JP6647381B2 - 近赤外線吸収組成物、硬化膜、近赤外線カットフィルタ、固体撮像素子、赤外線センサ、および化合物 - Google Patents

近赤外線吸収組成物、硬化膜、近赤外線カットフィルタ、固体撮像素子、赤外線センサ、および化合物 Download PDF

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Description

本発明は、近赤外線吸収組成物、硬化膜、近赤外線カットフィルタ、固体撮像素子、赤外線センサ、および化合物に関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などにはカラー画像の固体撮像素子である、電荷結合素子(CCD)や、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)などが用いられている。これら固体撮像素子は、その受光部において近赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているために、視感度補正を行うことが必要であり、近赤外線吸収フィルタを用いることが多い。
近赤外線吸収物質として、スクアリリウム化合物などが知られている(例えば、特許文献1〜3)。
特開2011−208101号公報 特開2000−159776号公報 特開2008−298820号公報
特許文献1に開示されたスクアリリウム化合物は、赤外領域に吸収を有し、かつ、不可視性および堅牢性に優れる化合物である。特許文献1に開示されたスクアリリウム化合物は溶剤に対する溶解性が低い化合物であり、スクアリリウム化合物を溶剤に分散させて、分散液として使用している。
一方、分散工程の簡略化等の観点から、溶剤への溶解性(溶剤溶解性ともいう)が優れたスクアリリウム化合物の開発が望まれている。
本発明者らの検討によれば、特許文献2、3に開示されたスクアリリウム化合物は溶剤溶解性が低いことが分かった。
よって、本発明の目的は、溶剤溶解性に優れたスクアリリウム化合物を含む近赤外線吸収組成物、それを用いた硬化膜、近赤外線カットフィルタ、固体撮像素子、赤外線センサ、および、化合物を提供することにある。
本発明者らは、種々検討した結果、後述する一般式(1)で表される化合物が溶剤溶解性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、以下を提供する。
<1> 下記一般式(1)で表される化合物と、樹脂とを含む、近赤外線吸収組成物;
Figure 0006647381
式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、または、下記式(W)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも一方は、下記式(W)で表される基を表し、
3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または、アルキル基を表し、
1およびX2は、それぞれ独立に、酸素原子、または、−N(R5)−を表し、
5は、水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、
1〜Y4は、それぞれ独立に、置換基を表し、Y1とY2、および、Y3とY4は、互いに結合して環構造を形成していてもよく、
1〜Y4は、それぞれ複数有する場合は、互いに結合して環構造を形成していてもよく、
pおよびsは、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、
qおよびrは、それぞれ独立に0〜2の整数を表す;
−S1−L1−T1 ・・・(W)
式(W)において、S1は、単結合、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、
1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONRL1−、−NRL1CO−、−SO2−、−ORL2−、または、これらを組み合わせてなる基を表し、RL1は、水素原子またはアルキル基を表し、RL2は、アルキレン基を表し、
1は、アルキル基、シアノ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基、ホスホリル基、ボリル基、ビニル基、エチニル基、アリール基、ヘテロアリール基、トリアルキルシリル基またはトリアルコキシシリル基を表し、
1が単結合で、L1がアルキレン基で、T1がアルキル基の場合は、L1とT1に含まれる炭素数の総和が13以上であり、
1がアリーレン基の場合は、L1とT1に含まれる炭素数の総和が5以上である。
<2> 式(W)において、S1が、アリーレン基またはヘテロアリーレン基である、<1>に記載の近赤外線吸収組成物。
<3> 式(W)において、L1が、アルキレン基、アルケニレン基、−O−、−ORL2−、または、これらを組み合わせてなる基であり、RL2が、アルキレン基である、<1>または<2>に記載の近赤外線吸収組成物。
<4> 式(W)において、−L1−T1部分が、分岐アルキル構造を含む、<1>〜<3>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物。
<5> 式(W)において、−L1−T1部分が不斉炭素を含む、<1>〜<4>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物。
<6> 一般式(1)で表される化合物が、2種類以上の光学異性体を含む、<1>〜<5>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物。
<7> 一般式(1)において、R3およびR4が、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基である、<1>〜<6>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物。
<8> 一般式(1)において、p、q、rおよびsが、0である、<1>〜<7>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物。
<9> 一般式(1)において、X1およびX2が酸素原子である、<1>〜<8>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物。
<10> 一般式(1)において、X1およびX2は、それぞれ独立に、下記のいずれかで表される、<1>〜<8>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物;
Figure 0006647381
式中、R5aはアルキル基を表し、R6〜R8は、それぞれ独立に、置換基を表し、aは0〜5の整数を表し、bおよびcはそれぞれ0〜7の整数を表し、*は連結手を表す。
<11> 更に溶剤を含有する、<1>〜<10>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物。
<12> 更に硬化性化合物を含有する、<1>〜<11>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物。
<13> <1>〜<12>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物を用いてなる、硬化膜。
<14> <13>に記載の硬化膜を含む、近赤外線カットフィルタ。
<15> <13>に記載の硬化膜を含む、固体撮像素子。
<16> <13>に記載の硬化膜を含む、赤外線センサ。
<17> 下記一般式(1)で表される、化合物;
Figure 0006647381
式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、または、下記式(W)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも一方は、下記式(W)で表される基を表し、
3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または、アルキル基を表し、
1およびX2は、それぞれ独立に、酸素原子、または、−N(R5)−を表し、
5は、水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、
1〜Y4は、それぞれ独立に、置換基を表し、Y1とY2、および、Y3とY4は、互いに結合して環構造を形成していてもよく、
1〜Y4は、それぞれ複数有する場合は、互いに結合して環構造を形成していてもよく、
pおよびsは、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、
qおよびrは、それぞれ独立に0〜2の整数を表す;
−S1−L1−T1 ・・・(W)
式(W)において、S1は、単結合、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、
1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONRL1−、−NRL1CO−、−SO2−、−ORL2−、または、これらを組み合わせてなる基を表し、RL1は、水素原子またはアルキル基を表し、RL2は、アルキレン基を表し、
1は、アルキル基、シアノ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基、ホスホリル基、ボリル基、ビニル基、エチニル基、アリール基、ヘテロアリール基、トリアルキルシリル基またはトリアルコキシシリル基を表し、
1が単結合で、L1がアルキレン基で、T1がアルキル基の場合は、L1とT1に含まれる炭素数の総和が13以上であり、
1がアリーレン基の場合は、L1とT1に含まれる炭素数の総和が5以上である。
本発明によれば、溶剤溶解性に優れたスクアリリウム化合物を含む近赤外線吸収組成物、それを用いた硬化膜、近赤外線カットフィルタ、固体撮像素子、赤外線センサ、および、化合物を提供することが可能になった。
本発明の赤外線センサの一実施形態の構成を示す概略断面図である。 本発明の赤外線センサを適用した撮像装置の機能ブロック図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記に於いて、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルを表す。
本明細書において、重合性化合物とは、重合性官能基を有する化合物のことをいい、モノマーであっても、ポリマーであってもよい。重合性官能基とは、重合反応に関与する基をいう。
本発明で用いられる化合物の重量平均分子量および数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができ、GPCにより測定したポリスチレン換算値として定義される。
本明細書において、近赤外線とは、極大吸収波長領域が700〜2500nmの光(電磁波)をいう。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。本発明における固形分は、25℃における固形分である。
<近赤外線吸収組成物>
本発明の近赤外線吸収組成物は、後述する一般式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)ともいう)と、樹脂とを含む。
化合物(1)は、式(W)で表される基を有することで、溶剤溶解性に優れた化合物とすることができた。また、式(W)で表される基を有することで、膜を形成した際に膜の柔軟性を向上させることもできた。
化合物(1)の高い耐熱性および耐光性は、化合物(1)がホウ素原子を有していることに由来する。ホウ素錯体を形成することで分子の平面性が向上し、塗布膜中での会合体が安定化したことによって耐熱性および耐光性が向上しているものと推定される。さらに、式(W)が、長鎖のアルキル構造を含む場合は、溶剤溶解性に優れると共に、耐湿性に優れた化合物とすることもできた。詳しいメカニズムは不明だが、長鎖アルキル構造同士の相互作用により、会合体が安定化したこと、また疎水性が向上したことにより、水分の影響を受けにくくなったことが要因であると予測している。
本発明において、式(W)で表される基は、−L1−T1部分が分岐アルキル構造を含むことが好ましい。この態様によれば、化合物(1)の溶剤溶解性をさらに向上させることができる。
本発明において、式(W)で表される基は、−L1−T1部分が不斉炭素を含むことが好ましい。この態様によれば、化合物(1)が複数の光学異性体を含むことができ、その結果、化合物(1)の溶剤溶解性をさらに向上させることができる。
本発明において、一般式(1)で表される化合物は、2種類以上の光学異性体を含むことが好ましい。すなわち、一般式(1)で表される化合物がラセミ混合体であると、溶剤溶解性をさらに向上させることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<<<一般式(1)で表される化合物>>>
Figure 0006647381
式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、または、下記式(W)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも一方は、下記式(W)で表される基を表し、
