JP4770554B2 - 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 Download PDF

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この発明は、動力伝達チェーン、さらに詳しくは、自動車等の車両の無段変速機(CVT)に好適な動力伝達チェーンおよび動力伝達装置に関する。
自動車用無段変速機として、図5に示すように、固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)を有しエンジン側に設けられたドライブプーリ(2)と、固定シーブ(3b)および可動シーブ(3a)を有し駆動輪側に設けられたドリブンプーリ(3)と、両者間に架け渡された無端状動力伝達チェーン(1)とからなり、油圧アクチュエータによって可動シーブ(2b)(3a)を固定シーブ(2a)(3b)に対して接近・離隔させることにより、油圧でチェーン(1)をクランプし、このクランプ力によりプーリ(2)(3)とチェーン(1)との間に接触荷重を生じさせ、この接触部の摩擦力によりトルクを伝達するものが知られている。
動力伝達チェーンとしては、特許文献1に、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、一のリンクの前挿通部に固定されかつ他のリンクの後挿通部に移動可能に嵌め入れられた第1ピンと一のリンクの前挿通部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部に固定された第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされているものが提案されている。
特開平8−312725号公報
特許文献1の動力伝達チェーンでは、各ピンは、チェーンが直線部分から曲線部分へまたは曲線部分から直線部分へ移行するのに伴って、相互に転がり接触しながら、予め設定された屈曲範囲内で往復運動を繰り返し、これに伴ってリンク同士が相互に屈曲する。この動力伝達チェーンを無段変速機で使用した場合、入力トルクの変化や変速によって、予め設定された屈曲範囲を超える(オーバーシュートする)場合がある。オーバーシュートが起こると、リンクがピンから受ける接触面圧が大きくなり、チェーンの設計自由度が狭くなる。
この発明の目的は、予め設定された屈曲範囲を超えるオーバーシュートが起こっても、リンクがピンから受ける接触面圧が大きくならない動力伝達チェーンおよび動力伝達装置を提供することにある。
第1の発明による動力伝達チェーンは、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされており、第1ピンおよび第2ピンのうちの一方は、一のリンクの前挿通部の前側部分に設けられたピン固定部に固定されかつ他のリンクの後挿通部の前側部分に設けられたピン可動部に移動可能に嵌め入れられ、同他方は、一のリンクの前挿通部の後側部分に設けられたピン可動部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部の後側部分に設けられたピン固定部に固定されている動力伝達チェーンにおいて、ピン固定部とピン可動部との境界部分に、ピン可動部の凹円弧状案内部に連なりピン固定部に固定されているピンを保持する凸円弧状保持部が設けられており、保持部の案内部側の円弧は、案内部のピン固定部側の端部の円弧に正接するようになされており、案内部の端部円弧に連なる円弧の曲率半径は、ピンの被案内面の曲率半径よりも大きくなされていることを特徴とするものである。
ピン固定部へのピンの固定は、例えば、機械的圧入によるピン固定部内縁とピン外周面との嵌合固定とされるが、これに代えて、焼き嵌めまたは冷やし嵌めによってもよい。嵌合固定は、ピン固定部の長さ方向に対して直交する部分の縁(上下の縁)で行われるのが好ましい。この嵌合固定の後、予張力付与工程において予張力が付与されることにより、リンクのピン固定部(ピン圧入部)に均等にかつ適正な残留圧縮応力が付与される。
ピンの上下縁部がピン固定部に圧入されることにより固定される場合、ピンの転がり接触しない方の面がピン固定部の内面に当接させられ、凸円弧状保持部は、ピン固定部におけるピンの回動を阻止する方向の力をピンに作用させるように形成され、これにより、ピンの安定した固定状態が維持される。
