JP6642214B2 - 積層多孔性フィルム、電池用セパレータ、及び電池 - Google Patents
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Description
一方、大型の二次電池はロードレベリング、UPS、電気自動車をはじめ、エネルギー/環境問題に関連する多くの分野において研究開発が進められ、大容量、高出力、高電圧および長期保存性に優れている点より非水電解液二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池の用途が広がっている。
[1] ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)と、ポリプロピレン系樹脂を20〜80質量部、無機粒子を80〜20質量部の割合で含有する耐熱層(II層)(ただし、ポリプロピレン系樹脂と無機粒子との合計で100質量部)とが、II層/I層/II層の順に積層された少なくとも3層より構成され、算術平均粗さRaが0.3μm以下のポリエチレンテレフタレートフィルムに対する、JIS K7125(1999年)に準拠して測定されたII層表面の動摩擦係数が0.6以上であることを特徴とする積層多孔性フィルム。
[2] 前記ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)がβ晶活性を有することを特徴とする[1]に記載の積層多孔性フィルム。
[3] 前記ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)にβ晶核剤が含まれていることを特徴とする[1]又は[2]に記載の積層多孔性フィルム。
[4] 延伸フィルムであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の積層多孔性フィルム。
[5] 200℃に昇温したときの面収縮率が10%以下であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の積層多孔性フィルム。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の積層多孔性フィルムを用いた電池用セパレータ。
[7] [6]に記載の電池用セパレータを用いた電池。
[8] [1]〜[5]のいずれかに記載の積層多孔性フィルムの製造方法であって、前記I層を構成するポリプロピレン系樹脂組成物と、前記II層を構成する、ポリプロピレン系樹脂を20〜80質量部、無機粒子を80〜20質量部の割合で含有する樹脂組成物とを、II層/I層/II層の層構成となるように共押出して積層無孔膜状物を作製する工程と、当該積層無孔膜状物を少なくとも一軸方向に延伸して多孔化する工程とを有し、かつ、添加剤を溶媒で除去する工程を含まないことを特徴とする積層多孔性フィルムの製造方法。
また、本発明の積層多孔性フィルムは、厳密な製造条件の制御を必要とせず、原料を溶融混練し、得られた樹脂組成物を用いて作製した無孔膜状物を少なくとも一軸方向に延伸するのみで多孔化して製造することができ、添加剤を溶媒で除去する工程が不要であるため、生産性に優れると共に、環境への悪影響を低減することができる。
1.ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)
本発明の積層多孔性フィルムにおいて、ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)は、ポリプロピレン系樹脂を主成分として構成される層であり、ポリプロピレン系樹脂を通常80質量%以上、好ましくは90質量%以上含むポリプロピレン系樹脂組成物(以下「ポリプロピレン系樹脂組成物(I)」と称す場合がある。)により形成される層であり、好ましくはポリプロピレン系樹脂(A)とβ晶核剤(B)を含むポリプロピレン系樹脂組成物(I)により構成され、β晶活性を有することで、延伸後に均質な多孔性フィルムとされた層である。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂(A)としては、ホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体)、またはプロピレンと、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンもしくは1−デセンなどαオレフィンとのランダム共重合体またはブロック共重合体などが挙げられる。この中でも、機械的強度の観点からホモポリプロピレンがより好適に使用される。
アイソタクチックペンタッド分率とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素―炭素結合による主鎖に対して側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味する。メチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelli et al.(Macromol.8,687(1975))に準拠する。
