JP6645930B2 - エアポンプ装置及びシート装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エアポンプ装置及びシート装置に関するものである。
従来、車両用のシート装置には、例えば、特許文献1に記載のように、シートの内側に設けられた空気袋(ブラダ)を拡縮させることにより、そのシートのサポート形状を変更可能なものがある。また、例えば、特許文献2に記載のシート装置は、その拡縮する空気袋がシート表皮を内側から押圧する。そして、これにより、そのシートに着座する乗員にマッサージ効果を付与する構成になっている。
また、通常、このようなシート装置は、モータを駆動源とするエアポンプ装置を用いて空気を圧送することにより、その空気袋を拡張させる構成になっている。そして、特許文献2には、エアポンプ装置の作動により生ずる振動や音の影響を抑えるべく、そのエアポンプ装置を車両後部のトランクルーム内に配置する構成が開示されている。
特開2010−235021号公報 特開2006−198071号公報
しかしながら、上記従来技術の構成では、エアポンプ装置を安定して動作させることが可能な設置スペースをトランクルーム内に確保する必要がある。更に、そのエアポンプ装置と空気袋との間を接続する空気の流路が長くなる。そして、これにより、その流路を構成するチューブの配索作業が煩雑になるとともに、併せて、その保護が必要となるという問題が生ずる。このため、従来、その空気袋とともにシートの内側に配置できるようなコンパクトで静粛性に優れたエアポンプ装置の開発が求められていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、車両のシートに対する搭載性及び静粛性に優れたエアポンプ装置及びシート装置を提供することにある。
上記課題を解決するエアポンプ装置は、ポンプ機構と該ポンプ機構を駆動するモータとが一体に設けられた電動ポンプユニットと、前記電動ポンプユニットを収容するケースと、前記電動ポンプユニットと前記ケースとの間に介在される防振部材と、を備え、前記電動ポンプユニットは、前記モータの軸線方向に前記ポンプ機構が設けられたものであり、前記ポンプ機構は、前記モータの軸線方向において該モータとは反対側の軸方向端部に吸入口及び吐出口を有するものであって、前記防振部材は、前記モータの軸線方向において前記電動ポンプユニットと該電動ポンプユニットに対向する前記ケースの壁部との間に介在される第1及び第2の軸方向防振部を備えるとともに、第1の軸方向防振部は、前記吸入口を覆うことにより、前記ポンプ機構のエアフィルタとして機能するエアポンプ装置であって、前記エアポンプ装置とシートとの間に介在される防振装置をさらに備え、前記防振装置は、前記エアポンプ装置側に固定される第1のブラケットと、前記シート側に固定される第2のブラケットと、前記第1及び第2のブラケット間に介在される弾性部材と、前記弾性部材に設けられた貫通孔に挿通される支持軸と、を備えるとともに、前記第1及び第2のブラケットの一方側は、前記弾性部材の外周面に係合し、前記第1及び第2のブラケットの他方側は、前記支持軸の軸方向及び径方向に前記弾性部材が弾性変形可能な状態で、前記支持軸及び弾性部材を係止する
即ち、モータの軸線方向にポンプ機構を配置するとともに、そのポンプ機構の吐出口を軸方向端部に配置することで、シートに対する優れた搭載性を実現することができる。例えば、そのモータの軸線方向に延びる電動ポンプユニットの長尺形状をシートのサイドフレームに沿って配置することにより、シートの内部空間を効率よく利用することができる。そして、ポンプ機構の吐出口を軸方向端部に設けることにより、空気の流路を形成するチューブの取り回しを容易に行うことができる。
また、電動ポンプユニットの形状をモータの軸線方向に沿った長尺形状とすることにより、ケース内において、その電動ポンプユニットが軸方向に変位しやすくなる。しかしながら、上記構成によれば、そのモータの軸線方向において電動ポンプユニットとケース(の壁部)との間に介在された第1及び第2の軸方向防振部によって、その電動ポンプユニットの軸方向変位を吸収することができる。そして、これにより、効果的に、その電動ポンプユニットの作動により生ずる振動を抑制することができる。その結果、高い静粛性を実現することができる。
