JP6651557B2 - 無段変速機用プーリの製造方法 - Google Patents

無段変速機用プーリの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、V面のクラックに対する耐久性の高い無段変速機用プーリの製造方法に関する。
ベルト式無段変速機のプーリのV面にショットピーニング処理を施し、V面から深さ50μmの領域にピーク値が所定値以下の残留応力を付与するとともに、V面の摩擦係数を高めることで、プーリの耐摩耗性や疲労強度を高めるものが、下記特許文献1により公知である。
またベルト式無段変速機の金属ベルトの金属リングの内周面に格子状に突出する突出部を形成し、金属ベルトの進行方向に直交する方向の突出部の平均幅を16μm以下に設定することで、金属エレメントとの接触により突出部の頂部に発生したクラックが伸展するのを防止して金属リングの耐久性を高めるものが、下記特許文献2により公知である。
特開2017−36772号公報 特許第4078126号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されたものは、金属リングとの摺動により発生するプーリのV面の組織変化によるクラックの発生を遅らせることは可能であるが、クラックの伸展を確実に防止することは困難であった。
また上記特許文献2に記載されたものは、金属リングの突出部の平均幅を評価するために、その突出部のハイスポットカウントHSCを測定する必要があるが、突出部の形状によってはハイスポットカウントHSCは測定精度が低くなってしまい、高精度の測定器でないと使用できないという問題があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、ベルト式無段変速機のプーリのV面におけるクラックの伸展を防止してプーリの耐久性を高めることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、金属エレメントが当接するプーリのV面が、前記プーリの回転軸線側から径方向外側かつ周方向一方側に渦巻き状に延びる多数の第1溝と、前記回転軸線側から径方向外側かつ周方向他方側に渦巻き状に延びる多数の第2溝と、前記第1溝および前記第2溝に囲まれた多数の菱形状の突出部とを備え、前記突出部の平均周方向幅は、前記V面の径方向外側位置よりも径方向内側位置で小さい無段変速機用プーリの製造方法であって、前記プーリを前記回転軸線まわりに一定回転速度で回転させながら、前記V面に当接するサンドペーパーまたはホーニング砥石を径方向に一定速度で往復運動させてラッピングまたはホーニングすることで、前記V面に前記第1溝および前記第2溝を形成することを特徴とする無段変速機用プーリの製造方法が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、耐久前の前記突出部の平均径方向幅が4μm以上かつ16μm以下であることを特徴とする無段変速機用プーリの製造方法が提案される。
また請求項に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、前記V面の粗さ曲線要素の平均長さに基づいて前記突出部の平均周方向幅を評価し、前記平均周方向幅が所定値以下になるように前記V面のラッピング時間またはホーニング時間を設定することを特徴とする無段変速機用プーリの製造方法が提案される。
なお、実施の形態のドライブプーリ13は本発明のプーリに対応する。
