JP2022131095A - 色素組成物、膜、光学フィルタ、画像表示装置、赤外線センサ及び指紋認証用センサ - Google Patents

色素組成物、膜、光学フィルタ、画像表示装置、赤外線センサ及び指紋認証用センサ Download PDF

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JP2022131095A JP2021029841A JP2021029841A JP2022131095A JP 2022131095 A JP2022131095 A JP 2022131095A JP 2021029841 A JP2021029841 A JP 2021029841A JP 2021029841 A JP2021029841 A JP 2021029841A JP 2022131095 A JP2022131095 A JP 2022131095A
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済 佐藤
Wataru Sato
由紀 田中
Yuki Tanaka
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Abstract

【課題】波長680~900nmの近赤外線の遮蔽性と可視領域における透過性が両立可能である近赤外線カットフィルタを形成可能な、色素組成物を提供する。【解決手段】下式(1)で表される化学構造を有するスクアリリウム系化合物(a)及び前記スクアリリウム系化合物(a)以外のスクアリリウム系化合物(b)を含み、スクアリリウム系化合物(b)が波長680~900nmに吸収極大を有し、吸収極大におけるモル吸光係数が1.0×105以上である、色素組成物。TIFF2022131095000022.tif4379(式中、R1は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。式中のナフタレン環は、任意の置換基を有していてもよく、さらに縮合環を形成していてもよい。Aは置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、色素組成物、膜、光学フィルタ、画像表示装置、赤外線センサ及び指紋認証
用センサに関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などには、カラー画像
の固体撮像素子である、CCD(電荷結合素子)や、CMOS(相補型金属酸化膜半導体
)が用いられている。これら固体撮像素子は、その受光部において赤外線に感度を有する
シリコンフォトダイオードを使用している。
このため、固体撮像素子においては、近赤外線カットフィルタを使用して視感度補正を
行うことがある。近赤外線カットフィルタは、例えば、赤外線吸収剤を含む組成物を用い
て製造されている。
赤外線吸収剤としては、スクアリリウム系化合物などが知られている(例えば、特許文
献1参照)。
一方で、特許文献2には、プラズマディスプレイにおけるネオンオレンジ光の遮蔽用途
で特定のスクアリリウム系化合物を用いることが記載されており、特許文献3には光劣化
を抑制するために、スクアリリウム系化合物と特定の溶剤を併用することが記載されてい
る。また、特許文献4の28~32頁には、電子写真記録素子における光導電性層中の増
感剤として、スクアリリウム系化合物(I-98~I-117)が記載されている。
国際公開第2017/104283号 特開2002-363434号公報 特開2016-180058号公報 独国特許出願公開第3740421号
近赤外線カットフィルタは、指紋認証や顔認証に有効であり、近赤外領域(波長650
~1100nm)の遮蔽性と可視領域の透過性が求められる。特に近年においては、近赤
外領域の全領域において、バランスよく遮蔽することが求められている。また、近赤外線
カットフィルタは、バインダー樹脂と色素の両方を溶解する必要があることから溶剤とし
てTHF(テトラヒドロフラン)、酢酸エチル、トルエンなど有機溶剤を用いて形成され
るのが一般的である。
本発明者らが検討したところ、特許文献1に記載されているスクアリリウム系化合物は
副吸収が大きく、可視領域の透過性が不十分であることが見出された。また、特許文献2
に記載されているスクアリリウム系化合物は極大吸収波長が550~610nmであって
、近赤外領域の吸収が不十分であることが見出された。
一方で、特許文献4に記載されているスクアリリウム系化合物は、スクアリリウム系化
合物として最も長波長に吸収を持つものとして、市販されているものの、さらに強い電子
供与性部位を有さないことから、これ以上に吸収波長が長波長化されたスクアリリウム系
化合物を得ることは困難と考えられてきた。
また、波長680~900nmに吸収極大をもつ近赤外色素としてはニッケルジチオレ
ート錯体がある。しかし、これは近赤外領域でのモル吸光係数が低いため、近赤外線を遮
蔽するために濃度を上げる必要があるが、濃度を上げると可視領域、特に波長400nm
付近の副吸収が可視領域の透過率を阻害するため、可視領域の透過率を維持しつつ、波長
680~900nmの近赤外線の遮蔽性するという機能の両立が充分でなかった。
そこで本発明は、波長680~900nmの近赤外線の遮蔽性と可視領域における透過
性が両立可能である近赤外線カットフィルタを形成可能な、色素組成物を提供することを
目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の化学構造を有す
るスクアリリウム系化合物及び他のスクアリリウム系化合物を組みあわせることにより、
上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以
下を要旨とする。
[1] 下記一般式(1)で表される化学構造を有するスクアリリウム系化合物(a)及
び前記スクアリリウム系化合物(a)以外のスクアリリウム系化合物(b)を含み、
前記スクアリリウム系化合物(b)が波長680~900nmに吸収極大を有し、前記吸
収極大におけるモル吸光係数が1.0×10以上である、色素組成物。
Figure 2022131095000001
(式(1)中、R1は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、又は置換基を有して
いてもよい芳香族環基を表す。
式(1)中のナフタレン環は、任意の置換基を有していてもよく、さらに縮合環を形成
していてもよい。
Aは置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。)
[2] 前記スクアリリウム系化合物(a)が、吸収スペクトルにおいて吸収極大を2つ
以上有する、[1]の色素組成物。
[3] 前記吸収極大同士の少なくとも一部が互いに重なっている、[2]の色素組成物

[4] 前記スクアリリウム系化合物(b)の吸収極大におけるモル吸光係数が1.7×
10以上である、[1]~[3]いずれかの色素組成物。
[5] 前記スクアリリウム系化合物(b)が、スクアリリウム系化合物(b1)及び前
記スクアリリウム系化合物(b1)以外のスクアリリウム系化合物(b2)を含む、[1
]~[4]いずれかの色素組成物。
[6] さらに、波長650~680nmに吸収極大を有し、前記吸収極大におけるモル
吸光係数が1.5×10以上であるスクアリリウム系化合物(c)を含む、[1]~[
5]いずれかの色素組成物。
[7] さらに、樹脂を含む、[1]~[6]の色素組成物。
[8] [1]~[7]いずれかの色素組成物を用いて形成した膜。
[9] 膜厚が10μm以下である、[8]の膜。
[10] [8]又は[9]の膜を有する光学フィルタ。
[11] [8]又は[9]の膜を有する画像表示装置。
[12] [8]又は[9]の膜を有する赤外線センサ。
[13] [8]又は[9]の膜を有する指紋認証用センサ。
本発明によれば、波長680~900nmの近赤外線の遮蔽性と可視領域における透過
性が両立可能である近赤外線カットフィルタを形成可能な、色素組成物を提供することが
できる。
図1は、実施例及び比較例の近赤外線カットフィルタの透過スペクトルである。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定
されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味
