JP6648975B2 - 身体用洗浄剤及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、蜂の子由来の油脂及び/又はその鹸化物を含有し、保湿性と肌荒れ改善に効果がある、身体用浄剤及び該洗浄剤の製造方法に関する。
化粧石鹸、ボディソープ、シャンプー等の身体用洗浄剤は、油脂、又は油脂を予め加水分解して得た脂肪酸を、アルカリ剤で鹸化させた石鹸素地を主成分とし、種々の添加剤が加えられて、泡立ち、泡切れ、香りのほか、すべすべ、つるつる、しっとりとした肌の感じ、保湿性の効果をもたらす工夫がなされている。
例えば、下記特許文献1には、石鹸素地に蜂蜜を添加して保湿力を高めた、蜂蜜石鹸が開示されている。蜂蜜は糖類であるため、一般的には、石鹸素地に多く添加すると、固まり難くなって軟質化してしまうため、蜂蜜の添加量は1重量%程度の含有率が限界とされているが、特許文献1に開示された蜂蜜石鹸は、ラウリン酸及びオレイン酸を主成分とするパーム油を鹸化した主石鹸素地と、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸を成分とする飽和脂肪酸群を鹸化した副石鹸素地と、グリセリン、エタノール、スクロースを成分とする透明化添加剤とを特定の配合比で混練し、蜂蜜含有率を10〜15重量%まで引き上げている。
また、特許文献2には、蜂が集めた花粉をアルコール溶液に数週間浸漬してビーポリンエキスを抽出し、透明石鹸にビーポリンエキスを10%配合したポリン石鹸が開示されている。
特許第5425412号公報 特開2003−73695号公報
しかしながら、蜂蜜も蜂花粉も蜂が集めてきた植物由来の素材であって、動物体としての蜂そのものを石鹸材料として利用しているわけではない。
蜂の子(蜂の幼虫及び蛹)は、栄養価の高い蜂蜜及び蜂花粉を餌として育ち、体内に8種類の必須アミノ酸をはじめ、全部で18種類ものアミノ酸と20種類のビタミンミネラルを豊富に含んでいる。
このような蜂の子を身体用の洗浄剤として用いることは、これまでに試みられたことがなかった。また、蜂の子を洗浄剤に添加した場合に、どのような効果がもたらされるかについて検討されたこともなかった。
したがって、本発明の目的は、蜂の子由来の油脂及び/又はその鹸化物を含有し、保湿性と肌荒れ改善に効果がある、身体用浄剤及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の身体用洗浄剤は、蜂の子由来の油脂及び/又はその鹸化物を含有することを特徴とする。
本発明の身体用洗浄剤においては、前記蜂の子由来の油脂及び/又はその鹸化物の含有量が、前記主原料油脂の合計量100質量部に対して、1〜8質量部であることが好ましい。
また、本発明の身体用洗浄剤において、前記蜂の子は、女王蜂の幼虫及び/又は蛹であることが好ましい。
また、本発明の身体用洗浄剤において、蜂の子由来の油脂及び/又はその鹸化物以外に、牛脂、豚脂、ヤシ油、パーム油、オリーブ油、大豆油、落花生油、綿実油、ヒマシ油、ゴマ油、ナタネ油、キリ油、シソ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、アボガド油、サザンカ油、茶実油、椿油、馬油から選ばれた少なくとも1種からなる主原料油脂の鹸化物を含有することが好ましい。
本発明の身体用洗浄剤の製造方法は、蜂の子由来の油脂を、主原料油脂に配合して鹸化するか、あるいは主原料油脂の鹸化物に配合することを特徴とする。
また、本発明の身体用洗浄剤の製造方法の1実施形態においては、蜂の子又はその加工物に有機溶媒を加えて油脂を抽出した後、有機溶媒を蒸発させて蜂の子由来の油脂を得ることができる。
上記実施形態において、前記有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン及びヘキサンからなる群より選ばれた1種又はその混合物を用いることが好ましい。
また、本発明の身体用洗浄剤の製造方法の他の実施形態においては、蜂の子又はその加工物に水を加えて加熱することにより油脂を抽出し、得られた油脂を分離することにより蜂の子由来の油脂を得ることができる。
上記実施形態において、前記油脂抽出時の加熱温度は、75〜98℃であることが好ましい。
