JP6768324B2 - 多孔質シリカ系粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
従来の多孔質シリカ系粒子は、ナノサイズの細孔と高い比表面積を有しており、ナノマテリアルに該当する。
(i)メジアン径(D50)が100〜1000μm
(ii)1.0〜1.4KPaの荷重で30秒間塗擦した後のメジアン径(DR50)が5〜40μm、最大粒子径(DR100)が15〜200μm
この多孔質シリカ系粒子は皮膚を傷つけない程度の塗擦力で崩壊するため、塗擦中に粒子が徐々に崩壊して小粒子になる。そのため、この多孔質シリカ系粒子をスクラブ剤として用いた洗浄用化粧料は、マイルドな角質層のピーリング効果を示すとともに、皮膚の損傷を防ぐことができる。
さらに、この珪酸溶液をGPCで測定して得られる珪酸の重量平均分子量が600未満であることが好ましい。
(i)メジアン径(D50)が100〜1000μm
(ii)1.0〜1.4KPaの荷重で30秒間塗擦した後のメジアン径(DR50)が5〜40μm、最大粒子径(DR100)が15〜200μm
(iii)平均円形度が0.1〜0.5
(iv)細孔容積(Pv)が0.1≦Pv<1.0ml/g
(v)比表面積が5〜60m2/cm3
(vi)最大粒子径(D100)とメジアン径(D50)の比(D100/D50)が3.0以下
はじめに、シリカゾルと珪酸溶液を用意する。シリカゾルはシリカ系微粒子を固形分濃度で25〜50質量%含んでいる。シリカ系微粒子の平均粒子径は100超〜1000nmの範囲にある。この大きさのシリカ系微粒子を一次粒子とする多孔質シリカ系粒子は、塗擦によって一次粒子に崩壊しても、ナノマテリアルに該当することはない。なお、平均粒子径は、レーザー回折法により測定された粒度分布から求める。
珪酸溶液は珪酸成分を固形分濃度で1〜40質量%含んでいる。次に、シリカゾルと珪酸溶液を混合してスラリーを作製する。このとき、シリカ系微粒子成分と珪酸成分との質量比(シリカ/珪酸)が90/10〜98/2の範囲になるように混合される。このスラリーには、珪酸成分が固形分濃度(二酸化珪素換算)で1.5〜7.0質量%含まれている。このようなスラリーを乾燥させると、スラリー内部の珪酸成分のゲル化が乾燥初期に起こり、シリカゾルを構成する一次粒子(シリカ系微粒子)が疎なパッキング構造(凝集構造)を成す。そのため、比表面積が小さい割には細孔容積が大きい多孔質シリカ系粒子が得られる。このような多孔質シリカ系粒子には、適度な塗擦力で崩壊するという特性がある。スラリー中の珪酸成分の固形分濃度が1.5質量%未満の場合には、シリカ系微粒子が密なパッキング構造をとりやすくなる。そのため、細孔容積の大きな多孔質シリカ系粒子を調製することが困難となる。一方、7.0質量%を超えると、珪酸成分の安定性が低下し、経時によって微細なゲル状、または粒子状のシリカが生成される。そのため、比表面積が増加してしまい好ましくない。
乾燥工程後に篩分け工程を設けている。乾燥粉体を篩分けすることにより、多孔質シリカ系粒子の粒径分布が適切な範囲になる。
また、篩分けの前に乾燥粉体を粉砕しておくことが好ましい。これにより、多孔質シリカ系粒子の収量を増やすことができる。
シリカ系微粒子の真球度は0.85〜1.00が適している。さらに、シリカ系微粒子の平均粒子径は、最終的に得られる多孔質シリカ系粒子の平均粒子径(d1)に対して、0.01〜0.30の範囲にあることが好ましい。
シリカ系微粒子として、シリカ、シリカ−アルミナ、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニアなどの粒子が適用できる。シリカ系微粒子の組成の違いによって多孔質シリカ系粒子の製造条件を変更する必要はない。化粧料に配合することを考慮すると、非晶質シリカが好適である。
上述した多孔質シリカ系粒子と、以下に述べる各種洗浄用の化粧料成分とを配合して洗浄用化粧料が得られる。