ポリプロピレン系樹脂(A)のMw/MnはGPC(ゲルパーエミッションクロマトグラフィー)法によって測定される。
ポリプロピレン系樹脂(A)のMFRはJIS K7210−1(2014年)に準拠して温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定される。
示差走査型熱量計で積層多孔性フィルムを25℃から240℃まで加熱速度10℃/分で昇温後1分間保持し、次に240℃から25℃まで冷却速度10℃/分で降温後1分間保持し、更に25℃から240℃まで加熱速度10℃/分で再昇温させた際に、再昇温時にポリプロピレン系樹脂のβ晶に由来する結晶融解ピーク温度(Tmβ)が検出された場合、β晶活性を有すると判断する。
β晶活性度(%)=〔ΔHmβ/(ΔHmβ+ΔHmα)〕×100
例えば、ポリプロピレン系樹脂がホモポリプロピレンの場合は、主に145℃以上160℃未満の範囲で検出されるβ晶由来の結晶融解熱量(ΔHmβ)と、主に160℃以上170℃以下に検出されるα晶由来の結晶融解熱量(ΔHmα)から計算することができる。また、例えばポリプロピレン系樹脂が、エチレンが1〜4モル%共重合されているランダムポリプロピレンの場合は、主に120℃以上140℃未満の範囲で検出されるβ晶由来の結晶融解熱量(ΔHmβ)と、主に140℃以上165℃以下の範囲に検出されるα晶由来の結晶融解熱量(ΔHmα)から計算することができる。
β晶活性度の上限値は特に限定されないが、β晶活性度が高いほど前記効果がより有効に得られるので100%に近いほど好ましい。
β晶活性の有無を、特定の熱処理を施した積層多孔性フィルムの広角X線回折測定により得られる回折プロファイルから判断する場合、詳細には、ポリプロピレン系樹脂の結晶融解ピーク温度を超える温度である170〜190℃の熱処理を施し、徐冷してβ晶を生成・成長させた積層多孔性フィルムについて広角X線測定を行い、ポリプロピレン系樹脂のβ晶の(300)面に由来する回折ピークが2θ=16.0°〜16.5°の範囲に検出された場合、β晶活性が有ると判断する。
ポリプロピレン系樹脂のβ晶構造と広角X線回折に関する詳細は、Macromol.Chem.187,643−652(1986)、Prog.Polym.Sci.Vol.16,361−404(1991)、Macromol.Symp.89,499−511(1995)、Macromol.Chem.75,134(1964)、及びこれらの文献中に挙げられた参考文献を参照することができる。広角X線回折を用いたβ晶活性の詳細な評価方法については、後述の実施例にて示す。
前述の通り、本発明では微細な多孔質構造を得るために、ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)はβ晶活性を有することが好ましく、中でもβ晶核剤(B)を用いることが好ましい。本発明で用いるβ晶核剤(B)としては以下に示すものが挙げられるが、ポリプロピレン系樹脂(A)のβ晶の生成・成長を増加させるものであれば特に限定される訳ではなく、また2種類以上を混合して用いても良い。
ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)を形成するポリプロピレン系樹脂組成物(I)には、その性質を損なわない程度に添加剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、滑剤、難燃剤などの各種添加剤を適宜配合してもよい。またその性質を損なわない程度に他の樹脂を含んでも良く、特にエラストマーの添加により、透気特性の向上を図ることができる。
本発明の積層多孔性フィルムにおいて、耐熱層(II層)は、主成分としてポリプロピレン系樹脂(A)と無機粒子(C)を所定の割合で含むポリプロピレン系樹脂組成物(以下「ポリプロピレン系樹脂組成物(II)」と称す場合がある。)により形成される層である。このポリプロピレン系樹脂組成物(II)はポリプロピレン系樹脂(A)と無機粒子(C)とを合計で70質量%以上、特に80〜100質量%含むことが好ましい。
耐熱層(II層)を構成するポリプロピレン系樹脂(A)としては、ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)を構成するポリプロピレン系樹脂(A)として例示したものの1種又は2種以上を用いることができる。ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)を構成するポリプロピレン系樹脂(A)と耐熱層(II層)を構成するポリプロピレン系樹脂(A)とは同一であっても異なるものであってもよいが、同一であることが、材料の調達、後述の共押出成形性等の面において好ましい。
本発明においては、耐熱層(II層)が無機粒子(C)を含んでなることが重要である。耐熱層(II層)が無機粒子(C)を含有することで、良好な透気性と寸法安定性を有する耐熱層(II層)を形成することができる。また、無機粒子(C)を含む耐熱層(II層)を最外層とすることにより表面が粗面化し、動摩擦係数の増加をもたらす効果がある。
