JP6652430B2 - 多孔質シリカ系粒子および洗浄用化粧料 - Google Patents

多孔質シリカ系粒子および洗浄用化粧料 Download PDF

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Description

本発明は、多孔質シリカ系粒子およびこれを含んだ洗浄用化粧料に関し、より詳細には摩耗性の多孔質シリカ系粒子に関する。
洗浄用化粧料には、物理的作用により古い角質層を剥ぎ落とすスクラブ剤が含まれている。スクラブ剤として、微細なプラスチック粒子(例えば、ポリエチレン粒子)が知られている(例えば、特許文献1を参照)。プラスチック粒子は、殺虫剤などの化学物質を吸収し易く、また、軽いため下水処理場で除去し難い。そのため、河川、海洋、池沼等に流れ込み、魚介類に蓄積し、これらを通して人体にも影響する虞がある。
そこで、環境に影響を及ぼすプラスチック粒子の代りに、スクラブ剤としてシリカゲル粒子を用いることが知られている(例えば、特許文献2を参照)。シリカゲル粒子は、特許文献3,4に記載された製造方法で得ることができる。特許文献2には、特定のシリカゲル粒子からなるスクラブ剤は、使用時のスクラブ感が良好であるとともに、塗擦時に粒子が崩壊することでスクラブ剤により対象物への刺激が低いことが開示されている。さらに、特許文献4には、球状のシリカゲル粒子(スクラブ剤)は皮膚に接触した際に、ソフトな使用感が得られ、使用後のヒリヒリ感が少ないとも記載されている。
特開2001−278778号公報 特開2011−225548号公報 特開昭62−275014号公報 特開平10−324517号公報
しかしながら、使用後のヒリヒリ感が少ないスクラブ剤には、使用中に所望のスクラブ感を得るために強い押込圧でスクラブ剤を塗擦してしまい、微視的には角質層に洗浄痕等の微小な傷が生じて、角質層のバリア機能や水分保持機能の低下を招く虞があった。
そこで、本発明の目的は、弱い塗擦力(押込圧)で擦り込んでも十分なスクラブ感が得られ、かつヒリヒリ感が抑えられた洗浄用化粧料を実現するために必要な多孔質シリカ系粒子を提供することにある。
そこで、本発明の多孔質シリカ系粒子は以下の特性(i)〜(v)を持つ構成とした。
(i)平均円形度が0.7〜1.0の範囲であり、
(ii)細孔容積(Pv)が1.0〜2.0ml/gの範囲であり、
(iii)メジアン径(D50)が50〜600μmの範囲であり、
(iv)最大粒子径(D100)とメジアン径(D50)との比(D100/D50)が3.0以下であり、
(v)1.0〜1.4KPaの荷重で30秒間塗擦した後のメジアン径(DR50)が0.5〜25μmの範囲にあり、最大粒子径(DR100)が1〜100μmの範囲である。
さらに、多孔質シリカ系粒子の最大細孔径(PD100)と最小細孔径(PD)の比(PD100/PD)は5〜10の範囲が好ましい。さらに、この多孔質シリカ系粒子は、0.5gfの圧縮力f1が加えると、0.5〜3μmの変位が発生する。また、多孔質シリカ系粒子に、0.21gf/secの割合で増加させて2.5gfまで圧縮力を加えると、0.01〜1.0μmの階段状の変位が5回以上発生する。上述の多孔質シリカ系粒子を適用することにより、スクラブ剤を使用しているという感触と滑らかさの両方を満たす洗浄用化粧料が得られる。
本発明の多孔質シリカ系粒子によれば、弱い塗擦力(押込圧)で擦り込んでも十分なスクラブ感と滑らか感が得られ、かつヒリヒリ感も抑えられる洗浄用化粧料が実現する。したがって、皮膚の損傷、および角質層のバリア機能や水分保持機能の低下を招く虞がある角質層への線状痕等の微小な傷付を抑制することができる。
実施例1の多孔質シリカ系粒子の、圧縮力と変位の関係を示す図表である。 実施例1の多孔質シリカ系粒子の、圧縮力と変位の関係を示す図表である。 実施例1の多孔質シリカ系粒子の、圧縮力と変位の関係を示す図表である。
