(実施形態1)
本実施形態では、分電盤の設定に用いられる分電盤用設定シート、分電盤用設定シートと併せて用いられる分電盤用設定システム、および分電盤用設定シートの作成に用いられるシート作成システムについて説明する。
分電盤用設定シート1は、図1に示すように、電力を複数の分岐回路10,10…(図3参照)に分配する分電盤4(図2参照)に関する設定情報が記入される記入スペース100を備えている。記入スペース100には、第1の記入欄11と、第2の記入欄12と、第3の記入欄13とが、複数の分岐回路10,10…の各々に対応付けて設けられている。
第1の記入欄11は、複数の分岐回路10,10…の各々を識別する識別符号が記入される。第2の記入欄12は、複数の分岐回路10,10…の各々の印加電圧の大きさを表す電圧区分が記入される。第3の記入欄13は、複数の分岐回路10,10…の各々に電気的に接続される機器の種別を表す回路設定が記入される。言い換えれば、分電盤用設定シート1は、複数の分岐回路10,10…の各々について、第1の記入欄11には識別符号が記入され、第2の記入欄12には電圧区分が記入され、第3の記入欄13には回路設定が記入される。
このような分電盤用設定シート1では、複数の分岐回路10,10…の設定状態(識別符号、電圧区分、回路設定)が記入スペース100に一覧形式で記入されることになる。そのため、ユーザは、複数の分岐回路10,10…の1つずつについて設定状態を確認する必要がなく、複数の分岐回路10,10…の設定状態を分電盤用設定シート1にてまとめて確認することができる。したがって、ユーザは、分電盤4全体の設定状態を把握しやすくなる。なお、ここでいうユーザは、分電盤4のエンドユーザ(つまり分電盤4が設置される住宅の家人等)の他、施工業者等も含む。
また、上記の分電盤用設定シート1と併せて用いられる分電盤用設定システム2(図3参照)は、読取装置21(図3参照)と、設定装置22(図3参照)とを備えている。読取装置21は、分電盤用設定シート1から、記入スペース100に記入された設定情報の少なくとも一部を光学的に読み取って電子データである設定データに変換する。設定装置22は、設定データに基づいて、分電盤4に設けられている記憶部241(図3参照)に設定情報の書き込みを行う。
また、上記の分電盤用設定シート1の作成に用いられるシート作成システム3(図10参照)は、入力装置31(図10参照)と、印刷装置32(図10参照)とを備えている。入力装置31は、記入スペース100に記入する情報の少なくとも一部の入力を受け付ける。印刷装置32は、入力装置31に入力された前記情報を記入スペース100に印刷する。
なお、以下では「分電盤用設定シート1」を略して「設定シート1」と称し、「分電盤用設定システム2」を略して「設定システム2」と称することとする。
以下、本実施形態に係る設定シート1、設定システム2、シート作成システム3について詳しく説明する。ただし、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、下記実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
なお、本実施形態では、分電盤4が設置される電力の需要家(customer's facility)が、戸建住宅である場合を例に説明するが、この例に限らず、需要家はたとえば集合住宅の各住戸、事務所、店舗、工場などであってもよい。
<分電盤の構成>
まず、本実施形態に係る設定シート1を用いた設定の対象となる分電盤4の構成について、図2を参照して簡単に説明する。以下では、分電盤4が壁に取り付けられた状態での上下左右(図2の上下左右)を上下左右とし、壁に直交する方向(図2の紙面に直交する方向)を前後方向として説明するが、分電盤4を取り付ける向きを限定する趣旨ではない。
分電盤4は、図2に示すように、住宅の壁等に取り付けられるキャビネット44を備え、キャビネット44内に主幹ブレーカ41および複数の分岐ブレーカ43,43…を内器として収納する。キャビネット44は、正面視が横長の長方形状となり前面が開口した薄箱状に形成されている。キャビネット44の前面には開閉可能な蓋441が取り付けられる。
主幹ブレーカ41は、その一次側に、系統電源(商用電源)の単相三線式の引込線45(図3参照)が電気的に接続される。主幹ブレーカ41の二次側には、左右方向に長い長尺板状であって、導電部材からなる導電バー42が電気的に接続される。
ここでは、配電方式として単相三線式を想定しているので、導電バー42は、中性極(N相)と、第1の電圧極(L1相)と、第2の電圧極(L2相)とに分かれている。つまり、導電バー42は3本設けられている。これら3本の導電バー42は、主幹ブレーカ41の右側に配置され、キャビネット44に固定されている。
複数の分岐ブレーカ43,43…は、キャビネット44において主幹ブレーカ41の右側の領域に取り付けられる。具体的には、複数の分岐ブレーカ43,43…は、キャビネット44における上下方向の中心線の上側(上段)と下側(下段)とに分かれて、それぞれ複数個(図2の例では、上段が11個、下段が11個)ずつ左右方向に並ぶように配置されている。
各分岐ブレーカ43は、一次側端子(図示せず)と二次側端子(図示せず)とを有しており、一次側端子が導電バー42に電気的に接続され、二次側端子には負荷(図示せず)が接続される。言い換えれば、分電盤4は、主幹ブレーカ41の二次側出力を複数の分岐ブレーカ43,43…にて複数の分岐回路10,10…に分岐させており、主幹ブレーカ41を通過する電力を複数の分岐回路10,10…に分配する。ここで、各分岐ブレーカ43は分岐回路10上に設けられている。
