JP2019065903A - 伝達ベルトおよび無段変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】積層リングのリング材間の接触面に形成される溝に十分な潤滑油を保有させて、リング材間に作用する摩擦をより低減させる。【解決手段】伝達ベルトは、無端金属の複数のリング材が隣接するリング材同士で接触して積層してなる積層リングと、積層リングにより環状に支持された複数のエレメントと、を有し、無段変速機のプライマリプーリとセカンダリプーリとに巻き掛けられるものである。そして、積層リングの隣接するリング材間の少なくとも一方の接触面には、メッシュ状の溝であるクロスハッチが形成され、クロスハッチは、リング材の幅方向における溝の交差角度であるクロスハッチ角が110度以上175度以下の範囲内となるように形成されている。【選択図】図6

Description

本明細書は、積層リングとエレメントとを有する伝達ベルトおよび無段変速機について開示する。
従来、この種の伝達ベルトとしては、複数の金属製リングが相互に摺動自在に積層されたリング集合体(積層リング)と、リング集合体に摺動自在に支持された多数の金属製ブロック(エレメント)とを有し、一対のプーリに架け渡されて、一方のプーリから他方のプーリにトルクを伝達するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この伝達ベルトは、リング集合体の最内周リングを除いた残りの全てのリングの内周面に、潤滑油を保有するためのメッシュ状の潤滑油保有溝(クロスハッチ)が形成される。潤滑油保有溝に保有される潤滑油によりリング同士の摺接面の潤滑が行なわれ、リング同士の摺接による摩耗を低減することができる、としている。
特開2001−280427号公報
上述した伝達ベルトでは、積層リングの端部から隣接するリング間に取り込まれた潤滑油が潤滑油保有溝で保有されることで、良好な潤滑性能を得ることができる。しかし、潤滑油保有溝(クロスハッチ)の形状によっては、潤滑油の取り込みが不十分となったり、潤滑油の保有が不十分となる場合が生じ、リング間に作用する摩擦を良好に低減することができない。
本開示は、積層リングのリング材間に十分な潤滑油を取り込むと共に取り込んだ潤滑油を十分に保有させて、リング材間に作用する摩擦をより低減することを主目的とする。
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本開示の伝達ベルトは、無端金属の複数のリング材が隣接する前記リング材同士で接触して積層してなる積層リングと、前記積層リングにより環状に支持された複数のエレメントと、を有し、無段変速機のプライマリプーリとセカンダリプーリとに巻き掛けられる伝達ベルトであって、前記積層リングの隣接する前記リング材間の少なくとも一方の接触面には、メッシュ状の溝であるクロスハッチが形成され、前記クロスハッチは、前記リング材の幅方向における溝の交差角度であるクロスハッチ角が110度以上175度以下の範囲内となるように形成されていることを要旨とする。
この本開示の伝達ベルトでは、複数のエレメントを支持する積層リングの隣接するリング材間の少なくとも一方の接触面に、メッシュ状の溝であるクロスハッチが形成される。そして、クロスハッチは、リング材の幅方向における溝の交差角度(クロスハッチ角)が110度以上175度以下の範囲内となるように形成される。これは、本願の発明者らの研究により、クロスハッチ角が大きいほど潤滑油の保有性能が向上する一方、クロスハッチ角が180度付近になると、溝への潤滑油の取り込みが不十分となることが見出されたことに基づく。これにより、積層リングのリング材間に十分な潤滑油を取り込むと共に取り込んだ潤滑油を十分に保有させることができる。この結果、リング材間に作用する摩擦をより低減することができ、伝動ベルトの耐久性および動力の伝達効率をより向上させることができる。