3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または、アルキル基を表し、
1およびX2は、それぞれ独立に、酸素原子、または、−N(R5)−を表し、
5は、水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、
1〜Y4は、それぞれ独立に、置換基を表し、Y1とY2、および、Y3とY4は、互いに結合して環構造を形成していてもよく、
1〜Y4は、それぞれ複数有する場合は、互いに結合して環構造を形成していてもよく、
pおよびsは、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、
qおよびrは、それぞれ独立に0〜2の整数を表す;
−S1−L1−T1 ・・・(W)
式(W)において、S1は、単結合、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、
1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONRL1−、−NRL1CO−、−SO2−、−ORL2−、または、これらを組み合わせてなる基を表し、RL1は、水素原子またはアルキル基を表し、RL2は、アルキレン基を表し、
1は、アルキル基、シアノ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基、ホスホリル基、ボリル基、ビニル基、エチニル基、アリール基、ヘテロアリール基、トリアルキルシリル基またはトリアルコキシシリル基を表し、
1が単結合で、L1がアルキレン基で、T1がアルキル基の場合は、L1とT1に含まれる炭素数の総和が13以上であり、
1がアリーレン基の場合は、L1とT1に含まれる炭素数の総和が5以上である。
一般式(1)において、R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、または、後述する式(W)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも一方は、式(W)で表される基を表す。本発明では、R1とR2の両方が式(W)で表される基であることが好ましい。
1とR2は、同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。本発明では、R1とR2が同一の基であることが好ましい。
なお、本明細書において、アリール基は、芳香族炭化水素基を意味し、ヘテロアリール基は、芳香族複素環基を意味する。
1およびR2が表すアルキル基の炭素数は、1〜40が好ましい。下限は、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、10以上が一層好ましく、13以上が特に好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、分岐がより好ましい。分岐のアルキル基の分岐数は、例えば、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。分岐数が上記範囲であれば、溶剤溶解性が良好である。
1およびR2が表すアルケニル基の炭素数は、2〜40が好ましい。下限は、例えば、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、8以上が一層好ましく、10以上が特に好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。アルケニル基は直鎖または分岐が好ましく、分岐がより好ましい。分岐のアルケニル基の分岐数は、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。分岐数が上記範囲であれば、溶剤溶解性が良好である。
1およびR2が表すアリール基の炭素数は、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましく、6〜12が更に好ましい。
1およびR2が表すヘテロアリール基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成する炭素原子の数は3〜30が好ましく、3〜18がより好ましく、3〜12がさらに好ましい。
(式(W)で表される基)
次に、式(W)で表される基について説明する。
−S1−L1−T1 ・・・(W)
式(W)において、S1は、単結合、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、
1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONRL1−、−NRL1CO−、−SO2−、−ORL2−、または、これらを組み合わせてなる基を表し、RL1は、水素原子またはアルキル基を表し、RL2は、アルキレン基を表し、
1は、アルキル基、シアノ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基、ホスホリル基、ボリル基、ビニル基、エチニル基、アリール基、ヘテロアリール基、トリアルキルシリル基またはトリアルコキシシリル基を表し、
1が単結合で、L1がアルキレン基で、T1がアルキル基の場合は、L1とT1に含まれる炭素数の総和が13以上であり、
1がアリーレン基の場合は、L1とT1に含まれる炭素数の総和が5以上である。
式(W)において、S1は、単結合、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、ホウ素原子との結合の安定性の観点から、アリーレン基またはヘテロアリーレン基が好ましく、アリーレン基がより好ましい。
アリーレン基は、単環であっても多環であってもよいが、単環が好ましい。アリーレン基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜12がより好ましい。
ヘテロアリール基は、単環であっても多環であってもよいが、単環が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子またはセレン原子が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成する炭素原子の数は3〜30が好ましく、3〜18がより好ましく、3〜12がさらに好ましい。
1が表す、アリーレン基およびヘテロアリーレン基の具体例としては、以下に示す構造が挙げられる。
Figure 0006647381
式中、波線部分は一般式(1)のホウ素原子との結合位置を表し、*は、L1との結合位置を表し、R’は置換基を表し、RNは、水素原子またはアルキル基を表し、mは0以上の整数を表す。
R’が表す置換基としては、後述するR6〜R8で説明する置換基が挙げられる。
Nが表すアルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜4が更に好ましく、1〜2が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐のいずれでもよい。
mは0以上の整数を表す。mの上限は、各基の最大置換数である。mは、0が好ましい。
式(W)において、L1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONRL1−、−NRL1CO−、−SO2−、−ORL2−、または、これらを組み合わせてなる基を表し、RL1は、水素原子またはアルキル基を表し、RL2は、アルキレン基を表す。
式(W)において、L1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−COO−、−OCO−、−CONRL1−、−SO2−、−ORL2−、または、これらを組み合わせてなる基が好ましく、柔軟性および溶剤溶解性の観点から、アルキレン基、アルケニレン基、−O−、−ORL2−、または、これらを組み合わせてなる基がより好ましく、アルキレン基、アルケニレン基、−O−、または−ORL2−がさらに好ましく、アルキレン基、−O−、または−ORL2−が一層好ましい。
1が表すアルキレン基の炭素数は、1〜40が好ましい。下限は、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、10以上が一層好ましく、13以上が特に好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。アルキレン基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、分岐が特に好ましい。分岐数は、例えば、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。分岐数が上記範囲であれば、溶剤溶解性が良好である。
1が表すアルケニレン基およびアルキニレン基の炭素数は、2〜40が好ましい。下限は、例えば、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、8以上が一層好ましく、10以上が特に好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。アルケニレン基およびアルキニレン基は直鎖、分岐のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、分岐が特に好ましい。分岐数は、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。分岐数が上記範囲であれば、溶剤溶解性が良好である。
L1は、水素原子またはアルキル基を表し、水素原子が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜4が更に好ましく、1〜2が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐のいずれでもよい。
L2は、アルキレン基を表す。RL2が表すアルキレン基は、L1で説明したアルキレン基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(W)において、T1は、アルキル基、シアノ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基、ホスホリル基、ボリル基、ビニル基、エチニル基、アリール基、ヘテロアリール基、トリアルキルシリル基またはトリアルコキシシリル基を表す。
アルキル基、トリアルキルシリル基およびトリアルコキシシリル基が有するアルキル基の炭素数は、1〜40が好ましい。下限は、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、10以上が一層好ましく、13以上が特に好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましい。
アリール基およびヘテロアリール基は、R1およびR2で説明したアリール基およびヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(W)において、S1が単結合で、L1がアルキレン基で、T1がアルキル基の場合は、L1とT1に含まれる炭素数の総和は、13以上であり、溶剤溶解性の観点から21以上が好ましい。上限は、例えば40以下が好ましく、35以下がより好ましい。
また、S1がアリーレン基の場合は、L1とT1に含まれる炭素数の総和は、5以上であり、溶剤溶解性の観点から9以上が好ましく、10以上がより好ましい。上限は、例えば40以下が好ましく、35以下がより好ましい。
本発明において、式(W)の好ましい態様としては、S1がアリーレン基またはヘテロアリーレン基であり、L1がアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−COO−、−OCO−、−CONRL1−、−SO2−、−ORL2−、または、これらを組み合わせてなる基であり、T1がアルキル基またはトリアルキルシリル基である組み合わせが挙げられる。S1は、アリーレン基がより好ましい。L1は、アルキレン基、アルケニレン基、−O−、−ORL2−、または、これらを組み合わせてなる基がより好ましく、アルキレン基、アルケニレン基、−O−または−ORL2−がさらに好ましく、アルキレン基、−O−、または−ORL2−が特に好ましい。T1はアルキル基がより好ましい。
式(W)において、−L1−T1部分は、分岐アルキル構造を含むことが好ましい。具体的には、−L1−T1部分は、分岐のアルキル基または分岐のアルコキシ基であることが特に好ましい。−L1−T1部分の分岐数は、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。−L1−T1部分の炭素数は、5以上が好ましく、9以上がより好ましく、10以上がさらに好ましい。上限は、例えば40以下が好ましく、35以下がより好ましい。
式(W)において、−L1−T1部分は、不斉炭素を含むことが好ましい。この態様によれば、化合物(1)が複数の光学異性体を含むことができ、その結果、化合物(1)の溶剤溶解性をさらに向上させることができる。不斉炭素の数は1個以上が好ましい。不斉炭素の上限は特に限定はないが、例えば4以下が好ましい。
式(W)で表される基の具体例としては、例えば以下が挙げられる。以下の構造式中、Aは、一般式(1)のホウ素原子との連結部である。以下の構造式において、*は不斉炭素を表し、波線は、2種の立体配置のメチル基を表し、構造式はラセミ体となる。
Figure 0006647381
Figure 0006647381
