JP6647986B2 - 二次電池の劣化判定装置、二次電池の劣化判定方法、及び二次電池の制御装置 - Google Patents
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Description
ところで、アルカリ二次電池は、上述した車載用電源等であるとすると、放電と充電とが不定期、かつ、不定間隔で短周期に繰り返されることも少なくないため、分極電圧の経時的変化から劣化の防止に必要な情報を得られないおそれがある。もし、劣化の防止に必要な情報が得られないこととなると、アルカリ二次電池の劣化を判定することもできない。
このような構成によれば、アルカリ二次電池の劣化が、累積した劣化量が規定の判定値よりも大きくなることで判定されるようになる。
このような構成によれば、外部にアルカリ二次電池の劣化の判定結果が通知されるので、劣化が考慮されたアルカリ二次電池の利用がなされるようになる。
電流測定器22は、測定した電池10の放電電流及び充電電流に対応する電流信号を判定装置30に出力する。
すなわち、図2に示すように、dSOCと絶縁抵抗低下量との関係を示す情報は、dSOCに対応する絶縁抵抗の低下量を右下がりのグラフL1として示すことのできるデータであることを見出した。なお同情報は、グラフL1を示す情報であれば、マッピングデータや関数式等からなる情報であってもよい。ここでグラフL1は、dSOCの大きさに応じて絶縁抵抗の低下量が増加、すなわち負に大きくなる関係を示している。絶縁抵抗の低下量は、例えば、経年劣化としてセパレータに生じる化学的微短の進行度合いを絶縁抵抗の低下として示すものであると考えられている。例えば、セパレータは、活物質から溶解した金属の析出等が生じることや、電極活物質が移動すること等で絶縁抵抗の低下が生じる。そして、こうした絶縁抵抗の低下が進行すると、電池10は微小短絡を生じるおそれが高まるものと考えられる。そこで、絶縁抵抗の低下量に基づいて電池10の劣化量を算出し、この算出した劣化量から劣化を判定することができることが見出された。逆に、図2に示す関係から、電池10の充放電の条件を好ましい範囲に限定することで、微小短絡を抑制し電池10の劣化を抑制することができることも見出された。
図1に示すように、処理部40は、電圧測定器21から入力される電圧信号から電池10の端子間電圧を取得する電圧測定部41と、電流測定器22から入力される電流信号から電池10の充放電電流を取得する電流測定部42とを備える。
図3は、車両の走行に応じて電池10に生じるSOCの変化の一例を示す。ここで、「1cyc」は、任意に区切られた時間区間であって、例えば、イグニッションを「ON」してから「OFF」するまでの時間区間である。「ΔSOC」は、「1cyc」の間に変化したSOCの最大幅であり、充電量が最大になったときと、充電量が最低になったときとの差である。なお、電池10がSOC「80%」以下、かつ「20%」以上の間で使用されるように制御されている場合、ΔSOCは、多くの場合「60%」以下の値になる。電池10は、「1cyc」の中での走行状況に応じて不定量の充放電が繰り返されるので、SOCは増減を繰り返し、SOCの変化が例えばグラフL21,L22のように示される。グラフL21は、電池10が充電される区間cd11,cd13,・・・,cd1nと、電池10が放電される区間cd12,cd14,・・・,cd1m(但し、m=n−1)とを有している。そして区間cd11〜cd1n毎のSOCの変化量が充電毎又は放電毎のdSOCである。例えば、区間cd11のdSOCは「ds11」であり、区間cd12のdSOCは「ds12」であり、区間cd13のdSOCは「ds13」である。同様に、区間cd1mのdSOCは「ds1m」であり、区間cd1nのdSOCは「ds1n」である。こうして算出された各区間のdSOCである「ds11」〜「ds1n」に基づいて、「1cyc」での劣化量が得られるとともに、電池10が初めて使用されてからの各「1cyc」における劣化量の累積が現時点での電池10の劣化量として得られる。また、次の「1cyc」でのSOCの変化を示すグラフL22は、電池10が充電される区間cd21,cd23,・・・,cd2nと、電池10が放電される区間cd22,cd24,・・・とを有している。この場合、例えば、区間cd21のdSOCは「ds21」として得られ、区間cd22のdSOCは「ds22」として得られる。
