JP2019199945A - 伝動ベルト用エレメント - Google Patents

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Toru Ochi
亨 越智
涼平 浦田
Ryohei Urata
涼平 浦田
亘 石原
Wataru Ishihara
亘 石原
淳一 徳永
Junichi Tokunaga
淳一 徳永
勇仁 服部
Takehito Hattori
勇仁 服部
啓輔 二宮
Hirosuke Ninomiya
啓輔 二宮
悠 稲瀬
Yu Inase
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Abstract

【課題】伝動ベルトの耐久性をより向上させることができる伝動ベルト用エレメントの提供。【解決手段】伝動ベルト用エレメントは、無段変速機の一対のプーリに巻き掛けられる伝動ベルトのリングと接触するサドル面を有する胴部と、サドル面の幅方向における両側に位置するように胴部から延出された一対のピラー部と、ピラー部の遊端部からサドル面側に突出するフック部とを含み、伝動ベルトは、リングと複数のエレメントのフック部との間に配置されるリテーナリングを含み、フック部のリテーナリングとの接触面は、伝動ベルトの径方向における内側に凸となる曲面により形成されている。【選択図】図2

Description

本開示は、無段変速機のプーリに巻き掛けられる伝動ベルトのリングと接触するサドル面を有する胴部と、胴部から延出された一対のピラー部と、ピラー部の遊端部から突出するフック部とを含む伝動ベルト用エレメントに関する。
従来、無段変速機として、金属製無端状のベルトストラップ(リング)と、当該ベルトストラップに取り付けられた多数の金属ブロック(エレメント)と、これらの金属ブロックをベルトストラップに取り付けられた状態に保持する無端ストラップ状の保持ストラップ(リテーナリング)とからなる金属Vベルトを含むものが知られている(例えば、特許文献1参照)。金属Vベルトの各金属ブロックは、上面にベルトストラップが通る上方に開口したストラップ配置溝を有し、ストラップ配置溝内の両内側面には保持ストラップを取り付けるための取り付け溝が形成されている。また、保持ストラップは、全周にわたって同一幅であると共に平板状の幅方向断面を有し、当該保持ストラップの平板面の少なくとも1箇所には、ストラップ配置溝内に挿入される際に平板面を弧状に弾性変形させ易くするための開孔が形成されている。そして、保持ストラップは、その両端が上記取り付け溝に挿入されることで各金属ブロックに組み付けられ、弾性変形が開放されて幅方向断面が平板状に戻った状態でストラップ配置溝内を通るベルトストラップを覆う。
実開平3−72139号公報
上述のような無段変速機では、プーリから加えられる回転モーメントによるエレメントのピッチングが発生したり、プーリの出口でエレメントが当該プーリによりプーリ軸心側に引き込まれたりした際に、保持ストラップが、取り付け溝を画成するフック状の部分のエッジ部とベルトストラップ(リング)とで挟み付けられてしまい、保持ストラップの局所的な損傷により伝動ベルトの耐久性が低下してしまうおそれがある。また、上述のような保持ストラップ(リテーナリング)が省略された伝動ベルトを含む無段変速機においても、エレメントのピッチングやプーリによる引き込み等によりエレメントのフック状の部分のエッジ部がベルトストラップに押し付けられてしまうことがあり、この場合、ベルトストラップの局所的な損傷により伝動ベルトの耐久性が低下してしまうおそれがある。
そこで、本開示は、伝動ベルトの耐久性をより向上させることができる伝動ベルト用エレメントの提供を主目的とする。
本開示の伝動ベルト用エレメントは、無段変速機の一対のプーリに巻き掛けられる伝動ベルトのリングと接触するサドル面を有する胴部と、前記サドル面の幅方向における両側に位置するように前記胴部から前記伝動ベルトの径方向における外側に延出された一対のピラー部と、前記ピラー部の遊端部から前記サドル面側に前記幅方向に突出するフック部とを含む伝動ベルト用エレメントにおいて、前記伝動ベルトが、前記リングと前記複数のエレメントの前記フック部との間に配置されるリテーナリングを含み、前記フック部の前記リテーナリングとの接触面が、前記径方向における内側に凸となる曲面により形成されているものである。
本開示の伝動ベルト用エレメントでは、フック部のリテーナリングとの接触面が、伝動ベルトの径方向における内側に凸となる曲面により形成されている。これにより、エレメントのピッチングが発生したり、プーリの出口でエレメントが当該プーリによりプーリ軸心側に引き込まれたりしてフック部とリテーナリングとが接触した際に、フック部(接触面)とリテーナリングとの接触部分での接触面圧を低下させることができる。この結果、フック部との接触によるリテーナリングの局所的な損傷を抑制して、伝動ベルトの耐久性をより向上させることが可能となる。
本開示の他の伝動ベルト用エレメントは、無段変速機の一対のプーリに巻き掛けられる伝動ベルトのリングと接触するサドル面を有する胴部と、前記サドル面の幅方向における両側に位置するように前記胴部から前記伝動ベルトの径方向における外側に延出された一対のピラー部と、前記ピラー部の遊端部から前記サドル面側に前記幅方向に突出するフック部とを含む伝動ベルト用エレメントにおいて、前記フック部の前記リングとの接触面が、前記径方向における内側に凸となる曲面により形成されているものである。
本開示の他の伝動ベルト用エレメントでは、フック部のリングとの接触面が、伝動ベルトの径方向における内側に凸となる曲面により形成されている。これにより、エレメントのピッチングが発生したり、プーリの出口でエレメントが当該プーリによりプーリ軸心側に引き込まれたりしてフック部とリングとが接触した際に、フック部(接触面)とリングとの接触部分での接触面圧を低下させることができる。この結果、フック部との接触によるリングの局所的な損傷を抑制して、伝動ベルトの耐久性をより向上させることが可能となる。
