JP6822358B2 - 二次電池システム - Google Patents
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Description
本発明は二次電池システムに関する。
二次電池は繰り返し充電可能な電池である。しかしながら、二次電池が過充電されると、正極の酸化等が発生する。この結果、電池容量の低下や内部抵抗の増加が引き起こされ、電池の性能が低下する。
このため、従来、二次電池が過充電状態にあることを検出し、二次電池の過充電を抑制することが行われている。例えば、特許文献1には、リチウムイオン二次電池の電圧の時間変化率に基づいてリチウムイオン二次電池の充電率を推定することが開示されている。具体的には、電圧の時間変化率が所定値を超えたときに、リチウムイオン二次電池が過充電状態にあると判定する。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、二次電池の過充電を検出してから二次電池の充電を停止するまでの間に過充電が進行し、二次電池の性能が大きく低下するおそれがある。
そこで、上記課題に鑑みて、本発明の目的は、二次電池が過充電されることを抑制することができる二次電池システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、複数の電池セルが直列に接続された二次電池と、前記二次電池を充電する充電装置と、前記二次電池の電圧を検出する電圧検出装置と、前記二次電池を流れる電流を検出する電流検出装置と、前記電圧検出装置によって検出された電圧と、前記電流検出装置によって検出された電流とに基づいて前記二次電池の充電率を算出する充電率算出部と、前記二次電池の充電率の上限値を設定すると共に、該充電率が該上限値に達すると前記二次電池の充電を停止する充電停止部とを備え、前記二次電池の各電池セルは、前記充電率の変化量に対する開回路電圧の変化量が所定値よりも大きい電位ステップ間の領域であるプラトー領域をn個有し、nは2以上の整数であり、前記充電停止部は、前記二次電池の少なくとも一つの電池セルの開回路電圧がj番目のプラトー領域とj+1番目のプラトー領域との間の前記電位ステップの範囲の値であると判定した場合には、前記充電率の上限値を下記の式
によって算出し、ここで、SOCupは前記充電率の上限値であり、Wdkは前記少なくとも一つの電池セルのk番目のプラトー領域の幅であり、SOCcuは前記判定が行われたときの充電率であり、
は初期状態の電池セルにおける各プラトー領域の幅に基づいて算出され、前記充電停止部は、算出された前記充電率の上限値が現在の前記充電率の上限値よりも低い場合に、算出された前記充電率の上限値に前記充電率の上限値を更新する、二次電池システムが提供される。
本発明によれば、二次電池が過充電されることを抑制することができる二次電池システムが提供される。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
<第一実施形態>
最初に図1〜図4を参照して、本発明の第一実施形態について説明する。
最初に図1〜図4を参照して、本発明の第一実施形態について説明する。
<二次電池システムの構成>
図1は、本発明の第一実施形態における二次電池システムの概略図である。二次電池システム1は二次電池2を備える。二次電池2は、複数の電池セル21が直列に接続された二次電池であり、電池パック又は組電池とも称される。各電池セル21は、正極と、負極と、正極と負極との間に配置された電解質とを有する。
図1は、本発明の第一実施形態における二次電池システムの概略図である。二次電池システム1は二次電池2を備える。二次電池2は、複数の電池セル21が直列に接続された二次電池であり、電池パック又は組電池とも称される。各電池セル21は、正極と、負極と、正極と負極との間に配置された電解質とを有する。
本実施形態では、二次電池2は、バイポーラ構造を有する全固体リチウム硫黄(LiS)電池である。この場合、正極材料として硫黄が用いられ、負極材料として金属リチウムが用いられ、電解質としてセラミックスのような固体電解質が用いられる。各電池セル21では、リチウムイオンが電解質を介して正極と負極との間を移動することで、充放電が行われる。
二次電池システム1は、二次電池2を充電する充電装置3を更に備える。充電装置3は、二次電池2の両端の正極端子及び負極端子に電気的に接続されている。充電装置3は、商用電源のような外部電源から供給される電力又はモータジェネレータから供給される電力を用いて二次電池2を充電する。
