JP2021054890A - スクアリリウム系化合物、色素組成物、膜、光学フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置及び赤外線センサ - Google Patents

スクアリリウム系化合物、色素組成物、膜、光学フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置及び赤外線センサ Download PDF

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Abstract

【課題】近赤外領域の遮蔽性と可視領域の透過性を両立可能な、スクアリリウム系化合物の提供。【解決手段】式(1)で表される化学構造を有するスクアリリウム系化合物。(R1は置換/非置換の脂肪族炭化水素基、又は置換/非置換の芳香族環基;式(1)中のナフタレン環は、任意の置換基を有していてもよく、さらに縮合環を形成していてもよい;Aは置換/非置換の芳香族環基)【選択図】なし

Description

本発明は、スクアリリウム系化合物、色素組成物、膜、光学フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置及び赤外線センサに関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などには、カラー画像の固体撮像素子である、CCD(電荷結合素子)や、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)が用いられている。これら固体撮像素子は、その受光部において赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用している。このため、固体撮像素子においては、近赤外線カットフィルタを使用して視感度補正を行うことがある。近赤外線カットフィルタは、例えば、赤外線吸収剤を含む組成物を用いて製造されている。
赤外線吸収剤としては、スクアリリウム系化合物などが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
一方で、スクアリリウム系化合物は電子写真記録等の用途でも用いられている(特許文献2や3参照。)。
国際公開第2017/104283号 特開2001−234000号公報 特開平2−15272号公報
赤外線カットフィルタは、近赤外領域(波長650〜900nm)の遮蔽性と可視領域の透過性が求められる。特に近年においては、近赤外領域の全領域において、バランスよく遮蔽することが求められている。
本発明者らが検討したところ、特許文献1〜3に記載されているスクアリリウム系化合物はいずれも近赤外領域における吸収極大が1つだけであり、近赤外領域の全領域を遮蔽するためには多くの種類のスクアリリウム系化合物を多量に用いることが必要となり、近赤外領域の遮蔽性と可視領域の透過性を両立することが困難であることが見出された。
そこで本発明は、近赤外領域の遮蔽性と可視領域の透過性を両立可能な、スクアリリウム系化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の化学構造を有するスクアリリウム系化合物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 下記一般式(1)で表される化学構造を有するスクアリリウム系化合物。
Figure 2021054890
(式(1)中、R1は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
式(1)中のナフタレン環は、任意の置換基を有していてもよく、さらに縮合環を形成していてもよい。
Aは置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。)
[2] 吸収スペクトルにおいて吸収極大を2つ以上有する、[1]に記載のスクアリリウム系化合物。
[3] 前記吸収極大同士の少なくとも一部が互いに重なっている、[2]に記載のスクアリリウム系化合物。
[4] 前記一般式(1)のAにおける芳香族環基が有する置換基の、Hammett定数のσp値がゼロより小さい値である、[1]〜[3]のいずれかに記載のスクアリリウム系化合物。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載のスクアリリウム系化合物、及びバインダー樹脂を含有する色素組成物。
[6] [5]に記載の色素組成物を用いて形成した膜。
[7] [6]に記載の膜を有する光学フィルタ。
[8] [6]に記載の膜を有する固体撮像素子。
[9] [6]に記載の膜を有する画像表示装置。
[10] [6]に記載の膜を有する赤外線センサ。
本発明によれば、近赤外領域の遮蔽性と可視領域の透過性を両立可能な、スクアリリウム系化合物を提供することができる。
図1は、実施例及び比較例の近赤外線カットフィルタの透過スペクトルである。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」についても同様である。
また、本発明において「全固形分」とは、色素組成物中に含まれる、溶剤以外の全成分を意味するものとする。
さらに、本発明において、「重量平均分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)をさす。
[1]スクアリリウム系化合物(1)
<スクアリリウム系化合物(1)>
本発明のスクアリリウム系化合物は、下記一般式(1)で表される化学構造を有するスクアリリウム系化合物(以下、「スクアリリウム系化合物(1)」と称する場合がある。)である。
Figure 2021054890
(式(1)中、R1は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
