JP5565386B2 - 伝動ベルト - Google Patents

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Description

この発明は、多数の板片状のエレメントを姿勢を揃えて配列させて、金属製の帯状のリングを複数積層させた積層リングによって環状に結束することにより構成される伝動ベルトに関するものである。
ベルト式無段変速機に用いられる動力伝達用のベルトとして、押圧式の伝動ベルトが知られている。この種の伝動ベルトは、通常、エレメントもしくはブロックなどと称される多数の板状の小片をそれぞれ環状に整列させて、リングもしくはフープなどと称される環状体で結束することにより構成されている。
そのような伝動ベルトの一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されている「無段変速機用ベルト」は、複数枚の金属リングを積層させた金属リング集合体(積層リング)によって複数個の金属エレメントを支持した無段変速機用ベルトであって、少なくとも最内層の金属リングの内周面に山脈状の突出部が形成され、金属リングの進行方向と直角方向に計測した突出部の初期摩耗後の平均接触幅wが16μm以下となるように構成されている。これにより、幅の狭い突出部の頂部に生じたピッチング(微小なひび割れ)の深さ方向への進展を阻止し、その浅いピッチングを金属エレメントとの接触による摩耗で消失させ、クラックの発生を防止することができる、とされている。また、金属リングと金属エレメントとの間のなじみが進行すると、それらの間の面圧が低下してピッチングが発生し難くなり、かつ突出部の頂部が摩耗して面粗度が良くなるので、潤滑性が向上して金属リングの耐久性が向上する、ともされている。
また、特許文献2には、複数の薄肉の金属製リングが相互に摺動自在に積層されて形成されたリング集合体(積層リング)と、そのリング集合体の長手方向に並列してリング集合体に摺動自在に支持された多数の金属製ブロック(エレメント)とから構成された「無端金属ベルト」に関する発明が記載されている。この特許文献2に記載されている金属ベルトは、隣接する金属製リング間の摺接面の少なくとも一方に潤滑油保持用の溝が形成され、金属製ブロックのサドル面と摺接するリング集合体の最内周の金属製リングの内周面が、潤滑油保持用の溝が形成されていない平滑面となるように構成されている。
そして、特許文献3には、圧延加工した素材リングを熱処理して素材リングを硬化させた後に、表面の耐摩耗性を向上させる窒化処理を施し、その窒化処理後に、素材リングの表面に油溜り用の多数の窪みを形成するようにした「金属製多層ベルトの製造方法」に関する発明が記載されている。
なお、特許文献4には、チェーン幅方向に並ぶ複数のリンクを、それらリンク同士の長さ方向の屈曲が可能なように連結した「動力伝達チェーン」に関する発明が記載されている。このに記載されている動力伝達チェーンは、隣り合うリンク同士が互いに接触させられているとともに、リンクの少なくとも片方の面に、潤滑油を保持し易くするための複数のディンプルが形成されている。
特開2004−11887号公報 特開2001−280427号公報 特開平9−323133号公報 特開2008−190554号公報
上記の各特許文献に記載されているような多数のエレメントと金属製の積層リングとから構成される伝動ベルトでは、動力伝達を行う運転時に、エレメントのサドル面と積層リングの最内層のリングの内周面との間、および積層リングの各層のリング同士の間で、不可避的な滑りおよびそれに伴う摩耗が発生する。そのため、上記のような伝動ベルトには、摩擦による発熱や摩耗を抑制するために潤滑油が供給される。その場合、例えば上記の特許文献1に記載されている「無段変速機用ベルト」や、特許文献2に記載されている「無端金属ベルト」のように、リングの表面に山脈状の突出部や潤滑油保持用の溝などを形成することにより、それら各突出部間の谷間あるいは溝に潤滑油を保持させて、ベルトの潤滑性を向上させることが考えられる。
しかしながら、上記の特許文献1や特許文献2に記載されている突出部や溝は、いずれも、リング表面のリング幅方向全体にわたって格子状もしくは網目状に形成されているので、ベルトに供給された潤滑油は、各突出部間の谷間や溝に一旦は保持されるものの、ベルトの運転中にリングの外部に排出されてしまう。その結果、潤滑油による冷却や潤滑の効果が低下してしまう可能性がある。
また、上記の特許文献1に記載されている山脈状の突出部は、最内層リングの内周面に形成される場合は、上記のように、エレメントのサドル面と最内層リングの内周面との間のなじみが進行することにより、面粗度が良好になり潤滑性が向上する、とされている。しかしながら、突出部が積層リングの各層のリング同士の対向面に形成される場合には、最内層リングの内周面に突出部が形成される場合と比較して、それら対向面間の面圧が低くなじみが進行し難いことから、突出部の摩擦抵抗により摩擦損失が増大してしまう可能性がある。
これに対して、上記の特許文献3や特許文献4に記載されている油溜まり用の窪みやディンプルなどをリングの表面に形成することにより、上記のような格子状もしくは網目状の突出部や溝を形成した場合と比較して、リングの表面にオイルを保持し易くなる。しかしながら、上記のような積層リングを用いた伝動ベルトでは、上記の特許文献3や特許文献4に記載されているような潤滑油の保持を目的とした窪みやディンプルであっても、それら窪みやディンプルが最内層リングやそれ以外の各層のリングに一律に形成されると、伝動ベルトの各摺動部位に対して必ずしも最適な潤滑状態にはならない場合がある。
すなわち、図17に示すように、上記のような積層リングを用いた伝動ベルトでは、エレメントのサドル面と最内層リングの内周面との間と、積層リングの各層のリング同士の間とで、それらの間の摩擦・潤滑状態が異なっている。エレメントのサドル面と最内層リングの内周面との間は、相対的に摩擦係数が大きく、また相対的に面圧が高く滑り速度が速い境界潤滑状態で摩擦が発生している。一方、積層リングの各層のリング同士の間は、相対的に摩擦係数が小さく、また相対的に面圧が低く滑り速度が遅い混合潤滑状態で摩擦が発生している。したがって、エレメントのサドル面と最内層リングの内周面との間と、積層リングの各層のリング同士の間とでは、それらの間の各摺動部位を最適に潤滑するための条件が異なることになる。そのため、上記のような窪みやディンプルをリングの表面に一律に形成した場合は、潤滑油による冷却や潤滑の効果を十分に得られない可能性がある。
このように、多数のエレメントと金属製の積層リングとから構成される伝動ベルトに対して、エレメントと積層リングとの間、および積層リングの各層のリング同士の間の摩擦・潤滑状態が異なるいずれの部位においても、それぞれの摩擦・潤滑状態に応じて適切に潤滑油を供給し、その潤滑油による良好な潤滑効果を得るためには、未だ改良の余地があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、エレメントと積層リングとの間、および積層リングを形成する各層のリング同士の間のいずれにおいても、潤滑油による潤滑を良好に行うことにより、摩擦損失を低減しかつ耐久性を向上させることができる伝動ベルトを提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、板厚方向に整列させた多数の板片状のエレメントを、複数の帯状のリングを積層させて形成した積層リングで環状に結束することにより構成される伝動ベルトにおいて、前記積層リングを形成する際に互いに重なり合う前記リング同士の対向面の間に形成された、潤滑油を保持することが可能な容積を有する第1閉空間と、前記エレメントを結束している前記積層リングの各層を構成する前記リングのうち最内層に位置する最内層リングの内周面と、前記エレメントのサドル面との間に形成された、前記第1閉空間よりも容積が大きい第2閉空間とを備え、前記第1閉空間は、前記リングの内周面および外周面の少なくとも一方に形成された第1凹部と、隣接する他の前記リングの対向面とによって形成される閉空間を含み、前記第2閉空間は、前記最内層リングの内周面および前記サドル面の少なくとも一方に形成されかつ開口径および谷深さならびに形成密度の少なくともいずれか1つの値が前記第1凹部よりも大きい第2凹部と、それに対向する前記サドル面および前記最内層リングの内周面の少なくとも一方とによって形成される閉空間を含んでいて、前記第1凹部および前記第2凹部は、前記リングの幅方向における中央部分に形成されているとともに、前記第1凹部および前記第2凹部が形成された前記中央部分の摩擦係数は、前記幅方向において前記中央部分を挟む両端部分の摩擦係数よりも小さいことを特徴とする伝動ベルトである。