上記した画像形成装置では、ホールセンサによって給紙台に積載されるシートの高さを検出することはできるが、シートの1枚分の厚さをセンサによって検出することは難しい。このため、例えば、違う厚さのシートを給紙トレイに補充したにも係わらず、ユーザが紙厚情報を変更し忘れた場合、画像形成装置は、実際のシートの厚さを検出して確認できないため、設定済みの紙厚情報を使用することとなる。
例えば、薄紙がなくなり厚紙を補充したにも係わらず厚紙情報を変更しなかった場合、画像形成装置は、ホールセンサで検出したシートの積載高さを薄紙の厚みで除算して給紙台上のシート枚数を算出する。その結果、画像形成装置は、実際の補充枚数よりも多い枚数を誤って算出する。そして、画像形成装置は、例えば、印刷ジョブの実行を開始する段階では印刷可能であると判断したにも係わらず、印刷途中でシート不足に陥る虞がある。
本願に開示される技術は、上記の課題に鑑み提案されたものである。画像形成処理の途中でシートが不足する事態を低減しつつ、算出するシート枚数に応じた適切な処理を実行できる画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、シートを積載可能なトレイと、トレイに積載されるシートの高さに応じた信号を出力する積載高さセンサと、シートの1枚の厚みに係わるシート情報を入力するインタフェースと、インタフェースによって入力したシート情報を記憶する記憶部と、画像形成部と、制御装置と、を備え、制御装置は、画像形成部を用いて、トレイから供給されるシートに画像を形成する画像形成処理と、積載高さセンサから出力された信号によって、トレイに積載されるシートの高さを検出する検出処理と、検出処理にて検出したシートの高さを、記憶部に記憶されているシート情報に対応する厚みで除することにより、トレイに積載されるシートの枚数を算出する第1枚数算出処理と、画像形成処理に先立って、当該画像形成処理の実行に必要なシートの枚数を取得するシート枚数取得処理と、第1枚数算出処理にて算出したシートの枚数である第1算出シート枚数と、シート枚数取得処理にて取得したシートの枚数である必要シート枚数とを比較する第1枚数比較処理と、を実行し、制御装置は、第1枚数比較処理において第1算出シート枚数が必要シート枚数以上であり、且つ記憶部に記憶されているシート情報が、第2シートに比べて厚い第1シートの1枚の厚みに係わる第1シート情報である場合に、画像形成処理を実行することを特徴とする。
当該画像形成装置では、第1シート又は、第1シートに比べて薄い第2シートを、トレイに積載できる。制御装置は、積載高さセンサの出力信号に基づいたシートの高さを、シート情報の厚みで除することで、トレイに積載されるシート枚数(第1算出シート枚数)を算出する。ここで、シートの高さが同じであれば、厚い第1シートの厚みを用いて除算した第1算出シート枚数は、薄い第2シートの厚みを用いて除算した第1算出シート枚数に比べて少なくなる。換言すれば、画像形成処理で必要な必要シート枚数が、第1シートの厚みで算出した第1算出シート枚数で足りていれば、第2シートの厚みで算出した第1算出シート枚数でも足りることとなる。つまり、トレイのシートが、第1シートか第2シートであるかに係わらず、画像形成装置は、画像形成処理を実行できる。そこで、第1シートの厚みで算出した第1算出シート枚数が必要シート枚数以上である場合に、制御装置は、画像形成処理を優先して開始する。これにより、当該画像形成装置では、シートが不足する事態を低減しつつ、画像形成の要求から画像形成を開始するまでの時間を短縮できる。
また、上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、シートを積載可能なトレイと、トレイに積載されるシートの高さに応じた信号を出力する積載高さセンサと、シートの1枚の厚みに係わるシート情報を入力するインタフェースと、インタフェースによって入力したシート情報を記憶する記憶部と、画像形成部と、制御装置と、を備え、制御装置は、画像形成部を用いて、トレイから供給されるシートに画像を形成する画像形成処理と、トレイのシートが画像形成処理中に不足する旨を報知する第1報知処理と、積載高さセンサから出力された信号によって、トレイに積載されるシートの高さを検出する検出処理と、検出処理にて検出したシートの高さを、記憶部に記憶されているシート情報に対応する厚みで除することにより、トレイに積載されるシートの枚数を算出する第1枚数算出処理と、画像形成処理に先立って、当該画像形成処理の実行に必要なシートの枚数を取得するシート枚数取得処理と、第1枚数算出処理にて算出したシートの枚数である第1算出シート枚数と、シート枚数取得処理にて取得したシートの枚数である必要シート枚数とを比較する第1枚数比較処理と、を実行し、制御装置は、第1枚数比較処理において第1算出シート枚数が必要シート枚数より少なく、且つ記憶部に記憶されているシート情報が、第1シートに比べて薄い第2シートの1枚の厚みに係わる第2シート情報である場合に、第1報知処理を実行することを特徴とする。
当該画像形成装置では、第1シート又は、第1シートに比べて薄い第2シートを、トレイに積載できる。制御装置は、積載高さセンサの出力信号に基づいたシートの高さを、シート情報の厚みで除することで、トレイに積載されるシート枚数(第1算出シート枚数)を算出する。ここで、シートの高さが同じであれば、薄い第2シートの厚みを用いて除算した第1算出シート枚数は、厚い第1シートの厚みを用いて除算した第1算出シート枚数に比べて多くなる。換言すれば、画像形成処理で必要な必要シート枚数が、第2シートの厚みで算出した第1算出シート枚数で不足する状態であれば、第1シートの厚みで算出した第1算出シート枚数でも不足することとなる。つまり、トレイのシートが、第1シートか第2シートであるかに係わらず、画像形成装置は、画像形成中にシート不足となる。そこで、第2シートの厚みで算出した第1算出シート枚数が必要シート枚数よりも少ない場合に、制御装置は、シート不足となる旨の報知を優先して処理する。これにより、当該画像形成装置では、シート不足を報知するまでの時間を短縮して、シートが不足する事態を低減することが可能となる。
また、本発明の画像形成装置は、制御装置は、記憶部に記憶されているシート情報の信頼性を判定する信頼性判定処理と、検出処理にて検出したシートの高さを第2シートの1枚の厚みで除することにより、トレイに積載されるシートの枚数を算出する第2枚数算出処理と、を実行し、制御装置は、信頼性判定処理において信頼性が低いと判定した場合に、第2枚数算出処理を実行する構成でもよい。
