以下、本発明に係る実施の形態について説明する。尚、以下の実施例では画像形成装置として電子写真プロセスを利用したレーザービームプリンタを例に説明する。
《実施例1》
[画像形成装置]
図2は本実施例1におけるプリンタ1の概略断面図である。このプリンタ1は、タンデム方式−中間転写方式のフルカラープリンタであり、イエロ(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、ブラック(Bk)色のトナー像を形成する4つの画像形成部UY、UM、UC、UBkを有する。
各画像形成部は、それぞれ、感光ドラム2、帯電器3、レーザスキャナ4、現像器5、一次転写帯電器6、ドラムクリーナ7を有する。なお、図の煩雑を避けるため画像形成部UY以外の画像形成部UM、UC、UBkにおけるこれらの機器に対する符号の記入は省略した。また、これら画像形成部の電子写真プロセスや作像動作は公知であるからその説明は割愛する。
各画像形成部のドラム2から回動する中間転写ベルト8に対して各色のトナー像が所定に重畳されて一次転写される。これによりベルト8上に4色重畳のトナー像が形成される。一方、カセット9又は10、或いは手差しトレイ11から記録材(シート)Pが一枚宛給送されて搬送路12を通って所定の制御タイミングでベルト8と二次転写ローラ13との圧接部である二次転写ニップ部に導入される。これにより、記録材Pに対してベルト8上の4色重畳のトナー像が一括して二次転写される。その記録材Pが定着装置40に導入されてトナー像の定着処理を受ける。
定着装置40を出た記録材Pは片面画像形成モードの場合はフラッパ14の制御により搬送路15の側に誘導されて排出トレイ16上にフェイスダウンで排出される。或いは、搬送路17の側に誘導されて排出トレイ18上にフェイスアップで排出される。
両面画像形成モードの場合は、定着装置40を出た記録材Pはフラッパ14の制御により搬送路15の側に一旦誘導された後にスイッチバック搬送されて両面搬送路19の側に導入される。そして、表裏反転された状態で再び搬送路12を通って二次転写ニップ部に導入されて他方の面にトナー像が形成される。以後は、片面画像形成の場合と同様に定着装置40に導入され、排出トレイ16又は18に両面画像形成物として排出される。
なお、本実施例1のプリンタ1においては、大小各種幅サイズの記録材Pの搬送は、記録材幅中心の所謂中央基準でなされる。以下において、装置に使用可能な最大幅記録材を大サイズ記録材、それよりも幅狭の記録材を小サイズ記録材と記す。
[定着装置]
次に、本実施例1における定着装置40について説明する。図3の(a)は定着装置40の要部の横断面模式図、(b)は定着ベルトの層構成模式図である。図4は定着装置40の要部の途中部分省略の縦断正面模式図である。定着装置40の正面は記録材導入側から見た面である。図5はヒータに対する給電系統図である。
この定着装置40はベルト加熱方式の画像加熱装置であり、大別して、記録材P上の画像を加熱するベルトユニット60と対向部材(ニップ形成部材)としての弾性加圧ローラ70と、これらを収容している装置筐体41と、を有する。
ベルトユニット60は可撓性を有する薄肉の定着ベルト(伝熱部材)603をベルト内面に接触するヒータ600により加熱する構成である。そのため、定着ベルト603を効率良く加熱でき、立ち上げ性能に優れる。定着ベルト603にはヒータ600と加圧ローラ70の加圧によりニップ部(定着ニップ部)Nが形成され、ニップ部Nに給送された記録材Pを挟持搬送する。この時、ヒータ600で発生した熱は定着ベルト603を介して記録材Pに付与され、記録材P上のトナー画像Tは記録材Pに定着される
ベルトユニット60は記録材P上の画像Tを加熱、加圧する為のユニットであり、加圧ローラ70とほぼ平行となるように設けられ、ヒータ600、ヒータホルダ601、支持ステー602、定着ベルト603を有する。
ヒータ600はニップ部Nが記録材搬送方向aにおいて所望の幅となるように、定着ベルト603を加圧ローラ70の方向に押圧する。また、ヒータ600は基板610と、基板610上に抵抗発熱体(抵抗発熱層:以後、発熱体と呼ぶ)620を備え、ヒータホルダ601の下面の凹部601aに固定されている。尚、本実施例1では基板610の裏面側(定着ベルト603と当接しない側)に発熱体620を設けている。しかし、これに限定されるものでは無く、表面側(定着ベルト603と当接する側)に設けても良い。
基板610の定着ベルト603と当接する側である表面側には摺動層として厚さ約10μmのポリイミド層を設けており、定着ベルト603とヒータ600との摺擦抵抗を低減することで、定着ベルト603の内面の磨耗を抑制することでできる。更に、摺擦抵抗低減するために定着ベルト603の内面にグリス等の潤滑剤を塗布しても良い。
定着ベルト603は記録材P上のトナー像Tをニップ部Nにて加熱、加圧するための円筒状のベルト(エンドレスベルト)である。本実施例1では図3の(b)の層構成模式図のように基材603a上に弾性層603bと離型層603cを設けたものを用いる。具体的に、基材603aとしては外径が30mm、長さ(幅)が340mm、厚みが30μmのニッケル合金から成る円筒形状の部材を用いている。更に、基材603a上には弾性層603bとして厚みが400μmのシリコーンゴム層を形成し、更に弾性層603b上には離形層603cとして厚みが約20μmのフッ素樹脂チューブを被覆している。