し、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」についても同様である。
本発明において「全固形分」とは、色素組成物中に含まれる、溶剤以外の全成分を意味
する。溶剤以外の成分が常温で液体であっても、その成分は溶剤には含めず、全固形分に
含める。
本発明において、「重量平均分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を意味する。
本発明において、「近赤外領域」とは波長650~1100nmの波長領域を意味し、
「近赤外線」とは近赤外領域の波長の光を意味する。
[1]色素組成物
本発明の色素組成物は、前記一般式(1)で表されるスクアリリウム系化合物(a)及
び前記スクアリリウム系化合物(a)以外のスクアリリウム系化合物(b)を含み、前記
スクアリリウム系化合物(b)は波長680~900nmに吸収極大を有し、前記吸収極
大におけるモル吸光係数が1.0×10以上である。
本発明の色素組成物は、前記スクアリリウム系化合物(a)及びスクアリリウム系化合
物(b)を含むことで、波長680~900nmでのモル吸光係数が大きいため、可視領
域の副吸収が抑えられ、波長680~900nmの近赤外線の遮蔽性と可視領域における
透過性が両立可能である近赤外線カットフィルタが形成可能となる。
<スクアリリウム系化合物(a)>
本発明の色素組成物は、下記一般式(1)で表される化学構造を有するスクアリリウム
系化合物(a)(以下、「スクアリリウム系化合物(a)」と称する。)である。
Figure 2022131095000002
(式(1)中、R1は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、又は置換基を有して
いてもよい芳香族環基を表す。
式(1)中のナフタレン環は、任意の置換基を有していてもよく、さらに縮合環を形成
していてもよい。
Aは置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。)
スクアリリウム系化合物(a)は、インドレニル基から誘導される特定の基を有するこ
とで吸収ピークが長波長化し、近赤外領域の遮蔽性が良好になると考えられ、また、色素
構造の共役系を増やすことでH会合も強くなり、分子内の自由回転が制約されることとな
って、可視領域の透過性が良好になると考えられる。
また、スクアリリウム系化合物(a)は、Aとして置換基を有していてもよい芳香族環
を有するものであるが、芳香族環による共役拡張による電子過剰官能基として働くことで
、Aに由来する吸収極大を近赤外に有するものとなると考えられる。特に、前記Aが、ア
ミノ基を有する芳香族環基、置換基を有していてもよいアミノ基を有するインドレニル基
、置換基を有していてもよい七員環以上の非ベンゼノイド基、縮合芳香族環基などの場合
には、窒素原子による電子供与性の効果や特定の芳香族環の共役拡張による電子過剰官能
基としての働きによって、Aに由来する吸収極大を近赤外領域の所望の波長域に有するも
のとなると考えられる。
スクアリリウム系化合物(a)は、前記特定の基に由来する吸収極大と、前記Aに由来
する吸収極大とを有することで、それらによって近赤外領域における吸収帯が幅広で吸光
度の高いものとなると考えられる。例えば近赤外線カットフィルタにおいて、このスクア
リリウム系化合物(a)を用いることで、近赤外領域の全領域を遮蔽するのに必要なスク
アリリウム系化合物の種類数を減らすことができ、それによってスクアリリウム系化合物
の含有割合も低減され、近赤外領域の遮蔽性と可視領域の透過性を両立可能な近赤外線カ
ットフィルタを得ることができると考えられる。
(R1
前記式(1)中、R1は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、又は置換基を有
していてもよい芳香族環基を表す。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状、又はそれらを組み合わせたもの
のいずれでもよく、四角酸部との立体障害を避ける観点から直鎖状のものであることが好
ましい。
脂肪族炭化水素基の炭素数は特に限定されないが、1以上が好ましく、2以上がより好
ましく、3以上がさらに好ましく、4以上が特に好ましく、また、10以下が好ましく、
8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで単離がし
やすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで有機溶媒への溶解性が良好と
なる傾向がある。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げ
られる。安定性及び溶解性の観点からはアルキル基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、1-プロピル基、2-プロ
ピル基、1-ブチル基、1-ペンチル基、1-へキシル基、1-オクチル基が挙げられる
。インドレニル基から誘導される特定の基の安定性の観点から、炭素数4~6のアルキル
基が好ましく、1-ブチル基、1-ペンチル基、1-ヘキシル基がより好ましく、1-ブ
チル基がさらに好ましい。
脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、水酸基、ジアルキルア
ミノ基、アルコキシ基、エチレングリコール基、フッ素原子が挙げられる。インドレニル
基から誘導される特定の基の安定性の観点から無置換であることが好ましい。
一方で、芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基や芳香族複素環基が挙げられ、可視
領域の副吸収を抑える観点から芳香族炭化水素環基が好ましい。
芳香族環基の炭素数は特に限定されないが、5以上が好ましく、6以上がより好ましく
、また、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、7以下がさらに好ましい。前記下
限値以上とすることでスクアリリウム系化合物の安定性が良好となる傾向があり、また、
前記上限値以下とすることで近赤外領域の極大吸収波長を所望なものにできる傾向がある
芳香族炭化水素環基における環としては、単環でも縮合環でもよく、可視領域の副吸収
を抑える観点からは単環が好ましい。
芳香族炭化水素環基としては、としては、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナ
フタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環
、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環
、フルオレン環が挙げられる。可視領域の副吸収を抑える観点から1個の遊離原子価を有
するベンゼン環が好ましい。
芳香族複素環基における環としては、単環でも縮合環でもよく、可視領域の副吸収を抑
える観点からは単環が好ましい。
芳香族複素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ピロール環、ピラゾー
ル環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、イソオキ
サゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピロール
環、チエノピロール環、フロピロール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾイソオキサゾー
ル環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリ
ダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環が挙げられる。近
赤外の吸収極大を調整できる観点から、1個の遊離原子価を有するピロール環、チオフェ
ン環が好ましい。
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、水酸基
、ジロリジン環基、アルコキシ基、アルキル基、フッ素原子が挙げられる。近赤外領域の
極大吸収波長を所望なものにできるとの観点から無置換であることが好ましい。