Figure 0006647381
一般式(1)において、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または、アルキル基を表す。R3とR4は、同一であってもよく、異なっていてもよい。本発明では、R3とR4が同一であることが好ましい。
3およびR4が表すアルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜4が更に好ましく、1〜2が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐のいずれでもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基またはエチル基であることが好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
一般式(1)において、X1およびX2は、それぞれ独立に、酸素原子(−O−)、または、−N(R5)−を表す。X1とX2は同一であってもよく、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
5は、水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
5は、水素原子、アルキル基またはアリール基であることが好ましい。R5が表すアルキル基、アリール基およびヘテロアリール基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、後述するR6〜R8で説明する置換基が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜4が更に好ましく、1〜2が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐のいずれでもよい。
アリール基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜12がより好ましい。
ヘテロアリール基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成する炭素原子の数は3〜30が好ましく、3〜18がより好ましく、3〜12がさらに好ましい。
1およびX2は、それぞれ独立に、酸素原子、または、下記のいずれかの構造式で表されることが好ましい。
Figure 0006647381
式中、R5aはアルキル基を表し、R6〜R8は、それぞれ独立に、置換基を表し、aは0〜5の整数を表し、bおよびcはそれぞれ0〜7の整数を表し、*は連結手を表す。
6〜R8が表す、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、−NRa1a2、−CORa3、−COORa4、−OCORa5、−NHCORa6、−CONRa7a8、−NHCONRa9a10、−NHCOORa11、−SO2a12、−SO2ORa13、−NHSO2a14または−SO2NRa15a16が挙げられる。Ra1〜Ra16は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、または、ヘテロアリール基を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましい。
アルケニル基の炭素数は、2〜20が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜8がさらに好ましい。アルケニル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましい。
アルキニル基の炭素数は、2〜40が好ましく、2〜30がより好ましく、2〜25がさらに好ましい。アルキニル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましい。
アリール基の炭素数は、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましく、6〜12が更に好ましい。
アリーロキシ基およびアリールチオ基が有するアリール基は、上述したものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
アラルキル基の炭素数は、7〜40が好ましく、7〜30がより好ましく、7〜25が更に好ましい。
ヘテロアリール基は、単環または縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜8の縮合環がより好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がさらに好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。ヘテロアリール基は、5員環または6員環が好ましい。
ヘテロアリーロキシ基およびヘテロアリールチオ基が有するヘテロアリール基は、上述したものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
一般式(1)において、Y1〜Y4は、それぞれ独立に、置換基を表す。
置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、−NRa1a2、−CORa3、−COORa4、−OCORa5、−NHCORa6、−CONRa7a8、−NHCONRa9a10、−NHCOORa11、−SO2a12、−SO2ORa13、−NHSO2a14または−SO2NRa15a16が挙げられる。Ra1〜Ra16は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、または、ヘテロアリール基を表す。
置換基の詳細については、R6〜R8で説明したものが挙げられる。
1とY2、および、Y3とY4は、互いに結合して環構造を形成していてもよい。例えば、Y1とY2とが互いに結合して、Y1及びY2に直結しているナフタレン環と併せて、例えば、アセナフテン環、アセナフチレン環等の3環等となっていてもよい。
1〜Y4は、それぞれ複数有する場合は、互いに結合して環構造を形成していてもよい。例えば、Y1が複数存在する場合、Y1同士が互いに結合し、Y1およびY2に直結しているナフタレン環と併せて、例えば、アントラセン環、フェナントレン環等の3環等となっていてもよい。なお、Y1同士が互いに結合して環構造を形成する場合、Y1以外の置換基であるY2〜Y4は必ずしも複数存在する必要はない。また、Y2〜Y4は存在しなくてもよい。Y2同士、Y3同士およびY4同士が結合して環構造を形成する場合も同様である。
pおよびsは、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、好ましくはそれぞれ0〜1であり、特に好ましくは0である。
qおよびrは、それぞれ独立に0〜2の整数を表し、好ましくはそれぞれ0〜1であり、特に好ましくは0である。
なお、一般式(1)においてカチオンは、以下のように非局在化して存在している。
Figure 0006647381
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。以下の式中、波線は、2種の立体配置のメチル基を表し、構造式はラセミ体となる。*は不斉炭素を表す。
Figure 0006647381
Figure 0006647381
Figure 0006647381
一般式(1)で表される化合物の分子量は、500〜3,000であることが好ましく、700〜2,000がより好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、波長700〜1200nmに極大吸収波長を有することが好ましく、750〜1000nmに極大吸収波長を有することがより好ましい。
本発明において、極大吸収波長の値は、一般式(1)で表される化合物を、テトラヒドロフランに溶解させて1g/Lの濃度の溶液を調製し、化合物を溶解させた溶液の吸収スペクトルを、島津製作所製UV−1800を用いて、350nm〜1200nmの波長範囲で測定したスペクトルから得られるものである。
また、一般式(1)で表される化合物のモル吸光係数は限定されないが、好ましく5000〜250000であり、より好ましくは50000〜200000である。
一般式(1)で表される化合物は透明であることが好ましいが、わずかに緑色、灰色、茶色等の着色があってもよい。
本発明の近赤外線吸収組成物は、一般式(1)で表される化合物を、近赤外線吸収組成物の全固形分に対して、5〜90質量%含有することが好ましい。下限は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。上限は、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
<樹脂>
本発明の近赤外線吸収組成物は樹脂を含む。樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜2,000,000であることが好ましい。上限は、1,000,000以下がより好ましく、500,000以下がさらに好ましい。下限は、3,000以上がより好ましく、5,000以上がさらに好ましい。
また、エポキシ樹脂の場合、エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、100以上が好ましく、200〜2,000,000がより好ましい。上限は、1,000,000以下がより好ましく、500,000以下がさらに好ましい。下限は、100以上が好ましく、200以上がより好ましい。
樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリパラフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。これらの樹脂から1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
なかでも、化合物(1)の樹脂に対する溶解性、および、可視透明性の観点から、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびエポキシ樹脂が好ましく、アクリル樹脂がより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸およびそのエステルのうちの少なくとも1つに由来する構成単位を含む重合体が挙げられる。具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミドおよび(メタ)アクリロニトリルから選ばれる少なくとも1種を重合して得られる重合体が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、ポリオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)と、多塩基酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの芳香核の水素原子がメチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、及びシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸など)との反応により得られるポリマーや、カプロラクトンモノマー等の環状エステル化合物の開環重合により得られるポリマー(例えばポリカプロラクトン)が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等を挙げることができる。市販品としては、例えば、以下のものが挙げられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、JER827、JER828、JER834、JER1001、JER1002、JER1003、JER1055、JER1007、JER1009、JER1010(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON860、EPICLON1050、EPICLON1051、EPICLON1055(以上、DIC(株)製)等が挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、JER806、JER807、JER4004、JER4005、JER4007、JER4010(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON830、EPICLON835(以上、DIC(株)製)、LCE−21、RE−602S(以上、日本化薬(株)製)等が挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、JER152、JER154、JER157S70、JER157S65(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON N−740、EPICLON N−770、EPICLON N−775(以上、DIC(株)製)等が挙げられる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、EPICLON N−660、EPICLON N−665、EPICLON N−670、EPICLON N−673、EPICLON N−680、EPICLON N−690、EPICLON N−695(以上、DIC(株)製)、EOCN−1020(以上、日本化薬(株)製)等が挙げられる。