ヒータホルダ601(以後、ホルダ601と呼ぶ)はヒータ600を定着ベルト603に向かって押圧した状態で保持する部材である。また、ホルダ601は断面形状がほぼ半円弧形状であり、定着ベルト603の回転軌道を規制する機能を備えている。ホルダ601には高耐熱性の樹脂等が用いられ、本実施例1ではデュポン社のゼナイト7755(商品名)を使用している。
支持ステー602はホルダ601を介してヒータ600を支持する部材である。支持ステー602は大きな荷重をかけられても撓みにくい材質であることが望ましく、本実施例1においてはSUS304(ステンレス鋼)を使用している。
図4のように、支持ステー602はその長手方向の両端部において、フランジ411a、411bに支持されている。フランジ411a、411bを総称してフランジ411と呼ぶ。フランジ411は定着ベルト603の長手方向の移動、および周方向の形状を規制している。フランジ411には耐熱性の樹脂等が用いられ、本実施例1ではPPS(ポリフェニレンサルファイド)を使用している。フランジ411と加圧アーム414(414a、414b)との間には加圧バネ415(415a、415b)が縮められた状態で設けられる。
上記構成により、フランジ411、支持ステー602、ホルダ601を介して、加圧バネ415の弾性力がヒータ600に伝わる。そして、定着ベルト603が加圧ローラ70に対して所定の押圧力で加圧され、記録材搬送方向aにおいて所定幅のニップ部Nが形成される。本実施例1に於ける加圧力は一端側と他端側がそれぞれ約156.8N、総加圧力が約313.6N(32kgf)である。
また、コネクタ700はヒータ600に電圧を印加するためにヒータ600と電気的に接続される給電部材であり、ヒータ600の長手方向一端側(後述する電極側)に着脱可能に嵌着して取り付けられる。
加圧ローラ70は定着ベルト603と協働して記録材上(シート上)のトナー像Tを加熱するためのニップ部Nを形成するとともに定着ベルト603を回転駆動する駆動回転体である。加圧ローラ70は金属の芯金71上に弾性層72を設け、更に、弾性層72上に離型層73を設けた多層構造である。芯金71としてはステンレス鋼、SUM(硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材)、アルミニウムを用いることができる。弾性層72としてはシリコーンゴム、スポンジゴム層、あるいは弾性気泡ゴムを用いることができる。離型層73としてはフッ素樹脂材料を用いることができる。
本実施例1の加圧ローラ70はステンレス製の芯金71と、発泡シリコーンゴムの弾性層72と、フッ素樹脂チューブの離型層73からなり、外径は約25mm、弾性層の長手長さは330mmである。
図4のように、加圧ローラ70の芯金71の両端部はそれぞれ装置筐体41の一端側と他端側の側板41aと41bとの間に軸受け42a、42bを介して回転可能に保持されている。芯金71の一方側の端部にはギアGが設けられて、モータMの駆動力を芯金71に伝達する。モータMにより駆動される加圧ローラ70は図3において矢印R70の方向に回転し、ニップ部Nにて定着ベルト603に駆動力を伝達して定着ベルト603を矢印R603の方向に従動回転させる。尚、本実施例1では加圧ローラ70の表面速度が200mm/secとなるように、制御回路100によってモータMは制御される。
630はサーミスタであり、ヒータ600の裏面側に設けられ、ヒータ600の温度を検知する温度センサである。本実施例1のプリンタ1は記録材Pの搬送が中央基準でなされるので、サーミスタ630はヒータ600の後述する抵抗発熱体620の長手中央部に対応するヒータ裏面部分(大小どの幅サイズの記録材も通過するヒータ領域部分)に設けられている。サーミスタ630はA/Dコンバータ101を介して制御回路100に接続され、検知した温度に応じた出力を制御回路100に送信する。
制御回路100は各種制御に伴う演算を行うCPUとROM等の不揮発記憶媒体を備えた回路である。このROMにはプログラムが記憶されており、CPUがこれを読み出して実行することで、各種制御は実行される。制御回路100は電源110の通電を制御するように電源110と電気的に接続される。
また、制御回路100はサーミスタ630から取得した温度情報を電源110の通電制御に反映させている。つまり、制御回路100はサーミスタ630の出力をもとに、ヒータ600へ供給する電力を制御している。本実施例1では電源110の出力に対して波数制御を行うことで、ヒータ600の発熱量を調整する方式を用いており、記録材上のトナーを定着する際、ヒータ600は所定の温度に維持される。
[ヒータ]
次に、本実施例1におけるヒータ600の構成を詳細に説明する。図1は本実施例1で用いるヒータ600の構成模式図、図6はヒータの発熱方式および発熱領域の切り替え方式を説明する模式図である。
図6(a)のように、第1導体路710には分岐路a715a、分岐路b715b、分岐路c715cが接続される。一方、第2導体路720には分岐路d725d、分岐路e725e、分岐路c725cが接続される。