本開示の無段変速機は、プライマリプーリと、セカンダリプーリと、無端金属の複数のリング材が隣接する該リング材同士で接触して積層してなる積層リングと該積層リングにより環状に支持された複数のエレメントとを有し前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリとに巻き掛けられる伝達ベルトと、を備える無段変速機であって、前記伝達ベルトの径方向内側に配置されて該伝達ベルトに潤滑油を供給する潤滑油供給部を有し、前記積層リングの隣接する前記リング材間の少なくとも一方の接触面には、メッシュ状の溝であるクロスハッチが形成され、前記クロスハッチは、前記リング材の幅方向における溝の交差角度であるクロスハッチ角が110度以上175度以下の範囲内となるように形成されていることを要旨とする。これにより、積層リングのリング材間に十分な潤滑油を取り込むと共に取り込んだ潤滑油を十分に保有させることができる。この結果、リング材間に作用する摩擦をより低減することができ、伝動ベルトの耐久性および動力の伝達効率をより向上させることができる。
本実施形態の無段変速機1の概略構成図である。 本実施形態の無段変速機1の概略構成図である。 無段変速機1に含まれる伝動ベルト10の部分断面図である。 リング材11の外観斜視図である。 図4のリング材11のA領域を拡大して示す部分拡大図である。 リング材11のクロスハッチ11aのクロスハッチ角度θと隣接するリング材11間の摩擦係数μとの関係を示す説明図である。 変形例の伝達ベルト110の部分断面図である。
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
図1および図2は、本実施形態の無段変速機1の概略構成図である。無段変速機1は、車両に搭載されるものであり、図示するように、駆動側回転軸としてのプライマリシャフト2と、当該プライマリシャフト2に設けられたプライマリプーリ3と、プライマリシャフト2と平行に配置される従動側回転軸としてのセカンダリシャフト4と、当該セカンダリシャフト4に設けられたセカンダリプーリ5と、プライマリプーリ3のプーリ溝(V字状溝)とセカンダリプーリ5のプーリ溝(V字状溝)とに巻き掛けられた伝動ベルト10と、を備える。
プライマリシャフト2は、エンジン(内燃機関)等の動力源に連結された図示しないインプットシャフトに図示しない前後進切換機構を介して連結される。プライマリプーリ3は、プライマリシャフト2と一体に形成された固定シーブ3aと、ボールスプライン等を介してプライマリシャフト2により軸方向に摺動自在に支持される可動シーブ3bと、を有する。また、セカンダリプーリ5は、セカンダリシャフト4と一体に形成された固定シーブ5aと、ボールスプライン等を介してセカンダリシャフト4により軸方向に摺動自在に支持されると共にリターンスプリング8により軸方向に付勢される可動シーブ5bと、を有する。
また、無段変速機1は、プライマリプーリ3の溝幅を変更するための油圧式アクチュエータであるプライマリシリンダ6と、セカンダリプーリ5の溝幅を変更するための油圧式アクチュエータであるセカンダリシリンダ7と、を有する。プライマリシリンダ6は、プライマリプーリ3の可動シーブ3bの背後に形成され、セカンダリシリンダ7は、セカンダリプーリ5の可動シーブ5bの背後に形成される。プライマリシリンダ6とセカンダリシリンダ7とには、プライマリプーリ3とセカンダリプーリ5との溝幅を変化させるべく図示しない油圧制御装置から作動油が供給される。
すなわち、無段変速機1を搭載した車両の走行に際して、プライマリシリンダ6には、図示しない油圧制御装置から車両のアクセル開度(スロットル開度)、車速およびエンジン回転数から定まる当該無段変速機1の目標変速比に応じた油圧が供給される。また、セカンダリシリンダ7には、当該油圧制御装置から伝動ベルト10の滑りが抑制されるように調圧された油圧が供給される。これにより、車両のエンジン(動力源)からインプットシャフトや前後進切換機構を介してプライマリシャフト2に伝達されたトルクを無段階に変速してセカンダリシャフト4に出力することが可能となる。そして、セカンダリシャフト4に伝達されたトルクは、ギヤ機構、デファレンシャルギヤおよびドライブシャフトを介して車両の駆動輪(何れも図示省略)に出力される。
