以下、実施形態に係る分岐回路設定装置および分電盤について図面を参照して説明する。ただし、以下の各実施形態で説明する構成は本発明の一例に過ぎない。本発明は、以下の実施形態に限定されず、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(実施形態1)
実施形態1に係る分岐回路設定装置および分電盤について図面を参照して説明する。
図1は、分岐回路設定装置を備えた分電盤の概略的なブロック図である。本実施形態の分電盤1は、複数の分岐ブレーカ20(21,22)と、分岐回路設定装置(以下、設定装置と言う。)30と、設定装置30および複数の分岐ブレーカ20を収容する分電盤用キャビネット40とを備えている。本実施形態では、分電盤1が設置される電力の需要家の施設(customer's facility)が戸建住宅である場合を例に説明するが、この例に限らず、需要家の施設は、例えば集合住宅の各住戸や事務所や店舗や工場などでもよい。
まず、設定装置30を備えた分電盤1の構成について、図1〜図3を参照して簡単に説明する。以下では、分電盤1が壁に取り付けられた状態での左右方向(図2のX軸方向)を左右方向、上下方向(図2のY軸方向)を上下方向とし、壁と垂直な方向(図2のZ軸方向)を前後方向として説明するが、分電盤1の取付方向は上記の方向に限定されない。
分電盤1は、図2に示すように、住宅の壁等に取り付けられる分電盤用キャビネット40を備える。分電盤用キャビネット40は、正面視が横長の長方形状となり前面が開口した薄箱状に形成されている。分電盤用キャビネット40の内部には、主幹ブレーカ50と、複数の分岐ブレーカ20(21,22)とが内器として収納されている。また分電盤用キャビネット40の内部には、電流センサ60(図1参照)、計測ユニット70、第1通信アダプタ81、第2通信アダプタ82、および第3通信アダプタ83も収納されている。本実施形態では第1通信アダプタ81が、設定装置30と筐体を共用することで、設定装置30と一体化されているが、第1通信アダプタ81と設定装置30とが別々の筐体を有するように構成されてもよい。
分電盤用キャビネット40の前面には内蓋が取り付けられてもよい。また分電盤用キャビネット40には、内蓋の前面を覆うようにして、外蓋41が開閉自在に取り付けられている。図2は外蓋41が開いた状態を示し、外蓋41が開いた状態では内蓋の前面が露出する。なお図2では内蓋の図示を省略している。内蓋には、分岐ブレーカ20および主幹ブレーカ50の操作ハンドルや、第1通信アダプタ81の表示用ディスプレイ811および操作ボタン812を露出させる貫通孔が設けられている。表示用ディスプレイ811は、例えば2桁の7セグメントディスプレイからなる。したがって、外蓋41を開ければ、内蓋を取り外さなくても、分岐ブレーカ20および主幹ブレーカ50の操作ハンドルや、第1通信アダプタ81の操作ボタン812を操作することができ、また表示用ディスプレイ811の表示内容を確認することができる。
主幹ブレーカ50は、その一次側に、系統電源(商用電源)の単相三線式の引込線101(図1参照)が電気的に接続される。主幹ブレーカ50の二次側には、左右方向に長い長尺板状であって、導電部材からなる導電バー102が電気的に接続される。本実施形態の分電盤1は、単相三線式の配電方式を採用しているので、導電バー102は、第1の電圧極(L1相)の導電バー1021と、第2の電圧極(L2相)の導電バー1022と、中性極(N相)の導電バー1023とで構成されている(図3参照)。つまり、分電盤用キャビネット40には3つの導電バー102(1021,1022,1023)が設けられている。これら3つの導電バー102(1021,1022,1023)は、主幹ブレーカ50の右側に配置され、分電盤用キャビネット40に固定されている。
複数の分岐ブレーカ20(21,22)は、分電盤用キャビネット40において主幹ブレーカ50の右側に設けられた収容部42に収容される(図2参照)。分岐ブレーカ20には、負荷110への電力供給を遮断するための複数の分岐ブレーカ21と、分散電源120を主幹回路に連系させるための連系用の分岐ブレーカ22とがある。以下の説明において、分岐ブレーカ21と分岐ブレーカ22とに共通する説明を行う場合は分岐ブレーカ20と表記する。
複数の分岐ブレーカ21の各々は、負荷110が接続される分岐回路103と主幹回路(導電バー102)との間に電気的に接続されている。各分岐ブレーカ21の二次側端子に接続された分岐回路103には、例えば照明器具や給湯設備等の機器、差込接続装置のコンセント(アウトレット)や壁スイッチ等の配線器具が、負荷110として1つ以上接続される。
分岐ブレーカ22は、例えば太陽光発電装置、燃料電池、ガス発電装置、蓄電装置などの分散電源120が接続される分岐回路103と、主幹回路(導電バー102)との間に電気的に接続されている。分岐ブレーカ22は、例えば系統電源からの電力供給が停止したときや、系統電源あるいは分散電源120に異常が生じたときなどに、分散電源120を電力系統から切り離す(解列する)ように動作する。
複数の分岐ブレーカ21の各々は協約形寸法の1Pサイズに形成されており、分岐ブレーカ22は協約型寸法の3Pサイズ(1Pサイズのブレーカを幅方向に3個並べたものとほぼ同じ寸法)に形成されている。協約形寸法とは「JIS C 8201−2−1」に準拠した電灯分電盤用の回路遮断器の寸法(および形状)をいう。
複数の分岐ブレーカ20(21,22)は、分電盤用キャビネット40の収容部において上側(上段)と下側(下段)とに分かれて配置されている。図2の例では、上段には11個の分岐ブレーカ21が左右方向に並ぶように配置され、下段には11個の分岐ブレーカ21と連系用の分岐ブレーカ22とが左右方向に並ぶように配置されている。上段及び下段に配置された分岐ブレーカ21の数は11個以外でもよく、上段に配置された分岐ブレーカ21の数と下段に配置された分岐ブレーカ21の数とが異なっていてもよい。
複数の分岐ブレーカ20(21,22)の各々は一次側端子と二次側端子とを備えている。分岐ブレーカ20の一次側端子は、主幹回路である導電バー102(1021,1022,1023)に電気的に接続される。分岐ブレーカ20の二次側端子には分岐回路103が接続される。分岐ブレーカ21の二次側端子に接続された分岐回路103には負荷110が接続されており、導電バー102を介して供給された電力は分岐ブレーカ21によって負荷110に分配される。連系用の分岐ブレーカ22の二次側端子に接続された分岐回路103には分散電源120が接続されており、分散電源120から供給された交流電力は分岐ブレーカ22を介して主幹回路をなす導電バー102に供給される。
複数の分岐ブレーカ21の各々は、導電バー102が差し込まれる差込口を有している。複数の分岐ブレーカ21の各々が備える差込口は、3つ(L1相、L2相、中性相)の導電バー102(1021,1022,1023)の各々に対応するように、各分岐ブレーカ21に3個ずつ設けられている。分岐ブレーカ21の一次側端子は、これら3個の差込口のうち2個の差込口内に露出するように設けられている。100V用の分岐ブレーカ21では、L1相およびL2相の導電バー1021,1022が挿入される2カ所の差込口のいずれか一方と、中性相の導電バー1023が挿入される挿入口とに一次側端子が設けられている。200V用の分岐ブレーカ21では、L1相の導電バー1021が挿入される差込口と、L2相の導電バー1022が挿入される差込口とに一次側端子が設けられている。