第1導体路710に接続される分岐路715a、715b、715cと第2導体路720に接続される分岐路725d、725e、725fは長手方向において交互に並べて配置され、各分岐路間に抵抗発熱体620が電気的に接続するように設けられる。第1導体路710と第2導体路720間に電圧Vが印加されると、隣接する分岐路間に電位差が生じ、図中の矢印で示す電流の発生によって、抵抗発熱体620が発熱する。
また、図6(b)のように、分岐路e725eと分岐路f725f間にスイッチSWを設けてこのスイッチSWをオフにすると、分岐路715bと分岐路c715cが同電位となる。そのため、分岐路b715bと分岐路c715c間における発熱体620は発熱しない。
つまり、導体路の一部の電気的接続を切断することで、発熱体の一部のみを発熱することができる。尚、長手方向に並ぶ複数の発熱体に通電して発熱させる場合、隣接する発熱体の電流の向きが互い違いとなるように分岐路を配置する構成が好ましい。
その他の発熱体と第2分岐路の配置として、発熱体の両端に異極の分岐路を接続して、長手において電流の向きが同一方向となるようにする構成がある。しかしながら、隣接する発熱体間に2つの分岐路が必要となるため、この分岐路間で短絡が発生する恐れがある。加えて、発熱体間の分岐路の幅が広くなるので、非発熱部が大きくなり、長手方向においてヒータおよび定着ベルトに温度ムラが生じてしまう。従って、隣接する発熱体間の分岐路を兼用するように発熱体と分岐路を配置する構成が望ましい。
次に、図1を用いて本実施例1のヒータ600について詳細に説明する。ヒータ600は細長い板状の基板610を有する。また、基板610上に形成された、発熱体620(a〜l)と導体パターン(640、650、660(a、b)、642(a〜g)、652(c〜d)、662(a、b))と、電極(641、651、661(a、b))とを有する。また、発熱体620と導体パターンを覆う絶縁コート層(不図示)を有する。
基板610はヒータ600の寸法や形状を決定する部材であり、材料としては耐熱性、熱伝導性、電気絶縁性に優れたアルミナ、窒化アルミ等のセラミック材料が用いられる。本実施例1では長手方向の長さが400mm、短手方向の長さが8.0mm、厚さが約1mmのアルミナを用いている。
基板610上にはスクリーン印刷法によって発熱体620と導体パターンが形成される。本実施例1では導体パターンとしては低抵抗率材料である銀ペースト、若しくは銀に少量のパラジウムを混合した合金のペーストを用いている。また、発熱体620には所望の抵抗値となるように銀−パラジウム合金のペーストが用いられる。更に、発熱体620と導体パターンは耐熱性ガラスから成る絶縁コート層(不図示)が被覆され、リークやショートが生じないように電気的に保護される。
基板610の長手方向の一端側には電源110とコネクタ700を介して電気的に接続される電極641、651、661が設けられる。更に、基板610には発熱体620と分岐路(642(a〜g)、652(c〜d)、662(a、b))が設けられる。尚、分岐路は、共通導体路640、第1対向導体路650、第2対向導体路660a、第3対向導体路660bと発熱体620を電気的に接続する導体路である。
発熱体620(a〜l)は、本実施例1においては、基板610上に基板の長手に沿って細長い1つの発熱体として形成されている。本実施例1の発熱体620は幅(短手方向の長さ)が約1.5〜2.0mmであり(詳細は後に記載)、厚みが約20μm、長手方向の長さが約320mmである。この長さ約320mmは、A4サイズ(幅サイズ297mm)の大サイズ記録材Pの全域を加熱できる長さである。また、発熱体620の総抵抗は約10Ωである。
発熱体620上には7本の共通分岐路642a〜642gが長手方向に等間隔をあけて積層することで、発熱体620は共通分岐路642a〜642gによって6個の区間に区切られる。尚、発熱体620の各区間の長さは約53.3mmである。更に、発熱体620の各区間の中央部には6本の対向分岐路662、652が積層され、発熱体620は620a〜620lの12個の小区間発熱体に分けられる。尚、本実施例においては各小区間発熱体620a〜620lの長さは約26.7mmである。
上記のヒータ構成をまとめると次のとおりである。ヒータ600は、細長い基板610と、基板610の長手に沿って延在している抵抗発熱体620を有している。また、基板の長手一端部側に設けられている複数の電極641、651、661と、その複数の電極のそれぞれから抵抗発熱体620の長手に沿って延在している複数の導体路640、650、660を有している。
また、その複数の導体路640、650、660のそれぞれから長手に沿って間隔をあけて分岐している複数の分岐路642、652、662を有している。それらの分岐路は抵抗発熱体620を横断して抵抗発熱体と電気的に接続して分岐路間で抵抗発熱体を長手に沿って複数の小区間発熱体620a〜620lに区分している。
図1において、610aは基板610の長手において電極641、651、661が設けられている一端部側の領域である。610cは発熱体620が形成されている領域である。領域610cにおいて発熱体620の全長域が発熱領域である。定着ベルト306のベルト幅はその発熱領域の全長域よりも所定に広い(図4)。610bは領域610aと領域610cとの間の領域である。ヒータ600の領域610aの部分に対してヒータ600に電圧を印加するためのコネクタ700が嵌着される。