プライマリシャフト2は、図2において破線で示すように、当該プライマリシャフト2の中心部に軸方向に延在するように形成された第1油孔2aと、当該第1油孔2aに連通すると共に径方向に延在してプライマリシャフト2の外周面で開口する第2油孔2bとを有する。同様に、セカンダリシャフト4は、当該セカンダリシャフト4の中心部に軸方向に延在するように形成された第1油孔4aと、当該第1油孔4aに連通すると共に径方向に延在してセカンダリシャフト4の外周面で開口する第2油孔4bとを有する。第1油孔2a,4aには、油圧制御装置(オイルポンプ)から作動油が供給され、プライマリシャフト2やセカンダリシャフト4が回転すると、第2油孔2b,4bから伝動ベルト10の内周面に向けて潤滑冷却媒体としての作動油を噴出させることができる。また、無段変速機1には、図2において二点鎖線で示すように、油圧制御装置(オイルポンプ)から作動油が供給される1つまたは複数のノズル9が設けられてもよい。この場合、複数のノズル9は、図示するようにプライマリプーリ3とセカンダリプーリ5との間であって伝動ベルト10の内側に上下方向に間隔をおいて配置されてもよい。ノズル9により、伝動ベルト10のプライマリプーリ3やセカンダリプーリ5に巻き掛かろうとする部分や、伝動ベルト10のプライマリプーリ3等への巻き掛け部に向けて作動油を噴出することが可能となる。
図3は、伝動ベルト10の部分断面図である。伝動ベルト10は、図示するように、無端の複数(本実施形態では、例えば9個)のリング材11を厚み方向(リング径方向)に積層することにより構成された1個の積層リング12と、無端の1個のリテーナリング15と、積層リング12の内周面に沿って環状に配列(結束)される複数(例えば、合計数百個)のエレメント20と、を有する。
積層リング12を構成する複数のリング材11は、それぞれ鋼板製のドラムから切り出された弾性変形可能なものであり、概ね同一の厚みおよびそれぞれについて予め定められた異なる周長を有するように加工されている。リテーナリング15は、例えば鋼板製のドラムから切り出された弾性変形可能なものであり、リング材11と概ね同一若しくはそれよりも薄い厚みを有すると共に積層リング12の最外層リング材11oの外周長よりも長い内周長を有するように加工されている。これにより、積層リング12とリテーナリング15とが同心円状に配置された状態(張力が作用しない無負荷状態)では、図3に示すように、最外層リング材11oの外周面とリテーナリング15の内周面との間に、環状のクリアランスが形成される。
エレメント20は、例えばプレス加工により鋼板から打ち抜かれたものであり、図3に示すように、図中水平に延びる胴部21と、当該胴部21の両端部から同方向に延出された一対のピラー部22と、各ピラー部22の遊端側に開口するように一対のピラー部22の間に画成された単一のリング収容部(凹部)23と、を有する。エレメント20の側面20sは、積層リング12の内周側から外周側(積層リング12の径方向における外側)に向かうにつれて互いに離間するように形成されており、プライマリプーリ3やセカンダリプーリ5から狭圧力を受けて摩擦力によりプライマリプーリ3からセカンダリプーリ5へとトルクを伝達するトルク伝達面(フランク面)を形成する。
一対のピラー部22は、リング収容部23の底面であるサドル面23sの幅方向における両側から積層リング12の径方向における外側(伝動ベルト10(積層リング12)の内周側から外周側に向かう方向、すなわち図中上方)に延出されており、各ピラー部22の遊端部には、サドル面23sの幅方向に突出するフック部22fが形成されている。一対のフック部22fは、積層リング12(リング材11)の幅よりも若干長く、かつリテーナリング15の幅よりも短い間隔をおいて互いに対向するように延出されている。
リング収容部23内には、図3に示すように、積層リング12が配置され、当該リング収容部23のサドル面23sは、積層リング12の内周面すなわち最内層リング材11iの内周面に接触する。サドル面23sは、幅方向における中央部を頂部Tとして幅方向外側に向かうにつれて図中下方に緩やかに傾斜した左右対称の凸曲面形状(クラウニング形状)を有する。これにより、サドル面23sとの摩擦により積層リング12に頂部Tに向かう求心力を付与して、当該積層リング12をセンタリングすることが可能となる。ただし、サドル面23sは、積層リング12の径方向における外側に湾曲する凸曲面を幅方向に複数含むものであってもよい。
