JP6756247B2 - 不飽和脂肪酸吸着剤及びそれを含有する化粧料 - Google Patents

不飽和脂肪酸吸着剤及びそれを含有する化粧料 Download PDF

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本発明は、不飽和脂肪酸吸着剤及びそれを含有する化粧料に関する。
化粧料は人の肌に塗布して使用するものであるため、皮膚から出る汗や皮脂への耐性が要求され、一般的に油浮きや化粧崩れしないことが求められる。このような要求を満たすため、化粧料に用いる粉体に様々な改良を加えることにより、化粧崩れを防止する検討が行われている。
例えば、皮脂吸着材料として、多孔質シリカや多孔質球状炭酸マグネシウムなどの無機多孔質粉体を化粧料に配合する方法が挙げられるが、これらの粉体は肌上の水分を吸収し、肌のエモリエント成分が不足して肌の乾燥やかゆみを引き起こすという問題がある(特許文献1や特許文献2)また、微粒子酸化亜鉛は、皮脂中の脂肪酸と反応して皮脂を固定化させ、皮脂の広がりを押さえ、脂っぽさを抑制することにより、化粧持ちを向上させることが知られている。(特許文献3)しかしながら、このような微粒子酸化亜鉛は化粧料に配合するとキシミ感が出てしまい、感触に劣るという欠点があった。このため、感触に優れ、かつ従来よりも高い皮脂吸着能を有する酸化亜鉛粒子を得ることができれば、化粧品分野においては非常に有用な素材になる。特に、粒子径が大きい酸化亜鉛粒子は、使用感に優れ、一定の紫外線遮蔽能力を有することから、これらの皮脂吸着能を高めることができれば、微粒子酸化亜鉛からなる皮脂吸着剤とも酸化亜鉛以外の皮脂吸着剤とも異なる性質を有する皮脂吸着剤として好ましいものとできる。
また近年、化粧崩れは皮脂に含まれるオレイン酸等の不飽和脂肪酸が関係していることがわかり、皮脂成分の中でも不飽和脂肪酸を特に吸着できる粉体の開発が望まれていた。したがって、従来の皮脂吸着能力があるとされる粉体の中で、不飽和脂肪酸の吸着能力が従来よりもさらに高い粉体が得られれば、より化粧崩れを抑えることが可能になり、好ましいものである。
本願出願人は、特許文献4および5において、六角板状酸化亜鉛粒子及び当該粒子を化粧料に配合することに関する特許出願を行った。しかし、上記特許文献4および5においては、滑らかな感触や紫外線遮蔽性能等については記載されているが、皮脂吸着性能についての記載は存在していない。また、特定の表面処理剤による皮脂吸着性能の向上についても書かれていない。
特開2009−137806号公報 特開2006−096706号公報 特開平8−41379号公報 国際公開2012/147886号公報 国際公開2015/118777号公報
本発明は、優れた感触を持つ不飽和脂肪酸吸着剤とそれを含有する化粧料を提供するものである。不飽和脂肪酸は皮脂の主成分であるため、このような不飽和脂肪酸吸着剤を配合した化粧料は、化粧崩れが起こりにくいものである。
本発明は、一次粒子径が0.01〜50μm、アスペクト比が2.5以上である、オレイン酸エステル系界面活性剤被覆六角板状酸化亜鉛を含む不飽和脂肪酸吸着剤である。また、前記オレイン酸エステル系界面活性剤の被覆量は、六角板状酸化亜鉛100重量部に対して、1〜10重量部である、不飽和脂肪酸吸着剤でもある。さらに、本発明は、上述した不飽和脂肪酸吸着剤を含む化粧料でもある。
本発明の不飽和脂肪酸吸着剤を配合した化粧料は、皮脂を固定化して皮脂の広がりを抑制することにより、化粧崩れを起こしにくく、使用感も良好である。更に、その不飽和脂肪酸吸着能は、公知の微粒子酸化亜鉛粒子よりも顕著に優れたものである。
本発明における酸化亜鉛粒子の一次粒子径の計測方法を図示する模式図である。 本発明における酸化亜鉛粒子のアスペクト比の計測方法を図示する模式図である。
本発明は、一次粒子径が0.01〜50μm、アスペクト比が2.5以上である、オレイン酸エステル系界面活性剤被覆六角板状酸化亜鉛からなる不飽和脂肪酸吸着剤である。すなわち、特定の形状、粒子径をもち、特定の表面処理剤による処理を行った酸化亜鉛が、公知の酸化亜鉛粒子と比べて、優れた不飽和脂肪酸吸着効果を有することを見出し、完成されたものである。このような不飽和脂肪酸吸着効果を有する酸化亜鉛は、各種化粧料において使用することができるものであり、例えば、化粧下地、粉体化粧料等のメイクアップ化粧料に配合した場合には、皮脂を吸着することによって化粧崩れを防ぐ効果を有する点で好ましい。