本開示の伝動ベルト用エレメントを含む伝動ベルトを有する無段変速機の一例を示す概略構成図である。 本開示の伝動ベルト用エレメントを含む伝動ベルトの概略構成図である。 本開示の伝動ベルト用エレメントを示す拡大図である。 本開示の伝動ベルト用エレメントを含む伝動ベルトの拡大図である。 本開示の伝動ベルト用エレメントを含む伝動ベルトの拡大図である。 本開示の他の伝動ベルト用エレメントを含む伝動ベルトの拡大図である。 本開示の他の伝動ベルト用エレメントを含む伝動ベルトの拡大図である。
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本開示の伝動ベルト用エレメントを含む伝動ベルトを有する無段変速機(CVT)1を示す概略構成図である。同図に示す無段変速機1は、車両に搭載されるものであり、駆動側回転軸としてのプライマリシャフト(第1シャフト)2と、当該プライマリシャフト2に設けられたプライマリプーリ(第1プーリ)3と、プライマリシャフト2と平行に配置される従動側回転軸としてのセカンダリシャフト(第2シャフト)4と、当該セカンダリシャフト4に設けられたセカンダリプーリ(第2プーリ)5と、伝動ベルト10とを含む。図示するように、伝動ベルト10は、プライマリプーリ3のプーリ溝(V字状溝)とセカンダリプーリ5のプーリ溝(V字状溝)とに巻き掛けられる。
プライマリシャフト2は、車両のエンジン(内燃機関)といった動力発生源に連結されたインプットシャフト(図示省略)に図示しない前後進切換機構を介して連結される。プライマリプーリ3は、プライマリシャフト2と一体に形成された固定シーブ3aと、ボールスプライン等を介してプライマリシャフト2により軸方向に摺動自在に支持される可動シーブ3bとを含む。また、セカンダリプーリ5は、セカンダリシャフト4と一体に形成された固定シーブ5aと、ボールスプライン等を介してセカンダリシャフト4により軸方向に摺動自在に支持されると共にリターンスプリング8により軸方向に付勢される可動シーブ5bとを含む。
更に、無段変速機1は、プライマリプーリ3の溝幅を変更するための油圧式アクチュエータであるプライマリシリンダ6と、セカンダリプーリ5の溝幅を変更するための油圧式アクチュエータであるセカンダリシリンダ7とを含む。プライマリシリンダ6は、プライマリプーリ3の可動シーブ3bの背後に形成され、セカンダリシリンダ7は、セカンダリプーリ5の可動シーブ5bの背後に形成される。プライマリシリンダ6とセカンダリシリンダ7とには、プライマリプーリ3とセカンダリプーリ5との溝幅を変化させるべく図示しない油圧制御装置から作動油が供給される。また、セカンダリシャフト4は、ギヤ機構、デファレンシャルギヤおよびドライブシャフトを介して車両の駆動輪(何れも図示省略)に連結される。
本実施形態において、プライマリシャフト2のエンジン側とは反対側の端部(図1における左側の端部)には、段部が形成されている。そして、当該段部とプライマリシリンダ6のプライマリピストン60との間には、プライマリプーリ3の可動シーブ3bのエンジン側とは反対側の端部(図1における左側の端部)と当接可能となるように、環状のエンドプレート65が介設されている。更に、プライマリシャフト2には、可動シーブ3bの内周面に形成されたスプライン歯3sの固定シーブ3a側の端部と当接可能となるようにストッパ部2sが形成されている。
プライマリプーリ3の可動シーブ3bが固定シーブ3aから離間してエンドプレート65に当接すると、プライマリシャフト2に対する可動シーブ3bの固定シーブ3aから離間する方向への移動が規制される。これにより、プライマリプーリ3のプーリ溝の幅が最大になり、それに伴ってセカンダリプーリ5のプーリ溝の幅が最小に設定されることで、無段変速機1の変速比γが最大になる。また、可動シーブ3bの内周面に形成されたスプライン歯3sがプライマリシャフト2に形成されたストッパ部2sに当接すると、プライマリシャフト2に対する可動シーブ3bの固定シーブ3aに接近する方向への移動が規制される。これにより、プライマリプーリ3のプーリ溝の幅が最小になり、それに伴って伝動ベルト10によりセカンダリプーリ5のプーリ溝の幅が最大に設定されることで、無段変速機1の変速比γが最小になる。なお、無段変速機1は、プライマリシャフト2およびセカンダリシャフト4が選択的にインプットシャフトに連結されると共に、プライマリシャフト2およびセカンダリシャフト4が選択的に車両のドライブシャフトに連結されるように構成されてもよい。
図2は、伝動ベルト10を示す概略構成図である。同図に示すように、伝動ベルト10は、弾性変形可能な複数(本実施形態では、例えば9個)のリング材11を厚み方向(リング径方向)に積層することにより構成された1個の積層リング12と、1個のリテーナリング15と、積層リング12の内周面に沿って環状に配列(結束)される複数(例えば、数百個)のエレメント20とを含む。本実施形態において、エレメント20は、第1のエレメントと、当該第1のエレメントよりも若干(例えば、0.1mm程度)大きい厚み(最大厚み)を有する第2のエレメントとを含み、当該第1および第2エレメントは、それぞれ複数個隣り合わせにして配列される。これにより、伝動ベルト10によってプライマリプーリ3およびセカンダリプーリ5との間でトルク伝達される際に、振動やノイズが発生するのを抑制することが可能となる。第1および第2エレメントの厚み以外の構造は共通であることから、以下、両者を「エレメント20」と総称して説明する。