また、リング収容部23内には、弾性変形させられたリテーナリング15がエレメント20の一対のフック部22fの間から嵌め込まれる。リテーナリング15は、積層リング12の最外層リング材11oの外周面とエレメント20のフック部22fとの間に配置されて当該積層リング12を包囲し、一対のピラー部22と共に、エレメント20が積層リング12から脱落したり、エレメント20から積層リング12が脱落したりするのを規制する。これにより、それぞれ複数のエレメント20は、積層リング12の内周面に沿って環状に結束(配列)される。本実施形態では、リテーナリング15には、図示しない単一または複数の開口(長穴)が形成されており、これにより、リテーナリング15を弾性変形し易くしてエレメント20に対する組付性を確保することができる。
エレメント20の正面(一方の表面)には、図3に示すように、一対のロッキングエッジ部(接触領域)25、非接触部27、テーパ面(傾斜面)21s、および1個の突起(ディンプル)21pが形成されている。一対のロッキングエッジ部25は、それぞれ対応するピラー部22と胴部21とに跨がるようにサドル面23sの幅方向に間隔をおいてエレメント20の正面に形成されている。また、非接触部27は、一対のロッキングエッジ部25の上記幅方向における間に形成されている。更に、テーパ面21sは、非接触部27および一対のロッキングエッジ部25から各ピラー部22の突出方向と反対側、すなわちベルト内周側(図3における下側)に延在するように胴部21の正面(一方の表面)に形成されている。突起21pは、胴部21の正面の幅方向における中央部でテーパ面21sから突出する。
また、図3に示すように、各ロッキングエッジ部25および非接触部27よりもベルト外周側に位置するエレメント20の正面(主にピラー部22の正面)と、エレメント20の背面(他方の表面)とは、それぞれ平坦に形成されている。これにより、エレメント20の各ピラー部22は、一定の厚みを有する。また、各ロッキングエッジ部25および非接触部27よりもベルト内周側(図3における下側)に位置するテーパ面21sは、図3に示すように、ピラー部22から離間するにつれて(ベルト内周側に向かうにつれて)背面(裏面)に近接する。更に、エレメント20(胴部21)の背面には、突起21pの裏側に位置するように窪み部21rが形成されている。伝動ベルト10が組み立てられた際、当該窪み部21rには、隣り合うエレメント20の突起21pが遊嵌される。
各ロッキングエッジ部25は、短尺帯状の凸曲面であり、本実施形態では、予め定められた曲率半径を有する円柱面(曲面)とされている。各ロッキングエッジ部25は、隣り合うエレメント20同士が接触して両者が回動する支点(接触線)を含み、支点の位置は、無段変速機1の変速比γに応じてロッキングエッジ部25の範囲内で変動する。
また、非接触部27は、隣り合うエレメント20同士が接触した状態でサドル面23sで開口すると共に当該サドル面23sに沿って幅方向に延在して一対のロッキングエッジ部25を分断するように胴部21の正面(一方の表面)に形成された帯状の凹部である。非接触部27の底面は、エレメント20の正面(主にピラー部22の正面)および背面と平行をなす平坦面であり、各ロッキングエッジ部25の表面よりも背面側に窪んでいる。これにより、サドル面23sの厚みは、ピラー部22の厚みよりも小さくなる。また、非接触部27(凹部)の隅部や、非接触部27を画成する胴部21のエッジ部には、面取り加工等によりR形状が付与されている。
このような非接触部27をエレメント20に形成することで、伝動ベルト10では、隣り合うエレメント20同士のロッキングエッジ部25以外での接触を良好に抑制することが可能となる。この結果、大きなモーメントが作用するエレメント20の幅方向における中央部からの荷重が隣り合うエレメント20に加えられて当該エレメント20が変形するのを抑制し、エレメント20の耐久性をより向上させることが可能となる。