請求項1の構成によれば、金属エレメントが当接するプーリのV面が、プーリの回転軸線側から径方向外側かつ周方向一方側に渦巻き状に延びる多数の第1溝と、プーリの回転軸線側から径方向外側かつ周方向他方側に渦巻き状に延びる多数の第2溝と、第1溝および第2溝に囲まれた多数の菱形状の突出部とを備え、突出部の平均周方向幅は、V面の径方向外側位置よりも径方向内側位置で小さいので、金属エレメントに対する接触面圧や滑り量が大きいためにクラックが発生し易いV面の径方向内側位置において、突出部の平均周方向幅が小さくなる。その結果、突出部に発生したクラックは第1溝または第2溝に阻止されて径方向に短い突出部の幅を超えることがなくなり、それ以上のクラックの伸展が阻止されてプーリのV面の耐久性が向上する。また、プーリを回転軸線まわりに一定回転速度で回転させながら、V面に当接するサンドペーパーまたはホーニング砥石を径方向に一定速度で往復運動させてラッピングまたはホーニングすることで、V面に第1溝および第2溝を形成するので、第1溝および第2溝の形状が自動的に渦巻き状になり、平均周方向幅がV面の径方向外側位置よりも径方向内側位置で大きい突出部を簡単に形成することができる。
また請求項2の構成によれば、耐久前の突出部の平均径方向幅が4μm以上であるので、耐久後の突出部の平均径方向幅が4μm未満となるのを防止し、変速比の変更時にプーリのV面に摺接する金属エレメントの摩耗を抑制して耐久性を確保することができるだけでなく、耐久後の突出部の平均径方向幅が16μm以上であるので、突出部に発生したクラックの伸展を確実に阻してプーリのV面の耐久性を高めることができる。
また請求項の構成によれば、V面の粗さ曲線要素の平均長さに基づいて突出部の平均周方向幅を評価し、平均周方向幅が所定値以下になるようにV面のラッピング時間またはホーニング時間を設定するので、ハイスポットカウントに比べて測定が容易で測定精度が高い粗さ曲線要素の平均長さを用いることで、平均周方向幅の精度が高い突出部を容易に形成することができる。
ベルト式無段変速機の全体構成を示す図である。 金属ベルトおよび金属エレメントの斜視図である。 プーリのV面に溝および突出部を形成するための加工装置を示す図である。 プーリのV面の溝および突出部の形状を示す図である。 リングメッシュの突出部の幅とクラックの長さとの関係を示すグラフである。 リングメッシュの凹凸状態の拡大図である。 図6に対応する負荷曲線である。 粗さ曲線要素の平均長さRSmの定義の説明図である。 ハイスポットカウントHSCと、粗さ曲線要素の平均長さRSmのHSC換算値L/RSmとの関係を示すグラフである。 ハイスポットカウントHSCから算出した突出部の幅と、粗さ曲線要素の平均長さRSmのHSC換算値L/RSmから算出した突出部の幅との関係を示すグラフである。 図4の11部に対応するプーリのV面の突出部の模式図である。 耐久前および耐久後のプーリのV面の突出部の平均径方向幅Wrの関係を示すグラフである。
以下、図1〜図12に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は自動車に搭載されたベルト式無段変速機Tの概略構造を示すもので、ベルト式無段変速機Tはエンジンに接続されるドライブシャフト11と、駆動輪に接続されるドリブンシャフト12とを備えており、ドライブシャフト11に設けたドライブプーリ13とドリブンシャフト12に設けたドリブンプーリ14とに無端状の金属ベルト15が巻き掛けられる。ドライブプーリ13は、ドライブシャフト11に固設された固定側プーリ半体16と、この固定側プーリ半体16に対して接離可能な可動側プーリ半体17とを備えており、可動側プーリ半体17は油室18に作用する油圧で固定側プーリ半体16に向けて付勢される。ドリブンプーリ14は、ドリブンシャフト12に固設された固定側プーリ半体19と、この固定側プーリ半体19に対して接離可能な可動側プーリ半体20とを備えており、可動側プーリ半体20は油室21に作用する油圧で固定側プーリ半体19に向けて付勢される。
図2に示すように、金属ベルト15は左右の一対の金属リング22に多数の金属エレメント23を支持したもので構成される。各金属エレメント23の左右両端部には、ドライブプーリ13およびドリブンプーリ14のV面24に当接するプーリ当接面25が形成される。