充電時には、充電装置3から二次電池2に電流が供給され、リチウムイオンが各電気セル10の正極から負極に移動する。この結果、二次電池2の容量が徐々に増加する。一方、放電時には、リチウムイオンが各電気セル10の負極から正極に移動し、モータ等の電子機器のような外部負荷に二次電池2から電力が供給される。この結果、二次電池2の容量が徐々に低下する。
二次電池システム1は、電圧検出装置4、電流検出装置5、温度センサ6及び制御装置7を更に備える。電圧検出装置4は、二次電池2に並列に接続され、各電池セル21の総電圧である二次電池2の電圧を検出する。電圧検出装置4によって検出された電圧は制御装置7に入力される。
電流検出装置5は、二次電池2に直列に接続され、二次電池2を流れる電流を検出する。したがって、電流検出装置5は、充電時には、充電装置3から二次電池2に供給される電流を検出する。電流検出装置5によって検出された電流は制御装置7に入力される。
温度センサ6は、二次電池2のパッケージ内に設けられ、二次電池2の温度を検出する。温度センサ6は、例えば、サーミスタ又は熱電対である。温度センサ6によって検出された温度は制御装置7に入力される。
制御装置7は、中央演算装置(CPU)、ROM及びRAMのようなメモリ、入力ポート並びに出力ポートを含むマイクロコンピュータであり、二次電池2の充放電を制御する。充電時には、制御装置7は、電圧検出装置4、電流検出装置5及び温度センサ6の出力等に基づいて充電装置3を制御する。
<充電率の上限値の設定>
図2は、二次電池2の単一の電池セル21における充電率−開回路電圧曲線を示すグラフである。グラフの横軸は充電率(SOC:State Of Charge)を示し、グラフの縦軸は開回路電圧(OCV)を示す。なお、充電率とは、初期状態の二次電池2の最大容量に対する現在の二次電池2の容量の割合である。
図2は、二次電池2の単一の電池セル21における充電率−開回路電圧曲線を示すグラフである。グラフの横軸は充電率(SOC:State Of Charge)を示し、グラフの縦軸は開回路電圧(OCV)を示す。なお、充電率とは、初期状態の二次電池2の最大容量に対する現在の二次電池2の容量の割合である。
図2において、実線は劣化前の初期状態の電池セル21のデータを示す。初期状態の二次電池2では、各電池セル21は同様の充電率−開回路電圧曲線を示す。このため、初期状態の二次電池2では、二次電池2(電池セル21全体)の充電率−開回路電圧曲線は、単一の電池セル21における充電率−開回路電圧曲線において開回路電圧に電池セル21の数を乗じたデータに等しい。
この例では、電池セル21は2つのプラトー領域P1、P2を有する。プラトー領域は、充電率の変化量に対する開回路電圧の変化量が所定値よりも大きい電位ステップ間の領域である。プラトー領域では、電位ステップの部分を除いて、充電率の変化に対して開回路電圧が略一定となる。
二次電池2の過充電を抑制するためには、充電率の上限値を適切に設定し、二次電池2が過充電される前に二次電池2の充電を停止することが望ましい。本実施形態では、制御装置7が、メモリに記憶されたプログラムを実行することによって、二次電池2の充電率を算出する充電率算出部と、二次電池2の充電率の上限値を設定すると共に、充電率が上限値に達すると二次電池2の充電を停止する充電停止部として機能する。
初期状態の各電池セル21では、充電率が値Aを超えると、電池セル21が過充電される。このため、二次電池2の充電率の上限値の初期値が値Aに設定される。値Aは例えば100%である。充電率算出部は、電圧検出装置4によって検出された電圧と、電流検出装置5によって検出された電流とに基づいて充電率を算出し、充電停止部は、充電率が上限値Aに達すると二次電池2の充電を停止する。また、初期状態の各電池セル21では、プラトー領域P1とP2との間の電位ステップが充電率Bに位置する。
図2において、一点鎖線は劣化後の電池セル21のデータを示す。劣化後の電池セル21では、劣化による最大容量の低下によって、充電率が値Aよりも小さい値Adを超えると、電池セル21が過充電される。このため、充電率の上限値が値Aに維持されると、充電率が値Adを超えたときに、複数の電池セル21のうち劣化した電池セル21が過充電される。このため、充電率の上限値を値Aから値Adに変更する必要がある。
また、劣化後の電池セル21では、プラトー領域Pd1とPd2との間の電位ステップが充電率Bよりも低い充電率Bdに位置する。なお、各プラトー領域における開回路電圧は劣化の前後で等しい。
プラトー領域Pd1の幅Wd1とプラトー領域Pd2の幅Wd2との比率が分かれば、下記式(1)によって充電率Bdから充電率Adを推定することができる。
Ad=(Wd1+Wd2)/Wd1×Bd …(1)