(ナフタレン環が有していてもよい任意の置換基)
前記式(1)中のナフタレン環は、任意の置換基を有していてもよく、さらに縮合環を
形成していてもよい。
この任意の置換基としては、例えば、アルキル基、ジアルキルアミノ基、水酸基、アル
コキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。合成容易性やスクアリリウム系化合物の安定性の
観点から無置換が好ましい。
また、任意の置換基と縮合環を形成した場合、例えば、下記一般式(1’)で表される
ものが挙げられる。
Figure 2022131095000003
(式(1’)中、R1及びAは前記一般式(1’)と同義である。)
(A)
前記式(1)中、Aは置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基や芳香族複素環基が挙げられ、スクアリリウ
ム系化合物の安定性の観点から芳香族炭化水素環基が好ましい。
芳香族環基の炭素数は特に限定されないが、5以上が好ましく、6以上がより好ましく
、また、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、7以下がさらに好ましい。前記下
限値以上とすることで極大吸収波長が長波長化する傾向があり、また、前記上限値以下と
することで溶解性が良好となる傾向がある。
芳香族炭化水素環基における環としては、単環でも縮合環でもよく、可視領域の副吸収
を抑える観点からは単環が好ましい。
芳香族炭化水素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフ
タレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、
ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、
フルオレン環、アズレン環が挙げられる。溶解性の観点から1個の遊離原子価を有するベ
ンゼン環や1個の遊離原子価を有するアズレン環が好ましい。
芳香族複素環基における環としては、単環でも縮合環でもよく、可視領域の副吸収を抑
える観点からは単環が好ましい。
芳香族複素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ピロール環、チオフェ
ン環、ピラゾール環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾー
ル環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、ピロロイミダゾール環、
ピロロピロール環、チエノピロール環、フロピロール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾ
イソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピ
ラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、
が挙げられる。電子供与性の高さの観点から1個の遊離原子価を有するピリジン環、1個
の遊離原子価を有するチオフェン環が好ましい。
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、アルコ
キシ基、水酸基、アルキル基、ジロリジン環基、非ベンゼノイド芳香族環基、ハロゲン原
子などが挙げられ、これらの中でも可視領域における副吸収を抑える観点からジアルキル
アミノ基、アルキル基、ジロリジン環基、非ベンゼノイド芳香族環基であることが好まし
い。これらの置換基の中でもジアルキルアミノ基、ジロリジン環基、非ベンゼノイド芳香
族環基のような、平面性が高く、電子リッチな置換基であれば、近赤外領域の遮蔽性が良
好で、可視領域の副吸収が抑えられる効果が高くなる傾向があり好ましい。
前記式(1)におけるAは、置換基を有していてもよい芳香族環基であるが、長波長化
の観点から、該置換基のHammett定数のσp値がゼロより小さい値であることが好
ましい。
Hammett定数σpとしては、Chem.Rev.91巻、165-195頁(1
991年)に掲載されている値を用い、置換位置に関わらず、前記文献中のσpのデータ
を用いて定義する。
前記置換基のHammett定数のσp値は、-0.40以下が好ましく、-0.50
以下がより好ましく、-0.55以下がさらに好ましく、また、-0.90以上が好まし
く、-0.87以上がより好ましく、-0.85以上がさらに好ましい。前記下限値以上
とすることで所望の長波長化できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで近赤
外領域の吸収の位置のチューニングができる傾向がある。
前記置換基としては、例えば、以下のものが挙げられる。( )内の数値はHamme
tt定数のσp値を表す。メチルアミノ基(-0.70)、エチルアミノ基(-0.61
)などの炭素数1~12のモノアルキルアミノ基;フェニルアミノ基(-0.56)など
の炭素数6~15のモノアリールアミノ基;ジメチルアミノ基(-0.83)、ジエチル
アミノ基(-0.72)などの炭素数2~20のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ
基(-0.67)などの炭素数12~30のジアリールアミノ基。
<スクアリリウム系化合物(a1)>
スクアリリウム系化合物(a)の中でも、近赤外領域を少ない種類のスクアリリウム系
化合物で遮蔽する観点から、下記一般式(2)で表される化学構造を有するスクアリリウ
ム系化合物(以下、「スクアリリウム系化合物(a1)」と称する場合がある。)が好ま
しい。
Figure 2022131095000004
(式(2)中、R1は前記一般式(1)のものと同義である。
2~R5は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、又は
置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。R2~R5のうち少なくともいずれか2つが
結合して環を形成していてもよい。
6及びR7は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は水酸基を表す。)
(R2~R5
前記式(2)中、R2~R5は各々独立に、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基
、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状、又はそれらを組み合わせたもの
のいずれでもよく、四角酸部との立体障害を避ける観点から直鎖状のものであることが好
ましい。
脂肪族炭化水素基の炭素数は特に限定されないが、1以上が好ましく、2以上がより好
ましく、3以上がさらに好ましく、4以上が特に好ましく、また、10以下が好ましく、
8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで単離がし
やすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで有機溶媒への溶解性が良好と
なる傾向がある。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニルが挙げら
れる。溶解性の観点からはアルキル基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、1-プロピル基、2-プロ
ピル基、1-ブチル基、1-ペンチル基、1-へキシル基、1-オクチル基が挙げられる
。インドレニル基から誘導される特定の基の安定性の観点から炭素数3~6のアルキル基
が好ましく、1-ブチル基、1-ペンチル基、1-ヘキシル基がより好ましく、1-ブチ
ル基がさらに好ましい。
脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、水酸基、ジアルキルア
ミノ基、アルコキシ基、エチレングリコール基、フッ素原子が挙げられる。安定性の観点
から無置換であることが好ましい。
一方で、芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基や芳香族複素環基が挙げられ、可視