なお、本実施の形態において「無機粒子(C)の平均粒径」は、例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定される。
耐熱層(II層)は、上記に挙げた無機粒子(C)以外にも、ポリプロピレン系樹脂(A)とともに押出成形して膜状物化できるものとして、有機粒子を含有していてもよい。有機粒子としては、延伸温度において有機粒子が溶融しないように、延伸温度よりも高い結晶融解ピーク温度をもつ有機粒子が好ましく、ゲル分率が4〜10%程度の架橋した有機粒子がさらに好ましい。有機粒子の例としては、超高分子量ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、メラミン、ベンゾグアナミンなどの熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂よりなる粒子の1種又は2種以上が挙げられ、これら有機粒子の添加に伴い、本発明の積層多孔性フィルムの表面を粗面化し、動摩擦係数の増加をもたらすことができる。
耐熱層(II層)を形成するポリプロピレン系樹脂組成物(II)には、その性質を損なわない程度に添加剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、結晶核剤、着色剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、滑剤、難燃剤などの各種添加剤を適宜配合してもよい。またその性質を損なわない程度に他の樹脂を含んでも良く、特にエラストマーの添加により、透気特性の向上を図ることができる。
本発明の積層多孔性フィルムは、ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)と耐熱層(II層)がII層/I層/II層の順に積層された少なくとも3層より構成される。
耐熱層(II層)がポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)を挟むように存在していることにより、本発明の積層多孔性フィルムを電池用セパレータとして用いる際に、電池の異常発熱に伴うセパレータの収縮を防ぐことができ、電池の安全性を高めることが可能となる。
また、ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)が耐熱層(II層)の中間に存在することにより、本発明の積層多孔性フィルムが高い透気特性と機械強度を維持することができる。
さらに、ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)と耐熱層(II層)はいずれもポリプロピレン系樹脂が熱可塑性樹脂として主であることから、両層が直接接している場合に高い層間接着性を有すると共に、本発明の積層多孔性フィルムを製造する際に共押出法によってI層とII層を積層した状態で製造することができ、生産性を高めることができる。
次に、本発明の積層多孔性フィルムの製造方法について説明するが、以下の説明は、本発明の積層多孔性フィルムを製造する方法の一例であり、本発明の積層多孔性フィルムはかかる製造方法により製造される積層多孔性フィルムに限定されるものではない。
また、本発明の積層多孔性フィルムの製造方法においては、多孔化するために添加剤を溶媒で除去する工程を含まないことが好ましく、すなわち延伸のみによって多孔化することが好ましい。
積層無孔膜状物の製造方法は特に限定されず公知の方法を用いてよいが、例えば押出機を用いてポリプロピレン系樹脂組成物(I)及びポリプロピレン系樹脂組成物(II)をそれぞれ溶融し、Tダイから共押出し、キャストロールで冷却固化するという方法が挙げられる。また、チューブラー法により製造した膜状物を切り開いて平面状とする方法も適用できる。
押出成形において、押出温度はポリプロピレン系樹脂組成物(I)及び(II)の流動特性や成形性等によって適宜調整されるが、180〜370℃が好ましく、180〜300℃がより好ましく、180〜240℃が更に好ましい。押出温度を180℃以上とすることで、ポリプロピレン系樹脂(A)が溶融し、その溶融樹脂の粘度が十分に低く、成形性に優れ、生産性が向上するので好ましい。一方、押出温度を370℃以下にすることで、ポリプロピレン系樹脂組成物(I)及び(II)の劣化、ひいては電池用セパレータとなる積層多孔性フィルムの機械的強度の低下を抑制できる。
得られた積層無孔膜状物の延伸方法については、ロール延伸法、圧延法、テンター延伸法、同時二軸延伸法などの手法があり、これらを単独あるいは2つ以上組み合わせて一軸延伸あるいは二軸延伸を行う。
上記のようにして得られた積層多孔性フィルムは、寸法安定性の改良を目的として熱処理を施すことが好ましい。この際、熱処理温度は好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは140℃以上とすることで、寸法安定性の効果が期待できる。一方、熱処理温度は好ましくは170℃以下、より好ましくは165℃以下、更に好ましくは160℃以下である。熱処理温度が170℃以下であれば、熱処理によってポリプロピレン系樹脂(A)の融解が起こりにくく、多孔構造を維持できるため好ましい。また、熱処理工程中には、必要に応じて1〜20%の弛緩処理を施しても良い。