プラトー領域Pd1の幅Wd1とプラトー領域Pd2の幅Wd2との比率が初期状態のプラトー領域P1の幅W1とプラトー領域P2の幅W2との比率と等しいと仮定すると、例えばW1:W2=1:1.2である場合、Wd2=1.2Wd1となり、上記式(1)は、Ad=2.2Bdとなる。
Ad=(Wd1+Wd2)/Wd1×Bd …(1)
プラトー領域Pd1の幅Wd1とプラトー領域Pd2の幅Wd2との比率が初期状態のプラトー領域P1の幅W1とプラトー領域P2の幅W2との比率と等しいと仮定すると、例えばW1:W2=1:1.2である場合、Wd2=1.2Wd1となり、上記式(1)は、Ad=2.2Bdとなる。
このため、充電停止部は、少なくとも一つの電池セル21の開回路電圧がプラトー領域Pd1とPd2との間の電位ステップの範囲の値であると判定した場合には、充電率の上限値SOCupを下記式(2)によって算出する。
SOCup=(Wd1+Wd2)/Wd1×SOCcu …(2)
ここで、SOCcuは、現在の充電率、すなわち、少なくとも一つの電池セル21の開回路電圧がプラトー領域Pd1とPd2との間の電位ステップの範囲の値であると判定されたときの充電率である。充電停止部は、算出された充電率の上限値が現在の充電率の上限値よりも低い場合に、算出された充電率の上限値に充電率の上限値を更新する。この結果、図2の例では、充電率の上限値が値Aから値Adに更新される。
SOCup=(Wd1+Wd2)/Wd1×SOCcu …(2)
ここで、SOCcuは、現在の充電率、すなわち、少なくとも一つの電池セル21の開回路電圧がプラトー領域Pd1とPd2との間の電位ステップの範囲の値であると判定されたときの充電率である。充電停止部は、算出された充電率の上限値が現在の充電率の上限値よりも低い場合に、算出された充電率の上限値に充電率の上限値を更新する。この結果、図2の例では、充電率の上限値が値Aから値Adに更新される。
二次電池2の充電中に少なくとも一つの電池セル21の開回路電圧がプラトー領域Pd1とPd2との間の電位ステップの範囲の値になると、二次電池2の電圧の時間変化率(ΔV/Δt)が第一閾値よりも大きくなる。このため、充電停止部は、二次電池2の電圧の時間変化率が第一閾値よりも大きい場合に、少なくとも一つの電池セル21の開回路電圧がプラトー領域Pd1とPd2との間の電位ステップの範囲の値であると判定する。二次電池2の電圧は電圧検出装置4によって検出される。
また、プラトー領域の数は電池セル21の電極材料等に応じて異なる。図3は、プラトー領域がn個である場合の図2と同様の充電率−開回路電圧曲線を示すグラフである。なお、nは2以上の整数である。図3において、実線は劣化前の初期状態の電池セル21のデータを示し、一点鎖線は劣化後の電池セル21のデータを示す。
この場合、充電停止部は、二次電池の少なくとも一つの電池セルの開回路電圧がj番目のプラトー領域とj+1番目のプラトー領域との間の電位ステップの範囲の値であると判定した場合には、充電率の上限値SOCupを下記の式(3)によって算出する。
ここで、Wdkは上記少なくとも一つの電池セル21のk番目のプラトー領域Pdkの幅であり、SOCcuは、現在の充電率、すなわち、少なくとも一つの電池セル21の開回路電圧がj番目のプラトー領域とj+1番目のプラトー領域との間の電位ステップの範囲の値であると判定されたときの充電率である。充電停止部は、算出された充電率の上限値が現在の充電率の上限値よりも低い場合に、算出された充電率の上限値に充電率の上限値を更新する。
算出された充電率の上限値に充電率の上限値が更新されると、図3の例では、充電率の上限値が値Aから値Adに変更される。したがって、この方法では、電池セル21が過充電される前に、充電率の上限値を適切な値に更新することができる。この結果、電池セル21、ひいては二次電池2が過充電されることを抑制することができる。
<上限値設定処理>
以下、図4のフローチャートを参照して、二次電池システム1によって実行される制御について説明する。図4は、本発明の第一実施形態における上限値設定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは制御装置7によって繰り返し実行される。制御装置7は本制御ルーチンを実行することによって充電率算出部及び充電停止部として機能する。
以下、図4のフローチャートを参照して、二次電池システム1によって実行される制御について説明する。図4は、本発明の第一実施形態における上限値設定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは制御装置7によって繰り返し実行される。制御装置7は本制御ルーチンを実行することによって充電率算出部及び充電停止部として機能する。