領域の副吸収を抑える観点から芳香族炭化水素環基が好ましい。
芳香族環基の炭素数は特に限定されないが、5以上が好ましく、6以上がより好ましく
、また、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、7以下がさらに好ましい。前記下
限値以上とすることでスクアリリウム系化合物の安定性が良好となる傾向があり、また、
前記上限値以下とすることで近赤外領域の極大吸収波長を所望なものにできる傾向がある
芳香族炭化水素環基における環としては、単環でも縮合環でもよく、可視領域の副吸収
を抑える観点からは単環が好ましい。
芳香族炭化水素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフ
タレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、
ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、
フルオレン環が挙げられる。可視領域の副吸収を抑える観点から1個の遊離原子価を有す
るベンゼン環が好ましい。
芳香族複素環基における環としては、単環でも縮合環でもよく、可視領域の副吸収を抑
える観点からは単環が好ましい。
芳香族複素環基としては例えば、1個の遊離原子価を有する、ピロール環、ピラゾール
環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、イソオキサ
ゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピロール環
、チエノピロール環、フロピロール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾイソオキサゾール
環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダ
ジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環などの基が挙げられ
る。これらの中でも近赤外領域の吸収極大を調整できる観点から1個の遊離原子価を有す
るピロール環、チオフェン環が好ましい。
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、水酸基
、ジロリジン環基、アルコキシ基、アルキル基、フッ素原子が挙げられる。近赤外領域の
極大吸収波長を所望なものにできるとの観点から無置換であることが好ましい。
2~R5のうち少なくともいずれか2つが結合して環を形成していてもよく、例えば、
以下のものが挙げられる。
Figure 2022131095000005
(R6及びR7
前記式(2)中、R6及びR7は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は水酸基を表
す。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げ
られる。四角酸上の水酸基との水素結合の観点からはフッ素原子が好ましい。
6及びR7としては、前記式(2)の平面性を保ち、効果的に吸収領域を長波長化する
観点から、水素原子又は水酸基が好ましい。
以下にスクアリリウム系化合物(a)の具体例を挙げる。スクアリリウム系化合物(a
)は以下のように共鳴構造を複数書くことができるが、これらは特に断らない限り同義で
ある。
Figure 2022131095000006
Figure 2022131095000007
Figure 2022131095000008
スクアリリウム系化合物(a)が有する吸収極大の極大吸収波長は特に限定されないが
、680nm以上が好ましく、700nm以上がより好ましく、710nm以上がさらに
好ましく、720nm以上が特に好ましく、また、950nm以下が好ましく、920n
m以下がより好ましく、900nm以下がさらに好ましく、880nm以下がよりさらに
好ましく、860nm以下がことさらに好ましく、840nm以下が特に好ましい。前記
下限値以上とすることで必要な近赤外領域の長波長領域を遮蔽できる傾向があり、また、
前記上限値以下とすることで近赤外領域の短波長領域を遮蔽できる傾向がある。
スクアリリウム系化合物(a)の吸収極大におけるモル吸光係数は、好ましくは,8.
0×10以上、より好ましくは、8.5×10以上、特に好ましくは、9.0×10
以上であり、上限は特に限定されないが、通常、2.0×10以下である。
スクアリリウム系化合物(a)が吸収極大を2つ以上有する場合、その各吸収極大の極
大吸収波長の差は15nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましく、50nm以上
がさらに好ましく、また、200nm以下が好ましく、180nm以下がより好ましく、
150nm以下がさらに好ましく、120nm以下がよりさらに好ましく、100nm以
下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで、複数の吸収極大を活かした色素配合が
可能となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで近赤外領域を遮蔽するのに必
要な色素数を減らすことができる傾向がある。
スクアリリウム系化合物(a)が吸収極大を2つ以上有する場合、最も短波長側の吸収
極大の極大吸収波長は特に限定されないが、670nm以上が好ましく、680nm以上
がより好ましく、700nm以上がさらに好ましく、720nm以上が特に好ましく、ま
た、800nm以下が好ましく、770nm以下がより好ましく、750nm以下がさら
に好ましい。前記下限値以上とすることで短波長側の近赤外領域を遮蔽できる傾向があり
、また、前記上限値以下とすることで可視領域における副吸収を抑制できる傾向がある。
スクアリリウム系化合物が吸収極大を2つ以上有する場合、最も長波長側の吸収極大の
極大吸収波長は特に限定されないが、800nm以上が好ましく、850nm以上がより
好ましく、870nm以上がさらに好ましく、また、950nm以下が好ましく、930
nm以下がより好ましく、920nm以下がさらに好ましく、900nm以下がよりさら
に好ましく、880nm以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで長波長側の近
赤外領域を遮蔽できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで近赤外領域を遮蔽
するのに必要な色素数を減らすことができる傾向がある。
スクアリリウム系化合物が吸収極大を2つ以上有する場合、近赤外領域の全領域を遮蔽
する観点から、前記吸収極大同士の少なくとも一部が互いに重なっていることが好ましい

スクアリリウム系化合物(a)は、公知の方法で製造することができる。例えばTop
.Heterocycl.Chem.14,133-181(2008)に記載の方法に
準じて製造することができる。
<スクアリリウム系化合物(b)>
本発明の色素組成物は、前記スクアリリウム系化合物(a)以外のスクアリリウム系化
合物(b)を含み、前記スクアリリウム系化合物(b)の波長680~900nmに吸収
極大を有し、吸収極大におけるモル吸光係数が1.0×10以上である。
近赤外領域の波長帯は広いため、前記スクアリリウム系化合物(a)と、波長680~
900nmに吸収極大を有し、前記吸収極大におけるモル吸光係数が1.0×10以上
であるスクアリリウム系化合物(b)を組み合わせて用いることにより、可視領域の透過
率を維持しつつ、波長680~900nmの近赤外線の遮蔽性を良好なものとすることが
可能となる。
スクアリリウム系化合物は、分子間会合(J会合)することでシャープな発色が発現す
ることから、スクアリリウム系化合物同士の混合が好ましい。
可視領域の透過率を上げる観点から、スクアリリウム系化合物(b)の吸収極大におけ
るモル吸光係数は、通常、1.0×10以上であり、1.7×10以上が好ましく、
1.75×10以上がより好ましく、1.8×10以上がさらに好ましい。また、上
限値は特に限定されないが、通常、4.0×10以下である。
スクアリリウム系化合物(b)が波長680~900nmに吸収極大を有し、前記吸収
極大におけるモル吸光係数を1.0×10以上とするためには、例えば、該スクアリリ
