JP4893561B2 - 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 - Google Patents

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Description

この発明は、動力伝達チェーン、さらに詳しくは、自動車等の無段変速機(CVT)に好適な動力伝達チェーンおよびこれを用いた動力伝達装置に関する。
自動車用無段変速機として、図6に示すように、固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)を有しエンジン側に設けられたプライマリプーリ(2)と、固定シーブ(3b)および可動シーブ(3a)を有し駆動輪側に設けられたセカンダリプーリ(3)と、両者間に架け渡された無端状動力伝達チェーン(1)とからなり、油圧アクチュエータによって可動シーブ(2b)(3a)を固定シーブ(2a)(3b)に対して接近・離隔させることにより、油圧でチェーン(1)をクランプし、このクランプ力によりプーリ(2)(3)とチェーン(1)との間に接触荷重を生じさせ、この接触部の摩擦力によりトルクを伝達するものが知られている。
動力伝達チェーンとしては、従来、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、一のリンクの前挿通部に固定されかつ他のリンクの後挿通部に移動可能に嵌め入れられた第1ピンと一のリンクの前挿通部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部に固定された第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされているものが知られている(特許文献1)。
この種の動力伝達チェーンでは、リンクの耐久性の向上が課題となっており、そのためのリンク形状について、チェーン幅方向外側のものと中央のものとで変更することも検討されている。この場合でも、左右で対称であることを前提に種々の形状が検討されていた。
特開2005−233275号公報
上記従来の動力伝達チェーンの耐久性試験を行うと、通常、チェーン幅方向最外側にあるリンクが先に損傷しやすい。そこで、外側にあるリンクの厚みを厚くするなどの手法が採られていた。しかしながら、厚み増は、重量増やコスト増というデメリットを伴うことになる。
一方、無段変速機で使用される動力伝達チェーンの場合、無段変速機には構造上必然的に発生するミスアライメントが存在しており、このミスアライメントによってチェーンの耐久性が影響を受けることが考えられる。
この発明の目的は、チェーン幅方向にリンクを配列するに際し、従来、左右対称性を維持するように設計されていたリンク形状について、無段変速機のミスアライメントに対応させて左右で異なるようにすることで、重量増およびコスト増を極力抑えて耐久性を向上させた動力伝達チェーンおよび動力伝達装置を提供することにある。
この発明による動力伝達チェーンは、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされており、無段変速機のプライマリプーリとセカンダリプーリとの間に掛け渡されて、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方の両端面がプーリのシーブ面と接触して摩擦力により動力が伝達される動力伝達チェーンにおいて、リンクは、その破断強度がチェーン幅方向の左右で異なるように形成されており、セカンダリプーリに対するプライマリプーリのミスアライメントの方向を正方向、これと逆の方向を負方向として、正方向側のリンクの破断強度が負方向側のリンクの破断強度よりも大きいものとされていることを特徴とするものである。
この動力伝達チェーンは、自動車等の無段変速機としての使用に好適なものとなる。このような無段変速機では、低速走行時(発進時など)に対応する変速比が最大のアンダードライブ(以下、「U/D」と称す。)と、高速走行時に対応する変速比が最小のオーバードライブ(以下、「O/D」と称す。)との間で変速比が変化し、この変化に伴ってミスアライメントも変化する。ミスアライメントとは、プライマリプーリとセカンダリプーリとのずれの度合いを表す指標であり、プライマリプーリのシーブ面間に形成された溝の中心線とセカンダリプーリのシーブ面間に形成された溝の中心線とが一直線上に並んだ状態を0とし、その状態からのずれ(プライマリプーリの溝の中心線とセカンダリプーリの溝の中心線との距離)をいうものとする。