最初に、ステップS101において、二次電池2の充放電が停止されているか否かが判定される。二次電池2の充放電が停止されていると判定された場合、本制御ルーチンはステップS102に進む。ステップS102では、二次電池2の電圧Vと、二次電池2を流れる電流Iと、二次電池2の温度Tとが取得される。電圧Vは電圧検出装置4によって検出され、電流Iは電流検出装置5によって検出され、温度Tは温度センサ6によって検出される。
次いで、ステップS103において、充電率の初期値SOCinが算出される。初期値SOCinは、充電が開始される前の充電率の推定値である。最初に、内部抵抗と温度Tとの関係が記載されたマップを用いて温度Tから内部抵抗が算出される。次いで、内部抵抗に電流Iを乗じた値が過電圧として算出される。充電の停止後には、電圧Vから過電圧を減算した値が開回路電圧として算出される。一方、放電の停止後には、電圧Vに過電圧を加算した値が開回路電圧として算出される。次いで、充電率と開回路電圧との関係が記載されたマップを用いて開回路電圧から充電率が算出され、算出された充電率が初期値SOCinに設定される。なお、各マップは制御装置7のメモリ(例えばROM)に記憶されている。ステップS103の後、本制御ルーチンは終了する。なお、内部抵抗として、予め記憶された一定の値を用いてもよい。この場合、温度センサ6は省略されてもよい。
一方、ステップS101において二次電池2の充電又は放電が行われていると判定された場合、本制御ルーチンはステップS104に進む。ステップS104では、二次電池2が充電中であるか否かが判定される。二次電池2が充電中でないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、二次電池2が充電中であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS105に進む。
ステップS105では、二次電池2の電圧Vと、二次電池2を流れる電流Iとが取得される。電圧Vは電圧検出装置4によって検出され、電流Iは電流検出装置5によって検出される。
次いで、ステップS106において、二次電池2の現在の充電率SOCcuと、電圧の時間変化率(ΔV/Δt)とが算出される。充電開始後のSOCの増加量が電流Iの積算値(ΣI)に基づいて算出され、初期値SOCinにSOCの増加量を加算した値が現在の充電率SOCcuに設定される。電圧の時間変化率は、微小時間Δtにおける電圧Vの変化量ΔV(ΔV=V(t+Δt)−V(t))を微小時間Δtで除算することによって算出される。
次いで、ステップS107において、電圧の時間変化率が第1の閾値Th1よりも大きいか否かが判定される。第1の閾値Th1は、実験的又は理論的に予め定められ、ゼロよりも大きな値である。電圧の時間変化率が第1の閾値Th1以下であると判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、電圧の時間変化率が第1の閾値Th1よりも大きいと判定された場合、少なくとも一つの電池セル21の開回路電圧がプラトー領域間の電位ステップの範囲の値であると判定され、本制御ルーチンはステップS108に進む。
次いで、ステップS108において、上記式(3)を用いて充電率の上限値SOCupが算出される。このとき、上記式(3)におけるSOCcuとして、ステップS106において算出された値が用いられる。また、図3から分かるように、各プラトー領域における開回路電圧は異なる値を有する。このため、電圧の時間変化率の上昇がどのプラトー領域間の電位ステップにおいて生じているか、すなわち上記式(3)におけるjの値を電圧Vに基づいて決定する。また、上記式(3)の右辺の
は、初期状態の電池セル21における各プラトー領域の幅、例えば、初期状態の電池セル21における任意の一つのプラトー領域の幅(例えばW1)と各プラトー領域の幅との比率に基づいて算出される。なお、初期状態とは、電池セル21の各プラトー領域の幅が分かる劣化前の状態を意味し、例えば二次電池2の製造直後の状態である。初期状態において、全ての電池セル21は同様の充電率−開回路電圧曲線を有する。
なお、電池セル21の電極材料、劣化モード等によっては、各プラトー領域の幅の比率が経時的に変化する。このため、各プラトー領域の幅の比率の変化率と二次電池2の使用年数との関係が記載されたマップを用いて、初期状態の電池セル21における各プラトー領域の幅から算出される初期状態の電池セル21における各プラトー領域の幅の比率に基づいて、使用年数に応じた各プラトー領域の幅の比率が算出されてもよい。この場合、上記式(4)の値は、使用年数に応じた各プラトー領域の幅の比率に基づいて算出される。