各分岐ブレーカ43は、協約形寸法に形成されている。協約形寸法とは「JIS C 8201−2−1」に準拠した電灯分電盤用の回路遮断器の寸法(および形状)をいう。
各分岐ブレーカ43は、導電バー42が差し込まれる差込口(図示せず)を有している。差込口は、3本の導電バー42の各々に対応するように、各分岐ブレーカ43に3個ずつ設けられており、一次側端子は、これら3個の差込口のうち2個の差込口内に露出するように設けられている。
ここで、第1の電圧極および第2の電圧極の導電バー42は、複数の分岐ブレーカ43,43…の各々に対応する位置において、前方に立ち上がるように形成され、且つ先端部が二股に分かれた接続端子(図示せず)を有している。二股に分かれた接続端子の先端部は、一方が上段の分岐ブレーカ43に接続されるように上向きに突出し、他方が下段の分岐ブレーカ43に接続されるように下向きに突出する。
そして、上段の分岐ブレーカ43側においては、3本の導電バー42は、前後方向において手前側(壁とは反対側)から中性極、第2の電圧極、第1の電圧極の順に並ぶ。下断の分岐ブレーカ43側においては、3本の導電バー42は、前後方向において手前側(壁とは反対側)から中性極、第1の電圧極、第2の電圧極の順に並ぶ。これにより、各分岐ブレーカ43は、キャビネット44に取り付けられた状態で、差込口に導電バー42が差し込まれ、一次側端子が導電バー42と電気的に接続される。なお、第1の電圧極および第2の電圧極の導電バー42においては、差込口には接続端子の先端部が差し込まれる。
第1の電圧極あるいは第2の電圧極と中性極とに接続される分岐ブレーカ(以下、「100V用分岐ブレーカ」ともいう)43は、一次側端子が、3個の差込口のうち、両端の2個の差込口内に露出するように設けられている。これにより、100V用分岐ブレーカ43は、上段に取り付けられた状態では、第1の電圧極と中性極とに対して電気的に接続され、下段に取り付けられた状態では、第2の電圧極と中性極とに対して電気的に接続される。
また、第1の電圧極および第2の電圧極に接続される分岐ブレーカ(以下、「200V用分岐ブレーカ」ともいう)43は、一次側端子が、3個の差込口のうち、後方の2個の差込口内に露出するように設けられている。これにより、200V用分岐ブレーカ43は、上段および下段のいずれに取り付けられた状態でも、第1の電圧極と第2の電圧極とに対して電気的に接続される。
各分岐ブレーカ43の二次側端子には、たとえば照明器具や給湯設備等の機器、差込接続装置のコンセント(アウトレット)や壁スイッチ等の配線器具が、負荷として1つ以上接続される。
また、分電盤4は拡張性が高く、主幹ブレーカ41および複数の分岐ブレーカ43,43…以外にも、種々の機器を内器としてキャビネット44に取付可能に構成されている。図2の例では、分電盤4は、電流計測器51と計測ユニット52と二次連系ブレーカ46と第1通信アダプタ47と第2通信アダプタ48と第3通信アダプタ49とを、内器として備えている。
電流計測器51および計測ユニット52は、複数の分岐回路10,10…および後述の特定回路の電力を検出する計測装置5を構成する。計測装置5の詳しい構成については後述する。
二次連系ブレーカ46は、分電盤4は、たとえば太陽光発電装置、燃料電池、ガス発電装置、蓄電装置などの分散電源(図示せず)が電気的に接続される。二次連系ブレーカ46は、主幹ブレーカの二次側(導電バー42)に電気的に接続され、図2の例では下段の分岐ブレーカ43と並べて配置されている。二次連系ブレーカ46は、たとえば系統電源からの電力供給が停止したときや、系統電源あるいは分散電源に異常が生じたときなどに、分散電源を電力系統から切り離す(解列する)ように動作する。
第1通信アダプタ47、第2通信アダプタ48、および第3通信アダプタ49は、それぞれ分電盤4の外部との通信機能を有している。第1通信アダプタ47、第2通信アダプタ48、および第3通信アダプタ49のそれぞれの通信方式としては、無線通信、有線通信を問わず適宜の方式が適用可能である。図2の例では、第1通信アダプタ47、第2通信アダプタ48、および第3通信アダプタ49は、キャビネット44の左端部に設けられたスペースに取り付けられている。第2通信アダプタ48は第1通信アダプタ47の上方に配置され、第3通信アダプタ49は第1通信アダプタ47の下方に配置されている。
第1通信アダプタ47は、機器(図示せず)の制御を行うコントローラ(図示せず)との通信機能を有する。ここでいう機器はHEMS(Home Energy Management System)対応機器である。HEMS対応機器は、消費電力の管理対象であれば足り、たとえば、HEMSにおいて重要な8機器(スマートメータ、太陽光発電装置、蓄電装置、燃料電池、電気自動車、エアコン、照明器具、給湯装置)などを含む。
なお、第1通信アダプタ47は、計測装置5から複数の分岐回路10,10…および特定回路の電力情報を受信することで、複数の分岐回路10,10…や特定回路の各々の瞬時電力のデータを収集する機能を有している。さらに、第1通信アダプタ47は、複数の分岐回路10,10…や特定回路の各々について、瞬時電力を所定時間に亘って積算した電力量を演算する機能を有していてもよい。第1通信アダプタ47は、これらの電力情報(瞬時電力あるいは電力量)をコントローラへ送信する。これにより、コントローラは、表示端末(図示せず)を制御して電力情報を可視化(見える化)したり、電力情報に基づいて(HEMS対応)機器を制御したりすることができる。
