両者が完全に同一の場合と、ほぼ同一の場合との両方が含まれる。
図6、図14に示すように、押さえ部材44が下カバー46に対して取付状態にあるとき、押さえ部材44の立壁部44cとセンサ部材20との間には第2隙間空間70が形成される。第2隙間空間70は上下方向Y及び左右方向Zに広がるとともに、第1隙間空間68と連なるように形成される。
センサ部材20の複数の第1配線50は第2隙間空間70と第1隙間空間68を通るように配置される。複数の第1配線50は左右方向Zに並べた状態でセンサ部材20に接続され、第1隙間空間68及び第2隙間空間70のそれぞれを左右方向Zに並べた状態で配置される。第1配線50は、下カバー46と上カバー48との間の隙間72(後述する)を通して、ハウジング42の空洞部58から外部に引き出される。第2配線52は、上カバー48の第2保持孔56を通して空洞部58から外部に引き出される。これら第1配線50と第2配線52とは、ハウジング42の空洞部58内において分離した状態で配置される。
図18はヘッドホルダー36から上カバー48を省略した状態を示す上面図である。
図5、図18に示すように、押さえ部材44は、表示部材22に対して左右方向Z両側に設けられる一対の位置決め部44eを有する。位置決め部44eは、押さえ部材44の押さえ壁部44aから前寄りの部分から上側に突出する板状をなす。位置決め部44eは、表示部材22との接触により、下カバー46に対して表示部材22や上カバー48を左右方向Zに位置決めする機能をもつ。
以上のヘッドホルダー36の作用効果を説明する。
ヘッドホルダー36は、ハウジング42の空洞部58の内面との間で第1配線50を挟んだ状態で保持される押さえ部材44を備える。よって、ハウジング42の組み立て時、押さえ部材44によって第1配線50の位置ずれを抑えることで、下カバー46と上カバー48との間での第1配線50の噛み込みを防止できる。
また、第1配線50の噛み込みを防止できるため、ハウジング42の組み立て時、第1配線50の位置ずれ量を小さくするための位置調整作業が不要となり、ハウジング42の組み立て性が良好になる。
また、ハウジング42の組み立て時、押さえ部材44によって第1配線50の位置ずれを防止することで、表示部材22等の他部材との干渉を防止でき、ヘッドホルダー36の組み立て性が良好になる。
また、押さえ部材44は、センサ部材20と接触することにより、ハウジング42に対してセンサ部材20を固定している。よって、センサ部材20を固定する機能を押さえ部材44に持たせることができ、センサ部材20を固定するための他部材が不要となり、ヘッドホルダー36の部品点数を抑えられる。また、下カバー46に押さえ部材44を取り付けるだけで、下カバー46に押さえ部材44とともにセンサ部材20を固定でき、ヘッドホルダー36を簡易に組み立てられる。
また、表示部材22は、押さえ部材44の押さえ壁部44a上に載せた状態で固定される。よって、センサ部材20の第1配線50上のスペースを表示部材22用の配置空間として利用でき、他の箇所に表示部材22を配置するよりも、ハウジング42の空洞部58を小型化し易くなる。
また、センサ部材20の第1配線50上に表示部材22を配置するうえで、第1配線50上に直接に表示部材22を載せる場合、第1配線50が通常は円形状であるうえ、第1配線50が位置ずれし易いことから、表示部材22の支持状態が不安定になる。この点、本実施形態によれば、押さえ部材44の押さえ壁部44a上に載せた状態で表示部材22が固定されるため、第1配線50上に表示部材22を直接に載せるよりも表示部材22の支持状態が安定し、表示部材22の固定度を高められる。
また、ハウジング42の組み立て時、上カバー48に取り付けられた表示部材22を押さえ部材44の押さえ壁部44a上でスライドさせることができる。よって、位置ずれし易い第1配線50上でスライドさせるよりも、表示部材22をスムーズにスライドさせることができ、ハウジング42の組み立て性が良好となる。特に、配線は、通常、軟質な樹脂等で表皮層が構成されている。よって、軟質な第1配線50よりも、硬質な押さえ部材44の平坦な面の方が、表示部材22をスムーズにスライドさせることができ、この点からも、ハウジング42の組み立て性が良好となる。