更に、第1の軸方向防振部をポンプ機構のエアフィルタとして機能させることで、構成の簡素化と軸方向長さの短縮を図ることができる。そして、これにより、組み付け性の向上及び製造コストの低減と併せ、シートに対する搭載性を更に向上させることができる。
また、第1の軸方向防振部がポンプ機構の吸入口を覆うことで吸気音の低減を図ることができる。その結果、より優れた静粛性を実現することができる。更に、ポンプ機構の吸入口を吐出口と同じ側の軸方向端部に設けることで、そのポンプ機構内における吸気経路長を長くすることができる。そして、その長い吸気経路長を活かしたサイレンサー構造(例えば、流路の内径を長さ方向に沿って拡縮する、或いは迷路構造とする等)をポンプ機構内に形成することにより、より一層、優れた静粛性を実現することができる。
上記課題を解決するエアポンプ装置は、前記防振装置は、前記エアポンプ装置の長手方向において互いに離間した位置に配置される複数の前記弾性部材を備える。
上記課題を解決するエアポンプ装置は、前記ポンプ機構は、前記モータの軸線方向に延びるシリンダを有したピストンポンプであることが好ましい。
即ち、このようなピストンポンプを用いることにより高い圧送力を確保できる反面、その軸方向長さが長くなるという問題がある。従って、このようなものに適用することで、より顕著な効果を得ることができる。
上記課題を解決するシート装置は、上記各構成のエアポンプ装置を用いてシートの内側に配置された空気袋に空気を圧送するものであることが好ましい。
本発明によれば、車両のシートに対する優れた搭載性及び静粛性を実現することができる。
内側に空気袋が設けられた車両シートの斜視図(シートサポート用)。 内側に空気袋が設けられた車両シートの斜視図(マッサージ用)。 シート装置の概略構成図。 シートバックのサイドフレーム近傍に配置されたエアポンプ装置の斜視図。 エアポンプ装置及び防振装置の平面図。 エアポンプ装置及び防振装置の側面図。 エアポンプ装置の分解斜視図。 エアポンプ装置及び防振装置の断面図(図5におけるVIII−VIII断面図)。 エアポンプ装置に用いられるピストンポンプの概略構成図。 防振装置の分解斜視図。
以下、空気圧式のシートサポート機能及びマッサージ機能を有したシート装置及びそのエアポンプ装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1及び図2に示すように、車両用のシート1は、シートクッション2と、このシートクッション2の後端部に設けられたシートバック3と、を備えている。そして、そのシートバック3の上端には、ヘッドレスト4が設けられている。
また、本実施形態のシート1において、シートバック3は、その両サイド部3a,3bが、それぞれ、前方に向かって膨出した形状を有している。更に、シートクッション2もまた、両サイド部2a,2bが、それぞれ、上方に向かって膨出した形状を有している。そして、本実施形態のシート1は、これにより、その乗員の良好な着座姿勢を確保し及びその着座姿勢を維持することが可能になっている。
また、このシート1には、シートクッション2及びシートバック3の内側で拡縮することにより、シート1の表面形状を変更する複数の空気袋10(11〜16)が設けられている。更に、このシート1には、同じくシートクッション2及びシートバック3の内側で拡縮することにより、そのシート表皮1xを内側から押圧する複数の空気袋20(21〜29)が設けられている。そして、本実施形態では、これにより、そのシート1のサポート形状を変更し、及びシート1に着座する乗員に対してマッサージ効果(リフレッシュ効果)を付与することが可能なシート装置30が形成されている。
具体的には、図1に示すように、本実施形態のシート1において、シートバック3の内側には、その背もたれ面3sの肩部(ショルダ)、腰部(ランバ)及び下端部(バックペルビス)に対応する位置に、それぞれ、独立したシートサポート用の空気袋11(11a,11b),12(12a〜12c),13が設けられている。また、シートバック3の両サイド部3a,3bに対応する位置にも、それぞれ、独立したシートサポート用の空気袋14(14a,14b)が設けられている。そして、シートクッション2についてもまた、その着座面2sにおける後端部(クッションペルビス)の内側、及び両サイド部2a,2bの内側に、それぞれ、独立したシートサポート用の空気袋15,16(16a,16b)が設けられている。