積層リング12を構成する複数のリング材11は、それぞれ鋼板製のドラムから切り出された弾性変形可能なものであって、概ね同一の厚みおよびそれぞれについて予め定められた異なる周長を有するように加工されている。リテーナリング15は、例えば鋼板製のドラムから切り出された弾性変形可能なものであり、リング材11と概ね同一若しくはそれよりも薄い厚みを有する。また、リテーナリング15は、積層リング12の最外層リング材11oの外周長よりも長い内周長を有する。これにより、積層リング12とリテーナリング15とが同心円状に配置された状態(張力が作用しない無負荷状態)では、図2に示すように、最外層リング材11oの外周面とリテーナリング15の内周面との間に、環状のクリアランスが形成される。
各エレメント20は、左右対称の外形(平面形状)を有するものであり、図2に示すように、図中水平に延びる胴部21と、当該胴部21の両端部から同方向に延出された一対のピラー部22と、各ピラー部22の遊端側に開口するように一対のピラー部22の間に画成された単一のリング収容部(凹部)23と、伝動ベルト10(積層リング12)の内周側から外周側に向かうにつれて互いに離間するように形成された一対の側面20sとを有する。本実施形態において、エレメント20は、プレス加工により鋼板から打ち抜かれ、打ち抜かれたエレメント20には、当該プレス加工に伴って形成されるバリ等を除去するためのバレル研磨といった表面処理が施される。
図2に示すように、サドル面23sよりも伝動ベルト10の径方向における内側で幅方向に延びる胴部21の端部(内周側端部)には、幅方向における中央部(図2における一点鎖線参照)と側面20sの各々との間でサドル面23s側に窪むように2つの凹部21xが形成されている。各凹部21xは、凹円柱面や平坦面を組み合わせて画成されており、図2に示すように、その全体がエレメント20の幅方向において上記中央部よりも側面20sに近接するように形成されている。なお、各凹部21xは、曲面のみにより形成されてもよい。また、胴部21から凹部21xが省略されてもよく、伝動ベルト10の内周側における胴部21の内周側縁部21eiは、図2において二点鎖線で示すように平坦に形成されてもよい。
一対のピラー部22は、リング収容部23の底面であるサドル面23sの幅方向における両側から伝動ベルト10の径方向における外側(外周側、伝動ベルト10の内周側から外周側に向かう方向、すなわち図中上方)に延出されており、伝動ベルト10の径方向においてサドル面23sの幅方向における長さ(幅)が変化するように形成されている。更に、各ピラー部22の遊端部には、サドル面23s側に当該幅方向に突出するフック部22fが形成されている。一対のフック部22fは、積層リング12(リング材11)の幅よりも若干長く、かつリテーナリング15の幅よりも短い間隔をおいて互いに対向する。
また、エレメント20の各ピラー部22は、図3に示すように、胴部21側からフック部22f側に向かうにつれてサドル面23sから上記幅方向に離間するように傾斜した平坦若しくは湾曲した内面22iと、当該内面22iとサドル面23sとに滑らかに連続する応力緩和用の内側凹曲面(例えば、凹円柱面)Riと、内面22iに滑らかに連続するようにフック部22fの基端部(根元部)付近に形成された応力緩和用の外側凹曲面Ro(例えば、凹円柱面)とを含む。更に、各フック部22fは、ピラー部22の内面22iや内側凹曲面Riと対向するように形成された内周面(接触面)220と、各フック部22fの基端側で外側凹曲面Roと内周面220とに滑らかに連続する第1繋ぎ面221と、各フック部22fの遊端側で内周面220と各フック部22fの遊端面223とに滑らかに連続する第2繋ぎ面222とを含む。
各フック部22fの内周面220は、伝動ベルト10の径方向における内側に凸となる円柱面(凸曲面)により形成されている。また、各フック部22fの第1繋ぎ面221は、伝動ベルト10の径方向における内側に凸となる円柱面(凸曲面)により形成され、第2繋ぎ面222は、サドル面23s側(内周側)に凸となる円柱面(凸曲面)により形成されている。更に、内周面220の曲率半径は、第1および第2繋ぎ面221,222の曲率半径よりも充分に大きく定められており、内周面220の曲率は、第1および第2繋ぎ面221,222の曲率よりも充分に小さい。そして、フック部22fの遊端側における内周面220の端部B2、すなわち当該内周面220と第2繋ぎ面222との境界は、図3に示すように、フック部22fの基端側における内周面220の端部B2、すなわち当該内周面220と第1繋ぎ面221との境界よりも伝動ベルト10の径方向における外側に位置する。また、凸曲面である第1繋ぎ面221は、内周面220および外側凹曲面Roよりも充分に小さい曲率半径を有し、当該第1繋ぎ面221の周長(上記幅方向における長さ)は、内周面220および外側凹曲面Roの周長よりも短く定められている。更に、第1繋ぎ面221は、内周面220の基端側の端部B1よりも伝動ベルト10の径方向における外側に位置する。かかる第1繋ぎ面221を内周面220と外側凹曲面Roとの間に形成することで、外側凹曲面Roの曲率半径をより大きくして各フック部22fの基端部付近で発生する応力をより低減化することが可能となる。
リング収容部23内には、図2に示すように、積層リング12が配置され、当該リング収容部23のサドル面23sは、積層リング12すなわち最内層リング材11iの内周面に接触する。サドル面23sは、幅方向における中央部を頂部Tとして幅方向外側に向かうにつれて図中下方に緩やかに傾斜した左右対称の凸曲面形状(クラウニング形状)を有する。これにより、サドル面23sとの摩擦により積層リング12に頂部Tに向かう求心力を付与して、当該積層リング12をセンタリングすることが可能となる。ただし、サドル面23sは、伝動ベルト10の径方向における外側に湾曲する凸曲面を複数含むものであってもよい。