脂肪族エポキシ樹脂としては、ADEKA RESIN EP−4080S、同EP−4085S、同EP−4088S(以上、(株)ADEKA製)、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、EHPE3150、EPOLEAD PB 3600、同PB 4700(以上、ダイセル化学工業(株)製)、デナコール EX−212L、EX−214L、EX−216L、EX−321L、EX−850L(以上、ナガセケムテックス(株)製)等が挙げられる。
その他にも、ADEKA RESIN EP−4000S、同EP−4003S、同EP−4010S、同EP−4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC−2000、NC−3000、NC−7300、XD−1000、EPPN−501、EPPN−502(以上、(株)ADEKA製)、JER1031S(三菱化学(株)製)等が挙げられる。
また、樹脂は、アルカリ可溶性を促進する基(以下、酸基ともいう)を有していてもよい。酸基としては、例えば、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール性ヒドロキシ基などが挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。なお、アルカリ可溶性を促進する基を有する樹脂は、アルカリ可溶性樹脂ともいう。
アルカリ可溶性樹脂としては、側鎖にカルボキシ基を有するポリマーが好ましく、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、ノボラック型樹脂などのアルカリ可溶性フェノール樹脂等、並びに側鎖にカルボキシ基を有する酸性セルロース誘導体、ヒドロキシ基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等が挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が、アルカリ可溶性樹脂として好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートおよびアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等、ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等が挙げられる。また、他のモノマーとして、特開平10−300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマーである、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を用いることもできる。なお、これらの(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーは1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
アルカリ可溶性樹脂として、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体を好ましく用いることができる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを共重合したもの、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体なども好ましく用いることができる。
アルカリ可溶性樹脂は、下記一般式(ED1)で示される化合物および下記一般式(ED2)で表される化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)のうちの少なくとも1つを含むモノマー成分を重合してなるポリマー(a)を含むことも好ましい。
Figure 0006647381
一般式(ED1)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を表す。
Figure 0006647381
一般式(ED2)中、Rは、水素原子または炭素数1〜30の有機基を表す。一般式(ED2)の具体例としては、特開2010−168539号公報の記載を参酌できる。
一般式(ED1)中、R1およびR2で表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、tert−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、tert−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい1級または2級炭素の置換基が、耐熱性の点で好ましい。
エーテルダイマーの具体例としては、例えば、特開2013−29760号公報の段落番号0317を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。エーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
アルカリ可溶性樹脂は、下記式(X)で示される化合物に由来する構成単位を含んでいてもよい。
Figure 0006647381
式(X)において、R1は、水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素数2〜10のアルキレン基を表し、R3は、水素原子またはベンゼン環を含んでもよい炭素数1〜20のアルキル基を表す。nは1〜15の整数を表す。
上記式(X)において、R2のアルキレン基の炭素数は、2〜3が好ましい。また、R3のアルキル基の炭素数は1〜20であるが、好ましくは1〜10であり、R3のアルキル基はベンゼン環を含んでもよい。R3で表されるベンゼン環を含むアルキル基としては、ベンジル基、2−フェニル(イソ)プロピル基等を挙げることができる。
アルカリ可溶性樹脂としては、特開2012−208494号公報の段落番号0558〜0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0685]〜[0700])の記載、特開2012−198408号公報の段落番号0076〜0099の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
アルカリ可溶性樹脂の酸価は、30〜200mgKOH/gであることが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上がより好ましく、70mgKOH/g以上がさらに好ましい。上限は、150mgKOH/g以下がより好ましく、120mgKOH/g以下がさらに好ましい。
また、樹脂は、重合性基を有していてもよい。樹脂が重合性基を有することで、後述する硬化性化合物を使用しなくても、硬度のある膜を形成することができる。
重合性基としては、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。重合性基を含有する樹脂としては、ダイヤナ−ルNRシリーズ(三菱レイヨン株式会社製)、Photomer6173(COOH含有ポリウレタンアクリル酸オリゴマー、Diamond Shamrock Co.,Ltd.製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ(例えば、ACA230AA)、プラクセル CF200シリーズ(いずれもダイセル化学工業株式会社製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー株式会社製)、アクリキュアーRD−F8(日本触媒社製)などが挙げられる。また、上述したエポキシ樹脂なども挙げられる。
本発明の近赤外線吸収組成物において、樹脂の含有量は、近赤外線吸収組成物の全固形分に対し、1〜80質量%であることが好ましい。下限は、5質量%以上がより好ましく、7質量%以上がさらに好ましい。上限は、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
<<硬化性化合物>>
本発明の近赤外線吸収組成物は、硬化性化合物を含有してもよい。硬化性化合物としては、重合性基を有する化合物(以下、「重合性化合物」ということがある)が好ましい。
重合性化合物は、例えば、エチレン性不飽和結合を有する基、環状エーテル(エポキシ、オキセタン)基、メチロール基等を含む化合物が挙げられ、エチレン性不飽和結合を有する基を含む化合物が好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
重合性化合物は、単官能であっても多官能であってもよいが、好ましくは、多官能である。多官能化合物を含むことにより、近赤外線遮蔽性および耐熱性をより向上させることができる。官能基の数は特に限定されないが、2〜8官能が好ましく、3〜6官能がより好ましい。
重合性化合物は、例えば、モノマー、プレポリマー、オリゴマー、およびそれらの混合物、並びにそれらの多量体などの化学的形態のいずれであってもよい。重合性化合物としては、モノマーが好ましい。
重合性化合物は、3〜15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3〜6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。
硬化性化合物は、エチレン性不飽和結合を有する基を含む化合物であることが好ましい。
エチレン性不飽和結合を有する基を含む化合物の例としては、特開2013−253224号公報の段落番号0033〜0034の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
具体例としては、エチレンオキシ変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはNKエステルATM−35E;新中村化学工業社製)、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては KAYARAD D−330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては KAYARAD D−320;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D−310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD DPHA ;日本化薬株式会社製、A−DPH−12E;新中村化学工業社製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介して結合している構造を含む化合物が好ましい。またこれらのオリゴマータイプも使用できる。
また、特開2013−253224号公報の段落番号0034〜0038の重合性化合物の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
また、特開2012−208494号公報の段落番号0477(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0585])に記載の重合性モノマー等が具体例として挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
エチレン性不飽和結合を有する基を含む化合物としては、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としては M−460;東亞合成製)が好ましい。ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業社製、A−TMMT)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬社製、KAYARAD HDDA)も好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。例えば、RP−1040(日本化薬株式会社製)などが挙げられる。
エチレン性不飽和結合を有する基を含む化合物は、さらに、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を有していてもよい。
酸基を有する化合物としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが挙げられる。脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシ基に、非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、特に好ましくは、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトールのうちの少なくとも1つである化合物である。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーである、アロニックスシリーズのM−305、M−510、M−520などが挙げられる。
酸基を有する化合物の酸価は、0.1〜40mgKOH/gであることが好ましい。下限は、5mgKOH/g以上がより好ましい。上限は、30mgKOH/g以下がより好ましい。