シート情報の信頼性が低い場合、例えば、ユーザが、シート情報を変更し忘れた可能性が高い。また、トレイには、第1シート情報として設定された第1シートではなく、第2シートが積載されている可能性が高い。このため、制御装置は、第2シートの厚みに基づいて算出したシートの枚数(第2算出シート枚数)により、シート不足などをより正確に判定することが可能となる。
また、本発明の画像形成装置は、制御装置は、信頼性判定処理において信頼性が低いと判定した場合に、画像形成処理の実行後に、第2枚数算出処理を実行する構成でもよい。
当該画像形成装置では、画像形成処理の実行後に、第2枚数算出処理を実行することによって、第2枚数算出処理を画像形成処理より先に実行する場合に比べて、画像形成の要求から画像形成を開始するまでの時間を短縮することが可能となる。
また、本発明の画像形成装置は、制御装置は、記憶部に記憶されているシート情報の信頼性を判定する信頼性判定処理と、検出処理にて検出したシートの高さを第1シートの1枚の厚みで除することにより、トレイに積載されるシートの枚数を算出する第3枚数算出処理と、を実行し、制御装置は、信頼性判定処理において信頼性が低いと判定した場合に、第3枚数算出処理を実行する構成でもよい。
シート情報の信頼性が低い場合、例えば、ユーザが、シート情報を変更し忘れた可能性が高い。また、トレイには、第2シート情報として設定された第2シートではなく、第1シートが積載されている可能性が高い。このため、制御装置は、第1シートの厚みに基づいて算出したシートの枚数(第3算出シート枚数)により、シート不足などをより正確に判定することが可能となる。
また、本発明の画像形成装置は、制御装置は、信頼性判定処理において信頼性が低いと判定した場合に、第1報知処理の実行後に、第3枚数算出処理を実行する構成でもよい。
当該画像形成装置では、第1報知処理の実行後に、第3枚数算出処理を実行することによって、第3枚数算出処理を第1報知処理より先に実行する場合に比べて、画像形成の要求からシート不足を報知するまでの時間を短縮することが可能となる。
また、本発明の画像形成装置は、制御装置は、信頼性判定処理において、トレイへシートを補充する前に記憶部に記憶されたシート情報である補充前シート情報と、シートを補充した後に記憶部に記憶されたシート情報である補充後シート情報とが一致するか否かを判定することで補充後シート情報の信頼性を判定し、補充前シート情報と補充後シート情報とが一致しない場合に、補充後シート情報の信頼性が高いと判定する構成でもよい。
例えば、シートの補充に併せてシート情報が変更された場合、当該画像形成装置では、ユーザによって意図的にシート情報が変更されたものとして信頼性が高いと判定する。これにより、シート情報の信頼性をより適正に判定できる。
また、本発明の画像形成装置は、制御装置は、記憶部に記憶されているシート情報が間違っている可能性がある旨を報知する第2報知処理を実行し、制御装置は、信頼性判定処理において、補充前シート情報と補充後シート情報とが一致する場合に、補充後シート情報の信頼性が低いと判定し、補充後シート情報の信頼性が低いと判定した場合、第2報知処理を実行する構成でもよい。
シート情報を入力してシートを補充した場合、ユーザは、トレイに厚みの異なるシートを補充した可能性がある。そこで、補充の前後でシート情報が変更されていない場合に、当該画像形成装置では、その旨をユーザに通知して確認を促すことができる。
また、本発明の画像形成装置は、制御装置は、画像形成処理又は第1報知処理を信頼性判定処理に先行して実行する構成でもよい。
当該画像形成装置では、信頼性判定処理に先行して画像形成処理を実行することで、画像形成の要求から画像形成処理を開始するまでの時間をより短縮できる。あるいは、当該画像形成装置では、信頼性判定処理に先行して第1報知処理を実行することで、シート不足を報知するまでの時間をより短縮できる。
また、本発明の画像形成装置は、制御装置は、トレイからシートを供給する前の積載高さセンサから出力された信号に基づくシートの高さと、トレイからシートを供給した後の積載高さセンサから出力された信号に基づくシートの高さとの差に基づいて、トレイに積載されるシートの1枚の厚みを算出する厚み算出処理を実行し、制御装置は、信頼性判定処理において、厚み算出処理により算出した厚みである厚み算出情報と、記憶部に記憶されているシート情報に対応する厚みである厚み記憶情報とが一致するか否かを判定することで信頼性を判定し、厚み算出情報と厚み記憶情報とが一致する場合に信頼性が高いと判定し、厚み算出情報と厚み記憶情報とが一致しない場合に信頼性が低いと判定する構成でもよい。
当該画像形成装置では、シートを供給する前後のシートの高さの差に基づいて、実際にトレイに積載されているシートの厚みを算出できる。制御装置は、例えば、算出した厚み算出情報と、記憶部に記憶されている厚み記憶情報とが一致する場合に信頼性が高いと判定する。これにより、画像形成装置は、一度給紙動作を行えば、算出したシートの厚みに基づいて、シート情報の信頼性をより確実に判定できる。
また、本発明の画像形成装置は、制御装置は、記憶部に記憶されているシート情報を訂正する訂正処理を実行し、制御装置は、信頼性判定処理において信頼性が低いと判定した場合に、訂正処理を実行する構成でもよい。
例えば、シート情報として第1シート情報のみを記憶部に記憶している場合、当該画像形成装置は、第1シート情報の信頼性が低いことに応じて、第1シート情報に替えて、あるいは追加して第2シート情報をシート情報として記憶部に記憶する。これにより、シート情報として必要な情報を記憶部に記憶できる。
また、本発明の画像形成装置は、制御装置は、トレイのシートが画像形成処理中に不足する旨を報知する第1報知処理と、記憶部に記憶されているシート情報の信頼性を判定する信頼性判定処理と、を実行し、制御装置は、第1枚数比較処理において第1算出シート枚数が必要シート枚数より少なく、且つ記憶部に記憶されているシート情報が第1シート情報である場合に、信頼性判定処理を実行し、信頼性判定処理において信頼性が高いと判定した場合に、第1報知処理を実行する構成でもよい。