また、610dと610eは基板610の短手方向(幅方向)に関して、発熱体620を中にして一方側と他方側の基板領域である。本実施例のヒータ600においては、その一方側の基板領域610dの側に共通導体路640を、他方側の基板領域610dの側に対向導体路)650、660(a,b)をそれぞれ配設している。
共通分岐路642及び対向分岐路652、662の抵抗値は、発熱体620の抵抗値よりも著しく小さい。そのため、分岐路の幅(長手方向の長さ)が大きくなると、発熱体620に発熱量のムラが発生するためヒータ600および定着ベルト603の長手方向において温度のムラが発生する。結果、記録材上の画像の光沢が不均一になる。この現象は分岐路に対向する部分の定着ベルト603の温度が低くなるため、記録材上のトナーを十分に加熱、溶融できないので、光沢が低くなることに起因する。
共通分岐路642(a〜g)は発熱体620の長手と直交するように設けられ、更に、発熱体620の長手方向一端から奇数番目に設けられる。共通分岐路642は第1導体路640等を介して電源110の一方側の端子110aと電気的に接続される。対向分岐路652、662は発熱体620の長手と直交するように設けられ、更に、発熱体620の長手方向一端から偶数番目に設けられる。対向分岐路652、662は対向導体路650、660等を介して電源110の他方側の端子110bに電気的と接続される。
つまり、共通分岐路と対向分岐路は発熱体620の長手方向において交互に配置される。尚、本実施例1では発熱体620の長手方向一端から奇数番目を共通分岐路、偶数番目を対向分岐路としたが、この構成に限定されるものでは無い。発熱体620の長手方向一端から偶数番目を共通分岐路、奇数番目を対向分岐路としても同様の効果が得られることは言うまでも無い。
共通導体路640は基板610の長手方向に沿って形成され、各共通分岐路642に接続され、一端は共通電極641に接続される。同様に、第1対向導体路650、第2対向導体路660a、第3対向導体路660bも基板610の長手方向に沿って形成される。第1対向導体路650は対向分岐路652(a〜d)に接続され、一端は電極651に接続される。また、第2および第3対向導体路660a、660bはそれぞれ対向分岐路662a、662bに接続され、一端もそれぞれ電極661a、661bに接続される。
電極641、651、661は基板610の長手方向の一端側に並設される。これらの電極641、651、661はコネクタ700との電気的接続を確保するため絶縁コート層は設けられず、露出した状態で定着ベルト603と接触する領域よりも外側に設けられる。
以上より、本実施例1のヒータ600の発熱体620は電源110とコネクタ700、電極、共通導体路および対向導体路、分岐路を介して電気的に接続される。
[ヒータへの給電]
ヒータ600への給電は、小区間発熱体620a〜620lにおいて使用される記録材の幅サイズに応じてその幅サイズに対応する領域に位置する小区間発熱体が選択的に発熱するように電極641、651、661に対して選択的に電圧が印加される。
この給電方法について図5を用いて説明する。電源110はヒータ600に対する電力供給源である。本実施例1では単相交流の実効値が約100Vの商用電源を用いており、電源端子110aと電源端子110bとを備えている。尚、ヒータ600に電力を供給する機能を有していれば、電源110は直流電源でも良い。制御回路100はスイッチA:649、スイッチB:659、スイッチC:669を制御するため夫々のスイッチに電気的に接続される。
スイッチA:649は電源端子110aと電極641の間に設けられたスイッチ(リレー)であり、制御回路100からの指示に従って、電源端子110aと電極641を接続するか否か(オン、オフ)の切り替えを行う。
スイッチB:659は電源端子110bと電極651の間に設けられたスイッチであり、制御回路100からの指示に応じて、電源端子110bと電極651を接続するか否かの切り替えを行う。
スイッチC:669は電源端子110bと電極661a、661bの間に設けられたスイッチであり、制御回路100からの指示に応じて、電源端子110bと電極661a、661bを接続するか否かの切り替えを行う。
制御回路100はプリントジョブ(印刷ジョブ)の実行指示の受信に伴って、記録材Pの幅サイズ情報を取得し、この幅サイズ情報に応じてスイッチA:649、同B:659、同:C669のオン、オフを制御する。即ち、発熱体620の長手における発熱領域幅が取得した幅サイズ情報に対応した幅サイズの記録材Pを定着処理するのに適した幅となるように中央基準で制御する。
例えば、記録材PがA4横サイズ(幅方向のサイズ297mm)等の大サイズ記録材の場合、制御回路100は発熱体620の全長域である発熱幅Bが発熱するように制御する。即ち、本実施例においては、小区間発熱体620a〜620lの全長域が使用可能な最大幅記録材の幅サイズに対応している。