連系ブレーカとして使用される分岐ブレーカ22も、分岐ブレーカ21と同様、導電バー102が差し込まれる差込口を有している。分岐ブレーカ22には、3つ(L1相、L2相、中性相)の導電バー102(1021,1022,1023)の各々に対応するように3つの差込口が設けられ、3つの差込口の全てに一次側端子が設けられている。
ここで、第1の電圧極(L1相)の導電バー1021と第2の電圧極(L2相)の導電バー1022とは、複数の分岐ブレーカ20(21,22)の各々に対応する位置において、分岐ブレーカ20の差込口に挿入される接続端子を備えている。この接続端子は、電圧極の導電バー102(1021,1022)から前方に立ち上がり、かつ先端部が二股に分かれるように形成されている。二股に分かれた接続端子の先端部は、一方が上段の分岐ブレーカ20に接続されるように上向きに突出し、他方が下段の分岐ブレーカ20に接続されるように下向きに突出する。上段の分岐ブレーカ20側では、3つの導電バー1021,1022,1023は、前後方向において手前側(壁とは反対側)から中性極、第2の電圧極、第1の電圧極の順に並んでいる。下段の分岐ブレーカ20側では、3つの導電バー1021,1022,1023は、前後方向において手前側(壁とは反対側)から中性極、第1の電圧極、第2の電圧極の順に並んでいる。これにより、各分岐ブレーカ20は、分電盤用キャビネット40に取り付けられた状態で、3つの差込口に導電バー102(1021,1022,1023)が差し込まれ、一次側端子が導電バー102と電気的に接続される。なお、第1の電圧極の導電バー1021と第2の電圧極の導電バー1022とにおいては、分岐ブレーカ20に設けられた差込口に接続端子の先端部が差し込まれる。
100V用の分岐ブレーカ21では、一次側端子が、3個の差込口のうち、両端の2個の差込口内に露出するように設けられている。これにより、100V用の分岐ブレーカ21は、上段に取り付けられた状態では第1の電圧極と中性極とに対して電気的に接続され、下段に取り付けられた状態では第2の電圧極と中性極とに対して電気的に接続される。
200V用の分岐ブレーカ21では、一次側端子が、3個の差込口のうち、後方の2個の差込口内に露出するように設けられている。これにより、200V用分岐ブレーカ21は、上段および下段のいずれに取り付けられた状態でも、第1の電圧極と第2の電圧極とに対して電気的に接続される。
電流センサ60は、複数の分岐回路103の各々での電力を計測する。また計測ユニット70は、後述する特定回路での電力を計測する。
第1通信アダプタ81、第2通信アダプタ82、および第3通信アダプタ83は、それぞれ分電盤1の外部との通信機能を有している。第1通信アダプタ81、第2通信アダプタ82、および第3通信アダプタ83のそれぞれの通信方式としては、無線通信、有線通信を問わず適宜の方式が適用可能である。図2の例では、第1通信アダプタ81、第2通信アダプタ82、および第3通信アダプタ83は、分電盤用キャビネット40の左側に設けられたスペースに取り付けられている。第2通信アダプタ82は第1通信アダプタ81の上方に配置され、第3通信アダプタ83は第1通信アダプタ81の下方に配置されている。
第1通信アダプタ81は、機器の制御を行うコントローラとの通信機能を有する。ここでいう機器とはHEMS(Home Energy Management System)対応機器である。HEMS対応機器は、電力の管理対象であれば足り、例えばHEMSにおいて重要な8機器(スマートメータ、太陽光発電装置、蓄電装置、燃料電池、電気自動車、エアコン、照明器具、給湯装置)などを含む。
第1通信アダプタ81は、電流センサ60から複数の分岐回路103の電力情報を受信し、計測ユニット70から特定回路の電力情報を受信することで、複数の分岐回路103や特定回路の各々の瞬時電力のデータを収集する機能を有している。第1通信アダプタ81は、複数の分岐回路103や特定回路の各々について、瞬時電力を所定時間にわたって積算した電力量を演算する機能を有していてもよい。第1通信アダプタ81は、これらの電力情報(瞬時電力あるいは電力量)をコントローラへ送信する。これにより、コントローラは、表示端末を制御して電力情報を可視化(見える化)したり、電力情報に基づいて(HEMS対応)機器を制御したりすることができる。
第2通信アダプタ82は、通信機能を有する電力メータ(いわゆるスマートメータ)との通信機能を有している。第3通信アダプタ83は、ガスメータ、水道メータ、太陽光発電装置、電気自動車に電気的に接続される電力変換装置、蓄電装置のうち少なくとも1つからなるエネルギー管理装置との通信機能を有している。第2通信アダプタ82および第3通信アダプタ83は、それぞれ第1通信アダプタ81と電気的に接続されている。
また、分電盤1は、太陽光発電装置が電気的に接続される一次連系ブレーカを、内器として備えてもよい。一次連系ブレーカは、分電盤用キャビネット40における主幹ブレーカ50の左側のスペースに配置され、主幹ブレーカ50の一次側に電気的に接続される。一次連系ブレーカは、例えば系統電源からの電力供給が停止したときや、系統電源あるいは太陽光発電装置に異常が生じたときなどに、太陽光発電装置を電力系統から切り離す(解列する)ように動作する。
電流センサ60は、複数の分岐ブレーカ20の各々に接続された分岐回路103での電力を測定するためのセンサであって、導電バー102に取り付けられる。図2の例では、上段の分岐ブレーカ20、下段の分岐ブレーカ20のそれぞれに対して、電流センサ60が設けられている。
電流センサ60は、それぞれ対応する分岐回路103に流れる電流を測定する複数の測定部61が実装されたプリント配線基板を備える。プリント配線基板には、導電バー1021,1022の接続端子にそれぞれ対応する位置に、プリント配線基板を厚み方向に貫通する貫通穴が設けられている。これにより、電流センサ60は、複数の貫通孔に複数の接続端子が差し込まれた状態で、導電バー102に取り付けられることになる。さらに、この状態では、各接続端子は、貫通孔を通して分岐ブレーカ20(20,21)に接続されることになる。
電流センサ60のプリント配線基板には複数の測定部61が実装されている。複数の測定部61の各々は対応する分岐回路103に流れる電流を計測する。測定部61は、プリント配線基板において、接続端子が挿入される貫通孔の周囲にそれぞれ形成されている。本実施形態の測定部61は、例えばコアを用いない(コアレスの)空芯コイルからなり、貫通孔に通された接続端子に流れる電流に応じた出力を発生するロゴスキコイルである。なお測定部61はロゴスキーコイルに限定されず、変流器(カレントトランス)、ホール素子、磁気抵抗素子、GMR(Giant Magnetic Resistances)素子、シャント抵抗などで構成されてもよい。