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1凹部および前記第2凹部は、前記リングの幅方向における中央部分のみに形成されていることを特徴とする伝動ベルトである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記第1凹部が形成された面は、ISO 13565−2(JIS B0671−2)に規定される突出谷部深さRvkの値が予め定めた基準谷部深さよりも小さいプラトー構造表面となっていて、前記第2凹部が形成された面は、前記突出谷部深さRvkの値が前記基準谷部深さよりも大きいプラトー構造表面となっていることを特徴とする伝動ベルトである。
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記第1凹部が形成された面および前記第2凹部が形成された面の少なくとも一方は、ISO 13565−2(JIS B0671−2)に規定される突出山部高さRpkの値が予め定めた基準山部高さよりも小さいプラトー構造表面となっていることを特徴とする伝動ベルトである。
また、請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかの発明において、前記最内層リングを含む全ての前記リングの内周面および外周面の少なくともいずれか一方に、前記第1凹部が形成され、前記サドル面に、前記第2凹部が形成されていることを特徴とする伝動ベルトである。
また、請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記第1凹部は、前記リングの幅方向における中央部分に形成されていることを特徴とする伝動ベルトである。
また、請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記第1凹部が形成された前記中央部分の摩擦係数は、前記幅方向において前記中央部分を挟む両端部分の摩擦係数よりも小さいことを特徴とする伝動ベルトである。
また、請求項8の発明は、請求項6または7の発明において、前記第1凹部は、前記リングの幅方向における中央部分のみに形成されていることを特徴とする伝動ベルトである。
請求項1の発明によれば、積層リングの各層を構成するリング同士の間、および、エレメントのサドル面と積層リングの最内層リングの内周面との間に、それぞれ、第1閉空間および第2閉空間が形成される。その結果、第1閉空間には、伝動ベルトに供給された潤滑油を所定の容積分貯留させて保持することができる。そして積層リングの各層のリング同士の間の面圧や摩擦の作用によって第1閉空間に保持された潤滑油がその第1閉空間から排出されることにより、積層リングの各層のリング同士の間に潤滑油を供給することができる。また、第2閉空間には、第1閉空間よりもより多くの潤滑油を貯留させて保持することができる。そして最内層リングの内周面とエレメントのサドル面との間の面圧や摩擦の作用によって第2閉空間に保持された潤滑油がその第2閉空間から排出されることにより、最内層リングの内周面とエレメントのサドル面との間に潤滑油を供給することができる。
前述したように、積層リングを用いた伝動ベルトでは、積層リングの各層のリング同士の間、および、積層リングの最内層リングの内周面とエレメントのサドル面との間における摩擦・潤滑状態がそれぞれ異なっている。すなわち、積層リングの各層のリング同士の間では、いわゆる混合潤滑状態となっていて、相対的に面圧および滑り速度が低い状態で摩擦が発生する。一方、最内層リングの内周面とエレメントのサドル面との間では、いわゆる境界潤滑状態となっていて、上記の積層リングの各層のリング同士の間における摩擦・潤滑状態と比較して、面圧および滑り速度が高い状態で摩擦が発生する。すなわち、より厳しい摩擦・潤滑状態となっている。したがって、最内層リングの内周面とエレメントのサドル面との間には、積層リングの各層のリング同士の間よりもより多くの潤滑油を供給する必要がある。それに対応してこの発明における伝動ベルトでは、上記のように、積層リングの各層のリング同士の間に、第1閉空間で保持した潤滑油を供給することができる。それとともに、摩擦・潤滑状態がより厳しい最内層リングの内周面とエレメントのサドル面との間に、第2閉空間で保持したより多くの潤滑油を供給することができる。そのため、積層リングの各層のリング同士の間、および、積層リングの最内層リングの内周面とエレメントのサドル面との間のいずれに対しても、それぞれの摩擦・潤滑状態に応じて適切に潤滑油を供給することができる。その結果、伝動ベルトの摩擦損失を低減し、かつ耐久性を向上させることができる。
また、上記のように積層リングの各層のリング同士の間に潤滑油を保持するための第1閉空間が、各層のリングの内周面および外周面の少なくとも一方に形成された第1凹部と、それに対向する面、すなわち隣接する他のリングの対向面とによって構成される。また、上記のように最内層リングの内周面とエレメントのサドル面との間に潤滑油を保持するための第2閉空間が、最内層リングの内周面およびサドル面の少なくとも一方に形成された第2凹部と、それに対向する面、すなわちサドル面もしくは最内層リングの内周面とによって構成される。したがって、第1閉空間は、積層リングの対象とする面に第1凹部を形成することにより容易に構成することができる。同様に、第2閉空間は、最内層リングの内周面あるいはサドル面に第2凹部を形成することにより容易に構成することができる。例えば、リングの内周面もしくは外周面に、所定の粒径のショットを用いたショットピーニングを施すことにより、第1凹部を容易に形成することができる。そして、例えば最内層リングの内周面あるいはサドル面に、第1凹部に用いるものよりも粒径が大きいショットを用いたショットピーニングを施すことにより、第1凹部よりも開口径あるいは谷深さが大きな第2凹部を容易に形成することができる。また、例えば第1凹部よりもより長い噴射時間でショットピーニングを施すことにより、第1凹部よりも形成密度が高い第2凹部を容易に形成することができる
また、上記のような第1凹部および第2凹部が、積層リングの幅方向における中央部分に形成される。そのため、サドル面に対する積層リングの位置が積層リングの幅方向における中央部分から左右にずれた場合に、積層リングの位置を中央部分に戻すいわゆるセンタリング機能を持たせることができる。
そして、上記のように第1凹部および第2凹部が形成された積層リングの幅方向における中央部分は、その幅方向における両端部分よりも摩擦係数が小さくなるように形成される。そのため、上記のようなセンタリング機能をより確実に持たせることができる。