第2通信アダプタ48は、通信機能を有する電力メータ(図示せず)、所謂スマートメータとの通信機能を有している。第3通信アダプタ49は、ガスメータ、水道メータ、太陽光発電装置、蓄電装置、電気自動車に電気的に接続される電力変換装置の少なくとも1つからなるエネルギー管理装置(図示せず)との通信機能を有している。第2通信アダプタ48および第3通信アダプタ49は、それぞれ第1通信アダプタ47と電気的に接続されている。
また、分電盤4は、太陽光発電装置(図示せず)が電気的に接続される一次連系ブレーカ(図示せず)を、内器として備えていてもよい。一次連系ブレーカは、キャビネット44における主幹ブレーカ41の左側のスペースに配置され、主幹ブレーカ41の一次側に電気的に接続される。一次連系ブレーカは、たとえば系統電源からの電力供給が停止したときや、系統電源あるいは太陽光発電装置に異常が生じたときなどに、太陽光発電装置を電力系統から切り離す(解列する)ように動作する。
<計測装置の構成>
電流計測器51は、複数の分岐ブレーカ43,43…の各々に接続された負荷(電路)の消費電力を検出するためのセンサであって、導電バー42に取り付けられる。図2の例では、上段の分岐ブレーカ43、下段の分岐ブレーカ43のそれぞれに対して、電流計測器51が設けられている。
電流計測器51は、基板(図示せず)を有し、基板を厚み方向(上下方向)に貫通する貫通孔が、導電バー42の各接続端子に対応する位置にそれぞれ形成されている。これにより、電流計測器51は、複数の貫通孔に複数の接続端子が差し込まれた状態で、導電バー42に取り付けられることになる。さらに、この状態では、各接続端子は、貫通孔を通って分岐ブレーカ43に接続されることになる。
電流計測器51の基板には、複数の検出部53,53…(図3参照)が実装されている。複数の検出部53,53…は、それぞれ複数の分岐ブレーカ43,43…の各々を流れる電流の値を計測するように構成されている。検出部53は、基板における各貫通孔の周囲にそれぞれ形成されている。検出部53は、変流器(カレントトランス)、ホール素子、磁気抵抗素子、GMR(Giant Magnetic Resistances)素子、シャント抵抗などのセンサが用いられる。一例として、ここでは検出部53は、コアを用いない(コアレスの)空芯コイルからなり、貫通孔内を通過する電流に応じた出力を生じるロゴスキコイルである。電流計測器51は、各検出部53の出力に基づいて、複数の分岐ブレーカ43,43…の各々を流れる電流の値を算出する。
ただし、検出部53は、一方(本実施形態では後側とする)の接続端子についてのみ電流を計測できるように、前後方向に並ぶ一対の貫通孔のうち後側(壁側)の貫通孔の周囲にのみ設けられている。これにより、上段に取り付けられた電流計測器51は第1の電圧極の電流の値を計測し、下段に取り付けられた電流計測器51は第2の電圧極の電流の値を計測することになる。
また、電流計測器51は、検出部53の出力を受ける処理回路(図示せず)を基板に有している。処理回路は、たとえばASIC(Application Specific Integrated Circuit)からなり、検出部53の出力に対し、積分等の適宜の処理を施すように構成されている。本実施形態ではさらに、電流計測器51は、各検出部53の出力を用いて、複数の分岐回路10,10…の各々の瞬時電力を演算する演算装置(図示せず)を基板に有している。演算装置は、たとえばマイコン(マイクロコンピュータ)からなり、処理回路と通信することにより、検出部53の出力に適宜の処理が施された後のデータを処理回路から受信する。演算装置は、複数の分岐回路10,10…の各々の線間電圧の値を示す電圧情報を計測ユニット52から取得し、各検出部53の出力から求まる電流の値と、電圧情報とに基づいて、瞬時電力の値を分岐回路10,10…の電力情報として求める。
電流計測器51は、計測ユニット52を介して第1通信アダプタ47に電気的に接続されており、計測ユニット52を通して第1通信アダプタ47へ分岐回路10,10…の電力情報を送信する。
計測ユニット52は、上述した3本の導電バー42に電気的に接続されており、導電バー42からの電力を受けて、電流計測器51や第1通信アダプタ47を含む内器の動作用電源を生成する電源回路(図示せず)を有している。さらに、計測ユニット52は、導電バー42間の電圧を計測し、計測された電圧の値を電圧情報として電流計測器51へ出力する機能を有している。
また、計測ユニット52は、電流計測器51での計測対象である分岐回路10,10…以外の特定回路について、電力を計測するように構成されている。具体的には、計測ユニット52は、カレントトランス(CT)からなる電流センサ(図示せず)が電気的に接続され、この電流センサによって、たとえば主幹ブレーカ41を通過する電流の値を計測する。そして、計測ユニット52は、計測された電流の値と、電圧情報とに基づいて、瞬時電力の値を特定回路の電力情報として求めるように構成されている。計測ユニット52は、第1通信アダプタ47と電気的に接続されており、特定回路の電力情報を第1通信アダプタ47へ送信する。
電流計測器51および計測ユニット52は、本実施形態ではそれぞれ電力情報を求めるように構成されているが、この例に限らず、少なくとも各電路(分岐回路10,10…または特定回路)に流れる電流の値を計測する構成であればよい。たとえば、電流計測器51および計測ユニット52は、計測した電流値を第1通信アダプタ47へ送信する構成であってもよい。
<分電盤の設定>
上述したような構成の分電盤4においては、たとえば計測装置5での計測のためのパラメータなど、各種の設定情報の設定が必要である。ここでいう設定情報は、分電盤4に関して設定される情報であればよいが、本実施形態では計測装置5での各分岐回路10の電力の計測に必要な設定情報を例に説明する。