更に、リング収容部23内には、弾性変形させられたリテーナリング15が各エレメント20の一対のフック部22fの間から嵌め込まれる。リテーナリング15は、積層リング12の最外層リング材11oの外周面と各エレメント20のフック部22fとの間に配置されて当該積層リング12を包囲し、一対のピラー部22と共に、各エレメント20が積層リング12から脱落したり、エレメント20から積層リング12が脱落したりするのを規制する。これにより、複数のエレメント20は、積層リング12の内周面に沿って環状に結束(配列)される。本実施形態において、リテーナリング15には、図示しない単一または複数の開口(長穴)が形成されており、これにより、リテーナリング15を弾性変形し易くしてエレメント20に対する組付性を確保することができる。
積層リング12の最外層リング材11oの外周面とリテーナリング15の内周面との間には、上述のようにクリアランスが形成され、無段変速機1の作動中、基本的にリテーナリング15に張力等が作用することがない。これにより、エレメント20では、剛性等の確保のためにピラー部22やフック部22fを大きくする必要がなくなり、胴部の幅方向における中央部から伝動ベルト10の径方向における外側に延出された頭部の両側に積層リングが配置される一般的なエレメントに比べて、ピラー部22の積層リング12よりも径方向外側に突出する部分の面積を減らすことができる。従って、エレメント20の材料費の低減化により、伝動ベルト10ひいては無段変速機1の低コスト化を図ることが可能となる。更に、本実施形態において、リテーナリング15およびエレメント20は、積層リング12とリテーナリング15とが同心円状に配置された状態で各フック部22fの内周面220とリテーナリング15の外周面との間に予め定められたクリアランス(図2参照)が形成されるように設計されている。
また、エレメント20の各側面20sは、図3に示すように、胴部21の内周側縁部21ei側から外周側に延在するように胴部21およびピラー部22に形成された第1側面20saと、第1側面20saよりも伝動ベルト10の径方向(図2における一点鎖線参照)における伝動ベルト10の径方向における外側に位置するようにピラー部22に形成された第2側面20sbと、第1および第2側面20sa,20sbに滑らかに連続するようにピラー部22に形成された凸曲面状(例えば、円柱面)の繋ぎ面(繋ぎ部)20scとを含む。
一対の第1側面20saは、伝動ベルト10の内周側から外周側に向かうにつれて互いに離間するように傾斜し、当該一対の第1側面20saのなす角度は、プライマリプーリ3やセカンダリプーリ5のプーリ溝の開き角度と概ね等しく(本実施形態では、開き角度の設計値よりも僅かに大きく)なるように定められている。これにより、エレメント20の第1側面20saは、プライマリプーリ3やセカンダリプーリ5のプーリ溝の表面に摩擦接触してプーリ3,5からの挟圧力を受け、摩擦力によりプライマリプーリ3からセカンダリプーリ5へとトルクを伝達するフランク面(トルク伝達面)となる。本実施形態において、各第1側面20saの表面には、エレメント20とプライマリプーリ3やセカンダリプーリ5との接触部を潤滑・冷却するための作動油を保持するための図示しない凹凸(複数の溝)が形成されている。
また、一対の第2側面20sbは、互いに平行に伝動ベルト10の径方向に延在する。すなわち、伝動ベルト10の径方向に対する第2側面20sbの傾斜角度(絶対値、本実施形態では、0°)は、当該径方向に対する第1側面20saの傾斜角度(絶対値)よりも小さい。これにより、一対の第2側面20sbは、エレメント20がプライマリプーリ3またはセカンダリプーリ5により挟持される際、基本的にプーリ溝の表面に接触しないことになる。
更に、エレメント20の正面(一方の表面)は、図2および図3に示すように、凸曲面状の一対のロッキングエッジ部(接触領域)25と、非接触部27と、胴部21に形成されたテーパ面(斜面)21sと含む。
各ロッキングエッジ部25は、短尺帯状の凸曲面であり、本実施形態では、予め定められた曲率半径を有すると共に径方向に幅をもった円柱面あるいは楕円柱面(曲面)とされている。各ロッキングエッジ部25は、隣り合うエレメント20同士を接触させて両者の回動の支点となる接触線を含むものであり、当該接触線の位置は、無段変速機1の変速比γに応じてロッキングエッジ部25の範囲内で変動する。本実施形態において、ロッキングエッジ部25の径方向外側(図中上側すなわちピラー部22側)の端部25oは、サドル面23s(頂部T)よりも径方向外側に位置し、ロッキングエッジ部25の径方向内側(図中下側すなわちテーパ面21s側)の端部25iは、サドル面23s(底部)よりも径方向内側に位置する。なお、本実施形態において、一対のロッキングエッジ部25は、それぞれ対応するピラー部22と胴部21とに跨がるようにサドル面23sの幅方向に間隔をおいてエレメント20の正面に形成される。ただし、ロッキングエッジ部25は、ピラー部22および胴部21の何れか一方のみに含まれるように形成されてもよい。また、ロッキングエッジ部25は、エレメント20の背面に形成されてもよい。
また、非接触部27は、サドル面23sで開口すると共に当該サドル面23sに沿って幅方向に延在するように胴部21に形成された帯状の凹部であって、一対のロッキングエッジ部25の上記幅方向における間で両者を分断するものである。本実施形態において、非接触部27の径方向外側の端部27i(図2および図3参照)は、ロッキングエッジ部25の径方向内側の端部25iよりも径方向内側(図中下側)に位置する。また、本実施形態において、非接触部27は、幅方向における両端部の深さがロッキングエッジ部25に近接するにつれて漸減すると共に両端部の間の部分が略一定の深さを有するように形成されている。そして、非接触部27の略一定の深さを有する部分の幅は、積層リング12の幅よりも狭くなっている。これにより、非接触部27の幅方向における両端部付近での応力集中を抑制してエレメント20の耐久性をより向上させることが可能となる。