また、押さえ部材44は、表示部材22との接触により、表示部材22を左右方向Zに位置決めする一対の位置決め部44eを有する。よって、一対の位置決め部44e間に表示部材22を配置するだけで、押さえ部材44や下カバー46に対して左右方向Zに表示部材22を位置決めでき、押さえ部材44や下カバー46に対する表示部材22や上カバー48の左右方向Zでの位置ずれを容易に防止できる。
また、第1配線50と第2配線52は、ハウジング42の空洞部58内において分離した状態で配置されている。よって、センサ部材20や表示部材22のメンテナンスや交換にあたり、第1配線50と第2配線52の絡まりをほどく作業をせずに単一の部材を取り扱い易くなり、良好な作業性を得られる。
また、押さえ部材44の第1圧入部44bは下カバー46の第1被圧入部58i内に圧入されることにより、下カバー46に着脱可能に取り付けられる。よって、下カバー46に押さえ部材44を簡易に着け外しできるようになり、ヘッドホルダー36の組み立て、組み直しを簡易にできるようになる。
なお、下カバー46及び上カバー48は、ハウジング42を組み立てるとき、前述の通り、下カバー46に対して上カバー48が前側(第1側)にスライド可能に構成されている。ここで、押さえ部材44の一対の位置決め部44eは、上カバー48のスライド方向となる前後方向Xと直交する左右方向Zの両側に設けられる。よって、表示部材22は、下カバー46に対して上カバー48を前側にスライドさせるだけで、押さえ部材44の一対の位置決め部44e間に配置可能であり、下カバー46に対する上カバー48の左右方向Zでの固定度を容易に高められる。良好な組み立て性を得る観点から、上カバー48と下カバー46との間でスムーズなスライドを許容するための左右方向Zでの大きめのクリアランスを確保する場合がある。この場合でも、一対の位置決め部44eにより左右方向Zでの固定度を高められる点で大きな利点がある。
また、図11に示すように、ヘッドホルダー36の空洞部58の下壁部58cには水抜き孔58mが形成される。水抜き孔58mは、下壁部58cの前壁部58a寄りの一部分に左右方向Zに複数並んで形成される。詳しくは、図3に示すように、水抜き孔58mは、ベースフレーム32にヘッドホルダー36が取付状態にあるとき、鉛直下側にある空洞部58の壁部の一部分(下壁部58cの前壁部58a寄りの一部分)に形成される。これにより、ヘッドホルダー36の空洞部58内に水が浸入したときでも、ヘッドホルダー36の水抜き孔58mを通して外部に水を排出できる。
(第1保持孔及び第2保持孔)
次に、第1保持孔54及び第2保持孔56に関連する構成の詳細を説明する。
図6、図9に示すように、下カバー46の下壁部58cは、ハウジング42の空洞部58を画定する他の壁部(上壁部58b、後壁部58d)よりも後方に延び出る延出部46eを有する。下カバー46の下壁部58cの後部には、延出部46eを含む範囲に、前後方向Xに沿って延びる溝部46fが形成される。
図19は図6のF−F線断面図である。
図6、図19に示すように、下カバー46の下壁部58cの溝部46fと上カバー48の後壁部58dとの間には隙間72が形成される。センサ部材20の第1配線50は隙間72を通して空洞部58から外部に引き出される。第1配線50は溝部46fに沿って敷設されるように配置される
図8、図9に示すように、下カバー46は、上カバー48の後壁部58dに対して後方であって、ホース挿通部42aの後端部に対して上方に設けられる第1保持壁部74(以下、下保持壁部74という)を有する。下保持壁部74は、下カバー46の上側に面する箇所に設けられる。下保持壁部74は、前述の延出部46eの後端部に接続され、下保持壁部74とホース挿通部42aとの間には板状の縦壁部42dが接続される。下保持壁部74は、前述の被挟持部46c、二つの変位規制部46dを備えている。
図20は図6のG−G線端面図である。
図6、図9、図20に示すように、下カバー46の下保持壁部74には前後方向Xに沿って延びる第1保持孔54(以下、下保持孔54という)が形成される。下保持孔54には複数の第1配線50が挿通される。下保持孔54は第1配線50の挿通方向(前後方向X)と交差する上下方向Yの上側に第1開放口54a(以下、下開放口54aという)を有する開断面形状である。下保持孔54は、下開放口54a側に設けられる入口部54bと、入口部54bより奥側に設けられる奥部54cとを有する。入口部54bは矩形状をなし、奥部54cは円形状をなし、下保持孔54は全体として鍵穴状をなす。複数の第1配線50は下保持孔54に挿通されることで、下保持孔54により保持される。