ミスアライメントは、固定シーブおよび可動シーブからなるプーリを備えている無段変速機では避けることができないもので、変速比が1:1のときに0とされることがあり(この場合には、U/Dのときに最大)、逆に、U/Dのときに0とされることがある(変速比が1:1のときに最大)。また、両者の中間において0にされることもある。一般的には、ミスアライメントは、U/Dのときに最大とされる。
この発明による動力伝達チェーンは、ミスアライメントの影響に着目して耐久試験の解析を行い、チェーン幅方向左側のリンクと右側のリンクとで耐久性が相違しているとの知見が得られたことから、チェーン幅方向にリンクを配列するに際し、従来、左右対称性を維持するように設計されていたリンク形状について、左右で異なるものとされている。
すなわち、ミスアライメント側(正方向側)にある少なくとも1層分のリンクのみについて、その破断強度が相対的に大きいものとされる。破断強度大とされる「正方向側のリンク」は、ミスアライメントの影響を受けて耐久試験において先に損傷しやすいリンクであり、例えばチェーン幅方向最外側のものを含む1〜3層分のリンクがこれに相当する。
チェーンは、例えば、幅方向同位相の複数のリンクで構成されるリンク列を進行方向(前後方向)に3つ並べて1つのリンクユニットとし、この3列のリンク列からなるリンクユニットを進行方向に複数連結して形成されるとともに、リンク枚数が9枚(基準枚数よりも1枚増)のリンク列とリンク枚数が8枚(基準枚数)のリンク列2つとが1つのリンクユニットとされる。このようなリンクユニットを有するチェーンの場合には、各リンク列のチェーン幅方向(正方向)最外側のリンク(計3層分)が破断強度大とされることがあり、また、リンク枚数が9枚のリンク列の正方向最外側のリンクよりもリンク枚数が8枚のリンク列の正方向最外側のリンクの方が先に損傷する傾向があることから、リンク枚数が相対的に少ないリンク列の正方向最外側のリンク(計2層分)が破断強度大とされることがある。
正方向側のリンクの破断強度を大きくするには、負方向最外側のリンクを含む基準リンクに対して、その厚みを大きくすればよい。正方向側のリンクの破断強度を大きくするには、負方向最外側のリンクを含む基準リンクに対して、その硬度を上げるようにしてもよい。
破断強度は、2水準に限られるものではなく、厚みを3種類にしたり、厚みと硬度を組み合わせるなどして、3以上の水準を設定してもよい。
リンクの厚みを厚くする場合、基準リンクの厚みをtとして、増厚リンクの厚みTが、t<T≦2tであることが好ましい。
動力伝達チェーンに最も高い負荷が作用するのは、発進時(無段変速機がアンダードライブの条件)であり、この条件で耐久試験を行うと、プライマリプーリがセカンダリプーリに対して左方にミスアライメントしている場合、チェーン進行方向左側のリンクが先に損傷し、チェン幅方向内側にあるリンクに損傷が広がっていく傾向がある。破断発生のメカニズムとして、チェーンがプライマリプーリに噛み込む際に、ミスアライメントの影響で、ミスアライメント正方向の外側にあるリンクに通常の引張り力に加えて曲げ力が負荷されるためと考えられる。この発明による動力伝達チェーンは、チェーンへの負担が大きいアンダードライブの条件でミスアライメントが最大となるときにより有効なものとなる。
上記知見に基づき、左右対称配列であることが当然とされていたリンクについて、無段変速機のミスアライメントの影響を考慮して、その破断強度がチェーン幅方向の左右で異なるように形成される。具体的には、セカンダリプーリに対するプライマリプーリのミスアライメントの方向を正方向、これと逆の方向を負方向として、正方向側のリンクの破断強度が負方向側のリンクの破断強度よりも大きいものとされる。これにより、ミスアライメントの方向にあるリンクの破断強度が相対的に大きくなり、破断起点となるリンクの強度が高められる。この結果、チェーン幅方向外側にあるリンクを対称的に厚くした場合、重量増、コスト増などのデメリットが大きくなるのに対し、重量増およびコスト増を極力抑えてチェーンの耐久性を向上させることができる。
この発明による動力伝達チェーンでは、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方がプーリと接触して摩擦力により動力伝達する。いずれか一方のピンがプーリと接触するチェーンにおいては、第1ピンおよび第2ピンのうちのいずれか一方は、このチェーンが無段変速機で使用される際にプーリに接触する方のピン(以下では、「第1ピン」または「ピン」と称す)とされ、他方は、プーリに接触しない方のピン(インターピースまたはストリップと称されており、以下では、「第2ピン」または「インターピース」と称す)とされる。