このような非接触部27を各エレメント20に形成することで、伝動ベルト10では、隣り合うエレメント20とのロッキングエッジ部25以外での接触、すなわち隣り合うエレメント20と非接触部27との接触を良好に抑制することが可能となる。この結果、大きなモーメントが作用するエレメント20の幅方向における中央部からの荷重が隣り合うエレメント20に加えられて当該エレメント20が変形するのを抑制し、各エレメント20の耐久性をより向上させることが可能となる。
テーパ面21sは、ロッキングエッジ部25に連続すると共に当該ロッキングエッジ部から胴部21の内周側縁部21ei(図中下側)に向かうにつれてエレメント20の背面に近接するように形成された平坦な斜面である。また、テーパ面21sには、胴部21の正面の幅方向における中央部に位置するように1個の突起(ディンプル)21pが形成されており、エレメント20(胴部21)の背面には、突起21pの裏側に位置するように窪み部21rが形成されている。伝動ベルト10が組み立てられた際、当該窪み部21rには、隣り合うエレメント20の突起21pが遊嵌される。このように、エレメント20の胴部21に突起21pおよび窪み部21rを形成することで、当該エレメント20をより低背化することが可能となる。
更に、本実施形態において、ロッキングエッジ部25の径方向外側(図2における上側)におけるエレメント20の正面(主にピラー部22の正面)と、エレメント20の背面(他方の表面)とは、図2に示すように、それぞれ平坦かつ互いに平行に形成されている。これにより、エレメント20のピラー部22は、略一定の厚みteを有する。また、非接触部27は、ロッキングエッジ部25の表面よりも背面側に窪んでいることから、サドル面23sの厚みは、ピラー部22の厚みteよりも小さくなる。そして、テーパ面21sの傾斜角度は、当該テーパ面21sが隣り合うエレメント20の背面に接触しないようにピラー部22の厚みteを考慮して設定される。なお、突起21pの周囲には、エレメント20の背面と平行に延在する平坦部が形成されてもよい。
上述のような複数のエレメント20を含む伝動ベルト10によりプライマリプーリ3からセカンダリプーリ5にトルクが伝達される際、伝動ベルト10のプーリ3,5に巻き掛かっている部分では、プーリ3,5から加えられる回転モーメントによりエレメント20がベルト進行方向において前後に揺動するピッチングが発生することがある。また、プーリ3,5に対するエレメント20の巻き掛かりが解除される際には、伝動ベルト10の弦部(プーリ3,5に巻き掛かっていない部分)に移動しようとするエレメント20がプーリ3,5の出口付近で当該プーリ3,5からの摩擦力によりプーリ軸心側(セカンダリシャフト4側)に引き込まれることがある。そして、これらのエレメント20のピッチングや引き込みが発生すると、リテーナリング15がエレメント20の各フック部22fと積層リング12とで挟み付けられてしまい、リテーナリング15の局所的な損傷により伝動ベルト10の耐久性が低下してしまうおそれがある。
これを踏まえて、伝動ベルト10の各エレメント20では、上記第1および第2繋ぎ面221,222の間に位置する各フック部22fの内周面220が、無段変速機1の非駆動状態(停止状態)から当該無段変速機1を搭載した車両の車速が最高車速になるまでの間にリテーナリング15に接触するように、伝動ベルト10の径方向における内側に凸となる円柱面により形成されている。すなわち、エレメント20は、無段変速機1の非駆動状態(停止状態)から当該無段変速機1を搭載した車両の車速が最高車速になるまでの間に、径方向内側に凸となる内周面220の範囲内でリテーナリング15と接触するように設計されている。
これにより、エレメント20のピッチングが発生したり、セカンダリプーリ5の出口でエレメント20が当該セカンダリプーリ5によりプーリ軸心側に引き込まれたりしてフック部22fの内周面220とリテーナリング15とが接触した際に、当該内周面220とリテーナリング15との接触部分での接触面圧を低下させることができる。この結果、フック部22fとの接触によるリテーナリング15の局所的な損傷を抑制して、伝動ベルト10の耐久性をより向上させることが可能となる。加えて、内周面220を伝動ベルト10の内側に凸となる曲面により形成することで、当該内周面220に対してバレル研磨等の表面処理を効率よく施すことができるので、内周面220、第1および第2繋ぎ面221,222の表面粗度や曲率を適正化してリテーナリング15の局所的な損傷をより良好に抑制することが可能となる。
また、伝動ベルト10の各エレメント20において、フック部22fの遊端側における内周面220の端部B2は、当該フック部22fの基端側における内周面220の端部B1よりも伝動ベルト10の径方向における外側に位置する。これにより、図4に示すようにリテーナリング15がフラットな状態でフック部22fの内周面220に接触する場合と、図5に示すようにリテーナリング15がフック部22fと積層リングとで挟まれて撓むことにより当該リテーナリング15がフラットな状態とは異なる位置で当該フック部22fの内周面220に接触する場合との双方において、フック部22fの内周面220とリテーナリング15との接触部分での接触面圧を低下させることができる。この結果、伝動エレベルト10では、フック部22fとの接触によりリテーナリング15が局所的に損傷するのを極めて良好に抑制することが可能となる。
更に、エレメント20の各フック部22fには、それぞれフック部22fの基端側または遊端側で内周面220に滑らかに連続する円柱面(凸曲面)である第1および第2繋ぎ面221,222が形成されており、内周面220の曲率は、第1および第2繋ぎ面221,222の曲率よりも小さく定められている。これにより、フック部22fのリテーナリング15との接触面である内周面220の曲率半径を適正に確保しつつ、リテーナリング15が第1および第2繋ぎ面221,222と接触するのを抑制することが可能となる。なお、内周面220、第1および第2繋ぎ面221,222の少なくとも何れかは、楕円柱面といった円柱面以外の曲面(凸曲面)より形成されてもよい。