本実施形態では、設定情報は、複数の分岐回路10,10…のうち対象となる分岐回路10について、識別符号と、印加電圧の大きさを表す情報と、接続される機器の種別を表す情報とを含んでいる。
すなわち、計測装置5は、複数の分岐回路10,10…の各々を区別して計測を行うので、まず、複数の分岐回路10,10…の各々を識別する識別符号が、設定情報として設定される。
また、単相三線式においては、中性極と、第1の電圧極あるいは第2の電圧極とに接続された分岐回路10の電圧は「100V」、第1の電圧極と第2の電圧極とに接続された分岐回路10の電圧は「200V」となる。そこで、計測装置5は、各分岐回路10の電力を計測するに当たり、各分岐回路10について印加電圧の大きさを「100V」と「200V」との2種類から選択する必要がある。以下、印加電圧の大きさを表す設定情報を「電圧区分」という。
また、分岐回路10に接続される機器には、たとえば給湯装置のような設備機器、太陽光発電装置、蓄電装置など、様々な種別の機器がある。設備機器が接続された分岐回路10と太陽光発電装置が接続された分岐回路10と蓄電装置が接続された分岐回路10とでは、電力供給の向きが異なる。つまり、設備機器が接続された分岐回路10では、分電盤4から機器(設備機器)に向けて電力が供給されるのに対して、太陽光発電装置が接続された分岐回路10では、機器(太陽光発電装置)から分電盤4に向けて電力が供給される。さらに、蓄電装置が接続された分岐回路10においては、蓄電池の充電時と放電時とで電力の向きが異なるため、分電盤4と機器(蓄電装置)との間で双方向に電力が供給される。
そこで、計測装置5は、各分岐回路10の電力を計測するに当たり、各分岐回路10について接続される機器の種別(用途)を「太陽光発電」、「蓄電装置」、「設備機器」から選択する必要がある。以下、接続される機器の種別を表す設定情報を「回路設定」という。
これらの設定情報は、分電盤4に設けられている記憶部に書き込まれて保持される。本実施形態では、図3に示すように分電盤4のキャビネット44内に設定装置22が設けられており、この設定装置22によって設定情報の設定が可能である。設定情報が書き込まれる記憶部241は、設定装置22に設けられている。設定装置22については後述する。
なお、設定情報は、識別符号、電圧区分、および回路設定に限らず、その他、分電盤4に関する種々の設定情報を含んでいてもよい。たとえば、設定情報として、分岐回路10の回路数、検出部53ごとの有効と無効との別、電圧相(L1相、L2相)などの情報が含まれていてもよい。
つまり、単相三線式においては、中性極と第1の電圧極とに接続された分岐回路10の電圧相はL1相であり、中性極と第2の電圧極とに接続された分岐回路10の電圧相はL2相である。そこで、複数の分岐回路10,10…のうち、電圧区分が100Vである分岐回路10については、電圧相が設定情報として設定されてもよい。ただし、本実施形態では上段の分岐ブレーカ43はL1相、下段の分岐ブレーカ43はL2相というように、上段か下段かによって電圧相は決まるから、電圧相の設定を省略できる。
さらに、設定装置22は、たとえば計測値の上限値を制限するリミッタの有効と無効との別や、電流値が定格値に達したときに報知するピークアラームの有効と無効との別や、ピークアラームの定格値などを設定情報として設定可能に構成されていてもよい。なお、第3通信アダプタ49に水道メータやガスメータから流量に応じたパルス信号が入力される場合、1パルス当たりの流量の換算値(換算レート)を、設定装置22で設定可能な設定情報に含んでもよい。
また、本実施形態では、設定装置22は、第1通信アダプタ47と筐体を共用することで、第1通信アダプタ47と一体化されている。さらに、第1通信アダプタ47が計測ユニット52に電気的に接続されていることにより、設定装置22もまた、計測ユニット52に対して電気的に接続されている。そのため、設定装置22は、計測ユニット52とデータのやり取りが可能で、且つ、計測ユニット52を経由して電流計測器51ともデータのやり取りが可能である。
さらに詳しく説明すると、設定装置22は、図3に示すように、ユーザによる操作入力の受け付け並びにユーザへの情報の提示を行うインタフェース23と、内部的な処理を行う設定ブロック24とに機能的に分かれている。設定ブロック24は、インタフェース23と第1通信アダプタ47との両方に対して電気的に接続されている。
インタフェース23は、入力部231および表示部232を有している。設定ブロック24は、記憶部241と設定部242と選択部243とを有している。設定ブロック24は、マイコン(マイクロコンピュータ)を主構成とし、所定のプログラムを実行することによって、設定部242、選択部243しての機能を実現する。プログラムは、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、メモリカードなどの記憶媒体に記憶されて提供されてもよい。
入力部231は、外部からの操作入力に応じた入力情報を出力する。表示部232は、設定部242で設定中の設定情報を表示する。記憶部241は、設定情報を記憶する。設定部242は、設定情報を入力情報に従って設定する。選択部243は、設定部242での設定対象となる分岐回路10を、入力情報に従って複数の分岐回路10,10…の中から択一的に選択する。表示部232は、設定部242で設定中の設定情報を表示する。さらに、表示部232は、複数の分岐回路10,10…のうち選択部243で選択された分岐回路10を表示する。