更に、図2に示すように、シートバック3の内側には、その背もたれ面3sの肩部(ショルダ)から腰部(ランバ)及び下端部(バックペルビス)にかけて、上下方向に並ぶ独立したマッサージ用(リフレッシュ用)の空気袋21〜25が設けられている。尚、本実施形態のシート1におけるマッサージ用の各空気袋20は、それぞれ、シート幅方向に離間して配置される一対の袋体が一体に拡縮するように互い接続された構造を有している。そして、シートクッション2についてもまた、その着座面2sの下方において前後方向に並ぶ独立したマッサージ用の空気袋27〜29が設けられている。
図3に示すように、本実施形態のシート装置30は、上記各空気袋10,20に空気を圧送するエアポンプ装置41と、これらの各空気袋10,20とエアポンプ装置41との間に介在された吸排気バルブ装置42と、を備えている。本実施形態のエアポンプ装置41には、モータ43を駆動源としてポンプ機構44を駆動する電動ポンプが用いられている。更に、吸排気バルブ装置42は、可撓性を有する樹脂製のチューブ45を介して各空気袋10,20及びエアポンプ装置41に接続されている。即ち、本実施形態のシート装置30は、これらのチューブ45及び吸排気バルブ装置42の内部通路によって、その各空気袋10,20及びエアポンプ装置41に連通する空気の流路Lが形成されている。そして、本実施形態の吸排気バルブ装置42は、これにより、その吸気バルブ46及び排気バルブ47を流路Lの途中に配置する構成になっている。
また、本実施形態のシート装置30において、これらの各吸気バルブ46及び排気バルブ47、並びにエアポンプ装置41は、制御装置48によって、その作動が制御されている。具体的には、本実施形態の制御装置48には、各空気袋10,20の内圧Pや、図示しない操作スイッチに対する操作入力信号Sc、イグニッション信号Sig、及びドアロック信号Sdl等が入力される。そして、本実施形態の制御装置48は、これらの制御信号に基づいて、各空気袋10,20を拡縮させるべく、その各吸気バルブ46及び排気バルブ47、並びにエアポンプ装置41の作動を制御する構成になっている。
(エアポンプ装置)
次に、本実施形態のシート装置に設けられたエアポンプ装置について説明する。
図4〜図7に示すように、本実施形態のエアポンプ装置41は、その内側にモータ43及びポンプ機構44を収容するケース50を備えている。本実施形態のエアポンプ装置41において、このケース50は、略直方体状の外形を有している。また、このケース50は、有底略箱状の外形を有する第1及び第2のケース部材51,52を互いに嵌合させることにより形成される。そして、本実施形態のシート装置30は、このエアポンプ装置41をシート1の内側、そのシートバック3の骨格を構成するサイドフレーム3fの近傍に配置する構成になっている。
図7及び図8に示すように、本実施形態のエアポンプ装置41において、モータ43及びポンプ機構44は、そのモータ43の軸線方向(各図中、軸線Nに沿う方向)にポンプ機構44を配置する態様で、これらモータ43及びポンプ機構44が一体化された電動ポンプユニット53を構成する。尚、本実施形態のモータ43は、その軸線方向に延びる略円柱状の外形を有し、本実施形態のポンプ機構44は、略四角柱状の外形を有している。そして、本実施形態の電動ポンプユニット53は、そのモータ43の軸線Nが長手方向に沿う状態でケース50の内側に収容される構成になっている。
詳述すると、本実施形態のポンプ機構44は、モータ43の軸線方向において、このモータ43とは反対側の軸方向端部44aに空気の吸入口54を有している。具体的には、本実施形態のポンプ機構44において、この吸入口54は、略円筒状の外形を有している。そして、本実施形態のエアポンプ装置41は、このポンプ機構44の吸入口54をケース50の内側に配置する構成となっている。