本発明の不飽和脂肪酸吸着剤であるオレイン酸エステル系分散剤被覆六角板状酸化亜鉛粒子の一次粒子径は、0.01〜50μmである。このような粒子径とすることで、すべり性などの性能が良好な粒子とすることができる。一次粒子径の下限は、0.02μm以上であることが好ましく、上限は、30μm以下であることが好ましい。なお、上記一次粒子径とは、後述の実施例記載の測定方法によって得られる値である。
前記オレイン酸エステル系分散剤被覆六角板状酸化亜鉛粒子のアスペクト比は2.5以上である。上記アスペクト比は、2.7以上であることがより好ましく、3.0以上であることが更に好ましい。なお、上記アスペクト比とは、後述の実施例記載の測定方法によって得られる値である。
本発明において、オレイン酸エステル系分散剤被覆六角板状酸化亜鉛粒子とは、六角板状形状を有する酸化亜鉛粒子の表面の少なくとも一部が、オレイン酸エステル系分散剤によって被覆されているものである。また、六角板状形状という特殊形状を持つことにより、すべり性がよく、化粧料に配合しても使用感を損ねないものである。
前記オレイン酸エステル系界面活性剤とは、オレイン酸エステルを含む界面活性剤であり、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(花王製レオドールTW−O120V、TW−O106)、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート(花王製、TW−O320V)、ソルビタンモノオレエート(花王製、レオドールSP−O10VAO−10V)、ソルビタントリオレエート(花王製、SP−O30V)、グリセリンモノオレエート(花王製、レオドールMO−60)等が挙げられる。
前記オレイン酸エステル系界面活性剤の被覆量は、六角板状酸化亜鉛100重量部に対して、1〜10重量部であることが好ましい。オレイン酸エステル系界面活性剤の被覆量が、1重量部を下回ると、所望の不飽和脂肪酸の吸着能力が得られず、10重量部を上回ると、化粧料に配合した際の使用感を損ねる点で好ましくない。なお、上記オレイン酸エステル系界面活性剤(脂肪酸エステル系界面活性剤)の被覆量の測定方法は、後述の実施例記載の測定方法によって得られる値である。
本発明におけるオレイン酸エステル系界面活性剤被覆六角板状酸化亜鉛粒子の、母体となる六角板状酸化亜鉛粒子は、表面処理層を持っていてもよく、酸化/水酸化ケイ素、酸化/水酸化アルミニウム、酸化/水酸化ジルコニウム、酸化/水酸化チタン、酸化/水酸化セリウム、酸化/水酸化マグネシウム、酸化/水酸化カルシウムを被覆し、酸化亜鉛の触媒活性を低下、亜鉛イオンの溶出等を防ぐことができる。もしくは、有機表面処理剤として、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ハイドロゲンジメチコン、メチルフェニルシリコーン、アミノ変性シリコーン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン等のオルガノポリシロキサン、トリエトキシカプリリルシラン、トリメトキシカプリリルシラン、デシルトリエトキシシラン、といったアルキルシラン、ステアリン酸などの高級脂肪酸やその金属石鹸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン化合物を挙げることができる。さらに、アルキルチタネート、アルキルアルミネート、アルキルジルコネート等のカップリング剤や、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のフッ素系有機化合物を使用することもできる。上記表面処理の方法としては特に限定されず、湿式処理であっても乾式処理であっても良く、複数の表面処理を組み合わせても良い。本発明の製造方法で得られる酸化亜鉛は、分散性に優れたものであるため、一次粒子個々の表面を処理することが容易であるため、表面処理をより均一にすることができる。