硬化性化合物は、カプロラクトン構造を有する化合物も好ましい態様である。
カプロラクトン構造を有する化合物としては、特開2013−253224号公報の段落番号0042〜0045の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、日本化薬株式会社製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA−60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330などが挙げられる。
本発明の近赤外線吸収組成物が硬化性化合物を含有する場合、硬化性化合物の含有量は、近赤外線吸収組成物の全固形分に対し、1〜90質量%が好ましい。下限は、15質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。上限は、80質量%以下よりが好ましく、75質量%以下がさらに好ましい。
硬化性化合物は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<光重合開始剤>>
本発明の近赤外線吸収組成物は、光重合開始剤を含有してもよい。
光重合開始剤の含有量は、近赤外線吸収組成物の全固形分に対し、0.01〜30質量%であることが好ましい。下限は、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましい。上限は、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
光重合開始剤は、1種類のみでも、2種類以上でもよく、2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
光重合開始剤としては、光により硬化性化合物の重合を開始させる能力を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。中でも、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有するものが好ましい。
光重合開始剤としては、芳香族基を有する化合物であることが好ましく、例えば、アシルホスフィン化合物、アセトフェノン系化合物、α−アミノケトン化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、チオキサントン化合物、オキシム化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、トリハロメチル化合物、アゾ化合物、有機過酸化物、ジアゾニウム化合物、ヨードニウム化合物、スルホニウム化合物、アジニウム化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、メタロセン化合物等のオニウム塩化合物、有機硼素塩化合物、ジスルホン化合物、チオール化合物などが挙げられる。
光重合開始剤としては、特開2013−253224号公報の段落番号0217〜0228の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
オキシム化合物としては、市販品であるIRGACURE−OXE01、および、IRGACURE−OXE02(いずれもBASF社製)、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司社製)、アデカアークルズNCI−831、および、アデカアークルズNCI−930(いずれもADEKA社製)等を用いることができる。
アセトフェノン系化合物としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、および、IRGACURE−379(いずれもBASF社製)を用いることができる。またアシルホスフィン化合物としては市販品であるIRGACURE−819、および、DAROCUR−TPO(いずれもBASF社製)を用いることができる。
本発明は、光重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010−262028号公報に記載の化合物、特表2014−500852号公報に記載の化合物24、36〜40、特開2013−164471号公報に記載の化合物(C−3)などが挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれることとする。
<<溶剤>>
本発明の近赤外線吸収組成物は溶剤を含有してもよい。溶剤は、特に制限はなく、本発明の近赤外線吸収組成物の各成分を均一に溶解または分散しうるものであれば、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、水、有機溶剤を用いることができ、有機溶剤が好ましい。
有機溶剤としては、例えば、アルコール類(例えばメタノール)、ケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、およびジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホラン等が好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上の溶剤を併用する場合、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液が好ましい。
アルコール類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類の具体例としては、特開2012−194534号公報の段落番号0136等に記載のものが挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。また、エステル類、ケトン類、エーテル類の具体例としては、特開2012−208494号公報の段落番号0497(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0609])に記載のものが挙げられ、さらに、酢酸−n−アミル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、硫酸メチル、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
本発明の近赤外線吸収組成物中における溶剤の量は、一般式(1)で表される化合物の固形分が10〜90質量%となる量が好ましい。下限は、20質量%以上がより好ましい。上限は、80質量%以下がより好ましい。
<<界面活性剤>>
本発明の近赤外線吸収組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。界面活性剤の含有量は、本発明の近赤外線吸収組成物の全固形分に対して、0.0001〜5質量%であることが好ましい。下限は、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましい。上限は、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。本発明の近赤外線吸収組成物は、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤の少なくとも一方を含有することが好ましい。界面活性剤により、被塗布面と塗布液との界面張力が低下して、被塗布面への濡れ性が改善される。このため、組成物の液特性(特に、流動性)が向上し、塗布厚の均一性や省液性がより改善する。その結果、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜を形成することができる。
フッ素系界面活性剤のフッ素含有率は、3〜40質量%が好ましい。下限は、5質量%以上がより好ましく、7質量%以上が更に好ましい。上限は、30質量以下%がより好ましく、25質量%以下が更に好ましい。フッ素含有率が上述した範囲内である場合は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤として具体的には、特開2014−41318号公報の段落番号0060〜0064(対応する国際公開WO2014/17669号パンフレットの段落番号0060〜0064)等に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファック F−171、同F−172、同F−173、同F−176、同F−177、同F−141、同F−142、同F−143、同F−144、同R30、同F−437、同F−475、同F−479、同F−482、同F−554、同F−780(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−1068、同SC−381、同SC−383、同S−393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)等が挙げられる。
また、下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
Figure 0006647381
上記の化合物の重量平均分子量は、例えば、14,000である。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、特開2012−208494号公報の段落番号0553(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0679])等に記載のノニオン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、特開2012−208494号公報の段落番号0554(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0680])等に記載のカチオン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、特開2012−208494号公報の段落番号0556(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0682])等に記載のシリコーン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
<<重合禁止剤>>
本発明の近赤外線吸収組成物は、製造中又は保存中において、硬化性化合物の不要な反応を阻止するために、少量の重合禁止剤を含有してもよい。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、パラメトキシフェノール、ジ−t−ブチル−パラクレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられ、パラメトキシフェノールが好ましい。
本発明の近赤外線吸収組成物が重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の含有量は、本発明の近赤外線吸収組成物の全固形分に対して、0.01〜5質量%であることが好ましい。
<<紫外線吸収剤>>
本発明の近赤外線吸収組成物は、紫外線吸収剤を含有してもよい。
紫外線吸収剤は、波長365nmにおける1g当りの吸光係数が100超であってかつ波長400nm以上における1g当りの吸光係数が10以下である化合物である。なお、吸光係数は、紫外可視分光光度計(Varian社製、Cary−5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用いて0.01g/Lの濃度で測定される値である。
紫外線吸収剤としては、特開2012−068418公報の段落番号0137〜0142(対応する米国特許出願公開第2012/0068292号明細書の段落番号0251〜0254)の化合物を使用することができ、これらの内容が援用でき、本明細書に組み込まれる。市販品としては、例えば、UV503(大東化学株式会社)などが挙げられる。
本発明の近赤外線吸収組成物は、紫外線吸収剤を含んでも含まなくてもよいが、含む場合、紫外線吸収剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましい。
本発明においては、紫外線吸収剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
<<他の近赤外線吸収物質>>
本発明の近赤外線吸収組成物は、一般式(1)で表される化合物の極大吸収波長とは異なる近赤外線領域に極大吸収波長を有する近赤外線吸収物質(以下、他の近赤外線吸収物質ともいう)をさらに含んでもよい。この態様によれば、一般式(1)で表される化合物のみよりも、更に広い波長領域の近赤外線領域の光を吸収可能な、近赤外線カットフィルタを得ることができる。
他の近赤外線吸収物質としては、例えば、銅化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、イミニウム系化合物、チオール錯体系化合物、遷移金属酸化物系化合物、スクアリリウム系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クアテリレン系化合物、ジチオール金属錯体系化合物、クロコニウム系化合物等が挙げられる。
フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、イミニウム系化合物、シアニン系化合物、スクアリリウム系化合物及びクロコニウム系化合物は、特開2010−111750号公報の段落番号0010〜0081に記載の化合物を使用してもよく、この内容は本明細書に組み込まれる。シアニン系化合物については、例えば、「機能性色素、大河原信/松岡賢/北尾悌次郎/平嶋恒亮・著、講談社サイエンティフィック」を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
銅化合物としては、特開2014−41318号公報の段落番号0013〜0056、特開2014−32380号公報の段落番号0012〜0030に記載の銅化合物を使用してもよく、この内容は本明細書に組み込まれる。
また、特開平07−164729号公報の段落番号0004〜0016に開示の化合物や、特開2002−146254号公報の段落番号0027〜0062に開示の化合物、特開2011−164583号公報の段落番号0034〜0067に開示のCuおよびPのうちの少なくとも一方を含む酸化物の結晶子からなり数平均凝集粒子径が5〜200nmである近赤外線吸収粒子を使用してもよく、この内容は本明細書に組み込まれる。
また、市販品としては、Exiton製「IRA842」、山田化学製「FD−25」などを使用することもできる。
他の近赤外線吸収物質を含有する場合、他の近赤外線吸収物質の含有量は、本発明の組成物の全固形分に対して、0.01〜50質量%であることが好ましく、0.01〜45質量%であることがより好ましい。本発明においては、他の近赤外線吸収物質は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
<<その他の成分>>
本発明の近赤外線吸収組成物で併用可能なその他の成分としては、例えば、増感剤、架橋剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤およびその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。
これらの成分を適宜含有させることにより、目的とする近赤外線カットフィルタの安定性、膜物性などの性質を調整することができる。
これらの成分は、例えば、特開2012−003225号公報の段落番号0183〜0228(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の[0237]〜[0309])、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0104、段落番号0107〜0109、特開2013−195480号公報の段落番号0159〜0184等の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
<組成物の調製および用途>
本発明の近赤外線吸収組成物は、上記各成分を混合して調製することができる。
組成物の調製に際しては、組成物を構成する各成分を一括配合してもよいし、各成分を有機溶剤に溶解または分散した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。
本発明においては、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、組成物をフィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等で構成されたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.1〜7.0μmであることが好ましく、0.2〜2.5μmがより好ましく、0.2〜1.5μmが更に好ましく、0.3〜0.7μmが一層好ましい。この範囲とすることにより、ろ過詰まりを抑えつつ、組成物に含まれる不純物や凝集物など、微細な異物を確実に除去することが可能となる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせても良い。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上フィルタリングを行う場合は1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が同じ、もしくは大きい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。第2のフィルタの孔径は、0.2〜10.0μmであることが好ましく、0.2〜7.0μmがより好ましく、0.3〜6.0μmが更に好ましい。この範囲とすることにより、組成物に含有されている成分粒子を残存させたまま、異物を除去することができる。
本発明の近赤外線吸収組成物の粘度は、例えば、塗布により近赤外線カットフィルタを形成する場合、1〜3000mPa・sの範囲にあることが好ましい。下限は、10mPa・s以上がより好ましく、100mPa・s以上がさらに好ましい。上限は、2000mPa・s以下がより好ましく、1500mPa・s以下がさらに好ましい。
本発明の近赤外線吸収組成物は、固体撮像素子の受光側における近赤外線カットフィルタ(例えば、ウエハーレベルレンズに対する近赤外線カットフィルタなど)、固体撮像素子の裏面側(受光側とは反対側)における近赤外線カットフィルタなどに用いることもできる。また、本発明の近赤外線吸収組成物を、イメージセンサ上に直接塗布し塗膜形成して用いてもよい。
本発明の近赤外線吸収組成物は、塗布可能な状態で供給できることから、固体撮像素子の所望の部材や位置に近赤外線カットフィルタを容易に形成することができる。
本発明の近赤外線吸収組成物は、例えば、(i)特定の近赤外線領域の光を吸収可能な近赤外線カットフィルタ用途、(ii)一般式(1)で表される化合物のみよりも、更に広い波長領域の近赤外線領域の光を吸収可能な近赤外線カットフィルタ用途等に用いることができる。
上記(i)の近赤外線カットフィルタ用途に用いる場合、本発明の近赤外線吸収組成物は、一般式(1)で表される化合物を含有し、かつ、一般式(1)で表される化合物の極大吸収波長とは異なる近赤外線領域に極大吸収波長を有する近赤外線吸収物質を実質的に含まないことが好ましい。ここで、実質的に含まないとは、含有量が一般式(1)で表される化合物の1質量%以下であることをいう。
上記(ii)の近赤外線カットフィルタ用途に用いる場合、本発明の近赤外線吸収組成物は、一般式(1)で表される化合物に加えて、一般式(1)で表される化合物が有する極大吸収波長とは異なる近赤外線領域に極大吸収波長を有する赤外線吸収物質を含むことが好ましい。
<硬化膜、近赤外線カットフィルタ>
本発明の硬化膜および近赤外線カットフィルタは、上述した本発明の近赤外線吸収組成物を用いてなるものである。
本発明の近赤外線カットフィルタは、光透過率が以下の(1)〜(4)のうちの少なくとも1つの条件を満たすことが好ましく、(1)〜(4)のすべての条件を満たすことがより好ましい。
(1)波長400nmでの光透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、85%以上がさらに好ましく、90%以上が特に好ましい。
(2)波長500nmでの光透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(3)波長600nmでの光透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(4)波長650nmでの光透過率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
本発明の近赤外線カットフィルタの膜厚は、目的に応じて適宜選択することができる。膜厚は、300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、100μ、以下が更に好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。
本発明の近赤外線カットフィルタは、膜厚200μm以下で、波長400〜650nmの全ての範囲での光透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。また、波長750〜830nmの範囲の少なくとも1点での光透過率が20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
<近赤外線カットフィルタの用途>
本発明の近赤外線カットフィルタは、近赤外線を吸収およびカットする機能を有するレンズ(デジタルカメラや携帯電話や車載カメラ等のカメラ用レンズ、f−θレンズ、ピックアップレンズ等の光学レンズ)および半導体受光素子用の光学フィルタ、省エネルギー用に熱線を遮断する近赤外線吸収フィルムや近赤外線吸収板、太陽光の選択的な利用を目的とする農業用コーティング剤、近赤外線の吸収熱を利用する記録媒体、電子機器用や写真用近赤外線カットフィルタ、保護めがね、サングラス、熱線遮蔽フィルム、光学文字読み取り記録、機密文書複写防止用、電子写真感光体、レーザー溶着などに用いられる。またCCDカメラ用ノイズカットフィルター、CMOSイメージセンサ用フィルタとしても有用である。
<硬化膜および近赤外線カットフィルタの製造方法>
本発明の硬化膜および近赤外線カットフィルタは、本発明の近赤外線吸収組成物を用いて得られる。具体的には、本発明の近赤外線吸収組成物を支持体に適用することにより膜を形成する工程、膜を乾燥する工程を経て製造することができる。膜厚、積層構造などについては、目的に応じて適宜選択することができる。また、更にパターンを形成する工程を行ってもよい。
膜を形成する工程は、例えば、本発明の近赤外線吸収組成物を、支持体に滴下法(ドロップキャスト)、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、スクリーン印刷、アプリケータ塗布等を用いることにより実施できる。滴下法(ドロップキャスト)の場合、所定の膜厚で、均一な膜が得られるように、支持体上にフォトレジストを隔壁とする組成物の滴下領域を形成することが好ましい。
支持体は、ガラスなどからなる透明基板であってもよい。また、固体撮像素子であってもよい。また、固体撮像素子の受光側に設けられた別の基板であってもよい。また、固体撮像素子の受光側に設けられた平坦化層等の層であっても良い。
膜を乾燥する工程において、乾燥条件としては、各成分、溶剤の種類、使用割合等によっても異なるが、60℃〜150℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
パターンを形成する工程としては、例えば、本発明の近赤外線吸収組成物を支持体上に適用して膜状の組成物層を形成する工程と、組成物層をパターン状に露光する工程と、未露光部を現像除去してパターンを形成する工程とを含む方法などが挙げられる。パターンを形成する工程としては、フォトリソグラフィ法でパターンを形成してもよいし、ドライエッチング法でパターンを形成してもよい。
近赤外線カットフィルタの製造方法は、その他の工程を含んでいても良い。その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、基材の表面処理工程、前加熱工程(プリベーク工程)、硬化処理工程、後加熱工程(ポストベーク工程)などが挙げられる。
<<前加熱工程・後加熱工程>>
前加熱工程および後加熱工程における加熱温度は、80〜200℃であることが好ましい。上限は150℃以下がより好ましい。下限は90℃以上がより好ましい。
前加熱工程および後加熱工程における加熱時間は、30〜240秒であることが好ましい。上限は180秒以下がより好ましい。下限は60秒以上がより好ましい。
<<硬化処理工程>>
硬化処理工程は、必要に応じ、形成された上記膜に対して硬化処理を行う工程であり、この処理を行うことにより、近赤外線カットフィルタの機械的強度が向上する。
上記硬化処理工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。本発明において「露光」とは、各種波長の光の照射のみならず、電子線、X線などの放射線照射をも包含する意味で用いられる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、電子線、KrF、ArF、g線、h線、i線等の紫外線や可視光が好ましく用いられる。
露光方式としては、ステッパー露光や、高圧水銀灯を用いた露光などが挙げられる。
露光量は5〜3000mJ/cm2であることが好ましい。上限は、2000mJ/cm2以下がより好ましく、1000mJ/cm2以下がさらに好ましい。下限は、10mJ/cm2以上がより好ましく、50mJ/cm2以上がさらに好ましい。
全面露光処理の方法としては、例えば、形成された上記膜の全面を露光する方法が挙げられる。本発明の近赤外線吸収組成物が重合性化合物を含有する場合、全面露光により、膜中の重合成分の硬化が促進され、膜の硬化が更に進行し、機械的強度、耐久性が改良される。
全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などの紫外線(UV)露光機が好適に挙げられる。
全面加熱処理の方法としては、形成された上記膜の全面を加熱する方法が挙げられる。全面加熱により、パターンの膜強度が高められる。
全面加熱における加熱温度は、100〜260℃が好ましい。下限は120℃以上がより好ましく、160℃以上がさらに好ましい。上限は240℃以下がより好ましく、220℃以下がさらに好ましい。加熱温度が上記範囲であれば、強度に優れた膜が得られやすい。
全面加熱における加熱時間は、1〜180分が好ましい。下限は3分以上がより好ましく、5分以上がさらに好ましい。上限は120分以下がより好ましい。