また、本実施形態のポンプ機構44は、この吸入口54が設けられた側の軸方向端部44aに空気の吐出口55を有している。具体的には、本実施形態のポンプ機構44において、この吐出口55は、その軸方向端部44aから延びるチューブ56と、このチューブ56の先端に接続されるジョイント57と、を備えて構成されている。また、本実施形態のケース50には、この吐出口55が設けられたポンプ機構44の軸方向端部44aに対向する壁部50aに、貫通孔58が設けられている。更に、この貫通孔58には、ゴムブッシュ59が嵌着されている。そして、本実施形態のエアポンプ装置41は、このゴムブッシュ59に設けられた挿通孔59aを介することにより、その吐出口55を構成するチューブ56の先端側が、ケース50の外側に引き出される構成になっている。
尚、図4に示すように、本実施形態のエアポンプ装置41は、そのモータ43の軸線方向に延びる電動ポンプユニット53の長尺形状がシートバック3のサイドフレーム3fに沿うように配置される。そして、これにより、その吐出口55を構成するチューブ56がケース50の上側に引き出される構成となっている。
さらに詳述すると、図9に示すように、本実施形態のポンプ機構44は、アキシャル型のピストンポンプとしての構成を有している。具体的には、このポンプ機構44は、モータ43の駆動力により回転する駆動軸61と、この駆動軸61に対して偏心した位置に配置される複数のシリンダ63を有したシリンダブロック64と、を備えている。また、このポンプ機構44は、その基端65a側がシリンダブロック64の外部に突出した状態で各シリンダ63内に配設された複数のピストン(プランジャ)65を備えている。そして、このポンプ機構44は、これら各ピストン65の基端65aが当接する状態で、その駆動軸61とともに一体回転する斜板66を備えている。
即ち、このポンプ機構44は、斜板66が回転することにより、この斜板66に対する各ピストン65の当接位置が、駆動軸61の軸方向に変位する。そして、これにより、その各ピストン65が各シリンダ63内を往復運動する構成になっている。
また、シリンダブロック64における斜板66とは反対側の端部(図9中、上側の端部)には、その各シリンダ63と上記吸入口54及び吐出口55とを連通する流路Mが設けられている。更に、この流路Mには、その本線M0から分岐して吸入口54に延びる支線M1、及び吐出口55に延びる支線M2の途中に、それぞれ、空気の逆流を防ぐ逆止弁68が設けられている。そして、本実施形態のポンプ機構44は、これにより、その各ピストン65の往復運動に伴う各シリンダ63の容積変化に基づいて、その吸入口54から吸入した空気を吐出口55から圧送する構成になっている。
本実施形態のポンプ機構44は、これらの各構成要素(61〜68)が、その略四角柱状をなす筐体69内に収容された構成となっている(図7参照)。具体的には、筐体69内において、シリンダブロック64は、その各シリンダ63がモータ43の軸線方向(図9中、上下方向)に沿って延びるように配置されている。そして、本実施形態のポンプ機構44は、これにより、その径方向の寸法を抑える構成になっている。
尚、本実施形態のポンプ機構44において、吸入口54に連通する流路Mの支線M1は、その吸入口54が設けられた側の軸方向端部44aからモータ43側の軸方向端部44b側に向かって延びている(図8参照、右側から左側)。そして、この支線M1には、その長い吸気経路長を利用した図示しないサイレンサー構造(例えば、流路の内径を長さ方向に沿って拡縮する、或いは迷路構造とする等)が設けられている。
また、図7及び図8に示すように、本実施形態のエアポンプ装置41は、ケース50の内側において、このケース50と電動ポンプユニット53との間に介在される防振部材70を備えている。
具体的には、本実施形態の防振部材70は、モータ43の軸線方向において、その電動ポンプユニット53と当該電動ポンプユニット53に対向するケース50の各壁部50a,50bとの間に介在される第1及び第2の軸方向防振部71,72を備えている。また、この防振部材70は、モータ43の径方向外側を覆う状態で当該モータ43に取着される第1の径方向防振部73を備えている。そして、この防振部材70は、ポンプ機構44の径方向外側、即ちモータ43の軸線方向に延びる4つの側面を覆う状態で当該ポンプ機構44に取着される第2の径方向防振部74を備えている。