そして、本実施形態の無段変速機1において、エレメント20の諸元、特に非接触部27の深さは、テーパ面21sの傾斜角度等を考慮して、伝動ベルト10のプライマリプーリ3またはセカンダリプーリ5への巻き掛け部に含まれる隣り合うエレメント20同士の間に、非接触部27と伝動ベルト10よりも径方向内側の領域とを連通させるクリアランスが形成されるように定められる。これにより、当該巻き掛け部に含まれるエレメント20の非接触部27に潤滑媒体供給部としてのプライマリシャフト2やセカンダリシャフト4の第2油孔2b,4bやノズル9から作動油を供給することが可能となる。従って、当該非接触部27を作動油の通路として利用してエレメント20のサドル面23sと積層リング12の内周面(最内層リング11iの内周面)との間に潤滑冷却媒体としての作動油を供給することができる。この結果、上記巻き掛け部に含まれてプライマリプーリ3またはセカンダリプーリ5のプーリ溝上に位置するエレメント20のサドル面23sと積層リング12との間で作用する摩擦を低減することが可能となり、伝動ベルト10の耐久性および動力の伝達効率をより向上させることができる。
また、積層リング12を構成する複数のリング材11は、それぞれの内周面に圧延装置等によりクロスハッチ11aが形成されている。図4は、リング材11の外観斜視図である。図5は、図4のリング材11のA領域を拡大して示す部分拡大図である。圧延装置は、本実施形態では、リング材を挟持する一対の圧延ローラを有する。圧延装置の一対の圧延ローラのうちリング材の内周面と接触する圧延ローラの表面には、メッシュ状の突条が設けられており、一対の圧延ローラでリング材11を挟持して圧延することにより、当該リング材11を圧延加工するのと同時に、当該リング材11の内周面にメッシュ状の溝、すなわちクロスハッチ11aを形成することができる。このクロスハッチ11aにより、積層リング12の隣接するリング材11間には潤滑媒体供給部としての第2油孔2b,4bやノズル9から供給される作動油が取り込まれ、隣接するリング材11間で作用する摩擦を低減することが可能となり、伝動ベルト10の耐久性および動力の伝達効率を向上させることができる。クロスハッチ11aは、図4に示すように、リング材11の幅方向(リング材11の周方向と直交する方向、すなわち図中左右方向)における溝の交差角度(クロスハッチ角度θ)が110度以上175度以下(より好ましくは110度以上170度以下或いは130度以上175度以下、更に好ましくは130度以上170度以下)の範囲内となるように形成される。
本願の発明者らは、それぞれリング材のクロスハッチ角度θが異なる複数の積層リングを作製し、各積層リングにおいて隣接するリング材間の摩擦係数μを測定する実験を行なった。図6は、リング材11のクロスハッチ11aのクロスハッチ角度θと隣接するリング材11間の摩擦係数μとの関係を示す説明図である。図示するように、隣接するリング材11間の摩擦係数μは、クロスハッチ角度θが80度以上となると低下し始め、クロスハッチ角度θが110度〜175度、特に、130度〜170度の範囲内で良好な結果となった。これは、クロスハッチ角度θが大きいほど、クロスハッチ11aを構成する溝の長さが長くなるため、隣接するリング材11間に取り込まれた作動油が溝内に長く保有され、排出され難くなると考えられることに基づく。一方、クロスハッチ角度θが180度付近になると、隣接するリング材11間に作動油が十分に取り込めなくなるため、クロスハッチ11aは、クロスハッチ角度θが175度(より好ましくは170度)を超えないように形成される。このように、積層リング12を構成する複数のリング材11のクロスハッチ11aを、クロスハッチ角度θが110度以上175度以下(より好ましくは110度以上170度以下或いは130度以上175度以下、更に好ましくは130度以上170度以下)の範囲内となるように形成することにより、隣接するリング材11間で作用する摩擦をより低減することが可能となり、伝動ベルト10の耐久性および動力の伝達効率をより向上させることができる。
本実施形態の無段変速機1の伝達ベルト10では、積層リング12を構成する複数のリング材11のそれぞれの内周面にクロスハッチ(メッシュ状の溝)11aが形成されたが、これに限定されるものではない。すなわち、積層リング12を構成する複数のリング材11のうち最内層リング材11iの内周面にはクロスハッチが形成されないもの(平滑面)としてもよい。また、リング材11の外周面にクロスハッチ(メッシュ状の溝)が形成されてもよい。
実施形態の無段変速機1の伝動ベルト10では、各エレメント20に一対のフック部22fが設けられると共に、積層リング12と複数のエレメント20のフック部22fとの間にリテーナリング15が配置されるが、これに限られるものではない。すなわち、伝動ベルト10の各エレメント20からフック部22fが省略されてもよく、当該伝動ベルト10からリテーナリング15が省略されてもよい。