第1枚数比較処理において第1算出シート枚数が必要シート枚数より少なく、且つ第1シート情報の信頼性が高い場合、シート不足となる可能性が高くなる。そこで、当該画像形成装置では、第1枚数比較処理及び信頼性判定処理の結果に基づいてシート不足を判定し、シート不足の報知を優先して処理することで、報知するまでの時間を短縮することができる。
また、本発明の画像形成装置は、制御装置は、検出処理にて検出したシートの高さを第2シートの1枚の厚みで除することにより、トレイに積載されるシートの枚数を算出する第2枚数算出処理と、第2枚数算出処理にて算出したシートの枚数である第2算出シート枚数と、必要シート枚数とを比較する第2枚数比較処理と、を実行し、制御装置は、信頼性判定処理において信頼性が低いと判定した場合に、第2枚数算出処理を実行し、第2枚数比較処理において第2算出シート枚数が必要シート枚数以上である場合に、画像形成処理を実行し、第2枚数比較処理において第2算出シート枚数が必要シート枚数より少ない場合に、第1報知処理を実行する構成でもよい。
第1シートの厚みに係わる情報を設定した第1シート情報の信頼性が低い場合、当該画像形成装置は、第2シートの厚みに基づいてシートの枚数(第2算出シート枚数)を算出する。次に、第2算出シート枚数が必要シート枚数以上の場合、シートの枚数は、足りることとなる。このため、当該画像形成装置では、画像形成処理を開始しても、シート不足とならずに画像形成処理を完了できる。一方、第2算出シート枚数が必要シート枚数より少ない場合、シートの枚数は、不足する。このため、当該画像形成装置では、シートが不足する旨を報知し、ユーザに設定等の確認を促すことができる。
また、本発明の画像形成装置は、制御装置は、記憶部に記憶されているシート情報の信頼性を判定する信頼性判定処理を実行し、制御装置は、第1枚数比較処理において第1算出シート枚数が必要シート枚数以上であり、且つ記憶部に記憶されているシート情報が、第2シート情報である場合に、信頼性判定処理を実行し、信頼性判定処理において信頼性が高いと判定した場合に、画像形成処理を実行する構成でもよい。
第1枚数比較処理において第1算出シート枚数が必要シート枚数以上であり、且つ第2シート情報の信頼性が高い場合、シートの枚数は足りる可能性が高くなる。そこで、当該画像形成装置では、第1枚数比較処理及び信頼性判定処理の結果に基づいて画像形成処理が可能か判定し、画像形成処理を優先して開始することで、画像形成の要求から画像形成を開始するまでの時間を短縮できる。
また、本発明の画像形成装置は、制御装置は、検出処理にて検出したシートの高さを第1シートの1枚の厚みで除することにより、トレイに載置されるシートの枚数を算出する第3枚数算出処理と、第3枚数算出処理にて算出したシートの枚数である第3算出シート枚数と、必要シート枚数とを比較する第3枚数比較処理と、を実行し、制御装置は、信頼性判定処理において信頼性が低いと判定した場合に、第3枚数算出処理を実行し、第3枚数比較処理において第3算出シート枚数が必要シートの枚数以上である場合に、画像形成処理を実行し、第3枚数比較処理において第3算出シート枚数が必要シート枚数より少ない場合に、第1報知処理を実行する構成でもよい。
第2シートの厚みに係わる情報を設定した第2シート情報の信頼性が低い場合、当該画像形成装置は、第1シートの厚みに基づいてシートの枚数(第3算出シート枚数)を算出する。次に、第3算出シート枚数が必要シート枚数以上の場合、シートの枚数は、足りることとなる。このため、当該画像形成装置では、画像形成処理を開始しても、シート不足とならずに画像形成処理を完了できる。一方、第3算出シート枚数が必要シート枚数より少ない場合、シートの枚数は、不足する。このため、当該画像形成装置では、シートが不足する旨を報知し、ユーザに設定等の確認を促すことができる。
本発明に記載の画像形成装置では、画像形成処理の途中でシートが不足する事態を低減しつつ、算出するシート枚数に応じた適切な処理を実行できる。
以下、本発明に係る画像形成装置をプリンタに具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態のプリンタ10の概略構成を示している。なお、以下の説明において、図1に示すように、紙面に向かって左側を「前側」、紙面に向かって右側を「後側」とし、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
<プリンタの全体構成>
本実施形態に係るプリンタ10は、例えば、電子写真方式のカラーレーザプリンタであり、シート(用紙やOHPシート等)Pに所望の画像を印刷する。プリンタ10は、本体筐体11と、操作パネル13と、3つの給紙トレイ15A,15B,15Cと、印刷部17と、定着部19等を備えている。
本体筐体11は、略箱型形状をなし、内部に印刷部17や給紙トレイ15A〜15C等を収容している。操作パネル13は、例えば、タッチパネルであり、本体筐体11の上面に設けられている。操作パネル13は、プリンタ10の動作状況の表示やユーザによる入力操作の受け付けを実行する。ここでいうユーザによる入力操作には、例えば、印刷部17による印刷の中止を指示する操作の他、後述する給紙トレイ15A〜15Cに補充したシートPに係わるシート情報(第1シート情報及び第2シート情報の一例)を入力する操作等を含む。
給紙トレイ15A〜15Cの各々は、本体筐体11内における下部に設けられており、画像の印刷に供される複数のシートPを収容している。例えば、給紙トレイ15A〜15Cの各々は、異なるサイズのシートPをそれぞれ収納している。なお、以下の説明では、給紙トレイ15A〜15Cの各々を区別せずに総称して説明する場合には、給紙トレイ15と表記する。
給紙トレイ15は、本体筐体11に対して前方側に引き出し可能に構成されている。また、給紙トレイ15は、前方側に引き出した後、本体筐体11に対して取り外し、及び取り付け可能に構成されている。ユーザは、給紙トレイ15を本体筐体11から引き出して、各給紙トレイ15A〜15C内のシートPを補充することができる。
本体筐体11には、給紙トレイ15A〜15Cの各々に対応して設けられ、給紙トレイ15A〜15Cの取り付けの有無を検出するトレイセンサ21A,21B,21Cが設けられている。トレイセンサ21A〜21Cは、給紙トレイ15A〜15Cの前方且つ上方に設けられている。トレイセンサ21A〜21Cの各々は、例えば、光学式センサであり、各給紙トレイ15A〜15Cに向けて発光し、反射光の強弱に応じた信号を制御装置51(図2参照)に出力する。