本実施形態のエアポンプ装置41において、第1及び第2の軸方向防振部71,72は、略四角平板状の外形を有している。また、第1の径方向防振部73は、略円柱状をなすモータ43に合わせた略円筒状の外形を有している。そして、第2の径方向防振部74は、略四角柱状をなすポンプ機構44(の筐体69)に合わせた略四角筒状の外形を有している。
本実施形態の防振部材70(71〜74)は、スポンジ状の弾性材料を用いて形成されている。また、電動ポンプユニット53におけるポンプ機構44側の軸方向端部53a(44a)とケース50の壁部50aとの間に介在される第1の軸方向防振部71には、その中央部分に、その吐出口55を構成する上記チューブ56の挿通孔71aが設けられている。更に、この第1の軸方向防振部71は、略円筒状をなすポンプ機構44の吸入口54を覆う状態でケース50内に配置される。そして、本実施形態のエアポンプ装置41は、これにより、その第1の軸方向防振部71がポンプ機構44のエアフィルタとして機能する構成になっている。
次に、シート装置30におけるエアポンプ装置41の固定構造について説明する。
図5、図6、図8及び図10に示すように、本実施形態のシート装置30は、そのエアポンプ装置41とシート1(シートバック3の骨格)との間に介在される防振装置80を備えている。
詳述すると、本実施形態の防振装置80は、エアポンプ装置41のケース50に係止される一対の搭載ブラケット81と、シートバック3の骨格側に設けられた図示しない固定ブラケットに係止される中間ブラケット82と、これら各搭載ブラケット81と中間ブラケット82との間に介在される一対のゴムブッシュ83と、を備えている。
本実施形態の搭載ブラケット81は、略平板状のポンプ係合部84と、このポンプ係合部84の一端に設けられた略Cリング状のブッシュ係合部85と、を備えている。また、本実施形態のゴムブッシュ83は、略扁平略円柱状の外形を有している。更に、このゴムブッシュ83の外周面83sには、その全周に亘って延びる係合溝83aが形成されている。そして、搭載ブラケット81のブッシュ係合部85には、その内周から径方向内側に突出する略Cリング状の係合突部85aが設けられている。
即ち、本実施形態の搭載ブラケット81は、この係合突部85aをゴムブッシュ83側の係合溝83a内に配置する状態で、そのブッシュ係合部85がゴムブッシュ83の外周面83sに係合する。また、本実施形態のエアポンプ装置41は、そのケース50の長手方向両端部にブラケット係止部86を備えている。具体的には、これらのブラケット係止部86は、それぞれ、断面略L字状の外形を有してケース50の短手方向に向かい合う一対の係止片86aを備えている。そして、本実施形態の各搭載ブラケット81は、これらの両係止片86aの間にポンプ係合部84が挟み込まれる状態で、それぞれ、そのケース50の長手方向端部に係止される構成となっている。
一方、本実施形態の中間ブラケット82は、その長手方向両端部に貫通孔82aを有した長尺略板状の外形を有している。また、本実施形態のゴムブッシュ83には、その略円柱形状の軸心部分を貫通する態様で貫通孔87が設けられている。更に、本実施形態の防振装置80において、これら中間ブラケット82の各貫通孔82a及び各ゴムブッシュ83の貫通孔87には、それぞれ、カシメピン88が挿通される。そして、本実施形態の防振装置80は、これら各カシメピン88の両端をかしめることにより、その中間ブラケット82と各搭載ブラケット81との間に一対のゴムブッシュ83を介在させる構成となっている。
即ち、本実施形態の防振装置80は、これらの各ゴムブッシュ83が弾性変形することにより、その各カシメピン88の軸方向及び径方向における中間ブラケット82と各搭載ブラケット81との間の相対変位を許容する。更に、これらの各ゴムブッシュ83の弾性力(弾性復元力)に基づいて、その中間ブラケット82と各搭載ブラケット81との間に生じた相対変位量を減衰する。