チェーンの通常走行時では、ピン可動部内において、ピンは、その上下縁部が被案内面とされて、ピン可動部の上下縁部内周に形成された案内部に案内される。案内部の範囲は、チェーンの直線部分から曲線部分または曲線部分から直線部分に移行する場合のリンクの屈曲範囲を考慮して決定される。仮に、リンクが予め設定されている屈曲範囲を超えた場合、ピンの上下縁部は、ピン可動部とピン固定部との境界部分まで移動する可能性がある。この場合、ピンが境界部分に噛み込むようになり、リンクの接触面圧が大きくなる可能性があるが、この接触面圧の増加は、保持部の案内部側の円弧が案内部のピン固定部側の端部の円弧に正接するようになされていることにより防止され、ピン固定部によるピンの安定した固定状態が維持されるとともに、リンクの接触面圧の増加が防止されることにより、リンクの設計自由度が確保される。ピンを保持する凸円弧状保持部の円弧は、単一の円弧に限られるものではない。
案内部の端部円弧に連なる円弧の曲率半径は、ピンの被案内面の曲率半径よりも大きくなされていることが好ましい。すなわち、リンクの案内部の円弧の曲率半径が小さいと、面圧増加要因となるので、これを防ぐため、案内部のピン固定部側の端部の円弧の曲率半径をR3、これに連なる案内部の円弧の曲率半径をR2、ピンの被案内面(上下縁部)の曲率半径をR1として、R3≧R2>R1とされる。ここで、案内部の円弧R2およびピンの被案内面の円弧R1については、単一の円弧であってももちろんよいが、案内部およびピンの被案内面は、滑らかに連なる複数の円弧またはこれと同等の曲線によって徐々に変化するように形成されてもよく、後者の場合、案内部のピン固定部側の端部の円弧の曲率半径R3≧案内部の平均の曲率半径R2>ピンの被案内面の平均曲率半径R1とされる。
この発明による動力伝達チェーンでは、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方がプーリと接触して摩擦力により動力伝達する。いずれか一方のピンがプーリと接触するチェーンにおいては、第1ピンおよび第2ピンのうちのいずれか一方は、このチェーンが無段変速機で使用される際にプーリに接触する方のピン(以下では、「第1ピン」または「ピン」と称す)とされ、他方は、プーリに接触しない方のピン(インターピースまたはストリップと称されており、以下では、「第2ピン」または「インターピース」と称す)とされる。
第2の発明による動力伝達チェーンは、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされており、第1ピンおよび第2ピンのうちの一方は、一のリンクの前挿通部の前側部分に設けられたピン固定部に固定されかつ他のリンクの後挿通部の前側部分に設けられたピン可動部に移動可能に嵌め入れられ、同他方は、一のリンクの前挿通部の後側部分に設けられたピン可動部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部の後側部分に設けられたピン固定部に固定されている動力伝達チェーンにおいて、ピン固定部とピン可動部との境界部分に、ピン可動部の凹円弧状案内部に連なりピン固定部に固定されているピンを保持する凸円弧状保持部が設けられており、保持部の案内部側の円弧は、案内部のピン固定部側の端部の円弧に正接するようになされており、第1ピンおよび第2ピンのうちのいずれか一方は、このチェーンが無段変速機で使用される際にプーリに接触する方のピンとされ、他方は、プーリに接触しない方のピンとされ、プーリに接触する方のピンは、プーリに接触しない方のピンに比べて前後方向の幅が広くなされており、プーリに接触しない方のピンに、ピン固定部の内周に接触するようにのびる突出縁部が形成されていることを特徴とするものである。
このようにすると、プーリに接触する方のピンの前後幅を広げることにより、このピンの剛性が高められて、高い動力伝達が確保され、プーリに接触しない方のピンの前後幅を相対的に狭くすることで、チェーンの大型化を回避することができる。また、前後幅の狭いピンは、前後幅の広いピンに比べて、リンクとピンとの接触面積が小さくなり、その結果、リンクがピンから受ける面圧が高くなるため、設計自由度に不利になるところ、突出縁部を設けることで、リンクとの接触面積が確保され、リンクの設計自由度を向上させることができる。こうして、リンクを大型化することなくリンクの最適設計が図られる。
リンクは、例えば、ばね鋼や炭素工具鋼製とされる。リンクの材質は、ばね鋼や炭素工具鋼に限られるものではなく、軸受鋼などの他の鋼でももちろんよい。リンクは、前後挿通部がそれぞれ独立の貫通孔(柱有りリンク)とされていてもよく、前後挿通部が1つの貫通孔(柱無しリンク)とされていてもよい。ピンの材質としては、軸受鋼などの適宜な鋼が使用される。
第1ピンおよび第2ピンは、例えば、いずれか一方の接触面が平坦面とされ、他方の接触面が相対的に転がり接触移動可能なインボリュート曲面に形成される。また、第1ピンおよび第2ピンは、それぞれの接触面が所要の曲面に形成されるようにしてもよい。
なお、この明細書において、リンクの長さ方向の一端側を前、同他端側を後としているが、この前後は便宜的なものであり、リンクの長さ方向が前後方向と常に一致することを意味するものではない。