また、本体筐体11には、各給紙トレイ15A〜15Cの各々に収納されたシートPを給紙するための給紙ローラ23A,23B,23Cが設けられている。各給紙トレイ15A〜15C内のシートPは、給紙ローラ23A〜23Cの各々によって一枚毎に分離され搬送経路31へ搬送される。搬送経路31に搬送されたシートPは、印刷部17まで搬送される。
また、各給紙ローラ23A〜23Cの各々には、給紙トレイ15内に積載されたシートPの高さを検出するための積載高さセンサ25A,25B,25C(図2参照)が設けられている。例えば、給紙ローラ23A〜23Cは、給紙トレイ15内に積載されたシートPの一番上のシートPに当接するように下方に向かって付勢されており、シートPの高さ(積載量)に応じて角度が変化される。これに対し、積載高さセンサ25A〜25Cは、例えば、各給紙ローラ23A〜23Cの傾斜角度に応じて変化する信号を制御装置51に出力する。積載高さセンサ25A〜25Cは、例えば、給紙トレイ15内のシートPを一定枚数(数枚又は数十枚)だけ使用するごとに出力信号を変化させる程度の分解能を有している。これにより、制御装置51は、積載高さセンサ25A〜25Cの出力信号に基づいて、給紙トレイ15内のシートPの高さを検出することができる。なお、積載高さセンサ25A〜25Cは、例えば、給紙トレイ15内のシートPを1枚だけ使用するごとに出力信号を変化させる程度の高度な分解能を有していてもよい。
印刷部17は、本体筐体11内において給紙トレイ15の上方に設けられ、シートPに所望の画像を印刷する。印刷部17は、スキャナユニット33と、4つの画像形成ユニット35と、ベルトユニット37等を有している。スキャナユニット33は、本体筐体11内の上部に設けられており、ポリゴンモータ、ポリゴンミラー、レーザ光源、反射ミラー、レンズ等を有している。スキャナユニット33は、所望の画像データに基づくレーザ光をレーザ光源から出射し、ポリゴンミラー、反射ミラー、レンズ等を介して、各画像形成ユニット35の感光体ドラム38の表面に静電潜像を生成する。
4つの画像形成ユニット35は、スキャナユニット33とベルトユニット37との上下方向の間に設けられ、前後方向に沿って並設されている。各画像形成ユニット35は、例えば、前方から順に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー色に対応している。画像形成ユニット35は、帯電器(図視略)によって感光体ドラム38の表面を一様に正極性に帯電させる。画像形成ユニット35は、感光体ドラム38の表面に生成された静電潜像にトナーを供給し、当該静電潜像を現像してトナー像を生成する。
ベルトユニット37は、4つの画像形成ユニット35の下方であって、給紙トレイ15の上方に設けられている。ベルトユニット37は、環状のベルトを回転させることで、シートPを定着部19へ搬送する。また、ベルトユニット37は、ベルトの内側に転写ローラ39が設けられている。転写ローラ39は、負極性の転写バイアスを印加されることによって、感光体ドラム38の表面のトナー像をシートPへ転写する。
定着部19は、ベルトユニット37の後方に設けられ、シートPに転写したトナー像を熱定着させる。定着部19は、加熱ローラ41と、加圧ローラ43を有している。加熱ローラ41は、ハロゲンランプ等の熱源を有し、回転駆動可能に設けられている。加圧ローラ43は、加熱ローラ41の下方に配置され、加熱ローラ41を押圧するように接触している。定着部19は、トナー像を坦持したシートPを加熱しつつ、加熱ローラ41と加圧ローラ43とによって狭持する。
給紙トレイ15における定着部19の下流であって本体筐体11の上部には、排紙トレイ45が設けられている。搬送経路31は、図1に示すように、給紙トレイ15の給紙位置から印刷部17を介して排紙トレイ45までの略S字形状の経路を有している。
<プリンタの電気的構成>
図2は、プリンタ10の電気的構成を示している。プリンタ10の制御装置51は、CPUやRAMを備え、メモリ53に格納された制御プログラムに基づく処理を実行することによって、プリンタ10の各部を統括的に制御する。ここでいう各部とは、上記した印刷部17、定着部19等である。なお、制御装置51は、CPUで制御プログラムを実行するソフト処理に限らず、ASIC等の専用のハードウェアを備え、ハード処理を実行することによって、プリンタ10の各部を制御する構成でもよい。
メモリ53には、プリンタ10を制御するための各種制御プログラムや各種の設定データなどが記憶されている。メモリ53には、給紙トレイ15及び印刷ジョブに対応付けられたシート情報が記録される。このシート情報には、シートPの厚みやシートサイズなど情報が設定されている。制御装置51は、印刷を行う際に、給紙トレイ15A〜15Cのうち、印刷ジョブに設定されたトレイからシートPを供給し、印刷ジョブに基づく画像を印刷部17によって印刷する。なお、図2中の「トレイ1〜3」は、給紙トレイ15A〜15Cの各々に対応している。
操作パネル13は、ユーザによるタッチパネルへの入力操作に応じた信号を制御装置51に出力する。また、操作パネル13は、制御装置51からの指令に応じた画像を表示する。トレイセンサ21A〜21Cは、給紙トレイ15の着脱動作に応じた信号を制御装置51に出力する。これにより、制御装置51は、給紙トレイ15の取り外し状態又は装着状態を検知することが可能となる。なお、ここでいう、給紙トレイ15の取り外し状態とは、例えば、本体筐体11から給紙トレイ15の一部又は全部を引き出した状態をいう。また、給紙トレイ15の装着状態とは、本体筐体11内に給紙トレイ15の全体を収容した状態をいう。
<シート補充時の処理>
次に、給紙トレイ15内のシートPを補充した際の制御装置51の処理について、図3を参照しつつ説明する。制御装置51は、給紙トレイ15内にシートPを補充されると、補充したシートPに係るシート情報を受け付けてシート枚数を算出する。制御装置51は、図3に示すシート補充時処理を、シートPの補充を検出した際に開始する。
まず、図3のステップ(以下、単に「S」と表記する)11において、制御装置51は、給紙トレイ15に対するシートPの補充を検出する。制御装置51は、例えば、トレイセンサ21A〜21Cの出力信号に基づいて、給紙トレイ15A〜15Cのうち、いずれかの給紙トレイ15の取り外し状態から装着状態への状態遷移を検出したときに、シートPを補充されたと判定する。あるいは、制御装置51は、例えば、積載高さセンサ25A〜25Cの出力信号に基づいて、給紙トレイ15内のシートPがなくなってから補充されたタイミングを、補充されたタイミングとして検出してもよい。