実施形態の無段変速機1の伝達ベルト10では、各エレメント20が、胴部21と、胴部21の幅方向における両側から同方向に延出されたピラー部22とを有するものとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、図7に示すように、伝達ベルト110は、それぞれ複数のリング材111が積層して構成される2つの積層リング112と、多数のエレメント120と、を備え、多数のエレメント120を両側から2つの積層リング112で挟み付けるように結束することにより構成されてもよい。各エレメント120は、図7に示すように、略逆台形形状の胴部121と、胴部121の幅方向における中央部から積層リング112の径方向における外側へ向かって延在された略三角形状(傘形状)のヘッド部122と、を備える。また、各エレメント120は、胴部121とヘッド部122との間の隙間において、幅方向における外側に向かって開口する左右一対のリング収容部(凹部)123が形成されている。各エレメント120のリング収容部123には、エレメント120を両側から挟み付けるように2つの積層リング112が嵌め込まれている。なお、リング収容部123における伝達ベルト110の径方向の内側(図中下側)の面は、積層リング112を構成する複数のリング材111のうち最内周リング材が載置されるサドル面123sとなる。こうした変形例の伝達ベルト110においても、積層リング112を構成する複数のリング材111に、クロスハッチ角度θを110度〜175度(より好ましくは110度以上170度以下或いは130度以上175度以下、更に好ましくは130度以上170度以下)の範囲内に定めたクロスハッチを形成することにより、隣接するリング材111間で作用する摩擦をより低減することが可能となり、伝動ベルト110の耐久性および動力の伝達効率をより向上させることができる。
以上説明したように、本開示の伝達ベルトは、無端金属の複数のリング材(11)が隣接する前記リング材(11)同士で接触して積層してなる積層リング(12)と、前記積層リング(12)により環状に支持された複数のエレメント(20)と、を有し、無段変速機(1)のプライマリプーリ(3)とセカンダリプーリ(5)とに巻き掛けられる伝達ベルト(10)であって、前記積層リング(12)の隣接する前記リング材(11)間の少なくとも一方の接触面には、クロスハッチ(11a)が形成され、前記クロスハッチ(11a)は、前記リング材(11)の幅方向における溝の交差角度であるクロスハッチ角が110度以上175度以下の範囲内となるように形成されていることを要旨とする。
この本開示の伝達ベルトでは、複数のエレメントを支持する積層リングの隣接するリング材間の少なくとも一方の接触面に、メッシュ状の溝であるクロスハッチが形成される。そして、クロスハッチは、クロスハッチ角が110度以上175度以下の範囲内となるように形成される。これは、本願の発明者らの研究により、クロスハッチ角が大きいほど潤滑油の保有性能が向上する一方、クロスハッチ角が180度付近になると、溝への潤滑油の取り込みが不十分となることが見出されたことに基づく。これにより、積層リングのリング材間に十分な潤滑油を取り込むと共に取り込んだ潤滑油を十分に保有させることができる。この結果、リング材間に作用する摩擦をより低減することができ、伝動ベルトの耐久性および動力の伝達効率をより向上させることができる。
こうした本開示の伝達ベルトにおいて、前記クロスハッチ(11a)は、前記クロスハッチ角が130度以上175度以下の範囲内で形成されるものとしてもよい。こうすれば、隣接するリング材間に潤滑油を取り込み易くすると共に取り込んだ潤滑油を保有し易く(排出され難く)することができ、隣接するリング材間に作用する摩擦を更に低減することができる。
また、本開示の伝達ベルトにおいて、前記エレメント(20)は、前記積層リング(12)の内周面と接触するサドル面(23s)を含む胴部(21)と、該胴部(21)の幅方向における両側から延出された一対のピラー部(22)と、を有するものとしてもよい。