設定装置22は、設定済みの設定情報を記憶部241に保持(記憶)している。そのため、計測装置5は、記憶部241内の設定情報を参照することにより、設定済みの設定情報を計測時に用いることができる。
設定装置22は、図2に示すように、入力部231および表示部232を第1通信アダプタ47の筐体の前面から露出する位置に有している。つまり、入力部231は、第1通信アダプタ47が分電盤4のキャビネット44に取り付けられた状態で前方から操作可能である。表示部232も同様に、第1通信アダプタ47が分電盤4のキャビネット44に取り付けられた状態で前方から視認可能である。
本実施形態では、入力部231は、図2に示すように8つのボタンを有している。1つ目のボタンは「+10」ボタン、2つ目のボタンは「−10」ボタン、3つ目のボタンは「+」(プラス)ボタン、4つ目のボタンは「−」(マイナス)ボタンである。これら1〜4つ目のボタンは、設定、参照する項目を選択する際に使用される。5つ目のボタンは「参照」ボタン、6つ目のボタンは「設定」ボタンであり、これら5つ目および6つ目のボタンは、選択した項目の参照や、設定操作を行う際に使用される。7つ目のボタンは「▲」(上カーソル)ボタン、8つ目のボタンは「▼」(下カーソル)ボタンであり、これら7つ目および8つ目のボタンは設定内容を変更する際に使用される。
これらのボタンの各々は、押しボタン型のスイッチの操作子を構成している。ここで、入力部231の各スイッチは、いずれもモーメンタリ型スイッチであり、各ボタン(操作子)が押されている間のみオンする。
表示部232は、文字と数字と記号との少なくとも1つを表示できるように構成されており、本実施形態では一例として、2桁用の7セグメントLED(発光ダイオード)を有している。これにより、表示部232は、数字であれば2桁の数字まで表示可能である。ただし、表示部232は、7セグメントLEDに限らず、16セグメントLED、ドットマトリクスLED、液晶ディスプレイなどであってもよい。
表示部232は、上述したように、文字と数字と記号との少なくとも1つを用いて、設定部242で設定中の設定情報を表示したり、選択部243で選択された分岐回路10を表示したりする。そのため、ユーザは、表示部232の表示を確認することで、設定中の設定情報や、選択された分岐回路10を確認することができる。つまり、ユーザは、設定装置22の入力部231および表示部232をインタフェースとして用いることにより、設定内容を視覚的に確認しつつ、設定情報の設定を行うことができる。
なお、本実施形態に係る設定装置22は、計測装置5に関する設定情報の設定だけでなく、たとえば第1通信アダプタ47に関する設定情報の設定などにも用いられてもよい。
次に、本実施形態の設定装置22を用いた設定情報の設定例について図4を参照して説明する。なお、図4は設定中の各状態における表示部232の表示内容(ドット領域が点灯している部分)を表している。図4の例では、表示部232は、第1の分電盤を「b1」、第2の分電盤を「b2」、特定回路を「C1」〜「C8」、各分岐回路10を「01」〜「43」と表示する。さらに、表示部232は、電圧区分100Vを「V1」、電圧区分200Vを「V2」、無効を「oF」、有効を「on」、L1相を「L1」、L2相を「L2」、リミッタを「LM」、ピークアラームを「PA」と表示する。
ここでは、設定項目が、図4に示すように「階層1」〜「階層4」の4つの層に階層化されていると仮定する。図4では、左から順に「階層1」、「階層2」、「階層3」、「階層4」を示している。「階層1」においては分電盤4が第1の分電盤と第2の分電盤とから選択される。
「階層2」においては、「階層1」で選択された分電盤4について、設定対象の分岐回路10あるいは特定回路、または設定対象としてリミッタやピークアラームが選択される。ここで、ユーザは、「+10」ボタンや「+」ボタン、および「−10」ボタンや「−」ボタンを操作して設定対象を選択する。要するに、「階層2」においては、選択部243は、設定部242での設定対象となる分岐回路10を、入力部231からの入力情報に従って複数の分岐回路10,10…の中から選択部243にて択一的に選択することになる。このとき、表示部232は、選択部243で選択された分岐回路10を表示する。
「階層2」でいずれかの分岐回路10が設定対象として選択された場合、「階層3」においては、この分岐回路10について電圧区分(100V,200V)や機器の種別(回路設定)や有効、無効の別が選択される。ここで、ユーザは「▲」ボタンおよび「▼」ボタンを操作して項目を選択する。要するに、「階層3」においては、設定部242は、設定情報を、入力部231からの入力情報に従って設定することになる。このとき、表示部232は、設定部242で設定中の設定情報を表示する。
また、「階層2」でリミッタが選択された場合、「階層3」ではリミッタの無効、有効の別が選択される。「階層2」でピークアラームが選択された場合、「階層3」ではピークアラームの定格値や有効、無効の別が選択される。ここで、ユーザは「▲」ボタンおよび「▼」ボタンを操作して項目を選択する。
さらに、「階層3」で電圧区分100Vが選択された分岐回路10については、「階層4」において電圧相(L1相,L2相)が選択される。ここで、ユーザは「▲」ボタンおよび「▼」ボタンを操作して項目を選択する。要するに、「階層4」においては、設定部242は、設定情報を、入力部231からの入力情報に従って設定することになる。このとき、表示部232は、設定部242で設定中の設定情報を表示する。