制御装置51は、S11においてシートPの補充を検出すると、シート情報をユーザに入力させるための設定画像を操作パネル13に表示させる(S13)。制御装置51は、例えば、シートサイズとして、A4、B4、A3等の複数のサイズを表示させ、表示したシートサイズから1つを選択するための画像を操作パネル13に表示する。なお、操作パネル13は、シートのサイズに限らず、例えば、補充したシートPの厚み(数値)を、シート情報として入力する画面を表示してもよい。また、操作パネル13は、シートPの種類(普通紙や光沢紙など)を、シート情報として入力する画面を表示してもよい。
次に、制御装置51は、操作パネル13に対してシート情報を入力されたか否かを判定する(S15)。シート情報の入力がない場合(S15:NO)、制御装置51は、シート情報の受付を開始してからの経過時間と、予め設定された基準時間とを比較する(S16)。経過時間が基準時間を越えていない場合(S16:NO)、制御装置51は、S15からの処理を再度実行する。
経過時間が基準時間を越えていた場合(S16:YES)、即ち、予め設定された基準時間を越えてもシート情報が入力されない場合、制御装置51は、補充前のシート情報を、補充後のシート情報としてメモリ53に記憶し(S17)、図3に示す処理を終了する。
また、S15においてシート情報が入力されると(S15:YES)、制御装置51は、入力されたシート情報に基づいて、シートPを補充した給紙トレイ15に対応するメモリ53内のシート情報を更新する(S18)。なお、S18において、制御装置51は、後述する信頼性判定処理(図6参照)で使用するデータとして、更新前の情報を補充前のシート情報として、更新後のシート情報とは別にメモリ53に記憶しておく。
制御装置51は、S15で受け付けてメモリ53に記憶したシート情報と、積載高さセンサ25A〜25Cの出力信号に基づいて、補充した給紙トレイ15内のシート枚数(第1算出シート枚数の一例)を算出する(S19、検出処理及び第1枚数算出処理の一例)。例えば、メモリ53には、予めシートサイズごとのシートPの厚みの情報が記憶されている。制御装置51は、積載高さセンサ25A〜25Cのうち、補充を検出した給紙トレイ15A〜15Cに対応するセンサによって検出したシートPの高さの値を、S15で受け付けたシート情報(例えば、シートサイズ)に応じたシートの厚みの値で除することにより、補充を行った給紙トレイ15内のシート枚数を算出する。制御装置51は、算出したシート枚数をメモリ53に記憶し(S19)、シート補充時処理を終了する。
<印刷開始判定処理>
次に、制御装置51による印刷を開始するか否かの処理について、図4〜図9を参照しつつ説明する。制御装置51は、印刷ジョブを受け付けると図4〜図9に示す印刷開始判定処理を開始する。制御装置51は、印刷ジョブに設定されたシートPの厚みと、算出したシート枚数とに基づいて、印刷処理やシート不足の通知処理などの処理を実行する。
なお、以下の説明では、厚紙と薄紙の2種類の紙を想定した処理について説明する。また、厚紙の厚みを用いて算出したシート枚数を、シート枚数yとする。また、薄紙の厚みを用いて算出したシート枚数を、シート枚数Yとする。
まず、制御装置51は、図4に示すS21において、印刷ジョブを受け付ける。ここでいう印刷ジョブとは、例えば、1つのドキュメントについて印刷を行うための一群のデータである。この印刷ジョブは、例えば、図示しないパーソナルコンピュータ等の外部装置からの印刷指示や、ユーザによる操作パネル13への操作等に基づいて受け付けられる。
次に、制御装置51は、S21で受け付けた印刷ジョブに基づいて、当該印刷ジョブを実行するのに必要な必要シート枚数Xを、印刷処理の開始に先立って算出する(S23、シート枚数取得処理の一例)。例えば、1つのドキュメントが3ページで当該ドキュメントを5部印刷する印刷ジョブである場合、制御装置51は、ページ数と部数を乗算して必要シート枚数X(3*5=15)を算出する。
次に、制御装置51は、印刷ジョブに設定されたシートPが厚紙の設定か否かを判定する(S25)。厚紙の設定でない場合(S25:NO)、印刷ジョブの設定は薄紙となる。制御装置51は、後述する図8に示すS81以降の処理を実行する。
<印刷ジョブが厚紙設定の場合>
印刷ジョブに厚紙が設定されていた場合(S25:YES)、制御装置51は、印刷ジョブで指定された給紙トレイ15に対して設定されているシート情報が厚紙か否かを判定する(S27)。制御装置51は、印刷ジョブで指定された給紙トレイ15に設定されたシート情報が厚紙か否か、即ち、印刷ジョブのシートPの設定と、指定された給紙トレイ15のシートPの設定とが一致するか否かを判定する(S27)。
印刷ジョブの設定と、指定された給紙トレイ15の設定とが異なる場合(S27:NO)、制御装置51は、異なる旨(設定が誤っている旨)をユーザに通知し(S29)、印刷開始判定処理を終了する(図5参照)。例えば、制御装置51は、操作パネル13にその旨の警告表示を実行する、あるいは印刷ジョブを送信してきた外部装置に向けてその旨を通知する。これにより、ユーザは、印刷ジョブ又は給紙トレイの設定のいずれかの設定が誤っていることを認識でき、設定の確認や訂正等をすることができる。
また、S27において、印刷ジョブの設定と、指定された給紙トレイ15の設定とが同じ場合(S27:YES)、制御装置51は、S23で算出した必要シート枚数Xが厚紙の厚みに基づいて算出したシート枚数y以下であるか否かを判定する(S31、第1枚数比較処理の一例)。このシート枚数yは、例えば、上記した図3のシート補充処理のS15において厚紙を補充した旨をシート情報として入力した場合に、その後のS19の処理において算出される。
ここで、シート枚数の算出において同じシート高さを用いた場合、厚紙の厚さで算出した残りのシート枚数yは、薄紙の厚さで算出したシート枚数Yに比べて少なくなる。換言すれば、必要シート枚数Xが、厚紙のシート枚数yで足りていれば、薄紙のシート枚数Yでも足りることとなる。そこで、S31において、必要シート枚数Xがシート枚数y以下の場合(S31:YES)、制御装置51は、印刷ジョブに応じた印刷処理を開始する(S33、画像形成処理の一例)。これにより、制御装置51は、シート枚数を判定しシート不足となる事態を低減しつつ、印刷処理を優先して処理することで、印刷ジョブを受け付けてから印刷を開始するまでの時間を短縮できる。
