JP6654961B2 - 地中連続壁の施工方法および仕切構造 - Google Patents
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このような地中連続壁は、支持力を確保するために、支持層に根入れする場合があるが、必ずしも壁の全長にわたって根入れする必要がなく、部分的に根入れすることで、必要な支持力を確保できる場合がある。
そのため、特許文献1には、先行エレメントを後行エレメントよりも深く形成することで、先行エレメントにより支持力を確保する地中連続壁が開示されている。
特許文献1における先行エレメントの施工は、(a)掘削溝の施工、(b)先行エレメントと後行エレメントとの境界部への仕切鋼板の建て込み、(c)先行エレメントの下部分へのコンクリートの打設、(d)先行エレメントの上部分(仕切鋼板同士の間)へのコンクリートの打設により行う。
この先行エレメントの施工方法では、仕切板の側面に回動可能に設けられた蓋板を側方に張り出させて、この蓋板の先端を掘削溝の溝壁に食い込ませることで仕切板と掘削溝との隙間を遮蔽し、後行エレメント側にコンクリートが流出することを防止している。
このような観点から、本発明は、現地の地山状況に限定されることなく採用することができ、施工性の向上およびコストの低減化を可能とした地中連続壁の施工方法および仕切構造を提案することを課題とする。
なお、前記下部分へのコンクリート打設後に、前記粒状材を前記蓋板に上載すれば、コンクリートによって蓋板を支持した状態で粒状材を上載することができ、粒状材の重みにより蓋板が変形することを防止できる。
かかる仕切構造によれば、簡易な構造により先行エレメントの施工時にコンクリートが後行エレメント側に流出を防止することができる。そのため、全体施工費の低減化を図ることが可能となる。
なお、前記蓋板の先端に硬質ゴム製の先端部材が固定されていれば、コンクリートの後行エレメント側への流出をより効果的に防止することができる。
また、前記蓋板の先端部からシート材が延設されていれば、蓋板と掘削溝との隙間をより確実に遮蔽することができる。
また、前記粒状材が比較的入手しやすい砕石であれば、費用の低減化を図ることができる。
さらに、前記蓋板として、有孔板または網材からなる部材を使用すれば、安定液の通液が可能なため、掘削溝内へ設置する際およびコンクリート打設時の施工性が向上する。
本実施形態の地中連続壁1の施工方法は、先行掘削工程、先行鉄筋籠建込工程、先行形成工程、後行掘削工程、後行鉄筋籠建込工程および後行形成工程を備えている。
先行エレメント用掘削溝2は、図2(a)に示すように、下端が支持層GRに到達するように掘削する。先行エレメント用掘削溝2は、バケット式懸垂式クラムシェルMにより掘削する。なお、先行エレメント用掘削溝2を掘削する掘削機は限定されるものではなく、例えば、回転式水平多軸回転カッターを使用してもよい。
先行エレメント用掘削溝2は、幅広の上部分2aと、上部分2aの下側に形成されて、上部分2aよりも幅狭な下部分2bとを備えている。上部分2aは、地中連続壁として構造上必要な高さ(深さ)と壁厚(壁軸と直交する方向の長さ)を確保できるように形成する。また、下部分2bは、地中連続壁の支持部材として必要な壁厚と幅(壁軸方向の長さ)を確保するとともに、支持層GRに到達するように形成する。すなわち、先行エレメント用掘削溝2は、段差を有している。
第一ガット21は、上部分2aの深さを確保できるように掘削する。第一ガット21の掘削が完了したら、第一ガット21から隙間をあけて第二ガット22の掘削を行う。第二ガット22の深さは、第一ガット21と同じ深さとする。第一ガット21と第二ガット22との間に形成する隙間は、地盤掘削機の掘削幅よりも狭くなるようにする。第二ガット22の掘削が完了したら、第一ガット21と第二ガット22との間において、第三ガット23の掘削を行う。第三ガット23は、支持層GRに到達するまで行う。第三ガット23の端部は、第一ガット21および第二ガット22の端部と重なっている。