図6は、本開示の他のエレメント20Bを含む伝動ベルト10Bを示す概略構成図である。なお、エレメント20B等の構成要素のうち、上述のエレメント20等と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図6に示す伝動ベルト10Bも上記無段変速機1に適用可能なものであり、当該伝動ベルト10Bでは、上記伝動ベルト10におけるリテーナリング15が省略されている。そして、伝動ベルト10Bの各エレメント20Bでは、第1および第2繋ぎ面221,222の間に位置する各フック部22fの内周面220が、無段変速機1の非駆動状態(停止状態)から当該無段変速機1を搭載した車両の車速が最高車速になるまでの間に積層リング12に接触するように、伝動ベルト10Bの径方向における内側に凸となる円柱面により形成されている。すなわち、エレメント20Bは、無段変速機1の非駆動状態(停止状態)から当該無段変速機1を搭載した車両の車速が最高車速になるまでの間に、径方向内側に凸となる内周面220の範囲内で積層リング12と接触するように設計されている。
これにより、エレメント20Bのピッチングが発生したり、セカンダリプーリ5の出口でエレメント20Bが当該セカンダリプーリ5によりプーリ軸心側に引き込まれたりしてフック部22fの内周面220と積層リング12とが接触した際に、当該内周面220と積層リング12との接触部分での接触面圧を低下させることができる。この結果、フック部22fとの接触による積層リング12の局所的な損傷を抑制して、伝動ベルト10Bの耐久性をより向上させることが可能となる。加えて、内周面220を伝動ベルト10Bの内側に凸となる曲面により形成することで、当該内周面220に対してバレル研磨等の表面処理を効率よく施すことができるので、内周面220、第1および第2繋ぎ面221,222の表面粗度や曲率あるいは板圧方向の曲率を適正化して積層リング12の局所的な損傷をより良好に抑制することが可能となる。
また、伝動ベルト10Bの各エレメント20Bにおいても、フック部22fの遊端側における内周面220の端部B2(内周面220と第2繋ぎ面222との境界)は、当該フック部22fの基端側における内周面220の端部B1(内周面220と第1繋ぎ面221との境界)よりも伝動ベルト10Bの径方向における外側に位置する。これにより、図6に示すように積層リング12がフラットな状態でフック部22fの内周面220に接触する場合と、図7に示すように積層リング12がフック部22fにより押圧されて撓むことにより当該積層リング12がフラットな状態とは異なる位置で当該フック部22fの内周面220に接触する場合との双方において、フック部22fの内周面220と積層リング12との接触部分での接触面圧を低下させることができる。この結果、伝動エレベルト10Bにおいても、フック部22fとの接触により積層リング12が局所的に損傷するのを極めて良好に抑制することが可能となる。
更に、エレメント20Bの各フック部22fにも、それぞれフック部22fの基端側または遊端側で内周面220に滑らかに連続する円柱面(凸曲面)である第1および第2繋ぎ面221,222が形成されており、内周面220の曲率半径は、第1および第2繋ぎ面221,222の曲率半径よりも大きく定められている。これにより、フック部22fの積層リング12との接触面である内周面220の曲率半径を適正に確保しつつ、積層リング12が第1および第2繋ぎ面221,222と接触するのを抑制することが可能となる。なお、エレメント20Bにおいても、内周面220、第1および第2繋ぎ面221,222の少なくとも何れかは、楕円柱面といった円柱面以外の曲面(凸曲面)より形成されてもよい。
以上説明したように、本開示の伝動ベルト用エレメントは、無段変速機(1)の一対のプーリ(3,5)に巻き掛けられる伝動ベルト(10)のリング(12)と接触するサドル面(23s)を有する胴部(21)と、前記サドル面(23s)の幅方向における両側に位置するように前記胴部(21)から前記伝動ベルト(10)の径方向における外側に延出された一対のピラー部(22)と、前記ピラー部(22)の遊端部から前記サドル面(23s)側に前記幅方向に突出するフック部(22f)とを含む伝動ベルト用エレメント(20)において、前記伝動ベルト(10)が、前記リング(12)と前記複数のエレメント(20)の前記フック部(22f)との間に配置されるリテーナリング(15)を含み、前記フック部(22f)の前記リテーナリング(15)との接触面(220)が、前記径方向における内側に凸となる曲面により形成されているものである。
本開示の伝動ベルト用エレメントでは、フック部のリテーナリングとの接触面が、伝動ベルトの径方向における内側に凸となる曲面により形成されている。これにより、エレメントのピッチングが発生したり、プーリの出口でエレメントが当該プーリによりプーリ軸心側に引き込まれたりしてフック部とリテーナリングとが接触した際に、フック部(接触面)とリテーナリングとの接触部分での接触面圧を低下させることができる。この結果、フック部との接触によるリテーナリングの局所的な損傷を抑制して、伝動ベルトの耐久性をより向上させることが可能となる。
また、前記フック部(22f)の遊端側における前記接触面(220)の端部(B2)は、前記フック部(22f)の基端側における前記接触面(220)の端部(B1)よりも前記径方向における外側に位置してもよい。これにより、リテーナリングがフラットな状態でフック部の接触面に接触する場合と、リテーナリングがフック部とリングとで挟まれて撓んだ状態で当該フック部の接触面に接触する場合との双方において、フック部(接触面)とリテーナリングとの接触部分での接触面圧を低下させることができる。この結果、フック部との接触によるリテーナリングの局所的な損傷を極めて良好に抑制することが可能となる。