各種洗浄用の化粧料成分として、公知の成分を適宜含有することができる。例えば、非イオン系、カチオン系、アニオン系または両性の各種界面活性剤、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、エタノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等のアルコール類、アラビアガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、ゼラチン、アルギン酸、グアーガム、アルブミン、プルラン、カルボキシビニルポリマー、セルロース及びその誘導体、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等の各種高分子、増粘剤、湿潤剤、着色料、防腐剤、感触向上剤、香料、殺菌剤、消炎剤、体質顔料、紫外線吸収剤等を用いることができる。
このような洗浄用化粧料は、従来公知の方法で製造することが可能であり、高度な配合技術を駆使する必要はない。この洗浄用化粧料は、ペースト状、液状、ゲル状などの形態であり、具体的には、ボディ用途洗浄用化粧料、足用途洗浄用化粧料、顔用途洗浄用化粧料などが挙げられる。
[実施例1]
市販のシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:SS−160、平均粒子径160nm、シリカ濃度20質量%)20kgをロータリーエバポレーターで濃縮して、シリカ濃度40質量%のシリカゾル10kgを得る。このシリカゾルに、珪酸塩溶液としてJIS3号水硝子726g(シリカ濃度29質量%)を加える。さらに、陽イオン樹脂(三菱化成社製、SK−1B)を一気に加えてpHを2.5とする。その後、陽イオン交換樹脂を分離する。これにより、脱アルカリ処理(Naイオンの除去等)がなされ、シリカ系微粒子濃度37.3質量%、水硝子由来の珪酸濃度2.0質量%、全固形分濃度39.3質量%のスラリーが得られる。
このようにして得られた各実施例の多孔質シリカ系粒子の物性を以下のように測定・評価した。その結果を表2に示す。
平均粒子径は、レーザー回折法により測定された粒度分布から求めることができる。ここでは、粒子径分布測定装置LA-950(株式会社堀場製作所製)を用いて粒度分布を測定した。
(2)平均円形度、メジアン径(D50)、最大粒子径(D100)、およびD100/D50
これらの値は、多孔質シリカ系粒子群のSEM(走査型電子顕微鏡)写真(倍率:100倍)を撮影し、SEM用画像解析ソフトウェア((株)オリンパス製Scandium)を用いて、無作為に選択した粒子100〜200個の画像データより求める。
(3)形状
前述のSEM写真を観察し、形状を判断する。本実施例による多孔質シリカ系粒子の形状は球状や楕円体ではなく、破砕状であった。
多孔質シリカ系粒子の粉体を磁性ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、105℃の温度で2時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次に、サンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、比表面積(m2/g)をBET法にて測定し、シリカの比重2.2g/cm3で単位質量当たりの比表面積(m2/cm3)に換算する。
多孔質シリカ系粒子の粉体10gをルツボに取り、105℃で1時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次いで、よく洗浄したセルに1g試料を取り、窒素吸着装置を用いて窒素を吸着させ、以下の式から細孔容積を算出する。
細孔容積(ml/g)=(0.001567×(V−Vc)/W)
上記の式で、Vは圧力735mmHgにおける標準状態の吸着量(ml)、Vcは圧力735mmHgにおけるセルブランクの容量(ml)、Wは試料の質量(g)を表す。また、窒素ガスと液体窒素の密度の比は0.001567とする。
多孔質シリカ系粒子の粉体0.2gを白金皿で精秤し、硫酸10mlと弗化水素酸10mlを加えて、砂浴上で硫酸の白煙が出るまで加熱する。冷却後、水約50mlを加えて加温溶解する。冷却後、水200mlに希釈しこれを試験溶液とする。この試験溶液について誘導結合プラズマ発光分光分析装置(島津製作所(株)製、ICPS−8100、解析ソフトウェアICPS−8000)を使用し、多孔質シリカ系粒子のSiO2濃度を求める。