具体的には、制御回路100はスイッチA:649、スイッチB:659、スイッチC:669の全てをオン状態とする。この場合は、ヒータ600には電極641、651、661a、661bから給電が行われる。従って、発熱体620は12個の小区間発熱体620a〜620lの全てが発熱する。この時、ヒータ600は約320mmの発熱体620の全ての領域(全長域)が発熱するので、大サイズ記録材であるA4横サイズの記録材Pの定着処理を行うのに適した発熱状態である。
また、記録材PがA4縦サイズ(幅方向のサイズ210mm)等の小サイズ記録材の場合、制御回路100は発熱体620として発熱幅Aが発熱するように制御する。具体的には、制御回路100はスイッチA:649、スイッチB:659をオン状態にし、スイッチC:669をオフ状態にする。
この場合は、ヒータ600には電極641、651から給電が行われ、発熱体620は12個の小区間発熱体620a〜620lのうちの620c〜620jの8区間の小区間発熱体が発熱する。この時、ヒータ600は約213mmの領域が発熱するので、A4縦サイズの記録材Pの定着処理を行うのに適した発熱状態である。
従って、A4縦サイズのような幅方向のサイズが小さい記録材の定着処理を行う場合であっても、記録材が通過しない部分はヒータ600が発熱しないので、無駄な電力を使用することは無い。
次に、本実施例1の特徴的な部分である、発熱体620の12個の小区間発熱体620a〜620lの発熱量を均一するためのヒータ600の構成について説明する。
本実施例1のヒータ600では共通導体路640、対向導体路650、660として低抵抗率が低い材料である銀のペースト材料を使用しているが、上記導体路は長手方向の長さが320mmと長く、幅が0.4mmと狭いため、ある程度の抵抗値を有する。各電極から分岐路までの導体路の抵抗値R1は下記式(1)から算出される。尚、導体路の幅をW1(基板610の短手方向)、高さをH1、抵抗率をρ1、電極から分岐路までの距離をL1とする。
R1=ρ1×L1/(W1×H1) ・・・式(1)
つまり、導体路の抵抗値R1は電極から第1分岐路までの距離に比例して抵抗値が大きくなることがわかる。
次に、共通導体路640、対向導体路650、660と各分岐路との接点から、分岐路の他端までの分岐路の抵抗値R2は下記式(2)から算出される。尚、分岐路の幅(基板610の長手方向)をW2、高さをH2、抵抗率をρ2、分岐路の長さをL2とする。
R2=ρ2×L2/(W2×H2) ・・・式(2)
従って、電極から分岐路の端部までの抵抗である総抵抗Rは下記式(3)から算出される。
R=R1+R2
=ρ1×L1/(W1×H1)+ρ2×L2/(W2×H2) ・・・式(3)
従って、全ての共通分岐路の抵抗値が同じ場合、電極641からの距離が遠い分岐路ほど共通導体路640の抵抗値の上昇分だけ総抵抗Rが大きくなるので、発熱体620に印加される電圧が低下する。この現象は対向導体路でも同様に発生し、電極651、661からの距離が遠い分岐路ほど発熱体に印加される電圧が低下する。
そのため、発熱体620の個々の小区間発熱体620a〜620lの分岐路間での抵抗値が同じである場合には次のような現象を生じ得る。ここで、図7は比較例のヒータ600として、発熱体620の個々の小区間発熱体620a〜620lの短手幅が均一で、個々の小区間発熱体620a〜620lの分岐路間での抵抗値が図8の点線グラフのように全て同じであるモデルを示している。他のヒータ構成は実施例1のヒータ600(図1、図5)と同じである。
この比較例のようなヒータ600の場合には、発熱体620の個々の小区間発熱体620a〜620l毎の発熱量は電極に最も近い位置にある小区間発熱体620aの発熱量が最も大きい。そして、電極から遠くなるに従って発熱体620の小区間発熱体の発熱量は順次低下し、電極から最も遠い位置にある小区間発熱体620lの発熱量が最も小さくなる。従って、図9の破線グラフのように、定着ベルト603の温度も電極側ほど高く、電極と反対側(非電極側)の温度が低くなってしまう。
そこで、本実施例1のヒータ600は、電極との距離に応じて、発熱体620の短手方向(基板610の面において発熱体620の長手方向に直交する方向)の幅Wを長手に沿って変える方法を行った(図1、図5)。発熱体620の幅Wの変え方として、発熱体600の電極側の端部の幅Waを基準(1.5mm)とし、電極側から遠い位置(非電極側)になるにつれて発熱体600の幅を大きくしていく(最大Wb:2.0mm)。
そうすることにより、図8の実線グラフに示すように、発熱体620の個々の小区間発熱体620a〜620lの分岐路間での抵抗値Rhを電極側が大きく、電極から遠い位置(非電極側)になるにつれて徐々に小さくすることが可能となる。
以下、具体的に説明する。図8に本実施例1で用いる発熱体620の12個々の小区間発熱体620a〜620lの抵抗値を示すにあたり、算出方法として以下の式(4)を用いて行った。
各小区間発熱体(620a〜620l)の抵抗値Rh=R´×L/W ・・・(4)
R´:発熱体(シート)の抵抗
L:発熱体の長手方向長さ
W:発熱体の幅方向長さ(短手幅)