また、本発明の身体用洗浄剤の製造方法の更に他の実施形態においては、蜂の子又はその加工物をプロテアーゼによって酵素分解し、遊離した油脂を乾燥させて蜂の子由来の油脂を得ることができる。
また、本発明の身体用洗浄剤の製造方法においては、前記蜂の子由来の油脂の配合量を、前記主原料油脂の合計量100質量部に対して、1〜8質量部とすることが好ましい。
また、本発明の身体用洗浄剤の製造方法において、前記蜂の子として、女王蜂の幼虫及び/又は蛹を用いることが好ましい。
また、本発明の身体用洗浄剤の製造方法において、前記主原料油脂として、牛脂、豚脂、ヤシ油、パーム油、オリーブ油、大豆油、落花生油、綿実油、ヒマシ油、ゴマ油、ナタネ油、キリ油、シソ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、アボガド油、サザンカ油、茶実油、椿油、馬油から選ばれた少なくとも1種の油脂を用いることが好ましい。
本発明によれば、蜂の子由来の油脂及び/又はその鹸化物を含有させることにより、保湿性と肌荒れ改善に効果がある身体用浄剤及びその製造方法を提供することができる。
本発明の身体用洗浄剤において、蜂の子由来の油脂の配合率を変え、洗顔後の経過時間に対して肌の水分量を調べた関係図である。 本発明の身体用洗浄剤において、蜂の子由来の油脂を配合したものと配合しないものとで、洗顔後の経過時間に対して肌の水分量を調べた関係図である。 本発明の身体用洗浄剤を用いて洗顔した後の、倍率50倍の光学顕微鏡写真である。 本発明の身体用洗浄剤を用いて洗顔した後の、倍率200倍の光学顕微鏡写真である。
まず、本発明の身体用洗浄剤の製造原料について説明する。
本発明で使用される蜂の子の種類は、蜂の幼虫又は蛹であれば特に限定されず、例えばミツバチ科、スズメバチ科、アシナガバチ科の蜂の幼虫又は蛹を使用することができ、好ましくはミツバチ科、スズメバチ科の蜂を挙げることができる。更に、ミツバチ科の蜂としてセイヨウミツバチ、スズメバチ科の蜂としてクロスズメバチを挙げることができる。ミツバチ科の蜂を用いた場合は入手しやすい点で好ましい。
本発明において、蜂の子としては、雄蜂、働き蜂、女王蜂のいずれの蜜蜂の子を用いてもよい。
雄蜂の子は、雌蜂の子にはない、特有のホルモン等を含んでいるため、特別な美容効果が期待できる。雄蜂が生まれてくる数はとても少ないが、雄蜂用の巣房を有する巣板を人工的に作って設置しておくことにより、雄蜂の子を効率よく生ませることができる。
一方、働き蜂と女王蜂は、雌であるが、ローヤルゼリーを食べると女王蜂となり、花粉と蜂蜜を食べると働き蜂になる。そこで、女王蜂用の巣房(小部屋、王台ともいう)を有する巣板を人工的に作り、その巣房に雌蜂の幼虫を入れておくと、働き蜂がローヤルゼリーを運んでくるため、女王蜂の幼虫を多く繁殖させることができる。
本発明においては、生理活性効果が高い成分を豊富に含む雄蜂の子又は女王蜂の子を用いることが好ましく、特に女王蜂の子が好ましい。
蜂の子としては、特に産卵後20〜23日、より好ましくは産卵後21日の、蛹の状態の蜂の子を用いることが好ましい。蛹の状態の蜂の子、特に羽化直前の蛹の状態の蜂の子は、蛋白質、アミノ酸、羽化ホルモンなどの栄養源や生理活性物質を豊富に含み、身体用洗浄剤の原料として用いると、保湿効果を更に高めることができる。
蜂の子の種類又は性別、産地は、身体用洗浄剤に対する消費者の好みに合わせて、使い分けることができる。
本発明の身体用洗浄剤には、油脂にアルカリ剤を加えて鹸化した、石鹸素地を用いることができる。使用される主原料油脂は、特に限定されないが、例えば、牛脂、豚脂、ヤシ油、パーム油、オリーブ油、大豆油、落花生油、綿実油、ヒマシ油、ゴマ油、ナタネ油、キリ油、シソ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、アボガド油、サザンカ油、茶実油、椿油、馬油から選ばれた少なくとも1種の油脂を用いることができる。
また、前記油脂に、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノリン酸、ラノリンなどの脂肪酸を混合し、洗浄力、起泡性、冷水への溶け易さ、皮膚への刺激性などの石鹸特性を調製することができる。