次に、図5のS35において、制御装置51は、印刷ジョブで指定された給紙トレイ15に設定されたシート情報の信頼性を判定する信頼性判定処理を実行する。図6は、信頼性判定処理の処理内容を示している。まず、制御装置51は、印刷ジョブで指定された給紙トレイ15のシート情報であって、図3のS17又はS18で記憶したシートを補充する前の給紙トレイのシート情報(以下、「シート情報A」という、補充前シート情報の一例)をメモリ53から読み出す(S39)。
また、制御装置51は、メモリ53からシートを補充した後のシート情報(以下、「シート情報B」という、補充後シート情報の一例)を読み出す(S41)。そして、制御装置51は、シート情報Aとシート情報Bとが一致するか否か、即ち、シートPの補充前後のシート情報が一致するか否かを判定する(S43)。ここで、シートPの補充によってシートPの種類が変更されるという前提であれば、補充前後においてシート情報が同一である場合(S43:YES)、ユーザは、補充前のシートPと異なる種類のシートPを給紙トレイ15に補充したにも関わらず、シート情報の設定をし忘れた等の可能性がある。このため、補充前のシート情報Aと、補充後のシート情報Bとが一致する場合、制御装置51は、補充後のシート情報Bが実際に給紙トレイ15に補充されたシートPの種類と一致する信頼性がないと判定し(S45)、信頼性判定処理を終了する。
一方、シートPの補充によってシート情報が変更された場合、ユーザは、補充前のシートPと異なる種類のシートPを給紙トレイ15に補充したため、意図的にシート情報を変更したと考えられる。このため、補充前のシート情報Aと、補充後のシート情報Bとが異なる場合(S43:NO)、制御装置51は、補充後のシート情報Bが実際に給紙トレイ15に補充されたシートPの種類と一致する信頼性があると判定し(S47)、処理を終了する。
図5に戻り、制御装置51は、信頼性判定処理(S35)を実行すると、信頼性判定処理の結果を判定する(S51)。S35で信頼性有りと判定した場合(S51:YES)、必要シート枚数Xに対して残りのシート枚数が足りており、且つ、そのシート枚数が信頼できるということとなる。このため、制御装置51は、印刷処理を継続し、全てのドキュメントの印刷を終了させるなど、印刷ジョブの実行を完了させ(S53)、印刷開始判定処理を終了する。
一方で、S51において信頼性がないと判定した場合(S51:NO)、厚紙の厚みで算出したシート枚数yが信頼できない可能性がある。そこで、制御装置51は、印刷ジョブで指定された給紙トレイ15のシートPの高さを、薄紙の厚みで除することにより、薄紙に対応するシート枚数Y(第2算出シート枚数の一例)を算出する(S55、第2枚数算出処理の一例)。これにより、制御装置51は、より信頼性のある薄紙に対応するシート枚数Yに基づいて、後の処理(次の印刷時におけるシートPの枚数の判定など)を実行できる。
また、制御装置51は、給紙トレイ15のシート情報が誤っている可能性がある旨をユーザに通知する(S57、第2報知処理の一例)。例えば、制御装置51は、印刷ジョブを送信してきた外部装置に向けてその旨を通知する。これにより、ユーザは、シート不足となる前に、シートPを給紙トレイ15に補充するなどの適切な対応を行うことができる。
制御装置51は、S55で新たに算出したシート枚数Yを、印刷ジョブで指定された給紙トレイ15に対応するシート枚数の情報としてメモリ53に記憶する(S59、訂正処理の一例)。制御装置51は、シート不足となるまでは印刷処理を継続する。また、シートPが補充されたり、信頼性がなかったにも係わらずシート枚数が足りていたりすると、制御装置51は、印刷を完了できる(S53)。
図4に戻り、S31において、S23で算出した必要シート枚数Xが厚紙の厚みに基づいて算出したシート枚数yよりも多い場合(S31:NO)、印刷途中にシート不足となり、印刷を継続できなくなる可能性が高くなる。そこで、必要シート枚数Xがシート枚数yよりも多い場合(S31:NO)、制御装置51は、信頼性判定処理を実行する(図7のS61)。なお、S61における信頼性判定処理は、図6に示す処理と同様の処理を実行する。
制御装置51は、信頼性判定処理(S61)を実行すると、信頼性判定処理の結果を判定する(S63)。S61で信頼性有りと判定した場合(S63:YES)、シート不足となる可能性がさらに高くなる。このため、制御装置51は、シート不足となる旨を通知し(S65、報知処理の一例)、印刷処理を開始せずに印刷開始判定処理を終了する。例えば、制御装置51は、印刷ジョブを送信してきた外部装置に向けて不足する旨を通知する。これにより、制御装置51は、シート不足の通知を優先して処理することで、ユーザに通知するまでの時間を短縮できる。なお、制御装置51は、シート不足の旨を通知した後に、印刷処理を開始せずに通知を継続してもよく、あるいは通知を継続しながら印刷処理を開始してもよい。
一方で、S63において信頼性がないと判定した場合(S63:NO)、厚紙の厚みで算出したシート枚数yが信頼できない可能性がある。そこで、制御装置51は、印刷ジョブで指定された給紙トレイ15のシートの高さと、薄紙の厚みとを用いて、薄紙に対応するシート枚数Y(第2算出シート枚数の一例)を算出する(S67、第2枚数算出処理の一例)。これにより、制御装置51は、より信頼性のある薄紙に対応するシート枚数Yに基づいて、後の処理を実行できる。
また、制御装置51は、給紙トレイ15のシート情報が誤っている可能性がある旨をユーザに通知する(S69)。これにより、ユーザは、シート不足となる前に、シートPを給紙トレイ15に補充するなどの適切な対応を行うことができる。制御装置51は、S67で新たに算出したシート枚数Yを、印刷ジョブで指定された給紙トレイ15に対応するシート枚数の情報としてメモリ53に記憶する(S71)。
次に、制御装置51は、必要シート枚数XとS67で算出したシート枚数Yとを比較する(S73、第2枚数比較処理の一例)。ここで、必要シート枚数Xが、厚紙に対応するシート枚数yよりも多いものの、薄紙に対応するシート枚数Y以下の場合(y<X≦Y)、プリンタ10は、シート不足とならず、印刷を継続できる可能性がある。さらに、S63において厚紙のシート情報の信頼性が低いと判定されているため、プリンタ10は、シート不足とならずに、印刷を継続できる可能性がさらに高くなる。