第1ピンおよび第2ピンのうちの一方は、一のリンクの前挿通部に固定されかつ他のリンクの後挿通部に移動可能に嵌め入れられ、同他方は、一のリンクの前挿通部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部に固定されていることが好ましい。ピンが前後挿通部に固定される場合の前後挿通部へのピンの固定は、例えば、機械的圧入による挿通部内縁とピン外周面との嵌合固定とされるが、これに代えて、焼き嵌めまたは冷やし嵌めによってもよい。1つの挿通部には、第1ピンと第2ピンとがチェーンの長さ方向に対向するように嵌め合わせられ、このうちのいずれか一方がリンクの挿通部の周面に嵌合固定される。嵌合固定は、挿通部の長さ方向に対して直交する部分の縁(上下の縁)で行われるのが好ましい。この嵌合固定の後、上記の予張力付与工程において予張力が付与されることにより、リンクのピン固定部(ピン圧入部)に均等にかつ適正な残留圧縮応力が高精度に付与される。
破断強度大のリンクは、厚みまたは硬度を除いて、基準のリンクと同じ形状とされる。リンク形状については、騒音低減のために、チェーンの進行方向にピッチ長が異なる2種類以上のリンクがランダムに配置されることがある。この場合、ピッチ長が異なる各リンクについて、基準のものと破断強度大のものとが形成される。
リンクは、例えば、ばね鋼や炭素工具鋼製とされる。リンクの材質は、ばね鋼や炭素工具鋼に限られるものではなく、軸受鋼などの他の鋼でももちろんよい。リンクは、前後挿通部がそれぞれ独立の貫通孔(柱有りリンク)とされていてもよく、前後挿通部が1つの貫通孔(柱無しリンク)とされていてもよい。ピンの材質としては、軸受鋼などの適宜な鋼が使用される。
第1ピンおよび第2ピンは、例えば、いずれか一方の転がり接触面が平坦面とされ、他方の転がり接触面が相対的に転がり接触移動可能なように所要の曲面に形成される。また、第1ピンおよび第2ピンは、それぞれの転がり接触面が所要の曲面に形成されるようにしてもよい。第1ピンと第2ピンとの接触位置の軌跡は、例えば、インボリュート曲線とされる。第1ピンおよび第2ピンは、異なる断面形状であってもよく、同一形状であってもよい。
なお、この明細書において、リンクの長さ方向の一端側を前、同他端側を後としているが、この前後は便宜的なものであり、リンクの長さ方向が前後方向と常に一致することを意味するものではない。
無段変速機の各プーリは、円錐状のシーブ面を有する固定シーブと、固定シーブのシーブ面に対向する円錐状のシーブ面を有する可動シーブとからなり、両シーブのシーブ面間にチェーンを挟持し、可動シーブを油圧アクチュエータによって移動させることにより、無段変速機のシーブ面間距離したがってチェーンの巻き掛け半径が変化し、スムーズな動きで無段の変速を行うことができる。
この発明による動力伝達装置は、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、これら第1および第2のプーリに掛け渡される動力伝達チェーンとを備えたもので、動力伝達チェーンが上記に記載のものとされる。この動力伝達装置は、自動車等の無段変速機としての使用に好適なものとなる。
この発明の動力伝達チェーンおよび動力伝達装置によると、無段変速機のミスアライメントの影響を考慮して、ミスアライメントの正方向側のリンクの破断強度が負方向側のリンクの破断強度よりも大きいものとされ、これにより、破断起点となるリンクの強度が高められ、重量増およびコスト増を極力抑えてチェーンの耐久性を向上させることができる。
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。以下の説明において、上下は、図2の上下をいうものとする。
図1は、この発明による動力伝達チェーンの一部を示しており、動力伝達チェーン(1)は、チェーン長さ方向に所定間隔をおいて設けられた前後挿通部(12)(13)を有する複数のリンク(11)(21)と、チェーン幅方向に並ぶリンク(11)(21)同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数のピン(第1ピン)(14)およびインターピース(第2ピン)(15)とを備えている。インターピース(15)は、ピン(14)よりも短くなされ、両者は、インターピース(15)が前側に、ピン(14)が後側に配置された状態で対向させられている。
この発明の動力伝達チェーン(1)では、リンク(11)(21)については、図2に示す側面形状を有するリンク(11)と、側面形状はこれと同一で厚みだけが厚くされたリンク(21)との2種類が使用されている。
チェーン(1)は、幅方向同位相の複数のリンク(11)(21)で構成されるリンク列を進行方向(前後方向)に3つ並べて1つのリンクユニットとし、この3列のリンク列からなるリンクユニットを進行方向に複数連結して形成されている。この実施形態では、リンク枚数が9枚のリンク列とリンク枚数が8枚のリンク列2つとが1つのリンクユニットとされている。