図6、図10、図20に示すように、上カバー48は、後壁部58dより後側に突出する第2保持壁部76(以下、上保持壁部76という)を有する。上保持壁部76は前後方向Xに沿って延びる長尺状に形成される。上保持壁部76には前後方向Xに沿って延びる第2保持孔56(以下、上保持孔56という)が形成される。上保持孔56には複数の第2配線52が挿通され、複数の第2配線52は上保持孔56を通して空洞部58から外部に引き出される。
図20に示すように、上保持孔56は第2配線52の挿通方向(前後方向X)と交差する上下方向Yの下側に第2開放口56a(以下、上開放口56aともいう)を有する開断面形状である。上保持孔56は、上開放口56a側に設けられる入口部56bと、入口部56bより奥側に設けられる奥部56cとを有する。入口部56bは矩形状をなし、奥部56cは円形状をなし、上保持孔56は全体として鍵穴状をなす。
上保持孔56の奥部56cは複数の第2配線52を挿通可能な大きさに形成される。上保持孔56の入口部56bは、複数の第2配線52の上保持孔56からの抜けを規制するため、第2配線52の外径寸法以下の大きさの内幅寸法に形成される。複数の第2配線52は、上保持孔56の奥部56cに挿通されることで、上保持孔56により保持される。
下保持孔54は上側に下開放口54aを有し、上保持孔56は下側に上開放口56aを有し、下保持孔54と上保持孔56とは下開放口54aと上開放口56aとを上下方向Yに向かい合わせた状態で配置される。上保持壁部76は、下保持孔54の下開放口54aを閉じるように配置される。本実施形態の上保持壁部76は、下保持孔54の入口部54bを塞ぐように入口部54b内に嵌め込まれることで、下保持孔54の下開放口54aを閉じている。また、下保持壁部74は、上保持孔56の上開放口56aを閉じるように配置される。本実施形態の下保持壁部74は、上保持孔56の外側において上開放口56aを取り囲むように配置されることで上開放口56aを閉じている。
以上のヘッドホルダー36の作用効果を説明する。
センサ部材20の第1配線50は下保持孔54により保持され、表示部材22の第2配線52は上保持孔56に保持されるため、第1配線50と第2配線52とを分離させた状態に維持できる。よって、ハウジング42の外部での他物体との干渉や、運搬時の振動によって、ハウジング42の外部で各配線50、52が位置ずれしても、ハウジング42の内部での各配線50、52同士の絡まりを防止できる。これにより、各電子部品(センサ部材20、表示部材22)のメンテナンスや交換にあたり、各配線50、52の絡まりをほどく作業をせずに単一の電子部品を取り扱い易くなり、良好な作業性を得られる。
また、下保持孔54は下カバー46に形成され、上保持孔56は上カバー48に形成されるため、ハウジング42を上カバー48と下カバー46とに分離させたとき、センサ部材20の第1配線50と表示部材22の第2配線52とも併せて分離できる。よって、各電子部品のメンテナンスや交換にあたり、第1配線50と第2配線52とを分離させた状態で作業でき、その作業中の各配線50、52の絡まりを防止することで、より良好な作業性を得られる。
また、第1配線50は下保持孔54により保持され、第2配線52は上保持孔56により保持されるため、第1配線50や第2配線52を定位置に配置した状態を維持し易くなるよって、ハウジング42の組み立て時において、下カバー46と上カバー48との間に各配線50、52を噛み込み難くすることで、良好な作業性を得られる。
また、下保持孔54は第1配線50の挿通方向と交差する方向に下開放口54aを有する。よって、下保持孔54の第1開放口54aから奥側に向けて第1配線50を動かすだけで、下保持孔54内に第1配線50を挿通した状態にでき、下保持孔54に第1配線50を組み付け易くなる。
また、上保持壁部76は下保持孔54の下開放口54aを閉じるように配置される。よって、下保持孔54に第1配線50を組み付け易くしつつも、下保持孔54の下開放口54aからの第1配線50の抜け出しを上保持壁部76により防止できる。