図3はドライブプーリ13の固定側プーリ半体16のV面24を加工するためのラッピング加工装置を示すものである。ドライブプーリ13の固定側プーリ半体16は、図示せぬ駆動源によりドライブシャフト11の回転軸線Lまわりに一定の回転数で回転駆動される。一方、研摩子26の先端にはV面24に所定の面圧で当接するサンドペーパー27が設けられており、この研摩子26はV面24の径方向に沿って、図示せぬ駆動源により一定速度で往復運動する。その結果、サンドペーパー27でラッピングされたV面24には、サンドペーパー27の砥粒により多数の溝が形成される。
なお、図3ではラッピング加工装置を示したが、サンドペーパー27をホーニング砥石27に置き換えたホーニング加工装置を用いても同様の効果を得ることができる。
図4はサンドペーパー27でラッピングされたV面24を示すものである。往復運動する研摩子26がV面24の径方向内側から外側に移動するとき、V面24にはサンドペーパー27の砥粒によりドライブシャフト11の回転軸線Lを中心として周方向一方側に傾斜する多数の渦巻き状の第1溝24aが形成され、研摩子26がV面24の径方向外側から内側に移動するとき、周方向他方側に傾斜する多数の渦巻き状の第2溝24bが形成される。第1溝24aおよび第2溝24bが渦巻き状になる理由は、研摩子26は径方向に一定速度で移動するのに対し、V面24の周速は、V面24の径方向内側位置で小さく、V面24の径方向外側位置で大きいためである。
その結果、ラッピング完了後のV面24には、相互に交差する第1溝24aおよび第2溝24bに囲まれた多数の菱形状の突出部24cが形成される。第1溝24aおよび第2溝24bが渦巻き状であるため、菱形状の突出部24cの形状はV面24の径方向位置に応じて変化する。すなわち、突出部24cの径方向幅Wrがサンドペーパー27の砥粒の間隔により決まる一定値であると仮定した場合、突出部24cの周方向幅Wtは渦巻き状の第1溝24aおよび第2溝24bの傾斜角に依存し、V面24の径方向内側位置で小さくなり、V面24の径方向外側位置で大きくなる。
上述したように、ドライブプーリ13およびドリブンプーリ14のV面24には多数の突出部24cが形成され、この突出部24cに金属エレメント23のプーリ当接面25が当接するため、突出部24cの頂部が疲労してクラックが発生する場合があり、このクラックが伸展することでV面24の耐久性が低下する問題がある。特に、ドライブプーリ13の径方向内側部分は、LOW変速比において金属ベルト15の巻き付き径が小さく、そこに当接する金属エレメント23の数が少ないため、径方向外側部分に比べて金属エレメント23の接触面圧が高くなってクラックが発生し易くなる問題がある。
突出部24cの頂面に発生したクラックは次第に伸展するが、突出部24cを取り囲む第1溝24aあるいは第2溝24bに達したクラックはそれ以上の伸展が阻止されるため、V面24の耐久性が確保される。したがって、V面24の突出部24cの平均寸法を評価し、その平均寸法が所定値以下になるようにすれば、クラックに対するV面24の耐久性を確保することができる。
図5は、リングメッシュ(金属リングの内周面の格子状の突起部)の幅とクラックの長さとの関係を示すグラフである。
横軸は初期摩耗後のメッシュ面の最大突出幅であり、縦軸は突出部に発生するクラックの長さである。リングメッシュの場合、同図から明らかなように、突出部の最大幅が16μmを超えるとクラックが発生するが、突出部の最大幅が16μm以下の場合にはクラックが全く発生していないことが分かる。
初期摩耗後の突出部の最大幅を16μm以下にするとクラックの発生を阻止できる理由は、幅の狭い突出部の頂部に微小なクラック(ピッチング)が生じても、そのクラックは突出部の頂部の幅が狭いために深さ方向に伸展せず、頂部に沿って伸展しても突出部の端部で止まってそれ以上の伸展が阻止され、頂部の浅いクラックは金属エレメントのサドル面との接触により削り取られて消失するためである。やがてメッシュ突出部の頂部と金属エレメントのサドル面との間になじみがつくと、平均ヘルツ面圧が低下してクラックが発生し難くなる。また突出部の頂部が摩耗して面粗度が非常に良くなるため、潤滑性が向上してそれ以上の摩耗の進行が停止する。プーリのV面24においても同様の事象が発生する。