式(1)中のナフタレン環は、任意の置換基を有していてもよく、さらに縮合環を形成していてもよい。
Aは置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。)
スクアリリウム系化合物(1)は、インドレニル基から誘導される特定の基を有することで吸収ピークが長波長化し、近赤外領域の遮蔽性が良好になると考えられ、また、色素構造の共役系を増やすことでH会合も強くなり、分子内の自由回転が制約されることとなって、可視領域の透過性が良好になると考えられる。
また、スクアリリウム系化合物(1)は、Aとして置換基を有していてもよい芳香族環を有するものであるが、芳香族環による共役拡張による電子過剰官能基として働くことで、Aに由来する吸収極大を近赤外に有するものとなると考えられる。特に、前記Aが、アミノ基を有する芳香族環基、置換基を有していてもよいアミノ基を有するインドレニル基、置換基を有していてもよい七員環以上の非ベンゼノイド基、縮合芳香族環基などの場合には、窒素原子による電子供与性の効果や特定の芳香族環の共役拡張による電子過剰官能基としての働きによって、Aに由来する吸収極大を近赤外領域の所望の波長域に有するものとなると考えられる。
スクアリリウム系化合物(1)は、前記特定の基に由来する吸収極大と、前記Aに由来する吸収極大とを有することで、それらによって近赤外領域における吸収帯が幅広で吸光度の高いものとなると考えられる。例えば近赤外線カットフィルタにおいて、このスクアリリウム系化合物(1)を用いることで、近赤外領域の全領域を遮蔽するのに必要なスクアリリウム系化合物の種類数を減らすことができ、それによってスクアリリウム系化合物の含有割合も低減され、近赤外領域の遮蔽性と可視領域の透過性を両立可能な近赤外線カットフィルタを得ることができると考えられる。
(R1
前記式(1)中、R1は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状、又はそれらを組み合わせたもののいずれでもよく、四角酸部との立体障害を避ける観点から直鎖状のものであることが好ましい。
脂肪族炭化水素基の炭素数は特に限定されないが、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上がさらに好ましく、4以上が特に好ましく、また、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで単離がしやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで有機溶媒への溶解性が良好となる傾向がある。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられ、安定性及び溶解性の観点からはアルキル基が好ましい。
脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−へキシル基、1−オクチル基などが挙げられ、これらの中でもインドレニル基から誘導される特定の基の安定性の観点から炭素数4〜6のアルキル基が好ましく、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基がより好ましく、1−ブチル基がさらに好ましい。
脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、水酸基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、エチレングリコール基、フッ素原子などが挙げられ、これらの中でもインドレニル基から誘導される特定の基の安定性の観点から無置換であることが好ましい。
一方で、芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基や芳香族複素環基が挙げられ、可視領域の副吸収を抑える観点から芳香族炭化水素環基が好ましい。
芳香族環基の炭素数は特に限定されないが、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、7以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることでスクアリリウム系化合物の安定性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで近赤外領域の極大吸収波長を所望なものにできる傾向がある。
芳香族炭化水素環基における環としては、単環でも縮合環でもよく、可視領域の副吸収を抑える観点からは単環が好ましい。
芳香族炭化水素環基の具体例としては、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。これらの中でも可視領域の副吸収を抑える観点から1個の遊離原子価を有するベンゼン環が好ましい。
芳香族複素環基における環としては、単環でも縮合環でもよく、可視領域の副吸収を抑える観点からは単環が好ましい。
芳香族複素環基としては例えば、1個の遊離原子価を有する、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、フロピロール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環などの基が挙げられる。これらの中でも近赤外の吸収極大を調整できる観点から1個の遊離原子価を有するピロール環、チオフェン環が好ましい。
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、水酸基、ジロリジン環基、アルコキシ基、アルキル基、フッ素原子などが挙げられ、これらの中でも近赤外領域の極大吸収波長を所望なものにできるとの観点から無置換であることが好ましい。
(ナフタレン環が有していてもよい任意の置換基)