ウム系化合物(b)の骨格構造に、縮合環からなる強い電子供与性基を有させることが挙
げられる。縮合環からなる強い電子供与性基を付与することにより、スクアリリウム系化
合物(b)の骨格構造における置換基の分子内振動が抑えられ、スクアリリウム系化合物
(b)のモル吸光係数を上げることが可能となる。
スクアリリウム系化合物(b)としては、例えば、以下のスクアリリウム系化合物が挙
げられる。
Figure 2022131095000009
Figure 2022131095000010
スクアリリウム系化合物(b)としては、例えば、王子化学社製:SK01、SK01
C、SI-14、東京化成社製:B4649が挙げられる。
スクアリリウム系化合物(b)は、1種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせ
て用いてもよいが、波長680~900nmの近赤外線を遮蔽する観点から、2種類以上
を組み合わせて用いることが好ましい。
スクアリリウム系化合物(b)を2種類以上組み合わせて用いる場合、例えば、スクア
リリウム系化合物(b)に該当するスクアリリウム系化合物(b1)と、スクアリリウム
系化合物(b1)以外のスクアリリウム系化合物(b)(以下、スクアリリウム系化合物
(b2)と称する。)を組みあわせて用いることが好ましく、吸収極大が異なる波長領域
に存在するスクアリリウム系化合物(b1)及びスクアリリウム系化合物(b2)を組み
合わせて用いることがより好ましく、例えば、吸収極大を波長840~900nmの範囲
に有するスクアリリウム系化合物(b1)と、吸収極大を波長680~740nmの範囲
に有するスクアリリウム系化合物(b2)を併用することが特に好ましい。
<スクアリリウム系化合物(c)>
本発明の色素組成物は、前記スクアリリウム系化合物(a)及び前記スクアリリウム系
化合物(b)以外のスクアリリウム系化合物(c)を含んでもよく、前記スクアリリウム
系化合物(c)は波長650~680nmに吸収極大を有し、前記吸収極大におけるモル
吸光係数は1.5×10以上であることが好ましい。
本発明の色素組成物はスクアリリウム系化合物(c)を含むことにより、波長600n
m未満の可視領域の透過率を損なうことなく、波長600nm以上の可視領域を遮蔽する
ことができる傾向がある。
スクアリリウム系化合物(c)の前記吸収極大におけるモル吸光係数は、波長600n
m未満の可視領域の透過性の観点から、1.0×10以上がより好ましく、1.5×1
以上がさらに好ましい。また、上限値は特に限定されないが、通常、4.0×10
以下である。
スクアリリウム系化合物(c)が波長650~680nmに吸収極大を有し、前記吸収
極大におけるモル吸光係数を1.5×10以上とするためには、例えば、スクアリリウ
ム系化合物(c)の骨格構造に、シアノ基、ニトロ基などの強い電子吸引性基をもつ縮合
環芳香族複素環を有させる、又は、置換基を有していてもよいアミノ基をもつ芳香族炭化
水素環を有させることが挙げられる。
スクアリリウム系化合物(c)としては、例えば、以下のスクアリリウム系化合物が挙
げられる。
Figure 2022131095000011
スクアリリウム系化合物(c)としては、例えば、王子化学社製:SN08、東京化成
社製:B4342が挙げられる。
スクアリリウム系化合物(c)は、1種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせ
て用いてもよい。
本発明の色素組成物におけるスクアリリウム系化合物(a)の含有割合は特に限定され
ないが、色素組成物の全固形分中に0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がよ
り好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、また、8質量%以下が好ましく、7質
量%以下がより好ましく、6質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで
色素組成物中での色素の安定性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすること
で色素析出が起こりにくい傾向がある。
本発明の色素組成物におけるスクアリリウム系化合物(b)の含有割合は特に限定され
ないが、色素組成物の全固形分中に0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がよ
り好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、また、8質量%以下が好ましく、7質
量%以下がより好ましく、6質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで
色素組成物中での色素の安定性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすること
で色素析出が起こりにくい傾向がある。
本発明の色素組成物におけるスクアリリウム系化合物(a)に対するスクアリリウム系
化合物(b)の配合割合は特に限定されないが、スクアリリウム系化合物(a)100質
量部に対して、スクアリリウム系化合物(b)は10質量部以上が好ましく、20質量部
以上がより好ましく、30質量部以上がさらに好ましく、また、200質量部以下が好ま
しく、150質量部以下がより好ましく、130質量部以下がさらに好ましい。前記下限
値以上とすることで吸収スペクトルのバランスがとれる傾向があり、また、前記上限値以
下とすることで近赤外領域において必要な吸収が得られる傾向がある。
本発明の色素組成物がスクアリリウム系化合物(b1)を含む場合、スクアリリウム系
化合物(b1)の含有割合は特に限定されないが、色素組成物の全固形分中に0.1質量
%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好まし
く、また、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下
がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで色素組成物中での色素の安定性が向上す
る傾向があり、また、前記上限値以下とすることで色素析出が起こりにくい傾向がある。
本発明の色素組成物がスクアリリウム系化合物(b2)を含む場合、スクアリリウム系
化合物(b2)の含有割合は特に限定されないが、色素組成物の全固形分中に0.1質量
%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好まし
く、また、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下
がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで色素組成物中での色素の安定性が向上す
る傾向があり、また、前記上限値以下とすることで色素析出が起こりにくい傾向がある。
本発明の色素組成物がスクアリリウム系化合物(c)を含む場合、スクアリリウム系化
合物(c)の含有割合は特に限定されないが、色素組成物の全固形分中に0.1質量%以
上が好ましく、0.15質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上がさらに好ましく
、また、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が
さらに好ましい。前記下限値以上とすることで色素組成物中での色素の安定性が向上する
傾向があり、また、前記上限値以下とすることで色素析出が起こりにくい傾向がある。
本発明の色素組成物は、前記スクアリリウム系化合物以外に、必要に応じてさらに他の
成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、その他の色素、樹脂、溶剤等が
挙げられる。
その他の色素としては、例えば、スクアリリウム系化合物(a)、スクアリリウム系化合
物(b)及びスクアリリウム系化合物(c)以外のスクアリリウム系化合物(以下、「そ
の他のスクアリリウム系化合物」と称する場合がある。)が挙げられる。
<その他のスクアリリウム系化合物>
本発明の色素組成物は、その他のスクアリリウム系化合物をさらに含んでいてもよい。