また、前記アルカリ剤には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミンなどを用いることができる。水酸化カリウムは水酸化ナトリウムより溶解性が高く、固形石鹸や粉石鹸にはナトリウム石鹸が適し、液体石鹸にはカリウム石鹸が適する。日本など軟水地域ではほぼナトリウム石鹸であるが、欧州など硬水地域ではカリウム石鹸が浴用石鹸として好まれる。
本発明の身体用洗浄剤には、上記成分の他に、必要に応じて、高級アルコール、糖、グリセリン等の透明化剤、トコフェノール、BHA、BHT等の抗酸化剤、EDTA塩等のキレート化剤、香料、色素、ビタミン類等を適宜配合することができる。
本発明の身体用洗浄剤は、蜂の子由来の油脂及び/又はその鹸化物を、主原料油脂(蜂の子由来の油脂以外の油脂)の合計量100質量部に対して1〜8質量部含有することが好ましく、2〜5質量部含有することがより好ましい。上記含有量が1質量部よりも少ないと、保湿性等の改善効果が充分に得られず、8質量部よりも多いと、蜂の子に由来する雑臭が感じられる傾向となるので、好ましくない。
なお、本発明によれば、蜂の子から油脂を抽出又は分離する際に、例えば水を加えて加熱した場合などでは、水溶性の抽出成分が得られる場合がある。該水溶性の抽出成分は、他の用途に転用してもよいが、減圧濃縮して、本発明の身体用洗浄剤の製造工程における鹸化後に、添加してもよい。
本発明の身体用洗浄剤は、固形石鹸などの固形状をなす製品としてもよく、ボディソープ、シャンプーなどの液状をなす製品としてもよい。なお、本発明において、身体用洗浄剤とは、人又は動物の身体を洗浄するために用いられる洗浄剤を意味する。例えば、化粧石鹸、洗顔石鹸、ボディソープ、シャンプー、浴用石鹸、ハンドソープ、手洗い用石鹸、デオドラント石鹸、薬用せっけん、殺菌石鹸などが含まれる。
次に、本発明の身体用洗浄剤の製造方法について説明する。
本発明の身体用洗浄剤の製造方法は、主原料油脂の鹸化物に、蜂の子由来の油脂及び/又はその鹸化物を添加するか、主原料油脂に蜂の子由来の油脂を配合して鹸化することを特徴とする。そこで、[1]蜂の子から油脂を得る工程と、[2]蜂の子由来の油脂及び/又はその鹸化物を用いて身体用洗浄剤を製造する工程について説明する。
[1]蜂の子から油脂を得る工程
蜂の子から油脂を得る工程は、特に限定されないが、好ましくは下記の方法が採用できる。
(A)有機溶媒による抽出方法
蜂の子は生で使用することもできるが、ペースト状又は乾燥粉末に加工した方が、有機溶媒による抽出効率が高い。蜂の子を粉末化する方法は特に限定されないが、粉砕機でペースト状にした蜂の子を凍結乾燥して粉末化することが好ましい。凍結乾燥によれば、美容効果に優れる蛋白質、アミノ酸、ビタミン等の熱変性を抑制できるため、抽出した蜂の子油脂にこれらの美容成分を多く含有させることができる。
蜂の子又は上記のような方法によって得られた加工物に、有機溶媒を加えて、混練し、蜂の子由来の油脂を有機溶媒に溶出させることができる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン及びヘキサンからなる群より選ばれた1種又はその混合物を好ましく用いることができる。蜂の子由来の油脂を含む有機溶媒は、遠心分離、ろ過、静置などの方法によって固形の残滓から分離し、液相として回収することができる。更に、前記回収物から有機溶媒を蒸発させると、目的とする蜂の子由来の油脂が得られる。
(B)熱水による抽出法
蜂の子、もしくはそのペースト又は乾燥粉末等の加工物に水を加えて加熱すると、蜂の子由来の油脂が熱で融け出し、油脂と、水溶性の抽出液と、残滓とに分離する。これを静置すると、比重差によって油脂は上層に浮上し残滓は下層に沈むため、上層の油脂を分離して採取することができる。あるいは、油脂と、水溶性の抽出液と、残滓とが混合した抽出液を、遠心分離又はろ過することにより、油脂を採取することもできる。
前記油脂抽出時の加熱温度は、75〜98℃とすることが好ましい。75℃よりも低いと油脂の抽出が不十分になり、98℃よりも高いとビタミン等の有効成分が変性しやすくなるので好ましくない。
(C)酵素による抽出法