前記式(1)中のナフタレン環は、任意の置換基を有していてもよく、さらに縮合環を形成していてもよい。
この任意の置換基としては、アルキル基、ジアルキルアミノ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、などが挙げられ、これらの中でも合成容易性やスクアリリウム系化合物の安定性の観点から無置換が好ましい。
また、任意の置換基と縮合環を形成した場合の具体例としては、下記一般式(1’)で表されるものなどが挙げられる。
Figure 2021054890
(式(1’)中、R1及びAは前記一般式(1’)と同義である。)
(A)
前記式(1)中、Aは置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基や芳香族複素環基が挙げられ、スクアリリウム系化合物の安定性の観点から芳香族炭化水素環基が好ましい。
芳香族環基の炭素数は特に限定されないが、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、7以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで極大吸収波長が長波長化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで溶解性が良好となる傾向がある。
芳香族炭化水素環基における環としては、単環でも縮合環でもよく、可視領域の副吸収を抑える観点からは単環が好ましい。
芳香族炭化水素環基の具体例としては、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環、アズレン環などの基が挙げられる。これらの中でも溶解性の観点から1個の遊離原子価を有するベンゼン環や1個の遊離原子価を有するアズレン環が好ましい。
芳香族複素環基における環としては、単環でも縮合環でもよく、可視領域の副吸収を抑える観点からは単環が好ましい。
芳香族複素環基としては例えば、1個の遊離原子価を有する、ピロール環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、フロピロール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、などの基が挙げられる。これらの中でも電子供与性の高さの観点から1個の遊離原子価を有するピリジン環、1個の遊離原子価を有するチオフェン環が好ましい。
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、水酸基、アルキル基、ジロリジン環基、非ベンゼノイド芳香族環基、ハロゲン原子などが挙げられ、これらの中でも可視領域における副吸収を抑える観点からジアルキルアミノ基、アルキル基、ジロリジン環基、非ベンゼノイド芳香族環基であることが好ましい。これらの置換基の中でもジアルキルアミノ基、ジロリジン環基、非ベンゼノイド芳香族環基のような、平面性が高く、電子リッチな置換基であれば、近赤外領域の遮蔽性が良好で、可視領域の副吸収が抑えられる効果が高くなる傾向があり好ましい。
前記式(1)におけるAは、置換基を有していてもよい芳香族環基であるが、長波長化の観点から、該置換基のHammett定数のσp値がゼロより小さい値であることが好ましい。
Hammett定数σpとしては、Chem.Rev.91巻、165−195頁(1991年)に掲載されている値を用い、置換位置に関わらず、上記文献中のσpのデータを用いて定義する。
前記置換基のHammett定数のσp値は、−0.40以下が好ましく、−0.50以下がより好ましく、−0.55以下がさらに好ましく、また、−0.90以上が好ましく、−0.87以上がより好ましく、−0.85以上がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで所望の長波長化できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで近赤外線領域の吸収の位置のチューニングができる傾向がある。
前記置換基の具体例としては以下のものが挙げられる。( )内の数値はHammett定数のσp値を表す。メチルアミノ基(−0.70)、エチルアミノ基(−0.61)などの炭素数1〜12のモノアルキルアミノ基;フェニルアミノ基(−0.56)などの炭素数6〜15のモノアリールアミノ基;ジメチルアミノ基(−0.83)、ジエチルアミノ基(−0.72)などの炭素数2〜20のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基(−0.67)などの炭素数12〜30のジアリールアミノ基。
<スクアリリウム系化合物(2)>
スクアリリウム系化合物(1)の中でも、近赤外領域を少ない種類のスクアリリウム系化合物で遮蔽する観点から、下記一般式(2)で表される化学構造を有するスクアリリウム系化合物(以下、「スクアリリウム系化合物(2)」と称する場合がある。)が好ましい。
Figure 2021054890
(式(2)中、R1は前記一般式(1)のものと同義である。
2〜R5は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。R2〜R5のうち少なくともいずれか2つが結合して環を形成していてもよい。
6及びR7は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は水酸基を表す。)
(R2〜R5
前記式(2)中、R2〜R5は各々独立に、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状、又はそれらを組み合わせたもののいずれでもよく、四角酸部との立体障害を避ける観点から直鎖状のものであることが好ましい。