上記の動力伝達チェーンは、いずれか一方のピン(インターピース)が他方のピン(ピン)よりも短くされ、長い方のピンの端面が無段変速機のプーリの円錐状シーブ面に接触し、この接触による摩擦力により動力を伝達するものであることが好ましい。各プーリは、円錐状のシーブ面を有する固定シーブと、固定シーブのシーブ面に対向する円錐状のシーブ面を有する可動シーブとからなり、両シーブのシーブ面間にチェーンを挟持し、可動シーブを油圧アクチュエータによって移動させることにより、無段変速機のシーブ面間距離したがってチェーンの巻き掛け半径が変化し、スムーズな動きで無段の変速を行うことができる。
この発明による動力伝達装置は、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、これら第1および第2のプーリに掛け渡される動力伝達チェーンとを備えたもので、動力伝達チェーンが上記に記載のものとされる。
この動力伝達装置は、自動車等の車両の無段変速機としての使用に好適なものとなる。
この発明の動力伝達チェーンによると、ピン固定部とピン可動部との境界部分に、ピン可動部の凹円弧状案内部に連なりピン固定部に固定されているピンを保持する凸円弧状保持部が設けられているので、ピン固定部によるピンの安定した固定状態が維持され、保持部の案内部側の円弧は、案内部のピン固定部側の端部の円弧に正接するようになされているので、リンクが予め設定されている屈曲範囲を超えた場合(オーバーシュートした場合)でも、リンクの接触面圧の増加が防止され、リンクの設計自由度が向上する。
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。以下の説明において、上下は、図2の上下をいうものとする。
図1は、この発明による動力伝達チェーンの一部を示しており、動力伝達チェーン(1)は、チェーン長さ方向に所定間隔をおいて設けられた前後挿通部(12)(13)を有する複数のリンク(11)と、チェーン幅方向に並ぶリンク(11)同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数のピン(第1ピン)(14)およびインターピース(第2ピン)(15)とを備えている。インターピース(15)は、ピン(14)よりも短くなされ、両者は、インターピース(15)が前側に、ピン(14)が後側に配置された状態で対向させられている。
チェーン(1)は、幅方向同位相の複数のリンクで構成されるリンク列を進行方向(前後方向)に3つ並べて1つのリンクユニットとし、この3列のリンク列からなるリンクユニットを進行方向に複数連結して形成されている。この実施形態では、リンク枚数が9枚のリンク列とリンク枚数が8枚のリンク列2つとが1つのリンクユニットとされている。
図2に示すように、ピン(14)は、インターピース(15)に比べて前後方向の幅が広くなされており、インターピース(15)の上下縁部には、ピン(14)側にのびる突出縁部(15a)(15b)が設けられている。リンク(11)の前挿通部(12)は、ピン(14)が移動可能に嵌め合わせられるピン可動部(16)およびインターピース(15)が固定されるインターピース固定部(17)からなり、後挿通部(13)は、ピン(14)が固定されるピン固定部(18)およびインターピース(15)が移動可能に嵌め合わせられるインターピース可動部(19)からなる。そして、チェーン幅方向に並ぶリンク(11)を連結するに際しては、一のリンク(11)の前挿通部(12)と他のリンク(11)の後挿通部(13)とが対応するようにリンク(11)同士が重ねられ、ピン(14)が一のリンク(11)の後挿通部(13)に固定されかつ他のリンク(11)の前挿通部(12)に移動可能に嵌め合わせられ、インターピース(15)が一のリンク(11)の後挿通部(13)に移動可能に嵌め合わせられかつ他のリンク(11)の前挿通部(12)に固定される。そして、このピン(14)とインターピース(15)とが相対的に転がり接触移動することにより、リンク(11)同士の長さ方向(前後方向)の屈曲が可能とされる。
リンク(11)のピン固定部(18)とインターピース可動部(19)との境界部分には、インターピース可動部(19)の上下の凹円弧状案内部(19a)(19b)にそれぞれ連なりピン固定部(18)に固定されているピン(14)を保持する上下の凸円弧状保持部(18a)(18b)が設けられている。同様に、インターピース固定部(17)とピン可動部(16)との境界部分には、ピン可動部(16)の上下の凹円弧状案内部(16a)(16b)にそれぞれ連なりインターピース固定部(17)に固定されているインターピース(15)を保持する上下の凸円弧状保持部(17a)(17b)が設けられている。
