JP6643851B2 - プレキャストコンクリート部材の接合方法 - Google Patents

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Description

本発明はプレキャストコンクリート部材の接合方法に関する。
従来、プレキャストコンクリート部材(以下PCa部材ともいう)からなる床版相互や壁版相互を接合する方法として、接合するPCa部材間に渡って接合筋である鉄筋を配設することにより行っていた。
上記従来のPCa部材相互の接合方法においては、接合に用いる鉄筋を、他の配筋に対して溶接により接合しない場合には、その鉄筋を、夫々のPCa部材内に埋設する長さを、鉄筋の径の40倍とする必要があった。
そのため、接合筋として、長い鉄筋が必要となるという問題点があった。
そこで本発明は、上記従来のプレキャストコンクリート部材の接合に用いる接合筋よりも短い接合部材でプレキャストコンクリート部材を接合できる接合方法を提供することを目的とするものである。
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、相相互に接合されるプレキャストコンクリート部材に、夫々の接合部側が開口する溝を形成し、該溝の接合部側とは反対側に、前記溝の幅より大きな幅と、前記溝の深さより深い深さを有する係合溝を形成し、
両端部を、その本体部の軸に対して90°以上曲折することにより係合部を形成した接合部材を、その係合部が前記係合溝内に位置するように、一方のプレキャストコンクリート部材の溝内と、他方のプレキャストコンクリート部材の溝内に亘って配設し、
前記溝内及び係合溝内及びプレキャストコンクリート部材間に接着材を充填し、これを硬化させて、前記接合部材を前記接着材により前記プレキャストコンクリート部材に付着させて両プレキャストコンクリート部材相互を接合することを特徴とするものである。
本発明によれば、両端部に係合部を有する接合部材を、その係合部が係合溝内に位置するように、一方のプレキャストコンクリート部材の溝と、他方のプレキャストコンクリート部材の溝に亘って配設し、溝内及び係合溝内及びプレキャストコンクリート部材間に接着材を充填し、これを硬化させて、接合部材を前記接着材によりプレキャストコンクリート部材に付着させて両プレキャストコンクリート部材相互を接合したことにより、プレキャストコンクリート部材同士が相互にずれる方向に力が作用した際に、係合部と係合溝若しくは接着剤とが係合することにより、接合部材がプレキャストコンクリート部材から抜けることを抑制でき接合筋としての役割を果たすことができる。
これにより、上記従来の接合方法と比較して、それに用いる接合部材の長さを短くできるとともに、その接合部材を埋設するための溝なども短くでき、製造コストを下げることができる。
本発明の実施例を示すもので、PCa床版の接合状態を示す平面図。 接合部材の配置及び接着剤の充填を行わない状態の部分拡大平面図。 図2のA−A線断面図。 図2の状態から接合部材を配設した状態の部分拡大平面図。 図4のB−B線断面図。 図4の状態から接着剤を充填した状態の平断面図。
本発明は、任意のプレキャストコンクリート部材(以下PCa部材ともいう)相互の接合に用いることができるもので、以下において、壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造建物におけるプレキャストコンクリート製の床版(以下PCa床版ともいう)の接合方法に用いた実施例に基づいて説明する。
図1は接合する相互のPCa床版1,2の配置状態の平面図である。
PCa床版1(2)には、その表裏方向の一方の面1a(2a)と、接合側端面3(4)側が開口するととともに、接合側端面3(4)と直交する有底状の溝6が形成されている。溝6の幅L1と深さL2は、溝6内に配置する接合部材10の直径よりも大きい所定の長さに設定されており、後述する接着材11の充填前には、溝6内に配置される接合部材10の周りに空間が生じるようになっている。
一方のPCa床版1に設けた溝6と、他のPCa床版2に設けた溝6は、両PCa床版1、2を図1に示すように所定の位置に配置した際に、相互に対向位置となるように溝6が形成され、一方のPCa床版1に設けた溝6の軸と、他のPCa床版2に設けた溝6の軸は、略同一線上に位置するようになっている。また、溝6は、図1に示すように、任意の間隔を有して複数形成されている。なお、溝6の個数、幅L1、深さL2、長さL3は接合するPCa床版の形状や接合部材10の種類等に応じて任意に設定する。
夫々の溝6の接合側端面3,4とは反対側には、溝6と連通する係合溝13が形成されている。係合溝13の幅L4は、溝6の幅L1より大きく、係合溝13の深さL5は溝6の深さL2より大きくなるように設定されている。