更に、前記エレメント(20)は、前記フック部(22f)の前記基端側で前記接触面(220)に連なる第1繋ぎ面(221)と、前記フック部(22f)の前記遊端側で前記接触面(220)に連なる第2繋ぎ面(222)とを更に含んでもよく、前記第1および第2繋ぎ面(221,222)は、凸曲面により形成されてもよく、前記接触面(220)の曲率は、前記第1および第2繋ぎ面(221,222)の曲率よりも小さくてもよい。これにより、フック部のリテーナリングとの接触面の曲率を適正に確保しつつ、リテーナリングが第1および第2繋ぎ面と接触するのを抑制することが可能となる。
また、前記接触面(220)の前記基端側の前記端部(B1)は、前記第1繋ぎ面(221)よりも前記径方向における内側に位置してもよい。
更に、前記曲面は、円柱面であってもよく、楕円柱面であってもよい。
また、前記伝動ベルト用エレメント(20)は、隣り合う前記エレメント(20)同士の回動の支点となる両者の接触線を含む凸曲面状のロッキングエッジ部(25)を更に含んでもよく、前記ロッキングエッジ部(25)の前記径方向における内側の端部(25i)は、前記サドル面(23s)よりも前記径方向における内側に位置してもよく、前記ロッキングエッジ部(25)の前記径方向における外側の端部(25o)は、前記サドル面(23s)よりも前記径方向における外側に位置してもよい。
更に、前記接触面(220)は、前記無段変速機(1)の非駆動状態から該無段変速機(1)を搭載した車両の車速が最高車速になるまでの間に前記リテーナリング(15)に接触するように形成されてもよい。
本開示の他の伝動ベルト用エレメントは、無段変速機(1)の一対のプーリ(3,5)に巻き掛けられる伝動ベルト(10B)のリング(12)と接触するサドル面(23s)を有する胴部(21)と、前記サドル面(23s)の幅方向における両側に位置するように前記胴部(21)から前記伝動ベルト(10)の径方向における外側に延出された一対のピラー部(22)と、前記ピラー部(22)の遊端部から前記サドル面(23s)側に前記幅方向に突出するフック部(22f)とを含む伝動ベルト用エレメント(20B)において、前記フック部(22f)の前記リング(12)との接触面(220)が、前記径方向における内側に凸となる曲面により形成されているものである。
本開示の他の伝動ベルト用エレメントでは、フック部のリングとの接触面が、伝動ベルトの径方向における内側に凸となる曲面により形成されている。これにより、エレメントのピッチングが発生したり、プーリの出口でエレメントが当該プーリによりプーリ軸心側に引き込まれたりしてフック部とリングとが接触した際に、フック部(接触面)とリングとの接触部分での接触面圧を低下させることができる。この結果、フック部との接触によるリングの局所的な損傷を抑制して、伝動ベルトの耐久性をより向上させることが可能となる。
また、前記フック部(22f)の遊端側における前記接触面(220)の端部(B2)は、前記フック部(22f)の基端側における前記接触面(220)の端部(B1)よりも前記径方向における外側に位置してもよい。これにより、リングがフラットな状態でフック部の接触面に接触する場合と、リングが撓んだ状態で当該フック部の接触面に接触する場合との双方において、フック部(接触面)とリングとの接触部分での接触面圧を低下させることができる。この結果、フック部との接触によるリングの局所的な損傷を極めて良好に抑制することが可能となる。
更に、前記エレメント(20B)は、前記フック部(22f)の前記基端側で前記接触面(220)に連なる第1繋ぎ面(221)と、前記フック部(22f)の前記遊端側で前記接触面(220)に連なる第2繋ぎ面(220)とを更に含んでもよく、前記第1および第2繋ぎ面(221,222)は、凸曲面により形成されてもよく、前記接触面(220)の曲率は、前記第1および第2繋ぎ面(221,222)の曲率よりも小さくてもよい。これにより、フック部のリングとの接触面の曲率を適正に確保しつつ、リングが第1および第2繋ぎ面と接触するのを抑制することが可能となる。
また、前記接触面(220)の前記基端側の前記端部(B1)は、前記第1繋ぎ面(221)よりも前記径方向における内側に位置してもよい。
更に、前記曲面は、円柱面であってもよく、楕円柱面であってもよい。
また、前記伝動ベルト用エレメント(20B)は、隣り合う前記エレメント(20B)同士の回動の支点となる両者の接触線を含む凸曲面状のロッキングエッジ部(25)を更に含んでもよく、前記ロッキングエッジ部(25)の前記径方向における内側の端部(25i)は、前記サドル面(23s)よりも前記径方向における内側に位置してもよく、前記ロッキングエッジ部(25)の前記径方向における外側の端部(25o)は、前記サドル面(23s)よりも前記径方向における外側に位置してもよい。
更に、前記接触面(220)は、前記無段変速機(1)の非駆動状態から該無段変速機(1)を搭載した車両の車速が最高車速になるまでの間に前記リング(12)に接触するように形成されてもよい。
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
本開示の発明は、無段変速機や伝動ベルトの製造産業等において利用可能である。