脂肪族炭化水素基の炭素数は特に限定されないが、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上がさらに好ましく、4以上が特に好ましく、また、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで単離がしやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで有機溶媒への溶解性が良好となる傾向がある。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられ、溶解性の観点からはアルキル基が好ましい。
脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−へキシル基、1−オクチル基などが挙げられ、これらの中でもインドレニル基から誘導される特定の基の安定性の観点から炭素数3〜6のアルキル基が好ましく、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基がより好ましく、1−ブチル基がさらに好ましい。
脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、水酸基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、エチレングリコール基、フッ素原子などが挙げられ、これらの中でも安定性の観点から無置換であることが好ましい。
一方で、芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基や芳香族複素環基が挙げられ、可視領域の副吸収を抑える観点から芳香族炭化水素環基が好ましい。
芳香族環基の炭素数は特に限定されないが、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、7以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることでスクアリリウム系化合物の安定性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで近赤外領域の極大吸収波長を所望なものにできる傾向がある。
芳香族炭化水素環基における環としては、単環でも縮合環でもよく、可視領域の副吸収を抑える観点からは単環が好ましい。
芳香族炭化水素環基の具体例としては、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。これらの中でも可視領域の副吸収を抑える観点から1個の遊離原子価を有するベンゼン環が好ましい。
芳香族複素環基における環としては、単環でも縮合環でもよく、可視領域の副吸収を抑える観点からは単環が好ましい。
芳香族複素環基としては例えば、1個の遊離原子価を有する、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、フロピロール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環などの基が挙げられる。これらの中でも近赤外の吸収極大を調整できる観点から1個の遊離原子価を有するピロール環、チオフェン環が好ましい。
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、水酸基、ジロリジン環基、アルコキシ基、アルキル基、フッ素原子などが挙げられ、これらの中でも近赤外領域の極大吸収波長を所望なものにできるとの観点から無置換であることが好ましい。
2〜R5のうち少なくともいずれか2つが結合して環を形成していてもよく、その例としては以下のものが挙げられる。
Figure 2021054890
(R6及びR7
前記式(2)中、R6及びR7は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は水酸基を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、これらの中でも四角酸上の水酸基との水素結合の観点からはフッ素原子が好ましい。
6及びR7としては、前記式(2)の平面性を保ち効果的に長波長化する観点から、水素原子又は水酸基が好ましい。
以下に本発明のスクアリリウム系化合物の具体例を挙げる。スクアリリウム系化合物は以下のように共鳴構造を複数書くことができるが、これらは特に断らない限り同義である。
Figure 2021054890
Figure 2021054890
Figure 2021054890
<製造方法>
本発明のスクアリリウム系化合物は、公知の方法で製造することができる。例えばTop. Heterocycl. Chem. 14, 133−181 (2008)に記載の方法に準じて製造することができる。
<物性>
本発明のスクアリリウム系化合物は、吸収スペクトルにおいて吸収極大を2つ以上有することが好ましく、また、4つ以下が好ましく、3つ以下がより好ましく、2つがさらに好ましい。前記下限値以上とすることで、近赤外の全領域の遮蔽のために用いるスクアリリウム系化合物の種類を減らすことができ、可視領域の透過率を高くできる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで近赤外領域における吸光度が高くなる傾向がある。
スクアリリウム系化合物が有する前記吸収極大の極大吸収波長は特に限定されないが、680nm以上が好ましく、700nm以上がより好ましく、710nm以上がさらに好ましく、720nm以上が特に好ましく、また、950nm以下が好ましく、920nm以下がより好ましく、900nm以下がさらに好ましく、880nm以下がよりさらに好ましく、860nm以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで必要な近赤外の長波長領域を遮蔽できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで近赤外の短波長領域を遮蔽傾向がある。