蜂の子又はその加工物を構成するタンパク質をプロテアーゼによって酵素分解し、遊離した油脂を遠心分離、ろ過、静置分離によって回収した後、乾燥すれば、目的とする蜂の子由来の油脂が得られる。
蜂の子に作用させるプロテアーゼは、微生物由来、動物由来又は植物由来のいずれのものであってもよい。プロテアーゼは、粗酵素でも精製された酵素でもよく、またポリエチレングリコールなどで修飾されたものであってもよい。更に、2種類以上のプロテアーゼを組み合わせて用いても良い。
これら微生物、植物又は動物由来のプロテアーゼの内、特に微生物由来のプロテアーゼが好適に用いられる。また、微生物の中でもバチルス(Bacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、リゾプス(Rhizopus)属又はストレプトマイセス(Streptomyces)属の微生物を挙げることができ、更に好ましくはバチルス(Bacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属の微生物を挙げることができる。
これら微生物の具体的な例として枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス アルカロフィルス(Bacillus alcalophilus)、パエニバチルス ポリミキサ(Paenibacillus polymyxa)、アスペルギルス オリーゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス メレウス(Aspergillus melleus)、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス ホエニシス(Aspergillus phoenicis)、アスペルギルス ソウヤ(Aspergillus sojae)、リゾプス ニベウス(Rhizopus niveus)、ストレプトマイセス グリセウス(Streptomyces griseus)を好適に挙げることができる。更に好適には、枯草菌、バチルス リケニフォルミス、アスペルギルス メレウスを挙げることができる。
これらのプロテアーゼを蜂の子に作用させる際のpHは、蜂の子の成分の安定性及びプロテアーゼの反応至適pH及び安定性を考慮して適宜決定することができる。更に、プロテアーゼを蜂の子に作用させる際の温度は、蜂の子の成分の安定性及びプロテアーゼの反応至適温度及び安定性を考慮して適宜決定することができる。また、金属塩、キレート剤、無機塩類など適宜加えても良い。
[2]蜂の子由来の油脂及び/又はその鹸化物を用いて身体用洗浄剤を製造する工程
この工程としては、例えば次の方法が挙げられる。
(a)主原料油脂の鹸化物に、蜂の子由来の油脂を添加する方法。
(b)蜂の子由来の油脂の鹸化物と、主原料油脂の鹸化物と混合する方法。
(c)蜂の子由来の油脂と主原料油脂を混合し、然る後に前記混合物を鹸化する方法。
(d)前記(b)又は(c)によって得られた鹸化物に、更に蜂の子由来の油脂を添加する方法。
本発明においては、前述したように、前記蜂の子由来の油脂及び/又はその鹸化物の添加量を、主原料油脂(蜂の子由来の油脂以外の油脂)の合計量を100質量部としたとき、1〜8質量部とすることが好ましく、2〜5質量部とすることが更に好ましい。
本発明によれば、主原料油脂、又は主原料油脂に蜂の子由来の油脂を添加した油脂混合物をアルカリ剤と共に反応釜に投入し、撹拌しながら加熱して、鹸化することができる。
鹸化工程において不飽和脂肪酸が酸化されると、生成された過酸化物、酸、アルデヒド類が皮膚を刺激してスキントラブルを起こしたり、製品が変色したり、腐敗臭を放つなどの品質が低下するため、反応釜に窒素等の不活性ガスを導入し、不飽和脂肪酸の酸化を抑制することが好ましい。
上記鹸化工程において、中和反応は50〜80℃で行うことが好ましく、55〜65℃で行うことが特に好ましい。中和温度が60℃よりも高いと脂肪酸の酸化が進行し易くなり、中和温度が40℃未満であると、原料油脂の融点によっても異なるが、中和不十分となって未反応の脂肪酸が多く残る。鹸化後に塩化ナトリウム水溶液を加えて塩析し、未反応の油脂を減らすことができるが、蜂の子由来の有効成分(美容成分)も減少するため、好ましくない。塩析する場合は、上記(a)のように、主原料油脂を鹸化した後に蜂の子由来の油脂を添加する方法、又は、上記(d)のように蜂の子由来の油脂を添加して失われた美容成分を補充する方法を採用することが好ましい。