本発明に係る多孔質シリカ系粒子は、平均円形度が0.7〜1.0、細孔容積が1.0〜2.0ml/g、モード径(D)が50〜600μm、最大粒子径(D100)とモード径(D)との比(D100/D)が3.0以下であり、1.0〜1.4KPaの荷重で30秒間塗擦した後のメジアン径(DR50)が0.5〜25μm、最大粒子径(DR100)が1〜100μmである。このような多孔質シリカ系粒子は、塗擦による摩擦力で摩耗し、粒子径が徐々に小さくなる。なお、崩壊性のシリカ粒子では、粒子の崩壊により不規則に粒子径が小さくなるため、スクラブ剤を使用しているという感触と洗浄感の両方を満たすことが困難であった。
また、この粒子に微小な圧縮力が加わると、微小な変位が発生し、サブミクロン単位で階段状の変位を複数回繰り返す。このような多孔質シリカ系粒子をスクラブ剤として含む洗浄用化粧料は、塗擦中の肌との摩擦により、粒子が摩耗する。その摩擦力で肌を擦ることで、マイルドな角質層のピーリング効果を示すとともに、皮膚の損傷、角質層への線状痕等の微小な傷を防ぐことができる。
本発明の多孔質シリカ系粒子は、圧縮力が加わった時に、発生する変位が以下のようになることが好ましい。すなわち、0.5gfの圧縮力が加えられると、0.5〜3μmの変位が発生する。あるいは、2.5gfの圧縮力が加えられるとd2(μm)の変位量が生じ、圧縮変位の傾き(2.5/d2)が0.3〜2.0の範囲にある。あるいは、多孔質シリカ系粒子に、0.21gf/secの割合で増加させて2.5gfまで圧縮力を加えると、0.01〜1.0μmの階段状変位が5回以上発生する。また、0.21gf/secの割合で増加する圧縮力が加えられると、複数回の階段状変位を発生するとともに、10μm以上の変位量が最初に生じる圧縮力f3が5〜40gfの範囲に存在する。この圧縮力f3(gf)における10μm以上の圧縮変位を起こす前の変位量をd3(μm)としたとき、圧縮変位の傾き(f3/d3)は0.3〜1.25の範囲にある。
また、多孔質シリカ系粒子は、以下の特性が所定範囲にあることが好ましい。
(平均円形度)
多孔質シリカ系粒子の平均円形度は0.7〜1.0である。0.8〜1.0が特に好ましい。
(細孔容積)
細孔容積は1.0〜2.0ml/gである。細孔容積が1.0ml/g以上の粒子は適度な多孔性を持ち、粒子強度が高すぎない。そのため、肌に塗擦した際に摩耗しやすく、皮膚の損傷、微小な傷(角質層への線状痕等)を抑えることができる。また、細孔容積が2.0ml/g以下の粒子は、多孔性が高過ぎず、適度な粒子強度を持つ。そのため、皮膚に触れた瞬間に適度な刺激(スクラブ感)を与えることができる。
(最大細孔径(PD100)、最小細孔径(PD))
最大細孔径(PD100)は15〜50nm、最小細孔径(PD)は2〜5nmが好ましい。また、最大細孔径(PD100)と最小細孔径(PD)との比(PD100/PD)は、5〜10が好ましい。この比が5以上の粒子は、適度な細孔径分布を持ち、粒子強度が高すぎない。そのため、肌に塗擦した際に摩耗しやすく、マイルドなピーリング効果を示すとともに、皮膚の損傷、角質層への微小な傷を抑えることができる。また、比が10以下の粒子は、細孔径分布が広すぎず、適度な粒子強度を持つ。そのため、皮膚に触れた瞬間に適度なスクラブ感を与えることができる。
(モード径D
粒子を肌に塗擦した際に物理的作用により古い角質層を剥ぎ落とすためには、モード径(D)は50μm以上である。また、塗擦した際の、皮膚の損傷、角質層への微小な傷を防ぐためには、600μm以下である。このモード径(D)と最大粒子径(D100)との比(D100/D)は3.0以下である。比(D100/D)がこの範囲にあると、粒子をスクラブ剤として肌に塗擦し、摩耗する迄の初期段階での皮膚の損傷、角質層への微小な傷を抑えることができる。また、2.0以下が特に好ましい。
(塗擦後の最大粒子径DR100とメジアン径DR50
多孔質シリカ系粒子を1.0〜1.4KPaで塗擦した後、最大粒子径(DR100)は1〜100μmに、メジアン径(DR50)は、0.5〜25μmになる。