その他のスクアリリウム系化合物が有する極大吸収波長は特に限定されないが、700
nm以上が好ましく、720nm以上がより好ましく、730nm以上がさらに好ましく
、また、870nm以下が好ましく、850nm以下がより好ましく、830nm以下が
さらに好ましい。前記下限値以上とすることでスクアリリウム系化合物(a)、スクアリ
リウム系化合物(b)及びスクアリリウム系化合物(c)だけでは十分に遮蔽できない領
域の遮蔽性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで近赤外領域を遮
蔽するのに必要な色素の種類数を減らすことができる傾向がある。
本発明の色素組成物がその他のスクアリリウム系化合物を含有する場合、その含有割合
は特に限定されないが、色素組成物の全固形分中に0.1質量%以上が好ましく、0.2
質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましく、また、10質量%以下
が好ましく、8質量%以下がより好ましく、7質量%以下がさらに好ましい。前記下限値
以上とすることで色素組成物中での色素の安定性が向上する傾向があり、また、前記上限
値以下とすることで色素析出が起きにくい傾向がある。
<樹脂>
本発明の色素組成物は、樹脂を含有してもよい。樹脂としては、特に限定されるもので
はないが、例えば、(メタ)アクリル系樹脂(PMMA等)、ポリアミド系樹脂、ポリウ
レタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂が挙げられる。色素組成物
中での色素の安定性の観点から、(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。
本発明の色素組成物が樹脂を含有する場合、樹脂の含有割合は特に限定されないが、全
固形分中に90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、97質量%以上
がさらに好ましく、また、99.99質量%以下が好ましく、99.9質量%以下がより
好ましく、99.5質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで成膜性が
向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで信頼性が向上する傾向がある。
<溶剤>
本発明の色素組成物は、溶剤を含有していてもよい。溶剤としては、特に限定されるも
のではないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のアルカン
類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアル
カン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、ヘキサノール、ヘ
プタノール、オクタノール、デカノール、ウンデカノール、ジアセトンアルコール、フル
フリルアルコール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロ
ソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ類;
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、
プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルア
セテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール
モノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のプロピレ
ングリコール類;アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等
のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸ブチル、酢酸アミル
、酪酸エチル、酪酸ブチル、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル-2-ヒ
ドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシ
プロピオン酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン
等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等の高極性溶剤類が挙
げられる。
本発明の色素組成物が溶剤を含有する場合、溶剤の含有割合は特に限定されないが、7
0質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ま
しく、また、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、92質量%以
下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで溶液安定性が良好となる傾向があり、
また、前記上限値以下とすることで塗膜の性能が向上する傾向がある。
[2]膜
次に、本発明の膜について説明する。本発明の膜は、上述した本発明の色素組成物を用
いて形成したものである。
本発明の膜は、近赤外領域の遮蔽性と可視領域の透過性に優れるので、近赤外線カット
フィルタとして好ましく用いることができる。また、本発明の膜は、赤外線透過フィルタ
や熱線遮蔽フィルタとして用いることもできる。本発明の膜は、パターンを有していても
よく、パターンを有さない膜(平坦膜)であってもよい。また、本発明の膜は、支持体上
に積層して用いてもよく、支持体から剥離して用いてもよい。
本発明の膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。膜厚は、25μm以下が好ましく
、20μm以下がより好ましく、15μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、1μm
以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましい。前記下限値
以上であれば、信頼性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下であれば、色素析出
が起きにくい傾向がある。
本発明の膜は、カラーフィルタと組み合わせて用いることもできる。
本発明において、近赤外線カットフィルタとは、可視領域の波長の光(可視光)を透過
させ、近赤外領域の波長の光(近赤外線)の少なくとも一部を遮光するフィルタを意味す
る。近赤外線カットフィルタは、可視領域の波長の光をすべて透過するものであってもよ
く、可視領域の波長の光のうち、特定の波長領域の光を通過させ、特定の波長領域の光を
遮光するものであってもよい。また、本発明において、カラーフィルタとは、可視領域の
波長の光のうち、特定の波長領域の光を通過させ、特定の波長領域の光を遮光するフィル
タを意味する。また、赤外線透過フィルタとは、可視領域の波長の光を遮光し、近赤外領
域の波長の光(近赤外線)の少なくとも一部を透過させるフィルタを意味する。
本発明の膜を、近赤外線カットフィルタとして用いる場合、本発明の膜は、波長650
~1500nmの範囲に極大吸収波長を有することが好ましい。また、近赤外線カットフ
ィルタの近赤外線遮蔽性の好ましい範囲は用途によって異なるが、波長650~1500
nmの範囲の少なくとも1点での透過率が20%以下であることが好ましく、15%以下
がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。
本発明の膜を、近赤外線カットフィルタとして用いる場合、波長380~600nmの
平均透過率が60%以上であることが好ましく、62%以上であることがより好ましく、
63%以上であることがさらに好ましい。上限は特に限定されないが、通常は100%以
下である。
本発明の膜を、近赤外線カットフィルタとして用いる場合、波長680~900nmの
平均透過率が13%以下であることが好ましく、12%以下であることがより好ましい。