本発明におけるオレイン酸エステル系界面活性剤被覆六角板状酸化亜鉛粒子は、その製造方法は限定されるものではないが、例えば、本願出願人によって出願された特許文献4または5によって開示された製造方法である、微粒子酸化亜鉛を亜鉛塩水溶液中で熟成する工程を含む製造方法によって、母体となる六角板状酸化亜鉛粒子を得た後、さらにオレイン酸エステル系界面活性剤を被覆することによって得ることができる。
前記オレイン酸エステル系界面活性剤の被覆方法は限定されるものではなく、例えば、母体となる六角板状酸化亜鉛粒子に表面処理剤を所定量混合することによって得ることができる。さらに、上記六角板状酸化亜鉛粒子を適宜の媒体、例えば、水、アルコール、エーテル等に懸濁させた後、この懸濁液に表面処理剤を加え、攪拌し、分別し、乾燥、粉砕して得ることもでき、また、蒸発乾固し、粉砕して得ることもできる。粉砕方法としては限定されるものでなく、アトライター、ビーズミル、遊星ボールミル、ジェットミル、振動ミル、アトマイザーなど、公知の乾式又は湿式の粉砕方法を用いることができる。
本発明の不飽和脂肪酸吸着剤は、不飽和脂肪酸の固化にかかる時間は短いものが好ましい。固化にかかる時間は30分以下がより好ましく、25分以下であることがさらに好ましい。このような範囲のものとすることで、皮脂に含まれる不飽和脂肪酸を好適に吸着・固定化させることができ、化粧料に配合した際の化粧崩れを防止することができる。なお、上記不飽和脂肪酸固化速度は、実施例に詳述した方法によって測定した値である。
本発明は、上述したオレイン酸エステル系界面活性剤被覆六角板状酸化亜鉛からなる不飽和脂肪酸吸着剤を含む化粧料でもある。本発明における化粧料への六角板状酸化亜鉛配合量は、全組成中0.5〜90重量%、特に1〜85重量%が好ましい。配合量が0.5重量%未満であれば不飽和脂肪酸吸着効果が低く、90重量%よりも多いと皮脂を吸着しすぎて感触が悪くなるためである。
本発明の不飽和脂肪酸吸着剤を配合した化粧料としては、ファンデーション、化粧下地、アイシャドウ、頬紅、マスカラ、口紅、サンスクリーン剤等を挙げることができる。本発明の化粧料は、油性化粧料、水性化粧料、O/W型化粧料、W/O型化粧料の任意の形態とすることができる。なかでも、化粧下地、ファンデーションにおいて特に好適に使用することができる。
本発明の不飽和脂肪酸吸着剤を配合した化粧料は、上記不飽和脂肪酸吸着剤以外に、化粧品分野において使用することができる任意の水性成分、油性成分を併用してもよい。上記水性成分及び油性成分としては特に限定されず、例えば、油剤、界面活性剤、保湿剤、高級アルコール、金属イオン封鎖剤、天然及び合成高分子、水溶性及び油溶性高分子、紫外線遮蔽剤、各種抽出液、色剤(顔料、染料等)、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、各種粉体等が挙げられる。これらの配合成分の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本
発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお,特に断らない限り,以下に記載する「%」は「重量%」を意味する。
(実施例1)微粒子酸化亜鉛(堺化学工業(株)製「FINEX−50」、粒子径0.02μm)80gを、酢酸亜鉛二水和物(細井化学工業(株)製 酢酸亜鉛)266.07gを水に溶解して酢酸亜鉛二水和物としての濃度が1mol/Lとなるよう調製した酢酸亜鉛水溶液1200mlにリパルプしスラリーとした。続いて、そのスラリーを攪拌しながら60分間で100℃に昇温し、攪拌しながら100℃で1時間熟成した。熟成後、直ちに急冷した後、ろ過、水洗した。続いて、得られた固形物を水3リットルにリパルプしてスラリーとし、攪拌しながら60分間で100℃に昇温し、攪拌しながら100℃で30分間加熱洗浄した。加熱洗浄後、ろ過、水洗し、110℃で12時間乾燥することにより、一次粒子径が0.30μmの六角板状酸化亜鉛粒子を得た。得られた六角板状酸化亜鉛粒子100gとオレイン酸エステル系界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、花王製「レオドール TW‐O120V」)20gとを1Lの水に添加し、1時間撹拌した後、減圧濾過で固液分離した。得られた固形分を120℃で16時間乾燥することにより、オレイン酸エステル系界面活性剤被覆六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