以上は、原料を加熱して鹸化する釜炊き鹸化法について説明したが、鹸化方法は釜炊き鹸化法に限定されず、原料を加熱しない冷製法を用いてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明について更に具体的に説明する。
[実施例1]
以下の工程によって、蜂の子由来の油脂の配合量が3質量%の身体用洗浄剤(化粧石鹸)を製造した。
(蜂の子由来の油脂の抽出工程)
台湾産のミツバチ科の女王蜂の幼虫を調理用ミキサー機でペースト状にした後、凍結乾燥して粉末化した。この乾燥粉末100質量部を浄水900質量部に懸濁し、2N NaOHでpH7に調整後、枯草菌由来のプロテアーゼ1質量部を添加し、40℃で16時間静置して酵素分解すると、上層の油相と下層の水相とに分離した。蜂の子由来の油脂は油相に含まれているため、油相を回収した。前記回収した油相は、90℃で10分間加熱処理して酵素を失活させた後、凍結乾燥して蜂の子由来の油脂を粉末化した。
(身体用洗浄剤の製造工程)
牛脂80質量部、ヤシ油20質量部(主原料油脂の合計100質量部)に、エタノール20質量部を加え、窒素ガス雰囲気下の反応釜中で、55℃で加熱混合した。これに別途水酸化トリウム及び水を、10分間かけて少しずつ滴下し、温度を65℃に保ちながら、中和反応をさせて、中和物を得た。反応終了後、温度を65℃に保ったままで、前記中和物に、蜂の子由来の油脂を3質量部、砂糖を11質量部、グリセリンを9質量部添加して溶解させ、身体用洗浄剤を得た。この身体用洗浄剤を枠に流し込み、冷却固化した後、切断、乾燥し、包装した。
[実施例2]
蜂の子由来の油脂の添加量を5質量部に変更し、他は実施例1と同様にして、身体用洗浄剤(化粧石鹸)を製造した。
[比較例1]
蜂の子由来の油脂を含まない(配合量0質量%)身体用洗浄剤(化粧石鹸)を製造した。牛脂80質量部及びヤシ油20質量部に、エタノール20質量部を加え、実施例1と同様にして鹸化反応させて、身体用洗浄剤を製造した。
以下、身体用洗浄剤の評価結果について説明する。
[肌の水分量の評価1]
実施例1及び2と、比較例1で製造した身体用洗浄剤による、洗顔後の肌水分量を、角層膜厚・水分計(ASAHIBIOMED社製、型式「ASA−M1」)を用いて評価した。
対象者として、30代男性1名、40代男性1名、50代男性1名を選び、1日当たり1回の洗顔を3日間実施し、洗顔前、洗顔5分後、洗顔30分後について、対象者の頬中央部の水分量を測定した。
図1には、蜂の子由来の油脂の配合率を変え、洗顔後の経過時間に対して肌の水分量を調べた結果が3名の平均値として示されている。水分量は、洗顔前の値を100%とし、洗顔5分後及び洗顔30分後の水分量を、洗顔前の値に対する相対値で表されている。
蜂の子由来の油脂の配合率が0質量%の場合(比較例1)は、30分後に肌の平均水分量は63%まで低下し、肌がつっぱった感じになった。蜂の子由来の油脂の配合率が3%(主原料油脂100質量部に対して3質量部)の場合(実施例1)は、30分後に肌の平均水分量は137%まで上昇し、保湿力に改善が見られた。蜂の子由来の油脂の配合率が5%(主原料油脂100質量部に対して5質量部)の場合(実施例2)は、30分後に肌の平均水分量は226%まで上昇しており、保湿力が大幅に上がって、肌がしっとりし、すべすべ感やつるつる感が生まれた。
[肌の水分量の評価2]
対象者を男性5名、女性5名の計10名とし、洗顔前、洗顔5分後、洗顔10分後について、前記評価1と同様にして、対象者の頬中央部の水分量を測定した。
図2には、蜂の子由来の油脂の配合しない場合(0質量%)と3%(主原料油脂100質量部に対して3質量部)配合した場合について、洗顔後の経過時間に対して肌の水分量を調べた結果を、10名の平均値として示した。洗顔効果に個人差はあるものの、母数を増やし、平均した結果で比較すれば、蜂の子由来の油脂の配合した石鹸で洗顔した方が、肌の保湿性が向上する結果となった。
[顕微鏡観察による肌の状態分析]