スクアリリウム系化合物が吸収極大を2つ以上有する場合、その各吸収極大の極大吸収波長の差は15nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましく、50nm以上がさらに好ましく、また、200nm以下が好ましく、180nm以下がより好ましく、150nm以下がさらに好ましく、120nm以下がよりさらに好ましく、100nm以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで、複数の吸収極大を活かした色素配合が可能となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで近赤外領域を遮蔽するのに必要な色素数を減らすことができる傾向がある。
スクアリリウム系化合物が吸収極大を2つ以上有する場合、最も短波長側の吸収極大の極大吸収波長は特に限定されないが、670nm以上が好ましく、680nm以上がより好ましく、700nm以上がさらに好ましく、720nm以上が特に好ましく、また、800nm以下が好ましく、770nm以下がより好ましく、750nm以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで短波長側の近赤外領域を遮蔽できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで可視領域における副吸収を抑制できる傾向がある。
スクアリリウム系化合物が吸収極大を2つ以上有する場合、最も長波長側の吸収極大の極大吸収波長は特に限定されないが、800nm以上が好ましく、850nm以上がより好ましく、870nm以上がさらに好ましく、また、950nm以下が好ましく、930nm以下がより好ましく、920nm以下がさらに好ましく、900nm以下がよりさらに好ましく、880nm以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで長波長側の近赤外領域を遮蔽できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで近赤外領域を遮蔽するのに必要な色素数を減らすことができる傾向がある。
スクアリリウム系化合物が吸収極大を2つ以上有する場合、近赤外領域の全領域を遮蔽するとの観点から、前記吸収極大同士の少なくとも一部が互いに重なっていることが好ましい。
[2]色素組成物
本発明の色素組成物は、前記一般式(1)で表されるスクアリリウム系化合物、及びバインダー樹脂を含有する。また本発明の色素組成物は、前記スクアリリウム系化合物、及びバインダー樹脂以外に、必要に応じてさらに他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、溶剤等が挙げられる。
[2−1]スクアリリウム系化合物(1)
色素組成物におけるスクアリリウム系化合物(1)の含有割合は特に限定されないが、全固形分中に0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましく、また、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで信頼性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで色素析出などが起こりにくい傾向がある。
[2−2]その他のスクアリリウム系化合物
本発明の色素組成物は、スクアリリウム系化合物(1)以外のスクアリリウム系化合物(以下、「その他のスクアリリウム系化合物」と称する場合がある。)をさらに含んでいてもよい。
その他のスクアリリウム系化合物が有する吸収極大の極大吸収波長は特に限定されないが、700nm以上が好ましく、720nm以上がより好ましく、730nm以上がさらに好ましく、また、870nm以下が好ましく、850nm以下がより好ましく、830nm以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることでスクアリリウム系化合物(1)だけでは十分に遮蔽できない領域の遮蔽性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで近赤外領域を遮蔽するのに必要な色素の種類数を減らすことができる傾向がある。
本発明の色素組成物がその他のスクアリリウム系化合物を含有する場合、その含有割合は特に限定されないが、全固形分中に0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、また、5質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで近赤外領域における遮蔽性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで熱に対する信頼性が向上する傾向がある。
[2−3]バインダー樹脂
本発明の色素組成物は、バインダー樹脂を含有する。バインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル系樹脂(PMMA等)、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂が挙げられる。
本発明の色素組成物におけるバインダー樹脂の含有割合は特に限定されないが、全固形分中に90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、99質量%以上がさらに好ましく、また、99.99質量%以下が好ましく、99.9質量%以下がより好ましく、99.5質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで成膜性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで信頼性が向上する傾向がある。