電流センサ60は、各測定部61の出力に基づいて、複数の分岐ブレーカ20の各々(各々の分岐回路103)に流れる電流を測定する。なお測定部61は、1つの分岐ブレーカ20に接続される2個の接続端子のうちの一方(例えば後側に位置する接続端子)に流れる電流を測定できるように、前後方向に並ぶ一対の貫通孔のうち後側(壁側)の貫通孔の周囲にのみ設けられている。これにより、上段側の電流センサ60では第1の電圧極(L1相)の電流値を測定し、下段側の電流センサ60では第2の電圧極(L2相)の電流値を測定することになる。
また、電流センサ60は、測定部61の出力を受ける処理回路をプリント配線基板に有している。処理回路は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)からなり、測定部61の出力に対し、積分等の適宜の処理を施すように構成されている。本実施形態ではさらに、電流センサ60は、各測定部61の出力を用いて、複数の分岐回路103の各々について瞬時電力を演算する演算装置を基板に有している。演算装置は、例えばマイコン(マイクロコンピュータ)からなり、処理回路と通信することにより、測定部61の出力に適宜の処理が施された後のデータを処理回路から受信する。演算装置は、複数の分岐回路103の各々について線間電圧の値を示す電圧情報を計測ユニット70から取得し、各測定部61の出力から求まる電流値と、電圧情報とに基づいて、各分岐回路103の電力(瞬時電力)の値を演算により求めている。
電流センサ60は、計測ユニット70を介して第1通信アダプタ81(設定装置30)に電気的に接続されており、計測ユニット70を通して第1通信アダプタ81へ各分岐回路103での消費電力(瞬時電力)の演算結果を送信する。
計測ユニット70は、上述した3本の導電バー102に電気的に接続されており、導電バー102からの電力を受けて、電流センサ60や第1通信アダプタ81を含む内器の動作用電源を生成する電源回路を有している。さらに、計測ユニット70は、3つの導電バー102の線間電圧を計測し、計測された電圧の値を電圧情報として電流センサ60へ出力する機能を有している。
また、計測ユニット70は、電流センサ60の計測対象である分岐回路103以外の特定回路について、電力を計測するように構成されている。計測ユニット70には、例えばカレントトランス(CT)からなる計測部71が電気的に接続され、この計測部71によって、例えば主幹ブレーカ50を通過する電流の値を計測する。そして、計測ユニット70は、計測された電流の値と、電圧情報とに基づいて、瞬時電力の値を演算により求めるように構成されている。計測ユニット70は、第1通信アダプタ81と電気的に接続されており、特定回路についての電力の演算結果を第1通信アダプタ81へ送信する。
電流センサ60および計測ユニット70は、本実施形態ではそれぞれ電力情報を求めるように構成されているが、この例に限らず、少なくとも各電路(分岐回路103または特定回路)に流れる電流の値を計測する構成であればよい。例えば電流センサ60および計測ユニット70は、計測した電流値を第1通信アダプタ81へ送信する構成であってもよい。
上述したような構成の分電盤1においては、例えば電流センサ60や計測ユニット70での計測のためのパラメータなど、各種の設定情報を設定する必要があり、これらの設定情報を設定するために設定装置30が設けられている。
設定装置30によって設定される設定情報は、分電盤1に関して設定される情報であればよいが、本実施形態では設定情報が、電流センサ60が各分岐回路103の電力を計測するために必要な情報である場合を例に説明する。
すなわち、本実施形態では設定情報が、複数ある分岐回路103を個々に識別するための回路識別情報と、分岐ブレーカ20の種別を示す種別情報とを含んでおり、回路識別情報および種別情報について以下に説明する。
電流センサ60は、複数の分岐回路103の各々で電力を測定するので、複数ある分岐ブレーカ20の各々がどの分岐回路103に接続されているかを識別するために、各分岐ブレーカ20に分岐回路103を識別する回路識別情報が設定される。
分岐ブレーカ20の種別を示す種別情報には、分岐ブレーカ20の印加電圧の大きさを示す情報と、分岐ブレーカ20に接続される機器の種類を示す情報とがある。
単相三線式においては、第1の電圧極(L1相)あるいは第2の電圧極(L2相)と中性極とに接続された分岐回路103の印加電圧は「100V」、第1の電圧極と第2の電圧極とに接続された分岐回路103の印加電圧は「200V」となる。そこで、電流センサ60が各分岐回路103の電力を計測するに当たり、各分岐回路103について印加電圧の大きさを「100V」と「200V」との2種類から選択する必要がある。本実施形態の設定装置30は、電流センサ60に対して、各分岐回路103の印加電圧の大きさを「100V」および「200V」のいずれかに設定している。ここで、印加電圧の大きさを表す設定情報を「電圧区分」という。
分岐ブレーカ20に接続される機器としては、例えば照明器具、エアコン、給湯装置などの負荷機器や、太陽光発電装置などの発電装置や、蓄電装置など、様々な種別の機器がある。負荷機器が接続された分岐回路103と、発電装置が接続された分岐回路103と、蓄電装置が接続された分岐回路103とでは、電力供給の向きが異なる。つまり、負荷機器が接続された分岐回路103では、分電盤1から負荷機器に向けて電力が供給されるのに対して、発電装置が接続された分岐回路103では、機器(発電装置)から分電盤1に向けて電力が供給される。また、蓄電装置が接続された分岐回路103においては、蓄電池の充電時と放電時とで電力供給の向きが異なり、分電盤1と機器(蓄電装置)との間で双方向に電力が供給される。そこで、電流センサ60では、各分岐回路103の電力を計測するに当たり、各分岐回路103について接続される機器の種別(用途)を「負荷機器」、「発電装置」、「蓄電装置」の中から選択する必要がある。本実施形態の設定装置30は、電流センサ60に対して、各分岐回路103(すなわち各分岐ブレーカ20)に接続される機器の種別を例えば「負荷機器」、「発電装置」、「蓄電装置」のうちのいずれかに設定する。ここで、各分岐ブレーカ20に接続される機器の種別を示す情報を機器情報という。
本実施形態では、図1および図2に示すように分電盤1の分電盤用キャビネット40内に設定装置30が設けられており、この設定装置30によって上記の設定情報が設定される。すなわち、上記の設定情報は、設定装置30に設けられている記憶部35に書き込まれて保持される。上述のように本実施形態では、設定装置30と第1通信アダプタ81とが筐体を共用しているが、設定装置30の筐体に、第1通信アダプタ81の機能を内蔵することは必須ではなく、設定装置30と第1通信アダプタ81とが別々の筐体を有するように構成されてもよい。