そして、本実施形態の防振装置80は、これにより、そのエアポンプ装置41に生じた振動を吸収する構成になっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)エアポンプ装置41は、ポンプ機構44と当該ポンプ機構44を駆動するモータ43とが一体に設けられた電動ポンプユニット53と、この電動ポンプユニット53を収容するケース50と、このケース50と電動ポンプユニット53との間に介在される防振部材70と、を備える。電動ポンプユニット53は、モータ43の軸線方向にポンプ機構44が設けられた構造を有する。また、ポンプ機構44は、モータ43の軸線方向において当該モータ43とは反対側の軸方向端部44aに吸入口54及び吐出口55を有する。更に、防振部材70は、モータ43の軸線方向において電動ポンプユニット53と当該電動ポンプユニット53に対向するケース50の壁部50a,50bとの間に介在される第1及び第2の軸方向防振部71,72を備える。そして、第1の軸方向防振部71は、吸入口54を覆うことにより、ポンプ機構44のエアフィルタとして機能する。
即ち、モータ43の軸線方向にポンプ機構44を配置するとともに、そのポンプ機構44の吐出口55を軸方向端部44aに配置することで、シート1に対する優れた搭載性を実現することができる。具体的には、そのモータ43の軸線方向に延びる電動ポンプユニット53の長尺形状をシートバック3のサイドフレーム3fに沿って配置することにより、シートバック3の内部空間を効率よく利用することができる。そして、ポンプ機構44の吐出口55を軸方向端部に設けることにより、その流路Lを形成するチューブ45の取り回しを容易に行うことができる。
また、電動ポンプユニット53の形状をモータ43の軸線方向に沿った長尺形状とすることにより、ケース50内において、その電動ポンプユニット53が軸方向に変位しやすくなる。しかしながら、上記構成によれば、そのモータ43の軸線方向において電動ポンプユニット53とケース50(の壁部50a,50b)との間に介在された第1及び第2の軸方向防振部71,72によって、その電動ポンプユニット53の軸方向変位を吸収することができる。そして、これにより、効果的に、その電動ポンプユニット53の作動により生ずる振動を抑制することができる。その結果、高い静粛性を実現することができる。
更に、第1の軸方向防振部71をポンプ機構44のエアフィルタとして機能させることで、構成の簡素化と軸方向長さの短縮を図ることができる。そして、これにより、組み付け性の向上及び製造コストの低減と併せ、シート1に対する搭載性を更に向上させることができる。
また、第1の軸方向防振部71がポンプ機構44の吸入口54を覆うことで吸気音の低減を図ることができる。その結果、より優れた静粛性を実現することができる。更に、ポンプ機構44の吸入口54を吐出口55と同じ側の軸方向端部に設けることで、そのポンプ機構44内における吸気経路長を長くすることができる。そして、その長い吸気経路長を活かしたサイレンサー構造(例えば、流路の内径を長さ方向に沿って拡縮する、或いは迷路構造とする等)をポンプ機構44内に形成することにより、より一層、優れた静粛性を実現することができる。
(2)ポンプ機構44は、モータ43の軸線方向に延びるシリンダ63を有したピストンポンプとして構成される。即ち、このようなピストンポンプを用いることにより高い圧送力を確保できる反面、その軸方向長さが長くなるという問題がある。従って、このようなものに上記(1)の構成を適用することで、より顕著な効果を得ることができる。
(3)シート装置30は、エアポンプ装置41とシート1(シートバック3の骨格)との間に介在される防振装置80を備える。この防振装置80は、エアポンプ装置41側に固定(係止)される第1のブラケットとしての搭載ブラケット81と、シート1側に固定(係止)される第2のブラケットとしての中間ブラケット82と、を備える。また、この防振装置80は、これら搭載ブラケット81と中間ブラケット82との間に介在される弾性部材としてのゴムブッシュ83と、このゴムブッシュ83に設けられた貫通孔87に挿通される支持軸としてのカシメピン88と、を備える。更に、搭載ブラケット81は、ゴムブッシュ83の外周面83sに係合するブッシュ係合部85を備える。そして、中間ブラケット82は、カシメピン88の軸方向及び径方向にゴムブッシュ83が弾性変形可能な状態で、そのカシメピン88及びゴムブッシュ83を係止する。