また、使用年数がt年のときの各プラトー領域Pdkの幅Wdk(t)と、使用年数がt+Δt年のときの各プラトー領域Pdkの幅Wdk(t+Δt)とが下記式(5)〜(7)によって逐次算出されてもよい。
Wdk(t)=Wdk0×Xk(t)…(5)
Wdk(t+Δt)=Wdk0×Xk(t+Δt)…(6)
Xk(t+Δt)=Xk(t)+f(V,I,T)…(7)
ここで、Wdk0はk番目のプラトー領域の幅の初期値(初期状態の電池セル21におけるk番目のプラトー領域の幅)であり、Xk(t)は使用年数がt年のときのプラトー領域の幅の縮小具合を示す係数であり、Xk(t+Δt)は使用年数がt+Δt年のときのプラトー領域の幅の縮小具合を示す係数であり、fは、二次電池2の電圧Vと、二次電池2を流れる電流Iと、二次電池2の温度Tとを変数とするモデル関数である。
Wdk(t)=Wdk0×Xk(t)…(5)
Wdk(t+Δt)=Wdk0×Xk(t+Δt)…(6)
Xk(t+Δt)=Xk(t)+f(V,I,T)…(7)
ここで、Wdk0はk番目のプラトー領域の幅の初期値(初期状態の電池セル21におけるk番目のプラトー領域の幅)であり、Xk(t)は使用年数がt年のときのプラトー領域の幅の縮小具合を示す係数であり、Xk(t+Δt)は使用年数がt+Δt年のときのプラトー領域の幅の縮小具合を示す係数であり、fは、二次電池2の電圧Vと、二次電池2を流れる電流Iと、二次電池2の温度Tとを変数とするモデル関数である。
次いで、ステップS109において、ステップS108において算出された充電率の上限値が現在の充電率の上限値よりも低いか否かが判定される。ステップS108において算出された充電率の上限値が現在の充電率の上限値以上よりも低いと判定された場合、本制御ルーチンはステップS110に進む。ステップS110では、充電率の上限値が、ステップS108において算出された充電率の上限値に更新される。ステップS110の後、本制御ルーチンは終了する。
一方、ステップS109において、ステップS108において算出された充電率の上限値が現在の充電率の上限値以上であると判定された場合、本制御ルーチンは終了する。このことによって、劣化度合が低い電池セル21の充電率−開回路電圧曲線に基づいて充電率の上限値が更新されることを防止することができる。
なお、充電停止部は、二次電池2の充電中に充電率が上限値に達した場合には二次電池2の充電を停止する。
<第二実施形態>
第二実施形態における二次電池システムの構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態における二次電池システムと同様である。このため、以下、本発明の第二実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第二実施形態における二次電池システムの構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態における二次電池システムと同様である。このため、以下、本発明の第二実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
モータの動力源として二次電池2が用いられる車両(ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等)では、回生エネルギー等によって二次電池2が充電される。この場合、充電時に二次電池2に供給される電流が変動することがある。充電時の電圧の変化量は電流の変化量の影響を受ける。また、二次電池2の充電中に少なくとも一つの電池セル21の開回路電圧がプラトー領域間の電位ステップの範囲の値になると、二次電池2に供給された電気量の変化量に対する二次電池2の電圧の変化量が第二閾値よりも大きくなる。
このため、第二実施形態では、充電停止部は、二次電池2に供給された電気量の変化量に対する二次電池2の電圧の変化量が第二閾値よりも大きい場合に、少なくとも一つの電池セル21の開回路電圧がプラトー領域間の電位ステップの範囲の値であると判定する。二次電池2の電圧は電圧検出装置4によって検出され、二次電池2に供給された電気量は、電流検出装置5によって検出された電流に時間を積算することによって算出される。
<上限値設定処理>
図5は、本発明の第二実施形態における上限値設定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは制御装置7によって繰り返し実行される。制御装置7は本制御ルーチンを実行することによって充電率算出部及び充電停止部として機能する。
図5は、本発明の第二実施形態における上限値設定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは制御装置7によって繰り返し実行される。制御装置7は本制御ルーチンを実行することによって充電率算出部及び充電停止部として機能する。