なお、設定情報は、回路識別情報と、種別情報(電圧区分および機器情報からなる)とに限定されず、その他に分電盤1に関する種々の設定情報を含んでいてもよい。例えば設定情報として、分岐回路103の回路数、測定部61ごとの有効と無効との別、電圧相(L1相、L2相)などの情報が含まれていてもよい。単相三線式の配電方式では、中性極と第1の電圧極とに接続された分岐回路103の電圧相はL1相であり、中性極と第2の電圧極とに接続された分岐回路103の電圧相はL2相である。そこで、複数の分岐回路103のうち、電圧区分が100Vである分岐回路103については、電圧相(L1相またはL2相)が設定情報として設定されてもよい。ただし、本実施形態の分電盤1では上段の分岐ブレーカ20はL1相、下段の分岐ブレーカ20はL2相というように、上段か下段かによって電圧相は決まるから、電圧相の設定を省略できる。
また、第1通信アダプタ81が計測ユニット70に電気的に接続されていることにより、設定装置30もまた、計測ユニット70に対して電気的に接続されている。そのため、設定装置30は、計測ユニット70とデータのやり取りが可能で、かつ、計測ユニット70を経由して電流センサ60ともデータのやり取りが可能である。
さらに詳しく説明すると、設定装置30は、図1に示すように、外部からの信号入力やユーザによる操作入力の受け付け、およびユーザへの情報の提示を行うインタフェース31と、内部的な処理を行う設定ブロック34とに機能的に分かれている。設定ブロック34は、インタフェース31と第1通信アダプタ81との両方に対して電気的に接続されている。
インタフェース31は、入力部32および表示部33を有している。設定ブロック34は、記憶部35と設定部36とを有している。なお、入力部32の一部の機能と設定部36の機能とは、マイクロコンピュータが所定のプログラムを実行することによって実現される。このプログラムは、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、メモリカードなどの記録媒体に記憶されて提供されてもよい。
入力部32は、外部(例えば分岐ブレーカ20)から入力される電気信号を受信して、入力情報を設定部36に出力する。また入力部32は、第1通信アダプタ81の前面に設けられた操作ボタン812などの操作に応じて入力情報を設定部36に出力する。表示部33は、第1通信アダプタ81が備える表示用ディスプレイ811などで構成されており、例えば設定部36で設定中の設定情報を表示する。記憶部35は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの電気的に書き換え可能な不揮発性メモリからなり、設定部36によって設定された設定情報を記憶する。設定部36は、入力部32から入力された入力情報に基づいて記憶部35に設定情報を設定する。
設定装置30は、設定済みの設定情報を記憶部35に保持(記憶)している。そのため、電流センサ60および計測ユニット70は、記憶部35内の設定情報を参照することにより、設定済みの設定情報を計測時に用いることができる。
本実施形態の分電盤1では、分電盤1の施工時あるいは分岐ブレーカ20の構成を変更した場合、ユーザが操作ボタン812を例えば一定時間以上連続して操作することで、設定装置30に設定動作を開始させる。すなわち、ユーザが操作ボタン812を例えば一定時間以上連続して操作すると、入力部32から設定動作を開始させる入力情報が設定ブロック34に出力され、設定ブロック34の設定部36が設定情報の設定動作を開始する。
設定ブロック34の設定部36が設定情報の設定動作を開始すると、取得部としての入力部32に、導電バー102に接続された分岐ブレーカ20との間で通信を行わせ、分岐ブレーカ20から回路識別情報と種別情報を取得させる。
入力部32は、図4に示すように、導電バー102に接続される複数の分岐ブレーカ20の各々とバス配線104を介して通信する有線通信部321を備える。ここにおいて、バス配線104の一部は、電流センサ60に設けられた導電路で構成されている。なお、図4では上段側の分岐ブレーカ20は図示を省略している。
複数の分岐ブレーカ20の各々には、有線通信部321と通信する有線通信部201と、分岐回路103の回路識別情報を検知する検知部202と、記憶部203とが設けられている。
本実施形態の分電盤1では、導電バー102に分岐ブレーカ20を接続する接続位置(スロット位置)が予め決められている。本実施形態では、分岐ブレーカ20の接続位置によって回路番号が決められており、この回路番号を回路識別情報としている。図1に示すように、複数の分岐ブレーカ20が上下2段に分かれて分電盤用キャビネット40に取り付けられている。上段側の分岐ブレーカ20には、左側から順番に「1」「3」「5」「7」…のように昇順で増加する奇数の番号が回路番号として割り当てられる。下段側の分岐ブレーカ20には、左側から順番に「2」「4」「6」「8」…のように昇順で増加する偶数の番号が回路番号として割り当てられる。電流センサ60には、各接続位置に接続される分岐ブレーカ20に対して、接続位置に対応した回路番号を表す電気信号を出力する出力部が設けられている。この出力部から出力される電気信号は、例えば回路番号に応じた電圧値の電圧信号である。
したがって、分岐ブレーカ20が導電バー102に接続されると、分岐ブレーカ20の検知部202が、電流センサ60の出力部から出力される電気信号を取り込み、この電気信号から回路番号(すなわち回路識別情報)を検知する。なお、検知部202は、電流センサ60から回路番号が電気信号で入力されるものに限定されず、導電バー102への接続位置を機械的に読み取るように構成されてもよい。例えば、中性相の導電バー1023のエッジ部分において複数の接続位置の各々に回路番号を表す凹凸形状が形成されており、検知部202が、導電バー1023の凹凸形状を読み取ることで、回路番号を回路識別情報として取り込むように構成されてもよい。
記憶部203は例えばROM(Read Only Memory)などのメモリで構成される。記憶部203には、印加電圧を示す電圧区分の情報と、分岐ブレーカ20に接続される機器が負荷機器、発電装置、蓄電装置のいずれであるかを示す機器情報とが予め登録されている。
ここで、本実施形態の設定装置30が分岐ブレーカ20の設定情報を設定する動作について以下に説明する。
導電バー102に複数の分岐ブレーカ20が接続された状態で、ユーザが操作ボタン812を所定時間以上連続して操作すると、入力部32から設定動作を開始させる入力情報が設定部36に出力され、設定部36が設定情報の設定動作を開始する。なお、設定部36は、設定装置30に初めて電源が投入された場合に、設定情報の設定動作を開始するように構成されてもよい。
設定部36は設定動作を開始すると、有線通信部321を制御して導電バー102に接続された複数の分岐ブレーカ20の各々と順番に通信を行わせ、各分岐ブレーカ20から設定情報を送信させる。このとき、分岐ブレーカ20の有線通信部201は、記憶部203から読み出した分岐ブレーカ20に接続される機器の情報(機器情報)および電圧区分と、検知部202が検知した回路番号(回路識別情報)とを、設定装置30に送信する。取得部としての有線通信部321は、複数の分岐ブレーカ20の各々から送信された、電圧区分および機器情報からなるブレーカの種別情報と、回路識別情報とを受信する(第1のステップ)。そして、設定部36は、複数の分岐ブレーカ20の各々について、有線通信部321が受信した電圧区分および機器情報からなるブレーカの種別情報と、回路識別情報とを対応付けて記憶部35に記憶させる(第2のステップ)。これにより、記憶部35には、導電バー102に接続された複数の分岐ブレーカ20の各々について、回路識別情報と機器情報とが対応付けて設定される。このように、設定装置30は、導電バー102に接続された分岐ブレーカ20から回路識別情報と種別情報とを収集して、記憶部35に設定しているので、ユーザが各分岐ブレーカ20の回路識別情報や種別情報を入力する必要がなく、設定の手間を簡略化できる。なお、設定装置30(第1通信アダプタ81)は、記憶部35に設定された各分岐ブレーカ20の回路識別情報と種別情報とを、HEMSのコントローラに送信してもよい。