また、上保持孔56は第2配線52の挿通方向と交差する方向に上開放口56aを有する。よって、上保持孔56の第2開放口から奥側に向けて第2配線52を押し込むように動かすだけで、上保持孔56内に第2配線52を挿通した状態にでき、上保持孔56に第2配線52を組み付け易くなる。
また、下保持壁部74は上保持孔56の上開放口56aを閉じるように配置される。よって、上保持孔56に第2配線52を組み付け易くしつつも、上保持孔56の上開放口56aからの第2配線52の抜け出しも下保持壁部74により防止できる。
次に、第1保持孔54及び第2保持孔56に関連する他の特徴を説明する。
図20に示すように、下保持孔54の入口部54bは左右方向Zに対向する一対のガイド面54dを有する。一対のガイド面54dは、下カバー46及び上カバー48の分離方向となる上下方向Yに沿って平坦に延びるように形成される。上保持壁部76は一対のガイド面54dのそれぞれと左右方向Zに対向する一対の被ガイド面76aを有する。一対の被ガイド面76aも上下方向Yに沿って平坦に延びるように形成される。
ハウジング42を組み立て又は分解するために、下カバー46及び上カバー48を上下方向Yに相対移動させるとき、上カバー48の被ガイド面76aは下カバー46のガイド面54dに沿ってスライドする。下カバー46のガイド面54dは、上カバー48の被ガイド面76aがスライドすることにより、下カバー46に対する上カバー48の上下方向Yでの相対移動をガイドできる。
ハウジング42を組み立てるとき、まず、互いに分離している下カバー46及び上カバー48の向きを合わせ、下カバー46の下保持孔54のガイド面54dに上カバー48の上保持壁部76を当てるように、下カバー46及び上カバー48を相対移動させる。この後、下カバー46のガイド面54dに沿って上カバー48の上保持壁部76を上下方向Yにスライドさせることで、上カバー48及び下カバー46を分離可能位置まで相対移動させることができる。この後、上カバー48及び下カバー46を分離可能位置から分離不能位置まで動かすことで、ハウジング42の組み立てが完了する。
このように、下カバー46のガイド面54dに上カバー48の上保持壁部76を当てさえすれば、下カバー及び上カバー48を分離可能位置まで相対移動させ易くなる。よって、ハウジング42の組み立て時、より良好な作業性を得られるようになる。
なお、前述のハウジング42を組み立ては、次の前工程を経てから行われる。まず、下カバー46にセンサ部材20を取り付けるとともに、センサ部材20の第1配線50を下カバー46の下保持孔54内に挿通する。さらに、下カバー48の下壁部58cの内面との間で第1配線50を挟むように、押さえ部材44を下カバー48に取り付ける。これら工程と前後して、上カバー48に表示部材22を取り付けるとともに、表示部材22の第2配線52を上カバー48の第2保持孔56内に挿通させる。この後、前述のハウジング42の組み立てを行う。
また、前述のヘッドホルダー36の取付構造64は、第1保持孔54及び第2保持孔56との関係で、次の特徴もある。図13を参照する。クリップ66は、前述の通り、下カバー46の被挟持部46cを挟み込むように配置される。このクリップ66は、下カバー46の下保持孔54との間で第1配線50及び第2配線52を挟む位置に配置される。
これにより、第1配線50や第2配線52が下保持孔54の下開放口54aから抜け出ようと変位したとき、クリップ66との接触によって、第1配線50、第2配線52の抜け出しを防止できる。よって、ベースフレーム32に下カバー46を留める機能の他に、第1配線50、第2配線52を定位置に保持する機能をクリップ66に持たせられる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示すにすぎない。また、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
水栓装置10は洗面台100に用いられる例を説明したが、その用途はこれに限定されない。水栓装置10は、例えば、キッチン、手洗器、浴室等に用いられてもよいし、建物の他にも船舶等に用いられてもよい。また、水栓装置10の設置面はバックガード106である例を説明したが、キャビネット104を設置面としてもよいし、これら両方を設置面としてもよい。