設定装置22は、「階層1」から「階層2」へは、一定時間(たとえば1秒間)、入力部231の操作がなければ自動的に移行し、その後は「設定」ボタンが押される度に「階層2」、「階層3」、「階層4」の順で移行する。設定装置22は、最下層(電圧値100Vが選択された分岐回路10については「階層4」、その他は「階層3」)にて「設定」ボタンが押されると、「階層2」へと移行する。さらに、設定装置22は、第1の分電盤の「階層2」で「+」ボタンが押されると、「階層1」で第2の分電盤が選択された状態に移行し、第2の分電盤の「階層2」で「+」ボタンが押されると、選択中の項目を確定して設定処理を終了する。
なお、設定装置22は、電源が投入されたり、「設定」ボタンが長押しされたりといった、所定の条件を満たした場合に、上述したような設定処理を開始するように構成されていればよい。また、設定装置22は、上述したような設定処理に先立って、初期設定を行ってもよい。初期設定においては、設定装置22は、たとえば分電盤構成(分岐回路10の回路数など)が選択される。
ところで、上述の例では、1つの検出部53が1つの分岐回路10に対応する場合について説明したが、複数の検出部53,53…が1つの分岐回路10に対応する場合もある。たとえば、二次連系ブレーカ46などにあっては、3P3E(極数3、素子数3)で、左右方向の寸法が分岐ブレーカ43の複数個分(3個分)の大きさのブレーカがある。以下では、分岐ブレーカ43の2個分の大きさを2個モジュール、3個分の大きさを3個モジュールと呼ぶ。この種のブレーカが導電バー42に取り付けられる場合、当該ブレーカに接続される分岐回路10を流れる電流値は、当該ブレーカに対応する3つの検出部53,53,53によって計測可能である。
この種のブレーカは、中性極(N相)の一次側端子と、第1の電圧極(L1相)の一次側端子と、第2の電圧極(L2相)の一次側端子とが、左右方向において異なる各位置に設けられている。そのため、このブレーカに対応する3つの検出部53,53,53は、それぞれN相、L1相、L2相の電流値を個別に計測することになる。そこで、計測装置5が、たとえばL1相で計測を行う場合、このブレーカに対応する3つの検出部53,53,53のうち、いずれか1つのみを用いて計測を行う必要がある。この場合、設定装置22は、これら3つの検出部53,53,53について、いずれも接続される機器の種別(回路設定)をたとえば「太陽光発電装置」とし、計測装置5において実際に電流値を計測して最も大きな電流値を採用すればよい。
また、設定装置22は、3つの検出部53,53,53のうち、L1相に対応する検出部53について、接続される機器の種別(回路設定)をたとえば「太陽光発電装置」とし、他の2つの検出部53,53については「無効」としてもよい。あるいは、設定装置22は、接続される機器の種別と計測を行う検出部53との関係を予め記憶し、接続される機器の種別をたとえば「太陽光発電装置」とした時点で、計測を行う検出部53を特定してもよい。
<設定シート>
次に、設定シート1について説明する。
設定シート1は、図1に示すように、設定情報を記入するための記入スペース100に、上述した第1の記入欄11、第2の記入欄12、第3の記入欄13の他、第4の記入欄14、さらに第5の記入欄15を有している。ここでは、設定シート1は、たとえばA3サイズの用紙であって、横向き(横方向に長くなる向き)に使用されている。図1の例では、設定シート1の上半分に第1〜3の記入欄11〜13が設けられ、下半分に第4,5の記入欄14,15が設けられている。
まず、複数の分岐回路10,10…の各々に対応付けて設けられた第1〜3の記入欄11〜13について説明する。
すなわち、記入スペース100には、図5に示すように、分電盤4の複数の分岐回路10,10…の各々について識別符号を表す第1の記入欄11が設けられている。さらに、第1の記入欄11に対応する形で、電圧区分、回路設定のそれぞれを記入する第2の記入欄12、第3の記入欄13が設けられている。
本実施形態では、図5に示すように、記入スペース100には、主幹ブレーカ41を表す枠16、その下方に計測ユニット52を表す枠17が描かれている。そして、記入スペース100における枠17から右方に延びた直線110の上下方向の両側に、複数の分岐回路10,10…の各々に対応付けて第1〜3の記入欄11〜13が設けられている。これにより、複数の分岐回路10,10…の設定シート1上での配置は、分電盤4における複数の分岐ブレーカ43,43…の配置に合わされている。なお、図5の例では、第2の記入欄12と第3の記入欄13との間に、回路名称(「太陽光」など)を記入するための欄が設けられているが、この欄は必須ではない。
第1の記入欄11は、直線110を挟むようにして、直線110の上下方向の両側に設けられた複数の升(枠)を有している。第2の記入欄12は、第1の記入欄11の上下方向の両側に設けられた複数の升(枠)を有している。第3の記入欄13は、第2の記入欄12の上下方向の両側に設けられた複数の升(枠)を有している。
第1の記入欄11は、図6に示すように、複数の分岐回路10,10…の各々を識別するための識別符号を記入するための升111を左右方向に複数個有し、1つの升111につき1つの識別符号が記入される。本実施形態では、識別符号として回路番号(1,2,3…)が用いられ、電流計測器51の各検出部53について個別の回路番号が割り当てられる。
たとえば、上段の電流計測器51については、主幹ブレーカ41側(左側)の検出部53から順に奇数番号(1,3,5,7…)が回路番号として割り当てられる。下段の電流計測器51については、主幹ブレーカ41側(左側)の検出部53から順に偶数番号(2,4,6,8…)が回路番号として割り当てられる。なお、分岐回路10への回路番号の割り当て方は、上述した例に限らず任意に決めることができる。