下限は特に限定されないが、通常0%以上である。
本発明の膜を近赤外線カットフィルタとして用いる場合、本発明の膜の他に、更に、銅
を含有する層、誘電体多層膜、紫外線吸収層などを有していてもよい。
本発明の膜を、近赤外線カットフィルタまたは赤外線透過フィルタとして用いる場合、
近赤外線カットフィルタと赤外線透過フィルタとを組み合わせて用いることもできる。近
赤外線カットフィルタと、赤外線透過フィルタとを組み合わせて用いることで、特定波長
の赤外線を検出する赤外線センサの用途に好ましく用いることができる。両者のフィルタ
を組み合わせて用いる場合、近赤外線カットフィルタおよび赤外線透過フィルタの両方を
本発明の色素組成物を用いて形成することもでき、いずれか一方のみを、本発明の色素組
成物を用いて形成することもできる。
本発明の膜は、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの
固体撮像素子や、赤外線センサ、画像表示装置などの各種装置に用いることができる。
[3]光学フィルタ
次に、本発明の光学フィルタについて説明する。本発明の光学フィルタは、上述した本
発明の膜を有する。本発明の光学フィルタは、近赤外線カットフィルタおよび赤外線透過
フィルタから選ばれる少なくとも1種として好ましく用いることができる。
[4]積層体
本発明の積層体は、本発明の膜と、カラーフィルタとを有する。本発明の積層体は、本
発明の膜と、カラーフィルタとが厚み方向で隣接していてもよく、隣接していなくてもよ
い。本発明の膜と、カラーフィルタとが厚み方向で隣接していない場合は、カラーフィル
タが形成された基材とは別の基材に本発明の膜が形成されていてもよく、本発明の膜とカ
ラーフィルタとの間に、固体撮像素子を構成する他の部材(例えば、マイクロレンズ、平
坦化層など)が介在していてもよい。
[5]固体撮像素子
本発明の固体撮像素子は、上述した本発明の膜を有する。本発明の固体撮像素子の構成
としては、本発明の膜を有する構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特
に限定はない。例えば、以下のような構成が挙げられる。
支持体上に、固体撮像素子の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリ
シリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオ
ードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面
およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス
保護膜を有し、デバイス保護膜上に、本発明の膜を有する構成である。さらに、デバイス
保護膜上であって、本発明の膜の下(支持体に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレ
ンズ等。以下同じ)を有する構成や、本発明の膜上に集光手段を有する構成等であっても
よい。また、カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各色画素
を形成する硬化膜が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は各色画素に
対して低屈折率であることが好ましい。このような構造を有する撮像装置としては、例え
ば、特開2012-227478号公報、特開2014-179577号公報に記載の装
置が挙げられる。
[6]画像表示装置
本発明の膜は、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置な
どの画像表示装置に用いることもできる。例えば、本発明の膜を、画像表示装置のバック
ライト(例えば白色発光ダイオード(白色LED))に含まれる赤外光を遮断する目的、
周辺機器の誤作動を防止する目的、各着色画素に加えて赤外の画素を形成する目的で用い
ることができる。
画像表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著
、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産
業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、
例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年
発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば
、前記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に
適用できる。
画像表示装置は、白色有機EL素子を有するものであってもよい。白色有機EL素子と
しては、タンデム構造であることが好ましい。有機EL素子のタンデム構造については、
開2003-45676号公報、三上明義監修、「有機EL技術開発の最前線-高輝度・
高精度・長寿命化・ノウハウ集-」、技術情報協会、326-328ページ、2008年
などに記載されている。有機EL素子が発光する白色光のスペクトルは、青色領域(43
0nm-485nm)、緑色領域(530nm-580nm)及び黄色領域(580nm
-620nm)に強い極大発光ピークを有するものが好ましい。これらの発光ピークに加
え更に赤色領域(650nm-700nm)に極大発光ピークを有するものがより好まし
い。
[7]赤外線センサ
本発明の赤外線センサは、上述した本発明の膜を有する。本発明の赤外線センサの構成
としては、本発明の膜を有する構成であり、赤外線センサとして機能する構成であれば特
に限定はない。例えば、特開2018-45011号公報の[0201]~[0207]
に記載の態様が挙げられる。
[8]指紋認証用センサ
本発明の指紋認証用センサは、上述した本発明の膜を有する。本発明の指紋認証用セン
サの構成としては、本発明の膜を有する構成であり、指紋認証用センサとして機能する構
成であれば特に限定はない。例えば、中国特許公開第111066032号、特開202
0-009397号公報の段落[0081]~[0098]、[図7]~[図9]に記載
の態様が挙げられる。
以下、本発明の色素組成物について、具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はそ
の要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例1:化合物3の合成)
Figure 2022131095000012
化合物1(5.0g)と化合物2(4.39g)にトルエン500mLを加え、3時間
110℃で還流した。50℃以下まで冷却した後、減圧濃縮し、得られた粗生成物に酢酸
80mL、水80mL、12N濃塩酸4mLを加え、110℃で2時間激しく撹拌した。
室温まで冷却した後、一晩放置し、得られた沈殿をクロロホルム洗浄した後、減圧乾燥さ
せ、化合物3を4.6g得た。
(合成例2:化合物5の合成)
Figure 2022131095000013
化合物1の代わりに化合物4を用いた以外は合成例1と同様にして、化合物5を3.8
g得た。
(合成例3:スクアリリウム系化合物(a)-1の合成)
Figure 2022131095000014
化合物3(200mg)と化合物18(250mg)をトルエン20mLとn―ブタノ
ール20mLの混合溶媒に加え、125℃でディーンスターク法により3時間加熱撹拌し
た。加熱の途中に、3回、トルエン20mLを添加した。室温まで冷却した後、得られた
固体をエーテルで洗浄し、乾燥した後、スクアリリウム系化合物(a)-1を195mg
で得た。
(合成例4:スクアリリウム系化合物(a)-2の合成)
Figure 2022131095000015
化合物3の代わりに化合物5を用いた以外は合成例3と同様にして、スクアリリウム系
化合物(a)-2を202mg得た。
(合成例5:比較化合物1の合成)
Figure 2022131095000016
化合物19(200mg)と化合物20(53mg)をトルエン20mLとn―ブタノ
ール20mLの混合溶媒に加え、125℃でディーンスターク法により3時間加熱撹拌し
た。加熱の途中に、3回、トルエン20mLを添加した。室温まで冷却した後、得られた