図2に示すように、リンク(11)(リンク(21)も同じ)の前挿通部(12)は、ピン(14)が移動可能に嵌め合わせられるピン可動部(16)およびインターピース(15)が固定されるインターピース固定部(17)からなり、後挿通部(13)は、ピン(14)が固定されるピン固定部(18)およびインターピース(15)が移動可能に嵌め合わせられるインターピース可動部(19)からなる。
各ピン(14)は、インターピース(15)に比べて前後方向の幅が広くなされており、インターピース(15)の上下縁部には、各ピン(14)側にのびる突出縁部(15a)(15b)が設けられている。
チェーン幅方向に並ぶリンク(11)(21)を連結するに際しては、一のリンク(11)(21)の前挿通部(12)と他のリンク(11)(21)の後挿通部(13)とが対応するようにリンク(11)(21)同士が重ねられ、ピン(14)が一のリンク(11)(21)の後挿通部(13)に固定されかつ他のリンク(11)(21)の前挿通部(12)に移動可能に嵌め合わせられ、インターピース(15)が一のリンク(11)(21)の後挿通部(13)に移動可能に嵌め合わせられかつ他のリンク(11)(21)の前挿通部(12)に固定される。そして、このピン(14)とインターピース(15)とが相対的に転がり接触移動することにより、リンク(11)(21)同士の長さ方向(前後方向)の屈曲が可能とされる。
リンク(11)(21)のピン固定部(18)とインターピース可動部(19)との境界部分には、インターピース可動部(19)の上下の凹円弧状案内部(19a)(19b)にそれぞれ連なりピン固定部(18)に固定されているピン(14)を保持する上下の凸円弧状保持部(18a)(18b)が設けられている。同様に、インターピース固定部(17)とピン可動部(16)との境界部分には、ピン可動部(16)の上下の凹円弧状案内部(16a)(16b)にそれぞれ連なりインターピース固定部(17)に固定されているインターピース(15)を保持する上下の凸円弧状保持部(17a)(17b)が設けられている。
ピン(14)を基準としたピン(14)とインターピース(15)との接触位置の軌跡は、円のインボリュートとされており、この実施形態では、ピン(14)の転がり接触面(14a)が、断面において半径Rb、中心Mの基礎円を持つインボリュート曲線とされ、インターピース(15)の転がり接触面(15c)が平坦面(断面形状が直線)とされている。これにより、各リンク(11)(21)がチェーン(1)の直線領域から曲線領域へまたは曲線領域から直線領域へと移行する際、前挿通部(12)においては、ピン(14)が固定状態のインターピース(15)に対してその転がり接触面(14a)がインターピース(15)の転がり接触面(15c)に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながらピン可動部(16)内を移動し、後挿通部(13)においては、インターピース(15)がインターピース可動部(19)内を固定状態のピン(14)に対してその転がり接触面(15c)がピン(14)の転がり接触面(14a)に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながら移動する。なお、図2において、符号AおよびBで示す箇所は、チェーン(1)の直線部分においてピン(14)とインターピース(15)とが接触している線(断面では点)であり、AB間の距離がピッチである。
この動力伝達チェーン(1)では、ピンの上下移動の繰り返しにより、多角形振動が生じ、これが騒音の要因となるが、ピン(14)とインターピース(15)とが相対的に転がり接触移動しかつピン(14)を基準としたピン(14)とインターピース(15)との接触位置の軌跡が円のインボリュートとされていることにより、ピンおよびインターピースの接触面がともに円弧面である場合などと比べて、振動を小さくすることができ、騒音を低減することができる。
この動力伝達チェーン(1)は、図5に示すV型プーリ式CVTで使用されるが、この際、プーリ軸(2e)を有するプーリ(2)の固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)の各円錐状シーブ面(2c)(2d)にインターピース(15)の端面が接触しない状態で、ピン(14)の端面がプーリ(2)の円錐状シーブ面(2c)(2d)に接触し、この接触による摩擦力により動力が伝達される。ピン(14)の端面およびプーリ(2)の円錐状シーブ面(2c)(2d)は、いずれも所定角度(通常11°)傾斜している。