1 無段変速機、2 プライマリシャフト、2s ストッパ部、3 プライマリプーリ、3a,5a 固定シーブ、3b,5b 可動シーブ、3s スプライン歯、4 セカンダリシャフト、5 セカンダリプーリ、6 プライマリシリンダ、60 プライマリピストン、65 エンドプレート、7 セカンダリシリンダ、8 リターンスプリング、10,10B 伝動ベルト、11 リング材、11i 最内層リング材、11o 最外層リング材、12 積層リング、15 リテーナリング、20,20B エレメント、 20s 側面、20sa 第1側面、20sb 第2側面、20sc 繋ぎ面、21 胴部、21ei 内周側縁部、21p 突起、21r 窪み部、21s テーパ面、21x 凹部、22 ピラー部、22f フック部、22i 内面、220 内周面、221 第1繋ぎ面、222 第2繋ぎ面、223 遊端面、23 リング収容部、23s サドル面、25 ロッキングエッジ部、25i,25o,27i 端部、27 非接触部、B1,B2 端部、Ri,Ro 凹曲面、T 頂部。

Claims (16)

  1. 無段変速機の一対のプーリに巻き掛けられる伝動ベルトのリングと接触するサドル面を有する胴部と、前記サドル面の幅方向における両側に位置するように前記胴部から前記伝動ベルトの径方向における外側に延出された一対のピラー部と、前記ピラー部の遊端部から前記サドル面側に前記幅方向に突出するフック部とを含む伝動ベルト用エレメントにおいて、
    前記伝動ベルトは、前記リングと前記複数のエレメントの前記フック部との間に配置されるリテーナリングを含み、
    前記フック部の前記リテーナリングとの接触面は、前記径方向における内側に凸となる曲面により形成されている伝動ベルト用エレメント。
  2. 請求項1に記載の伝動ベルト用エレメントにおいて、
    前記フック部の遊端側における前記接触面の端部は、前記フック部の基端側における前記接触面の端部よりも前記径方向における外側に位置する伝動ベルト用エレメント。
  3. 請求項1または2に記載の伝動ベルト用エレメントにおいて、
    前記フック部の前記基端側で前記接触面に連なる第1繋ぎ面と、前記フック部の前記遊端側で前記接触面に連なる第2繋ぎ面とを更に含み、
    前記第1および第2繋ぎ面は、凸曲面により形成され、
    前記接触面の曲率は、前記第1および第2繋ぎ面の曲率よりも小さい伝動ベルト用エレメント。
  4. 請求項3に記載の伝動ベルト用エレメントにおいて、
    前記接触面の前記基端側の前記端部は、前記第1繋ぎ面よりも前記径方向における内側に位置する伝動ベルト用エレメント。
  5. 請求項1から4の何れか一項に記載の伝動ベルト用エレメントにおいて、前記曲面は、円柱面である伝動ベルト用エレメント。
  6. 請求項1から4の何れか一項に記載の伝動ベルト用エレメントにおいて、前記曲面は、楕円柱面である伝動ベルト用エレメント。
  7. 請求項1から6の何れか一項に記載の伝動ベルト用エレメントにおいて、
    隣り合う前記エレメント同士の回動の支点となる両者の接触線を含む凸曲面状のロッキングエッジ部を更に含み、
    前記ロッキングエッジ部の前記径方向における内側の端部は、前記サドル面よりも前記径方向における内側に位置し、前記ロッキングエッジ部の前記径方向における外側の端部は、前記サドル面よりも前記径方向における外側に位置する伝動ベルト用エレメント。
  8. 請求項1から7の何れか一項に記載の伝動ベルト用エレメントにおいて、
    前記接触面は、前記無段変速機の非駆動状態から該無段変速機を搭載した車両の車速が最高車速になるまでの間に前記リテーナリングに接触するように形成される伝動ベルト用エレメント。
  9. 無段変速機の一対のプーリに巻き掛けられる伝動ベルトのリングと接触するサドル面を有する胴部と、前記サドル面の幅方向における両側に位置するように前記胴部から前記伝動ベルトの径方向における外側に延出された一対のピラー部と、前記ピラー部の遊端部から前記サドル面側に前記幅方向に突出するフック部とを含む伝動ベルト用エレメントにおいて、
    前記フック部の前記リングとの接触面は、前記径方向における内側に凸となる曲面により形成されている伝動ベルト用エレメント。
  10. 請求項9に記載の伝動ベルト用エレメントにおいて、
    前記フック部の遊端側における前記接触面の端部は、前記フック部の基端側における前記接触面の端部よりも前記径方向における外側に位置する伝動ベルト用エレメント。
  11. 請求項9または10に記載の伝動ベルト用エレメントにおいて、
    前記フック部の前記基端側で前記接触面に連なる第1繋ぎ面と、前記フック部の前記遊端側で前記接触面に連なる第2繋ぎ面とを更に含み、
    前記第1および第2繋ぎ面は、凸曲面により形成され、
    前記接触面の曲率は、前記第1および第2繋ぎ面の曲率よりも小さい伝動ベルト用エレメント。
  12. 請求項11に記載の伝動ベルト用エレメントにおいて、
    前記接触面の前記基端側の前記端部は、前記第1繋ぎ面よりも前記径方向における内側に位置する伝動ベルト用エレメント。
  13. 請求項9から12の何れか一項に記載の伝動ベルト用エレメントにおいて、前記曲面は、円柱面である伝動ベルト用エレメント。
  14. 請求項9から12の何れか一項に記載の伝動ベルト用エレメントにおいて、前記曲面は、楕円柱面である伝動ベルト用エレメント。
  15. 請求項9から14の何れか一項に記載の伝動ベルト用エレメントにおいて、
    隣り合う前記エレメント同士の回動の支点となる両者の接触線を含む凸曲面状のロッキングエッジ部を更に含み、
    前記ロッキングエッジ部の前記径方向における内側の端部は、前記サドル面よりも前記径方向における内側に位置し、前記ロッキングエッジ部の前記径方向における外側の端部は、前記サドル面よりも前記径方向における外側に位置する伝動ベルト用エレメント。
  16. 請求項9から15の何れか一項に記載の伝動ベルト用エレメントにおいて、
    前記接触面は、前記無段変速機の非駆動状態から該無段変速機を搭載した車両の車速が最高車速になるまでの間に前記リングに接触するように形成される伝動ベルト用エレメント。
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