[2−4]溶剤
本発明の色素組成物は、さらに溶剤を含有していてもよい。溶剤としては、特に限定されるものではないが、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のアルカン類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、ウンデカノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のプロピレングリコール類;アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の高極性溶剤類等が挙げられる。
本発明の色素組成物が溶剤を含有する場合、その含有割合は特に限定されないが、80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、88質量%以上がさらに好ましく、また、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、92質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで溶液安定性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで塗膜の性能が向上する傾向がある。
[3]膜
次に、本発明の膜について説明する。本発明の膜は、上述した本発明の色素組成物を用いて形成したものである。
本発明の膜は、近赤外領域の遮蔽性と可視領域の透過性に優れるので、近赤外線カットフィルタとして好ましく用いることができる。また、本発明の膜は、赤外線透過フィルタや熱線遮蔽フィルタとして用いることもできる。本発明の膜は、パターンを有していてもよく、パターンを有さない膜(平坦膜)であってもよい。また、本発明の膜は、支持体上に積層して用いてもよく、支持体から剥離して用いてもよい。
本発明の膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。
本発明の膜は、カラーフィルタと組み合わせて用いることもできる。
なお、本発明において、近赤外線カットフィルタとは、可視領域の波長の光(可視光)を透過させ、近赤外領域の波長の光(近赤外線)の少なくとも一部を遮光するフィルタを意味する。近赤外線カットフィルタは、可視領域の波長の光をすべて透過するものであってもよく、可視領域の波長の光のうち、特定の波長領域の光を通過させ、特定の波長領域の光を遮光するものであってもよい。また、本発明において、カラーフィルタとは、可視領域の波長の光のうち、特定の波長領域の光を通過させ、特定の波長領域の光を遮光するフィルタを意味する。また、赤外線透過フィルタとは、可視領域の波長の光を遮光し、近赤外領域の波長の光(近赤外線)の少なくとも一部を透過させるフィルタを意味する。
本発明の膜を、近赤外線カットフィルタとして用いる場合、本発明の膜は、波長650〜1500nmの範囲に極大吸収波長を有することが好ましい。また、波長400〜550nmの平均透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。また、波長400〜550nmの全ての範囲での透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
また、近赤外線カットフィルタの赤外線遮蔽性の好ましい範囲は用途によって異なるが、波長650〜1500nmの範囲の少なくとも1点での透過率が20%以下であることが好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。
本発明の膜を近赤外線カットフィルタとして用いる場合、本発明の膜の他に、更に、銅を含有する層、誘電体多層膜、紫外線吸収層などを有していてもよい。
本発明の膜を、近赤外線カットフィルタまたは赤外線透過フィルタとして用いる場合、近赤外線カットフィルタと赤外線透過フィルタとを組み合わせて用いることもできる。近赤外線カットフィルタと、赤外線透過フィルタとを組み合わせて用いることで、特定波長の赤外線を検出する赤外線センサの用途に好ましく用いることができる。両者のフィルタを組み合わせて用いる場合、近赤外線カットフィルタおよび赤外線透過フィルタの両方を本発明の組成物を用いて形成することもでき、いずれか一方のみを、本発明の組成物を用いて形成することもできる。
本発明の膜は、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの固体撮像素子や、赤外線センサ、画像表示装置などの各種装置に用いることができる。
[4]光学フィルタ
次に、本発明の光学フィルタについて説明する。本発明の光学フィルタは、上述した本発明の膜を有する。本発明の光学フィルタは、近赤外線カットフィルタおよび赤外線透過フィルタから選ばれる少なくとも1種として好ましく用いることができる。
[5]積層体
本発明の積層体は、本発明の膜と、カラーフィルタとを有する。本発明の積層体は、本発明の膜と、カラーフィルタとが厚み方向で隣接していてもよく、隣接していなくてもよい。本発明の膜と、カラーフィルタとが厚み方向で隣接していない場合は、カラーフィルタが形成された基材とは別の基材に本発明の膜が形成されていてもよく、本発明の膜とカラーフィルタとの間に、固体撮像素子を構成する他の部材(例えば、マイクロレンズ、平坦化層など)が介在していてもよい。
[6]固体撮像素子
本発明の固体撮像素子は、上述した本発明の膜を有する。本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明の膜を有する構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はない。例えば、以下のような構成が挙げられる。