(比表面積)
BET法により求められる比表面積は、300〜500m/gが好ましい。比表面積がこの範囲にあると、スクラブ剤を使用しているという感触と洗浄感の両方を満たすことができる。
なお、多孔質シリカ系粒子は、主成分であるシリカの他に、アルミナ、ジルコニア、チタニアなどを10〜50質量%含んでいてもよい。多孔質シリカ系粒子は、化粧料に配合されることを考慮すると、非晶質シリカからなる粒子が好ましい。
[多孔質シリカ系粒子の製造方法]
以下に、多孔質シリカ系粒子の製造方法を説明する。
(スラリーの調製工程)
この工程で、シリカゲルのスラリーを用意する。はじめに、珪酸ソーダ(水硝子)に酸を加えて酸性条件にして、珪酸液を得る。この珪酸液にアンモニアを添加してゲル化を起こさせ、シリカゲルのスラリーを得る。添加する酸の温度は40℃程度が好ましい。所望する粒子の組成に応じて、アルミニウム、ジルコニウム、チタンなどの酸化物を珪酸液に添加してもよい。このとき、珪酸液の濃度は、6〜15質量%が適している。より好ましくは7〜12質量%である。この範囲の濃度だと、アンモニアを添加した際にゲル化が起こりやすい。
(脱水工程)
前工程で得られたスラリーを、濾過、遠心分離など公知の脱水手段を用いて脱水し、シリカゲルのケーキを作製する。無機塩等の不純物を除くために、ケーキを純水で洗浄することが好ましい。
(乾燥工程)
前工程で得られたケーキを乾燥させる。この乾燥工程では、スプレードライヤーによる噴霧乾燥が適している。この噴霧乾燥は、市販のスプレードライヤー(ディスク回転式やノズル式等がある)を用いた従来公知の方法で行うことができる。例えば、熱風気流中に0.1〜3リットル/分の速度で噴霧液を噴霧することによって行われる。この際、熱風の温度は、入口温度で70〜400℃、出口温度で40〜60℃の範囲にあることが好ましい。ここで、入口温度が70℃未満であると、分散液中に含まれる固形分の乾燥が不充分となる。また400℃を超えると、噴霧乾燥時に粒子の形状が歪んでしまう。また、出口温度が40℃未満であると、固形分の乾燥度合いが悪くて装置内に付着してしまう。より好ましい入口温度は、100〜300℃の範囲である。
(焼成工程)
このようにして得られた多孔質シリカ系粒子の含水率が高い場合には、250〜1000℃で焼成することが好ましい。
[洗浄用化粧料]
上述の多孔質シリカ系粒子と以下に述べる各種の洗浄用化粧料成分を配合して洗浄用化粧料が得られる。洗浄用化粧料成分として、公知の化粧料成分を適宜含有することができる。さらに、医薬部外品原料規格2006(発行:株式会社薬事日報社、平成18年6月16日)や、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(発行:The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association、Fourteenth Edition 2014)等に記載されている化粧料成分を適用しても良い。
このような洗浄用化粧料は、従来公知の方法で製造することができ、高度な配合技術は必要ない。得られる洗浄用化粧料は、ペースト状、液状、ゲル状などの形態であり、具体的には、ボディ用洗浄化粧料、足用洗浄化粧料、顔用洗浄化粧料などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(スラリー調製工程)
JIS3号珪酸ソーダ20.3g(シリカ濃度29重量%)と純水49.1gを混合して、珪酸ソーダ水溶液(シリカ濃度8.5重量%)を得る。この珪酸ソーダ水溶液に、40℃に加温した硫酸水溶液(硫酸濃度25重量%)10.0gを加えて、pH4.0のスラリーAを調製する。スラリーAにアンモニア水(アンモニア濃度15重量%)0.4gを添加し、pH7.0、珪酸ソーダ由来の珪酸濃度が7.4重量%のスラリーBを調製する。