図5において、実線で示した位置にあるプライマリプーリ(2)の可動シーブ(2b)を固定シーブ(2a)に対して接近・離隔させると、チェーン(1)の巻き掛け径は、同図に鎖線で示すように、接近時には大きく、離隔時には小さくなる。セカンダリプーリ(3)では、図示省略するが、その可動シーブがプライマリプーリ(2)の可動シーブ(2b)とは逆向きに移動し、プライマリプーリ(2)の巻き掛け径が大きくなると、セカンダリプーリ(3)の巻き掛け径が小さくなり、プライマリプーリ(2)の巻き掛け径が小さくなると、セカンダリプーリ(3)の巻き掛け径が大きくなる。この結果、プライマリプーリ(2)の巻き掛け径が最小で、セカンダリプーリ(3)の巻き掛け径が最大であるU/D状態(発進時)から、変速比が1であるプライマリプーリ(2)の巻き掛け径とセカンダリプーリ(3)の巻き掛け径が等しい状態、さらに、プライマリプーリ(2)の巻き掛け径が最大で、セカンダリプーリ(3)の巻き掛け径が最小のO/D状態(最増速状態)が得られる。
動力伝達チェーン(1)に最も高い負荷が作用するのは、発進時(無段変速機がU/Dの条件)であり、チェーン(1)を左右(チェーン幅方向)で対称に形成して、U/D条件で耐久試験を行うと、プライマリプーリ(2)がセカンダリプーリ(3)に対して左方にミスアライメントしている場合、チェーン進行方向左側のリンク(11)が先に損傷し、これを起点として、チェーン進行方向内側のリンクに損傷が広がっていくことが確認された。
これは、ミスアライメントの影響によるものと考えられる。すなわち、図4に示すように、プライマリプーリ(2)がセカンダリプーリ(3)に対して左方にミスアライメントしている場合(ミスアライメント量をMで示す)、チェーン噛み込み時では、チェーン(1)が進行方向に対して左方に屈曲しながらプライマリプーリ(2)に沿っていくので、矢印Pで示すチェーン幅方向左の最外側における曲げ力が大きくなり、この位置にあるリンク(11)が最初に損傷すると考えられる。
上記損傷の形態に着目すると、チェーン幅方向左の最外側にあるリンク(21)の破断強度のみを他のリンク(11)に比べて大きくすればよいことが分かる。そこで、図1に示すチェーン(1)では、リンク枚数が9枚のリンク列およびリンク枚数が8枚のリンク列2つからなる各リンク列のチェーン幅方向左(正方向)最外側のリンク(計3層分)のみが符号(21)で示されている厚みの厚いリンクとされている。これにより、破断の起点となりやすいリンク(21)のみが重点的に補強され、全体の重量をあまり増加させずに、チェーン(1)の耐久性を向上させることができる。
なお、リンク枚数が9枚のリンク列の左の最外側のリンクよりもリンク枚数が8枚のリンク列の左の最外側のリンクの方が先に損傷する傾向があることから、図3に示すように、リンク枚数が相対的に少ないリンク列の左(正方向)最外側のリンク(計2層分)のみを符号(21)で示されている厚みの厚いリンクとしても同様の効果を得ることができる。
図1は、この発明による動力伝達チェーンの第1実施形態の一部を示す平面図である。 図2は、リンクの拡大側面図である。 図3は、この発明による動力伝達チェーンの第2実施形態の一部を示す平面図である。 図4は、ミスアライメントがあるときにチェーンが受ける力を模式的に示す図である。 図5は、動力伝達チェーンがプーリに取り付けられた状態を示す正面図である。 図6は、無段変速機を示す斜視図である。
符号の説明
(1) 動力伝達チェーン
(2)(3) プーリ
(2a)(3b) 固定シーブ
(2b)(3a) 可動シーブ
(2c)(2d) 円錐状シーブ面
(11) リンク(負方向側のリンク)
(12) 前挿通部
(13) 後挿通部
(14) ピン(第1ピン)
(15) インターピース(第2ピン)
(21) リンク(正方向側のリンク)

Claims (2)

  1. ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされており、無段変速機のプライマリプーリとセカンダリプーリとの間に掛け渡されて、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方の両端面がプーリのシーブ面と接触して摩擦力により動力が伝達される動力伝達チェーンにおいて、
    リンクは、その破断強度がチェーン幅方向の左右で異なるように形成されており、セカンダリプーリに対するプライマリプーリのミスアライメントの方向を正方向、これと逆の方向を負方向として、正方向側のリンクの破断強度が負方向側のリンクの破断強度よりも大きいものとされていることを特徴とする動力伝達チェーン。
  2. 円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、これら第1および第2のプーリに掛け渡される動力伝達チェーンとを備え、動力伝達チェーンが請求項1記載のものである動力伝達装置。
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