ステップS201〜ステップS205は、図4のステップS101〜ステップS105と同様であることから説明を省略する。ステップS205の後、ステップS206において、二次電池2の現在の充電率SOCcuと、二次電池2に供給された電気量の変化量に対する二次電池2の電圧の変化量(ΔV/ΔQ)とが算出される。充電開始後のSOCの増加量が電流Iの積算値(ΣI)に基づいて算出され、初期値SOCinにSOCの増加量を加算した値が現在の充電率SOCcuに設定される。二次電池2に供給された電気量の変化量に対する二次電池2の電圧の変化量は、微小時間Δtにおける電圧Vの変化量ΔV(ΔV=V(t+Δt)−V(t))を微小時間Δtにおける電気量Qの変化量ΔQ(ΔQ=Q(t+Δt)−Q(t))で除算することによって算出される。
次いで、ステップS207において、二次電池2に供給された電気量の変化量に対する二次電池2の電圧の変化量が第2の閾値Th2よりも大きいか否かが判定される。第2の閾値Th2は、実験的又は理論的に予め定められ、ゼロよりも大きな値である。二次電池2に供給された電気量の変化量に対する二次電池2の電圧の変化量が第2の閾値Th2以下であると判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、二次電池2に供給された電気量の変化量に対する二次電池2の電圧の変化量が第2の閾値Th2よりも大きいと判定された場合、少なくとも一つの電池セル21の開回路電圧がプラトー領域間の電位ステップの範囲の値であると判定され、本制御ルーチンはステップS208に進む。
ステップS208〜ステップS210は、図4のステップS108〜ステップS110と同様であることから説明を省略する。
<第三実施形態>
第三実施形態における二次電池システムの構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態における二次電池システムと同様である。このため、以下、本発明の第三実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第三実施形態における二次電池システムの構成及び制御は、以下に説明する点を除いて、基本的に第一実施形態における二次電池システムと同様である。このため、以下、本発明の第三実施形態について、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図3に示されるように、劣化の有無に関わらず、j番目のプラトー領域の開回路電圧はVjであり、j+1番目のプラトー領域の開回路電圧はVj+1である。劣化の進行度合が高い電池セル21の開回路電圧がプラトー領域PdjとPdj+1との間の電位ステップの範囲の値であり、残りのn−1個の電池セル21の開回路電圧がプラトー領域Pdjの開回路電圧である場合、二次電池2(電池セル21全体)の開回路電圧は、Vj×nとVj×(n−1)+Vj+1との間の値となる。
このため、第三実施形態では、充電停止部は、二次電池2の開回路電圧がVj×nとVj×(n−1)+Vj+1との間の値である場合に、一つの電池セル21の開回路電圧がプラトー領域間の電位ステップの範囲の値であると判定する。二次電池2の開回路電圧は、二次電池2の電圧と、二次電池2を流れる電流と、二次電池2の温度とに基づいて算出される。電圧は電圧検出装置4によって検出され、電流は電流検出装置5によって検出され、温度は温度センサ6によって検出される。
<上限値設定処理>
図6は、本発明の第三実施形態における上限値設定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは制御装置7によって繰り返し実行される。制御装置7は本制御ルーチンを実行することによって充電率算出部及び充電停止部として機能する。
図6は、本発明の第三実施形態における上限値設定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは制御装置7によって繰り返し実行される。制御装置7は本制御ルーチンを実行することによって充電率算出部及び充電停止部として機能する。
ステップS301〜ステップS304は、図4のステップS101〜ステップS104と同様であることから説明を省略する。ステップS304の後、ステップS305において、二次電池2の電圧Vと、二次電池2を流れる電流Iと、二次電池2の温度Tとが取得される。電圧Vは電圧検出装置4によって検出され、電流Iは電流検出装置5によって検出され、温度Tは温度センサ6によって検出される。