ここで、第1の記入欄11は、分電盤構成(分岐回路10の回路数など)に応じて、割り当てられる回路番号の数が決まるので、分岐回路10,10…の数を超えて回路番号が割り当てられることはない。図6では、上段の回路数が「4」で、下段の回路数が「7」で、合計の回路数が「11」である場合を例示している。なお、第1の記入欄11を構成する升111の数そのものが、分電盤構成に応じて決まっていてもよい。
第2の記入欄12は、図7に示すように、複数の分岐回路10,10…の各々について印加電圧の大きさ(電圧区分)を記入するための升121を左右方向に複数個有し、1つの升121につき1つの電圧区分が記入される。本実施形態では、電圧区分として100Vを表す「100」と、200Vを表す「200」とが用いられている。
また、たとえば複数の検出部53,53…が1つの分岐回路10に対応する場合にあっては、この分岐回路10の代表となる回路番号についてのみ電圧区分が記入され、残りの回路番号については電圧区分は空欄(記入せず)であってもよい。つまり、3個モジュールの二次連系ブレーカ46が取り付けられる場合などは、その左端の(最小となる)回路番号についてのみ電圧区分が記入されてもよい。さらに、たとえば太陽光発電装置が接続されている場合など、特定の分岐回路10については、電圧区分は空欄であってもよい。図7において「2C」は2個モジュールのブレーカが接続される分岐回路10を示し、「太陽光」は太陽光発電装置が接続される分岐回路10を示す。
第3の記入欄13は、図8に示すように、複数の分岐回路10,10…の各々について機器の種別(回路設定)を記入するための升131を左右方向に複数個有し、1つの升131につき1つの回路設定が記入される。本実施形態では、回路設定を表す記号として、100V負荷であれば「1U」、200V負荷であれば「2U」、100Vの単相3線分岐配線用ブレーカであれば「n1」、200Vの単相3線分岐配線用ブレーカであれば「n2」が用いられる。また、2個モジュール、3個モジュールであればそれぞれ「2C」、「3C」が用いられ、太陽光発電装置であれば「PV」、給湯機であれば「EC」、非計測であれば「of」が用いられる。
また、たとえば複数の検出部53,53…が1つの分岐回路10に対応する場合にあっては、この分岐回路10の代表となる回路番号についてのみ回路設定が記入され、残りの回路番号については回路設定は空欄(記入せず)あるいは「−」であってもよい。3個モジュールの二次連系ブレーカ46が取り付けられる場合などは、その左端の(最小となる)回路番号についてのみ回路設定が記入されてもよい。図8において「2C」は2個モジュールのブレーカが接続される分岐回路10を示し、「太陽光」は太陽光発電装置が接続される分岐回路10を示す。
一方、第4の記入欄14は、識別符号、電圧区分、および回路設定以外の分電盤4に関する設定情報であって、少なくとも1つの設定項目と当該設定項目に対応する設定値とが記入される。具体例としては、図9に示すように、複数の設定項目と、各設定項目に対応する設定値とが対応付けられた表141が、第4の記入欄14に記入される。この表141は、分電盤4の出荷時の設定情報を表している。
図9の例では、設定項目としては、主幹系統の定格電流を表す「主幹定格」、リミッタの有無を表す「リミッタ」、ピークアラームの有無を表す「過電流検知」が示されている。さらに、計測ユニット52の計測対象である特定回路についての設定情報が、「特定1」〜「特定8」として示されている。表141における「備考」はメモ用のスペースであ
る。
第5の記入欄15は、分電盤4の施工時のチェックリストとして用いられ、必要なチェック項目が予め記入されている。チェック項目としては、たとえば「主幹用CTは売電と買電の両方が計測できる位置に取付けられていますか?」、「主幹CTより上位に分岐回路はありませんか?」などがある。
以上説明した構成の設定シート1によれば、複数の分岐回路10,10…の設定状態(識別符号、電圧区分、回路設定)が記入スペース100に一覧形式で記入されることになる。そのため、ユーザは、複数の分岐回路10,10…の1つずつについて設定状態を確認する必要がなく、複数の分岐回路10,10…の設定状態を設定シート1にてまとめて確認することができる。したがって、ユーザは、分電盤4全体の設定状態を把握しやすくなる、という利点がある。これにより、施工業者(ユーザ)は、分電盤4を施工(設置)する際、設定シート1を参考にすることで、施工作業の効率が向上する。
記入スペース100には、本実施形態のように、識別符号、電圧区分、および回路設定以外の分電盤4に関する設定情報であって、少なくとも1つの設定項目と当該設定項目に対応する設定値とが記入される第4の記入欄14がさらに設けられることが好ましい。この構成によれば、識別符号、電圧区分、および回路設定以外の分電盤4に関する設定情報についても、設定シート1に記入されることになるので、ユーザは、分電盤4のより細かい設定状態を把握可能になる。
なお、設定シート1は、記入スペース100に、識別符号を記入する第1の記入欄11、電圧区分を記入する第2の記入欄12、回路設定を記入する第3の記入欄13が設けられていればよく、第1〜3の記入欄11〜13の配置、大きさ等は適宜変更可能である。
<設定システム>