そこで、薄紙に対応するシート枚数Yが必要シート枚数X以上の場合(S73:YES)、制御装置51は、印刷を開始する(S75、画像形成処理の一例)。制御装置51は、印刷処理を継続し、印刷ジョブの実行を完了させ(図5のS53)、印刷開始判定処理を終了する。
また、薄紙に対応するシート枚数Yが必要シート枚数Xよりも少ない場合(S73:NO)、シート不足となる可能性が高いため、制御装置51は、シート不足となる旨の通知し(S65、第1報知処理の一例)、印刷処理を開始せずに印刷開始判定処理を終了する。なお、制御装置51は、シート不足を通知後、印刷処理を開始してもよい。
<印刷ジョブが薄紙設定の場合>
次に、図4のS25において印刷ジョブに薄紙が設定されていると判定した場合(S25:NO)について説明する。なお、以下の説明では、図4のS31以降の「印刷ジョブが厚紙設定の場合」の処理と同様の処理については、その詳細な説明を適宜省略する。
印刷ジョブに薄紙が設定されていると判定した場合(S25:NO)、図8のS81において、制御装置51は、印刷ジョブで指定された給紙トレイ15に対して設定されているシート情報が薄紙か否かを判定する(S81)。印刷ジョブの設定と、指定された給紙トレイ15の設定とが異なる場合(S81:NO)、制御装置51は、異なる旨(設定が誤っている旨)をユーザに通知し(図4のS29)、印刷開始判定処理を終了する。
また、印刷ジョブで指定された給紙トレイ15に予め薄紙のシート情報が設定されている場合、図4のS31の場合とは異なり、制御装置51は、図3のシート補充時処理のS19において薄紙に対応したシート枚数Yを算出していることとなる。そこで、S81において、印刷ジョブの設定(薄紙)と、指定された給紙トレイ15の設定とが同じ場合(S81:YES)、制御装置51は、シート枚数Yが図4のS23で算出した必要シート枚数Xよりも少ないか否かを判定する(S83、第1枚数比較処理の一例)。
ここで、必要シート枚数Xが、薄紙のシート枚数Yで足りなければ、厚紙のシート枚数yでも足りないこととなる。そこで、S83において、シート枚数Yが必要シート枚数Xよりも少ない場合(S83:YES)、制御装置51は、シート不足となる旨を通知(S85、第1報知処理の一例)し、信頼性判定処理を実行する(S87)。なお、S87における信頼性判定処理は、図6に示す処理と同様の処理を実行する。
制御装置51は、信頼性判定処理(S87)を実行し、信頼性判定処理の結果を判定する(S89)。信頼性有りと判定した場合(S89:YES)、シート不足となる可能性がさらに高くなる。このため、制御装置51は、シート不足となる旨の通知を継続し(S91)、印刷開始判定処理を終了する。なお、制御装置51は、シート不足の旨を通知した後に、印刷処理を開始せずに通知を継続してもよく、あるいは通知を継続しながら印刷処理を開始してもよい。
一方で、S89において信頼性がないと判定した場合(S89:NO)、薄紙の厚みで算出したシート枚数Yが信頼できない可能性がある。そこで、制御装置51は、印刷ジョブで指定された給紙トレイ15のシートPの高さと、厚紙の厚みとを用いて、厚紙に対応するシート枚数y(第3算出シート枚数の一例)を算出する(S93、第3枚数算出処理の一例)。これにより、制御装置51は、より信頼性のある厚紙に対応するシート枚数yに基づいて、後の処理を実行できる。また、制御装置51は、給紙トレイ15のシート情報が誤っている可能性がある旨をユーザに通知し(S95、第2報知処理の一例)、S93で新たに算出したシート枚数yを、印刷ジョブで指定された給紙トレイ15に対応するシート枚数の情報としてメモリ53に記憶し(S97、訂正処理の一例)、印刷開始判定処理を終了する。
また、S83において薄紙に対応するシート枚数Yが必要シート枚数X以上の場合(S83:NO)、給紙トレイ15のシート情報の設定が信頼できれば、印刷途中でシート不足とならず、印刷を継続できる可能性が高くなる。そこで、シート枚数Yが必要シート枚数X以上の場合(S83:NO)、制御装置51は、信頼性判定処理を実行する(図9のS101)。なお、S101における信頼性判定処理は、図6に示す処理と同様の処理を実行する。
制御装置51は、信頼性判定処理(S101)を実行し、信頼性判定処理の結果を判定する(S103)。信頼性有りと判定した場合(S103:YES)、シート不足とならない可能性が高いため、制御装置51は、印刷処理を開始する(S105、画像形成処理の一例)。制御装置51は、印刷処理を継続し、印刷ジョブの実行を完了させ(図5のS53)、印刷開始判定処理を終了する。
一方で、信頼性がないと判定した場合(S103:NO)、薄紙に対応するシート枚数Yが信頼できない可能性がある。そこで、制御装置51は、印刷ジョブで指定された給紙トレイ15のシートの高さと、厚紙の厚みとを用いて、厚紙に対応するシート枚数y(第3算出シート枚数の一例)を算出する(S107、第3枚数算出処理の一例)。制御装置51は、給紙トレイ15のシート情報が誤っている可能性がある旨をユーザに通知する(S109)。制御装置51は、S107で新たに算出したシート枚数Yを、印刷ジョブで指定された給紙トレイ15に対応するシート枚数の情報としてメモリ53に記憶する(S111)。
次に、制御装置51は、必要シート枚数XとS107で算出したシート枚数yとを比較する(S113、第3枚数比較処理の一例)。ここで、必要シート枚数Xが、薄紙に対応するシート枚数Y以下であるものの、厚紙に対応するシート枚数yより多い場合(y<X≦Y)、プリンタ10は、シート不足となり、印刷を継続できない可能性がある。さらに、S103において薄紙のシート情報の信頼性が低いと判定されているため、プリンタ10は、シート不足となる可能性がさらに高くなる。
そこで、厚紙に対応するシート枚数yが必要シート枚数Xよりも少ない場合(S113:YES)、シート不足となる可能性が高いため、制御装置51は、シート不足となる旨を通知し(S115、第1報知処理の一例)、印刷開始判定処理を終了する。
また、厚紙に対応するシート枚数yが必要シート枚数X以上の場合(S113:NO)、印刷を継続できる可能性が高いため、制御装置51は、印刷を開始する(S105、画像形成処理の一例)。制御装置51は、印刷処理を継続し、印刷ジョブの実行を完了させ(図5のS53)、印刷開始判定処理を終了する。このようにして、制御装置51は、シート情報の信頼性に応じて、シート不足の通知をするまでの時間及び印刷を開始するまでの時間を短縮することが可能となっている。