図3に示すように、ピン(14)を保持する凸円弧状保持部(18a)の円弧(R4)は、インターピース可動部(19)の凹円弧状案内部(19a)のピン固定部(18)側の端部の円弧(R3)に正接するようになされている。さらに、凹円弧状案内部(19a)のピン固定部(18)側の端部の円弧(R3)の曲率半径をR3、これに連なる案内部(19a)の円弧(R2)の曲率半径をR2、インターピース(15)の被案内面となる上縁部の曲率半径をR1として、R3≧R2>R1とされている。図示省略するが、下側の凸円弧状保持部(18b)、下側の凹円弧状案内部(19b)およびインターピース(15)の下縁部についても同様の関係が成り立っている。この場合に、下縁部は、上縁部と全く同じ寸法に限られるものではなく、R3≧R2>R1を満たす範囲で、上縁部とは異なる寸法としてもよい。なお、図3は、誇張して描かれており、実際には、インターピース(15)の被案内面となる上下縁部は、インターピース可動部(19)の凹円弧状案内部(19a)(19b)にほぼ全面で接触している。
ピン(14)を基準としたピン(14)とインターピース(15)との接触位置の軌跡は、円のインボリュートとされており、この実施形態では、ピン(14)の接触面が、断面において半径Rb、中心Mの基礎円を持つインボリュート形状を有し、インターピース(15)の接触面が平坦面(断面形状が直線)とされている。これにより、各リンク(11)がチェーン(1)の直線部分から曲線部分へまたは曲線部分から直線部分へと移行する際、前挿通部(12)においては、ピン(14)が固定状態のインターピース(15)に対してその接触面がインターピース(15)の接触面に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながらピン可動部(16)内を移動し、後挿通部(13)においては、インターピース(15)がインターピース可動部(19)内を固定状態のピン(14)に対してその接触面がピン(14)の接触面に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながら移動する。なお、図2において、符号AおよびBで示す箇所は、チェーン(1)の直線部分においてピン(14)とインターピース(15)とが接触している線(断面では点)であり、AB間の距離がピッチである。
この動力伝達チェーン(1)は、必要な数のピン(14)およびインターピース(15)を台上に垂直状に保持した後、リンク(11)を1つずつあるいは数枚まとめて圧入していくことにより製造される。この圧入は、ピン(14)およびインターピース(15)の上下縁部とピン固定部(18)およびインターピース固定部(17)の上下縁部との間において行われており、その圧入代は0.005mm〜0.1mmとされている。こうして、組み立てられたチェーン(1)には張力が付与(予張)される。
上記の動力伝達チェーン(1)では、ピンの上下移動の繰り返しにより、多角形振動が生じ、これが騒音の要因となるが、ピン(14)とインターピース(15)とが相対的に転がり接触移動しかつピン(14)を基準としたピン(14)とインターピース(15)との接触位置の軌跡が円のインボリュートとされていることにより、ピンおよびインターピースの接触面がともに円弧面である場合などと比べて、振動を小さくすることができ、騒音を低減することができる。
上記の動力伝達チェーンは、図5に示したCVTで使用されるが、この際、図4に示すように、インターピース(15)の端面がプーリ(2)の固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)の各円錐状シーブ面(2c)(2d)に接触しない状態で、ピン(14)の端面がプーリ(2)の円錐状シーブ面(2c)(2d)に接触し、この接触による摩擦力により動力が伝達される。ピン(14)とインターピース(15)とは、上述のように、各可動部(16)(19)に案内されて転がり接触移動するので、プーリ(2)のシーブ面(2c)(2d)に対してピン(14)はほとんど回転しないことになり、摩擦損失が低減し、高い動力伝達率が確保される。
このCVTでは、入力トルクが変化したり変速操作が行われた際に、ピン(14)とインターピース(15)との間したがってリンク(11)同士の間で、予め設定された屈曲範囲を超えるオーバーシュートが起こる場合がある。インターピース(15)は、プーリ(2)に接触していないことから、ピン(14)に比べて移動量が大きくなり易くなっているが、上記のように、ピン(14)を保持する凸円弧状保持部(18a)(18b)の円弧(R4)がインターピース可動部(19)の凹円弧状案内部(19a)(19b)のピン固定部(18)側の端部の円弧(R3)に正接するようになされているとともに、凹円弧状案内部(19a)(19b)のピン固定部(18)側の端部の円弧(R3)の曲率半径R3、これに連なる案内部(19a)(19b)の円弧(R2)の曲率半径R2およびピン(14)の被案内面となる上下縁部の曲率半径R1の間にR3≧R2>R1の関係が満たされているので、インターピース(15)がインターピース可動部(19)内において大きく移動したとしても、インターピース(15)は、曲率半径が小さい部分と接触することがなく、また、ピン(14)を保持する保持部(18a)(18b)近傍においても、接触面圧が増加することがない。こうして、オーバーシュート発生時でも、リンク(11)の接触面圧の増加が防止され、これにより、CVTとしての優れた耐久性が確保される。