V面24の突出部24cの寸法にはバラツキが存在するが、その平均幅を16μm以下にすれば、クラックの発生を抑制できると考えられる。V面24の突出部24cの平均幅を16μm以下にするには、突出部24cの幅を測定して評価することが必要である。
図6は、リングメッシュの凹凸状態の拡大図であり、メッシュ面の一部(径方向の長さLが4mmの範囲)の凹凸形状を拡大して示すもので、その4mmの長さL内に、ハイスポットカウントHSC(high spot count )が37個存在している。
ただし、本実施の形態において、長さLをV面24の径方向に設定した理由は、V面24の周方向にハイスポットカウントHSCを測定することが困難であるためである。
図7は図6に対応する負荷曲線であり、凹凸の最大値(凹凸の最も高い部分と最も低い部分との差)のうちの初期摩耗高さRpkが摩耗した状態、つまり37個の突出部24cの頂部のうちの斜線で示した初期摩耗面積A1が摩耗した状態が初期摩耗状態として定義される。
負荷長さ率1Mr1は、径方向の長さL(4mm)に対する、ハイスポットカウントHSCである37個の突出部24cの摩耗した頂部の幅の総和の比率である。物体の表面粗さの指標であるハイスポットカウントHSCの本実施の形態における第1の定義は、前記負荷長さ率1Mr1における負荷曲線の高さを超える突出部24cの数である。また第2の定義は、突出部24cの断面の凸部の面積の総和と凹部の面積の総和が等しくなる高さ(図6の縦軸の原点)に有効負荷粗さRkの2分の1を加えた高さを超える突出部の数である。これら二つの定義の何れを採用しても、ハイスポットカウントHSCの値は実質的に一致する。
図7の例では、負荷長さ率1Mr1が7.76%であるため、径方向長さL(4mm)の7.76%にあたる0.3104mmが、37個の突出部24cの摩耗した頂部の幅の総和になる。従って、突出部24cの頂部の1個あたりの平均幅は0.3104mm÷37=0.0084mm=8.4μmとなって16μm以下に納まっており、クラックの発生を阻止することができる。
物体の表面粗さの他の指標である粗さ曲線要素の平均長さRSm(mean width of the profile elements)は、図8に示すように、所定距離Lの範囲における山谷の平均線上のピッチ長さXs1,Xs2,Xs3・・・Xsmの平均値で定義される。
RSm=(Xs1+Xs2+Xs3+・・・+Xsm)/m
したがって、L/RSmは、所定距離Lにおける平均線上の突出部24cの数に相当する。本実施の形態では、所定距離Lにおける平均線と平行な直線上の突出部24cの数であるハイスポットカウントHSCをL/RSmで置き換えて突出部24cの幅を評価するものである。
図9は、ハイスポットカウントHSCと、粗さ曲線要素の平均長さRSmのHSC換算値L/RSmとの関係を示すグラフであり、L/RSmはHSCよりも僅かに小さくなるが、両者は比例関係にあることが分かる。
図10は、ハイスポットカウントHSCから算出した突出部24cの平均幅と、粗さ曲線要素の平均長さRSmのHSC換算値L/RSmから算出した突出部24cの平均幅との関係を示すグラフであり、耐久前および耐久後の両方において、後者は前者よりも僅かに大きくなるが、両者は比例関係にあることが分かる。
V面24のラッピング時間を長くするほど突出部24cの平均幅は小さくなるため、粗さ曲線要素の平均長さRSmから算出した突出部24cの平均幅が所定値16μm以下になるようにラッピング時間を設定することで、所望の突出部24cの平均幅を有するV面24を得ることができる。
このとき、粗さ曲線要素の平均長さRSmから算出した平均幅が所定値16μm以下になるよう設定すると、その値はハイスポットカウントHSCから算出した平均幅に換算すると更に小さくなるため(図10参照)、粗さ曲線要素の平均長さRSmを用いることで、ハイスポットカウントHSCを用いる場合に比べて、平均幅を小さい側に振らせてクラックに対する耐久性を高めることができる。
ところで、ハイスポットカウントHSCは、物体の山谷の形状によっては測定精度が低くなってしまい、高精度の測定器でないと使用できないという問題がある。それに対し、粗さ曲線要素の平均長さRSmは一般的な測定器で精度良く測定できるので、ハイスポットカウントHSCに代えて粗さ曲線要素の平均長さRSmを使用することで、突出部24cの平均幅を容易かつ高精度で評価することができる。