本実施例1では、発熱体のR´を10Ω/□、Lを26.7mmの構成を使用している。よって、各小区間発熱体620a〜620lの短手幅Wを、電極側1.5mmから非電極側2.0mmに徐々に大きくすることで、図8の実線グラフように、電極からの距離が遠いほど抵抗値が小さくなっていく。これは、各小区間発熱体620a〜620lの短手幅Wの違いにより、抵抗値Rhが異なることに起因する。
従って、電極から遠い小区間発熱体程、短手幅Wが大きくなるので抵抗値Rhは小さくなり、電極651に電圧を印加した場合に、電極651から遠くに位置する小区間発熱体620jほど電圧が印加された際の電力(発熱量)が向上する。従って、本実施例1のヒータ600では電極から遠くに位置する小区間発熱体程、短手幅Wを広くすることで、抵抗値Rhを小さくしている。即ち、複数の小区間発熱体620a〜620lにおいて小区間発熱体の短手幅の調整により相互間の抵抗値Rhが変更されている。
つまり、複数の小区間発熱体620a〜620lにおいて電極に最も近い端部の小区間発熱体620aの抵抗値RhをRAとし、電極から最も遠い側の端部の小区間発熱体620lの抵抗値RhをRBとしたとき、RA>RBにする。また、電極に最も近い端部の小区間発熱体620aの内側に隣接している小区間発熱体620bの抵抗値RhをRCとする。電極から最も遠い側の端部の小区間発熱体620lの内側に隣接している小区間発熱体620kの抵抗値RhをRDとする。この場合、RC>RDにする。RC=RDにすることもできる。即ち、RC≧RDにする。
次に、本実施例1における定着ベルト603の長手方向(幅方向)の温度分布について説明する。図9は本実施例1のヒータ600(図1、図5)と、図7に示す比較例のヒータ600を用いた場合の定着ベルト603の温度分布を示す図である。本実施例1のヒータ600を用いた場合の温度分布を実線で、比較例のヒータ600を用いた場合の温度分布を破線で示す。尚、図9の横軸は図1の発熱体620の左端(電極側)を原点とする。
また、本実施例1の定着装置では上述のようにサーミスタ630によって、ヒータ600の発熱体全長域のほぼ中央部における温度が220℃に維持される。この時、定着ベルト603の長手中央部(図9の位置160mm)の温度は195℃に維持される。
図7の比較例のヒータ600の場合では図9の破線グラフのように電極から近い側(電極側)の温度は中央部よりも高くなり、最も高い温度は220℃程度となる。一方、電極から遠い側(非電極側)の温度は中央部よりも低くなり、最も低い温度は165℃程度となる。従って、定着ベルト603の長手方向における温度ムラとしては55℃程度の温度差が発生するので、定着処理後の画像においては長手方向に光沢ムラが発生する。
本実施例1のヒータ600の場合では、小区間発熱体620a〜620lの発熱量を上記のように変えている。そのため、図9の実線グラフのように定着ベルト603の長手方向における温度分布を195℃程度に均一化することが可能となる。即ち、電極から距離が遠くなる(=抵抗値Rが大きくなる)場合における発熱体に印加される電圧低下や、対向導体路電極からの距離が遠いほど発熱体に印加される電圧が低下する場合でも、定着ベルト603の長手方向(幅方向)における温度を均一化できる。この時、上述のような画像の光沢ムラが発生することは無い。
尚、本実施例1のヒータでは発熱領域Aと発熱領域Bの2つの領域のみを有する構成であるが、この構成に限られるものでは無く、3パターン以上の発熱領域を有する構成においても適用可能であることは言うまでも無い。
以上のように本実施例1のヒータ610によって、記録材Pの幅サイズに応じて抵抗発熱層の発熱領域を変えることが可能であり、且つ、長手方向における発熱量が均一なヒータを提供することができる。
《実施例2》
次に、実施例2のヒータについて説明する。図10(a)は本実施例2におけるヒータ600の模式図、(b)はこのヒータ600における発熱体620の拡大平面パターン図、同図(c)は実施例1のヒータ600における発熱体620の拡大平面パターン図である。本実施例2のヒータ600は実施例1のヒータ600とは発熱体620の形成パターンが異なるだけで、その他の構成は同じである。
本実施例2のヒータ600における発熱体620も実施例1のヒータ600における発熱体620と同様に、発熱体600の長手に沿う短手幅Wを電極側の端部の幅Waを基準とし、電極側から遠い位置(非電極側)になるにつれて大きくしていく。即ち、幅Wa1.5mm、最大Wb:2.0mmとしている。
この場合、その発熱体620の電極側と非電極側との間における短手幅Wの変え方として、実施例1のヒータ600の場合は図10(c)のようにしている。即ち、基板610の長手に平行な基線O−Oを発熱体620の一方の長手辺とし、この基線O−Oから基板210の短手方向の一方向に発熱体620を上記のように短手幅Wを変えて形成している。
これに対して、本実施例2のヒータ600の場合は図10(b)のようにしている。即ち、基板610の長手に平行な基線O−Oを発熱体620の短手幅中心とし、この基線O−Oから基板210の短手方向の一方向と他方向の両方向に発熱体620を上記のように短手幅Wを変えて形成している。理由として、図10(c)のように一方向に発熱体620の幅を変更した場合、ヒータ600の幅方向において、温度が片側に偏りやすいことが考えられる為である。