設定装置30は、導電バー102に接続された複数の分岐ブレーカ20の全てについて設定情報を設定すると、設定情報の設定動作を終了し、記憶部35に設定された各分岐ブレーカ20の設定情報を電流センサ60に出力する。電流センサ60は、設定装置30から各分岐ブレーカ20の設定情報(回路識別情報および種別情報)が入力されると、この設定情報に基づいて、印加電圧の電圧区分および機器の種別を把握できる。電流センサ60は、各分岐ブレーカ20の回路識別情報と種別情報とをもとに、各接続位置に接続された分岐ブレーカ20について電圧区分および機器情報を取得する。これにより、電流センサ60は、各分岐回路103の印加電圧と、各分岐回路103に接続された機器の種類とを把握でき、これらの情報と各分岐回路103に流れる電流とをもとに、各分岐回路103の電力を演算により求めることができる。
ところで、設定装置30の入力部32は、有線通信部321の代わりに、導電バー102に接続された分岐ブレーカ20の無線通信部204との間で無線通信を行う無線通信部322を備えてもよい(図5参照)。なお、無線通信部204,322以外の構成は図4に示す分電盤1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。また、図5では上段側の分岐ブレーカ20は図示を省略している。
設定装置30の入力部32は、無線通信部322が分岐ブレーカ20の無線通信部204と無線通信を行うことによって、分岐ブレーカ20から回路識別情報と種別情報(電圧区分および機器情報)を取得する。このように、設定装置30の入力部32は、分岐ブレーカ20の無線通信部204と無線通信を行う無線通信部322を備えているので、分岐ブレーカ20と設定装置30とを接続する通信線が不要になるという利点がある。
以上説明したように、本実施形態の分岐回路設定装置(設定装置30)は、取得部(入力部32)と、設定部36とを備える。取得部は、分電盤用キャビネット40に収容されて主幹回路(導電バー102)と分岐回路103との間に電気的に接続される複数の分岐ブレーカ20(21,22)の各々について回路識別情報および種別情報を取得する。回路識別情報は接続された分岐回路103を識別するための情報であり、種別情報はブレーカの種別を示す情報である。設定部36は、複数の分岐ブレーカ20の各々について、取得部が取得した回路識別情報と種別情報とを関連付けて記憶部35に設定する。
このように、設定部36は、取得部が取得した回路識別情報と種別情報とを関連付けて記憶部35に設定するから、回路識別情報や種別情報をユーザが入力する必要がなく、複数の分岐回路103の情報を設定したり変更したりする作業を簡略化することができる。また、回路識別情報や種別情報をユーザが設定する必要がないから、設定ミスを減らすことができる。
ここで、取得部としての入力部32は、外部から入力される電気信号に基づいて回路識別情報および種別情報を取得するように構成されてもよい。この構成によれば、回路識別情報や種別情報を電気信号で入力させることができる。
また、取得部(入力部32)は、複数の分岐ブレーカ20の各々とバス配線104を介して通信する有線通信部321を備えてもよい。取得部は、有線通信部321が複数の分岐ブレーカ20の各々と通信することによって、複数の分岐ブレーカ20の各々から電気信号で入力された回路識別情報および種別情報を取得するように構成されてもよい。
有線通信部321は、バス配線104を介して分岐ブレーカ20と通信することで、分岐ブレーカ20から回路識別情報および種別情報を取得しているので、ユーザが回路識別情報や種別情報を設定する必要がなく、設定作業を簡略化できる。また有線通信部321はバス配線104を介して分岐ブレーカ20と通信しているので、電磁ノイズが存在する環境でも回路識別情報および種別情報を確実に取得することができる。
また、取得部(入力部32)は、複数の分岐ブレーカ20の各々と無線通信を行う無線通信部322を備えてもよい。取得部は、無線通信部322が複数の分岐ブレーカの各々と無線通信を行うことによって、複数の分岐ブレーカ20の各々から電気信号で入力された回路識別情報および種別情報を取得するように構成されてもよい。
無線通信部322は、分岐ブレーカ20と無線通信を行うことで、分岐ブレーカ20から回路識別情報および種別情報を取得しているので、ユーザが回路識別情報や種別情報を設定する必要がなく、設定作業を簡略化できる。また、無線通信部322は分岐ブレーカ20と無線通信を行っているので、設定装置30と分岐ブレーカ20との間を電気的に接続する通信線が不要になるという利点もある。
また本実施形態の分岐回路設定方法は、分電盤用キャビネット40に収容され、主幹回路(導電バー102)と分岐回路103との間に接続される複数の分岐ブレーカ20の各々についての情報を設定する分岐回路設定方法である。この分岐回路設定方法は第1のステップと第2のステップとを含む。第1のステップは、複数の分岐ブレーカ20の各々について、接続された分岐回路103を識別するための回路識別情報、およびブレーカの種別を示す種別情報を取得するステップである。第2のステップは、第1のステップで取得された回路識別情報と種別情報とを関連付けて記憶部35に設定するステップである。
このように、複数の分岐ブレーカ20の各々について回路識別情報と種別情報とが取得され、取得された回路識別情報と種別情報とは関連付けて記憶部35に設定されるから、ユーザが回路識別情報や種別情報を設定する必要がない。したがって、複数の分岐ブレーカ20の各々について回路識別情報と種別情報とを設定したり変更したりする作業を簡略化することができる。
(実施形態2)
実施形態2に係る分岐回路設定装置および分電盤について図6を参照して説明する。
実施形態1の設定装置30では入力部32が有線通信部321や無線通信部322を備えていたが、実施形態2の設定装置30では入力部32がパラレル入力部323を備えている(図6参照)。また、各分岐ブレーカ20には、ブレーカの種別に応じて予め設定された電圧値の電圧信号を発生する信号発生部205が設けられている。なお、パラレル入力部323および信号発生部205以外の構成は実施形態1と同じであるから、共通の構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。また、図6では上段側の分岐ブレーカ20は図示を省略している。