また、請求項3の発明によれば、第1凹部が形成される面が、突出谷部深さRvkが予め設定した基準値すなわち基準谷部深さよりも小さいプラトー構造表面となるように形成される。そのため、積層リングの各層のリング同士の間の摩擦係数を低下させることができ、その結果、積層リングの各層間で生じる摩擦損失を低減することができる。同様に、第2凹部が形成される面が、突出谷部深さRvkが基準谷部深さよりも大きいプラトー構造表面となるように形成される。そのため、最内層リングの内周面とエレメントのサドル面との間の摩擦係数を低下させることができ、その結果、積層リングとサドル面との間で生じる摩擦損失を低減することができる。また、最内層リングとサドル面との間の摩擦係数が低下することにより、最内層リングとサドル面との間で発生する動摩擦と静摩擦との差が小さくなる。その結果、最内層リングがサドル面に対して滑りを繰り返す際に発生する摩擦による応力振幅を減少させることができ、ひいては伝動ベルトの耐久性を向上させることができる。
また、請求項4の発明によれば、第1凹部が形成される面が、突出山部高さRpkが予め設定した基準値すなわち基準山部高さよりも小さいプラトー構造表面となるように形成される。そのため、積層リングの各層のリング同士の間の摩擦係数を確実に低下させることができ、その結果、積層リングの各層間で生じる摩擦損失を確実に低減することができる。同様に、第2凹部が形成される面が、突出山部高さRpkが基準山部高さよりも小さいプラトー構造表面となるように形成される。そのため、最内層リングの内周面とエレメントのサドル面との間の摩擦係数を確実に低下させることができ、その結果、積層リングとサドル面との間で生じる摩擦損失を確実に低減することができる。
また、請求項5の発明によれば、積層リングを構成する各層のリングに対して、最内層リングも含めて全てに同じ加工を施すことにより第1凹部を形成することができる。そのため、各層のリング同士の間に第1閉空間を生産性良く形成することができる。そして、エレメントのサドル面に第2凹部を形成することにより、最内層リングの内周面とサドル面との間に第2閉空間を容易に形成することができる。
また、請求項6の発明によれば、上記のような第1凹部が、積層リングの幅方向における中央部分に形成される。そのため、サドル面に対する積層リングの位置が積層リングの幅方向における中央部分から左右にずれた場合に、積層リングの位置を中央部分に戻すいわゆるセンタリング機能を持たせることができる。
そして、請求項7の発明によれば、上記のように第1凹部が形成された積層リングの幅方向における中央部分は、その幅方向における両端部分よりも摩擦係数が小さくなるように形成される。そのため、上記のようなセンタリング機能をより確実に持たせることができる。
この発明における伝動ベルトの構成例を説明するための模式図であって、エレメントの構成を示す正面図および積層リングの構成を示す断面図である。 この発明における伝動ベルトの構成例を説明するための模式図であって、エレメントおよび積層リングの構成を示す側面図(一部断面図)である。 この発明における伝動ベルトの構成例を説明するための模式図であって、特に積層リングの構成を示す模式図である。 この発明における伝動ベルトの構成例を説明するための模式図であって、(a)は、第1閉空間を形成する第1凹部の構成を示す図であり、(b)は、第2閉空間を形成する第2凹部の構成を示す図である。 第1凹部および第2凹部が形成される面に適用されるプラトー構造表面を説明するための模式図である。 第1凹部が形成される面のプラトー構造表面の表面性状を説明するための模式図であって、特に突出谷深さRvkを説明するための図である。 第2凹部が形成される面のプラトー構造表面の表面性状を説明するための模式図であって、特に突出谷部深さRvkを説明するための図である。 第1凹部および第2凹部が形成される面のプラトー構造表面の表面性状を説明するための模式図であって、特に突出山部高さRpkを説明するための図である。 この発明における伝動ベルトの他の構成例を説明するための模式図であって、最内層リングの幅方向中央部分に第2凹部が形成された構成を説明するための図である。 図9に示す最内層リングの幅方向中央部分におけるサドル面との接触幅の求め方を説明するための模式図である。 図9に示す最内層リングの幅方向中央部分におけるサドル面との接触幅の求め方を説明するための模式図である。 図9に示す構成の伝動ベルトによる作用・効果を説明するための模式図である。 この発明における伝動ベルトの他の構成例を説明するための模式図であって、積層リングを構成する各リングの内外周面に第1凹部が形成され、エレメントのサドル面に第2凹部が形成された構成を説明するための図である。 図13に示す構成の伝動ベルトによる作用・効果を説明するための模式図である。 この発明における伝動ベルトの他の構成例、およびその構成の伝動ベルトによる作用・効果を説明するための模式図である。 この発明における伝動ベルトの他の構成例、およびその構成の伝動ベルトによる作用・効果を説明するための模式図である。 積層リングを用いた従来の伝動ベルトの各摺動部分における摩擦・潤滑状態の違いを説明するための模式図である。
つぎに、この発明における伝動ベルトの構成を図面を参照して具体的に説明する。この発明の伝動ベルトは、例えば車両に搭載されるベルト式無段変速機に使用される。したがってこの発明の伝動ベルトは、2組のプーリのプーリ溝に巻き掛けられ、プーリとの間で生じる摩擦力によってトルクを伝達するように構成されている。その基本的な構成の一例を図1,図2に模式的に示してある。図1,図2において、伝動ベルトBは、ベルト式無段変速機のベルト伝動機構部を構成しているプーリ(駆動プーリおよび従動プーリ)Pに巻き掛けられている。これらの各プーリPは、傾斜面をそれぞれ備えた固定シーブと可動シーブとを対向させて配置することにより、各シーブの間にV字状のプーリ溝Pvが形成されている。そして可動シーブを油圧シリンダなどのアクチュエータによって固定シーブに対して摺動させることにより、プーリ溝Pvの幅を変化させて変速比を連続的に変更することが可能なように構成されている。
具体的には、伝動ベルトBは、プーリPに巻き掛かった状態でプーリPのプーリ溝Pvに当接して、プーリ溝Pvの表面から受ける圧力に対抗する多数のエレメントEと、それら多数のエレメントEを環状に保持するための2本の積層リングRとから構成されている。
エレメントEは、例えば金属製の板片状の部材によって形成されている。そのエレメントEの本体部分が基体部1によって形成されている。そして、基体部1の幅方向(図1でのx軸方向)における左右の両端面2が、プーリ溝Pvに対応して傾斜した傾斜面として形成されている。これらの両端面2が、いわゆるフランク面であって、プーリ溝Pvに摩擦接触してプーリPと伝動ベルトBとの間でトルクを伝達する摩擦面となっている。
基体部1の幅方向における中央部分に、図1,図2での上方に延びた首部3が形成されている。その首部3の上端部には、基体部1の幅方向での左右両側に延出した頭部4が首部3と一体に形成されている。したがって基体部1の図1,図2での上側のエッジ部分と頭部4の図1,図2での下側のエッジ部分との間に、基体部1の幅方向での左右両側に開いたスリット部5が形成されている。このスリット部5は、互いに密着して整列させたエレメントEを環状に結束する際に、積層リングRを挿入して巻き掛けるための部分である。したがって基体部1の図1,図2での上側のエッジ部分が、積層リングRの最内周面Riと接触するサドル面6となっている。