電子天秤((株)AND製HF4000)上にウレタンエラストマー製の人工皮膚(株式会社ビューラックス製、バイオスキンプレート、品番P001-001#20、195×130×5Tmm)をセットし、人工皮膚の中央部に多孔質シリカ系粒子の粉体0.2gに純水3.8gを加えたスラリーを垂らした。続いて指4本を使用して1.0〜1.4KPaの荷重で円弧状に30秒間塗擦した。この人工皮膚の中央部のスラリーを採取し、SEM(走査型電子顕微鏡)写真(倍率:100倍)を撮影し、無作為に選択した粒子100〜200個の画像データから、前述のSEM用画像解析ソフトウェアを用いて最大粒子径(DR100)とメジアン径(DR50)を計測する。
多孔質シリカ系粒子に圧縮力を加えた時に生じる圧縮変位を、微小圧縮試験機「MCT−210」(島津製作所社製)を用いて測定する。圧子は「FLAT200」(島津製作所社製)を使用する。測定結果を図1〜図3に示す。図1は、0から0.5gfの圧縮力を圧縮速度0.21gf/secで印加したときの多孔質シリカ系粒子の変位を示すグラフである。圧縮力0.5gf(圧縮力f1)における変位量を求めることができる。0.5gfの圧縮力f1を加えたとき、0.5〜3μmの変位が発生することが好ましい。本実施例では約1.0μmである。
表1に示すように、粉砕時間を45秒間、篩を83mesh篩(JIS試験用規格篩)とした。これ以外は実施例1と同様に、多孔質シリカ系粒子を作製し、評価した。
本実施例では、原料シリカゾルに日揮触媒化成(株)製のSS−550(平均粒子径550nm、シリカ濃度20質量%)を用いた。これ以外は実施例1と同様に、多孔質シリカ系粒子を作製し、評価した。
本実施例では、シリカ濃度40質量%のシリカゾルを9.9kgとし、スラリーに第三成分としてα−酸化鉄(II)を40g添加した。これ以外は実施例1と同様に、孔質シリカ系粒子を作製し、評価した。
焼成工程を行わなかった以外は実施例1と同様に、多孔質シリカ系粒子を作製し、評価した。
本実施例では、シリカ濃度40質量%のシリカゾル10.0kgを用い、珪酸塩溶液としてJIS3号水硝子1.2kg(シリカ濃度29質量%)を用いた。これ以外は実施例1と同様に、多孔質シリカ系粒子を作製し、評価した。
本実施例では、シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:SS−160、平均粒子径160nm、シリカ濃度20質量%)22.5kgをロータリーエバポレーターで濃縮して、シリカ濃度45質量%のシリカゾル10kgとした。このシリカゾルに、珪酸塩溶液としてJIS2号水硝子1.4kg(シリカ濃度35質量%)を加えた。これ以外は実施例1と同様に、多孔質シリカ系粒子を作成し、評価した。
スラリーに含まれるシリカ系微粒子成分と珪酸成分の質量比(シリカ/珪酸)を60/40とした。これ以外は実施例1と同様に、多孔質シリカ系粒子を作製し、評価した。珪酸成分が多いため、多孔質シリカ系粒子を構成する一次粒子の間隙に珪酸が入り込んで二次粒子が作製される。そのため、粒子の強度が高くなり、また、細孔容積が小さくなる。したがって、所望の崩壊性を持つ多孔質シリカ系粒子が得られなかった。
ふるい工程を行わない以外は実施例1と同様に、多孔質シリカ系粒子を作製し、評価した。本比較例では、篩工程を経ていないため、粗大粒子が多く存在し、最大粒子径が大きくなる。そのため、弱い塗擦力であっても塗擦開始時に皮膚を損傷する虞れがある。
珪酸成分の代りに純水を加えてスラリーを作製し、スラリーに含まれるシリカ系微粒子成分と珪酸成分との質量比(シリカ/珪酸)を100/0とした。これ以外は実施例1と同様に、多孔質シリカ系粒子を作製し、評価した。シリカ系微粒子のみで構成されているため、粒子の強度が弱く、低い圧縮力で崩壊してしまい、スクラブ効果を得ることができない。
乾燥温度を110℃、乾燥時間を60minに変更したこと以外は実施例1と同様に、多孔質シリカ系粒子を作製し、評価した。