パラレル入力部323は、複数の分岐ブレーカ20の各々と個別の信号路105を介して電気的に接続され、複数の分岐ブレーカ20の各々から信号路105を介して電気信号が入力される。
各分岐ブレーカ20の信号発生部205は、導電バー102から入力される交流電圧を整流、平滑した後に、抵抗器などで分圧することによって、ブレーカの種別に応じて予め設定された電圧値の電圧信号を発生する。導電バー102に対して分岐ブレーカ20が接続されると、信号発生部205が信号路105に電気的に接続され、信号発生部205が発生する電圧信号が信号路105を介してパラレル入力部323に入力される。
設定装置30のパラレル入力部323には、導電バー102の全ての接続位置に接続された分岐ブレーカ20から電圧信号が入力されるように、全ての接続位置に接続される分岐ブレーカ20に対応して信号路105が設けられている。すなわち、複数ある信号路105の各々は、分岐回路103の回路番号に対応して設けられている。よって、パラレル入力部323では、複数ある信号路105のうち電圧信号が入力された信号路105から、この信号路105に接続された分岐ブレーカ20の回路番号(すなわち回路識別情報)を取得できる。またパラレル入力部323は、信号路105を介して入力された電圧信号の電圧レベルから、この信号路105に接続された分岐ブレーカ20の種別(例えば電圧区分および機器種別)を取得することができる。
ここで、設定装置30が分岐ブレーカ20の設定情報を設定する動作について以下に説明する。
導電バー102に複数の分岐ブレーカ20が接続された状態で、ユーザが設定装置30の操作ボタン812を所定時間以上連続して操作すると、入力部32から設定動作を開始させる入力情報が設定部36に出力され、設定部36が設定情報の設定動作を開始する。
設定部36は設定動作を開始すると、パラレル入力部323を制御し、複数の信号路105の各々に入力された電圧信号を取り込む処理をパラレル入力部323に行わせる。パラレル入力部323は、電圧信号が入力された信号路105から、信号路105に対応する接続位置に分岐ブレーカ20が接続されていることを把握でき、分岐ブレーカ20に接続される分岐回路103の回路識別情報を取得する。またパラレル入力部323は、信号路105を介して入力された電圧信号の電圧値から、信号路105に接続された分岐ブレーカ20の種別情報を取得する。したがって、取得部としてのパラレル入力部323は、導電バー102に接続された複数の分岐ブレーカ20の各々について回路識別情報と種別情報とを取得することができ、取得した回路識別情報と種別情報とを設定部36に出力する。ここにおいて、パラレル入力部323は、入力された電圧信号をA/D変換するA/D変換部と、A/D変換部の出力から種別情報を取得する信号処理部とを含んで構成される。
パラレル入力部323が、全ての信号路105に接続された分岐ブレーカ20から回路識別情報および種別情報を取得すると、取得した回路識別情報および種別情報を設定部36に出力する。設定部36は、パラレル入力部323から各分岐ブレーカ20の回路識別情報と種別情報とが入力されると、各々の分岐ブレーカ20についての回路識別情報と種別情報とを対応付けて記憶部35に記憶させる。
以上のように、取得部(入力部32)は信号入力部(パラレル入力部323)を備えてもよい。信号入力部は、複数の分岐ブレーカ20の各々と個別の信号路105を介して電気的に接続され、複数の分岐ブレーカ20の各々から信号路105を介して電気信号が入力される。取得部は、電気信号が入力された信号路105をもとに回路識別情報を取得し、信号路105を介して入力された電気信号から種別情報を取得するように構成されてもよい。
取得部では、電気信号が入力された信号路105から回路識別情報を取得し、信号路105を介して入力された電気信号から種別情報を取得しているので、分岐ブレーカ20と通信する通信部を備える必要がないという利点がある。
(実施形態3)
実施形態3に係る分岐回路設定装置および分電盤について図7を参照して説明する。なお、図7は分電盤1の要部を示し、図7では導電バー102に対して分岐ブレーカ20が上下2段に5個ずつ取り付けられた状態を示している。
本実施形態の設定装置30では、複数の分岐ブレーカ20の各々の表面に設けられたブレーカの種別を示す視覚的な種別標識を検出する種別標識検出部から、種別標識検出部が検出した種別標識が入力部32(取得部)に入力される。ここにおいて、視覚的な種別標識とは、光学的なセンサで検出可能な標識や、イメージセンサなどの撮像素子で撮像された画像から抽出可能な標識である。そして、入力部32は、種別標識検出部から入力された種別標識に基づいて種別情報を取得するように構成されている。なお、入力部32や分岐ブレーカ20に設けられた種別標識以外の構成は実施形態1または2と同じであるから、実施形態1,2と共通の構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図7に示すように、各分岐ブレーカ20の表面には、視覚的な種別標識としてバーコードラベル210が貼り付けられている。バーコードラベル210には、ブレーカの種別を示す1次元バーコードが表示されている。バーコードラベル210に表示されたバーコードには、印加電圧を示す電圧区分と、分岐ブレーカ20に接続される機器の種別を示す機器情報とが少なくとも含まれている。なお種別標識は、分岐ブレーカ20の表面にエッチング処理を施すことによって直接刻印されたバーコードや、分岐ブレーカ20の表面に直接印刷されたバーコードでもよい。
分電盤用キャビネット40における複数の分岐ブレーカ20の収容部42には、分岐ブレーカ20に設けられたバーコードラベル210と隣接するように、視覚的な回路標識としてバーコードラベル421が貼り付けられている。バーコードラベル421には1次元バーコードが表示されており、バーコードラベル421に表示された1次元バーコードには、分岐回路を識別するための回路識別情報(回路番号)の情報が少なくとも含まれている。
分岐ブレーカ20のバーコードラベル210と、分岐ブレーカ20の取付部位にバーコードラベル210と隣接して設けられたバーコードラベル421とはバーコードリーダ91によって一度に読み取られる。バーコードリーダ91は、設定装置30の入力部32と通信を行い、バーコードラベル210,421から読み取った情報を入力部32に出力する。入力部32は、バーコードリーダ91から入力されたバーコードラベル210の情報をもとにブレーカの種別情報を取得し、バーコードリーダ91から入力されたバーコードラベル421の情報をもとに回路識別情報を取得する。
本実施形態の設定装置30による設定動作について以下に説明する。複数の分岐ブレーカ20が導電バー102に接続された状態で、ユーザが設定装置30の操作ボタン812を所定時間以上連続して操作すると、入力部32から設定動作を開始させる入力情報が設定部36に出力され、設定部36が設定情報の設定動作を開始する。設定部36が設定動作を開始した状態で、ユーザがバーコードリーダ91を操作して、バーコードリーダ91に、分岐ブレーカ20のバーコードラベル210と、バーコードラベル210に隣接した設けられたバーコードラベル421とを読み取らせる。バーコードリーダ91は、バーコードラベル210,421の読み取りを行うと、バーコードラベル210,421から読み取った情報を入力部32に出力する。