エレメントEの頭部4には、エレメントEを板厚方向(図2のz軸方向)に整列させる際に、隣接するエレメントE同士の相対的な位置を決めるための凸部7と凹部8とが形成されている。すなわち、首部3の延長位置で頭部4の中央部分における板厚方向での前後面の一方(図2の例では左側の前面9)に、凸部7が形成されている。そして、首部3の延長位置で頭部4の中央部分における前後面の他方(図2の例では右側の後面10)に、隣接する他のエレメントEの凸部7を緩く嵌合させる凹部8が形成されている。したがってこれらの凸部7と凹部8とが互いに嵌合することにより、隣接するエレメントE同士の図1での左右方向および上下方向の相対位置を決めるようになっている。
エレメントEは、姿勢を揃えて環状に配列された状態で積層リングRによって結束され、その状態でプーリPに巻き掛けられる。したがってプーリPに巻き掛けられた状態では、多数のエレメントEによるエレメント列が、プーリPの中心に対して扇状に拡がり、かつ、互いに密着している必要がある。そのため、エレメントEの図1,図2での下側(環状に配列した状態での中心側)の部分が薄肉に形成されている。
すなわち、基体部1の前面9におけるサドル面6から下側(図1,図2での下側)の部分が削り落とされた状態で薄肉化されている。言い換えると、基体部1の前面9に、エレメントEの高さ方向(図1,図2のy軸方向)におけるサドル面6よりも下側の部分が基体部1の最大板厚部分よりも板厚の薄い薄肉部が形成されている。そのため、エレメント列が扇形に拡がる場合には、基体部1の板厚が変化する境界部分で隣接する他のエレメントEと接触することになる。すなわち、この境界部分のエッジもしくは稜線が、エレメント列が円弧状に湾曲した配列状態のときに隣接する他のエレメントEの後面10と接触するいわゆるロッキングエッジ11となっている。
一方、積層リングRには、伝動ベルトBがプーリPに巻き掛かる際に、その巻き掛かり径を自在に変更可能にするための十分な可撓性と、動力伝達時にプーリPから受ける伝達トルクや挟圧力に対抗するための十分な抗張力とを兼ね備えていることが要求される。そのため、積層リングRは、図3に示すように、例えばスチールバンドなどの金属製の環状で単層のリング12を、その厚さ方向(図1,図2での上下方向)に複数枚重ね合わせることにより構成されている。この積層リングRを形成する各層のリング12同士の積層状態は、各リング12の張力や各リング12同士の間の摩擦力等によって相対移動が可能な程度に保持されている。なお、以下の説明では、各リング12のうち最内層側に積層されるリング12を、言い換えると、積層リングRの最内周面Riを構成するリング12を、特に最内層リング13と称することにする。
上記のような積層リングを用いた構成の従来の伝動ベルトでは、伝動ベルトが動力伝達を行う運転時に、伝動ベルト各部で不可避的に滑りが発生する。例えば、積層リングを構成する各層のリング同士の間で相対滑りが発生する。また、積層リングの最内周面とエレメントのサドル面との間でも滑りが発生する。そのため、上記のような従来構成の伝動ベルトには、通常、滑りに伴う摩擦による摩耗や発熱を抑制するために潤滑油が使用される。その場合、上記のような伝動ベルトの各摺動部分における摩擦・潤滑状態は、前述の図17に示すようにそれぞれ異なっている。
すなわち、積層リングの各層のリング同士の間は、摩擦係数が相対的に低く、また摺動面の面圧および滑り速度が相対的に低くなっている。これはいわゆる混合潤滑状態であり、その摺動面は、潤滑油による油膜で支持されている部分と、各層のリングの表面同士が直接接触している部分とが混在した摩擦・潤滑状態となっている。一方、積層リングの最内周面とエレメントのサドル面との間は、摩擦係数が相対的に高く、また摩擦面の面圧および滑り速度が相対的に高くなっている。これはいわゆる境界潤滑状態であり、その摺動面は、潤滑油による油膜の形成が十分ではなく、積層リングの最内周面とエレメントのサドル面とが直接接触して摺動する頻度が高い摩擦・潤滑状態となっている。
したがって、混合潤滑状態で摩擦が発生する積層リングの各層のリング同士の間と、境界潤滑状態で摩擦が発生する積層リングの最内周面とエレメントのサドル面との間とでは、必要とする潤滑油の量がそれぞれ異なることになる。すなわち、積層リングの各層のリング同士の間で必要とされる潤滑油量に対して、積層リングの最内周面とエレメントのサドル面との間ではより多くの潤滑油が必要とされる。そのため、上記のような積層リングを用いた構成の伝動ベルト各摺動部分に対して適切に潤滑油を供給するためには、各摺動部分に一律に潤滑油を供給するのではなく、各摺動部分の摩擦・潤滑状態に応じて、適量の潤滑油を供給することが重要となる。そこで、この発明における伝動ベルトBでは、積層リングRの各層のリング12同士の間、および積層リングRの最内周面RiとエレメントEのサドル面6との間の、摩擦・潤滑状態が異なる各摺動部分に対して、それぞれの摩擦・潤滑状態に応じた適量の潤滑油を供給することができるように構成されている。
すなわち、この発明における伝動ベルトBは、積層リングRの各層のリング12同士の間に、所定量の潤滑油を保持することが可能な容積を有する第1閉空間が形成されている。そして、積層リングRの最内周面RiとエレメントEのサドル面6との間、すなわち最内層リング13の内周面13iとサドル面6との間に、第1閉空間よりも容積が大きい第2閉空間が形成されている。したがって、第2閉空間は、第1閉空間よりも多くの潤滑油を保持することが可能な容積を有している。
具体的には、図4に示すように、積層リングRを構成する各層のリング12の内周面12iに、その内周面12iの表面から所定の開口径および谷深さで窪ませた第1凹部14が形成されている。したがって、積層リングRには、各層のリング12の内周面12iに形成された第1凹部14と、それに隣接して対向する他のリング12の対向面すなわち外周面12oとによって、第1閉空間が形成される。そして、積層リングRの最内周面Riを構成する最内層リング13の内周面13iに、上記の第1凹部14よりも大きな開口径および谷深さで窪ませた第2凹部15が形成されている。したがって、積層リングRとエレメントEとの間には、最内層リング13の内周面13iに形成された第2凹部15と、それに対向するエレメントEのサドル面6とによって、第2閉空間が形成される。
上記のような第1凹部14および第2凹部15は、各リング12の内周面12iおよび最内層リング13の内周面13iに、例えば、ショットピーニングもしくはショットブラストなどの表面加工を施すことにより、容易に形成することができる。例えば、各リング12の内周面12iに対して、所定の粒径のショットを用いて所定の噴射圧力および噴射時間でショットピーニングを行うことにより、所定の開口径および谷深さならびに形成密度で、各リング12の内周面12iに第1凹部14を形成することができる。このようにして各リング12の内周面12iに形成された第1凹部14は、伝動ベルトBに供給される潤滑油の一部をその凹部内に貯留する油溜まりとして機能する。したがって、各リング12の内周面12iに対するショットピーニングの際のショットの粒径および噴射圧力ならびに噴射時間等を適宜に調整することにより、第1閉空間で所望する量の潤滑油を保持することができるように、各リング12の内周面12iに適切な大きさおよび数量の第1凹部14を形成することができる。
また、例えば、最内層リング13の内周面13iに対して、上記の第1凹部14を形成する際に用いたものよりも粒径が大きなショットを用いてショットピーニングを行うことにより、第1凹部14よりも開口径が大きい第2凹部15を、最内層リング13の内周面13iに形成することができる。あるいは、第1凹部14よりも開口径が大きく谷深さが深い第2凹部15を、最内層リング13の内周面13iに形成することができる。あるいは、第1凹部14よりも形成密度が高い第2凹部15を、最内層リング13の内周面13iに形成することができる。このようにして最内層リング13の内周面13iに形成された第2凹部15は、上記の第1凹部14と同様、伝動ベルトBに供給される潤滑油の一部をその凹部内に貯留する油溜まりとして機能する。したがって、最内層リング13の内周面13iに対するショットピーニングの際のショットの粒径および噴射圧力ならびに噴射時間等を適宜に調整することにより、第2閉空間で所望する量の潤滑油を保持することができるように、最内層リング13の内周面13iに適切な大きさおよび数量の第2凹部15を形成することができる。