原料シリカゾルに日揮触媒化成(株)製のSI−30(平均粒子径11nm、シリカ濃度20質量%)を用いた以外は実施例1と同様に多孔質シリカ系粒子を作製し、評価した。シリカ系微粒子の平均粒径が小さいため、多孔質シリカ系粒子の比表面積が大きく、また、粒子の強度が大きい。したがって、所望の崩壊性が得られない。
実施例1〜7または比較例1〜5で得られた多孔質シリカ系粒子を成分(1)として、表3に示す配合比率(質量%)となるように、各成分(2)〜(15)をビーカーに入れ、ホモジナイザーを使用して撹拌し、均一に混合した。
これにより、実施例1〜7の多孔質シリカ微粒子を配合したボディ洗浄用化粧料A〜Gと、比較例1〜5の多孔質シリカ微粒子を配合した化粧料a〜eが得られる。
[洗浄用化粧料の使用感の評価]
多孔質シリカ系粒子を配合した洗浄用化粧料について、20名の専門パネラーによる官能テストを行い、スクラブ感、ヒリヒリ感のなさ、洗浄後の肌のつや、洗浄後の肌のくすみのなさ、洗浄後のヒリヒリ感のなさ、の5つの評価項目に関して聞き取り調査を行う。その結果を以下の評価点基準(a)に基づいて評価する。また、各人がつけた評価点を合計し、以下の評価基準(b)に基づき洗浄用化粧料の使用感に関する評価を行った。
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
◎:合計点が80点以上
○:合計点が60点以上80点未満
△:合計点が40点以上60点未満
▲:合計点が20点以上40点未満
×:合計点が20点未満
Claims (6)
- メジアン径(D50)が100〜1000μm、平均円形度が0.1〜0.5の多孔質シリカ系粒子の製造方法であって、
平均粒子径100超〜1000nmのシリカ系微粒子が固形分濃度25〜50質量%含まれるシリカゾルを用意する第一工程と、
前記シリカゾルと、珪酸成分が固形分濃度1〜40質量%含まれる珪酸溶液とを混合し、シリカ系微粒子成分と珪酸成分との質量比(シリカ/珪酸)が90/10〜98/2の範囲にあるスラリーを作製する第二工程と、
前記スラリーを、温度100〜400℃、時間10分以内で乾燥させて、乾燥粉体を得る第三工程と、
前記乾燥粉体を篩分けする第四工程と、を含み、
前記第二工程で得られるスラリー中の珪酸成分の固形分濃度(二酸化珪素換算)が1.5〜7.0質量%であり、
当該多孔質シリカ系粒子は、1.0〜1.4KPaの荷重で30秒間塗擦した後のメジアン径(D R50 )が5〜40μm、最大粒子径(D R100 )が15〜200μmであることを特徴とする多孔質シリカ系粒子の製造方法。 - 前記珪酸溶液中の珪酸の重量平均分子量が600未満であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質シリカ系粒子の製造方法。
- 前記第二工程において、前記珪酸溶液は珪酸塩溶液を脱アルカリ処理して得られ、脱アルカリ処理後24時間以内に前記シリカゾルと混合されることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質シリカ系粒子の製造方法。
- 前記第二工程において、前記珪酸溶液は珪酸塩溶液であり、前記シリカゾルと混合された後で脱アルカリ処理され、脱アルカリ処理から24時間以内に前記第三工程が行われることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質シリカ系粒子の製造方法。
- 前記第三工程において、ドラムドライヤー、スラリードライヤーまたはジェットドライヤーを用いて前記スラリーを乾燥させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の多孔質シリカ系粒子の製造方法。
- 前記第三工程において、前記スラリーは5〜25リットル/時で供給されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の多孔質シリカ系粒子の製造方法。
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