熱処理後、均一に冷却して巻き取ることにより、積層多孔性フィルムの捲回体が得られる。
5−1.動摩擦係数
本発明の積層多孔性フィルムにおいて、表面の算術平均粗さRaが0.3μm以下のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに対する、JIS K7125(1999年)に準拠して測定されたII層表面の動摩擦係数は0.6以上、より好ましくは0.7以上である。前記PETフィルムに対するII層表面の動摩擦係数が0.6以上であることによって、電池用セパレータとして使用した時に、リチウムイオン二次電池の異常発熱に伴うセパレータの収縮を防ぐことができ、電池の安全性を高めることが可能となる。本発明では、例えば、最外層となる無機粒子(C)を含有する耐熱層(II層)が、製膜工程で、前述の条件で延伸されることで、このような動摩擦係数を容易に実現することができる。本発明の積層多孔性フィルムの表面の動摩擦係数の上限は、フィルム製造時の生産性の観点より、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.0以下である。
動摩擦係数の測定に使用されるPETフィルムの算術平均粗さRaはJIS B0601(2013年)に準拠し、例えば非接触式三次元表面粗さ計を用いて測定され、算出される値であり、下限は特に限定されないが、製造上の制約から、通常0.01μm以上である。
なお、積層多孔性フィルムの表面の動摩擦係数は具体的には後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
本発明の積層多孔性フィルムは、40℃から200℃に、16℃/分にて昇温したときの面収縮率が10%以下であることが好ましい。この面収縮率はより好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以下である。面収縮率が10%以下であることにより、電池用セパレータとしての使用において、電池が異常を起こし、熱暴走状態に陥った際に、破膜や収縮を生じることなく、絶縁性を保ち、電極間の短絡を確実に防止して、電池の異常発熱による発火等の事故を防止することができる。ここで、電池の異常発熱の温度に相当する「200℃」という温度は、一般的な電池の異常発熱の温度に相当する。
なお、積層多孔性フィルムの面収縮率は、具体的には後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
本発明の積層多孔性フィルムの厚みは、100μm未満が好ましく、50μm未満がより好ましく、40μm未満がさらに好ましい。一方で下限として、3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。厚みが100μm未満であれば、積層多孔性フィルムの電気抵抗を小さくできるため、蓄電デバイスの性能を十分に確保することができる。また、厚みが3μm以上あれば、実質的に必要な電気絶縁性を得ることができ、例えば大きな電圧がかかった場合にも短絡しにくく安全性に優れる。
本発明の積層多孔性フィルムは、25℃での透気度が300秒/100ml以下であることが好ましく、より好ましくは200秒/100ml以下、さらに好ましくは100秒/100ml以下である。25℃での透気度が300秒/100ml以下であることによって、優れた電気抵抗を有することができる。
積層多孔性フィルムの透気度は、具体的には後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
次に、本発明の積層多孔性フィルムを電池用セパレータとして収容しているリチウムイオン二次電池について図1を参照して説明する。
負極に炭素材料を用いる場合、炭素材料としてはリチウムイオンをドープ、脱ドープできるものであればよく、例えば黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などを用いることができる。
<示差走査型熱量測定(DSC)>
積層多孔性フィルムをパーキンエルマー社製の示差走査型熱量計(DSC−7)を用いて、25℃から240℃まで走査速度10℃/分で昇温後1分間保持し、次に240℃〜25℃まで走査速度10℃/分で降温後1分間保持し、次に25℃から240℃まで走査速度10℃/分で再昇温させた。この再昇温時にポリプロピレン系樹脂のβ晶に由来する結晶融解ピーク温度(Tmβ)である145〜160℃にピークが検出されるか否かによりβ晶活性の有無を以下の基準にて評価した。
○:Tmβが145℃〜160℃の範囲内に検出された場合(β晶活性あり)
×:Tmβが145℃〜160℃の範囲内に検出されなかった場合(β晶活性なし)
なお、β晶活性の測定は、試料量10mgで、窒素雰囲気下にて行った。
図2(A)に示すように、積層多孔性フィルムを縦60mm、横60mm角に切り出したサンプル32を、中央部に40mmφの円形の孔が形成された2枚のアルミ板(材質:JIS A5052、サイズ:縦60mm、横60mm、厚さ1mm)31,31の間にはさみ、図2(B)に示すように周囲をクリップ33で固定した。