因みに、プリンタ10は、画像形成装置の一例である。操作パネル13は、インタフェースの一例である。メモリ53は、記憶部の一例である。印刷部17は、画像形成部の一例である。シート枚数Yは、第1及び第2算出シート枚数の一例である。シート枚数yは、第1及び第3算出シート枚数の一例である。
以上、上記した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
制御装置51は、積載高さセンサ25A〜25Cの出力信号に基づいたシートPの高さを、シート情報の厚みで除することで、給紙トレイ15内に積載されたシート枚数(第1算出シート枚数)を算出する(図3のS19)。ここで、同じシート高さで算出した場合、厚紙の厚さで算出した残りのシート枚数yは、薄紙の厚さで算出したシート枚数Yに比べて少なくなる。従って、印刷ジョブの実行に必要な必要シート枚数Xが、厚紙のシート枚数yで足りていれば、薄紙のシート枚数Yでも足りることとなる。そこで、厚紙に対応するシート枚数yが必要シート枚数X以上である場合(図4のS31:YES)、制御装置51は、印刷処理を優先して開始する(S33)。これにより、本実施形態のプリンタ10では、シートPが不足する事態を低減しつつ、印刷ジョブの受け付けから印刷処理を開始するまでの時間を短縮できる。
一方で、必要シート枚数Xが、薄紙に対応するシート枚数Yで不足する状態であれれば、厚紙に対応するシート枚数yでも不足する。つまり、給紙トレイ15内のシートが、厚紙か薄紙かに係わらず、印刷処理中にシート不足となる。そこで、シート枚数Yが必要シート枚数Xよりも少ない場合(図8のS83:YES)、制御装置51は、シート不足となる旨の通知を優先して処理する(S85)。これにより、本実施形態のプリンタ10では、シート不足を通知するまでの時間を短縮して、シートPが不足する事態を低減することが可能となる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。
例えば、上記実施形態において、給紙トレイ15内のシートPの高さを検出する方法は、給紙ローラ23A〜23Cの傾動を検出する方法に限らず、例えば、光センサ、磁気センサ、あるいは抵抗素子等を利用してシートPの高さやシートPを載置する圧板の位置などを検出する方法でもよい。
また、上記実施形態において、制御装置51は、印刷開始判定処理において、信頼性判定処理(S35など)を実行しなくともよい。例えば、制御装置51は、図4におけるS21〜S33の処理で印刷開始判定処理を終了し、X>y(S31:NO)の場合にはS65(シート不足の通知)のみを実行してもよい。このような構成でも、シート不足の通知をするまでの時間及び印刷を開始するまでの時間を短縮することが可能となる。
また、上記実施形態では、制御装置51は、図4〜図9に示す印刷開始判定処理を、印刷ジョブを受け付けるごとに実行する構成であったが、これに限らない。例えば、制御装置51は、給紙トレイ15への補充を検出した後の1回目の印刷時だけ印刷開始判定処理を実行してもよい。これにより、不必要にシート不足の通知が増大するのを抑制できる。
また、制御装置51は、積載高さセンサ25A〜25Cを用いて、給紙トレイ15からシートPを供給する前後のシートPの高さの差に基づいて、シートPの厚みを算出してもよい(厚み算出処理の一例)。そして、制御装置51は、検出した1枚のシートPの厚み(厚み算出情報の一例)と、印刷ジョブで指定される給紙トレイ15にシート情報として設定されているシートPの厚み(厚み記憶情報の一例)とが一致するか否かによって、シート情報の信頼性を判定してもよい。例えば、制御装置51は、算出した厚みと、シート情報の厚みとが一致する場合に、シート情報の信頼性が高いと判定する。また、制御装置51は、算出した厚みと、シート情報の厚みとが一致しない場合に、シート情報の信頼性が低いと判定する。これにより、制御装置51は、シートPを供給する前後のシートPの高さの差に基づいて、実際に給紙トレイ15内に積載されているシートPの厚みを算出できる。また、制御装置51は、一度給紙動作を行えば、算出したシートPの厚みに基づいて、シート情報の信頼性をより確実に判定できる。
また、上記実施形態では、制御装置51は、印刷処理の開始(図4のS33、画像形成処理の一例)を、信頼性判定処理(図5のS35)に先行して実行したが、S33をS35の後に実行してもよい。
また、上記実施形態では、制御装置51は、シート不足となる旨の通知(図8のS85、第1報知処理の一例)を、信頼性判定処理(S87)に先行して実行したが、S85をS87の後に実行してもよい。
また、上記実施形態において、信頼性判定処理(S35など)を、シート補充時処理(図3参照)において予め実行してもよい。
また、上記実施形態において、制御装置51は、訂正処理(図5のS59や図8のS97)を実行せず、例えば、算出したシート枚数を使用するだけでもよい。
また、上記実施形態では、制御装置51は、シート情報の信頼性に応じて、印刷の開始やシート不足の通知を実行したが、信頼性の判定結果を他の制御に用いてもよい。例えば、制御装置51は、シートPの厚みに応じて、転写ローラ39への転写電流の大きさや加熱ローラ41の定着温度を制御してもよい。具体的には、印刷ジョブで指定された給紙トレイ15内のシートPが厚紙である可能性が高い場合、制御装置51は、例えば、転写ローラ39の転写電流を大きくし、定着ローラの定着温度を上げる制御を実行してもよい。これにより、制御装置51は、シートPの厚みに応じて転写電流等を適切な大きさとすることで、印刷精度を向上させることが可能となる。
また、上記実施形態では、厚紙と薄紙の2種類のシートPを想定した場合について説明したが、制御装置51は、3種類以上の厚みのシートPに対しても同様の処理を実行できる。例えば、制御装置51は、図4のS25や図8のS81等に対応する処理を、厚みの種類分だけ増やすことで、3種類以上の厚みのシートPにも対応することができる。
また、上記実施形態では、本願の画像形成装置としてプリンタ10を例に説明したが、これに限定されるものではなく、スキャナー機能、コピー機能、ファクシミリ機能が単独で、あるいは適宜の組み合わせにより実装される複合機にも適用することができる。