なお、溝6内に配置する接合部材10には、その両端部に接合部材10の本体部10aの軸に対して、90°以上折曲して形成した係合部10b,10bが形成され、本体部10aと係合部10bは一体に形成されている。溝6内に接合部材10を配置した際に、接合部材10の係合部10bと接合溝13との間に所定間隔の空間15が形成されるようになっている。接合部材10として、所定の引っ張り強度等を有するものであれば任意の部材を用いることができるが、本実施例では、D10又はD13の鉄筋を用いた。
係合部10bの軸方向の長さ(折曲長さ)は、溝6の幅L1より大きく設定されている。
次に、前記の構成による両PCa床版1,2の接合方法について説明する。
先ず、接合する両PCa床版1と2を図1に示すように、夫々の接合端面3,4が目地20の長さ分離間して対向するように配置して建て込む。
次に、図4,5に示すように、PCa床版1,2の溝6,6内に亘って、接合部材10を配設し、接合部材10の両係合部10b,10bが、PCa床版1,2の係合溝13,13内に位置するとともに、係合部10bと接合溝13との間に空間15が形成されるように配置する。また、係合部10bを、本体部10aの軸に対して、180°以上折曲して瘤状に形成した場合には、係合部10bの外側端が、係合溝13における溝6の軸方向の中央よりも奥側に位置するとともに、係合部10bと接合溝13との間に空間15が形成されるように配置するようにしてもよい。なお、空間15を設けず、係合部10bと係合溝13とが当接するようにしてもよい。
次に、目地20の上下開口部、溝6及び接合溝13の一方の面1a,2a側開口部を、図示しない適宜閉塞手段(型枠等)で塞ぎ、適宜位置から接着材11を注入し、接着材11を図6に示すように、目地20、溝6接合溝13内に充填し、接着材11を付着させる。
この接着材11としては、モルタル、コンクリート、モルタルに膨張材を混入した無収縮グラウト、エポキシ系接着材などの接着材を使用でき、実施に際しては、無収縮グラウトを使用した。
次に、接着材11を養生硬化させた後、閉塞手段を外す。これにより、接合部材10と両PCa床版1,2は硬化した接着材11により接着される。これにより、両PCa床版1,2は接合される。
接着剤11は、PCa床版1,2よりも強度が低いために、一方のPCa床版1と他方のPCa床版2とがずれるように力が作用すると、目地20において破断が生じる。また、PCa床版1,2相互のずれにより、接合部材10の係合部10bが引っ張られて接合側端面3,4方向に移動する。この係合部10bの移動により、係合溝13内の接着剤11が破壊されて膨張するとともに、係合部10bが、係合溝13又は膨張した接着剤11により、接合部材10がPCa床版1,2から抜けることが抑制される。これにより、上記従来の接合方法よりも短い接合部材10を用いても、接合部材10のPCa床版1,2からの抜けを防止でき、接合部材10が接合筋の役割を果たすことができる。
また、従来、接合するコンクリート部材同士に、夫々接合側が開口する蟻溝を形成し、両蟻溝に亘って、石やコンクリートで形成した楔を配設することによりコンクリート部材同士を接合することがあるが、楔が破断するとコンクリート部材同士の接合が解除されてしまう恐れがある。
しかし、本発明は、溝6と係合溝13に亘って接合部材10である鉄筋を配設するとともに、接合部材10の両係合部10b,10bが、係合溝13,13内に位置するようにしたことにより、接着剤11が破断したとしても、接合部材10とその係合部10bにより、PCa床版1,2相互の接合が保たれるため、その接合が解除される恐れはない。

なお、接合部材10の係合部10bと係合溝13は、上記に記載した形状に限定されず、係合部10bと係合溝13とが相互に係合することができる形状であれば任意の形状に形成することができる。
なお、本発明は上記の実施例の外にも、PCa壁版相互、PCa屋根版相互を前記の方法で接合してもよい。
1,2 プレキャストコンクリート部材
6 溝
13 係合溝
10 接合部材
10b 係合部
11 接着材

Claims (1)

  1. 相互に接合されるプレキャストコンクリート部材に、夫々の接合部側が開口する溝を形成し、該溝の接合部側とは反対側に、前記溝の幅より大きな幅と、前記溝の深さより深い深さを有する係合溝を形成し、
    両端部を、その本体部の軸に対して90°以上曲折することにより係合部を形成した接合部材を、その係合部が前記係合溝内に位置するように、一方のプレキャストコンクリート部材の溝内と、他方のプレキャストコンクリート部材の溝内に亘って配設し、
    前記溝内及び係合溝内及びプレキャストコンクリート部材間に接着材を充填し、これを硬化させて、前記接合部材を前記接着材により前記プレキャストコンクリート部材に付着させて両プレキャストコンクリート部材相互を接合することを特徴とするプレキャストコンクリート部材の接合方法。
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