次に、上記の設定シート1と併せて用いられる設定システム2(図3参照)について説明する。この設定システム2は、設定シート1から、記入スペース100に記入された設定情報の少なくとも一部を光学的に読み取って電子データである設定データに変換する読取装置21と、上述した設定装置22とを備えている。
読取装置21は、たとえばカメラ(図示せず)を有するスマートフォンやタブレット端末のような汎用の携帯端末からなる。読取装置21は、カメラで撮影した設定シート1の画像から、光学文字認識(OCR:Optical Character Recognition)によって設定情報を読み取る。読取装置21は、読み多々設定情報を設定データに変換して、設定装置22へ出力する。なお、読取装置21は、たとえば第1通信アダプタ47を介して設定装置22へ設定データを出力する。
設定装置22は、設定データに基づいて、記憶部241に設定情報の書き込みを行うように構成されている。すなわち、設定装置22は、インタフェース23から入力された設定情報だけでなく、読取装置21で読み出された設定情報を用いても、記憶部241へ設定情報を書込可能に構成されている。
以上説明した設定システム2によれば、設定シート1に記入された設定情報の少なくとも一部を読取装置21で読み取ることにより、自動的に記憶部241へ書き込むことができる。したがって、ユーザは、設定シート1に記入された設定情報を手入力する手間が省け、分電盤4の設定作業が簡単になる、という利点がある。なお、読取装置21は、汎用の携帯端末に限らず、専用端末であってもよい。また、読取装置21は、分電盤4内に設けられていてもよく、設定装置22と一体化されていてもよい。
また、設定装置22は、設定データが変更されると、変更後の設定データに基づいて記憶部241の設定情報を書き換えるように構成されていることが好ましい。すなわち、設定シート1において設定情報の変更があった場合、読取装置21で変更後の設定情報を読み取ることにより、設定データは変更されることになる。この場合に、設定装置22は、変更後の設定データに基づいて記憶部241の設定情報の書き換えを行うので、記憶部241には変更後の(最新の)設定情報が記憶される。
したがって、施工業者(ユーザ)は、現場で回路の組み換えが生じた場合などには、設定シート1の記入スペース100の設定情報を変更するだけで、変更後の設定情報が読取装置21で読み取られ、設定装置22により記憶部241に書き込まれることになる。そのため、ユーザの負担が軽減されることになる。
<シート作成システム>
次に、上記の設定シート1の作成に用いられるシート作成システム3について、図10を参照して説明する。
このシート作成システム3は、入力装置31と、印刷装置32とを備えている。入力装置31は、記入スペース100に記入する情報の少なくとも一部の入力を受け付ける。印刷装置32は、入力装置31に入力された前記情報を記入スペース100に印刷する。
一般的に、分電盤4は、工場においてキャビネット44に内器が取り付けられ、設定情報が入力された状態で出荷される。ここで、工場の管理端末は、たとえばコンピュータからなり、出荷時の分電盤4の設定情報を分電盤4に固有の識別子と共に記憶している。入力装置31は、たとえば上記管理装置からなり、出荷時の設定情報を印刷装置32に出力する。印刷装置32は、入力装置31から受け取った設定情報を所定の用紙に印刷し、設定シート1を作成する。
本実施形態では、一例として、入力装置31は、キーボード等の入力インタフェースを用いて設定情報の入力を受け付け、分電盤4の設定装置22へ設定情報を出力するように構成されている。つまり、設定装置22は、インタフェース23から入力された設定情報だけでなく、入力装置31で入力された設定情報を用いても、記憶部241へ設定情報を書込可能に構成されている。
作成された設定シート1は、分電盤4の出荷時に、分電盤4に同梱されて出荷される。分電盤4は、たとえば蓋441の裏側に設定シート1の収納スペース(図示せず)を有することが好ましい。この場合、設定シート1は、普段、分電盤4の蓋441の裏側に収納されることにより、紛失しにくくなる。
なお、印刷装置32は、設定情報と罫線(枠)との両方を印刷してもよいし、罫線(枠)が予め引かれた用紙に設定情報のみを印刷してもよい。
以上説明したシート作成システム3によれば、設定シート1を手書きではなく、印刷によって作成することができるので、設定シート1の作成に掛かる時間を短縮でき、また、より見やすい設定シート1を作成することができる。
(実施形態2)
本実施形態に設定シート1は、記入スペース100の少なくとも一部がマークシート方式である点で、実施形態1の設定シート1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
すなわち、本実施形態においては、設定情報の少なくとも一部は、文字や数字や記号に代えて、マークシート方式で記入される。マークシート方式は周知のように、予め用意された複数の選択肢のいずれかを塗りつぶすことにより、複数の選択肢の中から1つの選択肢を表す方式である。たとえば電圧区分については、予め用意された100Vを表す「100」と、200Vを表す「200」との2つの選択肢の中から、いずれかを選んで塗りつぶすことにより、電圧区分がマークシート方式で表されることになる。
本実施形態の構成によれば、光学マーク認識(OMR:Optical Mark Recognition)を用いて、読取装置21にて設定シート1から設定情報を読み取ることができる。その結果、設定情報が文字や数字や記号で記入される場合に比べて、設定情報の読み取りの精度が高くなる。
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。