判定処理が開始されると、処理部40は、電流を測定する(ステップS10)。電流は、規定の測定期間における電流量であってもよい。例えば、電流は、充電と放電とでの向きの違いが「+/−」の極性の違いで示される。処理部40は、充電と放電とが切り替わったか否かを判定する(ステップS11)。充電と放電とが切り替わったことは、前回測定した電流の向きと今回測定した電流の向きとが相違することに基づいて判定される。電流量に基づく電流の向きを充放電の判定に用いれば、電流に生じる一時的な変動の影響が抑えられる。
車両では、判定装置30から出力された電池10の「劣化している」との判定結果に基づいて、運転者に電池10の寿命を延ばすための情報として電池10の充放電の抑制を促す通知をしてもよい。
(1)使用中の電池10について、充電毎又は放電毎の劣化量を、SOCの変化量に基づいて算出するとともに、これを累積する。よって、充放電が不定量で繰り返されたとしても、算出された劣化量に基づいて電池10の劣化が判定されるようになる。これにより、電池10の過充電や過放電が避けられ、管理が好適になされるようになる。
(4)判定装置30の外部に電池10の劣化の判定結果が通知されるので、劣化が考慮された電池10の利用がなされるようになる。
なお、上記実施形態は以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、処理部40の劣化判定出力部46が劣化の判定結果を出力する場合について例示した。しかしこれに限らず、劣化の判定結果を出力できるのであれば、劣化判定出力部は表示装置や音声出力装置等の出力部を介して劣化の判定結果を外部に出力してもよい。
・上記実施形態では、電池10が電気自動車もしくはハイブリッド自動車に搭載される場合について例示したが、これに限らず、二次電池は、ガソリン自動車やディーゼル自動車等の車両に搭載されてもよい。また二次電池は、移動体や固定設置の電源として用いられてもよい。例えば、電源の適用先としては、鉄道、船舶、航空機やロボット等の移動体や、情報処理装置等の電気製品等が挙げられる。
Claims (5)
- 不定量の充放電が繰り返されるアルカリ二次電池の劣化を判定する二次電池の劣化判定装置であって、
前記アルカリ二次電池の充電状態に生じた増加又は減少について、前記増加毎又は減少毎での充電状態の変化量を算出する変化量算出部と、
前記変化量と、前記変化量に対応するアルカリ二次電池の劣化量を示す情報とに基づいて前記アルカリ二次電池の劣化量を算出する劣化量算出部と、
前記算出した劣化量を累積する劣化量累積部と、
前記累積した劣化量に基づいて前記アルカリ二次電池の劣化を判定する劣化判定部とを備え、
前記変化量に対応するアルカリ二次電池の劣化量を示す情報として、充電状態の変化量が大きいほど前記アルカリ二次電池の劣化量が大きいことを示す情報が設定されている
ことを特徴とする二次電池の劣化判定装置。 - 前記劣化判定部は、前記累積した劣化量が規定の判定値よりも大きいとき、前記アルカリ二次電池が劣化している旨を判定する
請求項1に記載の二次電池の劣化判定装置。 - 前記劣化判定部はさらに、前記アルカリ二次電池の劣化を判定した結果を外部へ通知する通知部を備える
請求項1又は2に記載の二次電池の劣化判定装置。 - 不定量の充放電が繰り返されるアルカリ二次電池の劣化を判定する二次電池の劣化判定装置に用いられる方法であって、
前記アルカリ二次電池の充電状態に生じた増加又は減少について、前記増加毎又は減少毎での充電状態の変化量を算出する変化量算出工程と、
前記変化量と、前記変化量に対応するアルカリ二次電池の劣化量を示す情報とに基づいて前記アルカリ二次電池の劣化量を算出する劣化量算出工程と、
前記算出した劣化量を累積する劣化量累積工程と、
前記累積した劣化量に基づいて前記アルカリ二次電池の劣化を判定する劣化判定工程とを有し、
前記変化量に対応するアルカリ二次電池の劣化量を示す情報として、充電状態の変化量が大きいほど前記アルカリ二次電池の劣化量が大きいことを示す情報が設定されている
ことを特徴とする二次電池の劣化判定方法。 - 駆動装置にモータを含んでいる車両に搭載され、前記モータの電源として用いられるアルカリ二次電池の充電及び放電を制御する二次電池の制御装置であって、
前記アルカリ二次電池の劣化を判定する劣化判定装置と、
前記劣化判定装置の判定結果に応じて、前記アルカリ二次電池の充電状態が増加又は減少したときの充電状態の変化量が小さくなるように前記アルカリ二次電池の充電及び放電を制御する充放電制御部とを備え、
前記劣化判定装置は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の二次電池の劣化判定装置である
ことを特徴とする二次電池の制御装置。
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