(脱水工程)
得られたスラリーBを、ブフナー漏斗(関谷理化硝子器械(株)製3.2L)を用いて定量濾紙(アドバンテック東洋(株)製No.2)で濾過する。その後、純水で繰り返し洗浄し、ケーキ状物質を得る。
(乾燥工程)
このケーキ状物質に、純水35gを加えて、全固形分濃度7質量%のスラリーを調製する。このスラリーを、2000rpmで回転中のロータリーアトマイザーに、40L/hrの流量で供給し、入口温度150℃、出口温度55℃のスプレードライヤー(大川原化工機社製、OC−16)にて乾燥させ、乾燥粉体を得る。
(ふるい工程)
次に、この粉体を26mesh篩(JIS試験用規格篩)でふるいにかけ、多孔質シリカ系粒子の粉体を得る。各例で得られた多孔質シリカ系粒子の物性を以下のように測定・評価した。その結果を表1に示す。
(1)平均円形度、メジアン径(D50)、モード径(D)、最大粒子径(D100
これらの値は、多孔質シリカ系粒子群のSEM(走査型電子顕微鏡)写真(倍率:100倍)を撮影し、SEM用画像解析ソフトウェア((株)オリンパス製Scandium)を用いて、無作為に選択した粒子100〜200個の画像を解析して求めた。
具体的には、走査型電子顕微鏡は日本電子(株)製JSM−6010LAを使用し、2次電子像(SEM写真)を取得する。このSEM写真の中から無作為に100〜200個の粒子を選ぶ。SEM写真の画像データ(2次電子像、100倍、jpg画像)を、画像解析ソフトウェア「Scandium」に読み取らせる。画像上から、特定の領域を解析領域(フレーム)として選択する。この解析領域(フレーム)を2値化処理する。詳細には、RGB値のそれぞれの下限値として153諧調、上限値として255諧調を選択し、これら2つの閾値による2値化を実行する。2値化を実行した解析領域内の粒子を検出する。検出された粒子のうち、複数個の粒子の塊を一つの粒子として検出されたものを削除する。単一粒子と認められた粒子について、各種物性値(直径の平均、円形度)を求める。この手順を、シリカ系粒子が100〜200個検出、解析できるまで繰り返す。このようにして得られた物性値について、「直径の平均」からモード径、メジアン径及び最大粒子径、円形度から平均円形度を算出した。なお、「直径の平均(μm)」には、小数第一位を四捨五入して得られる整数値を用いた。平均円形度は、各粒子の円形度の算術平均値であり、各粒子の円形度は「円形度=(粒子の投影像と面積の等しい円の周長)/(粒子の投影像の周長)」と定義した。
(2)形状
前述のSEM写真を観察し、形状を判断する。本実施例による多孔質シリカ系粒子の形状は球状であった。
(3)比表面積
多孔質シリカ系粒子の粉体を磁性ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、105℃で2時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次に、この試料を1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、比表面積(m/g)をBET法により測定する。さらに、シリカの比重2.2g/cmで単位質量当たりの比表面積(m/cm)に換算する。
(4)細孔容積
多孔質シリカ系粒子の粉体10gをルツボに取り、105℃で1時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次いで、よく洗浄したセルに試料1.0gを入れ、窒素吸着装置を用いて窒素を吸着させ、以下の式から細孔容積を算出する。
細孔容積(ml/g)=(0.001567×(V−Vc)/W)
上式で、Vは圧力735mmHgにおける標準状態の吸着量(ml)、Vcは圧力735mmHgにおけるセルブランクの容量(ml)、Wは試料の質量(g)を表す。また、窒素ガスと液体窒素の密度の比は0.001567とする。
(5)細孔径