全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、赤外線ヒーターなどが挙げられる。
<固体撮像素子、赤外線センサ>
本発明の固体撮像素子は、本発明の近赤外線吸収組成物を用いてなる硬化膜を含む。
また、本発明の赤外線センサは、本発明の近赤外線吸収組成物を用いてなる硬化膜を含む。
以下、本発明の赤外線センサの一実施形態について、図1を用いて説明する。
図1に示す赤外線センサ100において、符号110は、固体撮像素子である。
固体撮像素子110上に設けられている撮像領域は、近赤外線カットフィルタ111とカラーフィルタ112を有する。近赤外線カットフィルタ111は、例えば、本発明の近赤外線吸収組成物を用いて形成できる。
赤外線透過フィルタ113と固体撮像素子110との間には領域114が設けられている。領域114には、赤外線透過フィルタ113を透過した波長の光が透過可能な樹脂層(例えば、透明樹脂層など)が配置されている。図1に示す実施形態では、領域114に樹脂層が配置されているが、領域114に赤外線透過フィルタ113を形成してもよい。すなわち、固体撮像素子110上に、赤外線透過フィルタ113を形成してもよい。
カラーフィルタ112および赤外線透過フィルタ113の入射光hν側には、マイクロレンズ115が配置されている。マイクロレンズ115を覆うように平坦化層116が形成されている。
また、図1に示す実施形態では、カラーフィルタ112の膜厚と、赤外線透過フィルタ113の膜厚が同一であるが、両者の膜厚は異なっていてもよい。
また、図1に示す実施形態では、カラーフィルタ112が、近赤外線カットフィルタ111よりも入射光hν側に設けられているが、近赤外線カットフィルタ111と、カラーフィルタ112との順序を入れ替えて、近赤外線カットフィルタ111を、カラーフィルタ112よりも入射光hν側に設けてもよい。
また、図1に示す実施形態では、近赤外線カットフィルタ111とカラーフィルタ112は隣接して積層しているが、両フィルタは必ずしも隣接している必要はなく、間に他の層が設けられていても良い。
<<近赤外線カットフィルタ111>>
近赤外線カットフィルタ111は、後述する赤外発光ダイオード(赤外LED)の発光波長によりその特性が選択される。例えば、上述した本発明の近赤外線吸収組成物を用いて形成することができる。
<<カラーフィルタ112>>
カラーフィルタ112は、特に限定はなく、従来公知の画素形成用のカラーフィルタを用いることができ、例えば、特開2014−043556号公報の段落番号0214〜0263の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
<<赤外線透過フィルタ113>>
赤外線透過フィルタ113は、後述する赤外LEDの発光波長によりその特性が選択される。例えば、赤外LEDの発光波長が830nmであることを前提として、以下の説明は行う。
赤外線透過フィルタ113は、波長400〜650nmの範囲において、膜の厚み方向における光透過率の最大値が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましく、0.1%以下であることが特に好ましい。この透過率は、波長400〜650nmの範囲の全域で上記の条件を満たすことが好ましい。波長400〜650nmの範囲における最大値は、通常、0.1%以上である。
赤外線透過フィルタ113は、波長800nm以上(好ましくは800〜1300nm)の範囲において、膜の厚み方向における光透過率の最小値が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、99.9%以上であることが特に好ましい。この透過率は、波長800nm以上の範囲の一部で上記の条件を満たすことが好ましく、後述する赤外LEDの発光波長に対応する波長で上記の条件を満たすことが好ましい。波長900〜1300nmの範囲における光透過率の最小値は、通常、99.9%以下である。
膜厚は、100μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましく、1μm以下が特に好ましい。下限値は、0.1μmが好ましい。膜厚が上記範囲であれば、上述した分光特性を満たす膜とすることができる。
膜の分光特性、膜厚等の測定方法を以下に示す。
膜厚は、膜を有する乾燥後の基板を、触針式表面形状測定器(ULVAC社製 DEKTAK150)を用いて測定した。
膜の分光特性は、紫外可視近赤外分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製 U−4100)を用いて、波長300〜1300nmの範囲において透過率を測定した。
上記光透過率の条件は、どのような手段によって達成されても良いが、例えば、組成物に着色剤を含有させるとともに、着色剤の種類および含有量を調整することにより、上記光透過率の条件を好適に達成することができる。着色剤としては、例えば、波長400〜700nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物などが挙げられる。着色剤は、顔料であってもよく、染料であってもよい。着色剤は、例えば、特開2013−064998号公報の段落番号0019〜0028に記載の着色剤を使用してもよく、この内容は本明細書に組み込まれる。
赤外線透過フィルタ113は、例えば、赤色着色剤、黄色着色剤、青色着色剤、および、紫色着色剤から選ばれる2種以上の着色剤を含有する組成物(赤外線透過組成物)を用いて作製することができる。
着色剤中の顔料の含有量は、着色剤の全量に対して95〜100質量%であることが好ましい。下限は、97質量%以上がより好ましく、99質量%以上が更に好ましい。
着色剤の態様としては、赤色着色剤、黄色着色剤、青色着色剤、および、紫色着色剤から選ばれる2種以上の着色剤を含有することが好ましく、赤色着色剤、黄色着色剤、青色着色剤、および、紫色着色剤を含有することがより好ましい。好ましい具体例としては、C.I.(カラーインデックス)Pigment Red 254と、C.I.Pigment Yellow 139と、C.I.Pigment Blue 15:6と、C.I.Pigment Violet 23とを含有することが好ましい。
赤外線透過組成物に含有される着色剤が、赤色着色剤と、黄色着色剤と、青色着色剤と、紫色着色剤とを組み合わせてなる場合、着色剤全量に対し、赤色着色剤の質量比が0.2〜0.5であり、黄色着色剤の質量比が0.1〜0.2であり、青色着色剤の質量比が0.25〜0.55であり、紫色着色剤の質量比が0.05〜0.15であることが好ましい。また、着色剤全量に対し、赤色着色剤の質量比が0.3〜0.4であり、黄色着色剤の質量比が0.1〜0.2であり、青色着色剤の質量比が0.3〜0.4であり、紫色着色剤の質量比が0.05〜0.15であることがより好ましい。
次に、本発明の赤外線センサを適用した例として撮像装置について説明する。赤外線センサとしては、モーションセンサ、近接センサ、ジェスチャーセンサなどが存在する。
図2は、撮像装置の機能ブロック図である。撮像装置は、レンズ光学系1と、固体撮像素子10と、信号処理部20と、信号切替部30と、制御部40と、信号蓄積部50と、発光制御部60と、赤外光を発光する発光素子の赤外LED70と、画像出力部80および81とを備える。なお、固体撮像素子10としては、上述した赤外線センサ100を用いることができる。また、固体撮像素子10とレンズ光学系1以外の構成は、そのすべて、または、その一部を、同一の半導体基板上に形成することもできる。撮像装置の各構成については、特開2011−233983号公報の段落番号0032〜0036を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
上記撮像装置には、固体撮像素子と上述した近赤外線カットフィルタとを有するカメラモジュールを組み込むことができる。
<化合物>
次に、本発明の化合物について説明する。
本発明の化合物は、本発明の近赤外線吸収組成物にて説明した一般式(1)で表される化合物であり、好適な範囲も上述した範囲と同様である。
本発明の化合物は、溶剤溶解性に優れている。更には、可視透明性および近赤外線遮蔽性にも優れている。
また、式(W)で表される基を有することで、膜を形成した際に膜の柔軟性を向上させることができる。また、式(W)が、長鎖のアルキル構造を含む場合は、溶剤溶解性に優れると共に、耐湿性に優れた化合物とすることもできた。
本発明の化合物は、例えば、プラズマディスプレイパネルや固体撮動素子用の近赤外線カットフィルタ、熱線遮蔽フィルムにおける光学フィルタ、追記型光ディスクやフラッシュ溶融定着材料における光熱変換材料として用いることができる。また、セキュリティインクや、不可視バーコードインクにおける情報表示材料として用いることもできる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<重量平均分子量(Mw)の測定>
重量平均分子量は、以下の方法で測定した。
カラムの種類:TSKgel SuperHZ4000(TOSOH製、4.6mm(内径)×15cm)
展開溶媒:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流量(サンプル注入量):60μL
装置名:東ソー(株)製高速GPC(HLC−8220GPC)
検量線ベース樹脂:ポリスチレン
(合成例)
<化合物SQ−1の合成>
化合物SQ−1は、J. Mater. Chem., 2001, 11, 2801−2807を参考に下記の合成ルートにより合成したボロン酸B−1を使用し、特開2011−208101号公報に記載の方法で合成した。
Figure 0006647381
化合物SQ−1の同定データ: MALDI TOF−MASS(飛行時間型質量分析法)
Calc. for[M+H]+:1159.8, found:1160.0
<化合物SQ−2の合成>
化合物SQ−2は、J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 11462−11467を参考に下記の合成ルートにより合成したボロン酸B−2を使用し、化合物SQ−1の合成と同様の方法で合成した。
Figure 0006647381
化合物SQ−2の同定データ:MALDI TOF−MASS
Calc. for[M+H]+:845.5, found:845.8
<化合物SQ−8の合成>
化合物SQ−8は、Tetrahedron, Volume 19, 1963, 821−826と同様の方法で合成したボロン酸B−3を使用し、化合物SQ−1の合成と同様の方法で合成した。
Figure 0006647381
化合物SQ−8の同定データ: MALDI TOF−MASS
Calc. for[M+H]+:1215.8, found:1216.0
<化合物SQ−9の合成>
化合物SQ−9は、Tetrahedron 68 (2012) 1192−1197を参考に下記の合成ルートにより合成したボロン酸B−4を使用し、化合物SQ−1の合成と同様の方法で合成した。
Figure 0006647381
化合物SQ−9の同定データ:MALDI TOF−MASS
Calc. for[M+H]+:859.4, found:859.6
<化合物SQ−10の合成>
化合物SQ−10は、化合物SQ−9の合成において2−ブロモチオフェンの代わりに6−ブロモベンゾチオフェンを用いる以外はほぼ同様である下記の合成ルートにより合成したボロン酸B−5を使用し、化合物SQ−9の合成と同様の方法で合成した。
Figure 0006647381
実施例X2化合物の同定データ:MALDI TOF−MASS
Calc. for[M+H]+:959.5, found:959.8
<化合物SQ−3の合成>
化合物SQ−3は、出発原料としてキラルなアルコールを使用すること以外、化合物SQ−2の合成と同様の方法で合成した。
化合物SQ−3の同定データ:MALDI TOF−MASS
Calc. for[M+H]+:859.4, found:859.6
<化合物SQ−4の合成>
化合物SQ−4は、Dyes and Pigments 91 (2011) 182−191を参考に合成した10−ノナデカノールを出発原料として使用すること以外、化合物SQ−1の合成と同様の方法で合成した。
化合物SQ−4の同定データ: MALDI TOF−MASS
Calc. for[M+H]+:1131.8, found:1132.0
<化合物SQ−5の合成>
化合物SQ−5は、A−1の代わりに、Diethylene Glycol 2−Bromoethyl Methyl Ether(東京化成製)を使用すること以外、化合物SQ−1の合成と同様の方法で合成した。
化合物SQ−5の同定データ: MALDI TOF−MASS
Calc. for[M+H]+:891.4, found:891.6
<化合物SQ−6の合成>
化合物SQ−6は、化合物SQ−1の合成においてA−1の代わりに1−ブロモデカンを、4−ブロモフェノールの代わりに2−ブロモフェノールを使用すること以外は同様にして合成した。
化合物SQ−6の同定データ:MALDI TOF−MASS
Calc. for[M+H]+:879.5, found:879.7
<化合物SQ−11の合成>
化合物SQ−11は、化合物SQ−6の合成において9−ブロモデセンを使用すること以外は同様にして合成した。
化合物SQ−11の同定データ:MALDI TOF−MASS
Calc. for[M+H]+:875.5, found:875.7