さてドライブプーリ13の径方向内側部分は、LOW変速比において金属ベルト15の巻き付き径が小さく、そこに当接する金属エレメント23の数が少ないため、径方向外側部分に比べて金属エレメント23の接触面圧が高くなってクラックが発生し易くなる問題がある。したがって、V面24の突出部24cの寸法が径方向内外で同じであると、V面24の径方向内側部分でクラックに対する耐久性が低下する可能性がある。
しかしながら、本実施の形態によれば、ラッピングによりV面24に形成される菱形状の突出部24cは、平均径方向幅Wrが一定であると仮定した場合、V面24の径方向内側位置で突出部24cの平均周方向幅Wtが小さくなって突出部24cの面積が小さくなり、かつ径方向外側位置で突出部24cの平均周方向幅Wtが大きくなって突出部24cの面積が大きくなり、これによりV面24の全域でクラックに対する耐久性が均一化される。しかも、V面24の径方向内外における突出部24cの平均周方向幅Wtの差は、ドライブシャフト11の回転速度に対する研摩子26の往復運動の速度の比を変化させるだけで簡単に得られるので、V面24の加工コストを削減することはできる。
以上、プーリのV面24の突出部24cの平均周方向幅Wtについて説明したが、プーリのV面24の突出部24cの平均径方向幅Wrは変速時における金属エレメント23のプーリ当接面25の摩耗に大きな影響を及ぼすため、その平均径方向幅Wrの下限値を規制する必要がある。
すなわち、ベルト式無段変速機Tの変速比が増減すると、金属エレメント23のプーリ当接面25はプーリのV面24に対して径方向内外に相対移動するため、プーリのV面24に対して摺動する金属エレメント23のプーリ当接面25が摩耗する。プーリのV面24の突出部24cの平均径方向幅Wrが小さくなると、プーリのV面24の突出部24cのクラックに対する耐久性が向上するが、平均径方向幅Wrの減少に応じて突出部24cが径方向に密に配置されるため、その突出部24cに擦れ合う金属エレメント23のプーリ当接面25の摩耗が促進される問題がある。よって、金属エレメント23のプーリ当接面25の摩耗を抑制するには、プーリのV面24の突出部24cの平均径方向幅Wrの下限値を設定する必要がある。
図11は図4の11部を拡大した模式図であり、ここでプーリのV面24の第1溝部13fおよび第2溝部13gがV面24の径方向ラインを挟んで交差する角度が交差角θと定義される。第1溝部13fおよび第2溝部13gは渦巻き状であるため(図4参照)、交差角θはV面24の径方向内側部分で小さく、V面24の径方向外側部分で大きくなる。図11(A)に示すように、V面24の径方向外側部分においてとり得る交差角θの最大値は180°であり、このとき突出部24cの平均径方向幅Wrは最小になる。また図11(C)に示すように、V面24の径方向内側部分においてとり得る交差角θの最小値は0°であり、このとき突出部24cの平均径方向幅Wrは最大になる。図11(B)に示すように、V面24の径方向中間部分においてとり得る交差角θは0°<θ<180°であり、このとき突出部24cの平均径方向幅Wrは中間の大きさになる。
変速比を変更しながらベルト式無段変速機Tを長時間にわたり運転する耐久試験の結果、耐久後のプーリのV面24の突出部24cの平均径方向幅Wrが4μm以上であれば、その突出部24cに摺接する金属エレメント23のプーリ当接面25の摩耗量がサチュレートし、それ以上運転を継続しても金属エレメント23のプーリ当接面25の摩耗が進行しないことが見いだされた。
図12は横軸に耐久前の突出部24cの平均径方向幅Wrをとり、縦軸に耐久後の突出部24cの平均径方向幅Wrをとったグラフであり、◇印は第1溝部13fおよび第2溝部13gの交差角θ=180゜の場合(図11(A)参照)に対応している。図12における◇印の分布から明らかなように、耐久前の突出部24cの平均径方向幅Wrを約4μmに設定しておけば、耐久後の突出部24cの平均径方向幅Wrは約4μm〜7μmの範囲に収まるため、耐久後の突出部24cの平均径方向幅Wrが4μm以上となって金属エレメント23の摩耗に対する耐久性が確保される。