このような構成にした場合でも、発熱体620の各小区間発熱体620(a〜l)の抵抗値Rhを電極側が大きく、電極から遠い位置になるにつれて徐々に小さくすることが可能となる。従って、発熱体620の小区間発熱体620aから620lの両端に電圧が印加される際の電力がほぼ同じとなるので、発熱体620の12個の全ての小区間発熱体620a〜620lにおける発熱量が等しくなる。
また、幅方向におけるヒータ温度の偏りを解消することができる(図11)。そのため、ヒータ600に対するヒータ割れ等や、定着ベルト603とヒータ600の摺擦抵抗低減させるためにグリス等の潤滑剤を用いている場合においては、グリスの塗布状態を維持させやすくすることが可能となる。
具体的な構成として、実施例1では発熱体620の短手幅Wを一方向に最大で0.5mm大きくしたが、実施例2ではこれを最大0.25mm×2方向に変更する。これは、発熱体620の幅方向の長さの違いにより、抵抗値Rhが異なることに起因する。従って、電極から遠い小区間発熱体程、抵抗値Rhは小さくなり、電極651に電圧を印加した場合、電極651から遠くに位置する小区間発熱体620jほど電圧が印加された際の電力(発熱量)が向上する。従って、本実施例2のヒータ600では電極から遠くに位置する小区間発熱体の幅を広くすることで、抵抗値Rhを小さくしている。
本実施例2における定着ベルト603の長手方向の温度分布は、図9の実線グラフに示した実施例1のヒータ600の場合と同様であった。本実施例2のヒータ600の場合においても、発熱体620の12個の小区間発熱体620a〜620lの発熱量を均一にすることができるため、実施例1のヒータ600の場合と同様に定着ベルト603の長手方向における温度は195℃程度で均一となる。この時、上述のような画像の光沢ムラが発生することは無い。
以上のように本実施例2のヒータ600によっても、記録材Pの幅サイズに応じて抵抗発熱層の発熱領域を変えることが可能であり、且つ、長手方向における発熱量が均一なヒータを提供することができる。
《実施例3》
次に、実施例3のヒータ600について説明する。図12は本実施例3におけるヒータ600の模式図である。本実施例3のヒータ600の構成は基本的には実施例1のヒータ600(図1、図5)と同じである。即ち、発熱体620を図10(c)のように基板610の長手に平行な基線O−Oを一方の長手辺とし、この基線O−Oから基板210の短手方向の一方向に短手幅Wを変えて形成している。
実施例1のヒータ600との相違点は、本実施例3のヒータ600においては、発熱体620の両端部側の小区間発熱体の長手方向における発熱体幅を他の小区間発熱体よりも狭くしている。具体的には、電極側の2つの小区間発熱体620aおよび620bと非電極側の2つの小区間発熱体620k、620lについてそれぞれ長手方向における発熱体幅を他の小区間発熱体よりも狭くしている。
よって、発熱体620の両端部の小区間発熱体620a、620b、620k、620lの長手方向の幅を狭くした分、中央部の小区間発熱体620c〜620jの長手方向における発熱体幅を広くしている。その他の構成は実施例1と同様である。
このような構成にした場合、基本的には各小区間発熱体の抵抗値Rhを電極側が大きく、電極から遠い位置になるにつれて徐々に小さくすることが可能となる。更に、発熱体620の両端部における小区間発熱体620a、620b、620k、620lの抵抗値Rhは、それぞれ隣接する中央部の小区間発熱体620c〜620jの抵抗値よりも小さくすることが出来る。
従って、発熱体620の中央部の小区間発熱体620c〜620jに電圧が印加される際の電力がほぼ同じとなる。発熱体620の両端部の小区間発熱体620a、620b、620k、620lの発熱量がそれぞれの隣接する中央部の小区間発熱体620c〜620jよりも大きくすることが可能となる。
以下、具体的な構成を説明する。図13に本実施例3で用いる各小区間発熱体620a〜620lの抵抗値Rhを示すにあたり、算出方法としては、実施例1において説明した前記式(4)を用いて行った。本実施例3でも、発熱体のR´を10Ω/□、Lを26.7mmの構成を使用している。
よって、各小区間発熱体620a〜620lの幅方向の長さを電極側1.5mmから非電極側2.05mmに徐々に大きくすることで、電極からの距離が遠いほど抵抗値が小さくなっていく。これは、小区間発熱体の幅方向の長さの違いにより、抵抗値Rhが異なることに起因する。加えて、両端部の小区間発熱体620a、620b、620k、620lの長手方向の長さを26.7mmから25.0mmに小さくし、中央部の小区間発熱体620c〜620jの長手方向の長さを26.7mmから27.5mmに大きくする。
よって、発熱体620の両端部の小区間発熱体620a、620b、620k、620lの抵抗値を下げることが出来、中央部の小区間発熱体620c〜620jよりも発熱量を増やすことが可能となる。
従って、電極から遠い小区間発熱体程、抵抗値Rhは小さくなり、電極651に電圧を印加した場合、電極651から遠くに位置する小区間発熱体620jほど電圧が印加された際の電力(発熱量)が向上する。また、電極661aから近くに位置する小区間発熱体620a、620bは隣接する小区間発熱体620cよりも電圧が印加された際の電力(発熱量)が大きい。