なお、上記のオーバーシュート発生時における接触面圧の増加を防止する構成は、ピン(14)およびピン可動部(16)間にも設けてもよく、また、インターピース(15)の上下縁部に突出縁部(15a)(15B)がない場合でも同様の効果を得ることができる。
図1は、この発明による動力伝達チェーンの1実施形態の一部を示す平面図である。 図2は、リンクの拡大側面図である。 図3は、リンクの特徴部分を説明するための拡大模式図である。 図4は、動力伝達チェーンがプーリに取り付けられた状態を示す正面図である。 図5は、無段変速機を示す斜視図である。
符号の説明
(1) 動力伝達チェーン
(2)(3) プーリ
(2a)(3b) 固定シーブ
(2b)(3a) 可動シーブ
(2c)(2d) 円錐状シーブ面
(11) リンク
(12) 前挿通部
(13) 後挿通部
(14) ピン(第1ピン)
(15) インターピース(第2ピン)
(15a)(15b) 突出縁部
(16) ピン可動部(ピン可動部)
(17) インターピース固定部(ピン固定部)
(18) ピン固定部(ピン固定部)
(18a)(18b) 凸円弧状保持部
(19) インターピース可動部(ピン可動部)
(19a)(19b) 凹円弧状案内部

Claims (4)

  1. ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされており、第1ピンおよび第2ピンのうちの一方は、一のリンクの前挿通部の前側部分に設けられたピン固定部に固定されかつ他のリンクの後挿通部の前側部分に設けられたピン可動部に移動可能に嵌め入れられ、同他方は、一のリンクの前挿通部の後側部分に設けられたピン可動部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部の後側部分に設けられたピン固定部に固定されている動力伝達チェーンにおいて、
    ピン固定部とピン可動部との境界部分に、ピン可動部の凹円弧状案内部に連なりピン固定部に固定されているピンを保持する凸円弧状保持部が設けられており、保持部の案内部側の円弧は、案内部のピン固定部側の端部の円弧に正接するようになされており、案内部の端部円弧に連なる円弧の曲率半径は、ピンの被案内面の曲率半径よりも大きくなされていることを特徴とする動力伝達チェーン。
  2. 案内部のピン固定部側の端部の円弧の曲率半径をR3、これに連なる案内部の円弧の曲率半径または平均の曲率半径をR2、ピンの被案内面の曲率半径または平均の曲率半径をR1として、R3≧R2>R1とされており、ピンの被案内面は、ピン可動部の凹円弧状案内部に接触している請求項1の動力伝達チェーン。
  3. ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされており、第1ピンおよび第2ピンのうちの一方は、一のリンクの前挿通部の前側部分に設けられたピン固定部に固定されかつ他のリンクの後挿通部の前側部分に設けられたピン可動部に移動可能に嵌め入れられ、同他方は、一のリンクの前挿通部の後側部分に設けられたピン可動部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部の後側部分に設けられたピン固定部に固定されている動力伝達チェーンにおいて、
    ピン固定部とピン可動部との境界部分に、ピン可動部の凹円弧状案内部に連なりピン固定部に固定されているピンを保持する凸円弧状保持部が設けられており、保持部の案内部側の円弧は、案内部のピン固定部側の端部の円弧に正接するようになされており、第1ピンおよび第2ピンのうちのいずれか一方は、このチェーンが無段変速機で使用される際にプーリに接触する方のピンとされ、他方は、プーリに接触しない方のピンとされ、プーリに接触する方のピンは、プーリに接触しない方のピンに比べて前後方向の幅が広くなされており、プーリに接触しない方のピンに、ピン固定部の内周に接触するようにのびる突出縁部が形成されていることを特徴とする動力伝達チェーン。
  4. 円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、これら第1および第2のプーリに掛け渡される動力伝達チェーンとを備え、動力伝達チェーンが請求項1〜3のいずれかに記載の動力伝達装置。
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