多孔質シリカ系粒子の粉体10gをルツボに取り、300℃で1時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。ガラスセルに0.15g採取し、Belsorp miniII(日本ベル(株)製)を使用して真空脱気しながら試料に窒素ガスを吸着後、脱着させる。得られた吸着等温線から、BJH法により細孔径分布を算出する。これにより、最大細孔径(PD100)と最小細孔径(PD)が得られる。
(6)塗擦後の最大粒子径(DR100)とメジアン径(DR50
電子天秤((株)AND製HF4000)上にウレタンエラストマー製の人工皮膚(株式会社ビューラックス製、バイオスキンプレート、品番P001-001#20、195×130×5Tmm)をセットし、多孔質シリカ系粒子の粉体0.2gに純水3.8gを加えたスラリーを人工皮膚の中央部に垂らす。続いて指4本を使用して1.0〜1.4KPaの荷重で円弧状に30秒間塗擦する。この人工皮膚の中央部のスラリーを採取し、SEM写真(倍率:100倍)を撮影し、無作為に選択した粒子100〜200個の画像データから、前述のSEM用画像解析ソフトウェアを用いて塗擦後の最大粒子径(DR100)とメジアン径(DR50)を計測する。
(7)組成(SiO濃度)
多孔質シリカ系粒子の粉体0.2gを白金皿で精秤し、硫酸10mlと弗化水素酸10mlを加えて、砂浴上で硫酸の白煙が出るまで加熱する。冷却後、残渣に水約50mlを加えて加温溶解した。得られた水溶液を、冷却後、水溶液を水で希釈し、200mlの試験溶液を得た。この試験溶液について誘導結合プラズマ発光分光分析装置(島津製作所(株)製、ICPS−8100、解析ソフトウェアICPS−8000)を使用しシリカ系粒子の組成を求める。
(8)圧縮変位
多孔質シリカ系粒子に圧縮力を加えた時に生じる圧縮変位を、微小圧縮試験機「MCT−210」(島津製作所社製)を用いて測定する。圧子は「FLAT200」(島津製作所社製)を使用する。測定結果を図1〜図3に示す。図1は、0から0.5gfの圧縮力を圧縮速度0.21gf/secで加えたときの多孔質シリカ系粒子の変位を示すグラフである。圧縮力0.5gf(圧縮力f1)における変位量を求めることができる。本実施例では約2.0μmである。
図2は、0から2.5gfの圧縮力を圧縮速度0.21gf/secで加えたときの多孔質シリカ系粒子の変位を示すグラフである。この時、階段状の変位が複数回発生している。グラフ上で、圧縮力が変化していないのに変位が増えている箇所が階段状の変位である。階段状の変位の開始点を▼で示している。本実施例では、階段状の変位が8回出現している。このとき、それぞれの変位量は0.01〜1.0μmである。圧縮力2.5gf(圧縮力f2)における変位d2(μm)を求め、圧縮変位の傾き(f2/d2)を算出する。圧縮変位の傾き(f2/d2)は0.3〜2.0の範囲が適している。本実施例では0.43である。
図3は、10μm以上の階段状変位が出現するまで圧縮力を加えたときの、多孔質シリカ系粒子の変位を示すグラフである。10μm以上の階段状変位が現れた時の圧縮力をf3とする。ここで圧縮力は0.21gf/secの割合で増加しながら加えられる。圧縮力f3における変位d3(μm)を求め、圧縮変位の傾き(f3/d3)を算出する。ここで、変位d3は10μm以上の階段状変位が始まった時点で測定された変位である。圧縮変位の傾き(f3/d3)は0.3〜1.25の範囲が適している。本実施例では1.0である。なお、ここでは10μm以上の階段状変位が出現した段階で、圧縮力の印加を止めている。
[実施例2]
本実施例では、スラリーを20L/hrの流量で供給し噴霧乾燥した。これ以外は実施例1と同様にして多孔質シリカ系粒子を作製し、評価した。
[実施例3]
本実施例では、スラリー調整工程で、49度に加温した硫酸水溶液(硫酸濃度25質量%)10.0g中に青色404号を0.06g添加した。これ以外は実施例1と同様にして多孔質シリカ系粒子を作製し、評価した。