同様に、電極661bから遠くに位置する小区間発熱体620k、620lにおいても、隣接する小区間発熱体620kよりも電圧が印加された際の電力(発熱量)が大きい。これは、両端部の小区間発熱体620a、620b、620k、620lの長手方向の長さが中央部の小区間発熱体620c〜620jの長手方向の長さよりも小さい為、抵抗値が小さくなり発熱量が上昇している為である。
つまり、本実施例3のヒータ600においては、電極に最も近い端部の小区間発熱体620aの内側に隣接している小区間発熱体620bの抵抗値RhをRC、この小区間発熱体620bの内側に隣接している小区間発熱体620cの抵抗値RhをREとする。電極から最も遠い側の端部の小区間発熱体620lの内側に隣接している小区間発熱体620kの抵抗値RhをRDとした場合、RC<REであり、且つRE>RDにする。RE=RDにすることもできる。即ち、RE≧RDにする。また、RA>RC(図13)である。
次に、本実施例3における定着ベルト603の長手方向の温度分布について説明する。図14において、太線の実線グラフは本実施例3のヒータ600を用いた場合の温度分布である。細線の実線グラフは実施例1のヒータ600を用いた場合の温度分布、破線のグラフは実施例1のヒータ600を用いた場合の温度分布であり、それぞれ、図9のグラフに対応している。
本実施例3のヒータ600の場合は、発熱体620の端部の小区間発熱体620a、620b、620k、620lの発熱量を上げ、中央部の小区間発熱体620a〜620lの発熱量を均一にすることができる。そのため、実施例1のヒータ600の場合との対比において、より端部の定着ベルト603の温度が195℃程度で均一となる。この時、上述のような画像の光沢ムラが発生することは無い。
以上のように、本実施例3のヒータ600によって、記録材Pの幅サイズに応じて抵抗発熱層の発熱領域を変えることが可能であり、且つ、長手方向における温度分布を均一にすることが可能なヒータを提供することができる。
《その他の実施例》
(1)各実施例で例示した寸法等の数値は一例であって、この数値に限定されるものではない。本発明を適用できる範囲において数値は適宜選択できる。また、本発明を適用できる範囲において実施例に記載の構成を適宜変更してもよい。
(2)実施例のヒータ600はスクリーンパターンの変更で発熱体620の形状を変更させているが、発熱層を複数層に分けて、発熱体自体の厚みを変更して発熱体620の各小区間発熱体620(a〜l)の抵抗値を変更しても良い。
(3)ヒータ600の発熱領域の広狭変更制御は中央基準には限られない。例えば、ヒータ600の発熱領域の広狭変更制御を端部基準にしてもよい。したがって、小サイズ記録材の発熱領域を大サイズ記録材の発熱領域にするとき、小サイズの記録材の幅方向両端側の発熱領域が拡大するのではなく、小サイズの記録材の幅方向一端側の発熱領域が拡大する構成であってもよい。
(4)ヒータ600の発熱領域の変更パターンは大サイズ記録材と小サイズ記録材の2パターンのみには限られない。例えば、3パターン以上の発熱領域の変更制御を有していてもよい。
(5)発熱体620の形成方法は、実施例に記載の方法のみには限られない。詳細には、実施例1では、基板610の長手方向に沿って延びた発熱体620上に共通電極642と対向電極652,662を積層している。基板610の長手方向に電極を並べて形成し、隣り合う各電極間に発熱体620a〜620lをそれぞれ形成する構成であってもよい。
(6)また、電気接点の数は3つ又は4つには限られない。全ての電気接点が基板の一端側610aに配置された構成であれば、5つ以上の電気接点を有していてもよい。例えば、実施例1において、基板の一端側610aにおいて、電気接点641、651、661a、661bとは異なる電気接点が設けられていてもよい。
(7)また、電源端子110a側に接続される電気接点は、電気接点641のみには限られない。例えば、基板の一端側610aにおいて、電源端子110a側に接続される電気接点であって電気接点641とは異なる電気接点を設けてもよい。
(8)ベルト603は、ヒータ600によってその内面を支持され、ローラ70によって駆動される構成に限られない。例えば、複数のローラに架け渡されてこれらの複数のローラのいずれかによって駆動されるベルトユニット方式であってもよい。
(9)ベルト603とニップ部Nを形成するニップ形成部材は、ローラ70のようなローラ部材には限られない。例えば、複数のローラにベルトを架け渡した加圧ベルトユニットを用いてもよい。
(10)定着装置は記録材に形成された未定着のトナー像を固着像として加熱定着する装置としての使用に限られない。記録材に一旦定着された或いは仮定着されたトナー像を再度加熱加圧して画像の光沢度を向上させるなどの画像の表面性状を調整する装置としても有効である(このような装置についても定着装置と呼ぶ)。
(11)画像形成装置は実施例のようなフルカラーの画像を形成する画像形成装置に限られず、モノクロの画像を形成する画像形成装置でもよい。また画像形成装置は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、複写機、FAX、及び、これらの機能を複数備えた複合機等、種々の用途で実施できる。