ヘッドホルダー36は、本発明の適用の対象となる水栓部品の例として説明した。この水栓部品は、これに限定されるものではなく、たとえば、吐水ヘッド38、吐水管等を適用の対象としてもよい。ちなみに、ヘッドホルダー36及び吐水ヘッド38のいずれかが水栓部品となる場合、いずれのハウジングも給水ホース40の挿通孔(ホース挿通孔36a)がある点で共通する。
また、水栓部品の取付相手となるベースとしてベースフレーム32を例に説明した。ベースは、これに限定されず、たとえば、洗面台、手洗鉢、シンク等の水回り機器でもよい。
(ハウジング)
実施形態では、請求の範囲に記載の第1分割部材が下カバー46であり、第2分割部材が上カバー48である例を説明した。そして、第1分割部材となる下カバー46にスライドガイド部62が設けられたり、下カバー46がベースフレーム32に取り付けられる例を説明した。これに限られず、第1分割部材が上カバー48であり、第2分割部材が下カバー46であってもよい。つまり、第1分割部材となる上カバー48にスライドガイド部62が設けられたり、上カバー48がベースフレーム32に取り付けられてもよい。また、第1分割部材及び第2分割部材が上下方向Yに対向する下カバー46及び上カバー48である例を説明したが、左右方向Xに対向する左カバー及び右カバーでもよい。つまり、第1分割部材及び第2分割部材は、スライド方向Zを一つの方向軸とする3軸直交系において、他の方向軸(左右方向X、上下方向Y)の何れかに対向していてもよい。
スライドガイド部62は複数ある例を説明したが、その数は特に限定されない。また、複数のスライドガイド部62は第1分割部材(下カバー46)の左右方向の両側部に設けられ、かつ、スライド方向Xに複数設けられる例を説明したが、その配置態様は特に限定されない。たとえば、第1分割部材の左右方向の中央部に単数又は複数設けられてもよいし、左右方向の一方の側部にのみ単数又は複数設けられてもよい。
スライドガイド部62の第1ガイド面62aは、前後方向Xに隣接する他のスライドガイド部62の第1ガイド面62aと連なるように形成される例を説明したが、これらは連ならないように離れて形成されてもよい。スライドガイド部62の第2ガイド面62bも同様である。
第2分割部材(上カバー48)は、ベースフレーム32との係合により、分離不能位置からのスライドがロックされる例を説明した。この係合相手となる他部材は特に限定されず、たとえば、クリップ66でもよい。
(水栓部品の内部部品)
ハウジング42の空洞部58内に配置される第1電子部品の例としてセンサ部材20を説明し、第2電子部品の例として表示部材22を説明した。この電子部品は配線が接続されるものであればよく、これらに特に限定されるものではない。たとえば、第1電子部品、第2電子部品の両方がセンサ部材や表示部材でもよいし、発音素子を内蔵した発音部材等でもよい。また、ハウジング42の空洞部58内には二つの電子部品が配置される例を説明したが、単一の電子部品のみが配置されてもよいし、三つ以上の電子部品が配置されてもよい。
押さえ部材44は、ハウジング42の空洞部58の内面との間で第1配線50を挟んだ状態で保持されていればよい。押さえ部材44と空洞部58の内面との間で第1配線50を挟むにあたり、実施形態のように、押さえ部材44や空洞部58の内面の第1配線50に対する接触は必須とはならない。あくまで、押さえ部材44は、空洞部58の内面との間で第1配線50を挟んだ位置に配置された状態で保持されていればよい。また、押さえ部材44は、たとえば、第1電子部品との接触により、ハウジング42に対して第1電子部品を固定していなくともよいし、一対の位置決め部44eがなくともよい。
また、押さえ部材44の一対の位置決め部44eは、第2電子部品(表示部材22)に対して左右方向Zの両側に設けられる例を説明した。一対の位置決め部44eが第2電子部品を位置決めする方向は左右方向に限定されず、前後方向Xに位置決めしてもよい。つまり、一対の位置決め部44eは、第2電子部品との接触により、第2電子部品を一方向(左右方向Z又は前後方向)に位置決めしていてもよい。
(第1保持孔及び第2保持孔)