[比較例1]
ふるい工程を行わない以外は実施例1と同様にして多孔質シリカ系粒子を作製し、評価した。
[比較例2]
実施例1の乾燥粉体をジューサーミキサー(日立製作所(株))で30秒間粉砕し、その後に、ふるい工程を行う。これ以外は実施例1と同様にして多孔質シリカ系粒子を作製し、評価した。
[比較例3]
実施例1のケーキ状物質に、純水540gを加えて、全固形分濃度1質量%のスラリーを得る。このスラリーを、15000rpmで回転中のロータリーアトマイザーに、10L/hrの流量で供給し噴霧乾燥した。これ以外は実施例1と同様にして多孔質シリカ系粒子を作製し、評価した。
[比較例4]
実施例1のスラリーAに、アンモニア水2.1gを添加し、pH9.0となったところで40℃のまま2時間攪拌する。これにより、珪酸ソーダ由来の珪酸濃度が7.3質量%のスラリーBを得た。これ以外は実施例1と同様にして多孔質シリカ系粒子を作製し、評価した。
[比較例5]
実施例1の乾燥粉体を1000℃で5時間焼成する。この粉体を26mesh篩(JIS試験用規格篩)でふるいにかけ、多孔質シリカ系粒子の粉体を作製し、評価した。
[洗浄用化粧料の調製と評価]
上述の実施例や比較例で作製した多孔質シリカ系粒子を成分(1)として、表2に示す配合比率(質量%)で、各成分(2)〜(15)をビーカーに入れ、ホモジナイザーを使用して撹拌する。これにより、均一に混合されたボディ洗浄用化粧料が得られる。
これにより、実施例の多孔質シリカ系粒子を配合したボディ洗浄用化粧料A〜C、比較例の多孔質シリカ系粒子を配合したボディ洗浄用化粧料a〜eが得られる。
これらの洗浄用化粧料について、20名の専門パネラーによる官能テストを行い、スクラブ感、ヒリヒリ感のなさ、洗浄後の肌のつや、洗浄後の肌のくすみのなさ、洗浄後のヒリヒリ感のなさ、の5つの評価項目に関して聞き取り調査を行う。その結果を以下の評価点基準Aに基づき評価する。また、各人がつけた評価点を合計し、以下の評価基準Bに基づき洗浄用化粧料の使用感に関する評価を行った。
評価点基準A
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
評価基準B
◎:合計点が80点以上
○:合計点が60点以上80点未満
△:合計点が40点以上60点未満
▲:合計点が20点以上40点未満
×:合計点が20点未満
評価結果を表3に示す。化粧料A〜Cは、その使用感が洗浄中、洗浄後においても非常に優れている。しかし、化粧料a〜eは、その使用感が良くない。

Claims (4)

  1. (i)平均円形度が0.7〜1.0の範囲であり、
    (ii)細孔容積(Pv)が1.0〜2.0ml/gの範囲であり、
    (iii)モード径(D)が50〜600μmの範囲であり、
    (iv)最大粒子径(D100)とモード径(D)との比(D100/D)が3.0以下であり、
    (v)1.0〜1.4KPaの荷重で30秒間塗擦した後のメジアン径(DR50)が0.5〜25μmの範囲にあり、最大粒子径(DR100)が1〜100μmの範囲であることを特徴とする多孔質シリカ系粒子。
  2. 前記多孔質シリカ系粒子の最大細孔径(PD100)と最小細孔径(PD)の比(PD100/PD)が5〜10であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質シリカ系粒子。
  3. 前記多孔質シリカ系粒子に0.5gfの圧縮力f1を印加すると、0.5〜3μmの変位が発生することを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質シリカ系粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔質シリカ系粒子と洗浄用化粧料成分とを含む洗浄用化粧料。

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