なお、第1凹部14および第2凹部15の形成密度は、例えば各リング12の内周面12iの表面積に対する第1凹部14の開口面積の総数の割合として、あるいは最内層リング13の内周面13iの表面積に対する第2凹部15の開口面積の総数の割合として表すことができる。また、上記のように、第1凹部14および第2凹部15を形成するために、各リング12および最内層リング13にショットピーニングを施すことにより、それら各リング12および最内層リング13には残留圧縮応力が付与されることになる。そのため、各リング12および最内層リング13の疲労強度が向上し、積層リングの耐久性の向上も期待できる。
また、第1凹部14および第2凹部15の形成方法は、上記のようなショットピーニングもしくはショットブラストに限定されるものではない。要するに、第1凹部14は、第1閉空間で所望する量の潤滑油を保持することができるような油溜まりとして機能すればよく、所望する量の潤滑油を貯留することが可能な谷深さを有する窪みや溝などにより構成することができる。同様に、第2凹部15は、第2閉空間で所望する量の潤滑油を保持することができるような油溜まりとして機能すればよく、所望する量の潤滑油を貯留することが可能な谷深さを有する窪みや溝などにより構成することができる。したがって、第1凹部14および第2凹部15は、上記のようなショットピーニングもしくはショットブラスト以外にも、例えば、切削加工、ワイヤブラッシング、やすりがけ、あるいは腐食加工など、各種の表面加工方法によって形成することができる。
また、上記の具体例では、第1凹部14が各リング12の内周面12iに形成された例を示しているが、この発明における第1凹部14は、各リング12の外周面12oに形成することもできる。その場合、積層リングRには、各層のリング12の外周面12oに形成された第1凹部14と、それに隣接して対向する他のリング12の対向面すなわち内周面12iとによって、第1閉空間が形成される。あるいは、この発明における第1凹部14は、各リング12の内周面12iと外周面12oとの両面に形成することもできる。その場合、積層リングRには、各リング12の内周面12iに形成された第1凹部14と、それに隣接して対向する他のリング12の外周面12oとによって、第1閉空間が形成される。それとともに、各リング12の外周面12oに形成された第1凹部14と、それに隣接して対向する他のリング12の内周面12iとによって、第1閉空間が形成される。
そして、上記の具体例では、第2凹部15が最内層リング13の内周面13iに形成された例を示しているが、この発明における第2凹部15は、エレメントEのサドル面6に形成することもできる。あるいは、この発明における第2凹部15は、最内層リング13の内周面13iとエレメントEのサドル面6の両方に形成することもできる。いずれの場合にも、積層リングRとエレメントEとの間には、最内層リング13の内周面13iおよびエレメントEのサドル面6の少なくとも一方に形成された第2凹部15と、それに対向するエレメントEのサドル面6もしくは最内層リング13の内周面13iとによって、第2閉空間が形成される。
上記のように、積層リングRの各層のリング12同士の間に第1閉空間が形成されることにより、その第1閉空間に潤滑油を保持することができる。第1閉空間に保持した潤滑油は、各層のリング12同士の間の面圧や摩擦力の作用によって第1閉空間からそれら各層のリング12同士の間の摺動部分へ排出される。したがって、第1閉空間の容積を適宜に設定することにより、すなわち第1閉空間を構成する第1凹部14の大きさや数を適宜に調整して設定することにより、各層のリング12同士の間の摺動部分へ、その摩擦・潤滑状態に応じた適切な量の潤滑油を供給することができる。
また、上記のように、積層リングRの最内周面RiとエレメントEのサドル面6との間に第2閉空間が形成されることにより、その第2閉空間に潤滑油を保持することができる。第2閉空間に保持した潤滑油は、積層リングRの最内周面RiとエレメントEのサドル面6との間の面圧や摩擦力の作用によって第2閉空間からそれら最内周面Riとサドル面6との間の摺動部分へ排出される。上記のように第2閉空間は、第1閉空間よりも大きな容積を有しているので、第2閉空間には、第1閉空間よりも多くの潤滑油が保持されるとともに、第2閉空間からは第1閉空間よりも多くの潤滑油を排出させることができる。積層リングRの最内周面RiとエレメントEのサドル面6との間の摺動部分は、上記の積層リングRの各層のリング12同士の間の摺動部分と比較して、より厳しい摩擦・潤滑状態となっている。しかしながら、上記のように第2閉空間が第1閉空間よりも大きな容積を有していることにより、積層リングRの最内周面RiとエレメントEのサドル面6との間の摺動部分には、その摩擦・潤滑状態に応じたより多くの潤滑油を供給することができる。そして、第2閉空間の容積を適宜に設定することにより、すなわち第2閉空間を構成する第2凹部15の大きさや数を適宜に調整して設定することにより、各層のリング12同士の間の摺動部分へ、その摩擦・潤滑状態に応じた適切な量の潤滑油を供給することができる。
この発明における伝動ベルトBは、上記のような第1凹部14および第2凹部15が形成される面を、例えば図5に示すような、いわゆるプラトー構造表面として形成することによって、伝動ベルトBの各摺動部分における潤滑性能をより良好なものにすることができる。例えば、第1凹部14あるいは第2凹部15によって形成される油溜まり部(谷部)を残しつつ、その谷部と谷部との間の山部の頂点部分を、例えばホーニングやラッピングなどの研削・研磨加工によって平滑に仕上げて平滑部とすることにより、第1凹部14および第2凹部15が形成される面を、上記のようなプラトー構造表面そして形成することができる。
前述のように、積層リングRの各層のリング12同士の間の摩擦・潤滑状態と、最内層リング13の内周面13iとエレメントEのサドル面6との間の摩擦・潤滑状態とがそれぞれ異なっている。そのため、上記のように第1凹部14および第2凹部15が形成される面をプラトー構造表面として形成する場合、第1凹部14が形成される面と、第2凹部15が形成させる面とでは、それらのプラトー構造表面の表面性状がそれぞれ異なって形成される。
すなわち、積層リングRの各層のリング12同士の間は、前述のように混合潤滑状態で摩擦が発生するので、第1凹部14が形成される面は、油溜まり部が少なく平滑部が多いプラトー構造表面として形成される。具体的には、図6に示すように、第1凹部14が形成される面、すなわち各リング12の内周面12iは、油溜まり部の深さが、プラトー構造表面を加工する際の基準値として予め定めた基準谷部深さよりも小さくなるように、油溜まり部に対して平滑部の割合が大きいプラトー構造表面として形成される。より具体的には、各リング12の内周面12iは、ISO 13565−2(JIS B0671−2)に規定される突出谷部深さRvkの値が、基準谷部深さよりも小さいプラトー構造表面として形成される。例えば、各リング12の内周面12iは、突出谷部深さRvkの値が0.1μmよりも小さいプラトー構造表面として形成される。突出谷部深さRvkは、プラトー構造表面の表面性状を示すパラメータであり、上記のような油溜まり部の深さを表している。各リング12の内周面12iに形成されるプラトー構造表面は、例えば、上記のように突出谷部深さRvkが0.1μmよりも小さいことが好ましいが、より好ましくは、突出谷部深さRvkが0.05μmよりも小さくなるように形成することにより、積層リングRの各層のリング12同士の間の摩擦係数を低下させて、その摺動部分における潤滑性能を向上させることができる。