先行エレメント用掘削溝2の掘削が完了したら、先行エレメント用掘削溝2の底部からスライムを除去する。
先行エレメント用鉄筋籠3は、図4に示すように、鋼材を組み合わせることにより形成された支持架台(図示せず)に複数の鉄筋31,31,…を組付けることにより形成されている。先行エレメント用鉄筋籠3(支持架台)の両端部(後行エレメント3側端部)には、一対の仕切板32,32が固定されている。また、仕切板32には、側方に張り出す蓋板33が固定されている。
先行エレメント用鉄筋籠3を構成する鉄筋31,31,…の鉄筋径、配筋ピッチは、位置や地山状況等に応じて適宜設定する。先行エレメント用鉄筋籠3には、後行エレメント用鉄筋籠6と連結するための接続用鉄筋31a,31a,…が仕切板32よりも後行エレメント12側に張り出している。
本実施形態の蓋板33は、図5(a)に示すように周囲が枠材33bにより補強された網材33aにより構成されている。本実施形態では、枠材33bを仕切板33に固定することにより、蓋板33を固定する。枠材33bには、仕切板32側の端部に取付部33cが形成されている。本実施形態では、取付部33cを仕切板32に溶接することにより蓋板33を固定している。なお、本実施形態では、網材33aとして、いわゆるエキスパンドメタルを採用するが、網材33aを構成する材料は限定されない。また、蓋板33は、網材33aに限定されるものではなく、例えば、有孔板や平鋼板により構成してもよい。
蓋板33の先端には、硬質ゴム製の板材(以下、単に「先端部材34」という)が固定されているとともに、蓋板33の先端部からシート材35が延設されている。
先行エレメント用掘削溝2内へのコンクリート4の打設は、トレミー管Pを利用して、先行エレメント用掘削溝2の底部から行う。
トレミー管Pは、先行エレメント用鉄筋籠3の中央部から先行エレメント用掘削溝2の底部の近傍に先端を挿入し、コンクリート4の打設面の上昇に伴って上昇させる。下部分2bは、コンクリート4によって充填する。
後行エレメント用掘削溝5は、地中連続壁として構造上必要な高さ(深さ)と壁厚(壁軸と交差する方向の長さ)を確保できるように形成する。すなわち、後行エレメント用掘削溝5は、先行エレメント用掘削溝2の上部分2aと同じ高さ(深さ)と厚さを有している。先行エレメント11の接続用鉄筋31aは、防護板によって覆われているため、後行エレメント用掘削溝5の掘削時に掘削機に接触することがない。
後行エレメント用掘削溝5の掘削に伴い、先行エレメント用掘削溝2内の粒状材36を撤去する。また、後行エレメント用掘削溝5の掘削が完了したら、底部からスライムを除去する。
まず、図6(b)に示すように、防護板37を撤去する。次に、後行エレメント12の後行エレメント用鉄筋籠6を後行エレメント用掘削溝5内に配設するとともに、隣り合う先行エレメント11の端部から張り出した接続用鉄筋31aと重複させる。
後行エレメント12のコンクリート打設は、隣り合う先行エレメント11同士の間の後行エレメント用掘削溝5に対し、トレミー管Pを利用して底部からコンクリート4を打設することにより行う。
後行エレメント12が形成されると、先行エレメント11と後行エレメント12とが交互に連設された地中連続壁1が形成される。
また、下部分2bへのコンクリート打設後に、粒状材36を蓋板33に上載するため、コンクリート4によって蓋板33を下側から支持した状態で粒状材36を投入する形となる。そのため、粒状材36の重みにより蓋板33が変形することを防止できる。また、粒状材36が蓋材33の孔(エキスパンドメタルの孔)から流下して下部分2bに溜まることを防止することができる。