上記構成によれば、ゴムブッシュ83が弾性変形することにより、カシメピン88の軸方向及び径方向において、その各搭載ブラケット81と中間ブラケット82との間の相対変位が許容される。更に、ゴムブッシュ83の弾性力(弾性復元力)に基づいて、その中間ブラケット82と各搭載ブラケット81との間に生じた相対変位量が減衰される。そして、これにより、そのエアポンプ装置41の振動を吸収することができる。その結果、エアポンプ装置41の作動音、及び他の部材にエアポンプ装置41が接触することによる打音の発生を抑制して、優れた静粛性を確保することができる。
(4)防振装置80は、エアポンプ装置41(のケース50)の長手方向に離間して配置される各一対の搭載ブラケット81及びゴムブッシュ83を備える。これにより、その振動を要因とする回動の発生を抑えて、エアポンプ装置41を安定的に支持することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、防振部材70は、モータ43の軸線方向において電動ポンプユニット53と当該電動ポンプユニット53に対向するケース50の壁部50a,50bとの間に介在される第1及び第2の軸方向防振部71,72と、モータ43及びポンプ機構44に取着される第1及び第2の径方向防振部73,74と、を備えることとした。
しかし、これに限らず、例えば、その第1及び第2の径方向防振部73,74が一体化された構成であってもよい。また、第1の軸方向防振部71と第2の径方向防振部74とが一体化され、第2の軸方向防振部72と第1の径方向防振部73とが一体化された構成であってもよい。更に、第1及び第2の軸方向防振部71,72の一方と第1及び第2の径方向防振部73,74とが一体化された構成であってもよい。そして、その防振部材70が4つ以上の防振部に分割された構成であってもよい。即ち、第1及び第2の軸方向防振部71,72を有し、その第1の軸方向防振部71が吸入口54を覆うことによりポンプ機構44のエアフィルタとして機能するものであれば、防振部材70を構成する防振部の数、及びその分割形態は、任意に変更してもよい。
・上記実施形態では、ポンプ機構44は、モータ43の軸線方向に延びるシリンダ63を有したピストンポンプであることとしたが、ポンプ機構44の型式は、任意に変更してもよい。
・上記実施形態では、防振装置80は、その搭載ブラケット81がゴムブッシュ83の外周面83sに係合するとともに、カシメピン88の軸方向及び径方向にゴムブッシュ83が弾性変形可能な状態で、その中間ブラケット82がカシメピン88及びゴムブッシュ83を係止することとした。しかし、これに限らず、中間ブラケット82がゴムブッシュ83の外周面83sに係合し、搭載ブラケット81が、カシメピン88の軸方向及び径方向にゴムブッシュ83が弾性変形可能な状態で、そのカシメピン88及びゴムブッシュ83を係止する構成としてもよい。
・また、ゴムブッシュ83の数は、1つでも、3つ以上であってもよい。そして、複数のゴムブッシュ83を有する場合には、これらの各ゴムブッシュ83がエアポンプ装置41の長手方向において互いに離間した位置に配置されることが望ましい。
・上記実施形態では、エアポンプ装置41は、シートバック3の内側において、そのサイドフレーム3fに沿うように配置されることとしたが、例えば、シートクッション2の内側に配置する等、その配置形態は任意に変更してもよい。
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を効果とともに記載する。
(イ)前記エアポンプ装置と前記シートとの間に介在される防振装置を備え、前記防振装置は、前記エアポンプ装置側に固定される第1のブラケットと、前記シート側に固定される第2のブラケットと、前記第1及び第2のブラケット間に介在される弾性部材と、前記弾性部材に設けられた貫通孔に挿通される支持軸と、を備えるとともに、前記第1及び第2のブラケットの一方側は、ゴムブッシュの外周面に係合し、前記第1及び第2のブラケットの他方側は、前記支持軸の軸方向及び径方向に前記弾性部材が弾性変形可能な状態で、前記支持軸及び弾性部材を係止すること、を特徴とするシート装置。