次いで、ステップS306において、二次電池2の現在の充電率SOCcuと、二次電池2の現在の開回路電圧OCVcuとが算出される。充電開始後のSOCの増加量が電流Iの積算値(ΣI)に基づいて算出され、初期値SOCinにSOCの増加量を加算した値が現在の充電率SOCcuに設定される。二次電池2の現在の開回路電圧OCVcuは以下のように算出される。最初に、内部抵抗と温度Tとの関係が記載されたマップを用いて温度Tから内部抵抗が算出される。次いで、内部抵抗に電流Iを乗じた値が過電圧として算出され、電圧Vから過電圧を減算した値が開回路電圧OCVcuとして算出される。なお、内部抵抗として、予め記憶された一定の値を用いてもよい。この場合、温度センサ6は省略されてもよい。
次いで、ステップS307において、現在の開回路電圧OCVcuがVj×nとVj×(n−1)+Vj+1との間の値であるか否かが判定される。Vjはj番目のプラトー領域の開回路電圧であり、Vj+1はj+1番目のプラトー領域の開回路電圧である。各プラトー領域の開回路電圧は、予め定められ、制御装置7のメモリ(例えばROM)に記憶されている。nは電池セル21の数である。上述したように、各プラトー領域における開回路電圧は異なる値を有する。このため、jの値は現在の開回路電圧OCVcuに基づいて決定される。
ステップS307において、現在の開回路電圧OCVcuがVj×nとVj×(n−1)+Vj+1との間の値でないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、現在の開回路電圧OCVcuがVj×nとVj×(n−1)+Vj+1との間の値であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS308に進む。
ステップS308〜ステップS310は、図4のステップS108〜ステップS110と同様であることから説明を省略する。
<その他の実施形態>
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。例えば、二次電池2は、2つ以上のプラトー領域を有すれば、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池等の任意の種類の電池であってよい。また、正極、負極及び電解質として任意の材料を用いることができる。
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。例えば、二次電池2は、2つ以上のプラトー領域を有すれば、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池等の任意の種類の電池であってよい。また、正極、負極及び電解質として任意の材料を用いることができる。
例えば、二次電池2としてリチウムイオン二次電池が用いられる場合、2つ以上のプラトー領域を生じさせる正極材料として、スピネル構造を有するLiMn2O4、LiMn2O4のマンガンの一部をニッケルで置換したLiNi1/2Mn3/2O4、硫黄を含むS、Li2S等が挙げられ、2つ以上のプラトー領域を生じさせる負極材料としてグラファイト(C)等が挙げられる。
1 二次電池システム
2 二次電池
3 充電装置
4 電圧検出装置
5 電流検出装置
7 制御装置
21 電池セル
2 二次電池
3 充電装置
4 電圧検出装置
5 電流検出装置
7 制御装置
21 電池セル
Claims (1)
- 複数の電池セルが直列に接続された二次電池と、
前記二次電池を充電する充電装置と、
前記二次電池の電圧を検出する電圧検出装置と、
前記二次電池を流れる電流を検出する電流検出装置と、
前記電圧検出装置によって検出された電圧と、前記電流検出装置によって検出された電流とに基づいて前記二次電池の充電率を算出する充電率算出部と、
前記二次電池の充電率の上限値を設定すると共に、該充電率が該上限値に達すると前記二次電池の充電を停止する充電停止部と
を備え、
前記二次電池の各電池セルは、前記充電率の変化量に対する開回路電圧の変化量が所定値よりも大きい電位ステップ間の領域であるプラトー領域をn個有し、nは2以上の整数であり、
前記充電停止部は、前記二次電池の少なくとも一つの電池セルの開回路電圧がj番目のプラトー領域とj+1番目のプラトー領域との間の前記電位ステップの範囲の値であると判定した場合には、前記充電率の上限値を下記の式
前記充電停止部は、算出された前記充電率の上限値が現在の前記充電率の上限値よりも低い場合に、算出された前記充電率の上限値に前記充電率の上限値を更新する、二次電池システム。
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