第1保持孔54(下保持孔54)、第2保持孔56(上保持孔56)の形状は、その内側に挿通される第1配線50、第2配線52を保持できる形状であればよく、その具体的な形状は特に限定されない。たとえば、第1保持孔54は第1開放口54aを有する開断面形状である例を説明したが、第1配線50の挿通方向の両側にのみ開口する閉断面形状でもよい。また、第1保持孔54は入口部54bよりも内幅寸法の大きい奥部54cを有する例を説明したが、入口部54bと奥部54cとは同等の内幅寸法であってもよい。第2保持孔56も同様である。
第2保持壁部76(上保持壁部76)は第1保持孔54の第1開放口54aを閉じるように配置される例を説明したが、これに限定されない。同様に、第1保持壁部74は第2保持孔56の第2開放口56aを閉じるように配置される例を説明したが、これに限定されない。
第1保持孔54は、第2分割部材の第2保持壁部76がスライドすることにより、第1分割部材及び第2分割部材の上下方向Yの相対移動をガイドするガイド面54dを有する例を説明した。このガイド面54dをスライドする第2分割部材の一部として第2保持壁部76を説明したが、これには限定されず、他の部位がスライドしてもよい。
留め具(クリップ66)は、第1分割部材(下カバー46)の第1保持孔54との間で第1配線50及び第2配線52を挟む位置に配置される例を説明した。留め具は、第1分割部材46の一部との間で第1配線50及び第2配線52を挟む位置に配置されていればよく、留め具と第1保持孔54との間で挟むことを必須とするものではない。また、留め具はベースに対して第1分割部材を留められればよく、留め具の配置位置は特に限定されない。
以上の実施形態、変形例により具体化される発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。以下、発明が解決しようとする課題に記載の態様を用いて説明する。
第2態様の水栓部品は、第1態様において、前記押さえ部材は、前記第1電子部品と接触することにより、前記ハウジングに対して前記第1電子部品を固定してもよい。
この態様によれば、第1電子部品を固定する機能を押さえ部材に持たせることができ、第1電子部品を固定するための他部材が不要となり、水栓部品の部品点数を抑えられる。
第3態様の水栓部品は、第1態様又は第2態様において、前記空洞部内に配置される第2電子部品を備え、前記第2電子部品は、前記押さえ部材上に載せた状態で固定されてもよい。
この態様によれば、第1配線上のスペースを第2電子部品用の配置空間として利用でき、他の箇所に第2電子部品を配置するよりも、ハウジングの空洞部を小型化し易くなる。
第4態様の水栓部品は、第3態様において、前記押さえ部材は、前記第2電子部品に対して一方向の両側に設けられる一対の位置決め部を有し、前記一対の位置決め部は、前記第2電子部品との接触により、前記第2電子部品を前記一方向に位置決めしてもよい。
この態様によれば、一対の位置決め部間に第2電子部品を配置するだけで、押さえ部材に対して一方向に第2電子部品を位置決めでき、押さえ部材に対する一方向での位置ずれを容易に防止できる。
第5態様の水栓部品は、第4態様において、前記第1分割部材及び前記第2分割部材は、前記第1分割部材に対して前記第2分割部材がスライドすることにより分離可能に構成され、前記押さえ部材は、前記第1分割部材に取り付けられ、前記第2電子部品は、前記第2分割部材に取り付けられ、前記一対の位置決め部は、前記第2分割部材のスライド方向と直交する前記一方向の両側に設けられてもよい。
この態様によれば、ハウジングを組み立てるために第1分割部材及び第2分割部材をスライドさせるだけで、押さえ部材の一対の位置決め部間に第2電子部品を配置でき、第1分割部材に対する第2分割部材の一方向での固定度を容易に高められる。
第6態様の水栓部品は、第3態様から第5態様のいずれかにおいて、前記第2電子部品には、前記空洞部内から引き出される第2配線が接続され、前記第1配線及び前記第2配線は、前記空洞部内において分離した状態で配置されてもよい。
この態様によれば、第1電子部品や第2電子部品のメンテナンスや交換にあたり、第1配線と第2配線の絡まりをほどく作業をせずに単一の電子部品を取り扱い易くなり、良好な作業性を得られる。
第7態様の水栓部品は、前記押さえ部材は、前記第1分割部材に圧入されることにより、前記第1分割部材に着脱可能に取り付けられてもよい。
この態様によれば、第1分割部材に押さえ部材を簡易に着け外しできるようになり、水栓部品の組み直しを簡易にできるようになる。