上記構成によれば、弾性部材が弾性変形することにより支持軸の軸方向及び径方向において、その第1及び第2のブラケット間の相対変位が許容される。更に、弾性部材の弾性力(弾性復元力)に基づいて、その第1及び第2のブラケット間に生じた相対変位量が減衰される。そして、これにより、そのエアポンプ装置の振動を吸収することができる。その結果、エアポンプ装置の作動音、及び他の部材にエアポンプ装置が接触することによる打音の発生を抑制して、優れた静粛性を確保することができる。
(ロ)前記防振装置は、前記エアポンプ装置の長手方向において互いに離間した位置に配置される複数の前記弾性部材を備えること、を特徴とするシート装置。これにより、その振動を要因とする回動の発生を抑えて、エアポンプ装置を安定的に支持することができる。
1…シート、2…シートクッション、3…シートバック、3f…サイドフレーム、4…ヘッドレスト、10(11〜16),20(21〜29)…空気袋、30…シート装置、41…エアポンプ装置、42…吸排気バルブ装置、43…モータ、44…ポンプ機構、44a,44b…軸方向端部、45…チューブ、48…制御装置、50…ケース、50a…壁部、50b…壁部、53…電動ポンプユニット、53a…軸方向端部、54…吸入口、55…吐出口、56…チューブ、58…貫通孔、59…ゴムブッシュ、59a…挿通孔、61…駆動軸、63…シリンダ、64…シリンダブロック、65…ピストン、66…斜板、68…逆止弁、69…筐体、70…防振部材、71…第1の軸方向防振部、71a…挿通孔、72…第2の軸方向防振部、73…第1の径方向防振部、74…第2の径方向防振部、80…防振装置、81…搭載ブラケット(第1のブラケット)、82…中間ブラケット(第2のブラケット)、82a…貫通孔、83…ゴムブッシュ(弾性部材)、83s…外周面、84…ポンプ係合部、85…ブッシュ係合部、86…ブラケット係止部、87…貫通孔、88…カシメピン(支持軸)、N…軸線、L,M…流路、M0…本線、M1,M2…支線。

Claims (4)

  1. ポンプ機構と該ポンプ機構を駆動するモータとが一体に設けられた電動ポンプユニットと、
    前記電動ポンプユニットを収容するケースと、
    前記電動ポンプユニットと前記ケースとの間に介在される防振部材と、を備え、
    前記電動ポンプユニットは、前記モータの軸線方向に前記ポンプ機構が設けられたものであり、
    前記ポンプ機構は、前記モータの軸線方向において該モータとは反対側の軸方向端部に吸入口及び吐出口を有するものであって、
    前記防振部材は、前記モータの軸線方向において前記電動ポンプユニットと該電動ポンプユニットに対向する前記ケースの壁部との間に介在される第1及び第2の軸方向防振部を備えるとともに、
    第1の軸方向防振部は、前記吸入口を覆うことにより、前記ポンプ機構のエアフィルタとして機能するエアポンプ装置であって、
    前記エアポンプ装置とシートとの間に介在される防振装置をさらに備え、
    前記防振装置は、前記エアポンプ装置側に固定される第1のブラケットと、前記シート側に固定される第2のブラケットと、前記第1及び第2のブラケット間に介在される弾性部材と、前記弾性部材に設けられた貫通孔に挿通される支持軸と、を備えるとともに、前記第1及び第2のブラケットの一方側は、前記弾性部材の外周面に係合し、前記第1及び第2のブラケットの他方側は、前記支持軸の軸方向及び径方向に前記弾性部材が弾性変形可能な状態で、前記支持軸及び弾性部材を係止するエアポンプ装置。
  2. 請求項1に記載のエアポンプ装置において、
    前記防振装置は、前記エアポンプ装置の長手方向において互いに離間した位置に配置される複数の前記弾性部材を備えること、を特徴とするエアポンプ装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のエアポンプ装置において、
    前記ポンプ機構は、前記モータの軸線方向に延びるシリンダを有したピストンポンプであること、を特徴とするエアポンプ装置。
  4. 請求項1請求項3の何れか一項に記載のエアポンプ装置を用いてシートの内側に配置された空気袋に空気を圧送するシート装置。
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