入力部32は、バーコードリーダ91から入力されたバーコードラベル210,421の情報をもとにブレーカの種別情報と回路識別情報とを取得し、取得した種別情報と回路識別情報とを設定部36に出力する。設定部36は、入力部32から入力された種別情報および回路識別情報を記憶部35に設定する。導電バー102に接続された全ての分岐ブレーカ20についてバーコードラベル210,421の読取操作が行われると、導電バー102に接続された全ての分岐ブレーカ20について、種別情報と回路識別情報とが記憶部35に設定される。
なお、本実施形態ではバーコードラベル210,421に1次元バーコードが表示されているが、バーコードラベル210,421に表示されるバーコードは1次元バーコードに限定されず、2次元バーコードでもよい。
上述のように、本実施形態では、複数の分岐ブレーカ20の各々の表面に設けられたブレーカの種別を示す視覚的な種別標識(バーコードラベル210)が種別標識検出部(バーコードリーダ91)によって検出される。そして、種別標識検出部から、種別標識検出部が検出した種別標識が取得部(入力部32)に入力される。取得部は、種別標識検出部から入力された種別標識に基づいて種別情報を取得するように構成さる。
このように、分岐ブレーカ20の表面には視覚的な種別標識が設けられており、種別標識検出部に種別標識を検出させることで、分岐ブレーカ20の種別情報が設定されるから、ユーザが種別情報を直接入力する作業が不要になる。
また本実施形態では、分電盤用キャビネット40における複数の分岐ブレーカ20の収容部42に種別標識と隣接するように分岐回路103を識別するための視覚的な回路標識が設けられている。この回路標識は回路標識検出部(バーコードリーダ91)によって検出され、回路標識検出部から回路標識検出部が検出した回路標識が取得部(入力部32)に入力されてもよい。そして、取得部は、回路標識検出部から入力された回路標識に基づいて回路識別情報を取得してもよい。
このように、分岐ブレーカ20の収容部42に種別標識と隣接するように視覚的な回路標識が設けられており、回路標識検出部に回路標識を検出させることで、回路識別情報が設定されるから、ユーザが回路識別情報を直接入力する作業が不要になる。
(実施形態4)
実施形態4に係る分岐回路設定装置および分電盤について図8を参照して説明する。なお、図8は分電盤1の要部を示し、図8では導電バー102に対して分岐ブレーカ20が上下2段に5個ずつ取り付けられた状態を示している。
実施形態3では、分岐ブレーカ20が接続された分岐回路103の回路識別情報を取得するために、分岐ブレーカ20と1対1で対応するように、回路標識を構成するバーコードラベル421が設けられている。
それに対して、本実施形態では、分電盤用キャビネット40における収容部42に基準位置を示すためのマーカ422,423が設けられている。
また、各分岐ブレーカ20の表面には、ブレーカの種別を色で表すラベル220が種別標識として貼り付けられている。なお、ラベル220には、ブレーカの種別を表す1次元バーコードや2次元バーコードが表示されていてもよい。
設定装置30の入力部32には、分電盤用キャビネット40の収容部42をイメージセンサ92で撮像した画像の画像データが入力される。入力部32は、イメージセンサ92から入力された画像データにエッジ検出やテンプレートマッチングなどの処理を施すことによって、各分岐ブレーカ20に設けられたラベル220とマーカ422,423とを抽出する。入力部32は、マーカ422,423で示される基準位置に対する、各分岐ブレーカ20のラベル220の相対的な検出位置を求めることによって、各分岐ブレーカ20に接続される分岐回路103の回路識別情報を取得する。また入力部32は、ラベル220の色からブレーカの種別情報を取得しており、各分岐ブレーカ20の種別情報と回路識別情報を設定部36に出力する。そして、設定部36は、入力部32から入力された種別情報および回路識別情報を記憶部35に設定する。ここにおいて、イメージセンサ92と入力部32とで、各分岐ブレーカ20に設けられたラベル220(種別標識)を検出する種別標識検出部が構成される。また、イメージセンサ92と入力部32とで、分岐ブレーカ20の収容部42に設けられた基準位置(マーカ422,423の位置)に対する種別標識の相対的な検出位置を求める位置検出部が構成される。
なお、マーカ422,423と、ラベル220と、イメージセンサ92とを除いた構成は実施形態3で説明した設定装置30および分電盤1とほぼ同じであるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
本実施形態の設定装置30による設定動作について以下に説明する。複数の分岐ブレーカ20が導電バー102に接続された状態で、ユーザが設定装置30の操作ボタン812を所定時間以上連続して操作すると、入力部32から設定動作を開始させる入力情報が設定部36に出力され、設定部36が設定情報の設定動作を開始する。設定部36が設定動作を開始した状態で、ユーザがイメージセンサ92を操作して収容部42の画像を撮像させると、イメージセンサ92から入力部32に収容部42の画像データが出力される。
入力部32は、イメージセンサ92から画像データが入力されると、この画像データにエッジ検出やテンプレートマッチングなどの処理を施すことで、各分岐ブレーカ20に設けられたラベル220と、収容部42に設けられたマーカ422,423とを抽出する。入力部32は、マーカ422,423で示される基準位置に対する、各分岐ブレーカ20のラベル220の相対的な検出位置を求めることによって、各分岐ブレーカ20に接続される分岐回路103の回路識別情報を取得する。また入力部32は、ラベル220の色からブレーカの種別情報を取得しており、各分岐ブレーカ20の種別情報と回路識別情報を設定部36に出力する。設定部36は、入力部32から入力された種別情報および回路識別情報を記憶部35に設定しており、導電バー102に接続された全ての分岐ブレーカ20について、種別情報と回路識別情報とを記憶部35に設定できる。
上述のように、本実施形態では、位置検出部(イメージセンサ92および入力部32からなる)は、複数の分岐ブレーカ20の収容部42に設けられた基準位置(マーカ422,423の位置)に対する種別標識(ラベル220)の相対的な検出位置を求める。そして、位置検出部から、位置検出部が検出した種別標識の検出位置が取得部(入力部32)に入力され、取得部は、位置検出部から入力された種別標識の検出位置に基づいて回路識別情報を取得するように構成されている。
このように、位置検出部は、収容部42に設けられた基準位置に対する、各分岐ブレーカ20の種別標識の相対的な検出位置から、各分岐ブレーカ20の回路識別情報を取得しているので、ユーザが回路識別情報を入力する作業が不要になる。また位置検出部は、基準位置に対する、各分岐ブレーカ20の種別標識の相対的な検出位置から、各分岐ブレーカ20の回路識別情報を取得しているので、分岐ブレーカ20と1対1に回路標識を設ける必要がないという利点がある。