(実施例2)微粒子酸化亜鉛(堺化学工業(株)製「FINEX−50」、粒子径0.02μm)80gを、酢酸亜鉛二水和物(細井化学工業(株)製 酢酸亜鉛)133.02gを水に溶解して酢酸亜鉛二水和物としての濃度が0.5mol/Lとなるよう調製した酢酸亜鉛水溶液1200mlにリパルプしスラリーとした。続いて、そのスラリーを攪拌しながら60分間で100℃に昇温し、攪拌しながら100℃で3時間熟成した。熟成後、直ちに急冷した後、ろ過、水洗した。続いて、得られた固形物を水3リットルにリパルプしてスラリーとし、攪拌しながら60分間で100℃に昇温し、攪拌しながら100℃で30分間加熱洗浄した。加熱洗浄後、ろ過、水洗し、110℃で12時間乾燥することにより、一次粒子径が0.11μmの六角板状酸化亜鉛粒子を得た。得られた六角板状酸化亜鉛粒子100gとオレイン酸エステル系界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、花王製「レオドール TW‐O120V」)20gとを1Lの水に添加し、1時間撹拌した後、減圧濾過で固液分離した。得られた固形分を120℃で16時間乾燥することにより、オレイン酸エステル系界面活性剤被覆六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
(実施例3)微粒子酸化亜鉛(堺化学工業(株)製「FINEX−50」、粒子径0.02μm)80gを、酢酸亜鉛二水和物(細井化学工業(株)製 酢酸亜鉛)266.07gを水に溶解して酢酸亜鉛二水和物としての濃度が1mol/Lとなるよう調製した酢酸亜鉛水溶液1200mlにリパルプしスラリーとした。続いて、そのスラリーを攪拌しながら60分間で100℃に昇温し、攪拌しながら100℃で7時間熟成した。熟成後、直ちにろ過、水洗した。続いて、得られた固形物を水3リットルにリパルプしてスラリーとし、攪拌しながら60分間で100℃に昇温し、攪拌しながら100℃で30分間加熱洗浄した。加熱洗浄後、ろ過、水洗し、110℃で12時間乾燥することにより、一次粒子径が1.12μmの六角板状酸化亜鉛粒子を得た。得られた六角板状酸化亜鉛粒子100gとオレイン酸エステル系界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、花王製「レオドール TW‐O120V」)20gとを1Lの水に添加し、1時間撹拌した後、減圧濾過で固液分離した。得られた固形分を120℃で16時間乾燥することにより、オレイン酸エステル系界面活性剤被覆六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
(実施例4)微粒子酸化亜鉛(堺化学工業(株)製「FINEX−50」、粒子径0.02μm)40gを430.49mlの水にリパルプして得られたスラリーに、30%水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加しpH 13に調整した。上述のスラリーと酢酸亜鉛としての濃度が1.61mol/Lの酢酸亜鉛水溶液563.24mlとを15℃に制御した水200ml中に混合しながら120分で全量添加し、酢酸亜鉛としての濃度が0.75mol/Lの酢酸亜鉛水溶液と原料酸化亜鉛との混合スラリーとした。続いて、その混合スラリーを撹拌子ながら160分間で95℃に昇温し、撹拌しながら95℃で1時間熟成した。熟成後、直ちに急冷した後、ろ過、洗浄し、110℃で12時間乾燥することにより、一次粒子径3.13μmの六角板状酸化亜鉛粒子を得た。得られた六角板状酸化亜鉛粒子100gとオレイン酸エステル系界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、花王製「レオドール TW‐O120V」)20gとを1Lの水に添加し、1時間撹拌した後、減圧濾過で固液分離した。得られた固形分を120℃で16時間乾燥することにより、オレイン酸エステル系界面活性剤被覆六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