積層多孔性フィルムのサンプル32を2枚のアルミ板31,31間に拘束した状態で、設定温度180℃、表示温度180℃である送風定温恒温器(ヤマト科学株式会社製、型式:DKN602)に入れ3分間保持した後、設定温度を100℃に変更し、10分以上の時間をかけて100℃まで徐冷を行った。表示温度が100℃になった時点で取り出し、サンプル32を2枚のアルミ板31,31間に拘束した状態のまま、25℃の雰囲気下で5分間冷却したものについて、以下の測定条件で、中央部の40mmφの円状の部分について広角X線回折測定を行った。図2(B)中、34はフィルム縦方向を示し、35はフィルム横方向を示す。
・広角X線回折測定装置:株式会社マックサイエンス製、型番:XMP18A
・X線源:CuKα線、出力:40kV、200mA
・走査方法:2θ/θスキャン
2θ範囲:5°〜25°
走査間隔:0.05°
走査速度:5°/min
得られた回折プロファイルについて、ポリプロピレン系樹脂のβ晶の(300)面に由来するピークより、β晶活性の有無を以下のように評価した。
○:2θ=16.0〜16.5°の範囲にピークが検出された(β晶活性あり)
×:2θ=16.0〜16.5°の範囲にピークが検出されなかった(β晶活性なし)
40℃に設定したホットプレート(アズワン社製 ND−2)上に、115mm×140mmに切り出した耐水研磨紙#1000(理研コランダム社製)を研磨面が上になるよう載せ、空気が入らないよう50mm×50mm四方に切り出した積層多孔性フィルムを重ね合わせ、180℃で1時間熱処理したPETフィルム(三菱樹脂社製 ダイアホイル S100−50、厚み=50μm、表面のRa=0.22μm)を200mm×200mm四方に切り出して上に載せ、200mm×200mm×5mmの耐熱ガラス(東新理興社製)を更に2枚上に載せ、ホットプレートの設定温度を200℃に設定し、16℃/分にて200℃まで昇温し、200℃に到達後、常温まで冷却した後、当該積層多孔性フィルムを取り出した。
50mm×50mm四方に切り出したPETフィルム(三菱樹脂社製 ダイアホイル S100−50)の重量(以下W1とする)を測定し、これを該サンプル上に重ね、収縮後の該サンプルの形状を写し取り、その形状通りにPETフィルムを切り出して、その重量(以下W2とする)を測定し、以下の式にて積層多孔性フィルムの面収縮率を算出した。
面収縮率(%)={1−(W2/W1)}×100
得られた面収縮率について、200℃昇温後の面収縮率が低ければ、電池に組み込んだ際の位置ズレや収縮を抑制し、異常発熱時の短絡を防止できるという効果がある。面収縮率について、以下のように評価した。
○:200℃昇温後の面収縮率が10%以下である。
×:200℃昇温後の面収縮率が10%を超える。
JIS K7125(1999年)に準拠してPETフィルム(三菱樹脂社製 ダイアホイル S100−50、厚み=50μm、表面のRa=0.22μm)の表面と積層多孔性フィルムのII層側表面を重ね合せて動摩擦係数を測定し、以下の基準で評価した。
○:動摩擦係数が0.6以上である
×:動摩擦係数が0.6未満である
積層多孔性フィルムの厚みは、1/1000mmのダイアルゲージにて、積層多孔性フィルムの面内を不特定に5箇所測定し、その平均値として算出した。
積層多孔性フィルムの透気度は、デジタル型王研式透気度専用機(旭精工社製)を用いて、JIS P8117(2009年)に準拠して温度25℃の空気雰囲気下にて測定した。
<ポリプロピレン系樹脂(A)>
・A−1;ポリプロピレン(ノバテックPP FY6HA、日本ポリプロ社製、MFR:2.4g/10分、Mw/Mn=3.2)
・B−1;3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン
・C−1;アルミナ(LS235C、日本軽金属社製、平均粒径0.53μm、比表面積6.4m2/g)
・C−2;アルミナ(LS710A、日本軽金属社製、平均粒径0.50μm、比表面積6.9m2/g)
・D−1;スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEPTON1001、クラレ社製)
ポリプロピレン系樹脂(A−1)100質量部に対して、β晶核剤(B−1)を表1に示す配合部数にて配合し、2軸押出機に投入し、設定温度240℃で溶融混合後、水槽にてストランドを冷却固化し、ペレタイザーにてストランドをカットし、ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)を形成するポリプロピレン系樹脂組成物(I)のペレット(以下「ペレット(I)」と称す。)を作製した。同様の方法で、ポリプロピレン系樹脂(A−1)、無機粒子(C−1)を表1に示す配合部数にて配合し、ポリプロピレン系樹脂に無機粒子を含有する耐熱層(II層)を形成するポリプロピレン系樹脂組成物(II)のペレット(以下「ペレット(II)」と称す。)を作製した。
実施例1と同様の方法にて、表1に示す配合部数にて配合し、ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)を形成するペレット(I)と、耐熱層(II層)を形成するペレット(II)を作製した。