(実施形態5)
実施形態5に係る分岐回路設定装置および分電盤について図9を参照して説明する。なお、図9は分電盤1の要部を示し、図9では導電バー102に対して分岐ブレーカ20が下段に5個取り付けられた状態を示している。
本実施形態では、図9に示すように、各分岐ブレーカ20の表面に、ブレーカの種別に応じて形状が異なる形状標識230が設けられている。形状標識230は、例えば分岐ブレーカ20の表面に形成された突起の集まりで構成される。本実施形態の形状標識230は、縦2×横4の合計8つの位置のそれぞれに突起が設けられるか否かでブレーカの種別を表しており、図9では、突起231が設けられた位置を黒丸で示し、突起が設けられていない位置を白丸232で示している。すなわち、形状標識230は、突起231の並び方によって、ブレーカの種別を示す種別情報(すなわち電圧区分および機器種別)を表している。
導電バー102に複数の分岐ブレーカ20が接続された状態で、上段および下段の複数の分岐ブレーカ20の形状標識230は、1段ずつ(例えば上段、下段の順番で)読取装置93によって読み取られる。読取装置93は、複数並んだ分岐ブレーカ20の表面に接触した状態で、各分岐ブレーカ20の形状標識230に対応する位置に、形状標識230が全て突起231で構成されている場合に各突起231が当たることで例えばオンからオフになるスイッチを備える。読取装置93は、複数並んだ分岐ブレーカ20の表面に接触させた状態で、各スイッチのオン/オフから形状標識230の有無および位置を検出し、さらに各々の形状標識230について突起231の並び方を検出する。読取装置93は、形状標識230を検出すると、形状標識230を検出した位置と、形状標識230の形状(すなわち突起231の並び方)とを検出し、その検出結果を入力部32に出力する。なお読取装置93は、感圧センサなどを用いて形状標識230の形状を検出してもよいし、分岐ブレーカ20の表面にビーム光を照射して分岐ブレーカ20の表面を走査することによって形状標識230の3次元形状を検出してもよい。
入力部32は、読取装置93から形状標識230を検出した位置とその形状とが入力されると、形状標識230の存在を検出した位置から、分岐ブレーカ20が接続されていることと、その分岐ブレーカ20に接続される回路番号(つまり回路識別情報)を検出する。また入力部32は、読取装置93によって検出された各形状標識230の形状(突起231の並び方)に基づいて、各々の分岐ブレーカ20についてブレーカの種別を示す種別情報を検出する。入力部32は、導電バー102に接続されている複数の分岐ブレーカ20の各々について回路識別情報および種別情報を取得すると、取得した各分岐ブレーカ20の回路識別情報と種別情報とを設定部36に出力する。
本実施形態の設定装置30による設定動作について以下に説明する。複数の分岐ブレーカ20が導電バー102に接続された状態で、ユーザが設定装置30の操作ボタン812を所定時間以上連続して操作すると、入力部32から設定動作を開始させる入力情報が設定部36に出力され、設定部36が設定情報の設定動作を開始する。
設定部36が設定動作を開始した状態で、ユーザが読取装置93を上段、下段の順番で各段の分岐ブレーカ20の表面に当て、読取装置93に各分岐ブレーカ20の形状標識230を読み取らせる。読取装置93が複数並んだ分岐ブレーカ20の表面に接触すると、各分岐ブレーカ20の形状標識230の突起231にスイッチが押されることで、スイッチが例えばオンからオフに切り替わる。読取装置93は、複数の形状標識230を検出すると、複数の形状標識230の各々について、その検出位置と、その形状(すなわち突起231の並び方)とを検出し、その検出結果を入力部32に出力する。
入力部32は、各形状標識230の検出位置およびその形状が入力されると、形状標識230の検出位置から分岐ブレーカ20に接続される分岐回路103の回路識別情報を検出し、形状標識230の形状から分岐ブレーカ20の種別情報を検出する。入力部32は、各分岐ブレーカ20の回路識別情報および種別情報を取得すると、取得した回路識別情報および種別情報を設定部36に出力する。設定部36は、入力部32から入力された各分岐ブレーカ20の種別情報および回路識別情報を対応付けて記憶部35に設定しており、導電バー102に接続された全ての分岐ブレーカ20について、種別情報と回路識別情報とを対応付けて記憶部35に設定できる。
上述のように、本実施形態では、形状検出部(読取装置93)が、複数の分岐ブレーカ20の各々の表面に設けられた、ブレーカの種別に応じて形状が異なる形状標識230を検出する。形状検出部から、形状検出部が検出した形状標識230の形状と形状標識230の検出位置とが取得部(入力部32)に入力される。取得部は、形状検出部から入力された形状標識230の形状に基づいて種別情報を取得し、形状検出部から入力された形状標識230の検出位置に基づいて回路識別情報を取得するように構成される。
このように、形状検出部が分岐ブレーカ20の表面の形状標識を検出することで、各分岐ブレーカ20の回路識別情報および種別情報を取得しているので、ユーザが回路識別情報や種別情報を入力する作業が不要になり、設定作業を簡略化できる。また形状検出部が分岐ブレーカ20の表面の形状標識を検出することで、回路識別情報および種別情報を取得しているから、分岐ブレーカ20に種別情報などを電気信号で出力する回路を設ける必要がないという利点がある。
なお、形状標識230は本実施形態で説明した形状に限定されず、丸、四角、三角などの2次元形状の組み合わせでブレーカの種別を示してもよいし、形状に色彩を組み合わせたような標識としてもよい。
なお、実施形態1で説明した分岐回路設定方法は、実施形態2〜5で説明した分岐回路設定装置および分電盤にも適用が可能である。
本実施形態のプログラムは、コンピュータを、上記の各実施形態で説明した分岐回路設定装置(設定装置30)として機能させるためのプログラムである。コンピュータがこのプログラムを実行することによって設定装置30の機能が実現され、複数の分岐回路103の情報を設定したり変更したりする作業が簡略化された設定装置30を実現できる。
このようなプログラムを実行するデバイスは、プロセッサとメモリとを備えるマイクロコンピュータを代表例とする。したがって、専用の装置のほか、汎用のコンピュータなどの装置で、上記のプログラムを実行することによって分岐回路設定装置を実現することができる。なお、このプログラムは、インターネットのような電気通信回線を通して提供されるほか、コンピュータで読み取り可能な記録媒体で提供される場合もある。記録媒体は、光ディスク、ハードディスク、不揮発性の半導体メモリなどから選択される。
また本実施形態の分電盤1は、複数の分岐ブレーカ20と、上記の各実施形態で説明した分岐回路設定装置(設定装置30)と、分岐回路設定装置および複数の分岐ブレーカ20を収容する分電盤用キャビネット40とを備えたことを特徴とする。
分電盤1は上記の分岐回路設定装置を備えているので、複数の分岐ブレーカ20の各々について回路識別情報や種別情報を設定したり変更したりする作業が簡略化された分電盤1を実現できる。