一方、最内層リング13の内周面13iとエレメントEのサドル面6との間は、前述のように境界潤滑状態で摩擦が発生するので、第2凹部15が形成される面は、油溜まり部が多いプラトー構造表面として形成される。具体的には、図7に示すように、第2凹部15が形成される面、すなわち最内層リング13の内周面13iは、油溜まり部の深さが、基準谷部深さよりも大きくなるように、油溜まり部が大きいプラトー構造表面として形成される。より具体的には、最内層リング13の内周面13iは、突出谷部深さRvkの値が、基準谷部深さよりも大きいプラトー構造表面として形成される。例えば、最内層リング13の内周面13iは、突出谷部深さRvkの値が0.15μmよりも大きいプラトー構造表面として形成される。最内層リング13の内周面13iに形成されるプラトー構造表面は、例えば、上記のように突出谷部深さRvkが0.15μmよりも大きいことが好ましいが、より好ましくは、突出谷部深さRvkが0.2μmよりも大きくなるように形成することにより、最内層リング13の内周面13iとエレメントEのサドル面6との間の摩擦係数を低下させて、その摺動部分における潤滑性能を向上させることができる。
さらに、上記のように第1凹部14および第2凹部15が形成される面のプラトー構造表面は、平滑部の粗さが、プラトー構造表面を加工する際の基準値として予め定めた基準山部高さよりも小さくなるように形成される。具体的には、各リング12の内周面12iは、上記のように突出谷部深さRvkの値が基準谷部深さよりも小さく、かつ、ISO 13565−2(JIS B0671−2)に規定される突出山部高さRpkの値が、基準山部高さよりも小さいプラトー構造表面として形成される。例えば、各リング12の内周面12iは、例えば、0.2μmよりも小さいプラトー構造表面として形成される。突出山部高さRpkは、上記の突出谷部深さRvkと共に、プラトー構造表面の表面性状を示すパラメータである。各リング12の内周面12iに形成されるプラトー構造表面は、例えば、上記のように突出山部高さRpkが0.2μmよりも小さいことが好ましいが、より好ましくは、図8に示すように、突出山部高さRpkが0.1μmよりも小さくなるように形成することにより、積層リングRの各層のリング12同士の間の摩擦係数を低下させて、その摺動部分における潤滑性能を向上させることができる。
同様に、最内層リング13の内周面13iは、上記のように突出谷部深さRvkの値が、基準谷部深さよりも大きく、かつ、突出山部高さRpkの値が、基準山部高さよりも小さいプラトー構造表面として形成される。例えば、最内層リング13の内周面13iは、0.2μmよりも小さいプラトー構造表面として形成される。最内層リング13の内周面13iに形成されるプラトー構造表面は、例えば、上記のように突出山部高さRpkが0.2μmよりも小さいことが好ましいが、より好ましくは、図8に示すように、突出山部高さRpkが0.1μmよりも小さくなるように形成することにより、最内層リング13の内周面13iとエレメントEのサドル面6との間の摩擦係数を低下させて、その摺動部分における潤滑性能を向上させることができる。
図9は、この発明における伝動ベルトBの他の構成例を示している。この図9に示す構成の伝動ベルトBは、最内層リング13の内周面13iの幅方向(図9での左右方向)における中央部分に、第2凹部15が形成されている。具体的には、最内層リング13の内周面13iの幅方向における中央部分の幅Lの範囲に、内周面13iの全周にわたって、第2凹部15が形成されている。そしてその第2凹部15が形成される内周面13iの中央部分は、上記の構成例と同様に、プラトー構造表面として形成されている。
上記のように第2凹部15が形成される内周面13iの中央部分の幅Lは、図10,図11に示すように、内周面13iとサドル面6との接触半幅をb、最内層リング13からサドル面の方向に作用する荷重をW、エレメントEの厚さをH、エレメントEのヤング率をY、内周面13iとサドル面6との接触部分の曲率半径をrとすると、以下の式に基づいて求めることができる。
すなわち、最内層リング13の曲率半径をr1、サドル面6の曲率半径をr2とすると、上記の内周面13iとサドル面6との接触部分の曲率半径rは、
r=r1・r2/(r1−r2) ・・・・・・・・・・(1)
として算出される。そして、接触半幅bは、
b={8・r・W/(π・Y・H)}1/2 ・・・・・・・・・・(2)
として算出される。したがって、第2凹部15が形成される内周面13iの中央部分の幅Lは、内周面13iとサドル面6との接触幅として、
L=2・b=2・{8・r・W/(π・Y・H)}1/2 ・・・・・(3)
として求めることができる。
なお、第2凹部15が形成されるとともに、プラトー構造表面として形成される最内層リング13の内周面13iの中央部分以外の部分、すなわち、内周面13iの幅方向において上記の中央部分を挟む両端部分は、プラトー構造表面ではない未加工面であってもよい。あるいは、内周面13iの両端部分は、内周面13iの中央部分のプラトー構造表面よりも粗いプラトー構造表面として形成することともできる。すなわち、内周面13iの両端部分を、内周面13iの中央部分のプラトー構造表面よりも突出山部高さRpkが大きいプラトー構造表面として形成することもできる。要するに、最内層リング13の内周面13iは、上記のように第2凹部15が形成されるとともにプラトー構造表面として形成される中央部分の摩擦係数が、内周面13iの両端部分の摩擦係数よりも小さくなるように形成される。
上記のように、最内層リング13の内周面13iの幅方向における中央部分に、第2凹部15が形成されるとともに、その中央部分が両端部分よりも摩擦係数が小さいプラトー構造表面として形成されることにより、最内層リング13の内周面13iとエレメントEのサドル面6との摺動部分における摩擦係数が低下する。そのため、図12に示すように、積層リングRとエレメントEとの間で滑りが生じる際の摩擦力が低減される。したがって、滑りによる摩擦損失を低減し、伝動ベルトBの動力伝達効率を向上させることができる。
また、最内層リング13の内周面13iの幅方向における中央部分の摩擦係数が、内周面13iの両端部分の摩擦係数よりも小さくなっていることから、エレメントEのサドル面6に対する積層リングRの幅方向における位置を、常に中央部分で安定させるいわゆるセンタリングの機能を持たせることができる。すなわち、エレメントEのサドル面6に対して積層リングRが摺動する際に積層リングRがその幅方向における左右に揺動する場合であっても、最内周リング13の内周面13iの幅方向における両端部分の摩擦係数が大きい部分が抵抗となり、上記のような積層リングRの左右への揺動が抑制される。そのため、積層リングRとエレメントEのサドル面6とが、常に最内周リング13の内周面13iの幅方向における中央部分で摺動することになり、エレメントEのサドル面6に対する積層リングRの位置が、積層リングRの幅方向における所定の位置に維持される。すなわち、エレメントEのサドル面6に対して積層リングRがセンタリングされる。
さらに、上記のようにエレメントEのサドル面6に対して積層リングRがセンタリングされることにより、積層リングRの幅方向における両端の側面と、エレメントEの首部3との接触が抑制される。そのため、積層リングRの側面とエレメントEの首部3との間で生じる摩擦を低減することができ、その結果、伝動ベルトBの耐久性を向上させることができる。