(比較例1)オレイン酸エステル系界面活性剤の処理を行わない以外は、実施例2と同様の方法で、六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
(比較例2)オレイン酸エステル系界面活性剤の処理を行わない以外は、実施例4と同様の方法で、六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
(比較例3〜5)実施例1において、オレイン酸エステル系界面活性剤の代わりに、ラウリン酸エステル系界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、花王製「レオドールTW―L120」:比較例3)、パルミチン酸エステル系界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、花王製「レオドールTW―P120」:比較例4)、ステアリン酸エステル系界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、花王製「レオドールTW−S120」:比較例5)を用いて表面処理を行った以外は、実施例1と同様の方法で、比較例の六角板状酸化亜鉛粒子を得た。
(比較例6)オレイン酸エステル系界面活性剤の代わりに、実施例1において得られた母体となる六角板状酸化亜鉛粒子100gに対して、ハイドロゲンジメチコン(信越化学工業(株)製、「KF−9901」)を3gを加え、ラボ用サンプルミルで使って混合した。続いて、120℃16時間の熱処理を加え、ハイドロゲンジメチコン被覆六角板状酸化亜鉛を得た。
(比較例7) 比較例7として、市販の微細酸化亜鉛(堺化学工業(株)製、FINEX−50、平均粒子径:20nm)を用いた。
(不飽和脂肪酸吸着能力(オレイン酸固化時間)の測定)実施例および比較例の試料0.1gとオレイン酸5.0gを、室温(25℃)において、マグネチックスターラーを用いて回転速度300rpmにて撹拌し、得られた混合液を静置し、試料の入ったビーカーを傾斜させた際にスラリーが完全に固化し、流動性がなくなるまでの時間を測定した。固化するまでの時間が短いほど(固化速度が速いほど)、オレイン酸の吸着能力が高いことを示す。実施例および比較例のオレイン酸固化時間を表1および2に示した。
(一次粒子径)本発明における一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM、JEM−1200EXII、日本電子社製)または走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−6510A、日本電子社製)で観察し、写真の2000〜50000倍の視野での定方向径(粒子を挟む一定方向の二本の平行線の間隔;画像上のどのような形状の粒子についても、一定方向で測定した)で定義される粒子径(μm)であって、写真内の一次粒子250個の定方向径を計測し、その累積分布の平均値を求めたものである。
(アスペクト比)本発明におけるアスペクト比は、透過型電子顕微鏡(TEM、JEM−1200EXII、日本電子社製)写真、又は走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−6510A、日本電子社製)写真の2000〜50000倍の視野において、六角板状酸化亜鉛粒子の六角形状面が手前を向いている粒子についてはその定方向径(粒子を挟む一定方向の二本の平行線の間隔;画像上の六角形状面が手前を向いている粒子について、一定方向で測定した)で定義される粒子径(μm)を粒子250個分計測した平均値をL、六角板状酸化亜鉛粒子の側面が手前を向いている粒子(長方形に見える粒子)についてはその厚み(μm)(長方形の短い方の辺の長さ)を粒子250個分計測した平均値をTとしたとき、それらの値の比;L/Tとして求めた値である。なお、上記アスペクト比は、一次粒子径が0.01〜1.1μm未満の場合は透過型電子顕微鏡(TEM、JEM−1200EXII、日本電子社製)、一次粒子径が1.1μm以上の場合は、走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−6510A、日本電子社製)の写真を用いて測定することが好ましい。