支持体上に、固体撮像素子の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、本発明の膜を有する構成である。さらに、デバイス保護膜上であって、本発明の膜の下(支持体に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、本発明の膜上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各色画素を形成する硬化膜が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は各色画素に対して低屈折率であることが好ましい。このような構造を有する撮像装置の例としては、特開2012−227478号公報、特開2014−179577号公報に記載の装置が挙げられる。
[7]画像表示装置
本発明の膜は、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置などの画像表示装置に用いることもできる。例えば、本発明の膜を、画像表示装置のバックライト(例えば白色発光ダイオード(白色LED))に含まれる赤外光を遮断する目的、周辺機器の誤作動を防止する目的、各着色画素に加えて赤外の画素を形成する目的で用いることができる。
画像表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
画像表示装置は、白色有機EL素子を有するものであってもよい。白色有機EL素子としては、タンデム構造であることが好ましい。有機EL素子のタンデム構造については、開2003−45676号公報、三上明義監修、「有機EL技術開発の最前線−高輝度・高精度・長寿命化・ノウハウ集−」、技術情報協会、326−328ページ、2008年などに記載されている。有機EL素子が発光する白色光のスペクトルは、青色領域(430nm−485nm)、緑色領域(530nm−580nm)及び黄色領域(580nm−620nm)に強い極大発光ピークを有するものが好ましい。これらの発光ピークに加え更に赤色領域(650nm−700nm)に極大発光ピークを有するものがより好ましい。
[8]赤外線センサ
本発明の赤外線センサは、上述した本発明の膜を有する。本発明の赤外線センサの構成としては、本発明の膜を有する構成であり、赤外線センサとして機能する構成であれば特に限定はない。例えば、特開2018−45011号公報の[0201]〜[0207]に記載の態様が挙げられる。
以下、本発明のスクアリリウム系化合物について、具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例1:化合物3の合成)
Figure 2021054890
化合物1(5.0g)と化合物2(4.39g)にトルエン500mLを加え、3時間110℃で還流した。50℃以下まで冷却した後、減圧濃縮し、得られた粗生成物に酢酸80mL、水80mL、12N濃塩酸4mLを加え、110℃で2時間激しく撹拌した。室温まで冷却した後、一晩放置し、得られた沈殿をクロロホルム洗浄した後、減圧乾燥させ、化合物3を4.6g得た。
(合成例2:化合物5の合成)
Figure 2021054890
化合物1の代わりに化合物4を用いた以外は合成例1と同様にして、化合物5を3.8g得た。
(合成例3:化合物7の合成)
Figure 2021054890
化合物1の代わりに化合物6を用いた以外は合成例1と同様にして、化合物7を4.1g得た。
(合成例4:化合物9の合成)
Figure 2021054890
化合物1の代わりに化合物8を用いた以外は合成例1と同様にして、化合物9を3.3g得た。
(合成例5:化合物11の合成)
Figure 2021054890
化合物1の代わりに化合物10を用いた以外は合成例1と同様にして、化合物11を3.1g得た。
(合成例6:化合物13の合成)
Figure 2021054890
化合物1の代わりに化合物12を用いた以外は合成例1と同様にして、化合物13を3.7g得た。
(合成例7:化合物15の合成)
Figure 2021054890
化合物1の代わりに化合物14を用いた以外は合成例1と同様にして、化合物15を2.9g得た。
(合成例8:化合物17の合成)
Figure 2021054890
化合物1の代わりに化合物16を用いた以外は合成例1と同様にして、化合物17を3.2g得た。
(実施例1:例示化合物1)
Figure 2021054890
化合物3(200mg)と化合物18(250mg)をトルエン20mLとn―ブタノール20mLの混合溶媒に加え、125℃でディーンスターク法により3時間加熱撹拌した。加熱の途中に、3回、トルエン20mLを添加した。室温まで冷却した後、得られた固体をエーテルで洗浄し、乾燥した後、例示化合物1を195mgで得た。
(実施例2:例示化合物2)
Figure 2021054890
化合物3の代わりに化合物5を用いた以外は実施例1と同様にして、例示化合物2を202mg得た。
(実施例3:例示化合物3)
Figure 2021054890
化合物3の代わりに化合物7を用いた以外は実施例1と同様にして、例示化合物3を175mg得た。
(実施例4:例示化合物4)
Figure 2021054890
化合物3の代わりに化合物9を用いた以外は実施例1と同様にして、例示化合物4を171mg得た。
(実施例5:例示化合物5)
Figure 2021054890
化合物3の代わりに化合物11を用いた以外は実施例1と同様にして、例示化合物5を182mg得た。
(実施例6:例示化合物6)
Figure 2021054890
化合物3の代わりに化合物13を用いた以外は実施例1と同様にして、例示化合物6を177mg得た。