図13は、この発明における伝動ベルトBの他の構成例を示している。この図13に示す構成の伝動ベルトBは、積層リングRを構成する各層のリング12および最内層リング13の全てに、第1凹部14が形成されるとともに、その第1凹部14が形成される面が、突出谷部深さRvkが基準谷部深さよりも小さいプラトー構造表面として形成されている。そして、エレメントEのサドル面6に、第2凹部15が形成されるとともに、そのサドル面6が、突出谷部深さRvkが基準谷部深さよりも大きいプラトー構造表面として形成されている。
具体的には、積層リングRの各リング12の内周面12iおよび外周面12oに、第1凹部14が形成されている。そしてそれら内周面12iおよび外周面12oが、例えば、突出谷部深さRvkの値が0.1μmよりも小さいプラトー構造表面として形成されている。各リング12の内周面12iおよび外周面12oに形成されるプラトー構造表面は、前述の構成例と同様に、例えば、突出谷部深さRvkが0.1μmよりも小さいことが好ましいが、より好ましくは、突出谷部深さRvkが0.05μmよりも小さくなるように形成することにより、積層リングRの各層のリング12同士の間の摩擦係数を低下させて、その摺動部分における潤滑性能を向上させることができる。
同様に、積層リングRの最内層リング13の内周面13iおよび外周面13oに、第1凹部14が形成されている。そしてそれら内周面13iおよび外周面13oが、例えば、突出谷部深さRvkの値が0.1μmよりも小さいプラトー構造表面として形成されている。最内周リング13の内周面13iおよび外周面13oに形成されるプラトー構造表面は、前述の構成例と同様に、例えば、突出谷部深さRvkが0.1μmよりも小さいことが好ましいが、より好ましくは、突出谷部深さRvkが0.05μmよりも小さくなるように形成することにより、積層リングRのリング12と最内層リング13の間の摩擦係数を低下させて、その摺動部分における潤滑性能を向上させることができる。
そして、エレメントEのサドル面6に第2凹部15が形成されている。そしてそのサドル面6が、例えば、突出谷部深さRvkの値が0.15μmよりも大きいプラトー構造表面として形成されている。エレメントEのサドル面6に形成されるプラトー構造表面は、前述の構成例と同様に、突出谷部深さRvkが0.15μmよりも大きいことが好ましいが、より好ましくは、突出谷部深さRvkが0.2μmよりも大きくなるように形成することにより、最内層リング13の内周面13iとエレメントEのサドル面6との間の摩擦係数を低下させて、その摺動部分における潤滑性能を向上させることができる。
さらに、上記のように第1凹部14が形成される各リング12の内周面12iおよび外周面12oは、例えば、突出山部高さRpkの値が0.2μmよりも小さいプラトー構造表面として形成されている。同様に、第1凹部14が形成される最内層リング13の内周面13iおよび外周面13oは、例えば、突出山部高さRpkの値が0.2μmよりも小さいプラトー構造表面として形成されている。そして、上記のように第2凹部15が形成されるエレメントEのサドル面6は、例えば、突出山部高さRpkの値が0.2μmよりも小さいプラトー構造表面として形成されている。上記のように各リング12および最内層リング13の表面、ならびにエレメントEのサドル面6に形成されるプラトー構造表面は、前述の構成例と同様に、例えば、突出山部高さRpkが0.2μmよりも小さいことが好ましいが、より好ましくは、前述の図8に示すように、突出山部高さRpkが0.1μmよりも小さくなるように形成することにより、各摺動部分の摩擦係数を低下させて、その摺動部分における潤滑性能を向上させることができる。
前述の図8に示すように、各層のリング12同士の間や、最内層リング13の内周面13iとエレメントEのサドル面6との間の各摺動部分は、互いに対向する接触面がいずれもプラトー構造表面である場合に、その摺動部分における摩擦係数が低下し、潤滑性能が向上する。そしてそのような摺動部分における摩擦係数は、プラトー構造表面の突出山部高さRpkの値が小さいほど低下する。
したがって、この図13に示すように、積層リングRの各リング12および最内層リング13の表面に第1凹部14を形成し、それらの表面をプラトー構造表面として形成することにより、図14に示すように、従来、混合潤滑状態であった各リング12同士の間およびリング12と最内層リング13との間が、より流体潤滑状態に近い側の混合潤滑状態に移行して摩擦が発生することになる。そのため、それら各リング12同士の間およびリング12と最内層リング13との間の摺動部分における摩擦損失を大幅に低減することができる。
同様に、上記のように最内層リング13の内周面13iに第1凹部14を形成し、その内周面13iをプラトー構造表面として形成するとともに、エレメントEのサドル面6に第2凹部1を形成し、そのサドル面6をプラトー構造表面として形成することにより、図14に示すように、従来、境界潤滑状態であった最内層リング13の内周面13iとエレメントEのサドル面6との間が、混合潤滑状態に移行して摩擦が発生することになる。そのため、それら積層リングRとエレメントEとの間の摺動部分における摩擦損失を大幅に低減することができる。
図15,図16は、この発明における伝動ベルトBの他の構成例を示している。すなわち、図15示すように、この構成例における伝動ベルトBは、エレメントEのサドル面6が、エレメントEの板厚方向に所定の曲率半径で湾曲するように形成されている。このようにサドル面6をエレメントEの板厚方向に湾曲する湾曲面として形成することにより、最内層リング13の内周面13iとサドル面6とが接触する際の面圧を低下させることができる。そのため、図15に示すように、従来、境界潤滑状態であった最内層リング13の内周面13iとエレメントEのサドル面6との間が、混合潤滑状態に移行して摩擦が発生することになる。したがって、それら積層リングRとエレメントEとの間の摺動部分における摩擦損失を低減することができる。
そして、図16に示すように、積層リングRを構成する各層のリング12および最内層リング13の全てに、第1凹部14が形成されるとともに、その第1凹部14が形成される面が、例えば、突出谷部深さRvkの値が0.1μmよりも小さいプラトー構造表面として形成されている。それら各リング12および最内層リング13に形成されるプラトー構造表面は、前述の構成例と同様に、例えば、突出谷部深さRvkが0.1μmよりも小さいことが好ましいが、より好ましくは、突出谷部深さRvkが0.05μmよりも小さくなるように形成することにより、積層リングRの各層のリング12同士の間およびリング12と最内層リング13との間の摩擦係数を低下させて、その摺動部分における潤滑性能を向上させることができる。
上記のように積層リングRの各リング12および最内層リング13の表面に第1凹部14を形成し、それらの表面を、例えば、突出谷部深さRvkの値が0.1μmよりも小さいプラトー構造表面として形成することにより、図15に示すように、従来、混合潤滑状態であった各リング12同士の間およびリング12と最内層リング13との間が、より流体潤滑状態に近い側の混合潤滑状態に移行して摩擦が発生することになる。そのため、それら各リング12同士の間およびリング12と最内層リング13との間の摺動部分における摩擦損失を低減することができる。また、上記のようにサドル面6に曲率を付与することによって混合潤滑状態に移行していた最内層リング13の内周面13iとエレメントEのサドル面6との間も、より流体潤滑状態に近い側の混合潤滑状態に移行して摩擦が発生することになる。そのため、それら積層リングRとエレメントEとの間の摺動部分における摩擦損失を低減することができる。