固体をエーテルで洗浄し、乾燥した後、比較化合物1を209mgで得た。
(合成例6:比較化合物2の合成)
Figure 2022131095000017
化合物15(200mg)と化合物19(178mg)をトルエン20mLとn-ブタ
ノール20mLの混合溶媒に加え、125℃でディーンスターク法により3時間加熱撹拌
した。加熱の途中に、3回、トルエン20mLを添加した。室温まで冷却した後、得られ
た固体をエーテルで洗浄し、乾燥後、比較化合物2を268mgで得た。
<スクアリリウム系化合物(b)>
SK01:王子化学社製「SK01」(波長680~900nmにおける吸収極大のモ
ル吸光係数が1.2×10
SK01C:王子化学社製「SK01C」(波長680~900nmにおける吸収極大
のモル吸光係数が1.9×10
SI-14:王子化学社製「SI-14」(波長680~900nmにおける吸収極大
のモル吸光係数が3.9×10
<スクアリリウム系化合物(c)>
SN08:王子化学社製「SN08」(波長650~680nmにおける吸収極大のモ
ル吸光係数が3.6×10
<モル吸光係数の測定>
各スクアリリウム系化合物(b)及びスクアリリウム系化合物(c)の吸収極大波長、
吸収極大におけるモル吸光係数はJIS K 0115(2004)に準拠し、紫外可視
近赤外分光光度計(日本分光社製、、JASCO V-770)を用いて、25℃、クロ
ロホルム溶媒中で測定し、算出した。
<スクアリリウム系化合物(a)及び比較化合物1、2の光学特性の評価>
スクアリリウム系化合物(a)-1、(a)-2、及び比較化合物1、2について、紫
外可視近赤外分光光度計(日本分光社製、JASCO V-770)を使用し、最大吸収
波長での吸光度が1になるように溶液調整したテトラヒドロフラン溶液を作製し、吸収ス
ペクトルを測定した。吸収スペクトルから読み取った吸収極大の数と、各吸収極大の極大
吸収波長の結果を表1に示す。
Figure 2022131095000018
<色素組成物及び近赤外線カットフィルタの作製>
テトラヒドロフランと1-メトキシー2-プロパノールを質量比4:6の割合で混合し
た溶液90gにダイヤナールBR-80(三菱ケミカル社製)10gを溶解させ、表2に
記載の各スクアリリウム系化合物を添加してよく攪拌し、実施例1、実施例2、比較例1
及び比較例2の各色素組成物を作製した。
得られた各色素組成物をポリエチレンテレフタレート製フィルム上に塗布し、90℃
で2分間乾燥し、厚さ3μmの膜を形成し、近赤外線カットフィルタを作製した。
Figure 2022131095000019
次に、作製した近赤外線カットフィルタを分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製、
U4100)で波長380~1000nmの範囲の透過率スペクトルを測定した。実施例
1、実施例2、比較例1及び比較例2の測定スペクトルを図1に示す。
次に、実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2について、得られた透過率スペクト
ルから、以下に定義されるT(680-900nm)、T(380-600nm)の透過
率の結果を表3に示した。
T(680-900nm):波長680~900nmの1nm刻みの透過率の平均値。
T(380-600nm):波長380~600nmの1nm刻みの透過率の平均値。
Figure 2022131095000020
表3から明らかなように、T(680-900nm)の値から、近赤外線吸収性は実施
例1、実施例2及び比較例1ともに同程度であるが、T(380-600nm)の値から
可視光透過性は実施例1及び実施例2の方が比較例1よりも高かった。可視光透過性は実
施例1、実施例2及び比較例2と同程度であるが、近赤外線吸収性は実施例1及び実施例
2の方が比較例2よりも高かった。このように、実施例1及び実施例2の近赤外線カット
フィルタは、波長680~900nmの近赤外線の遮蔽性と可視領域における透過性が両
立可能であることが分かる。
実施例1及び実施例2の近赤外線カットフィルタは、スクアリリウム系化合物(a)及
び波長680~900nmに吸収極大を有し、前記吸収極大におけるモル吸光係数が1.
0×10以上であるスクアリリウム系化合物(b)を含む。スクアリリウム系化合物(
a)は近赤外領域に強い吸収を示すユニットである、芳香族環基と、インドレニル基から
誘導される特定の基を持つことで、それぞれのユニットに由来する吸収極大を近赤外領域
に有する、つまり、近赤外領域において吸光度が高く幅広な吸収帯を有するものとなるこ
とから、近赤外領域の全領域を遮蔽するのに必要なスクアリリウム系化合物の種類数を3
種又は4種で構築できたと考えられる。さらに近赤外領域のモル吸光係数が大きいことで
、添加量を抑制でき、可視領域の光透過率に影響する不溶解物や不純物の混入が抑制でき
たため、可視領域の光線透過率が高くなったと考えられる。
また、波長680~900nmに吸収極大を有し、前記吸収極大におけるモル吸光係数
が大きいスクアリリウム系化合物(b)を用いることで、所望の近赤外線の遮蔽性を、少
ない色素添加量で実現できる。そのため、可視光透過率を下げる原因となる不溶解物や不
純物の混入が大幅に抑えられるため、可視領域の光線透過率を向上させることができると
考えられる。
実施例1では、波長680~900nmにおける吸収極大のモル吸光係数がより大きい
スクアリリウム系化合物(b)を用いたことにより、色素添加量を増やしても、近赤外線
の遮蔽性を向上させつつ、可視領域の光線透過率を維持できている。また、波長680~
700nmの光の遮蔽性も向上させることが可能となった。

Claims (13)

  1. 下記一般式(1)で表される化学構造を有するスクアリリウム系化合物(a)及び前記
    スクアリリウム系化合物(a)以外のスクアリリウム系化合物(b)を含み、
    前記スクアリリウム系化合物(b)が波長680~900nmに吸収極大を有し、前記
    吸収極大におけるモル吸光係数が1.0×10以上である、色素組成物。
    Figure 2022131095000021
    (式(1)中、R1は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、又は置換基を有して
    いてもよい芳香族環基を表す。
    式(1)中のナフタレン環は、任意の置換基を有していてもよく、さらに縮合環を形成
    していてもよい。
    Aは置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。)
  2. 前記スクアリリウム系化合物(a)が、吸収スペクトルにおいて吸収極大を2つ以上有
    する、請求項1に記載の色素組成物。
  3. 前記吸収極大同士の少なくとも一部が互いに重なっている、請求項2に記載の色素組成
    物。
  4. 前記スクアリリウム系化合物(b)の吸収極大におけるモル吸光係数が1.7×10
    以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の色素組成物。
  5. 前記スクアリリウム系化合物(b)が、スクアリリウム系化合物(b1)及び前記スク
    アリリウム系化合物(b1)以外のスクアリリウム系化合物(b2)を含む、請求項1~
    4のいずれか1項に記載の色素組成物。
  6. さらに、波長650~680nmに吸収極大を有し、前記吸収極大におけるモル吸光係
    数が1.5×10以上であるスクアリリウム系化合物(c)を含む、請求項1~5のい
    ずれか1項に記載の色素組成物。
  7. さらに、樹脂を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の色素組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の色素組成物を用いて形成した膜。
  9. 膜厚が10μm以下である、請求項8に記載の膜。
  10. 請求項8又は9に記載の膜を有する光学フィルタ。
  11. 請求項8又は9に記載の膜を有する画像表示装置。
  12. 請求項8又は9に記載の膜を有する赤外線センサ。
  13. 請求項8又は9に記載の膜を有する指紋認証用センサ。
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