作製したペレット(I)及び(II)より、実施例1と同様の方法にて成形を行い、積層無孔膜状物を得た。その後、積層無孔膜状物は実施例1と同様の方法にて、縦延伸、横延伸、熱処理を行った。その際、横延伸倍率は2.0倍とした。得られた積層多孔性フィルムの評価結果を表1に纏める。
実施例1と同様の方法にて、表1に示す配合部数にて配合し、ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)を形成するペレット(I)と、耐熱層(II層)を形成するペレット(II)を作製した。
作製したペレット(I)及び(II)より、実施例1と同様の方法にて成形を行い、積層無孔膜状物を得た。その後、積層無孔膜状物は実施例1と同様の方法にて、縦延伸、横延伸、熱処理を行った。得られた積層多孔性フィルムの評価結果を表1に纏める。
実施例1と同様の方法にて、表1に示す配合部数にて配合し、ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)を形成するペレット(I)を作製した。
作製したペレット(I)を実施例1と同様の方法で、表裏層側押出機、及び中層側押出機に用いて成形を行い、単層無孔膜状物を得た。その後、単層無孔膜状物は実施例2と同様の方法にて、縦延伸、横延伸、熱処理を行った。得られた単層多孔性フィルムの評価結果を表1に纏める。
実施例1と同様の方法にて、表1に示す配合部数にて配合し、ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)を形成するペレット(I)と、耐熱層(II層)を形成するペレット(II)を作製した。
作製したペレット(I)及び(II)より、中層側押出機にペレット(II)を、表裏層側押出機にペレット(I)を用いて成形を行い、積層無孔膜状物を得た。その後、積層無孔膜状物は実施例2と同様の方法にて、縦延伸、横延伸、熱処理を行った。得られた積層多孔性フィルムの評価結果を表1に纏める。
特に、本発明の積層多孔性フィルムを電池用セパレータとして使用した時に、リチウムイオン二次電池の異常発熱に伴うセパレータの収縮を防ぐことができ、電池の安全性を高めることが可能となり、有用である。
20 リチウムイオン二次電池
21 正極板
22 負極板
24 正極リード体
25 負極リード体
26 ガスケット
27 正極蓋
Claims (9)
- ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)と、ポリプロピレン系樹脂を20〜80質量部、無機粒子を80〜20質量部の割合で含有する耐熱層(II層)(ただし、ポリプロピレン系樹脂と無機粒子との合計で100質量部)とが、II層/I層/II層の順に積層された少なくとも3層より構成される積層多孔性フィルムであって、少なくとも一方のII層が該積層多孔性フィルムの最外層であり、算術平均粗さRaが0.3μm以下のポリエチレンテレフタレートフィルムに対する、JIS K7125(1999年)に準拠して測定されたII層表面の動摩擦係数が0.6以上であることを特徴とする積層多孔性フィルム。
- 前記ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)がβ晶活性を有することを特徴とする請求項1に記載の積層多孔性フィルム。
- 前記ポリプロピレン系樹脂多孔層(I層)にβ晶核剤が含まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層多孔性フィルム。
- 延伸フィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層多孔性フィルム。
- 200℃に昇温したときの面収縮率が10%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層多孔性フィルム。
- 前記耐熱層(II層)にエラストマーが含まれていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層多孔性フィルム。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層多孔性フィルムを用いた電池用セパレータ。
- 請求項7に記載の電池用セパレータを用いた電池。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層多孔性フィルムの製造方法であって、前記I層を構成するポリプロピレン系樹脂組成物と、前記II層を構成する、ポリプロピレン系樹脂を20〜80質量部、無機粒子を80〜20質量部の割合で含有する樹脂組成物とを、II層/I層/II層の層構成となるように共押出して積層無孔膜状物を作製する工程と、当該積層無孔膜状物を少なくとも一軸方向に延伸して多孔化する工程とを有し、かつ、添加剤を溶媒で除去する工程を含まないことを特徴とする積層多孔性フィルムの製造方法。
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