<化合物SQ−7の合成>
化合物SQ−7は、10−ノナデカノールを出発原料としてJournal of Organic Chemistry,2003,vol.68,p.3397−3405を参考に合成したボロン酸B−6を使用し、化合物SQ−1の合成と同様の方法で合成した。
Figure 0006647381
化合物SQ−7の同定データ:MALDI TOF−MASS
Calc. for[M+H]+:947.7, found:948.0
化合物SQ−1〜SQ−11、R−1、R−2:下記構造
なおSQ−1〜SQ−3、SQ−8〜SQ−10は、不斉炭素を有する化合物である。また、SQ−1、SQ−2、SQ−8〜SQ−10は、ラセミ混合体であり、SQ−3はエナンチオマー単体である。
Figure 0006647381
Figure 0006647381
Figure 0006647381
Figure 0006647381
Figure 0006647381
<極大吸収波長>
各化合物を、テトラヒドロフランに溶解させて1g/Lの濃度の溶液を調製した。次に、各化合物を溶解させた溶液の吸収スペクトルを、島津製作所製UV−1800を用いて測定し、極大吸収波長(λmax)を測定した。各化合物の極大吸収波長(λmax)を下記表に示す。
<化合物の溶解性>
25℃の各溶剤(シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、トルエン)に対する各化合物の溶解性を、以下の基準で評価した。
A:25℃の溶剤に対する化合物の溶解度が2質量%以上である。
B:25℃の溶剤に対する化合物の溶解度が1質量%以上2質量%未満である。
C:25℃の溶剤に対する化合物の溶解度が0.5質量%以上1質量%未満である。
D:25℃の溶剤に対する化合物の溶解度が0.5質量%未満である。
Figure 0006647381
上記表に示すように、化合物SQ−1〜SQ−11は各溶剤に対する溶解性に優れていた。一方、化合物R−1、R−2は、溶解性が不十分であった。
<近赤外線吸収組成物の調製>
下記の組成を混合して近赤外線吸収組成物を調製した。
<組成>
下記表に示す化合物:2.3部
樹脂1または樹脂2:12.9部
重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、製品名 KAYARAD DPHA):12.9部
光重合開始剤:IRGACURE−OXE01〔2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン〕、BASF社製:2.5部
紫外線吸収剤:UV503(大東化学株式会社):0.5部
界面活性剤:下記混合物:0.04部
重合禁止剤:パラメトキシフェノール:0.006部
シクロヘキサノン:49.6部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:19.3部
・樹脂1:ベンジルメタクリレート(BzMA)とメタクリル酸(MAA)との共重合体(組成比(質量比):(BzMA/MAA)=(80/20)、Mw=15,000)
・樹脂2:アリルメタクリレート(AMA)とメタクリル酸(MAA)との共重合体(組成比(質量比):(AMA/MAA)=(80/20)、Mw=15,000)
・界面活性剤:下記混合物(Mw=14000)
Figure 0006647381
<硬化膜の作製>
各組成物を、ガラス基板(コーニング社製1737)上に、乾燥後の膜厚が1.0μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、500mJ/cm2で全面露光した。次いで現像機(CD−2060、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行い、次いで、純水でリンス処理し、次いで、スプレー乾燥した。さらに、200℃のホットプレートを用いて300秒間加熱処理(ポストベーク)を行い、硬化膜を得た。
<塗布膜の評価>
各組成物を、ガラス基板(コーニング社製1737)上に、乾燥後の膜厚が1.0μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、塗布膜の状態を目視で観察した。
A:化合物の析出がない。
B:化合物の析出があった。
<耐熱性>
得られた硬化膜に対し、200℃で5分間加熱した後、色度計MCPD−1000(大塚電子(株)製)にて、耐熱テスト前後の色差のΔEab値を測定した。ΔEab値の小さい方が耐熱性が良好であることを示す。
なお、ΔEab値は、CIE1976(L*,a*,b*)空間表色系での以下の色差公式から求められる値である(日本色彩学会編 新編色彩科学ハンドブック(昭和60年)p.266)。
ΔEab={(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)21/2
<<判定基準>>
A:ΔEab値<3
B:3≦ΔEab値<5
C:5≦ΔEab値<10
D:10≦ΔEab値<20
E:20≦ΔEab値
<耐光性>
得られた硬化膜に対し、Xeランプにて紫外線カットフィルタを通して1万ルクスの光を10時間照射した後、色度計MCPD−1000(大塚電子(株)製)にて、耐光テスト前後の色差のΔEab値を測定した。
<<判定基準>>
A:ΔEab値<3
B:3≦ΔEab値<5
C:5≦ΔEab値<10
D:10≦ΔEab値<20
E:20≦ΔEab値
Figure 0006647381
上記結果より、本発明の化合物を使用した実施例は、化合物の溶解性が良好で、塗布膜に化合物の析出がなく、塗布膜の性状が良好であった。更には、耐熱性および耐光性に優れていた。
一方、比較例は、化合物の溶解性が不十分であり、塗布膜に化合物の析出が見られた。
また、実施例および比較例の近赤外線吸収組成物をポリエチレンナフタレートフィルムまたはトリアセチルセルロースフィルム上に塗布して製膜した膜に対して、繰り返し曲げストレスを与えたところ、比較例ではひび割れや膜表面荒れ、剥がれが生じたのに対し、実施例ではストレスを付加する前の状態とほぼ同等の状態を保っていた。
1:レンズ光学系、10:固体撮像素子、20:信号処理部、30:信号切替部、40:制御部、50:信号蓄積部、60:発光制御部、70:赤外LED、80、81:画像出力部、100:赤外線センサ、110:固体撮像素子、111:近赤外線カットフィルタ、112:カラ−フィルタ、113:赤外線透過フィルタ、114:領域、115:マイクロレンズ、116:平坦化層、hν:入射光

Claims (17)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物と、樹脂とを含む、近赤外線吸収組成物;
    Figure 0006647381
    式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、または、下記式(W)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも一方は、下記式(W)で表される基を表し、
    3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または、アルキル基を表し、
    1およびX2は、それぞれ独立に、酸素原子、または、−N(R5)−を表し、
    5は、水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、
    1〜Y4は、それぞれ独立に、置換基を表し、Y1とY2、および、Y3とY4は、互いに結合して環構造を形成していてもよく、
    1〜Y4は、それぞれ複数有する場合は、互いに結合して環構造を形成していてもよく、
    pおよびsは、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、
    qおよびrは、それぞれ独立に0〜2の整数を表す;
    −S1−L1−T1 ・・・(W)
    式(W)において、S1は、単結合、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、
    1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONRL1−、−NRL1CO−、−SO2−、−ORL2−、または、これらを組み合わせてなる基を表し、RL1は、水素原子またはアルキル基を表し、RL2は、アルキレン基を表し、
    1は、アルキル基またはビニル基を表し、
    −L1−T1部分の炭素数は9以上である;
    ただし、S1が単結合で、L1がアルキレン基で、T1がアルキル基の場合は、L1とT1に含まれる炭素数の総和が13以上である。
  2. 前記式(W)において、S1が、アリーレン基またはヘテロアリーレン基である、請求項1に記載の近赤外線吸収組成物。
  3. 前記式(W)において、L1が、アルキレン基、アルケニレン基、−O−、−ORL2−、または、これらを組み合わせてなる基であり、RL2が、アルキレン基である、請求項1または2に記載の近赤外線吸収組成物。
  4. 前記式(W)において、−L1−T1部分が、分岐アルキル構造を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の近赤外線吸収組成物。
  5. 前記式(W)において、−L1−T1部分が不斉炭素を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の近赤外線吸収組成物。
  6. 前記一般式(1)で表される化合物が、2種類以上の光学異性体を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の近赤外線吸収組成物。
  7. 前記一般式(1)において、R3およびR4が、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の近赤外線吸収組成物。
  8. 前記一般式(1)において、p、q、rおよびsが、0である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の近赤外線吸収組成物。
  9. 前記一般式(1)において、X1およびX2が酸素原子である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の近赤外線吸収組成物。
  10. 前記一般式(1)において、X1およびX2は、それぞれ独立に、下記のいずれかで表される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の近赤外線吸収組成物;
    Figure 0006647381
    式中、R5aはアルキル基を表し、R6〜R8は、それぞれ独立に、置換基を表し、aは0〜5の整数を表し、bおよびcはそれぞれ0〜7の整数を表し、*は連結手を表す。
  11. 更に溶剤を含有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物。
  12. 更に、硬化性化合物を含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物を用いてなる、硬化膜。
  14. 請求項13に記載の硬化膜を含む、近赤外線カットフィルタ。
  15. 請求項13に記載の硬化膜を含む、固体撮像素子。
  16. 請求項13に記載の硬化膜を含む、赤外線センサ。
  17. 下記一般式(1)で表される、化合物;
    Figure 0006647381
    式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、または、下記式(W)で表される基を表し、R1およびR2の少なくとも一方は、下記式(W)で表される基を表し、
    3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または、アルキル基を表し、
    1およびX2は、それぞれ独立に、酸素原子、または、−N(R5)−を表し、
    5は、水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、
    1〜Y4は、それぞれ独立に、置換基を表し、Y1とY2、および、Y3とY4は、互いに結合して環構造を形成していてもよく、
    1〜Y4は、それぞれ複数有する場合は、互いに結合して環構造を形成していてもよく、
    pおよびsは、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、
    qおよびrは、それぞれ独立に0〜2の整数を表す;
    −S1−L1−T1 ・・・(W)
    式(W)において、S1は、単結合、アリーレン基またはヘテロアリーレン基を表し、
    1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONRL1−、−NRL1CO−、−SO2−、−ORL2−、または、これらを組み合わせてなる基を表し、RL1は、水素原子またはアルキル基を表し、RL2は、アルキレン基を表し、
    1は、アルキル基またはビニル基を表し、
    −L1−T1部分の炭素数は9以上である;
    ただし、S1が単結合で、L1がアルキレン基で、T1がアルキル基の場合は、L1とT1に含まれる炭素数の総和が13以上である。
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