耐久運転により突出部24cの平均径方向幅Wrが増加する理由は、以下のとおりである。プーリのV面24に形成される第1溝部13fおよび第2溝部13gは、多くの場合にV字状の断面形状を有しており、耐久運転により突出部24cの頂面が摩耗して第1溝部13fおよび第2溝部13gが浅くなると、第1溝部13fおよび第2溝部13gの溝幅が減少して突出部24cの平均径方向幅Wrが増加するのである。
図12における◇印は第1溝部13fおよび第2溝部13gの交差角θ=180゜の場合であるが、交差角θが120°(△印参照)、交差角θが90°(×印参照)、交差角θが60°(*印参照)のように変化すると、第1溝部13fおよび第2溝部13gの間隔が同じであっても、突出部24cの平均径方向幅Wrは約4μmから約8μmへと増加する。よって、交差角θが最も大きくなるプーリのV面24の径方向外側部分で突出部24cの平均径方向幅Wrを4μm以上に設定すれば、プーリのV面24の径方向中間部分や径方向内側部分では平均径方向幅Wrは余裕をもって4μm以上になり、プーリのV面24の全域で平均径方向幅Wrの要件を自動的に満たすことができる。
また上述したように、耐久後の突出部24cの平均径方向幅Wrを16μm以下にすることにより、突出部24cの頂部に発生する微小なクラックの伸展を抑制し、プーリのV面24に耐久性を確保することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態では本発明をドライブプーリ13に適用しているが、それをドリブンプーリ14に適用することも可能である。
13 ドライブプーリ(プーリ)
23 金属エレメント
24 V面
24a 第1溝
24b 第2溝
24c 突出部
27 サンドペーパーまたはホーニング砥石
L プーリの回転軸線
RSm V面の粗さ曲線要素の平均長さ
Wr 突出部の平均径方向幅
Wt 突出部の平均周方向幅

Claims (3)

  1. 金属エレメント(23)が当接するプーリ(13)のV面(24)が、前記プーリ(13)の回転軸線(L)側から径方向外側かつ周方向一方側に渦巻き状に延びる多数の第1溝(24a)と、前記回転軸線(L)側から径方向外側かつ周方向他方側に渦巻き状に延びる多数の第2溝(24b)と、前記第1溝(24a)および前記第2溝(24b)に囲まれた多数の菱形状の突出部(24c)とを備え、前記突出部(24c)の平均周方向幅(Wt)は、前記V面(24)の径方向外側位置よりも径方向内側位置で小さい無段変速機用プーリの製造方法であって、
    前記プーリ(13)を前記回転軸線(L)まわりに一定回転速度で回転させながら、前記V面(24)に当接するサンドペーパー(27)またはホーニング砥石(27)を径方向に一定速度で往復運動させてラッピングまたはホーニングすることで、前記V面(24)に前記第1溝(24a)および前記第2溝(24b)を形成することを特徴とする無段変速機用プーリの製造方法。
  2. 耐久前の前記突出部(24c)の平均径方向幅(Wr)が4μm以上かつ16μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の無段変速機用プーリの製造方法
  3. 前記V面(24)の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)に基づいて前記突出部(24c)の平均周方向幅(Wt)を評価し、前記平均周方向幅(Wt)が所定値以下になるように前記V面(24)のラッピング時間またはホーニング時間を設定することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の無段変速機用プーリの製造方法。
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