蓋板33の先端に硬質ゴム製の先端部材34が固定されているため、蓋板33と先行エレメント用掘削溝2との隙間の遮蔽性を高めることができる。先端部材34は硬質ゴム製のため、コンクリートの圧力により浮き上がることがなく、遮蔽性が維持される。
また、蓋板33の先端部からシート材35が延設されているため、蓋板33と先行エレメント用掘削溝2との隙間をより確実に遮蔽し、コンクリート4の流出を防止することができる。
また、粒状材36として比較的入手しやすい砕石を使用しているため、安価である。
このように、本実施形態の仕切構造30を利用した地中連続壁の施工方法によれば、簡易かつ高品質に地中連続壁1を構築することができる。
前記実施形態では、下部分2bへのコンクリート4の打設が完了してから先行エレメント用掘削溝2内に粒状材36を投入する場合について説明したが、粒状材36を投入するタイミングは、上部分2aへコンクリート4を打設する前であれば限定されない。例えば、先行エレメント用鉄筋籠3を建て込んだ直後に、行ってもよいし、下部分2bへのコンクリート打設と並行して行ってもよい。
また、先端部材34は必要に応じて設ければよい。同様に、シート材35も必要に応じて設置すればよい。
11 先行エレメント
12 後行エレメント
2 先行エレメント用掘削溝
2a 上部分
2b 下部分
3 先行エレメント用鉄筋籠
30 仕切構造
31 鉄筋
32 仕切板
33 蓋板
34 先端部材
35 シート材
36 粒状材
4 コンクリート
5 後行エレメント用掘削溝
6 後行エレメント用鉄筋籠
Claims (7)
- 先行エレメント用掘削溝を形成する先行掘削工程と、
前記先行エレメント用掘削溝に先行エレメント用鉄筋籠を建て込む先行鉄筋籠建込工程と、
前記先行エレメント用掘削溝内にコンクリートを打設して先行エレメントを形成する先行形成工程と、
前記先行エレメント用掘削溝に連続する後行エレメント用掘削溝を形成する後行掘削工程と、
前記後行エレメント用掘削溝に後行エレメント用鉄筋籠を建て込む後行鉄筋籠建込工程と、
前記後行エレメント用掘削溝内にコンクリートを打設して後行エレメントを形成する後行形成工程と、を備える地中連続壁の施工方法であって、
前記先行エレメント用掘削溝は、前記後行エレメント用掘削溝の底面よりも深い部分の下部分と、前記下部分よりも浅い部分であって当該下部分よりも広い幅を有する上部分とを備えており、
前記先行鉄筋籠建込工程では、前記先行エレメント用鉄筋籠を前記上部分に建て込む作業と、前記先行エレメント用鉄筋籠の両側端部に配設された一対の仕切板の下端部を前記下部分に挿入する作業と、前記仕切板から側方に張り出す蓋板の先端を前記下部分の上端の外縁面に載置させる作業と、を行い、
前記先行形成工程では、粒状材を前記蓋板に上載させた状態で、前記仕切板同士の間にコンクリートを打設することを特徴とする、地中連続壁の施工方法。 - 前記下部分へのコンクリート打設後に、前記粒状材を前記蓋板に上載することを特徴とする、請求項1に記載の地中連続壁の施工方法。
- 鉄筋籠の両側端部に配設された一対の仕切板と、
前記仕切板から側方に張り出す蓋板と、
前記蓋板に上載された粒状材と、を備えることを特徴とする仕切構造。 - 前記蓋板の先端に硬質ゴム製の先端部材が固定されていることを特徴とする、請求項3に記載の仕切構造。
- 前記蓋板の先端部からシート材が延設されていることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の仕切構造。
- 前記粒状材が砕石であることを特徴とする、請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の仕切構造。
- 前記蓋板が有孔板または網材からなることを特徴とする、請求項3乃至請求項6のいずれか1項に記載の仕切構造。
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