(実施例7:例示化合物7)
Figure 2021054890
化合物3の代わりに化合物15を用いた以外は実施例1と同様にして、例示化合物7を194mg得た。
(実施例8:例示化合物8)
Figure 2021054890
化合物3の代わりに化合物17を用いた以外は実施例1と同様にして、例示化合物8を202mg得た。
(比較例1:比較化合物1)
Figure 2021054890
化合物19(200mg)と化合物20(53mg)をトルエン20mLとn―ブタノール20mLの混合溶媒に加え、125℃でディーンスターク法により3時間加熱撹拌した。加熱の途中に、3回、トルエン20mLを添加した。室温まで冷却した後、得られた固体をエーテルで洗浄し、乾燥した後、比較化合物1を209mgで得た。
(比較例2:比較化合物2)
Figure 2021054890
化合物15(200mg)と化合物19(178mg)をトルエン20mLとn−ブタノール20mLの混合溶媒に加え、125℃でディーンスターク法により3時間加熱撹拌した。加熱の途中に、3回、トルエン20mLを添加した。室温まで冷却した後、得られた固体をエーテルで洗浄し、乾燥後、比較化合物2を268mgで得た。
<スクアリリウム系化合物の光学特性の評価>
実施例1〜8及び比較例1〜2の各スクアリリウム系化合物をJASCO V−770紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製)を使用し、最大吸収波長での吸光度が1になるように溶液調整したテトラヒドロフラン溶液を作製して、吸収スペクトルを測定した。吸収スペクトルから読み取った、吸収極大の数と、各吸収極大の極大吸収波長の結果を表1に示す。
Figure 2021054890
<近赤外線カットフィルタの作製>
テトラヒドロフランと2−メトキシメタノールを質量比4:6の割合で混合した溶液90gにダイヤナールBR−80(三菱ケミカル社製)10gを溶解させ、表2に記載のスクアリリウム系化合物を添加してよく攪拌し、実施例9、比較例2及び比較例3の色素組成物を作製した。
得られた各色素組成物をポリエチレンテレフタレート製フィルム上に塗布し、90℃で2分間乾燥し、厚さ3μmの膜を形成し、近赤外線カットフィルタを作製した。
なお、表2中のSN08の吸収極大の数は1つでその極大吸収波長は768nmであり、また、SK01の吸収極大の数は1つでその極大吸収波長は889nmであった。
Figure 2021054890
次に、作製した近赤外線カットフィルタの波長380nm〜1000nmの範囲の透過スペクトルを、分光光度計U4100(日立ハイテクサイエンス社製)を用いて測定した。測定した透過スペクトルを図1に示した。
次に、得られた透過スペクトルから得た、以下に定義されるT(700−900nm)、T(380−700nm)、及び400nmの透過率の結果を表3に示した。
T(700−900nm):700〜900nmの1nm刻みの透過率の平均値。
T(380−700nm):380〜700nmの1nm刻みの透過率の平均値。
Figure 2021054890
表3から明らかなように、T(700−900nm)の値から近赤外線吸収性は実施例9及び比較例3ともに同程度であり、T(380−700nm)の値から可視光線透過率性は実施例9のほうが比較例3よりも高く、400nmの透過率も同様であった。一方で、比較例4は可視光線透過率は実施例9と同程度であるが、近赤外線吸収性は低かった。
実施例9の近赤外線カットフィルタは、スクアリリウム系化合物(1)を含む。スクアリリウム系化合物(1)は強い吸収を示すユニットである、芳香族環基と、インドレニル基から誘導される特定の基を持つことで、それぞれのユニットに由来する吸収極大を近赤外領域に有する、つまり、近赤外領域において吸光度が高く幅広な吸収帯を有するものとなることから、近赤外領域の全領域を遮蔽するのに必要なスクアリリウム系化合物の種類数を減らすことができ、それによって近赤外線カットフィルタに含まれるスクアリリウム系化合物の含有割合も低減することができ、可視領域の透過率が高くなったと考えられる。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表される化学構造を有するスクアリリウム系化合物。
    Figure 2021054890
    (式(1)中、R1は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
    式(1)中のナフタレン環は、任意の置換基を有していてもよく、さらに縮合環を形成していてもよい。
    Aは置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。)
  2. 吸収スペクトルにおいて吸収極大を2つ以上有する、請求項1に記載のスクアリリウム系化合物。
  3. 前記吸収極大同士の少なくとも一部が互いに重なっている、請求項2に記載のスクアリリウム系化合物。
  4. 前記一般式(1)のAにおける芳香族環基が有する置換基の、Hammett定数のσp値がゼロより小さい値である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスクアリリウム系化合物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のスクアリリウム系化合物、及びバインダー樹脂を含有する色素組成物。
  6. 請求項5に記載の色素組成物を用いて形成した膜。
  7. 請求項6に記載の膜を有する光学フィルタ。
  8. 請求項6に記載の膜を有する固体撮像素子。
  9. 請求項6に記載の膜を有する画像表示装置。
  10. 請求項6に記載の膜を有する赤外線センサ。
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