肌の水分量の評価1と同時に実施した、肌の顕微鏡観察の結果について説明する。図3には顕微鏡によって肌を50倍に拡大した写真、図4には200倍に拡大した写真した写真が示されている。洗顔前の肌において、倍率50倍では分かり難いが、倍率200倍では角層が捲れて肌荒れした箇所(写真中では矢印で示される場所)が随所に見られる。蜂の子由来の油脂の配合しない場合(0質量%)は、洗顔した後でも角層の捲れがまだ残っている。一方、蜂の子由来の油脂を配合(3質量%と5質量%)した場合は、洗顔した後では捲れていた角層が洗い落とされ、肌荒れしていた箇所が分からなくなっている。このように、本発明の洗浄剤は、蜂の子由来の油脂を配合することにより、角層を整える効果が生まれている。
[使用感アンケート]
下記表1には、使用感アンケートの各質問に対する回答分布と、その分布に重みづけをして得られる5段階評価(++、+、0、−、−−)が示されている。
表1の結果から、蜂の子由来の油脂を添加しても、泡の細かさは、石鹸素地の良い点をそのまま残し、特に悪影響は見られない。泡切れは、石鹸素地の良い点をそのまま残し、特に悪影響は見られない。保湿感は、いずれも好結果になっている。
肌の状態については、「しっとり」、「すべすべ」、「つるつる」、「ハリが出た」という回答は「良い」の範疇に含め、「つっぱる」等の回答は「悪い」の範疇に含めた。蜂の子由来の油脂を配合した洗浄剤は、同油脂を配合しないものより、良好な結果が得られている。

Claims (11)

  1. 主原料油脂の鹸化物と、蜂の子由来の油脂及び/又はその鹸化物とを含有し、前記蜂の子由来の油脂及び/又はその鹸化物の含有量が、前記主原料油脂の合計量100質量部に対して、1〜8質量部であることを特徴とする、肌の保湿性向上のために用いられる身体用洗浄剤。
  2. 前記蜂の子は、女王蜂の幼虫及び/又は蛹である、請求項1に記載の身体用洗浄剤。
  3. 蜂の子由来の油脂及び/又はその鹸化物以外に、牛脂、豚脂、ヤシ油、パーム油、オリーブ油、大豆油、落花生油、綿実油、ヒマシ油、ゴマ油、ナタネ油、キリ油、シソ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、アボガド油、サザンカ油、茶実油、椿油、馬油から選ばれた少なくとも1種からなる主原料油脂の鹸化物を含有する、請求項1又は2に記載の身体用洗浄剤。
  4. 主原料油脂の鹸化物の合計量100質量部に対して、蜂の子由来の油脂及び/又はその鹸化物を1〜8質量部添加するか、主原料油脂の合計量100質量部に対して、蜂の子由来の油脂を1〜8質量部配合して鹸化することを特徴とする、肌の保湿性向上のために用いられる身体用洗浄剤の製造方法。
  5. 蜂の子又はその加工物に有機溶媒を加えて油脂を抽出した後、有機溶媒を蒸発させて、前記蜂の子由来の油脂を得る、請求項に記載の身体用洗浄剤の製造方法。
  6. 前記有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン及びヘキサンからなる群より選ばれた1種又はその混合物である、請求項に記載の身体用洗浄剤の製造方法。
  7. 蜂の子又はその加工物に水を加えて加熱することにより油脂を抽出し、得られた油脂を分離することにより、前記蜂の子由来の油脂を得る、請求項に記載の身体用洗浄剤の製造方法。
  8. 前記油脂抽出時の加熱温度は、75〜98℃とする、請求項に記載の身体用洗浄剤の製造方法。
  9. 蜂の子又はその加工物をプロテアーゼによって酵素分解し、遊離した油脂を乾燥させて蜂の子由来の油脂を得る、請求項に記載の身体用洗浄剤の製造方法。
  10. 前記蜂の子として、女王蜂の幼虫及び/又は蛹を用いる、請求項4〜9のいずれか1項に記載の身体用洗浄剤の製造方法。
  11. 前記主原料油脂として、牛脂、豚脂、ヤシ油、パーム油、オリーブ油、大豆油、落花生油、綿実油、ヒマシ油、ゴマ油、ナタネ油、キリ油、シソ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、アボガド油、サザンカ油、茶実油、椿油、馬油から選ばれた少なくとも1種を用いる、請求項4〜10のいずれか1項に記載の身体用洗浄剤の製造方法。
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