(酸化亜鉛100重量部に対する脂肪酸エステル系界面活性剤の被覆量)上記実施例、比較例の粉末をアルミナ製るつぼに2.0g入れ、500℃1時間で加熱した。加熱前後の重量差から、脂肪酸エステルの付着量を算出した。
(MIU(平均摩擦係数))表1のMIU(平均摩擦係数)は、上記実施例、比較例の粉末をKES−SE摩擦感テスター(カトーテック社製)で測定した値である。スライドガラスに25mm幅の両面テープを貼り、粉体を載せ、化粧用パフで伸ばし、KES−SE摩擦感テスター(カトーテック社製)によりMIU(平均摩擦係数)を測定した。摩擦測定荷重25gf、表面測定試料移動速度1mm/sec、測定距離範囲20mmの条件で測定を行った。センサーとしては、シリコーン接触子(人間の指を想定した凹凸が施されたシリコーンゴム製の摩擦子)を用いた。MIU(平均摩擦係数)の値が小さい程、滑り性が良く滑り易いことを意味する。
(MMD(摩擦係数の平均偏差))表1のMMD(摩擦係数の平均偏差)は、上記実施例、比較例の粉末をKES−SE摩擦感テスター(カトーテック社製)で測定した値である。スライドガラスに25mm幅の両面テープを貼り、粉体を載せ、化粧用パフで伸ばし、KES−SE摩擦感テスター(カトーテック社製)によりMMD(摩擦係数の平均偏差)を測定した。摩擦測定荷重25gf、表面測定試料移動速度1mm/sec、測定距離範囲20mmの条件で測定を行った。センサーとしては、シリコーン接触子(人間の指を想定した凹凸が施されたシリコーンゴム製の摩擦子)を用いた。MMD(摩擦係数の平均偏差)の値が小さい程、ざらつき感が少なく滑らかさが高いことを意味する。
(全光線透過率)70mlマヨネーズ瓶に粉体2.0gを入れ、アクリディックA−801P(DIC製)10gと酢酸ブチル5.0gとキシレン5.0gを添加した。これにφ1.5mmガラスビーズ38gを入れ、ペイントコンデョショナーで90分間分散した。この分散塗料をスライドガラスに均一に塗布し、120℃で加熱した後、紫外可視分光光度計(V−960:日本分光製)で全透過光の透過率を測定した。波長350nmの値が小さいほど、紫外線の遮蔽効果が高いことを意味する。
表1および2の結果から、以下のことが確認された。本発明のオレイン酸エステル系界面活性剤被覆六角板状酸化亜鉛からなる不飽和脂肪酸吸着剤は、表面処理をしない六角板状酸化亜鉛(比較例1)や、オレイン酸以外の脂肪酸エステル系界面活性剤の表面処理(比較例3〜5)や、ハイドロゲンジメチコン処理の六角板状酸化亜鉛(比較例6)に比べて、きわめて高い不飽和脂肪酸吸着能力を持つことが確認された。また、一般的に皮脂吸着能力が高いとされる微細酸化亜鉛(比較例7)と比較しても、高い吸着能力を持つことが確認された。したがって、本発明のオレイン酸エステル被覆六角板状酸化亜鉛からなる不飽和脂肪酸吸着剤は、高い不飽和脂肪酸吸着能力を持つ材料であることが確認された。すなわち、本発明のオレイン
酸被覆六角板状酸化亜鉛は、優れた不飽和脂肪酸吸着能力とすべり性を持ち合わせた不飽和脂肪酸吸着剤であることが確認された。
本発明の不飽和脂肪酸吸着剤は、化粧崩れ抑制に有効で、使用感を損なわず高いすべり性をもつ化粧料用素材として好適に使用できる。

Claims (3)

  1. 一次粒子径が0.01〜50μm、アスペクト比が2.5以上である、オレイン酸エステル系界面活性剤被覆六角板状酸化亜鉛からなる不飽和脂肪酸吸着剤。
  2. 前記オレイン酸エステル系界面活性剤は、六角板状酸化亜鉛100重量部に対して、1〜10重量部である、請求項1記載の不飽和脂肪酸吸着剤。
  3. 請求項1または2記載の不飽和脂肪酸吸着剤を含む化粧料。
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