以上のように、この発明における伝動ベルトBによれば、積層リングRの各層を構成するリング12同士の間、および、エレメントEのサドル面6と積層リングRの最内層リング13の内周面13iとの間に、それぞれ、第1閉空間および第2閉空間が形成される。第1閉空間は、各リング12および最内層リング13の表面に第1凹部14を形成することによって容易に形成することができ、その第1閉空間には、伝動ベルトBに供給された潤滑油を、第1凹部14の大きさや数量に応じてきまる容積分だけ貯留させて保持することができる。そして積層リングRの各層のリング12同士の間の面圧や摩擦の作用によって第1閉空間に保持された潤滑油がその第1閉空間から排出されることにより、積層リングRの各層のリング12同士の間に潤滑油が供給される。
また、第2閉空間は、最内層リング13の内周面13iあるいはエレメントEのサドル面6に第2凹部15を形成することによって容易に形成することができる。第2凹部15は、上記の第1凹部14よりも開口径や谷深さあるいは形成密度が大きくなるように形成される。したがって、第2閉空間には、上記の第1閉空間よりもより多くの潤滑油を貯留させて保持することができる。そして最内層リング13の内周面13iとエレメントEのサドル面6との間の面圧や摩擦の作用によって第2閉空間に保持された潤滑油がその第2閉空間から排出されることにより、最内層リング13の内周面13iとエレメントEのサドル面6との間に潤滑油が供給される。
この発明における伝動ベルトBのように、積層リングRを用いた構成の伝動ベルトBでは、積層リングRの各層のリング12同士の間と、最内層リング13の内周面13iとエレメントEのサドル面6との間とでは、それらの間の各摺動部分における摩擦・潤滑状態がそれぞれ異なっている。すなわち、各層のリング12同士の間の摺動部分と比較して、最内層リング13の内周面13iとエレメントEのサドル面6との間の摺動部分の方がより厳しい摩擦・潤滑状態となっている。それに対してこの発明における伝動ベルトBでは、上記のように、摩擦・潤滑状態がより厳しい最内層リング13の内周面13iとエレメントEのサドル面6との間に、第1閉空間よりも容積が大きい第2閉空間で保持したより多くの潤滑油を供給することができる。そのため、積層リングRの各層のリング12同士の間、および、積層リングRの最内層リング13の内周面13iとエレメントEのサドル面6との間のいずれに対しても、それぞれの摩擦・潤滑状態に応じて適切に潤滑油を供給することができる。その結果、伝動ベルトBの摩擦損失を低減することができ、また伝動ベルトBの耐久性を向上させることができる。
なお、この発明は上述した具体例に限定されない。上述した具体例では、この発明における伝動ベルトBが、例えば車両用のベルト式無段変速機に適用された構成を例に挙げて説明しているが、この発明における伝動ベルトBは、ベルト式無段変速機に限らず、ベルトとプーリとによって構成される他の巻き掛け伝動装置(ベルト伝動装置)における動力伝達用の伝動ベルトとして適用することができる。
また、上述した具体例では、この発明における伝動ベルトBを構成するエレメントEの例として、エレメントEの幅方向(すなわち伝動ベルトBとしての幅方向)における左右2個所に、エレメントEを環状に結束する2本の積層リングRをそれぞれ挿入させるためのスリット5およびサドル面6が形成された周知のエレメントに相当する形状のものを例示しているが、この発明における伝動ベルトBは、そのような上述した具体例に限定されない。すなわち、この発明における伝動ベルトBは、多数の板片状のエレメントを帯状の積層リングによって環状に結束することにより形成されるように構成された全てのベルトを対象とすることができる。例えば、エレメントの幅方向での中央部分に、エレメントを環状に結束する積層リングを挿入させるための凹部およびサドル面が形成されたエレメントと、積層リングとによって構成される伝動ベルトも対象とすることができる。
6…サドル面、 12,13…リング、 12i…内周面、 12o…外周面、 13…最内層リング13、 13i…内周面、 13o…外周面、 14…第1凹部、 15…第2凹部、 B…伝動ベルト、 E…エレメント、 R…積層リング、 Ri…最内周面。

Claims (8)

  1. 板厚方向に整列させた多数の板片状のエレメントを、複数の帯状のリングを積層させて形成した積層リングで環状に結束することにより構成される伝動ベルトにおいて、
    前記積層リングを形成する際に互いに重なり合う前記リング同士の対向面の間に形成された、潤滑油を保持することが可能な容積を有する第1閉空間と、
    前記エレメントを結束している前記積層リングの各層を構成する前記リングのうち最内層に位置する最内層リングの内周面と、前記エレメントのサドル面との間に形成された、前記第1閉空間よりも容積が大きい第2閉空間とを備え、
    前記第1閉空間は、前記リングの内周面および外周面の少なくとも一方に形成された第1凹部と、隣接する他の前記リングの対向面とによって形成される閉空間を含み、
    前記第2閉空間は、前記最内層リングの内周面および前記サドル面の少なくとも一方に形成されかつ開口径および谷深さならびに形成密度の少なくともいずれか1つの値が前記第1凹部よりも大きい第2凹部と、それに対向する前記サドル面および前記最内層リングの内周面の少なくとも一方とによって形成される閉空間を含んでいて、
    前記第1凹部および前記第2凹部は、前記リングの幅方向における中央部分に形成されているとともに、
    前記第1凹部および前記第2凹部が形成された前記中央部分の摩擦係数は、前記幅方向において前記中央部分を挟む両端部分の摩擦係数よりも小さい
    とを特徴とする伝動ベルト。
  2. 前記第1凹部および前記第2凹部は、前記リングの幅方向における中央部分のみに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の伝動ベルト。
  3. 前記第1凹部が形成された面は、ISO 13565−2(JIS B0671−2)に規定される突出谷部深さRvkの値が予め定めた基準谷部深さよりも小さいプラトー構造表面となっていて、
    前記第2凹部が形成された面は、前記突出谷部深さRvkの値が前記基準谷部深さよりも大きいプラトー構造表面となっている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の伝動ベルト。
  4. 前記第1凹部が形成された面および前記第2凹部が形成された面の少なくとも一方は、ISO 13565−2(JIS B0671−2)に規定される突出山部高さRpkの値が予め定めた基準山部高さよりも小さいプラトー構造表面となっていることを特徴とする請求項3に記載の伝動ベルト。
  5. 記最内層リングを含む全ての前記リングの内周面および外周面の少なくともいずれか一方に、前記第1凹部が形成され、
    前記サドル面に、前記第2凹部が形成されている
    とを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の伝動ベルト。
  6. 前記第1凹部は、前記リングの幅方向における中央部分に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の伝動ベルト。
  7. 記第1凹部が形成された前記中央部分の摩擦係数は、前記幅方向において前記中央部分を挟む両端部分の摩擦係数よりも小さいことを特徴とする請求項6に記載の伝動ベルト。
  8. 前記第1凹部は、前記リングの幅方向における中央部分のみに形成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の伝動ベルト。
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