本開示の無段変速機は、プライマリプーリ(3)と、セカンダリプーリ(5)と、無端金属の複数のリング材(11)が隣接する該リング材(11)同士で接触して積層してなる積層リング(12)と該積層リング(12)により環状に支持された複数のエレメント(20)とを有し前記プライマリプーリ(3)と前記セカンダリプーリ(5)とに巻き掛けられる伝達ベルト(10)と、を備える無段変速機(1)であって、前記伝達ベルト(10)の径方向内側に配置されて該伝達ベルト(10)に潤滑油を供給する潤滑油供給部(2b,4b,9)を有し、前記積層リング(12)の隣接する前記リング材(11)間の少なくとも一方の接触面には、メッシュ状の溝であるクロスハッチ(11a)が形成され、前記クロスハッチ(11a)は、前記リング材(11)の幅方向における溝の交差角度であるクロスハッチ角が110度以上175度以下の範囲内となるように形成されていることを要旨とする。これにより、積層リングのリング材間に十分な潤滑油を取り込むと共に取り込んだ潤滑油を十分に保有させることができる。この結果、リング材間に作用する摩擦をより低減することができ、伝動ベルトの耐久性および動力の伝達効率をより向上させることができる。
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本開示の発明は、伝動ベルトや無段変速機の製造産業等において利用可能である。
1 無段変速機、2 プライマリシャフト、2a,4a 第1油孔、2b,4b 第2油孔、3 プライマリプーリ、3a,5a 固定シーブ、3b,5b 可動シーブ、4 セカンダリシャフト、5 セカンダリプーリ、6 プライマリシリンダ、65 エンドプレート、7 セカンダリシリンダ、8 リターンスプリング、9 ノズル、10,110 伝動ベルト、11,111 リング材、11a クロスハッチ、11o 最外層リング材、11i 最内層リング材、12,112 積層リング、15 リテーナリング、20,120 エレメント、20s 側面、21,121 胴部、21p 突起、21r 窪み部、21s テーパ面、22 ピラー部、22f フック部、23,123 リング収容部、23s,123s サドル面、25 ロッキングエッジ部、27 非接触部、122 ヘッド部、T 頂部。

Claims (4)

  1. 無端金属の複数のリング材が隣接する前記リング材同士で接触して積層してなる積層リングと、前記積層リングにより環状に支持された複数のエレメントと、を有し、無段変速機のプライマリプーリとセカンダリプーリとに巻き掛けられる伝達ベルトであって、
    前記積層リングの隣接する前記リング材間の少なくとも一方の接触面には、メッシュ状の溝であるクロスハッチが形成され、
    前記クロスハッチは、前記リング材の幅方向における溝の交差角度であるクロスハッチ角が110度以上175度以下の範囲内となるように形成されている、
    伝達ベルト。
  2. 請求項1に記載の伝達ベルトであって、
    前記クロスハッチは、前記クロスハッチ角が130度以上175度以下の範囲内となるように形成される、
    伝達ベルト。
  3. 請求項1または2に記載の伝達ベルトであって、
    前記エレメントは、前記積層リングの内周面と接触するサドル面を含む胴部と、該胴部の幅方向における両側から延出された一対のピラー部と、を有する、
    伝達ベルト。
  4. プライマリプーリと、セカンダリプーリと、無端金属の複数のリング材が隣接する該リング材同士で接触して積層してなる積層リングと該積層リングにより環状に支持された複数のエレメントとを有し前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリとに巻き掛けられる伝達ベルトと、を備える無段変速機であって、
    前記伝達ベルトの径方向内側に配置されて該伝達ベルトに潤滑油を供給する潤滑油供給部を有し、
    前記積層リングの隣接する前記リング材間の少なくとも一方の接触面には、メッシュ状の溝であるクロスハッチが形成され、
    前記クロスハッチは、前記リング材の幅方向における溝の交差角度であるクロスハッチ角が110度以上175度以下の範囲内となるように形成されている、
    無段変速機。

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